(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
二成分現像方式により、感光体に形成された静電潜像をトナーとキャリアーからなる現像剤で現像して可視化されたトナー像を形成する現像部を備えた画像形成装置であって、
前記現像部に前記キャリアーを供給するキャリアー供給部と、前記現像部に前記トナーを供給するトナー供給部を、独立して備え、
前記キャリアー供給部が、前記キャリアーを収容するキャリアー容器と、
前記キャリアー容器内に回転可能に支持され、周面上に前記キャリアーを保持して吸着位置から脱離位置まで搬送する計量スリーブと、
前記計量スリーブに回転不能に内包され、前記計量スリーブの回転に伴い前記キャリアーが搬送されるように磁界を形成する磁石体と、
前記吸着位置と前記脱離位置との間に、前記計量スリーブから所定距離だけ離間して対向配置され、前記計量スリーブ上に保持された前記キャリアーの穂切りを行う層厚規制部材と、
前記脱離位置で脱離して落下する前記キャリアーを前記現像部に案内するキャリアー案内部と、
前記吸着位置から前記脱離位置にわたる前記キャリアーの搬送領域外に、前記計量スリーブから離間して対向配置され、前記キャリアーを保持するように磁界を形成するキャリアー保持部材と、を備え、
前記磁石体が、前記吸着位置から前記脱離位置にわたる前記キャリアーの搬送領域に、前記キャリアーを拘束するための磁界を形成する第1の磁極と、
前記脱離位置に、前記キャリアーを脱離させるための磁界を形成する第2の磁極と、
前記層厚規制部材が配置された層厚規制位置に対応して配置される第3の磁極と、を有し、
所定量の前記キャリアーが前記脱離位置に到達するように、前記計量スリーブの回転量を制御する制御部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の現像装置において、現像部に一定量のキャリアーを供給するためには、計量凹部に投入されたキャリアーが、補給ローラーとキャリアー通路の隙間から漏れ出さないようにする必要がある。しかしながら、補給ローラーとキャリアー通路間のシール性を高めると、補給ローラーがキャリアー通路に対して摺動することとなるため、耐久性の面で問題が生じる。すなわち、特許文献1に記載の現像装置では、補給ローラーの周縁部からの漏れを防ぐシール性と、補給ローラーの耐久性を両立させることが困難である。
【0009】
特許文献2に記載の現像装置では、補給シャッターが開いた状態で開閉機能が不能となった場合に、現像部にキャリアーが流出し続けてしまう。また、特許文献2に記載の現像装置では、補給シャッターの開閉時間によりキャリアーの供給量が制御されるが、容器内のキャリアーの収容量が変化することに伴い、かさ密度が変化し、時間当たりの落下量が変化するため、高い定量性を得ることは困難である。
【0010】
このように、現像部に一定量のキャリアーを精度よく供給できなければ、現像部内におけるトナー量とキャリアー量のバランスが崩れ、トナーの帯電量が不均一になる虞があり、その結果、画像品質が低下しかねない。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、キャリアー供給部の耐久性を向上できるとともに、キャリアー供給部から一定量のキャリアーを精度よく現像部に供給できる現像装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の
一側面を反映した画像形成装置は、二成分現像方式により、感光体に形成された静電潜像をトナーとキャリアーからなる現像剤で現像して可視化されたトナー像を形成する現像部を備えた画像形成装置であって、
前記現像部に前記キャリアーを供給するキャリアー供給部と、前記現像部に前記トナーを供給するトナー供給部を、独立して備え、
前記キャリアー供給部が、前記キャリアーを収容するキャリアー容器と、
前記キャリアー容器内に回転可能に支持され、周面上に前記キャリアーを保持して吸着位置から脱離位置まで搬送する計量スリーブと、
前記計量スリーブに回転不能に内包され、前記計量スリーブの回転に伴い前記キャリアーが搬送されるように磁界を形成する磁石体と、
前記吸着位置と前記脱離位置との間に、前記計量スリーブから所定距離だけ離間して対向配置され、前記計量スリーブ上に保持された前記キャリアーの穂切りを行う層厚規制部材と、
前記脱離位置で脱離して落下する前記キャリアーを前記現像部に案内するキャリアー案内部と、を備え、
所定量の前記キャリアーが前記脱離位置に到達するように、前記計量スリーブの回転量を制御する制御部と、
異なる色成分に対応して複数の前記現像部と、を備え、
前記キャリアー案内部が、
前記現像部のそれぞれに接続される複数のキャリアー流路と、
前記キャリアーの供給先として前記キャリアー流路の何れか一つを選択するゲート選択部と、を有し、
前記ゲート選択部が、
前記計量スリーブから脱離した前記キャリアーを受ける漏斗部材と、
前記キャリアー流路のそれぞれに通じる複数の接続口が同一円周上に形成され、前記漏斗部材を回転可能に支持する漏斗受け部材と、を有し、
前記漏斗部材に形成された前記キャリアーの流下口が前記接続口の何れかに一致するように前記漏斗部材が回転することを特徴とする。
本発明の
一側面を反映した画像形成装置は、二成分現像方式により、感光体に形成された静電潜像をトナーとキャリアーからなる現像剤で現像して可視化されたトナー像を形成する現像部を備えた画像形成装置であって、
前記現像部に前記キャリアーを供給するキャリアー供給部と、前記現像部に前記トナーを供給するトナー供給部を、独立して備え、
前記キャリアー供給部が、前記キャリアーを収容するキャリアー容器と、
前記キャリアー容器内に回転可能に支持され、周面上に前記キャリアーを保持して吸着位置から脱離位置まで搬送する計量スリーブと、
前記計量スリーブに回転不能に内包され、前記計量スリーブの回転に伴い前記キャリアーが搬送されるように磁界を形成する磁石体と、
前記吸着位置と前記脱離位置との間に、前記計量スリーブから所定距離だけ離間して対向配置され、前記計量スリーブ上に保持された前記キャリアーの穂切りを行う層厚規制部材と、
前記脱離位置で脱離して落下する前記キャリアーを前記現像部に案内するキャリアー案内部と、
前記吸着位置から前記脱離位置にわたる前記キャリアーの搬送領域外に、前記計量スリーブから離間して対向配置され、前記キャリアーを保持するように磁界を形成するキャリアー保持部材と、を備え、
前記磁石体が、前記吸着位置から前記脱離位置にわたる前記キャリアーの搬送領域に、前記キャリアーを拘束するための磁界を形成する第1の磁極と、
前記脱離位置に、前記キャリアーを脱離させるための磁界を形成する第2の磁極と、
前記層厚規制部材が配置された層厚規制位置に対応して配置される第3の磁極と、を有し、
所定量の前記キャリアーが前記脱離位置に到達するように、前記計量スリーブの回転量を制御する制御部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、キャリアー供給部の耐久性を向上できるとともに、キャリアー供給部から一定量のキャリアーを精度よく現像部に供給できる現像装置を備えた画像形成装置を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。
図2は、実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示すである。
図1、2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に転写(一次転写)し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置1には、CMYKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0017】
図1、2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、搬送部50、定着部60、及び制御部100を備える。
【0018】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0019】
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピュータ)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙に画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0020】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11及び原稿画像走査装置(スキャナー)12等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0021】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
【0022】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0023】
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、及び中間転写ユニット42等を備える。
【0024】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号を付し、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号を省略している。
【0025】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
【0026】
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
【0027】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413にレーザー光を照射すると、感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送される。そして、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成されることとなる。
【0028】
現像装置412は、各色成分の現像剤(例えば、小粒径のトナーと磁性体とからなる二成分現像剤)を収容しており、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。現像装置412の詳細な構成については後述する。
【0029】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードを有する。一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーは、ドラムクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
【0030】
中間転写ユニット42は、中間転写体となる中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、二次転写ローラー423、駆動ローラー424、従動ローラー425、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0031】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、駆動ローラー424及び従動ローラー425に張架される。中間転写ベルト421は、駆動ローラー424の回転により矢印A方向に一定速度で走行する。一次転写ローラー422によって、中間転写ベルト421が感光体ドラム413に圧接されると、中間転写ベルト421に各色トナー像が順次重ねて一次転写される。そして、中間転写ベルト421が二次転写ローラー423によって用紙Sに圧接されると、中間転写ベルト421に一次転写されたトナー像が用紙Sに二次転写される。
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接されるベルトクリーニングブレードを有する。二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残存する転写残トナーは、ベルトクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
【0032】
定着部60は、搬送されてきた用紙Sをニップ部で加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60には、例えば定着ユニット61とエア分離ユニット62を備えるエア分離式の定着装置が適用される。
【0033】
搬送部50は、給紙部51、搬送機構52、及び排紙部53等を備える。給紙部51を構成する2つの給紙トレイユニット51a〜51cには、用紙の坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙(規格用紙、特殊用紙)Sが予め設定された種類ごとに収容される。
【0034】
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、レジストローラー52a等の複数の搬送ローラーを備えた搬送機構52により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー52aが配置されたレジスト部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。
そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー53aを備えた排紙部53により機外に排紙される。
【0035】
図3は、現像装置412の構成を示す図である。
図3に示すように、現像装置412は、感光体ドラム413にトナー像を形成する現像部81、現像部81にトナーを供給するトナー供給部82、及び現像部81にキャリアーを供給するキャリアー供給部90等を備える。すなわち、現像装置412は、現像部81に、トナーとキャリアーを独立して供給できる構成を有する。
【0036】
トナー供給部82Y、82M、82C、82Kは、現像装置412Y、412M、412C、412Kごとに設けられ、トナー流路83Y、83M、83C、83Kを介して現像部81Y、81M、81C、81Kに接続される。トナー供給部82には、公知の技術を適用することができる。
【0037】
キャリアー供給部90は、現像装置412Y、412M、412C、412Kに共通して一つだけ設けられる。自重によるキャリアーの自由落下運動を利用してキャリアーの供給を行うため、キャリアー供給部90は現像部81のすべてに対して上方に配置される。
【0038】
図4は、現像部81の一例を示す図である。
図4に示すように、現像部81は、現像ローラー811(トナー担持体)、搬送ローラー812(現像剤担持体)、攪拌部材813、814、現像剤規制部材815、及び現像容器816等を備える。すなわち、現像部81は、二成分現像方式と一成分現像方式とを組み合わせた、いわゆるハイブリッド現像方式により感光体ドラム413にトナー像を形成する。
なお、
図4に示す現像部81の構成は一例であり、二成分現像剤を用いて、すなわち二成分現像方式(ハイブリッド現像方式を含む)により、感光体ドラム413にトナー像を形成するものであれば、特に制限はない。
【0039】
現像容器816には、現像剤の搬送方向上流側から下流側(
図4では右側から左側)に向かって、攪拌部材814、攪拌部材813、搬送ローラー812、現像ローラー811が順に配置される。
現像容器816は、現像剤を補給するための現像剤補給口816a(
図4では攪拌部材814の略上方)を有する。トナー流路83を流下してきたトナーと、キャリアー流路933を流下してきたキャリアーが混合され、現像剤補給口816aを介して現像容器816に補給される。
【0040】
また、現像容器816は、現像剤を排出する現像剤排出口816b(
図4では搬送ローラー812の略下方)を有する。現像容器816内の現像剤は、現像剤排出口816bを介して定期的に排出され、現像剤回収容器(図示略)に回収される。
【0041】
攪拌部材813、814は、軸方向に延びる攪拌スクリューで構成され、攪拌室816c、816dの間で現像剤を循環搬送しながら攪拌する。これにより、現像剤に含まれるトナーとキャリアーが摩擦接触し、互いに逆の極性に帯電する。ここでは、キャリアーは正極性、トナーは負極性に帯電されるものとする。
正極性に帯電したキャリアーの周囲に、負極性に帯電したトナーが、主として両者の電気的な吸引力により付着する。そして、現像剤は、攪拌部材813によって搬送される過程で、搬送ローラー812に供給される。
【0042】
搬送ローラー812は、回転不能に固定された磁石体812aと、磁石体812aの周囲に回転可能に配置された円筒状の搬送スリーブ812bを有する、いわゆるマグネットローラーである。
搬送スリーブ812bの略上方には、現像剤規制部材815が、搬送スリーブ812bから所定距離だけ離間して対向は位置される。現像剤規制部材815は、ステンレス鋼材等の磁性体で形成された板状の部材であり、搬送ローラー812と平行に延在する。
磁石体812aは、搬送ローラー812の軸方向に延在する、複数の磁極(図示略)を有する。これらの複数の磁極によって、搬送スリーブ812bで現像剤を搬送するための磁界(磁力線)が形成される。
【0043】
搬送スリーブ812bに供給された現像剤は、磁石体812aによって形成された磁力線に沿って穂立ちし、いわゆる磁気ブラシを形成する。そして、現像剤は、搬送スリーブ812bの回転に伴い反時計周りに搬送され、現像剤規制部材815とのギャップを通過することで一定厚に規制される。
【0044】
現像ローラー811は、アルミニウム等の金属からなる導電性ローラーである。現像ローラー811は、導電性ローラーの外周面にポリエステル樹脂等のコーティングが形成されたものであってもよい。
現像ローラー811と搬送ローラー812との間に電界を形成することにより、搬送スリーブ812bで搬送されている現像剤からトナーだけが脱離して、現像ローラー811に供給される。そして、現像ローラー811は、感光体ドラム413にトナーを供給して、感光体ドラム413上の静電潜像を可視化する。
【0045】
また、現像部81には、現像剤を徐々に入れ替えるトリクル現像方式が採用される。すなわち、現像剤補給口816aから現像剤を定期的に補給するとともに、余剰分の現像剤を現像剤排出口816bから排出するように、現像部81は構成される(トリクル機構)。トリクル機構としては、公知の循環オーバーフロー型や液面オーバーフロー型のものを適用できる。
これにより、劣化したキャリアーが新しいキャリアーに入れ替わるので、現像容器816内のトナーは常に均一に帯電される。したがって、プリント枚数や環境変化に左右されず安定した画質を実現することができる。
【0046】
図5は第1の実施の形態に係るキャリアー計量部92を示す図であり、
図6は計量ローラー922とキャリアー規制部材923の位置関係を示す図である。
図5に示すように、キャリアー計量部92は、キャリアー容器921、計量ローラー922、キャリアー規制部材923、残量検出センサー924等を備える。
【0047】
キャリアー容器921は、計量ローラー922の軸方向に延びる略直方体状に形成され、略上半部のキャリアー収容部921a(キャリアホッパー)と、略下半部のローラー収容部921bを有する。キャリアー収容部921aの下部には、計量ローラー922の軸方向に延在する略長方形状のキャリアー供給口921cが形成される。このキャリアー供給口921cの下方に、計量ローラー922が配置される。
【0048】
キャリアー供給口921cの一方の長辺から斜め上方に延びる側壁921dは、端部が計量ローラー922の周面から所定距離だけ離間するように形成される。この側壁921dに、層厚規制部材としてのキャリアー規制部材923が取り付けられる。
【0049】
キャリアー規制部材923は、計量ローラー922の斜め上方に、計量スリーブ922bから所定距離Gだけ離間して対向配置される。キャリアー規制部材923と計量ローラー922との離間距離Gは、例えば0.1〜1.0mmに設定される。キャリアー規制部材923は、ステンレス鋼材等の磁性体で形成された板状の部材であり、計量ローラー922と平行に延在する。
【0050】
また、キャリアー供給口921cの他方の長辺から斜め上方に延びる側壁921eは、端部が計量ローラー922に近接するように形成される。側壁921eの端部には、計量ローラー922の表面に沿ってリブ921fが連設される。リブ921fの内面には、幅方向にN極とS極が交互に形成されたテープ状の磁気シール921gが、計量ローラー922の軸方向に沿って貼着される。リブ921f(磁気シール921g)と計量ローラー922とは非接触となっており、離間距離は例えば0.1〜1.5mmに設定される。キャリアーは、磁気シール921gによって形成される磁界に拘束されるので、自由落下することなく保持される。
【0051】
また、キャリアー容器921の上部には、キャリアーボトル91が接続される。そして、残量検出センサー924により、キャリアー収容部921a内のキャリアー量が所定量以下となったことが検出された場合に、キャリアーボトル91から自動的に一定量のキャリアーが補給されるようになっている。例えば、キャリアーボトル91の供給口に開閉可能なシャッター部材(図示略)を設け、残量検出センサー924からの検出信号に基づいて、制御部100がシャッター部材の開閉制御を行うようにすればよい。
【0052】
すなわち、キャリアー供給部90は、キャリアー容器921に収容されているキャリアーの量を検出する残量検出センサー924(キャリアー量検出部)と、残量検出センサー924による検出結果に基づいて、キャリアー容器921に所定量のキャリアーを補給するキャリアー補給部(キャリアーボトル91、制御部100)を備える。
これにより、キャリアー容器921内のキャリアーが不足して、現像部81に一定量のキャリアーを供給できなくなるという不具合が生じるのを防止できる。
【0053】
また、キャリアー容器921の下部には、キャリアー案内部93が接続される。キャリアー計量部92で計量されたキャリアーは、キャリアー案内部93に落下し、供給先となる現像部81に案内される(
図3参照)。
【0054】
計量ローラー922は、回転不能に固定された磁石体922aと、磁石体922aの周囲に回転可能に配置された円筒状の計量スリーブ922bを有する、いわゆるマグネットローラーである。
【0055】
磁石体922aは、計量ローラー922の軸方向に延在する、複数の磁極N1、S1、N2を有する。
【0056】
磁極N1は、キャリアー規制部材923によってキャリアーの層厚を規制する層厚規制位置P3に対応して配置される。ここでは、層厚規制位置P3において計量スリーブ922bにキャリアーが吸着するので、層厚規制位置P3とキャリアーの吸着位置P1は同じとなる。
磁極N2は、キャリアーを脱離・落下させるキャリアーの脱離位置P2に対応して配置される。磁極S1は、磁極N1と磁極N2の中間に配置される。
【0057】
ここで、磁極N1と垂直方向のなす角θ1(
図6参照)は、45°≦θ1≦55°に設定されるのが望ましい。また、磁極N1と磁極S1のなす角θ2(
図6参照)は、50°≦θ2≦70°に設定されるのが望ましい。また、磁極S1と磁極N2のなす角θ3(
図6参照)は、50°≦θ3≦80°に設定されるのが望ましい。
これにより、キャリアーの搬送性と、脱離位置P2におけるキャリアーの剥離性能を確保することができる。
【0058】
このように磁極N1、S1、N2を配置すると、計量スリーブ922bの近傍には以下のような磁界が形成される。
すなわち、キャリアー規制部材923の計量ローラー922側の端部は、磁極N1によって磁極N1と逆極性(S極)に磁化される。そして、層厚規制位置P3に、磁極N1からキャリアー規制部材923に向かう磁界(磁力線)が形成される。
【0059】
磁極N1と磁極S1、及び磁極S1と磁極N2により、吸着位置P1から脱離位置P2にわたって、キャリアーを計量スリーブ922bに拘束する磁界が形成される。
また、磁極N2と磁極N1により、脱離位置P2のキャリアー搬送方向下流側に、反発磁界(キャリアーを計量スリーブ922bから離間させる磁界)が形成される。
【0060】
キャリアー容器921に収容されているキャリアーは、吸着位置P1において磁極N1に引きつけられ、計量スリーブ922bに吸着する。このとき、磁極N1とキャリアー規制部材923により形成された磁界に沿って、計量スリーブ922bの法線方向にキャリアーの穂立ちが形成される。
キャリアーの穂立ちは、この状態を保持したまま、計量スリーブ922bの回転(反時計回り)に伴い層厚規制位置P3を通過する。キャリアー規制部材923と計量スリーブ922bとのギャップ(離間距離G)によって穂切りが行われ、計量スリーブ922b上には一定厚のキャリアー層が形成される。
【0061】
層厚を規制されたキャリアーは、磁極N1と磁極S1により形成される磁界、及び磁極S1と磁極N2により形成される磁界に沿って計量スリーブ922b上に拘束され、計量スリーブ922bの回転に伴い吸着位置P1から脱離位置P2まで搬送される。
【0062】
脱離位置P2まで搬送されたキャリアーは、自重により計量スリーブ922bから脱離し、キャリアー案内部93に落下する。脱離位置P2には、磁極N2と磁極N1により反発磁界が形成されているので、脱離位置P2に到達したキャリアーは計量スリーブ922b上に拘束されることなく、容易に計量スリーブ922bから脱離して、落下する。
【0063】
このように、第1の実施の形態の磁石体922aは、吸着位置P1から脱離位置P2にわたるキャリアーの搬送領域にキャリアーを拘束するための磁界を形成する磁極N1、S1、N2(第1の磁極)と、脱離位置P2にキャリアーを脱離させるための磁界(反発磁界)を形成する磁極N1、N2(第2の磁極)と、キャリアー規制部材923(層厚規制部材)が配置された層厚規制位置P3に対応して配置される磁極N1(第3の磁極)と、を有する。
これにより、一定量のキャリアーを確実に脱離位置P2まで搬送することができるとともに、容易に脱離させることができる。したがって、現像部81に一定量のキャリアーを容易に供給することができる。
【0064】
図7はキャリアー案内部93を上方から見た図で、
図8はキャリアー案内部93を斜め上方から見た図で、
図9はキャリアー案内部93を斜め下方から見た図である。
図7〜
図9に示すように、キャリアー案内部93は、キャリアー計量部92から落下してきたキャリアーを受ける漏斗部材931、漏斗部材931を回転可能に支持する漏斗受け部材932、キャリアーが流下するキャリアー流路933等を備える。
【0065】
漏斗受け部材932には、同一円周上に4つのキャリアー流通口932a(Y)、932a(M)、932a(C)、932a(K)と、1つのキャリアー受け部932a(H)が形成される。キャリアー流通口932a(Y)、932a(M)、932a(C)、932a(K)には、それぞれキャリアー流路933Y、933M、933C、933Kが接続される。キャリアー受け部932a(H)は閉塞されており、キャリアーが誤って流出してしまうのを防止する。
【0066】
漏斗受け部材932は、中心に漏斗部材931を回転可能に支持する回転軸932bを有する。回転軸932bはモータ(図示略)に接続され、モータを回転駆動させることで、漏斗受け部材932の内周面に沿って漏斗部材931が回転するようになっている。
【0067】
漏斗部材931の底部には、漏斗部材931の回転に伴い、漏斗受け部材932のキャリアー流通口932a(Y)、932a(M)、932a(C)、932a(K)、又はキャリアー受け部932a(H)の何れかに一致するキャリアー補給口931aが形成される。漏斗部材931の内面は、キャリアー補給口931aに向けてテーパー状に形成される。このテーパー角は、キャリアーが転動可能な角度(安息角(例えば20°)以上)に設定される。
【0068】
キャリアー供給流路933は、弾性を有するフレキシブルチューブで構成される。キャリアー供給流路933の取付角度は、キャリアーが転動可能な角度(安息角(例えば20°)以上)に設定される。
キャリアー供給流路933Y、933M、933C、933Kの一端は、それぞれ漏斗受け部材932のキャリアー流通口932a(Y)、932a(M)、932a(C)、932a(K)に接続される。キャリアー供給流路933Y、933M、933C、933Kの他端は、トナー流路83の途中に形成された補給口(図示略)に接続される。
【0069】
キャリアー計量部92から落下してきたキャリアーは、漏斗部材931のテーパー状の内面を転動し、キャリアー補給口931aに集合される。そして、キャリアーは、選択されたキャリアー流路933を流下し、トナー流路83を流下してきたトナーとともに現像部81に供給される。
【0070】
現像部81にキャリアーを供給する際には、漏斗部材931のキャリアー補給口931aが、キャリアー流通口932a(Y)、932a(M)、932a(C)、932a(K)の何れかと一致するように、漏斗部材931が回転される。一方、現像部81にキャリアーを供給しないときには、漏斗部材931のキャリアー補給口931aが、キャリアー受け部932a(H)に位置するように、漏斗部材931が回転される(ホームポジション)。
具体的には、
図10に示すフローチャートに従って、キャリアーの供給が行われる。
【0071】
図10は、キャリアー供給処理の一例を示すフローチャートである。
図10に示すキャリアー供給処理は、例えば画像形成装置1において画像形成動作が開始されることに伴い、CPU101がROM102に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。このキャリアー供給処理により、キャリアー供給部90の各ブロックが制御される。
【0072】
ステップS101において、制御部100は、キャリアー供給条件が成立したか否かを判定する。そして、制御部100は、キャリアー供給条件が成立するまで待機し、キャリアー供給条件が成立したと判定した場合にステップS102の処理に移行する。
キャリアー供給条件は、現像部81内の現像剤が劣化したことを判断するために予め設定される指標であり、例えば画像形成が行われたプリント枚数(例えば1000枚)等である。現像条件や環境条件に応じて、キャリアー供給条件は適宜に設定される。
【0073】
ステップS102において、制御部100は、漏斗部材931を回転させ、キャリアー補給口931aをY用のキャリアー流通口933a(Y)に合わせる。
ステップS103において、制御部100は、計量スリーブ922bを回転させ、所定量のキャリアーをキャリアー案内部93(漏斗部材931)に落下させる。落下してきたキャリアーは、漏斗部材931を介してキャリアー流路933Y内を転動し、トナーとともに現像部81Yに供給される。
【0074】
ここで、キャリアー供給部90から現像部81に対して供給されるキャリアーの量は、脱離位置P2に到達したキャリアーの量、すなわちキャリアー規制部材923と計量スリーブ922bとの離間距離Gと、計量スリーブ922bの回転量によって制御される。キャリアー規制部材923と計量スリーブ922bとの離間距離は一定なので、計量スリーブ922bの回転量を高精度に制御することにより、一定量のキャリアーを精度よく落下させ、現像部81に対して供給することができる。
【0075】
ステップS102、S103と同様にして、現像部81Mへのキャリアーの供給(ステップS104、S105)、現像部81Cへのキャリアーの供給(ステップS106、S107)、現像部81Kへのキャリアーの供給(ステップS108、S109)が行われる。
【0076】
現像部81Y、81M、81C、81Kへのキャリアーの供給が終了すると、ステップS110において、制御部100は、漏斗部材931を回転させ、キャリアー補給口931aをホームポジションであるキャリアー受け部933a(H)に戻す。
以降、キャリアー供給条件が成立するごと、例えば1000枚の画像形成が行われるごとにキャリアーの供給が行われる。
【0077】
以上のようにして、それぞれの現像部81にキャリアーが供給される。
なお、現像部81では、トリクル機構により、キャリアー及びトナーの供給に伴い、劣化したキャリアーを含む余剰分の現像剤が排出される。これにより、劣化したキャリアーが新しいキャリアーに入れ替わるので、常にトナーを均一に帯電することができ、プリント枚数や環境変化に左右されず安定した画質を実現することができる。
【0078】
このように、画像形成装置1は、キャリアー容器921内に回転可能に支持され、周面上にキャリアーを保持して吸着位置P1から脱離位置P3まで搬送する計量スリーブ922bと、計量スリーブ922bに回転不能に内包され、計量スリーブ922bの回転に伴いキャリアーが搬送されるように磁界を形成する磁石体922aと、吸着位置P1と脱離位置P2との間に、計量スリーブ922bから所定距離Gだけ離間して対向配置され、計量スリーブ922b上に保持されたキャリアーの穂切りを行うキャリアー規制部材923(層厚規制部材)と、脱離位置P2で脱離して落下するキャリアーを現像部81に案内するキャリアー案内部93と、所定量のキャリアーが脱離位置P2に到達するように、計量スリーブ922bの回転量を制御する制御部100と、を備える。
【0079】
これにより、計量スリーブ922bの回転に伴い、層厚規制位置P3で一定厚に穂切りされたキャリアーが搬送され、脱離位置P2に到達した一定量のキャリアーが現像部81に精度よく供給される。
また、キャリアーの磁化特性を利用し、磁石体922aでキャリアーを着磁して搬送するため、計量ローラー922の周縁部からキャリアーが漏れ出すことはない。また、キャリアー容器921からキャリアーをそのまま落下させるわけではないので、キャリアー容器921内のキャリアー量(かさ密度)が変化しても、一定量のキャリアーを現像部81に供給することができる。
【0080】
また、磁石体922aは、半永久的に磁力を保持するため、キャリアー供給部90は高い耐久性を有する。さらには、キャリアー計量部92において、キャリアー規制部材923以外にキャリアーに対して機械的ストレスを与える部位はないので、キャリアーの健全性が保持される。
【0081】
このように、キャリアー供給部90の耐久性を向上できるとともに、キャリアー供給部90から一定量のキャリアーを精度よく現像部81に供給できる現像装置412が実現される。また、画像形成装置1においては、現像装置412でトナーが均一に帯電されることとなるので、画質の安定性が格段に向上する。
さらには、サービスマンによる現像剤の定期交換が不要となるので、マシンのダウンタイムを低減することができる。
【0082】
また、画像形成装置1は、キャリアーの供給先としてキャリアー流路933Y、933M、933C、933Kの何れか一つを選択するゲート選択部(漏斗部材931、漏斗受け部材932)を備える。
これにより、一つのキャリアー供給部90を設けるだけで、複数の現像部81にキャリアーを供給することができるので、装置構成が簡単になる。
【0083】
また、画像形成装置1において、キャリアー供給部90は、現像部81よりも上方に位置し、計量スリーブ922bから脱離したキャリアーが、自由落下運動によりキャリアー案内部93を流下する。
これにより、キャリアーを搬送するための部材(搬送スクリュー等)を別途設ける必要はないので、装置構成がさらに簡単になる。
【0084】
[第2の実施の形態]
図11は第2の実施の形態に係るキャリアー計量部92を示す図であり、
図12は計量ローラー922とキャリアー規制部材923の位置関係を示す図である。
第2の実施の形態は、第1の実施の形態に比較して、キャリアー計量部92の構成が異なり、その他の構成は同じである。したがって、キャリアー計量部92についてのみ説明する。また、第1の実施の形態と同一又は対応する構成要素には同一の符号を付し、これらの説明は簡略化する。
【0085】
図11に示すように、キャリアー計量部92は、キャリアー容器925、計量ローラー922、キャリアー規制部材923、残量検出センサー924、羽根車926等を備える。
【0086】
キャリアー容器925は、計量ローラー922の軸方向に延びる略直方体状に形成され、略右半部のキャリアー収容部925a(キャリアホッパー)と、略下半部のローラー収容部925bを有する。
キャリアー収容部925aには羽根車926が回転可能に配置される。キャリアー収容部925aの右側は計量ローラー922によって閉塞される(層厚規制位置P3を除く)。キャリアー収容部925aに収容されているキャリアーは、羽根車926により計量ローラー922まで効率よく搬送される。
【0087】
キャリアー容器925には、底部から斜め上方に延びる側壁925cが形成され、この側壁925cに層厚規制部材としてのキャリアー規制部材923が取り付けられる。
キャリアー規制部材923は、計量ローラー922の斜め下方に、計量スリーブ922bから所定距離Gだけ離間して対向配置されることになる。キャリアー規制部材923と計量ローラー922との離間距離Gは、例えば0.1〜1.0mmに設定される。キャリアー規制部材923は、ステンレス鋼材等の磁性体で形成された板状の部材であり、計量ローラー922と平行に延在する。
【0088】
また、キャリアー容器925(キャリアー収容部925a)の上部には、キャリアーボトル91が接続される。そして、残量検出センサー924により、キャリアー収容部925a内のキャリアー量が所定量以下となったことが検出された場合に、キャリアーボトル91から自動的に一定量のキャリアーが補給されるようになっている。
【0089】
また、計量スリーブ922bで搬送されたキャリアーが落下できるように、ローラー収容部925bの下方は開放され、キャリアー案内部93が接続される。キャリアー計量部92で計量されたキャリアーは、キャリアー案内部93に落下し、供給先となる現像部81に案内される。
【0090】
計量ローラー922は、回転不能に固定された磁石体922aの外周に、円筒状の計量スリーブ922bを回転可能に取り付けた、いわゆるマグネットローラーである。
【0091】
磁石体922aは、計量ローラー922の軸方向に延在する、複数の磁極S1、N1、S2を有する。
【0092】
磁極S1は、キャリアーを計量スリーブ922bに吸着させる吸着位置P1に対応して配置される。磁極N1は、キャリアー規制部材923によってキャリアーの層厚を規制する層厚規制位置P3に対応して配置される。磁極S1は、キャリアーを脱離・落下させるキャリアーの脱離位置P2に対応して配置される。
【0093】
ここで、磁極S1と磁極N1のなす角θ1(
図12参照)は、35°≦θ1≦45°に設定されるのが望ましい。また、磁極N1と磁極S2のなす角θ2(
図12参照)は、35°≦θ2≦45°に設定されるのが望ましい。また、磁極S1と水平方向のなす角θ3(
図12参照)は、80°≦θ3≦90°に設定されるのが望ましい。
これにより、キャリアーの搬送性と、脱離位置P2におけるキャリアーの剥離性能を確保することができる。
【0094】
このように磁極S1、N1、S2を配置すると、計量スリーブ922bの近傍には以下のような磁界が形成される。
すなわち、キャリアー規制部材923の計量ローラー922側の端部は、磁極N1によって磁極N1と逆極性(S極)に磁化される。そして、層厚規制位置P3に、磁極N1からキャリアー規制部材923に向かう磁界(磁力線)が形成される。
【0095】
磁極S1と磁極N1、及び磁極N1と磁極S2により、吸着位置P1から脱離位置P2にわたって、キャリアーを計量スリーブ922bに拘束する磁界が形成される。
また、磁極S2と磁極S1により、脱離位置P2のキャリアー搬送方向下流側に、反発磁界(キャリアーを計量スリーブ922bから離間させる磁界)が形成される。
【0096】
キャリアー容器925に収容されているキャリアーは、吸着位置P1において磁極S1に引きつけられ、計量スリーブ922bに吸着する。吸着したキャリアーは、磁極S1と磁極N1により形成される磁界に沿って計量スリーブ922b上に拘束され、計量スリーブ922bの回転に伴い吸着位置P1から層厚規制位置P3まで搬送される。
層厚規制位置P3では、磁極N1とキャリアー規制部材923により形成された磁界に沿って、計量スリーブ922bの法線方向にキャリアーの穂立ちが形成される。キャリアーの穂立ちは、この状態を保持したまま、計量スリーブ922bの回転(反時計回り)に伴い層厚規制位置P3を通過する。キャリアー規制部材923と計量スリーブ922bとのギャップ(離間距離G)によって穂切りが行われ、計量スリーブ922b上には一定厚のキャリアー層が形成される。
【0097】
層厚を規制されたキャリアーは、磁極N1と磁極S2により形成される磁界に沿って計量スリーブ922b上に拘束され、計量スリーブ922bの回転に伴い層厚規制位置P3から脱離位置P2まで搬送される。
【0098】
脱離位置P2まで搬送されたキャリアーは、自重により計量スリーブ922bから脱離し、キャリアー案内部93に落下する。脱離位置P2には、磁極S2と磁極S1により反発磁界が形成されているので、脱離位置P2に到達したキャリアーは計量スリーブ922b上に拘束されることなく、容易に計量スリーブ922bから脱離して、落下する。
【0099】
このように、第2の実施の形態の磁石体922aは、吸着位置P1から脱離位置P2にわたるキャリアーの搬送領域にキャリアーを拘束するための磁界を形成する磁極S1、N1、S2(第1の磁極)と、脱離位置P2にキャリアーを脱離させるための磁界(反発磁界)を形成する磁極S1、S2(第2の磁極)と、キャリアー規制部材923(層厚規制部材)が配置された層厚規制位置P3に対応して配置される磁極N1(第3の磁極)と、を有する。
これにより、一定量のキャリアーを確実に脱離位置P2まで搬送することができるとともに、容易に脱離させることができる。したがって、現像部81に一定量のキャリアーを容易に供給することができる。
【0100】
また、第1の実施の形態と同様に、キャリアー供給部90の耐久性を向上できるとともに、キャリアー供給部90から一定量のキャリアーを精度よく現像部81に供給できる現像装置412が実現される。また、画像形成装置1においては、現像装置412でトナーが均一に帯電されることとなるので、画質の安定性が格段に向上する。さらには、サービスマンによる現像剤の定期交換が不要となるので、マシンのダウンタイムを低減することができる。
【0101】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、計量ローラー922の磁石体922aの磁極の構成は、上記実施の形態で示した構成に限定されない。
また、上記実施の形態では、複数の現像装置412Y、412M、412C、412Kを備えたカラー画像形成装置を例示したが、本発明は、現像装置を一つだけ備えるモノクロ画像形成装置にも適用することができる。この場合、キャリアーの供給先を選択するためのゲート選択部(漏斗部材931、932)は不要となる。
【0102】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。