(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5942011
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】UICC内の複数の加入者情報を管理するシステム
(51)【国際特許分類】
H04W 12/02 20090101AFI20160616BHJP
H04W 92/08 20090101ALI20160616BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20160616BHJP
H04M 1/675 20060101ALI20160616BHJP
H04M 3/42 20060101ALI20160616BHJP
G06F 21/34 20130101ALI20160616BHJP
【FI】
H04W12/02
H04W92/08
H04M11/00 301
H04M1/675
H04M3/42 D
G06F21/34
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-82449(P2015-82449)
(22)【出願日】2015年4月14日
(62)【分割の表示】特願2013-542499(P2013-542499)の分割
【原出願日】2011年12月5日
(65)【公開番号】特開2015-181235(P2015-181235A)
(43)【公開日】2015年10月15日
【審査請求日】2015年4月14日
(31)【優先権主張番号】10306359.0
(32)【優先日】2010年12月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】309014746
【氏名又は名称】ジェムアルト エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100086368
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 誠
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ プルースト
(72)【発明者】
【氏名】ピエール ジラール
【審査官】
望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−131469(JP,A)
【文献】
特開2007−201883(JP,A)
【文献】
特開2007−235492(JP,A)
【文献】
3GPP TS 22.101 V11.0.0(2010-09),2010年 9月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
H04M1/675
H04M3/42
H04M11/00
G06F21/34
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汎用ICカード(UICC)内の複数の加入者情報を管理するシステムであって、複数の加入者情報の一つの加入者の要請に応じて、フィールド内の携帯端末内に備えられたUICC上に格納された複数の加入者情報を管理する中央サーバを備えるシステムであって、
前記管理は、前記UICC上に格納された全ての加入者情報をブロックすることであることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記中央サーバは複数のMNOに接続されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記中央サーバは単一のMNOに接続されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記要請は前記加入者から前記中央サーバに対して成される、請求項2及び3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記要請は前記加入者から前記MNOの一つに対して成される、請求項2及び3のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の加入者情報の管理は、以下のタスク:
−一つ又はいくつかの加入者情報を、一時的又は断定的にブロックする;
−一つ又はいくつかのサービスを、一時的又は断定的に一つ又はいくつかの加入者情報からブロックする;
−前記端末を操作する人物に警告するためにショート・メッセージを送信する;
−前記端末の位置情報を特定する;
−デバイス及びUICC上のデータを回復する;
−前記端末上のデータを削除又は暗号化する;
−前記端末が回復されると、いくつかの加入者情報の一つを再起動する特定のアプリケーションを選択する;
の少なくとも一つをさらに実行することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UICC(汎用集積回路カード)内の複数の加入者情報を管理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
UICCは、典型的にSIMアプリケーションを内蔵する保全素子である。UICCは、例えば携帯電話などの端末内に、固定して、又は固定せずに組み込まれている。端末は、M2M(マシン・ツー・マシン)アプリケーション用の、他の装置と通信する装置である場合もある。
【0003】
UICC(汎用集積回路カード)は、スマートカードの形をとりうるが、[特許文献1]に記載されているパッケージチップや、その他いかなる形をとるものであってもよい。UICCは、例えばGSM(登録商標)及びUMTSネットワークにおける携帯端末内で用いられる。UICCは、ネットワーク認証、及びあらゆる種類の個人データの整合性と安全性を保証するものである。
【0004】
UICCは、GSMネットワークでは主にSIMアプリケーションを内蔵し、UMTSネットワークではUSIMアプリケーションを内蔵している。UICCにはその他複数のアプリケーションを内蔵させることができる。そうすると1つのスマートカードで、GSM及びUMTSネットワークの双方にアクセスしたり、また電話帳及びその他のアプリケーションの格納領域を提供したりすることが可能となる。
【0005】
また対応の携帯端末では、USIMアプリケーションでGSMネットワークにアクセスしたり、SIMアプリケーションでUMTSネットワークにアクセスしたりすることもできる。LTEなど、UMTSリリース5以降のネットワークでは、IMS(IPマルチメディアサブシステム)におけるサービスに、新たなアプリケーション、即ちIPマルチメディアサービスアイデンティティモジュール(ISIM)が必要である。電話帳は別個のアプリケーションであり、いずれの加入者情報モジュールにも属さない。
【0006】
UICCは、CDMAネットワークでは、3GPP USIM及びSIMアプリケーションに加えて、CSIMアプリケーションを内蔵している。これら3つの特徴を全て含むカードは、リムーバブルユーザアイデンティティカード、即ちR−UIMと呼ばれる。つまりR−UIMカードは、CDMA、GSM、UMTSハンドセットのいずれにも挿入でき、いずれにおいても機能するのである。
【0007】
2Gネットワークにおいては、SIMカードとSIMアプリケーションは一体であったため、“SIMカード”は、この物理的なカード、又はSIMアプリケーションを有するあらゆる物理的なカードを意味していた。
UICCスマートカードは、CPU、ROM、RAM、EEPROM、及び入出力回路からなる。初期バージョンのスマートカードは、完全にフルサイズ(85×54mm,ISO/IEC 7810 ID−1)であった。すぐに、電話の小型化競争によって、より小型のカードが求められるようになった。
【0008】
カードの差し込み口が標準化されているので、加入者は自分のワイヤレスアカウントや電話番号を、あるハンドセットから他のハンドセットへ簡単に移すことができる。これによって加入者の電話帳やテキストメッセージも移される。同様に加入者は、通常、自分の既存のハンドセットに新たなキャリアのUICCカードを挿入することでキャリアを変更することもできる。しかしこれは、常に可能であるとは限らない。なぜなら、自社の販売する電話にSIMロックをかけて(例、アメリカにおいてなど)、競合キャリアのカードが使用されないようにしているキャリアもあるからである。
【0009】
ETSIフレームワークとGlobal Platformのアプリケーション管理フレームワークは統合され、UICC仕様に一本化された。
UICCは3GPP及びETSIによって標準化された。
UICCは通常、例えばユーザが自分の携帯端末を変更したいときなどに、携帯端末から取り出すことができる。ユーザは、新たな端末に自分のUICCを挿入して、それまで通り自分のアプリケーション、連絡先、認証情報(ネットワークオペレータ)にアクセスすることができる。
【0010】
また、UICCを端末専用のものにする目的で、UICCを端末内にはんだ付けまたは溶接することも周知である。これはM2M(マシン・ツー・マシン)アプリケーションにおいて行われている。上記の目的は、SIM又はUSIMのアプリケーション及びファイルを内蔵するチップ(保全素子)を、端末に内蔵させることによっても達成できる。このチップは、例えば端末又は装置のマザーボードにはんだ付けされ、e−UICCとなる。
取り外しが想定されていない、又は遠隔端末内にある、又は装置の奥深くに組み込まれているe−UICCもしくはUICCで、装置と完全に一体化しているわけではないが、元来取り外し用ではないために取り外しが困難なものに対しても、本発明を同様に適用することができる。
【0011】
UICCの特別なフォームファクタ(例えば非常に小さいので取り扱いが困難であるなど)も、そのUICCを、実質的に端末に組み込まれているものと見なす理由になりうる。同様のことは、開放が想定されていない装置内にUICCが組み込まれている場合についてもいえる。
【0012】
以下の記載では、UICCと同じアプリケーションを内蔵する、又は内蔵するよう設計されている、溶接されたUICC又はチップを総称して、(取り外し可能なUICC又は取り外し可能な保全素子に対し、)埋設型UICC又は埋設型保全素子と呼ぶ。取り外し困難なUICC又は保全素子もこれに相当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開2008/123827号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、とりわけ失くした又は盗まれた携帯機器に用いることができる集中型サービスに関する。
本発明は、携帯電話を失くしたユーザで、携帯電話が備えるUICC上に複数の加入者情報を有するユーザの手続きを簡略化することを目的とする。UICCは、取り外し可能であってもなくてもよい。
【0015】
今日、ユーザが、自身の携帯機器上に複数の利用可能な電気通信加入者情報を有することはますます一般的となっている。いくつかの例が挙げられる:
−複数のUICCスロットを備える携帯電話;
−二つの異なる加入者情報(例えば:一つの個人用の加入者情報と一つの仕事上の加入者情報、又は国境を越えて仕事をするユーザの場合、異なる国における二つ(もしくは二つ以上)の加入者情報)を可能とするデュアルIMSIカード;
−ブラジルにおいて、新しい乗用車に緊急通報装置を備えることが義務付けられている。これらの乗用車には、国内の各MNOに対して一つの加入者情報があらかじめ組み込まれている、いわゆるホワイトSIMが備えられている。
【0016】
UICCに複数の加入者情報を有していると、携帯機器を盗まれた又は失くした場合に、ユーザはすべての加入者情報をブロックするために、異なるオペレータによるすべてのホットラインに電話をかけなければならず、これはユーザにとって負担である。
さらに、ブラジルの場合のように、ユーザは、自身のデバイス上にあらかじめ組み込まれているすべての加入者情報のうちの起動されている加入者情報すら知らない(又は忘れている)可能性もある。
【0017】
このような状況は、
図1に示され、自明である。
本発明は、ユーザの代わりに携帯デバイス上で動作を実行することが可能な、失くした又は盗まれた携帯電話のための独自の集中型サービスを提供することを提示する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、UICC内で複数の加入者情報を管理するシステムであって、これらの加入者情報の一つの加入者の要請に従い、フィールド内の携帯端末内に備えられたUICC上に格納された加入者情報を管理することができる中央サーバを備えるシステムであって、前記管理は、UICC上に格納された全ての加入者情報をブロックすることであることを特徴とするシステムを提示する。
【0019】
好適には、中央サーバは複数のMNOに接続されている。
別の実施形態において、中央サーバは単一のMNOに接続されている。
管理要請は、好適には、加入者から中央サーバに対して成される。
別の実施形態において、管理要請は、加入者から複数のMNOの一つに対して成される。
【0020】
好適には、加入者情報の管理は、以下のタスクの少なくとも一つから成る:
−一つ又はいくつかの加入者情報を、一時的又は断定的にブロックする;
−一つ又はいくつかのサービスを、一時的又は断定的に一つ又はいくつかの加入者情報からブロックする;
−端末を操作する人物に警告するためにショート・メッセージを送信する;
−端末の位置情報を特定する;
−デバイス及びUICC上のデータを回復する;
−端末上のデータを削除又は暗号化する;
−端末が回復されると、いくつかの加入者情報の一つを再起動する特定のアプリケーションを選択する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】ユーザが複数のMNOのそれぞれに接触しなければならない状態を示す。
【
図2】ユーザが中央サーバに直接接触し、適切な対応を要請する方法を示す。
【
図3】中央サーバが複数のMNOに接続され、複数の加入者情報を管理するシステムを示す。
【
図4】中央サーバが単一のMNOに接続され、そのMNOを通して他の複数のMNOと通信するシステムを示す。
【
図5】中央サーバが、動作をすべてのネットワークで実行するのではなくUICC上で直接実行する、UICC内に組み込まれた特定のアプリケーションにショート・メッセージを送る方法を示す。
【
図6】Wi−fi又は有線ネットワークのような、2G/3G以外の別のネットワークを介してUICCに接触する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、UICC内の複数の加入者情報を管理するシステムであって、フィールド内の携帯端末内に備えられたUICC上に格納された加入者情報を管理することができる中央サーバを備えるシステムを提示する。
図3は、そのようなシステムを示す。
図3において、中央サーバ90は、端末92内に備えられたUICC91内に格納された複数の加入者情報を管理する。中央サーバ90は、例えばインターネットのようなネットワーク93を通して、これらの加入者情報を管理する。中央サーバ90は、オペレータMNO1からMNO3の異なる電気通信ネットワークに接続されている。
【0023】
図4に示されるシステムの別の仕様において、中央サーバは単一のオペレータのネットワーク(MNO)に接続され、このネットワークMNOを通して他のネットワークMNO1からMNO3と通信する。
中央サーバ90は、UICC91上にある加入者情報の管理者として機能することができる。中央サーバ90は例えば、端末92のユーザの要請に応じて、UICC上に新たな加入者情報をインストールすることができる。
【0024】
本発明によるシステムは、端末を失くしたユーザが、一つの実体、すなわち中央サーバ90に接触し、加入者情報を管理するように要請することを可能とする。このような加入者情報の管理は例えば:
−一つ又はいくつかの加入者情報を、一時的又は断定的にブロックする;
−一つ又はいくつかのサービスを、一時的又は断定的に一つ又はいくつかの加入者情報からブロックする;
−端末を操作する人物に警告するためにショート・メッセージを送信する;
−端末の位置情報を特定する;
−デバイス及びUICC上のデータを回復する;
−端末上のデータを削除又は暗号化する;
−端末が回復されると、いくつかの加入者情報の一つを再起動する特定のアプリケーションを選択する;
ことから成る。
【0025】
この管理方法はまた、端末が盗まれた場合にも適用される。
中央サーバ90に接触するために、ユーザは、
図2に示されるように、中央サーバに直接接触することができる。ユーザは、ファックス、電話又はインターネットによって、サーバ90に接触することができる。サーバ90は、失くした/盗まれたUICC上にインストールされた加入者情報が分かるため、ユーザの要請に応じて、適切な対応をとることができる。
ユーザにとっての代替手段は、中央サーバ90に対して警告をする、複数のMNOの一つに接触する方法である。この場合、後者が適切な対応をとる。
【0026】
代替的には、
図5に示されるように、中央サーバ90は、動作をすべてのネットワークで実行するのではなくUICC91上で直接実行する、UICC91内に組み込まれた特定のアプリケーションにショート・メッセージを送ろうとする。中央サーバは現在アクティブな加入者情報(及び関連するMSISDN)を知らない可能性もあるため、すべての潜在的なMSISDNを用いてUICCに接触しようとする。
【0027】
図6に示される第三の代替手段は、Wi−fi又は有線ネットワークのような、2G/3G以外の別のネットワークを介してUICC91に接触する方法である。この場合、中央サーバ90は、メッセージをUICC91に転送し、動作を実行する端末92上のエージェントに接触しようとする。
本発明の主要な利点は、失くした又は盗まれた携帯端末に関するすべての加入者情報をブロックする、便利かつ早い方法を提供することである。
【符号の説明】
【0028】
90・・・中央サーバ
91・・・UICC
92・・・携帯端末