特許第5942172号(P5942172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5942172
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】共役ジエン系モノマーの重合触媒組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/54 20060101AFI20160616BHJP
   C08F 36/00 20060101ALI20160616BHJP
   C08C 19/00 20060101ALI20160616BHJP
   C08F 4/606 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   C08F4/54
   C08F36/00 510
   C08C19/00
   C08F4/606
【請求項の数】11
【全頁数】57
(21)【出願番号】特願2013-556463(P2013-556463)
(86)(22)【出願日】2013年1月30日
(86)【国際出願番号】JP2013052028
(87)【国際公開番号】WO2013115242
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2014年6月26日
(31)【優先権主張番号】特願2012-19082(P2012-19082)
(32)【優先日】2012年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-19085(P2012-19085)
(32)【優先日】2012年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】小杉 裕士
【審査官】 藤本 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−070143(JP,A)
【文献】 特開2005−015579(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/094370(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/078814(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/074255(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F4/42−4/70
C08F8/00−8/50
C08C19/00−19/44
C08F36/00−36/18
C08F136/00−136/18
C08F236/00−236/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分、下記(b)成分、及び下記(c)成分を含む共役ジエン系モノマーの重合触媒組成物。
(a)下記式(1)又は(2)
【化1】
【化2】
(式中、Lnはランタノイド元素、Sc、Yからなる群から選択されるいずれか1種を示し、R1〜R4は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルキルシリル基、アルキルオキシ基、ジアルキルアミド基からなる群から選択されるいずれか1種を示す。)
で表される構造を含むランタノイド−アルミニウム架橋型錯体
(b)式HnAlR103-nで表されるアルキルアルミニウム化合物
(式中、R10は、同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルケニル基を示し、nは0〜3の整数を示す。)
(c)ハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物からなる群から選択される1種以上の化合物
【請求項2】
(d)下記式(3)又は式(4)
【化3】
【化4】
(式中、R13〜R19は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。x、yは1〜10000の整数を示す。)
で表されるアルミニウムオキシ化合物、及び/又は、ボラン系化合物、ボレート系化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を更に含む、請求項1記載の共役ジエン系モノマーの重合触媒組成物。
【請求項3】
前記アルキルアルミニウム化合物が式HnAlR203-n(式中、R20は炭素数1〜8のアルキル基を示し、nは0〜3の整数を示す。)で表される化合物を含む、請求項1又は2記載の共役ジエン系モノマーの重合触媒組成物。
【請求項4】
前記アルキルアルミニウム化合物がジイソブチルアルミニウムハイドライド又はトリイソブチルアルミニウムを含む、請求項1又は2記載の重合触媒組成物
【請求項5】
前記ハロゲン化金属化合物がハロゲン化アルミニウム化合物を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の重合触媒組成物
【請求項6】
前記アルミニウムオキシ化合物がメチルアルミノキサンを含む、請求項2〜5のいずれか1項記載の重合触媒組成物
【請求項7】
下記(a)、(c)及び(d)成分を含む共役ジエン系モノマーの重合触媒組成物。
(a)下記式(1)又は(2)
【化5】
【化6】
(式中、Lnはランタノイド元素、Sc、Yからなる群から選択されるいずれか1種を示し、R1〜R4は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルキルシリル基、アルキルオキシ基、ジアルキルアミド基からなる群から選択されるいずれか1種を示す。)
で表される構造を含むランタノイド−アルミニウム架橋型錯体
(c)ハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物からなる群から選択される1種以上の化合物
(d)下記式(3)又は式(4)
【化7】
【化8】
(式中、R13〜R19は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。x、yは1〜10000の整数を示す。)
で表されるアルミニウムオキシ化合物、及び/又は、ボラン系化合物からなる群から選択される1種以上の化合物。
【請求項8】
前記ハロゲン化金属化合物がハロゲン化アルミニウム化合物を含む、請求項7記載の重合触媒組成物
【請求項9】
前記アルミニウムオキシ化合物がメチルアルミノキサンを含む、請求項7又は8記載の重合触媒組成物
【請求項10】
シス1,4結合含量が98%以上のポリジエン化合物を製造する方法であって、
請求項1〜9のいずれか1項記載の重合触媒組成物を用いて共役ジエン系モノマーを重合する工程を含む製造方法。
【請求項11】
ポリジエン化合物の製造方法であって、
請求項1〜9のいずれか1項記載の重合触媒組成物を用いて共役ジエン系モノマーを重合後、得られた重合体をカルボニル基、イミド基、エポキシ基を含有するいずれかの化合物と反応させる工程を含む製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共役ジエン系モノマーの重合触媒組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
共役ジエン系重合体は、さまざまな分野で原料ゴムとして用いられている。例えば、タイヤ用としては、トレッドでは耐摩耗性、低温での柔軟性に優れ、カーカスでは低発熱性、耐屈曲亀裂性に優れるという利点を有するため広く用いられている。
中でも、シス1,4結合含量(以下、「シスコンテンツ」ともいう。)がほぼ100%の天然ゴムや、シス1,4結合含量が98%以上のポリブタジエン等の高い立体規則性を有する共役ジエン系重合体は、延伸時結晶化することで高い引っ張り強度が得られることが知られている(例えば、非特許文献1)。これらの立体規則性の高い共役ジエン系共重合体の製造は、従来、配位重合触媒を用いて製造され、Ti,Co,Ni等、現在までにさまざまな触媒系が知られている。また工業的にも、これらの触媒系を用いてシスコンテンツの高い共役ジエン系重合体が生産されている(例えば、非特許文献2)。
また、1970年代後半には、希土類カルボン酸塩を初めとする希土類系触媒を用いた系が提案されている。この希土類カルボン酸塩触媒系は、シスコンテンツは通常94〜97%程度であるが、従来のCo,Ni,Ti系触媒に比べ、重合活性が高く、重合温度も60〜80℃以上であるため、より高温での重合が可能である、分子量分布が狭い等、従来の触媒系にはない特徴を有している(例えば、特許文献1、2及び非特許文献3)。
シスコンテンツを向上させる試みとしては、希土類とアルキルアルミニウムの複核錯体を用いた系が提案されており、イソプレンの重合においてシスコンテンツ99%以上の高いシス選択性を示している(非特許文献4)。
また、希土類系の複核錯体としては、トルエンの配位した希土類とハロゲン化アルキルアルミニウムとの複核錯体とアルキルアルミニウムを反応させた系も提案されており、この系ではシスコンテンツ88〜98.8%のポリマーが得られている(例えば、特許文献3)。
さらに、希土類のメタロセン系錯体を用いた系も提案されている。この系においては、シスコンテンツ96〜100%のポリマーが得られている(例えば、特許文献4〜8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許0007027号公報
【特許文献2】特開昭58−067705号公報
【特許文献3】特開平7-112989号公報
【特許文献4】特開2008−291096号公報
【特許文献5】特開2007−63240号公報
【特許文献6】特開2004−27103号公報
【特許文献7】特開2003−292513号公報
【特許文献8】特開2000−313710号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Rubb. Chem. Technol. 30,1118(1957)
【非特許文献2】Principles of Cordination Polymerization 275
【非特許文献3】Neodymium Based Ziegler Catalysts Fundamental Chemistry 132
【非特許文献4】Angew Chem Int. Ed. 2004 43 2234
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来知られている触媒系は以下のような問題を有している。
まず、非特許文献2に記載されているようなTi,Ni,Co等の遷移金属錯体を触媒系とした重合系は、所望のシスコンテンツ(96〜98%)を得るために、低い重合温度で長時間重合する必要がある。従って、製造プロセス系を冷却するための設備が必要になる。また、モノマーの転化率も70〜90%と低いため、製造プロセスにおいてモノマーのリサイクル系が必要になる。以上のように、Ti,Ni,Co等の遷移金属錯体を触媒系とした重合系は、他の共役ジエン系ポリマーの製造プロセス比べ、多くの設備とエネルギーを必要とする。
一方、特許文献1、2及び非特許文献3に記載されているような希土類触媒系は、製造プロセスはよりシンプルで、重合活性は高いものの、シスコンテンツは通常94〜97%程度である。シスコンテンツをより高くするためには、重合温度を10℃以下に下げて重合する必要がある。この場合、重合温度の低下と共に、重合活性も低下するという問題が生ずる。
また、非特許文献4に記載されているような希土類とアルキルアルミニウムの複核錯体を用いた系では、イソプレンの重合においてシスコンテンツ99%以上の高いシス選択性を示している。この系は重合温度が25℃、重合時間15分で転化率が99%であるが、触媒の使用量が多く、上記カルボン酸系に比べて10倍程度の触媒を使用する必要があり、他の触媒系に比べて活性が高いとはいえない。
同様に、特許文献3に記載されているようなトルエンの配位した希土類とハロゲン化アルキルアルミニウムとの複核錯体とアルキルアルミニウムを反応させた系も、重合活性の高い系はシスコンテンツが98%未満と低く、シスコンテンツが98%超えている系は、重合速度が遅い傾向にある。また、この系においては、99%以上のシスコンテンツは達成されておらず、触媒系としては不十分である。
さらに、特許文献4〜8に記載されているような希土類メタロセン系は、重合活性の高い系では、シスコンテンツが96〜97%と低くなっている。重合条件や触媒の種類によってはシスコンテンツの高い系もあるが、例えばシスコンテンツ99%の系では、重合温度0℃で18時間の重合時間を要している。重合温度25℃で、1時間の重合によりシス99%以上の系も報告されているが、この場合、触媒使用量が多く、1時間での転化率も60%と低い。またシス100%の系に至っては、−20℃で5日間の重合を行なっており、転化率も48%と到底実用的なレベルに至っていないのが現状である。
【0006】
以上から、既存の触媒系では、シスコンテンツと触媒活性は相反する傾向を示していることが分かる。即ち、重合活性が高い触媒系はシスコンテンツが低く、シスコンテンツの高い触媒系は重合活性が低くなる傾向にあり、シスコンテンツ98%以上のポリマーを得ることができ、かつ、従来よりも高い重合活性を有する触媒系は未だ見出されていないのが実情である。
従って、本発明は、従来よりも高い温度条件で重合可能であり、かつ、シスコンテンツの高いポリマーを得ることのできる共役ジエン系モノマーの重合触媒組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する希土類系錯体と、特定の化合物を含む組成物により上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち本発明は以下のとおりである。
〔1〕
下記(a)成分、下記(b)成分、及び下記(c)成分を含む共役ジエン系モノマーの重合触媒組成物。
(a)下記式(1)又は(2)
【化1】
【化2】
(式中、Lnはランタノイド元素、Sc、Yからなる群から選択されるいずれか1種を示し、R1〜R4は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルキルシリル基、アルキルオキシ基、ジアルキルアミド基からなる群から選択されるいずれか1種を示す。)
で表される構造を含むランタノイド−アルミニウム架橋型錯体
(b)式HnAlR103-nで表されるアルキルアルミニウム化合物
(式中、R10は、同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルケニル基を示し、nは0〜3の整数を示す。)
(c)ハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物からなる群から選択される1種以上の化合物
〔2〕
(d)下記式(3)又は式(4)
【化3】
【化4】
(式中、R13〜R19は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。x、yは1〜10000の整数を示す。)
で表されるアルミニウムオキシ化合物、及び/又は、ボラン系化合物、ボレート系化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を更に含む、〔1〕記載の共役ジエン系モノマーの重合触媒組成物。
〔3〕
前記アルキルアルミニウム化合物が式HnAlR203-n(式中、R20は炭素数1〜8のアルキル基を示し、nは0〜3の整数を示す。)で表される化合物を含む、〔1〕又は〔2〕記載の共役ジエン系モノマーの重合触媒組成物。
〔4〕
前記アルキルアルミニウム化合物がジイソブチルアルミニウムハイドライド又はトリイソブチルアルミニウムを含む、〔1〕又は〔2〕記載の重合触媒組成物
〔5〕
前記ハロゲン化金属化合物がハロゲン化アルミニウム化合物を含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載の重合触媒組成物
〔6〕
前記アルミニウムオキシ化合物がメチルアルミノキサンを含む、〔2〕〜〔5〕のいずれか1項記載の重合触媒組成物
〔7〕
下記(a)、(c)及び(d)成分を含む共役ジエン系モノマーの重合触媒組成物。
(a)下記式(1)又は(2)
【化5】
【化6】
(式中、Lnはランタノイド元素、Sc、Yからなる群から選択されるいずれか1種を示し、R1〜R4は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルキルシリル基、アルキルオキシ基、ジアルキルアミド基からなる群から選択されるいずれか1種を示す。)
で表される構造を含むランタノイド−アルミニウム架橋型錯体
(c)ハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物からなる群から選択される1種以上の化合物
(d)下記式(3)又は式(4)
【化7】
【化8】
(式中、R13〜R19は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。x、yは1〜10000の整数を示す。)
で表されるアルミニウムオキシ化合物、及び/又は、ボラン系化合物からなる群から選択される1種以上の化合物。
〔8〕
前記ハロゲン化金属化合物がハロゲン化アルミニウム化合物を含む、〔7〕記載の重合触媒組成物
〔9〕
前記アルミニウムオキシ化合物がメチルアルミノキサンを含む、〔7〕又は〔8〕記載の重合触媒組成物
〔10〕
シス1,4結合含量が98%以上のポリジエン化合物を製造する方法であって、
〔1〕〜〔9〕のいずれか1項記載の重合触媒組成物を用いて共役ジエン系モノマーを重合する工程を含む製造方法。
〔11〕
ポリジエン化合物の製造方法であって、
〔1〕〜〔9〕のいずれか1項記載の重合触媒組成物を用いて共役ジエン系モノマーを重合後、得られた重合体をカルボニル基、イミド基、エポキシ基を含有するいずれかの化合物と反応させる工程を含む製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高いシスコンテンツのポリマーを得ることができ、高い重合活性を有する共役ジエン系モノマーの重合触媒組成物を提供することができる。本発明の重合触媒組成物を用いることにより、従来よりも高い温度条件で、シスコンテンツ98%以上の高いシスコンテンツを有する共役ポリジエンを効率的に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0011】
[第1の実施態様]
第1の実施態様(本実施形態1)における重合触媒組成物は、
下記(a)及び(b)成分を含む共役ジエン系モノマーの重合触媒組成物である。
(a)下記式(1)又は(2)
【0012】
【化9】
【0013】
【化10】
【0014】
(式中、Lnはランタノイド元素、Sc、Yからなる群から選択されるいずれか1種を示し、R1〜R4は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルキルシリル基、アルキルオキシ基、ジアルキルアミド基からなる群から選択されるいずれか1種を示す。)で表される構造を含むランタノイド−アルミニウム架橋型錯体
(b)式HnAlR103-nで表されるアルキルアルミニウム化合物
(式中、R10は、同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルケニル基を示し、nは1〜3の整数を示す。)
【0015】
本実施形態1における重合触媒組成物は、(c)ハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を更に含んでいてもよい。
【0016】
本実施形態1における重合触媒組成物は、(d)下記式(3)又は式(4)
【0017】
【化11】
【0018】
【化12】
【0019】
(式中、R13〜R19は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。x、yは1〜10000の整数を示す。)
で表されるアルミニウムオキシ化合物、及び/又は、ボラン系化合物、ボレート系化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を更に含んでいてもよい。
【0020】
ここで、本実施形態1におけるランタノイド−アルミニウム架橋型錯体の構造としては、X線構造解析からは、上記式(2)の構造が確認される。しかし、実際には、式(2)の構造は、極低温状態若しくはある瞬間における構造であり、室温においては、上記式(2)のアルキル基(及び他の官能基)は、かなり速いスピードで交換反応を起こす。上記式(2)においては、R1とR3がLnとAlに結合しているが、実際には、ある瞬間にはR1とR3が、次の瞬間にはR2とR4が、その次の瞬間にはR3とR4というように任意のRが結合と交換を繰り返し、上記式(1)の構造をとる。一方、極低温状態では交換が遅くなるため、上記式(2)の構造をとる。従って、室温での状態をNMR等で確認すると、通常、上記式(2)の構造であれば、R1とR3のピーク、R2とR4のピークと2つのピークが確認されるが、上述したように置換基の交換が速いため、2つのピークの真ん中に1つのピークとして現れる。つまり、あたかも、式(1)の構造のようにAlに4つのRが付いていて、(AlR4)全体が官能基としてLnに3つ付いているような形にも表すことができる。一方、極低温状態ではRの交換が遅くなるため、ピークが2つに見える。従って、上記式(1)の構造は室温での上記錯体の状態を表し、また、上記式(2)の構造は極低温状態若しくはある瞬間における錯体の状態を表す。つまり、上記式(1)及び(2)の錯体は全く同じものであるが、NMRの結果からは、式(1)のように表す方が適切であり、X線構造解析の結果からは式(2)のように表す方が適切である。
【0021】
本実施形態1の重合触媒組成物を適用することのできる共役ジエン系モノマーは、共役型ジエンであれば特に構造は限定されず、直鎖状ジエン、環状ジエン、置換基を有するジエンのいずれを用いてもよい。具体的には、1,3−ブタジエン、1,3−イソプレン、1、4−ジメチル−1,3−ブタジエン、1、2−ジメチル−1,3−ブタジエン、1、3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,2,3−トリメチル−1,3−ブタジエン、シクロヘキサジエン、1−ビニルシクロへキセン、1,3,5−ヘキサトリエン、アロオシメン等が挙げられる。
【0022】
(a)成分
本実施形態1における(a)ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体は、下記式(1)又は(2)で表される構造を含む。
【0023】
【化13】
【0024】
【化14】
【0025】
(式中、Lnはランタノイド元素、Sc、Yからなる群から選択されるいずれか1種を示し、R1〜R4は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルキルシリル基、アルキルオキシ基、ジアルキルアミド基からなる群から選択されるいずれか1種を示す。)
上記式(1)、(2)で表される構造は、化学式では、それぞれ、Ln(AlR43、Ln[(μ−R2)AlR23で示される。
【0026】
ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体の具体的な構造としては、例えば、下記式(5)〜(11)、(5)’〜(11)’に示すものが挙げられる。
【0027】
【化15】
【0028】
(上記式中、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基からなる群から選択されるいずれか1種を示す。)
ここで、式(7)〜(11)で表される構造は、式(6)で表される構造と同様に、Ln、Al双方に結合している基と、Alに結合している基は相互に入れ替わることが可能である。
ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0029】
Lnで示されるランタノイド元素としては、特に限定されないが、シスコンテンツが高くなる傾向にあるため、好ましくはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dyであり、より好ましくはLa、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dyである。
【0030】
炭素数1〜8のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、ペンチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。中でも、錯体の安定性、溶媒への溶解性が良好となる傾向にあるため、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、メチルフェニル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基がより好ましい。
【0031】
アルキルシリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。中でも、錯体の安定性、合成の容易さの観点から、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基が好ましい。
【0032】
アルキルオキシ基の具体例としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブタルオキシ基、ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、フェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−イソブチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,4、6−トリ−t−ブチルフェノキシ基、2,4、6−トリ−イソブチルフェノキシ基、2、4、6−トリイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。中でも、錯体の安定性、合成の容易さの観点から、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブタルオキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−イソブチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,4、6−トリ−t−ブチルフェノキシ基、2,4、6−トリ−イソブチルフェノキシ基、2、4、6−トリイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ基が好ましい。
【0033】
ジアルキルアミド基の具体例としては、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジプロピルアミド基、ジイソプロピルアミド基、ジブチルアミド基、ジイソブチルアミド基、ビストリメチルシリルアミド基、ビスジメチルシリルアミド基等が挙げられる。中でも、錯体の安定性、合成の容易さの観点から、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピルアミド基、ビストリメチルシリルアミド基、ビスジメチルシリルアミド基が好ましい。
【0034】
(b)成分
本実施形態1におけるアルキルアルミニウム化合物は、式HAlR103−nで表される。ここで、R10は、同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルケニル基を示し、nは1〜3の整数を示す。
アルキルアルミニウム化合物としては、式HAlR203−n(式中、R20は炭素数1〜8のアルキル基を示し、nは1〜3の整数を示す。)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0035】
本実施形態1におけるアルキルアルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジ−n−プロピルアルミニウムハイドライド、ジ−n−ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド、ジイソヘキシルアルミニウムハイドライド、ジオクチルアルミニウムハイドライド、ジイソオクチルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライドなどが挙げられる。上記の中でも、活性種が安定化する傾向にあるため、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。
【0036】
(c)成分
本実施形態1におけるハロゲン化金属化合物の具体例としては、ジメチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド等のハロゲン化アルミニウム化合物、四塩化チタン、四塩化スズ、二塩化スズ等が挙げられ、ハロゲン化シリル化合物の具体例としては、四塩化ケイ素、トリメチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン等が挙げられる。ハロゲン化金属化合物及びハロゲン化シリル化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、上記以外にも、三塩化リン、ベンゾイルクロリド、t−ブチルクロリド等が含まれていてもよい。
【0037】
(d)成分
本実施形態1における(d)成分は、下記式(3)又は式(4)
【0038】
【化16】
【0039】
【化17】
【0040】
(式中、R13〜R19は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。x、yは1〜10000の整数を示す。)
で表されるアルミニウムオキシ化合物、及び/又は、ボラン系化合物、ボレート系化合物からなる群から選択される1種以上の化合物である。
【0041】
ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、上述したものと同様のものが挙げられる。x、yは1〜10000の整数を示し、好ましくは1〜100、より好ましくは1〜20である。
【0042】
アルミニウムオキシ化合物の具体例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、n−プロピルアルミノキサン、n−ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、t−ブチルアルミノキサン、ヘキシルアルミノキサン、イソヘキシルアルミノキサン、メチルアルミノキサンとイソブチルアルミノキサンの共重合物等が挙げられる。中でも、溶媒への溶解性や取り扱いが良好となる傾向にあるため、メチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、メチルアルミノキサンとイソブチルアルミノキサンの共重合物が好ましい。また、アルミニウムオキシ化合物に、例えば、トリメチルアルミニウム等の原料由来のアルキルアルミニウム化合物が混入していてもかまわない。アルミニウムオキシ化合物の製造は、公知の如何なる方法を用いてもよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の有機溶媒中に、トリアルキルアルミニウム又はジアルキルアルミニウムモノクロライドを加え、さらに水、水蒸気、水蒸気含有窒素ガス、又は硫酸銅5水塩や硫酸アルミニウム16水塩等の結晶水を有する塩を加えて反応させることにより製造することができる。アルミニウムオキシ化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0043】
ボラン系化合物の具体例としては、トリフェニルボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等が挙げられ、ボレート系化合物の具体例としては、N、N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。中でも、溶媒への溶解性や取り扱いが良好となる傾向にあるため、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、N、N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。ボラン系化合物及びボレート系化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0044】
ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体とアルキルアルミニウム化合物との比率は、ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体とアルキルアルミニウム化合物とのモル比で、好ましくはランタノイド−アルミニウム架橋型錯体:アルキルアルミニウム化合物=1:0.1〜1:50であり、より好ましくはランタノイド−アルミニウム架橋型錯体:アルキルアルミニウム化合物=1:0.5〜1:10であり、更に好ましくはランタノイド−アルミニウム架橋型錯体:アルキルアルミニウム化合物=1:1〜1:8である。ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体とアルキルアルミニウム化合物の比率が上記範囲であると、分子量および活性のバランスが良好となる傾向にある。
【0045】
ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体とアルミニウムオキシ化合物の比率は、ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体とアルミニウムオキシ化合物とのモル比で、好ましくはランタノイド−アルミニウム架橋型錯体:アルミニウムオキシ化合物=1:5〜1:5000であり、より好ましくはランタノイド−アルミニウム架橋型錯体:アルミニウムオキシ化合物=1:5〜1:1000、さらに好ましくはランタノイド−アルミニウム架橋型錯体:アルミニウムオキシ化合物=1:5〜1:500である。ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体とアルミニウムオキシ化合物の比率が上記範囲であると、重合再現性が良好となる傾向にある。
【0046】
ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体とボラン系化合物及び/又はボレート系化合物の比率は、ランタノイド金属とボラン元素とのモル比で、好ましくはランタノイド金属:ボラン元素=1:0.5〜1:5であり、より好ましくはランタノイド金属:ボラン元素=1:0.7〜1:3、さらに好ましくはランタノイド金属:ボラン元素=1:0.9〜1:2である。ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体とボラン系化合物及び/又はボレート系化合物の比率が上記範囲であると重合再現性が良好となる傾向にある。
【0047】
ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体とハロゲン化金属化合物及び/又はハロゲン化シリル化合物の比率は、ランタノイド金属とハロゲン元素とのモル比で、好ましくはランタノイド金属:ハロゲン=1:0〜1:5であり、より好ましくはランタノイド金属:ハロゲン=1:0.5〜1:4であり、さらに好ましくはランタノイド金属:ハロゲン=1:0.8〜1:3.5である。ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体とハロゲン化金属化合物及び/又はハロゲン化シリル化合物の比率が上記範囲であると、重合再現性が良好となる傾向にある。
【0048】
本実施形態1における重合触媒組成物は、ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体と、アルキルアルミニウム化合物、必要に応じてアルミニウムオキシ化合物、及び/又はボラン系化合物、ボレート化合物からなる群から選択される1種以上の化合物、さらに必要に応じてハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を混合することにより得ることができる。このとき、あらかじめ上記触媒成分を溶媒等に溶解、希釈して使用することもできる。触媒成分を溶解、希釈するのに用いる溶媒は、上記の触媒組成物と反応し、重合反応において好ましくない化合物を生成することのない溶媒系が好ましい。具体的には、ペンタン、n−ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素系化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系化合物が挙げられる。
【0049】
また、上記触媒成分は単独で用いても、2種以上を組み合わせても用いてもかまわない。触媒組成物の調製を効率よく、再現性よく行うためには、窒素気流下若しくはアルゴン気流下で行うことが好ましい。アルゴンは、市販のアルゴンボンベに充填されたものをそのまま使用してもよいが、窒素は、カラム等で酸素、水分をあらかじめ除いておくか、超高純度窒素を使用することが好ましい。また、使用する器具もあらかじめ、乾燥機等で十分に乾燥しておくことが望ましい。さらに使用する溶媒、モノマーは、脱水剤や蒸留精製等であらかじめ水分、活性水素やカルボニル基を有する極性物質等を除いておくことが好ましい。
【0050】
触媒重合組成物を調製する際、各成分を混合する方法としては、特に限定されず、例えば、(1)あらかじめ、触媒成分のみを混合する方法、(2)重合する少量のモノマーの存在下で触媒成分を混合する方法、(3)モノマー以外の配位性の溶媒又は化合物の存在下で触媒成分を混合する方法、(4)重合する少量のモノマーとモノマー以外の配位性の溶媒又は化合物の存在下で触媒成分を混合する方法、(5)あらかじめ、モノマーを仕込んだ反応器中に触媒成分を導入し、反応器内で調製する方法が挙げられるが、本触媒系の場合、いずれの方法を用いてもかまわない。以下にそれぞれの方法について詳述するが、本実施形態は以下の方法に限定されるものではない。
【0051】
(1)あらかじめ、触媒成分のみを混合する方法
この方法では、溶媒の存在下に、上記触媒成分を混合することができる。ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体は固体のまま用いることも可能であるが、あらかじめ、錯体を溶媒に溶かしておくことが好ましい。調製の順序としては、以下の順序が可能である。なお、アルミニウムオキシ化合物、ボラン系化合物、ボレート系化合物から選ばれる1種以上の化合物と、ハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物から選ばれる1種以上の化合物は、必要に応じて加えればよい。
(ア)ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体に、アルミニウムオキシ化合物、ボラン系化合物、ボレート系化合物から選ばれる1種以上を混合し、その後アルキルアルミニウム化合物を加え、最後にハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物から選ばれる1種以上を加える方法
(イ)ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体にアルキルアルミニウム化合物を混合し、その後アルミニウムオキシ化合物、ボラン系化合物、ボレート系化合物から選ばれる1種以上を加え、最後にハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物から選ばれる1種以上を加える方法
この場合、調製時間はそれぞれの触媒成分が混合し、反応できる時間があれば特に制限されない。
【0052】
調製時間は、例えば、0.5〜120分程度の間で任意に変えることができる。調製時間が0.5分未満であると、混合が十分とならない可能性がある。また、調製時間は120分以上でも特に問題はないが、調製時間を必要以上に長くする必要はないため長くても120分程度反応させれば十分である。調製時の温度は、−10℃〜60℃程度の範囲で行なうことができる。また、反応後の重合触媒組成物の状態のまま、温度、水分、酸素等をきちんと管理した条件下で長期間保存することは可能である。
【0053】
(2)重合する少量のモノマーの存在下で触媒成分を混合する方法
この方法では、溶媒及び重合に用いるモノマーの存在下、上記触媒成分を混合する。ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体とモノマーの比は、モル比で1:1〜1:2000程度であることが好ましい。混合の方法としては、以下の順序が可能である。
(ア)あらかじめ、所定量のモノマーと溶媒を混合し、そこにランタノイド−アルミニウム架橋型錯体と、アルミニウムオキシ化合物、ボラン系化合物、ボレート系化合物から選ばれる1種以上を混合し、最後にハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物から選ばれる1種以上を加える方法
(イ)あらかじめ、所定量のモノマーと溶媒を混合し、そこにランタノイド−アルミニウム架橋型錯体とアルキルアルミニウム化合物を加え、その後アルミニウムオキシ化合物、ボラン系化合物、ボレート系化合物から選ばれる1種以上を加え、最後にハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物から選ばれる1種以上を加える方法。
【0054】
この場合、調製時間は、それぞれの触媒成分が混合し反応できる時間と、触媒組成物とモノマーが反応できる時間があれば特に制限されない。調製時間は、例えば、0.5〜120分程度の間で任意に変えることができる。調製時間が0.5分未満であると、混合が十分とならない可能性がある。また、調製時間は120分以上でも特に問題はないが、調製時間を必要以上に長くする必要はないため、長くても120分程度反応させれば十分である。調製時の温度は、−10℃〜60℃程度の範囲で行なうことができる。また、反応後の重合触媒組成物の状態のまま、温度、水分、酸素等をきちんと管理した条件下で長期間保存することは可能である。
【0055】
(3)モノマー以外の配位性の溶媒又は化合物の存在下で触媒成分を混合する方法
この方法では、溶媒及びモノマー以外の配位性の溶媒又は化合物の存在下、上記触媒成分を混合する。ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体とモノマーの比は、モル比で1:1〜1:2000程度であることが好ましい。この場合のモノマー以外の配位性の溶媒としては、芳香環を有する化合物や非共有電子対を有する化合物、非プロトン性溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、クメン、ブチルベンゼン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ピリジン等が挙げられる。モノマー以外の配位性の化合物としては、非共有電子対を有する化合物や炭素−炭素2重結合を有する化合物、例えば、3級アミン、アルキルホスフィン類、アリールホスフィン類、ホスファイト類、環状オレフィン類、置換ジエン類、環状ジエン類等が挙げられる。混合の方法としては、以下の順序が可能である。
(ア)あらかじめ、所定量の配位性の溶媒又は化合物と、溶媒を混合し、そこにランタノイド−アルミニウム架橋型錯体と、アルミニウムオキシ化合物、ボラン系化合物、ボレート系化合物から選ばれる1種以上を混合し、その後アルキルアルミニウム化合物を加え、最後にハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物から選ばれる1種以上を加える方法
(イ)あらかじめ、所定量の配位性の溶媒又は化合物と、溶媒を混合し、そこにランタノイド−アルミニウム架橋型錯体とアルキルアルミニウム化合物を加え、その後アルミニウムオキシ化合物、ボラン系化合物、ボレート系化合物から選ばれる1種以上を混合し、最後にハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物から選ばれる1種以上を加える方法。
【0056】
この場合、調製時間はそれぞれの触媒成分が混合し、反応できる時間があれば特に制限されない。調製時間は、例えば、0.5〜120分程度の間で任意に変えることができる。調製時間が0.5分未満であると、混合が十分とならない可能性がある。また、調製時間は120分でも特に問題はないが、調製時間を必要以上に長くする必要はないため長くても120分程度反応させれば十分である。調製時の温度は、−10℃〜60℃程度の範囲で行なうことができる。また、反応後の重合触媒組成物の状態のまま、温度、水分、酸素等をきちんと管理した条件下で長期間保存することは可能である。
【0057】
(4)重合する少量のモノマーとモノマー以外の配位性の溶媒若しくは化合物の存在下で触媒成分を混合する方法
この方法では、溶媒及びモノマー以外の配位性の溶媒又は化合物及び重合に用いるモノマーの存在下、上記触媒成分を混合する。ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体とモノマーの比は、モル比で1:1〜1:2000程度であることが好ましい。この場合のモノマー以外の配位性の溶媒としては、芳香環を有する化合物や非共有電子対を有する化合物、非プロトン性溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、クメン、ブチルベンゼン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ピリジン等が挙げられる。モノマー以外の配位性の化合物としては、非共有電子対を有する化合物や炭素−炭素2重結合を有する化合物、例えば、3級アミン、アルキルホスフィン類、アリールホスフィン類、ホスファイト類、環状オレフィン類、置換ジエン類、環状ジエン類等が挙げられる。混合の方法としては、以下の順序が可能である。
【0058】
(ア)あらかじめ、所定量の配位性の溶媒又は化合物と、所定量の溶媒、所定量のモノマーを混合し、そこにランタノイド−アルミニウム架橋型錯体と、アルミニウムオキシ化合物、ボラン系化合物、ボレート系化合物から選ばれる1種以上を混合し、その後アルキルアルミニウム化合物を加え、最後にハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物から選ばれる1種以上を加える方法
(イ)あらかじめ、所定量の配位性の溶媒又は化合物と、所定量の溶媒、所定量のモノマーを混合し、そこにランタノイド−アルミニウム架橋型錯体とアルキルアルミニウム化合物を加え、その後アルミニウムオキシ化合物、ボラン系化合物、ボレート系化合物から選ばれる1種以上を混合し、最後にハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物から選ばれる1種以上を加える方法
この場合、調製時間は、それぞれの触媒成分が混合し反応できる時間と、調製した触媒成分とモノマーとが反応できる時間があれば特に制限されない。調製時間は、例えば、0.5〜120分程度の間で任意に変えることができる。調製時間が0.5分未満であると、混合が十分とならない可能性がある。また、調製時間は120分でも特に問題はないが、調製時間を必要以上に長くする必要はないため、長くても120分程度反応させれば十分である。調製時の温度は、−10℃〜60℃程度の範囲で行なうことができる。また、反応後の重合触媒組成物の状態のまま、温度、水分、酸素等をきちんと管理した条件下で長期間保存することは可能である。
【0059】
(5)あらかじめ、モノマーを仕込んだ反応器中に触媒成分を導入し、反応器内で調製する方法
この方法では、あらかじめ、反応器中に所定量の溶媒、モノマーを仕込んでおき、そこにあらかじめ溶媒に溶解させた触媒成分を添加する。触媒成分を溶解させる溶媒は重合に用いる溶媒と同じものが望ましいが、上記、(3)、(4)で用いた配位性の溶媒を用いてもかまわない。また、上記(3)、(4)と同様に、配位性の化合物を添加してもかまわない。反応器内への触媒成分の導入方法としては、ブタジエン等の低沸点モノマーを用いる場合は、例えば窒素、アルゴン等の不活性ガス下、耐圧容器に触媒成分を入れ、不活性ガスで反応器内に圧送する方法がある。また、モノマーの沸点が高く、常圧で重合するような場合には、注射器等を用いた導入が可能である。反応器内への触媒成分の導入順序としては、以下のいずれの方法でもかまわない。
(ア)初めに反応器にランタノイド−アルミニウム架橋型錯体を導入し、続いてアルミニウムオキシ化合物、ボラン系化合物、ボレート系化合物から選ばれる1種以上を混合し、その後アルキルアルミニウム化合物を加え、最後にハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物から選ばれる1種以上を加える方法。
(イ)初めに反応器にアルミニウムオキシ化合物、ボラン系化合物、ボレート系化合物から選ばれる1種以上を導入し、続いてランタノイド−アルミニウム架橋型錯体とアルキルアルミニウム化合物を加え、最後にハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物から選ばれる1種以上を加える方法。
【0060】
このとき、各触媒成分を入れる間隔としては、それぞれの触媒成分が、反応器内のモノマー溶液と混合し、さらに、各触媒成分が反応する時間があればよい。ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体と、アルミニウムオキシ化合物、ボラン系化合物、ボレート系化合物とを入れる間隔は0.5分〜60分程度の間で任意に変えることができる。混合間隔が0.5分未満であると、混合が十分とならない可能性がある。混合間隔が60分を超えた場合でも特に問題は生じないが、いたずらに間隔を延ばすことは非効率である。ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体と、アルミニウムオキシ化合物、ボラン系化合物、ボレート系化合物を混合した後、ハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物を加えるまでの間隔は1〜30分程度の間で任意に変えることができる。混合間隔が1分未満であるとランタノイド−アルミニウム架橋型錯体と、アルミニウムオキシ化合物、ボラン系化合物、ボレート系化合物の反応が十分でない可能性がある。混合間隔が30分を超えた場合でも特に問題は生じないが、いたずらに間隔を延ばすことは非効率である。
【0061】
本実施形態1における重合触媒組成物を用いた共役ジエンモノマーの重合反応は、溶媒の存在下又は非存在下のいずれの条件でも行なうことができる。溶媒の存在下に重合を行なう場合、重合触媒組成物と反応して、重合反応において好ましくない化合物を生成することのない溶媒系が好ましい。具体的には、ブタン、ペンタン、n−ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、1−ブテン、2−ブテン、1,2−ブタジエン等の炭化水素系化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系化合物が挙げられる。また、上記溶媒は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもかまわない。
【0062】
本実施形態1における重合触媒組成物は、水分や極性物質と反応するため、重合に用いる溶媒やモノマーも、あらかじめ、脱水剤や、蒸留等により、水分や極性物質、安定剤等を除いておくことが好ましい。水分や、極性物質の除去は、例えば、以下の方法によって除くことができる。
(ア)アルミナ、モレキュラシーブス等の脱水剤の入ったカラムを通し、水分を除去する方法。あらかじめカラムは乾燥し、脱水剤は高温真空下で水分を除き活性化しておくことが望ましい。脱水する溶媒は、市販の脱水溶媒を用いることが好ましい。
(イ)脱水剤の存在下、蒸留精製する方法。たとえば、水素化カルシウム、ナトリウム、ナトリウムベンゾフェノンケチル等の存在下に還流後、蒸留する方法。
(ウ)使用する溶媒に、あらかじめアルキルアルミニウム、アルキルリチウム、アルキルマグネシウム等の化合物を加え、水分、極性物質等と反応させることにより、水分を除く方法。添加した化合物と、水分、極性物質等との反応物が重合に影響を与えない場合は、この方法が最も簡単である。添加剤としては、アルキルアルミニウムが特に好ましい。また、上記(ア)、(イ)の方法と組み合わせて用いてもよい。
【0063】
重合反応における重合温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは−50〜100℃であり、より好ましくは−10〜80℃、さらに好ましくは0〜70℃である。また、重合時間は特に限定されるものではないが、好ましくは1分〜6時間程度であり、より好ましくは5分〜5時間程度である。
【0064】
これらの反応条件は、触媒の種類に応じて適宜選択することができる。本実施形態1における重合反応は、バッチ式、連続式のいずれの重合方法を用いてもよい。重合に使用するリアクタとしては、例えば、ベッセル型リアクタやチューブ型リアクタ等が挙げられる。また、複数のリアクタを組み合わせて用いてもかまわない。また、重合時、リアクタ内を均一に保つために、何らかの方法でリアクタ内を攪拌してもかまわない。攪拌方法としては、公知の方法が利用できる。攪拌時、リアクタ内を均一に保つために、バッフル等を取り付けてもかまわない。また、重合の際、リアクタ温度を所望の温度に保つために、リアクタを加熱、冷却できるようにしてもかまわない。加熱の方法としては、ジャケット、内部コイル、外部の熱交換器等を用い、目的に応じて電気、スチーム、熱媒で加熱することができる。また、冷却する場合も同様に、ジャケット、内部コイル、外部熱交換器、還流装置等を用いることができる。冷却の際には、水、冷媒、溶媒の顕熱、潜熱等を用いて冷却することができる。また冷却は、これらのいくつかの方法を組み合わせて行なってもかまわない。
【0065】
重合反応が所定の重合率に到達した後、公知の重合停止剤を重合反応系に添加して反応を停止させ、次いで通常の方法で生成した重合体を重合反応系から分離することができる。重合停止剤としては、例えば、水、アルコール、フェノール、カルボン酸等の活性水素を有する化合物、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、エステル、カルバメート等のカルボニル基を有する化合物、1級、2級のアミノ基を有する化合物、エポキシ基、グリシジル基を有する化合物、シアノ基を有する化合物が挙げられる。
【0066】
重合反応においては、重合停止時に適切な化合物を使用することによって、ポリマー中に官能基を導入することができる。官能基を導入することが可能な化合物(官能基導入剤)としては、例えば、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、酸無水物、エステル等のカルボニル基を有する化合物、1級、2級のイミド基を有する化合物、エポキシ基、グリシジル基を有する化合物、アミノ基含有アルコキシシラン化合物、イミノ基含有アルコキシシラン化合物、メルカプト基含有アルコキシシラン化合物が挙げられる。
【0067】
ケトン化合物としては、例えば、2−プロパノン、2−ブタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、3−ペンタノン、2,4−ペンタンジオン、3−ヘキサノン、2,5−ヘキサンジオン、シクロプロパノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0068】
アルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、エタナール、プロパナール、ブタナール、ペンタナール、ベンズアルデヒド、アクリルアルデヒド等が挙げられる。
【0069】
カルボン酸化合物としては、例えば、酢酸、ステアリン酸、アジピン酸、マレイン酸、安息香酸、アクリル酸、メタアクリル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、メリット酸、ポリメタアクリル酸エステル化合物又はポリアクリル酸化合物が挙げられる。
【0070】
酸無水物としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水イソ酪酸、無水イソ吉草酸、無水ヘプタン酸、無水安息香酸、無水ケイ皮酸、無水コハク酸、無水メチルコハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水シトラコン酸、無水フタル酸、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
【0071】
エステル化合物としては、例えば、酢酸エチル、ステアリン酸エチル、アジピン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、安息香酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸エチル、フタル酸ジエチル、テレフタル酸ジメチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラオクチル、メリット酸ヘキサエチル、酢酸フェニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリイソブチルアクリレート、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジヘキシル、炭酸ジフェニル等が挙げられる。
【0072】
グリシジル化合物としては、例えば、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、N,N−ジグリシジル(−4−グリシジルオキシ)アニリン、N,N−ジグリシジル(−2−グリシジルオキシ)アニリン、N,N,N′,N′−テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリスエポキシプロピルイソシアヌレート、N−グリシジル−ジブチルアミン、N−グリシジルピロリジン、N−グリシジルピペリジン、N−グリシジルヘキサメチレンイミン、N−グリシジルモルホリン、N,N′−ジグリシジルピペラジン、N,N′−ジグリシジルホモピペラジン、N−グリシジル−N′−メチルピペラジン、N−グリシジル−N′−ベンジルピペラジン、2−ジグリシジルアミノエチル−N−メチルピロリジンが挙げられる。
【0073】
アミノ基含有アルコキシシラン化合物としては、例えば、3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジエチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリエトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリメトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−ジブチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリエトキシシランN−(2−メトキシカルボニル)メチル−N−メチル−3−アミノメチルトリメトキシシラン、N−(2−メトキシカルボニル)メチル−N−メチル−3−アミノエチルトリメトキシシラン、N−(2−メトキシカルボニル)メチル−N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−エトキシカルボニル)メチル−N−メチル−3−アミノメチルトリエトキシシラン、N−(2−エトキシカルボニル)メチル−N−メチル−3−アミノエチルトリエキシシラン、N−(2−エトキシカルボニル)メチル−N−メチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−エトキシカルボニル)エチル−N−トリメチルシリル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、N−(2−エトキシカルボニル)エチル−N−トリメチルシリル−3−アミノプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
【0074】
イミノ基含有アルコキシシラン化合物としては、例えば、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリメトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリエトキシ)シラン、2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリエトキシ)シラン、2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリメトキシ)シラン、3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリメトキシ)シラン、3−(1−ヘプタメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ドデカメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)エチルシランが挙げられる。また、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、及びこれらのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物、メチルジエトキシシリル化合物、エチルジエトキシシリル化合物、メチルジメトキシシリル化合物、エチルジメトキシシリル化合物等が挙げられる。さらに、1−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、1−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、3−〔10−(トリエトキシシリル)デシル〕−4−オキサゾリン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−イソプロポキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール等が挙げられる。
【0075】
メルカプト基含有アルコキシシラン化合物としては、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−メルカプトプロピル(モノエトキシ)ジメチルシラン、メルカプトフェニルトリメトキシシラン、メルカプトフェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0076】
これらの官能基導入剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0077】
[第2の実施態様]
第2の実施態様(本実施形態2)における重合触媒組成物は、
下記(a)、(c)及び(d)成分を含む共役ジエン系モノマーの重合触媒組成物である。
(a)下記式(1)又は(2)
【化18】
【化19】
(式中、Lnはランタノイド元素、Sc、Yからなる群から選択されるいずれか1種を示し、R〜Rは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルキルシリル基、アルキルオキシ基、ジアルキルアミド基からなる群から選択されるいずれか1種を示す。)
で表される構造を含むランタノイド−アルミニウム架橋型錯体、
(c)ハロゲン化金属化合物、ハロゲン化シリル化合物からなる群から選択される1種以上の化合物、
(d)下記式(3)又は式(4)
【化20】
【化21】
(式中、R13〜R19は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。x、yは1〜10000の整数を示す。)
で表されるアルミニウムオキシ化合物、及び/又は、ボラン系化合物、ボレート系化合物からなる群から選択される1種以上の化合物。
【0078】
ここで、本実施形態2における重合触媒組成物に含まれる各成分や、その調製方法は、上述した本実施形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0079】
本実施形態1及び2における重合触媒組成物を用いて共役ジエンモノマーを重合することにより、シス1,4結合含量の高いポリジエン化合物を製造すること可能となる。ここで、シス1,4結合含量は、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上である。
【0080】
また、シス1,4結合以外のトランス1,4結合含量と1,2ビニル結合含量はモル比で、18:1〜1:1の範囲にあることが好ましい。上記よりも1,2ビニル結合含量が少ない場合は、Tgが高くなり、低温特性が低下する場合がある。また、上記よりも1,2ビニル結合含量が多い場合は、タイヤ用途などで発熱量が多くなり、性能低下を招く場合がある。
ここで、シス1,4結合含量、トランス1,4結合含量、及び1,2ビニル結合含量は、IR又は1H−NMR,13C−NMRにより測定することができる。
【0081】
ポリジエン化合物の分子量は、架橋時の物性発現と加工性のバランスが良くなる傾向にあるため、重量平均分子量(Mw)で250000〜2500000の範囲であることが好ましい。さらに、強度と物性のバランスや、耐摩耗性の向上には分子量分布の影響が関与するため、数平均分子量(Mn)/重量平均分子量(Mw)を調整することが好ましい。ポリジエン化合物のMn/Mwは、好ましくは1.1〜5.0であり、Mn/Mwが上記範囲であると、ポリマーが、良好な強度と物性のバランスを備え、さらに良好な耐摩耗性を有する傾向にある。
【0082】
また、ポリジエン化合物が変性されている場合、ポリマー末端への官能基化率が40〜100%であることが好ましい。
ここで、ポリマー末端への官能基化率は、例えば以下の方法で算出可能である。
シリカ又はイオン交換樹脂を用いて変性ポリマーと非変性ポリマーとを分離して、変性ポリジエン化合物の官能基化率(以下、「質量分率」ともいう。)を算出することができる。以下、具体的に説明する。
方法1) シリカ又はイオン交換樹脂をガラスカラム等に充填しておき、一定質量の変性ポリジエン化合物を含むポリマーが溶解したポリマー溶液を、ガラスカラムで処理する。その後、ポリマー溶液を減圧下乾固させた後、ポリマーの質量を測定する。このときシリカ又はイオン交換樹脂に吸着されたポリマーを変性ポリマーとして、以下の方法で変性ポリジエン化合物の質量分率(C)を算出することができる。
C=[(A−B)/A]×100
A:溶媒に溶解させたポリマーの質量
B:カラム処理後のポリマーの質量
C:変性ポリマーの質量%
この方法の場合、変性ポリジエン化合物を含むポリマーのシリカまたはイオン交換樹脂での処理の際、ポリマー溶液中にシリカ又はイオン交換樹脂を加え、一定時間攪拌後、濾過により分離してもかまわない。また、必要に応じて、シリカ又はイオン交換樹脂を溶媒等で再洗浄することも可能である。
方法2) 一定質量の変性ポリジエン化合物を含むポリマーが溶解したポリマー溶液に所定量のシリカ又はイオン交換樹脂を加え、所定時間攪拌後、シリカ又はイオン交換樹脂を濾別し、溶媒でシリカ、イオン交換樹脂を洗浄する。その後、洗浄液とポリマー溶液を混合し、減圧乾固させた後、ポリマーの質量を測定する。このときシリカ又はイオン交換樹脂に吸着されたポリマーを変性ポリジエン化合物として、上記と同様の方法で変性ポリジエン化合物の質量分率を算出することができる。
【0083】
方法3) シリカ又はイオン交換樹脂をガラスカラム等に充填しておき、一定質量の変性ポリジエン化合物を含むポリマーとリファレンスとなるポリマー(例えばポリスチレン)を溶媒に溶解させたポリマー溶液を、該カラムで処理後、ポリマー溶液を減圧下乾固させた後、処理前後でNMRを測定する。このときシリカ又はイオン交換樹脂に吸着されたポリマーを変性ポリジエン化合物として、上記と同様の方法で変性ポリジエン化合物の質量分率を算出することができる。
【実施例】
【0084】
以下に、実施例を挙げて本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0085】
実施例において使用した溶媒、モノマー、窒素、器具類はすべて事前に以下に示す精製等の処理を行った後、使用した。
窒素:市販の脱水カラム(ゼオライト)、脱酸素カラム(還元金属)に通したものを使用した。
溶媒:触媒調製用はベンゾフェノンケチル下で還流後、蒸留した。重合用は、下記に記載しているもの以外は、あらかじめ活性化させたアルミナカラムに通し、水分量1ppm未満になったことを確認した後、使用した。
モノマー:重合用溶媒と同様の方法で精製した後、使用した。
器具類:使用前に、100℃の乾燥機で24h乾燥後、使用した。
【0086】
実施例においては、各物性等は以下の方法により測定した。
(1)重合転化率:所定量のn−プロピルベンゼンとトルエンを混合した耐圧ボトル中にリアクターからポリマー溶液を採取し、採取したポリマー溶液の重量を測定後、ガスクロマトグラフィーにてn−プロピルベンゼンを標準物質として使用し、ブタジエンとのピーク比から求めた。
【0087】
(2)分子量:リアクターからポリマー溶液を採取し、ポリマー溶液を分液ロートにて1N塩酸水溶液で3回洗浄後、メタノール中再沈殿させた。安定剤を加え50℃で3時間乾燥後、α−メチルスチレンダイマーを内標として加えたテトラヒドロフラン溶液を用い、GPCにてポリスチレン換算分子量として求めた。
【0088】
(3)ミクロ構造:分子量サンプルと同様の方法でポリマー溶液を精製し、乾燥後得られたポリマーを重クロロホルムに溶解し、1H−NMRと13C−NMRを測定した。1,4−結合と1,2−結合の比は、1H−NMRの、4.94〜5.03ppm(1,2結合)、5.30〜5.50ppm(1,4結合)の面積比で求めた。1,4結合中のシス結合とトランス結合の比は13C−NMR中の、25.5ppm(シス結合)、32.8ppm(トランス結合)の面積比で求めた。
【0089】
[ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体の合成]
ランタノイド−アルミニウム架橋型錯体の合成は、Organometallics 1995,14,1107-1109記載の方法に準じて行った。原料等は以下のものを用いた。以下、本実施例におけるランタノイド−アルミニウム架橋型錯体の化学式は上記文献記載の方法に従い、Ln[(μ‐R2)AlR2]3と記載する。
窒素:市販(日化精工社製)の脱水カラム(ゼオライト)、脱酸素カラム(還元金属)に通したものを使用した。
溶媒:テトラヒドロフラン、n−へキサン
使用する溶媒は、あらかじめベンゾフェノンケチル存在下で、24時間以上還流し、カールフィッシャー水分計にて水分量が1ppm未満になったことを確認し、使用した。
ランタノイド金属塩:
三塩化ネオジウム:市販の無水塩化物(アルドリッチ社製)を使用した。
三塩化ガドリニウム:市販の無水塩化物(アルドリッチ社製)を使用した。
三塩化イットリウム:市販の無水塩化物(アルドリッチ社製)を使用した。
ジメチルアミドリチウム:市販のジメチルアミドリチウム(アルドリッチ社製、5%へキサン分散液)を、窒素下にろ過、乾燥後、所定量を秤量し、使用した。
トリメチルアルミニウム:市販のトリメチルアルミニウム(関東化学社製、1Mへキサン溶液)を使用した。
【0090】
(合成例1)
Nd(thf)3Cl3の合成
合成は窒素ボックス内で行なった。アルドリッチ社製:無水三塩化ネオジウム4gを200mLシュレンク管に入れ、テトラヒドロフラン25mLを加え、室温にて一晩攪拌し、目的物Nd(thf)3Cl37.45gのテトラヒドロフラン分散液を得た。
【0091】
Nd(NMe23・LiCl3の合成
合成は窒素ボックス内で行なった。ジメチルアミドリチウム2.6gをテトラヒドロフラン50mLに溶解させた。このジメチルアミドリチウムのテトラヒドロフラン溶液を、上記のNd(thf)3Cl3テトラヒドロフラン分散液中に窒素ボックス内で反応液が室温以上に上がらないように注意しながら2時間かけて、ゆっくりと滴下した。反応後、室温で一晩攪拌し、その後、溶媒のテトラヒドロフランを減圧下留去し、目的物6gを得た。
【0092】
Nd[(μ‐Me2)AlMe23の合成
合成は窒素ボックス内で行なった。Nd(NMe23・LiCl3にn−へキサン23mLを加え分散液とした。トリメチルアルミニウムの1Mへキサン溶液125mLを反応液が室温以上に上がらないように注意しながら2時間かけて、ゆっくりと滴下した。反応後、室温で一晩攪拌し、その後、溶媒のn−へキサンと未反応のトリメチルアルミニウム、その他副生物を減圧下、乾固するまで留去した。
反応物にn−へキサン15〜30mLを加え、分散させた。この分散液をガラスフィルターでろ過し、不溶分を濾別した。ろ過後の液を減圧下、n−へキサンを除いて乾固させて、粗成生物7.5gを得た。この粗生成物にn−へキサンを2〜5mL加え、−50〜60℃で洗浄後、n−へキサンを除去した。この操作を4回繰り返し、5回目に、−50〜60℃で再結晶を行い、n−へキサンを除去後、減圧下で乾燥して、針状晶3.8gを得た。
1H−NMRから文献記載と同じ10.56ppmのメチル基の位置を確認し、目的物が97%の純度で合成できていることを確認した。
【0093】
(合成例2)
Gd(thf)3Cl3の合成
合成は窒素ボックス内で行なった。アルドリッチ社製:無水三塩化ガドリニウム4gを200mLシュレンク管に入れ、テトラヒドロフラン25mLを加え、室温にて一晩攪拌し、目的物Gd(thf)3Cl37.45gのテトラヒドロフラン分散液を得た。
【0094】
Gd(NMe23・LiCl3の合成
合成は窒素ボックス内で行なった。ジメチルアミドリチウム2.6gをテトラヒドロフラン50mLに溶解させた。このジメチルアミドリチウムのテトラヒドロフラン溶液を、上記のGd(thf)3Cl3テトラヒドロフラン分散液中に窒素ボックス内で反応液が室温以上に上がらないように注意しながら2時間かけて、ゆっくりと滴下した。反応後、室温で一晩攪拌し、その後、溶媒のテトラヒドロフランを減圧下留去し、目的物6gを得た。
【0095】
Gd[(μ‐Me2)AlMe23の合成
合成は窒素ボックス内で行なった。Gd(NMe23・LiCl3にn−へキサン23mLを加え分散液とした。トリメチルアルミニウムの1Mへキサン溶液125mLを反応液が室温以上に上がらないように注意しながら2時間かけて、ゆっくりと滴下した。反応後、室温で一晩攪拌し、その後、溶媒のn−へキサンと未反応のトリメチルアルミニウム、その他副生物を減圧下、乾固するまで留去した。
反応物にn−へキサン15〜30mLを加え、分散させた。この分散液をガラスフィルターでろ過し、不溶分を濾別した。ろ過後の液を減圧下、n−へキサンを除いて乾固させて、粗成生物7.5gを得た。この粗生成物にn−へキサンを2〜5mL加え、−50〜60℃で洗浄後、n−へキサンを除去した。この操作を4回繰り返し、5回目に、−50〜60℃で再結晶を行い、n−へキサンを除去後、減圧下で乾燥して、目的物3.8gを得た。
【0096】
(合成例3)
Y(thf)3Cl3の合成
合成は窒素ボックス内で行なった。アルドリッチ社製:無水三塩化イットリウム4gを200mLシュレンク管に入れ、テトラヒドロフラン25mLを加え、室温にて一晩攪拌し、目的物Nd(thf)3Cl37.45gのテトラヒドロフラン分散液を得た。
【0097】
Y(NMe23・LiCl3の合成
合成は窒素ボックス内で行なった。ジメチルアミドリチウム2.6gをテトラヒドロフラン50mLに溶解させた。このジメチルアミドリチウムのテトラヒドロフラン溶液を、上記のNd(thf)3Cl3テトラヒドロフラン分散液中に窒素ボックス内で反応液が室温以上に上がらないように注意しながら2時間かけて、ゆっくりと滴下した。反応後、室温で一晩攪拌し、その後、溶媒のテトラヒドロフランを減圧下留去し、目的物6gを得た。
【0098】
Y[(μ‐Me2)AlMe23の合成
合成は窒素ボックス内で行なった。Y(NMe23・LiCl3にn−へキサン23mLを加え分散液とした。トリメチルアルミニウムの1Mへキサン溶液125mLを反応液が室温以上に上がらないように注意しながら2時間かけて、ゆっくりと滴下した。反応後、室温で一晩攪拌し、その後、溶媒のn−へキサンと未反応のトリメチルアルミニウム、その他副生物を減圧下乾固するまで留去した。
反応物にn−へキサン15〜30mLを加え、分散させた。この分散液をガラスフィルターでろ過し、不溶分を濾別した。ろ過後の液を減圧下、n−へキサンを除いて乾固させて、粗成生物7.5gを得た。この粗生成物にn−へキサンを2〜5mL加え、−50〜60℃で洗浄後、n−へキサンを除去した。この操作を4回繰り返し、5回目に、−50〜60℃で再結晶を行い、n−へキサンを除去後、減圧下で乾燥して、目的物3.8gを得た。
【0099】
(比較合成例1)
Nd(Vers)3の合成
Nd(Vers)3の合成は水系で行うため、原料のシクロヘキサンは特に精製等は行わずに用いた。バーサチック酸(C919COOH、Mw=172.3)2.9gを1000mLビーカー内でシクロヘキサン(和光純薬特級)300mLに溶解させた。水酸化ナトリウム0.6gを水200mLに溶解させ、上記バーサチック酸のシクロヘキサン溶液に加え、2時間攪拌した。白色固体が析出し、水層に溶解し、水層が白色に変化した。続いてNdCl3・6H2O2gを水50mLに溶解させ、上記ビーカーに加え、2時間攪拌した。
水層が透明になり、有機層が紫色に変化したところで、内溶液を1000mL分液ロートに移した。水層を分離後、さらに水100mLで2回洗浄し、内溶液にシクロヘキサン300mLを加え、1000mLナスフラスコに移した。ナスフラスコにディーンスタークトラップとジムロートを取り付け、オイルバス中で攪拌しながら、還流を開始した。ディーンスタークトラップに析出した水を除きながら、バス内が透明になり、水分量が100ppmを切るまで還流を行なった。フラスコ内の溶液を100mLまで濃縮し、耐圧ボトル若しくはシュレンク管に移した後、系内を脱気し窒素置換した。Cu−PAN法でNdの滴定を行い、濃度を0.17mol/Lに決定した。
【0100】
(比較合成例2)
窒素雰囲気下、ペンタメチルシクロペンタジエン(アルドリッチ社製)(0.8g、6.2mmol)の脱水n−へキサン溶液20mLに15%n−ブチルリチウムのn−へキサン溶液(2.8mL、6.2mmol)をゆっくりと滴下した。得られた沈殿物をろ過し、白色沈殿物0.88gを得た。この白色沈殿物を脱水テトラヒドロフランに溶解し、無水塩化ガドリニウム(アルドリッチ社製)(0.79g、3mmol)の脱水テトラヒドロフラン溶液中にゆっくりと滴下した。反応液からテトラヒドロフランを留去し、脱水トルエン40mLを加え、[(C5Me52GdCl2Li(thf)2](1.95g,3mmol)のトルエン溶液を得た。得られた[(C5Me52GdCl2Li(thf)2]のトルエン溶液40mLに、K[N(SiMe32](0.60g,3mmol)(アルドリッチ社製)のトルエン溶液15mLをゆっくりと滴下し、得られた溶液を室温で16時間撹拌した。
撹拌後、溶液からトルエンを減圧留去して、得られた残渣にヘキサン60mLを加え、3時間撹拌した。フィルターでろ過して、沈殿物を除去した。得られたろ液からヘキサンを減圧留去し、[(C5Me52GdN(SiMe32](1.10g,収率62%)を黄色固体として得た。
【0101】
(比較合成例3)
[(C5Me52GdCl2Li(thf)2]の代わりに[(C5Me4H)2GdCl2Li(thf)2]を用いたこと以外は、比較合成例2と同様にして、[(C5Me4H)2GdN(SiMe32]を黄緑色固体として得た(収率65%)。
【0102】
(比較合成例4)
窒素雰囲気下、GdCl3(0.84g,3.17mmol)のテトラヒドロフラン溶液10mLに、Na(C55)(3.17mmol)のテトラヒドロフラン溶液1.59mLをゆっくりと滴下し、得られた溶液を室温で1時間撹拌した。撹拌後の溶液に、KN(SiMe32(1.26g,6.34mmol)のテトラヒドロフラン溶液15mLを加え、室温で14時間撹拌した。
溶液からテトラヒドロフランを減圧留去して得られた残渣に、ヘキサン60mLを加えた。得られた溶液をフィルターでろ過して、沈殿物を除去した。ろ液からヘキサンを減圧留去して、[(C55)Gd[N(SiMe322](thf)(1.14g,収率52%)を白色固体として得た。
【0103】
(比較合成例5)
原料としてGdCl3の代わりにNdCl3を用いたこと以外は、比較合成例5と同様にして、[(C55)Nd[N(SiMe322](thf)を青色固体として(収率45%)得た。
【0104】
(比較合成例6)
((i−PrC542GdN(SiMe32の合成)
窒素:市販の脱水カラム(ゼオライト)、脱酸素カラム(還元金属)に通したものを使用した。
溶媒:テトラヒドロフラン、n−へキサン、トルエン
使用する溶媒は、あらかじめベンゾフェノンケチル存在下で、24時間以上還流し、カールフィッシャー水分計にて水分量が1ppm未満になったことを確認し、使用した。
合成例2のGd(thf)3Cl3の合成と同様の方法でGd(thf)3Cl31.91gのテトラヒドロフラン分散液を得た。この分散液を窒素ボックス中で攪拌しながら、i−PrC54Na(アルドリッチ社製)1.1gのテトラヒドロフラン溶液40mLを、室温以上の温度にならないようにゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応液を室温で16時間以上攪拌した。次いで、テトラヒドロフランを減圧下留去し、脱水トルエン30mLを加えた。ここへK[N(SiMe32](アルドリッチ社製)0.72gのトルエン溶液20mLを室温以上の温度にならないようにゆっくりと滴下した。滴下後室温で16時間攪拌した。その後、トルエンを減圧留去し、代わりにヘキサン100mLを加え、沈殿物をフィルターでろ過し、ヘキサンを減圧留去したところ、黄色液体である(i−PrC542GdN(SiMe3)21.6gを得た。
【0105】
[重合触媒組成物の調製]
触媒組成物の調製操作は全て窒素ボックス内で行なった。溶媒及び器具類は以下のものを用いた。
溶媒:シクロヘキサン、n−ヘキサン、トルエンは、市販の脱水溶媒(関東化学社製:脱水シクロヘキサン、n−ヘキサン、和光純薬社製:超脱水トルエン)を、あらかじめ活性化したアルミナカラムに通し、水分量を1ppm未満にしたものを使用した。
器具類:使用した器具類(サンプル瓶、注射器、注射針、ステンレス製打ち込み管)はあらかじめ乾燥機にて100℃で24時間乾燥させたものを使用した。
【0106】
アルミニウムオキシ化合物、アルキルアルミニウム化合物、及びボラン系化合物、ボレート系化合物は以下のものを使用した。
[アルミニウムオキシ化合物]
東ソーファインケム社製:TMAO−210
化学式
【0107】
【化22】
【0108】
東ソーファインケム社製:MMAO−3A
化学式
【0109】
【化23】
【0110】
東ソーファインケム社製:PBAO
化学式
【0111】
【化24】
【0112】
[アルキルアルミニウム化合物]
関東化学社製、ジイソブチルアルミニウムハイドライド
【0113】
[ボラン系化合物]
アルドリッチ社製、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン
化学式
B[(C653
【0114】
[ボレート系化合物]
東ソーファインケム社製、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
化学式
(C653C[B(C654
東ソーファインケム社製、N,N−ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
化学式
(CH32N(C65)[B(C654
【0115】
ハロゲン化金属化合物は以下のものを使用した。
東ソーファインケム社製、ジエチルアルミニウムクロライド
化学式 (C252AlCl
東ソーファインケム社製、ジメチルアルミニウムクロライド
化学式 (CH32AlCl
東ソーファインケム社製、エチルアルミニウムセスキクロライド
化学式 (C253Al2Cl3
【0116】
(実施例1〜15)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe2]3所定量(表1参照)をサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。メチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製、TMAO−210、2.4M、トルエン溶液)所定量(表1参照)を加え、15分攪拌した。その後、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(関東化学、1.0M、ヘキサン溶液)9mLを加え、5分間攪拌した。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製、1M、ヘキサン溶液)所定量(表1参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物1を得た。
【0117】
(実施例16)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe2]3所定量(表2参照)をサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。メチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製、MMAO−3A、2.4M、トルエン溶液)所定量(表2参照)を加え、15分攪拌した。その後、アルキルアルミニウムとしてトリイソブチルアルミニウム(関東化学、1.0M、ヘキサン溶液)所定量(表2、アルキルアルミニウムの項参照)を加え、15分間攪拌した。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製、1M、ヘキサン溶液)所定量(表2参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物2を得た。
【0118】
(実施例17)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe2]3所定量(表2参照)をサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。メチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製、MMAO−3A、2.4M、トルエン溶液)所定量(表2参照)を加え、15分攪拌した。その後、アルキルアルミニウムとしてトリエチルアルミニウム(関東化学、1.0M、ヘキサン溶液)所定量(表2、アルキルアルミニウムの項参照)を加え、20分間攪拌した。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製、1M、ヘキサン溶液)所定量(表2参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物3を得た。
【0119】
(実施例18)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe2]3所定量(表2参照)をサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。メチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製、MMAO−3A、2.4M、トルエン溶液)所定量(表2参照)を加え、15分攪拌した。その後、アルキルアルミニウムとしてトリヘキシルアルミニウム(東ソーファインケム社製、TNHAL、1.0M、シクロヘキサン溶液)所定量(表2、アルキルアルミニウムの項参照)を加え、15分間攪拌した。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製、1M、ヘキサン溶液)所定量(表2参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物4を得た。
【0120】
(実施例19〜21)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe2]3所定量(表3参照)をサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。メチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製、MMAO−3A、2.4M、トルエン溶液)所定量(表3参照)を加え、15分攪拌した。その後、ジイソブチルアルミニウムアルミニウムハイドライド(東ソーファインケム社製、TNHAL、1.0M、シクロヘキサン溶液)所定量(表3参照)を加え、15分間攪拌した。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製、1M、ヘキサン溶液)所定量(表3参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物5を得た。
【0121】
(実施例22〜23)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe2]3所定量(表4参照)をサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。メチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製、PBAO、2.4M、シクロヘキサン溶液)所定量(表4参照)を加え、15分攪拌した。その後、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(関東化学、1.0M、ヘキサン溶液)所定量(表4参照)を加え、5分間攪拌した。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製、1M、ヘキサン溶液)所定量(表4参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物6を得た。
【0122】
(実施例24)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe23所定量(表5参照)40mgをサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(化学式)B[(C653](アルドリッチ社製)を所定量(表5参照)加え、15分攪拌した。その後、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(関東化学、1.0M、ヘキサン溶液)所定量(表5参照)を加え、5分間攪拌した。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製、1M、ヘキサン溶液)所定量(表5参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物7を得た。
【0123】
(実施例25)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe2]3所定量(表5参照)をサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化学式)(C653C[B(C654](東ソーファインケム社製)を所定量(表5参照)加え、15分攪拌した。その後、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(関東化学、1.0M、ヘキサン溶液)所定量(表5参照)を加え、5分間攪拌した。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製)所定量(表5参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物8を得た。
【0124】
(実施例26)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe2]3所定量(表5参照)をサンプル瓶中でトルエン20mLに溶解させた。トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化学式)(C653C[B(C654](東ソーファインケム社製)を所定量(表5参照)加え、15分攪拌した。その後、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(関東化学、1.0M、ヘキサン溶液)所定量(表5参照)を加え、5分間攪拌した。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製)所定量(表5参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物9を得た。
【0125】
(実施例27)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe23所定量(表5参照)をサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。N,N−ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化学式)(CH32N(C65)[B(C654](東ソーファインケム社製)を所定量(表5参照)加え、15分攪拌した。その後、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(関東化学、1.0M、ヘキサン溶液)所定量(表5参照)を加え、5分間攪拌した。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製、M、ヘキサン溶液)所定量(表5参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物10を得た。
【0126】
(実施例28)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe2]3所定量(表6参照)をサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。メチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製、TMAO−210、2.4M、シクロヘキサン溶液)所定量(表6参照)を加え、15分攪拌した。その後、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(関東化学、1.0M、ヘキサン溶液)所定量(表6参照)を加え、5分間攪拌した。その後、ジメチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製、1M、ヘキサン溶液)所定量(表6参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物11を得た。
【0127】
(実施例29)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe2]3所定量(表6参照)をサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。メチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製、TMAO−210、2.4M、シクロヘキサン溶液)所定量(表6参照)を加え、15分攪拌した。その後、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(関東化学、1.0M、ヘキサン溶液)所定量(表6参照)を加え、5分間攪拌した。その後、エチルアルミニウムセスキクロライド(東ソーファインケム社製、1M、ヘキサン溶液)所定量(表6参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物12を得た。
【0128】
(実施例30)
Nd[(μ‐Me2)AlMe23の代わりに合成例2で得られたGd[(μ‐Me2)AlMe23所定量(表7参照)用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により触媒組成物13を得た。
【0129】
(実施例31)
Nd[(μ‐Me2)AlMe23の代わりに合成例3で得られたY[(μ‐Me2)AlMe23所定量(表7参照)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により触媒組成物14を得た。
【0130】
(実施例32〜40)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe2]3所定量(表8参照)をサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。メチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製、TMAO−210、2.4M、トルエン溶液)所定量(表8参照)を加え、15分攪拌した。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製、1M、ヘキサン溶液)所定量(表8参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物15を得た。
【0131】
(実施例41〜43)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe2]3所定量(表9参照)をサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。メチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製、MMAO−3A、2.4M、シクロヘキサン溶液)所定量(表9参照)を加え、15分攪拌した。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製、1M、ヘキサン溶液)所定量(表9参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物16を得た。
【0132】
(実施例44〜45)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe2]3所定量(表10参照)をサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。メチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製、PBAO、2.4M、シクロヘキサン溶液)所定量(表10参照)を加え、15分攪拌した。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製、1M、ヘキサン溶液)所定量(表10参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物17を得た。
【0133】
(実施例46)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe23所定量(表11参照)40mgをサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(化学式)B[(C653](アルドリッチ社製)を所定量(表11参照)加え、15分攪拌した。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製、1M、ヘキサン溶液)所定量(表11参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物18を得た。
【0134】
(実施例47)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe2]3所定量(表11参照)40mgをサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化学式)(C653C[B(C654](東ソーファインケム社製)を所定量(表11参照)加え、15分攪拌した。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製)所定量(表11参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物19を得た。
【0135】
(実施例48)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe2]3所定量(表11参照)をサンプル瓶中でトルエン20mLに溶解させた。トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化学式)(C653C[B(C654](東ソーファインケム社製)を所定量(表11参照)加え、15分攪拌した。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製)所定量(表11参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物20を得た。
【0136】
(実施例49)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe23所定量(表11参照)をサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。N,N−ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化学式)(CH32N(C65)[B(C654](東ソーファインケム社製)を所定量(表11参照)加え、15分攪拌した。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製、M、ヘキサン溶液)所定量(表11参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物21を得た。
【0137】
(実施例50)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe2]3所定量(表12参照)をサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。メチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製、TMAO−210、2.4M、シクロヘキサン溶液)所定量(表12参照)を加え、15分攪拌した。その後、ジメチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製、1M、ヘキサン溶液)所定量(表12参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物22を得た。
【0138】
(実施例51)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe2]3所定量(表12参照)をサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。メチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製、TMAO−210、2.4M、シクロヘキサン溶液)所定量(表12参照)を加え、15分攪拌した。その後、エチルアルミニウムセスキクロライド(東ソーファインケム社製、1M、ヘキサン溶液)所定量(表12参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、触媒組成物23を得た。
【0139】
(実施例52)
Nd[(μ‐Me2)AlMe23の代わりに合成例2で得られたGd[(μ‐Me2)AlMe23所定量(表13参照)用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により触媒組成物23を得た。
【0140】
(実施例53)
Nd[(μ‐Me2)AlMe23の代わりに合成例3で得られたY[(μ‐Me2)AlMe23所定量(表13参照)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により触媒組成物24を得た。
【0141】
(比較例1)
あらかじめ窒素置換した耐圧ボトル中に、シクロヘキサン10mL、ブタジエン1mLを入れ、比較合成例1で得られたNd(Vers)3のシクロヘキサン溶液を所定量(表14参照)加え、混合した。ここに、ジイソブチルアルミニウムハイドライドを所定量(表14参照)加え、5分間攪拌して反応させた。さらに、ジエチルアルミニウムクロライドを所定量(表14参照)加え、20分間反応させて比較触媒組成物1を得た。
【0142】
(比較例2)
合成例1で得られたNd[(μ‐Me2)AlMe2]3所定量(表14参照)をサンプル瓶中でシクロヘキサン20mLに溶解させた。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(東ソーファインケム社製、1M、ヘキサン溶液)所定量(表14参照)を加え、15分攪拌後、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、比較触媒組成物2を得た。
【0143】
(比較例3〜5)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、耐圧サンプル管に、比較合成例6で得られた[(i−PrC542GdN(SiMe32]所定量(表15参照)、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化学式)(C653C[B(C654](東ソーファインケム社製)所定量(表15参照)ジイソブチルアルミニウムハイドライド所定量(表15参照)を仕込み、トルエン10mLで溶解させステンレス製打ち込み管に移すことにより、比較触媒組成物3を得た。
【0144】
(比較例6)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、耐圧サンプル管に、比較合成例6で得られた[(i−PrC542GdN(SiMe32]所定量(表16参照)、MMAO−3A(東ソー・ファインケム社製、トルエン溶媒)所定量(表16参照)を仕込み、トルエン5mLで溶解させステンレス製打ち込み管に移すことにより、比較触媒組成物4を得た。
【0145】
(比較例7)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、サンプル瓶中で、比較合成例2で得られた[(C5Me52GdN(SiMe32]を所定量(表17参照)仕込み、トルエン6mLで溶解させた。次いで、MMAO−3A(東ソー・ファインケム社製、トルエン溶媒)を、所定量(表17参照)添加し、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、比較触媒組成物5を得た。
【0146】
(比較例8)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、サンプル瓶中で、比較合成例2で得られた[(C5Me52GdN(SiMe32]を所定量(表17参照)仕込み、トルエン6mLで溶解させた。
次いで、トリイソブチルアルミニウム所定量(表17参照)、N,N−ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化学式)(CH32N(C65)[B(C654](東ソーファインケム社製)を所定量(表17参照)添加し、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、比較触媒組成物6を得た。
【0147】
(比較例9〜10)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、サンプル瓶中で、比較合成例3で得られた[(C5Me4H)2GdN(SiMe32]を所定量(表18参照)仕込み、トルエン6mLで溶解させた。次いで、MMAO−3A(東ソー・ファインケム社製、トルエン溶媒)を、所定量(表18参照)添加し、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、比較触媒組成物7を得た。
【0148】
(比較例11)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、サンプル瓶中で、比較合成例3で得られた[(C5Me4H)2GdN(SiMe32]を所定量(表19参照)仕込み、トルエン6mLで溶解させた。次いで、N,N−ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化学式)(CH32N(C65)[B(C654](東ソーファインケム社製)を所定量(表19参照)添加し、さらにトリイソブチルアルミニウム(東ソーファインケム社製)を所定量(表19参照)添加し、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、比較触媒組成物8を得た。
【0149】
(比較例12〜13)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、サンプル瓶中で、比較合成例4で得られた[(C55)Gd[N(SiMe322]を所定量(表20参照)仕込み、トルエン6mLで溶解させた。次いで、N,N−ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(化学式)(CH32N(C65)[B(C654](東ソーファインケム社製)を所定量(表20参照)添加し、さらにトリイソブチルアルミニウム(東ソーファインケム社製)を所定量(表20参照)添加し、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、比較触媒組成物9を得た。
【0150】
(比較例14)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、サンプル瓶中で、比較合成例5で得られた[(C55)Nd[N(SiMe322]を所定量(表21参照)仕込み、トルエン6mLで溶解させた。次いで、(CH32N(C65)[B(C654](東ソー・ファインケム社製、トルエン溶媒)を、所定量(表21参照)添加し、ステンレス製打ち込み管に移すことにより、比較触媒組成物10を得た。
【0151】
(実施例1〜53)
ステンレス製1.5Lオートクレーブに、全量が750gになるように、重合溶媒(表1〜13参照)と33%ブタジエンシクロヘキサン溶液を入れ、所定のブタジエン濃度に調製した。
モノマー溶液をオイルバス中で攪拌しながら、リアクタ内温を所定の温度に調整した。そこにステンレス打ち込み管を用いて、上記で得られた触媒組成物を窒素にてリアクタ内に圧送した。所定時間重合後、エタノールを加え重合を停止した。ポリマー溶液を抜き出した後、1N塩酸水溶液で3回洗浄し、メタノールにて再沈し、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を0.1%加え真空下50℃で乾燥させた。実験条件及び実験結果を表1〜13に示す。
【0152】
(比較例1〜14)
ステンレス製1.5Lオートクレーブに、全量が750gになるように、重合溶媒(表14〜21参照)と33%ブタジエンシクロヘキサン溶液を入れ、所定のブタジエン濃度に調製した。
モノマー溶液をオイルバス中で攪拌しながら、リアクタ内温を所定の温度に調整した。そこにステンレス打ち込み管を用いて、上記で得られた比較触媒組成物を窒素にてリアクタ内に圧送した。所定時間重合後、エタノールを加え重合を停止した。ポリマー溶液を抜き出した後、1N塩酸水溶液で3回洗浄し、メタノールにて再沈し、BHTを0.1%加え真空下50℃で乾燥させた。実験条件及び実験結果を表14〜21に示す。
【0153】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明の触媒を用いることにより、シスコンテンツ98%以上の高いシスコンテンツを有する共役ポリジエンを効率的に得ることができる。シスコンテンツの高いジエン系重合体は、タイヤ等の用途に好適に用いられる。