(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凹部が複数設けられ、前記凹部毎に前記凹部の周囲に溝または切れ目が設けられ、前記凹部毎に分離可能に形成されている請求項1から3のいずれか1項に記載の錠剤包装体。
前記封止部材は、巻回性を有し、前記凹部から前記封止部材を剥離する際に前記封止部材が凹部と反対方向に反り形状となることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の錠剤包装体。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の錠剤包装体について、具体的な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0011】
本発明の錠剤包装体は、複数の錠剤が収容可能な凹部と、前記凹部の開口を閉塞する封止部材と、を有する錠剤包装体であって、前記封止部材は、前記凹部とイージーピール方式で開封可能であって、前記凹部と、前記封止部材が、線シールにより封止されていることを特徴とする。
【0012】
前記錠剤包装体は、前記封止部材が前記凹部からイージーピール方式で開封可能であって、線シールにより封止されている。ここで線シールとは、包装体の封止方法であって、包装体の投入口、または取り出し口の縁を封止部材によって線状に封止する方法である。線シールする方法は、特に限定されないが、例えば前記縁部分に接着剤を塗布する方法、封止部材をヒートシールで封止する際に、シール台に線シールの形状に突起を作製してシールする方法等が挙げられる。本発明は、線シールにより封止することにより、錠剤を周囲の環境に拠らず安定に保管することができ、錠剤包装体内の錠剤の酸化や劣化を抑制することができる。また、1個のみならず複数の錠剤、カプセル、サプリメント等を包装できる十分な容量を確保することができ、錠剤を取り出す作業を1度行うことで、必要な複数種の錠剤を一度に取り出すことができ、患者が薬剤の種類を間違えて服用することを防ぐことができる。一方、線シールの幅間隔を調節することで容易に前記封止部材の剥離強度を調節することができ、お年寄り又は手先の不自由な患者であっても、容易に錠剤を取り出すことができる錠剤包装体を提供することができる。ここで、凹部とは、前記錠剤包装体における錠剤を投入することができる容器状の部分であって、錠剤包装体の底材に相当する。一方、封止部材とは、前記錠剤包装体における開封時に剥離される部分であって、前記錠剤包装体の蓋材に相当する。
【0013】
また、前記錠剤包装体は、複数の錠剤と、複数の錠剤が収容可能な凹部と、前記凹部の開口を閉塞する封止部材と、を有する錠剤包装体であって、前記封止部材は、前記凹部とイージーピール方式で開封可能であって、前記凹部と、前記封止部材が、線シールにより封止されている。このような構造をとることにより、周囲の環境に拠らず安定に保管された錠剤を提供することができ、錠剤包装体内の錠剤の酸化や劣化を抑制することができる。また、1個のみならず複数の錠剤、カプセル、サプリメント等を包装でき、錠剤を取り出す作業を1度行うことで、必要な複数種の錠剤を一度に取り出すことができ、患者が薬剤の種類を間違えて服用することを防ぐことができる。一方、線シールの幅間隔を調節することで容易に前記封止部材の剥離強度を調節することができ、お年寄り又は手先の不自由な患者であっても、容易に錠剤を取り出すことができる錠剤包装体を提供することができる。
【0014】
また、前記錠剤包装体は、開封開始の際の剥離強度を、開封途中の剥離強度より低くすることが好ましい。開封開始の際の剥離強度を低くすることで容易に封止部材を剥離することができる。したがって、お年寄り又は手先の不自由な患者、力の弱い方であっても確実に封止部材の剥離を開始することができる。そして、一度開封し始めた場合には、剥離角度や剥離にかけた力を維持しやすくなるため、開封途中の剥離強度が開封開始の剥離強度より高くとも容易に開封を行うことができる。これにより、容易に錠剤を取り出すことができ、かつ、錠剤包装体の十分な密閉性を確保することができる。ここで開封開始の際の剥離強度とは、開封開始部分の剥離強度である。また、開封開始部分の剥離強度とは、後述する封止部材と凹部の接着部であって、かつ後述するつかみ部分の縁の部分における剥離強度に相当し、例えば
図3、
図4、
図5、
図6、
図7における106bの部分における剥離強度に相当する。一方、開封途中の剥離強度とは、開封開始以降の剥離強度であれば特に限定されないが、後述する封止部材と凹部の接着部の、つかみ部分の縁以外の部分における剥離強度に相当し、例えば
図3、
図4、
図5、
図6、
図7における106aの部分における剥離強度に相当する。
【0015】
ここで開封開始の際の剥離強度は0.001N以上6N以下が好ましく、0.009N以上3N以下が特に好ましい。前記下限値以上であることにより、保管時に誤って開封されることを十分防ぐことができ、前記上限値以下であることにより、お年寄り又は手先の不自由な患者、力の弱い方であっても確実に開封が可能である。一方、開封途中の剥離強度は0.003N以上30N以下が好ましく、0.01N以上15N以下が特に好ましい。前記好ましい範囲内であることにより、お年寄り又は手先の不自由な患者、力の弱い方であっても確実に開封が可能となる。上記の剥離強度は、錠剤包装体について、180度ピール測定等で測定することができる。
【0016】
また、剥離強度が開封時に開封途中で上昇することで、封止部材を凹部から完全に分離させることを抑制することができるため、患者が封止部材を誤飲することを防止することができる。
【0017】
前記剥離強度の設計方法は特に限定されず、例えば、凹部と封止部材を接着させている接着剤の厚みに差を設けるような設計方法等が挙げられるが、開封開始地点の接着領域の幅をAとし、開封終了地点の接着領域の幅をBとしたとき、A<Bを満たすように凹部と封止部材を設計することが好ましい。このように設計することで、接着剤の組成設計を変更せずに、開封途中の剥離強度より開封開始の剥離強度を小さくすることができる。このような設計にする方法は、例えば凹部全体を覆う大きさの封止部材を用いて凹部の縁部分を線シールにより封止する方法や、封止部材を予め凹部における錠剤を投入する部分よりも一回り大きい形状に設計して凹部の縁部分で線シールにより封止する方法や、凹部全体を封止部材で封止し、凹部における錠剤を投入する部分よりも一回り大きい形状で封止部材に切れ目を入れる方法等が挙げられる。
【0018】
ここで、Aは0.1mm以上10mm以下が好ましく、0.5mm以上5mm以下が特に好ましい。前記下限値以上であることにより、前記錠剤包装体を十分に密閉することができ、封止後の前記錠剤包装体の保管時に封止部材が意図せず剥離してしまうことを防止できる。一方、前記上限値以下であることにより、開封開始の際の剥離強度を低くすることができ、お年寄り又は手先の不自由な患者、力の弱い方であっても確実に開封が可能である。一方、Bは20mm以上50mm以下が好ましく、30mm以上40mm以下が特に好ましい。前記下限値以上であることにより、開封終了の際の剥離強度が十分に強くなり、封止部材を凹部から完全に分離させることを抑制することができるため、患者が封止部材を誤飲することを防止することができる。
【0019】
前記錠剤包装体は、前記封止部材が、前記凹部の縁の一部において、剥離しないようにすることが好ましい。このような構造をとることにより、封止部材を凹部から完全に分離させることを抑制することができるため、患者が封止部材を誤飲することを防止することができる。
【0020】
前記錠剤包装体は、前記凹部が複数設けられ、前記凹部毎に前記凹部の周囲に溝または切れ目が設けられ、前記凹部毎に分離可能に形成されていることが好ましい。このような構造をとることにより、複数の凹部の凹部毎に周囲に溝または切れ目が設けられるので、凹部毎に分離することができる。また、必要な個数または自由な個数を持ち歩くことができ、利便性を高めることができる。さらに、凹部毎の大きさは、人体の咽喉の通過が困難なサイズであるため、錠剤包装体の誤飲を確実に防止することができる。切れ目の設計方法として、例えば、ミシン目若しくはハーフカットなどがある。
【0021】
前記錠剤包装体は、封止部材が凹部毎に設けられていることが好ましい。このような構造をとることにより、凹部ごとに封止部材が設けられているので、凹部毎に開封を行うことができる。その結果、封止部材の剥離時、または凹部の分離時に、意図しない凹部の封止部材を剥離してしまうことを防ぐことができ、錠剤包装体内の錠剤の酸化や劣化を抑制することができる。
【0022】
前記錠剤包装体は、凹部の高さが、錠剤1個分の高さ以上で錠剤2個分の高さ以下であることが好ましい。このような構造をとることにより、凹部の高さは、錠剤1個分の高さ以上で錠剤2個分の高さ以下であるので、錠剤が凹部の中において、重なることがない。すなわち、凹部内の錠剤の有無検査を画像処理化する場合であっても、錠剤の個数または錠剤の欠損を容易に検出することができる。なお、凹部の高さは、錠剤1個分の高さ以上で錠剤2個分の高さ未満に設定してもよい。
【0023】
前記錠剤包装体は、前記封止部材が、巻回性を有し、凹部から封止部材を剥離する際に封止部材が凹部と反対方向に反り形状または巻き形状となることが好ましい。このような構造をとることにより、開封後の封止部材が開口近傍に位置しないため、複数の錠剤を容易に取り出し内服することができる。
【0024】
以下、本実施の形態について説明を行う。本実施の形態に係る錠剤包装体は、複数の錠剤包装体の集合体からなる。なお、本実施の形態において、錠剤は、サプリメント、薬剤、およびカプセル状の薬剤のいずれをも含むものである。
図1は、本実施の形態に係る錠剤包装体の集合体100の一例を示す模式的斜視図であり、
図2は錠剤包装体101の構造を説明するための模式的側断面図であり、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7は錠剤包装体101の例を示す模式的平面図である。
【0025】
図1に示すように、錠剤包装体の集合体100は、錠剤包装体101が複数連接されて形成される。1個の錠剤包装体101は、長さL101、幅D101からなる。また、錠剤包装体の集合体100の長手方向は360mm以下、短手方向は360mm以下が好ましい。その理由は、既存の薬袋やケースなどに入れることが可能な大きさとなり、それ以上大きいと、錠剤包装体の集合体100の持ち運びが困難となるからである。
【0026】
また、長さL101は、10mmより大きく約50mm以下が好ましく、幅D101は、10mmより大きく約50mm以下が好ましい。すなわち、10mm以上のサイズでなければ、最も小さな錠剤が2個入れることができず、50mm以下であれば、最も大きなカプセルが10個は余裕で入るサイズで、且つ薬同士が重ならないように充填をスムーズに行うことができ、持ち運び性等の利便性にも優れるからである。
【0027】
また、錠剤包装体101の個々の間には、断続的な切り溝(スリット)110が設けられている。錠剤包装体101は、主に透明性を有する凹部103aを含む底部103および凹部を封止する封止部材102からなる。
【0028】
また、凹部103aは、隣接する凹部103aとの距離が、少なくとも5mm以上80mm以下の範囲内で形成される。この距離が5mm以下になると開封しづらくなり、80mm以上になると取り扱いづらくなるからである。
【0029】
また、凹部103aを含む底部103と、凹部を封止する封止部材102とは、例えば、シール機でヒートシールされることによって、またはインパルス方式によって接着される。
【0030】
次に、
図2および
図3、
図4、
図5、
図6、
図7に示すように、錠剤包装体101の封止部材102の一部には、それぞれめくり部分でもある非接着部104および接着部105、106が設けられる。ここで、めくり部分と反対側の接着部105は、剥離しないものとすることが好ましい。剥離しないものとすることで、封止部材が完全に分離することを防ぎ、患者が誤飲することを防止することができる。また、接着部105と106は異なる素材で凹部と封止部材を接着させることもでき、同じ素材で接着させてもいい。同じ接着素材であっても、開封時に、剥離部分の幅が接着部106と105で異なることにより、剥離強度が剥離部分の幅が広い接着部106の剥離強度が、剥離幅の狭い接着部105の剥離強度より大きくなり、封止部材が完全に剥離することを防ぐことができる。なお、蓋部102のイージーピール素材は、180度ピール強度測定によるピール強度が、30g/15mm以上、800g/15mm以下のものが好ましく、より好ましくは50g/15mm以上、500g/15mm以下である。
【0031】
また、凹部の形状は、
図4、
図5、
図6、
図7に示すように、開封開始部分の幅と比べて、開封終了部分の幅を広くすることが好ましい。このような構造をとることで、接着部位の幅を線シールで封止し、開封開始地点の接着領域の幅をAとし、開封終了地点の接着領域の幅をBとしたとき、A<Bを満たす設計とすることが容易になる。このような凹部の構造とするために、例えば凹部を
図4のようにめくり部分、開封開始部分に円弧状の形状を導入することや、
図5のように凹部の形状を三角形にすることや、
図6に示すように凹部を五角形形状にすることが好ましい。
【0032】
めくり部分でもある非接着部104のつかみ幅は5mm以上、50mm以下が好ましい。より好ましくは10mm以上、40mm以下が好ましい。下限値を下回ると掴みづらく、下限値を上回るとサイズが大きくなり取り扱い性が悪くなる。
【0033】
また、
図2に示すように、錠剤包装体101の底部103は、熱成形により凹部103aが形成される。凹部103aの高さHは、内包される錠剤201、202、203のうち最も高い錠剤の高さよりも高く、高さHは錠剤201、202、203のうち少なくとも2個の錠剤を重ねた高さよりも低い範囲で設けられる。また、凹部103aは、
図5、
図6、
図7に示すように、平面的には半円形、三角形、五角形等が好ましいが、断面形状は特に限定はされない。好ましくは、つかみ部分に向けて傾斜をつけた形状である。このような形状にすることで、つかみ部分の縁の方向に錠剤を出し易くなるため、そのまま口に錠剤を流し込むことができる。
【0034】
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8に示すように、当該凹部103aには、複数の錠剤201、202、203を収容することができる。ここで、錠剤201、202、203とは、服用すべき人の症状にあわせて、一度に服用すべき複数種の薬剤または健康用のサプリメント、カプセル等を含む。
【0035】
また、錠剤包装体101の封止部材102は、倦回性を有する。その結果、服用すべき人が非接着部104を保持して錠剤包装体101を開封する。その場合、蓋部102のカール性から、蓋部102が巻回し、凹部103aの開口部を遮蔽しない。
【0036】
なお、本実施の形態においては、凹部103aを含む底材は、一の素材からなることとしているが、これに限定されず、基材、更には基材にバリア層など必要な機能を付与するための層を積層しても良い。
【0037】
前記基材として、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂などの各種樹脂が用いられる。これらの樹脂は、単独で用いられてもよいし、複数の種類を共重合させて用いられてもよいし、複数の種類をブレンド、多層化させて用いられてもよい。基材の厚みは、30μm以上1000μm以下であることが好ましい。更に好ましくは50μm以上、800μm以下が好ましい。
【0038】
前記基材を形成する樹脂に、本発明の趣旨が損なわれない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、水分吸収剤、酸素吸収剤、光安定剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、界面活性剤、染料、顔料、難然剤、可塑剤、結晶造核剤などの添加剤が含まれていてもよい。
【0039】
前記バリア層は、前記錠剤包装体の外部から侵入する特定気体および光の少なくとも一方の透過を制限する。そのため、前記錠剤包装体は、薬剤を長期間保管することができる。特定気体とは、薬剤に悪影響を及ぼす気体、例えば、水蒸気および酸素などである。光とは、具体的に紫外線などである。
【0040】
水蒸気をバリアすることを目的としたバリア層の材料として、例えば、アルミニウム箔のような金属箔、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニリデン、環状ポリオレフィン、高密度ポリエチレン等の水分バリア性を有する樹脂が用いられる。このバリア層を有する前記凹部にかかる透湿度は、10g/m2・24h以下であることが好ましく、5g/m2・24h以下であることがより好ましい。なお、この透湿度の測定は、前記凹部の材料となる基材または基材にバリア層が積層されたもの(以下、「基材シート」という)の透湿度をJIS Z 0208に準拠して測定することによって行われる。
【0041】
水分を吸収する材料として、シリカゲル、ゼオライト、ミョウバンなどを樹脂に練りこむなどして、外部からの水分をバリアするだけでなく、包装内部の水分も除去することができるバリア層を作製することができる。
【0042】
酸素をバリアすることを目的としたバリア層の材料として、例えば、アルミニウム箔のような金属箔、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(エチレン−ポリビニルアルコール共重合体)等が用いられる。
【0043】
また、酸素を吸収する材料として、還元鉄、亜硫酸塩などの無機系のものに必要に応じて反応促進剤としてハロゲン化金属を添加したのもの、アスコルビン酸、MXD6ナイロン、二重結合系ポリマー(不飽和ポリオレフィン系樹脂など)、シクロヘキセン基をもつポリマーなどの有機系のものに、必要に応じて反応促進剤として遷移金属触媒(コバルト塩など)を添加した材料に用いることで、外部からの酸素をバリアするだけでなく、包装内部の酸素も除去することができる。
【0044】
紫外線をバリアすることを目的としたバリア層の材料として、例えば、紫外線吸収剤または顔料を含有する樹脂薄膜などが用いられる。このバリア層を有する基材シートにかかる光線透過曲線の90%吸収波長は、600nm以下であることが好ましい。なお、この基材シートの光線透過曲線の90%吸収波長の測定は、基材シートの光線透過曲線の90%吸収波長を紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、品名:V−650)で測定することによって行われる。
【0045】
特定気体および光をバリアするバリア層の材料として、例えば、透明樹脂フィルムに、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムあるいはそれらの混合物などの無機酸化物からなる蒸着薄膜層が形成されたものが用いられる。なお、このバリア層では、必要に応じて、透明樹脂フィルム上に透明プライマー層が形成されてもよいし、または蒸着薄膜層上にガスバリア被膜層が形成されてもよい。
【0046】
バリア層が樹脂層である場合、バリア層の厚みは、30μm以上500μm以下であることが好ましい。更に好ましくは50μm以上300μm以下である。また、バリア層が有機珪素化合物、金属または金属酸化物の蒸着膜層である場合、バリア層の厚みは、0.5nm以上400nm以下であることが好ましい。
【0047】
なお、上記の凹部103aに用いる各種材料は、充填された薬が処方とおりであるかなど容器に充填された内容物の状態が確認できる程度に透明性を有するものが望ましい。具体的には全光線透過率80%以上、ヘイズ30%以下が更に好ましい。
【0048】
また、本実施の形態に係るイージーピール素材は、界面から剥がれる界面剥離タイプ、シール層と隣接層の層間で剥がれる層間剥離タイプ、および凝集破壊することで剥がれる凝集剥離タイプのいずれのタイプであっても良い。例えば、凝集剥離タイプのイージーピール機能の付与は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)樹脂、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)樹脂、エチレン−アクリレート共重合体(EAA)樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂、アイオノマー(ION)樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等と、ポリプロピレン(PP)樹脂とを混合することで達成される。ここで用いられるPP樹脂は、ポリプロピレンのホモポリマー、プロピレン−エチレンのランダムコポリマー、およびプロピレン−エチレンのブロックコポリマーのいずれのタイプであっても良い。
【0049】
(A)
以上のように、本実施の形態に係る錠剤包装体101においては、複数個の錠剤201、202、203を凹部103aに収容することができる。したがって、錠剤201、202、203を取り出す作業を1度行うことで、必要な複数種の錠剤201、202、203を一度に取り出すことができ、患者が錠剤の種類および個数を間違えて服用することを防ぐことができる。また、封止部材102が、線シールであることから、複数個の錠剤を含められる容量を確保し、十分な密閉性を確保し、一方でイージーピール方式からなるので、お年寄り又は手先の不自由な患者であっても、容易に複数個の錠剤201、202、203を取り出し、服用することができる。
【0050】
(B)
錠剤包装体101において、封止部材102のは、接着部106において、開封開始の際の剥離強度が、開封途中の剥離強度より低いことが好ましく、例えば開封途中部分106aの剥離強度より開封開始部分106bの剥離強度が小さいことが好ましい。このような設計とすることで、お年寄り又は手先の不自由な患者が力不足で開封できないという問題を防止することができる。また、ピール強度は、30g/15mm以上、800g/15mm以下が好ましく、より好ましくは50g/15mm以上、500g/15mm以下である。
【0051】
(C)
錠剤包装体101において、封止部材102の接着部106において、開封開始地点の接着領域の幅をAとし、開封終了地点の接着領域の幅Bとしたとき、A<Bを満たすことが好ましい。このような設計とすることで、お年寄り又は手先の不自由な患者が力不足で開封できないという問題を防止することができる。
【0052】
(D)
錠剤包装体101において、封止部材102と凹部103aの縁であるピール不可部105とは、剥離しないことが好ましい。蓋部102と凹部103aとの分離を防止したり、蓋部102と凹部103aとの剥離を容易にしたりすることができる。その結果、開封性を高めつつ、凹部103a内の錠剤を服用する際に、封止部材102を誤飲することを防止できる。
【0053】
(E)
また、錠剤包装体101の集合体100は、凹部103aが複数設けられ、凹部103a毎に凹部103aの周囲に切り溝110が設けられ、凹部103a毎に分離可能に形成されている。この場合、複数の凹部103aの凹部103a毎に周囲に切り溝110が設けられるので、凹部103a毎に分離することができる。また、錠剤包装体110を必要な個数または自由な個数を持ち歩くことができ、利用者の利便性を高めることができる。さらに、凹部103a毎の大きさは、人体の咽喉の通過が困難なサイズであるため、誤飲することを確実に防止することができる。
【0054】
(F)
また、錠剤包装体101の集合体100において、錠剤包装体101の封止部材102は、凹部103a毎に設けられている。この場合、凹部103aごとに蓋部102が設けられているので、凹部103a毎に開封を行うことができる。
【0055】
(G)
また、錠剤包装体101において、凹部103aの高さは、錠剤201、202、203の高さ以上で錠剤201、202、203のうちいずれか2個分の高さ以下であることが好ましい。このように設計することで、凹部103aの高さHは、錠剤201、202、203の高さ以上で錠剤201、202、203のうちいずれか2個分の高さ以下であるので、錠剤201、202、203が凹部103aの中において、重なることを防止することができる。このため、凹部103a内の錠剤有無検査を画像処理化することが容易となる。
錠剤包装体101において、封止部材102は、凹部103aの周囲の一部にピール不可部105を有することが好ましい。このように設計することで、封止部材102を開封した際に、凹部103aと封止部材102とが分離せず、凹部103a内の錠剤201、202、203を服用する際に、封止部材102を誤飲することを防止することができる。
【0056】
(H)
錠剤包装体101において、封止部材102は、巻回性を有し、凹部103aから封止部材102を剥離する際に封止部材102が反り形状となる。したがって、開封後の封止部材102が開口近傍に位置しないため、複数の錠剤201、202、203を容易に取り出し内服することができる。
【0057】
本発明においては、錠剤201、202、203が複数個の錠剤に相当し、凹部103aを有する底部103が収容可能な凹部に相当し、蓋部102が封止部材に相当し、錠剤包装体101および錠剤包装体101の集合体100が錠剤包装体に相当し、接着部105が剥離しないことが好ましい接着部であって、凹部の縁の一部に相当し、接着部106は開封時に剥離し易い接着部であり、凹部の縁の一部に相当し、切り溝110が溝または切れ目に相当する。
【0058】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。