【実施例1】
【0026】
本発明の実施例1に係る車両駆動装置について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の構成を模式的に示したブロック図である。
図2は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置における駆動装置の構成を模式的に示したスケルトン図である。
【0027】
図1を参照すると、車両駆動装置1は、動力源として、燃料の燃焼エネルギーにより回転動力を出力するエンジン2と、電気エネルギーにより回転動力を出力する2つのモータジェネレータ5、6と、を備えるハイブリッド車両を駆動する装置である。車両駆動装置1は、エンジン2と車輪8、9との間の動力伝達経路上にクラッチ3、変速機4、及び差動装置7を有する。車両駆動装置1は、エンジン2、クラッチ3、変速機4、及びモータジェネレータ5、6の制御系として、インバータ10、11と、バッテリ12と、エンジン制御装置13と、変速機制御装置14と、モータジェネレータ制御装置15、16と、バッテリ制御装置17と、ハイブリッド制御装置18と、センサ19と、を有する。
【0028】
エンジン2は、例えば、燃料(例えば、ガソリン、軽油などの炭化水素系)の燃焼により、クランクシャフト2aから回転動力を出力する内燃機関である(
図1、
図2参照)。クランクシャフト2aの回転動力は、クラッチ3の入力側部材に伝達される。エンジン2は、各種センサ(エンジン回転センサ等)、アクチュエータ(インジェクタ、スロットルバルブを駆動するアクチュエータ等)を有し、エンジン制御装置13に通信可能に接続されており、エンジン制御装置13によって制御される。
【0029】
クラッチ3は、エンジン2及び変速機4との間の動力伝達経路上に配設されるとともに、エンジン2から変速機4への回転動力を断接可能な装置である(
図1、
図2参照)。クラッチ3は、クランクシャフト2aと入力軸21との間の動力伝達経路上において、クラッチ部3a及びダンパ部3bを有する。クラッチ部3aは、クランクシャフト2aと一体に回転する入力側部材と、ダンパ部3bの入力側に接続される中間部材と、が係合することで、入力側部材から中間部材へ回転動力を伝達する部分である。クラッチ3の係合/非係合動作は、変速機制御装置14によって駆動制御されるクラッチアクチュエータ(図示せず)によって行われる。ダンパ部3bは、クラッチ部3aの出力側に接続される中間部材と、変速機4の入力軸21と一体に回転する出力側部材と、の間に生じた変動トルクを弾性力によって吸収する部分である。
【0030】
変速機4は、エンジン2からの回転動力を変速して差動装置7に向けて出力する歯車機構である(
図1、
図2参照)。変速機4は、入力軸21、及び、入力軸21に略平行に配置された出力軸28を有し、かつ、前進5速段に切換可能な平行2軸5速変速機構を有する。変速機4は、入力軸21と、第1ドライブギヤ22と、第2ドライブギヤ23と、第3ドライブギヤ24と、第4ドライブギヤ25と、第5ドライブギヤ26と、リバースドライブギヤ27と、出力軸28と、第1ドリブンギヤ29と、第2ドリブンギヤ30と、第3ドリブンギヤ31と、第4ドリブンギヤ32と、第5ドリブンギヤ33と、出力ドライブギヤ34と、第1切換機構35と、第2切換機構36と、第3切換機構37と、リバースドリブンギヤ38と、リバースアイドラギヤ39と、回転軸40と、ドリブンギヤ41と、ドライブギヤ42と、を有する。
【0031】
入力軸21は、エンジン2からの回転動力が入力される軸であり、クラッチ3の出力側部材と一体に回転する(
図1、
図2参照)。入力軸21の外周には、クラッチ3側から順に、第1ドライブギヤ22、リバースドライブギヤ27、第2ドライブギヤ23、第3ドライブギヤ24、第2切換機構36、第4ドライブギヤ25、第5ドライブギヤ26、第3切換機構37が配されている。入力軸21は、変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。入力軸21は、第1ドライブギヤ22、リバースドライブギヤ27、及び、第2ドライブギヤ23と一体に回転する。入力軸21は、第3ドライブギヤ24、第4ドライブギヤ25、及び、第5ドライブギヤ26を空転可能に支持する。入力軸21は、第2切換機構36によって、第3ドライブギヤ24又は第4ドライブギヤ25と選択的に連結可能である。入力軸21は、第3切換機構37によって、第5ドライブギヤ26と選択的に連結可能である。入力軸21は、第2モータジェネレータ6の出力軸と連結されており、第2モータジェネレータ6の出力軸と一体に回転する。なお、入力軸21は、第2モータジェネレータ6の出力軸と一体に回転する代わりに、第2モータジェネレータ6の出力軸と第1ドライブギヤ22又は第2ドライブギヤ23若しくは第1ドリブンギヤ29又は第2ドリブンギヤ30を介して回転するようにしてもよい。
【0032】
第1ドライブギヤ22は、第1ドリブンギヤ29を駆動する1速用のギヤである(
図2参照)。第1ドライブギヤ22は、入力軸21と一体に回転する。第1ドライブギヤ22は、第1ドリブンギヤ29と噛合っている。第1ドライブギヤ22の径は、第2〜第5ドライブギヤ23〜26の径よりも小さい。
【0033】
第2ドライブギヤ23は、第2ドリブンギヤ30を駆動する2速用のギヤである(
図2参照)。第2ドライブギヤ23は、入力軸21と一体に回転する。第2ドライブギヤ23は、第2ドリブンギヤ30と噛合っている。第2ドライブギヤ23の径は、第1ドライブギヤ22の径よりも大きく、かつ、第3〜第5ドライブギヤ24〜26の径よりも小さい。
【0034】
第3ドライブギヤ24は、第3ドリブンギヤ31を駆動する3速用のギヤである(
図2参照)。第3ドライブギヤ24は、入力軸21に空転可能に支持されている。第3ドライブギヤ24は、第2切換機構36において、入力軸21と連結可能に構成されている。第3ドライブギヤ24は、第3ドリブンギヤ31と噛合っている。第3ドライブギヤ24の径は、第1、第2ドライブギヤ22、23の径よりも大きく、かつ、第4、第5ドライブギヤ25、26の径よりも小さい。
【0035】
第4ドライブギヤ25は、第4ドリブンギヤ32を駆動する4速用のギヤである(
図2参照)。第4ドライブギヤ25は、入力軸21に空転可能に支持されている。第4ドライブギヤ25は、第2切換機構36において、入力軸21と連結可能に構成されている。第4ドライブギヤ25は、第4ドリブンギヤ32と噛合っている。第4ドライブギヤ25の径は、第1〜第3ドライブギヤ22〜24の径よりも大きく、かつ、第5ドライブギヤ26の径よりも小さい。
【0036】
第5ドライブギヤ26は、第5ドリブンギヤ33を駆動する5速用のギヤである(
図2参照)。第5ドライブギヤ26は、入力軸21に空転可能に支持されている。第5ドライブギヤ26は、第3切換機構37において、入力軸21と連結可能に構成されている。第5ドライブギヤ26は、第5ドリブンギヤ33と噛合っている。第5ドライブギヤ26の径は、第1〜第4ドライブギヤ22〜25の径よりも大きい。
【0037】
リバースドライブギヤ27は、リバースアイドラギヤ39と噛み合ったときに、リバースアイドラギヤ39を介してリバースドリブンギヤ38を駆動するリバース用のギヤである(
図2参照)。リバースドライブギヤ27は、入力軸21と一体に回転する。リバースドライブギヤ27は、リバースアイドラギヤ39と断接可能に噛合っている。
【0038】
出力軸28は、変速機4に入力され変速された回転動力を差動装置7に向けて出力する軸である(
図1、
図2参照)。出力軸28の外周には、エンジン側(
図2の左側)から順に、出力ドライブギヤ34、第1ドリブンギヤ29、第1切換機構35(リバースドリブンギヤ38を含む)、第2ドリブンギヤ30、第3ドリブンギヤ31、第4ドリブンギヤ32、第5ドリブンギヤ33が配されている。出力軸28は、変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。出力軸28は、第1ドリブンギヤ29及び第2ドリブンギヤ30を空転可能に支持する。出力軸28は、第3ドリブンギヤ31、第4ドリブンギヤ32、第5ドリブンギヤ33、及び、出力ドライブギヤ34と一体に回転する。出力軸28は、第1切換機構35によって、第1ドリブンギヤ29又は第2ドリブンギヤ30と選択的に連結可能である。出力軸28は、第1切換機構35においてスプライン係合するスリーブに取り付けられたリバースドリブンギヤ38と一体に回転する。
【0039】
第1ドリブンギヤ29は、第1ドライブギヤ22によって駆動される1速用のギヤである(
図2参照)。第1ドリブンギヤ29は、出力軸28に対して同軸で空転可能に支持されている。第1ドリブンギヤ29は、第1切換機構35によって、出力軸28と連結可能に構成されている。第1ドリブンギヤ29は、第1ドライブギヤ22と噛合っている。第1ドリブンギヤ29の径は、第2〜第5ドリブンギヤ30〜33の径よりも大きく構成されている。
【0040】
第2ドリブンギヤ30は、第2ドライブギヤ23によって駆動される2速用のギヤである(
図2参照)。第2ドリブンギヤ30は、出力軸28に対して同軸で空転可能に支持されている。第2ドリブンギヤ30は、第1切換機構35によって、出力軸28と連結可能に構成されている。第2ドリブンギヤ30は、第2ドライブギヤ23と噛合っている。第2ドリブンギヤ30の径は、第1ドリブンギヤ29の径よりも小さく、かつ、第3〜第5ドリブンギヤ31〜33の径よりも大きく構成されている。
【0041】
第3ドリブンギヤ31は、第3ドライブギヤ24によって駆動される3速用のギヤである(
図2参照)。第3ドリブンギヤ31は、出力軸28と一体に回転する。第3ドリブンギヤ31は、第3ドライブギヤ24と噛合っている。第3ドリブンギヤ31の径は、第1、第2ドリブンギヤ29、30の径よりも小さく、かつ、第4、第5ドリブンギヤ32、33の径よりも大きく構成されている。
【0042】
第4ドリブンギヤ32は、第4ドライブギヤ25によって駆動される4速用のギヤである(
図2参照)。第4ドリブンギヤ32は、出力軸28と一体に回転する。第4ドリブンギヤ32は、第4ドライブギヤ25と噛合っている。第4ドリブンギヤ32の径は、第1〜第3ドリブンギヤ29〜31の径よりも小さく、かつ、第5ドリブンギヤ33の径よりも大きく構成されている。
【0043】
第5ドリブンギヤ33は、第5ドライブギヤ26によって駆動される5速用のギヤである(
図2参照)。第5ドリブンギヤ33は、出力軸28と一体に回転する。第5ドリブンギヤ33は、第5ドライブギヤ26と噛合っている。第5ドリブンギヤ33の径は、第1〜第4ドリブンギヤ29〜32の径よりも小さく構成されている。
【0044】
出力ドライブギヤ34は、出力軸28の回転動力を差動装置7のリングギヤ7cに向けて出力するギヤである。出力ドライブギヤ34は、出力軸28と一体に回転する。出力ドライブギヤ34は、リングギヤ7cと噛合っている。
【0045】
第1切換機構35は、出力軸28に対して第1ドリブンギヤ29又は第2ドリブンギヤ30を選択して連結及びその解除を切り換える機構である(
図2参照)。第1切換機構35は、第1ドリブンギヤ29と第2ドリブンギヤ30との間に配されている。第1切換機構35は、出力軸28とスプライン係合するスリーブを「L」側に移動して第1ドリブンギヤ29とスプライン係合することで出力軸28と第1ドリブンギヤ29とを連結して出力軸28と第1ドリブンギヤ29とを一体回転するようにする。第1切換機構35は、出力軸28とスプライン係合するスリーブを「R」側に移動して第2ドリブンギヤ30とスプライン係合することで出力軸28と第2ドリブンギヤ30とを連結して出力軸28と第2ドリブンギヤ30とを一体回転するようにする。第1切換機構35のスリーブには、リバースドリブンギヤ38が固定されており、リバースドリブンギヤ38と一体に回転する。第1切換機構35の切換動作は、変速アクチュエータ(図示せず)によって行われる。変速アクチュエータ(図示せず)は、変速機制御装置14によって駆動制御される。
【0046】
第2切換機構36は、入力軸21に対して第3ドライブギヤ24又は第4ドライブギヤ25を選択して連結及びその解除を切り換える機構である(
図2参照)。第2切換機構36は、第3ドライブギヤ24と第4ドライブギヤ25との間に配されている。第2切換機構36は、入力軸21とスプライン係合するスリーブを「L」側に移動して第3ドライブギヤ24とスプライン係合することで入力軸21と第3ドライブギヤ24とを連結して入力軸21と第3ドライブギヤ24とを一体回転するようにする。第2切換機構36は、入力軸21とスプライン係合するスリーブを「R」側に移動して第4ドライブギヤ25とスプライン係合することで入力軸21と第4ドライブギヤ25とを連結して入力軸21と第4ドライブギヤ25とを一体回転するようにする。第2切換機構36の切換動作は、変速アクチュエータ(図示せず)によって行われる。変速アクチュエータ(図示せず)は、変速機制御装置14によって駆動制御される。
【0047】
第3切換機構37は、入力軸21と第5ドライブギヤ26との連結及びその解除を切り換える機構である(
図2参照)。第3切換機構37は、入力軸21とスプライン係合するスリーブが第5ドライブギヤ26とスプライン係合することで第5ドライブギヤ26と入力軸21とを連結して第5ドライブギヤ26と入力軸21とを一体回転するようにし、当該スリーブを第5ドライブギヤ26とのスプライン係合を解除することで第5ドライブギヤ26と入力軸21との連結を解除して第5ドライブギヤ26と入力軸21とを相対回転可能にする。第3切換機構37の切換動作は、変速アクチュエータ(図示せず)によって行われる。変速アクチュエータ(図示せず)は、変速機制御装置14によって駆動制御される。
【0048】
なお、切換機構35〜37は、摩擦により回転要素間の回転速度を同期させるシンクロ装置を有さないようにすることが好ましい。入力軸21の回転速度を第2モータジェネレータ6で制御でき、かつ、出力軸28の回転速度を第1モータジェネレータ5で制御できるので、回転要素間の回転速度を同期させることができるからである。切換機構35〜37においてシンクロ装置を有さないことにより、変速機4の軸長サイズを小さくすることができる。
【0049】
リバースドリブンギヤ38は、リバースアイドラギヤ39と噛合ったときに、リバースドライブギヤ27によってリバースアイドラギヤ39を介して駆動されるリバース用のギヤである(
図2参照)。リバースドリブンギヤ38は、後退するときにリバースアイドラギヤ39と噛み合い、後退以外のときにリバースアイドラギヤ39と噛み合わない。リバースドリブンギヤ38は、第1切換機構35において出力軸28とスプライン係合するスリーブに取り付けられており、当該スリーブ及び出力軸28と一体に回転する。
【0050】
リバースアイドラギヤ39は、リバースドライブギヤ27及びリバースドリブンギヤ38と噛合ったときに、リバースドライブギヤ27の回転駆動を受けてリバースドリブンギヤ38を駆動するギヤである(
図2参照)。リバースアイドラギヤ39は、変速機4のハウジング(図示せず)に対して軸方向に移動可能であり、後退するときにリバースドライブギヤ27及びリバースドリブンギヤ38の両方と噛み合い、後退以外のときにリバースドライブギヤ27及びリバースドリブンギヤ38の両方と噛み合わず空転可能となる。リバースアイドラギヤ39は、変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能かつ軸方向移動可能に支持されている。リバースアイドラギヤ39の軸方向の移動は、変速アクチュエータ(図示せず)によって行われる。変速アクチュエータ(図示せず)は、変速機制御装置14によって駆動制御される。
【0051】
回転軸40は、第1モータジェネレータ5の回転動力を差動装置7に向けて伝達する軸である(
図2参照)。回転軸40の外周には、ドリブンギヤ41及びドライブギヤ42が配されている。回転軸40は、変速機4のハウジング(図示せず)に回転可能に支持されている。回転軸40は、ドリブンギヤ41及びドライブギヤ42と一体に回転する。
【0052】
ドリブンギヤ41は、第1モータジェネレータ5のドライブギヤ5bによって駆動されるギヤである(
図2参照)。ドリブンギヤ41は、回転軸40と一体に回転する。ドリブンギヤ41は、ドライブギヤ5bと噛合っている。ドリブンギヤ41の径は、ドライブギヤ42の径よりも大きく構成されている。
【0053】
ドライブギヤ42は、差動装置7のリングギヤ7cを駆動するギヤである(
図2参照)。ドライブギヤ42は、回転軸40と一体に回転する。ドライブギヤ42は、リングギヤ7cと噛合っている。ドライブギヤ42の径は、ドリブンギヤ41の径よりも小さい。
【0054】
第1モータジェネレータ5は、電動機として駆動するとともに発電機としても駆動する同期発電電動機である(
図1、
図2参照)。第1モータジェネレータ5は、第1インバータ10を介してバッテリ12と電力のやり取りを行なう。第1モータジェネレータ5は、回転動力を出力する出力軸5aを有し、出力軸5aと一体に回転するドライブギヤ5bを有する。ドライブギヤ5bは、ドリブンギヤ41と噛み合っている。第1モータジェネレータ5は、エンジン2から変速機4を介して伝達された回転動力を用いて発電してバッテリ12を充電したり、車輪8、9から差動装置7、変速機4を介して伝達された回転動力を用いて回生してバッテリ12を充電したり、バッテリ12からの電力を用いて回転動力を出力できる。第1モータジェネレータ5には、出力軸5aの回転角度を検出する角度センサ(図示せず)、回転数センサ(図示せず)等の各種センサ(図示せず)が内蔵されており、各種センサが第1モータジェネレータ制御装置15に通信可能に接続されている。第1モータジェネレータ5は、第1インバータ10を介して第1モータジェネレータ制御装置15によって制御される。
【0055】
第2モータジェネレータ6は、電動機として駆動するとともに発電機としても駆動する同期発電電動機である(
図1、
図2参照)。第2モータジェネレータ6は、第2インバータ11を介してバッテリ12と電力のやり取りを行なう。第2モータジェネレータ6の出力軸は、入力軸21と連結されており、入力軸21と一体に回転する。第2モータジェネレータ6は、エンジン2から変速機4を介して伝達された回転動力を用いて発電してバッテリ12を充電したり、車輪8、9から差動装置7、変速機4を介して伝達された回転動力を用いて回生してバッテリ12を充電したり、バッテリ12からの電力を用いて回転動力を出力できる。第2モータジェネレータ6には、出力軸(図示せず)の回転角度を検出する角度センサ(図示せず)、回転数センサ(図示せず)等の各種センサ(図示せず)が内蔵されており、各種センサが第2モータジェネレータ制御装置16に通信可能に接続されている。第2モータジェネレータ6は、第2インバータ11を介して第2モータジェネレータ制御装置16によって制御される。
【0056】
差動装置7は、変速機4の出力軸28又は/及び回転軸40から入力された回転動力を差動可能に車輪8、9に伝達する装置である(
図1、
図2参照)。差動装置7は、出力ドライブギヤ34及びドライブギヤ42と噛合うリングギヤ7cを有する。差動装置7は、リングギヤ7cから入力された回転動力を、差をつけて車軸7a、7bに振り分ける。車軸7aは、車輪8と一体に回転する。車軸7bは、車輪9と一体に回転する。
【0057】
第1インバータ10は、第1モータジェネレータ制御装置15からの制御信号に応じて、第1モータジェネレータ5の動作(駆動動作、発電動作、回生動作)を制御する装置である(
図1参照)。第1インバータ10は、昇降圧コンバータ(図示せず)を介してバッテリ12と電気的に接続されている。
【0058】
第2インバータ11は、第2モータジェネレータ制御装置16からの制御信号に応じて、第2モータジェネレータ6の動作(駆動動作、発電動作、回生動作)を制御する装置である(
図1参照)。第2インバータ11は、昇降圧コンバータ(図示せず)を介してバッテリ12と電気的に接続されている。
【0059】
バッテリ12は、充電可能な2次電池である(
図1参照)。バッテリ12は、昇降圧コンバータ(図示せず)及び第1インバータ10を介して第1モータジェネレータ5と電気的に接続されており、昇降圧コンバータ(図示せず)及び第2インバータ11を介して第2モータジェネレータ6と電気的に接続されている。
【0060】
エンジン制御装置13は、エンジン2の動作を制御するコンピュータ(電子制御装置)である(
図1参照)。エンジン制御装置13は、エンジン2に内蔵された各種アクチュエータ(図示せず;例えば、スロットルバルブ、インジェクタ等を駆動するアクチュエータ)、各種センサ(図示せず;例えば、エンジン回転センサ等)、及びハイブリッド制御装置18と通信可能に接続されている。エンジン制御装置13は、ハイブリッド制御装置18からの制御信号に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。
【0061】
変速機制御装置14は、クラッチ3、及び変速機4の動作を制御するコンピュータ(電子制御装置)である(
図1参照)。変速機制御装置14は、各種アクチュエータ(
図2の切換機構35〜37を含む)、各種センサ(図示せず;例えば、回転センサ等)、及びハイブリッド制御装置18と通信可能に接続されている。変速機制御装置14は、ハイブリッド制御装置18からの制御信号に応じて、所定のプログラム(データベース、変速マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。
【0062】
第1モータジェネレータ制御装置15は、第1インバータ10を介して第1モータジェネレータ5の動作を制御するコンピュータ(電子制御装置)である(
図1参照)。第1モータジェネレータ制御装置15は、第1インバータ10、各種センサ(図示せず;例えば、角度センサ等)、及びハイブリッド制御装置18と通信可能に接続されている。第1モータジェネレータ制御装置15は、ハイブリッド制御装置18からの制御信号に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。
【0063】
第2モータジェネレータ制御装置16は、第2インバータ11を介して第2モータジェネレータ6の動作を制御するコンピュータ(電子制御装置)である(
図1参照)。第2モータジェネレータ制御装置16は、第2インバータ11、各種センサ(図示せず;例えば、角度センサ等)、及びハイブリッド制御装置18と通信可能に接続されている。第2モータジェネレータ制御装置16は、ハイブリッド制御装置18からの制御信号に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。
【0064】
バッテリ制御装置17は、バッテリ12の状態(充放電状態、温度状態等)を管理するコンピュータ(電子制御装置)である(
図1参照)。バッテリ制御装置17は、ハイブリッド制御装置18と通信可能に接続されている。バッテリ制御装置17は、ハイブリッド制御装置18からの制御信号に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。
【0065】
ハイブリッド制御装置18は、エンジン制御装置13、変速機制御装置14、第1モータジェネレータ制御装置15、第2モータジェネレータ制御装置16、及びバッテリ制御装置17の動作を制御するコンピュータ(電子制御装置)である(
図1参照)。ハイブリッド制御装置18は、各種センサ19(例えば、車速センサ、アクセル開度センサ、路面勾配センサ等)、エンジン制御装置13、変速機制御装置14、第1モータジェネレータ制御装置15、第2モータジェネレータ制御装置16、及びバッテリ制御装置17と通信可能に接続されている。ハイブリッド制御装置18は、車両の所定の状況(電池残量、電池温度、インバータ状態、モータジェネレータ状態、エンジン状態、車両傾き等)を監視しており、車両の所定の状況に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて、エンジン制御装置13、変速機制御装置14、第1モータジェネレータ制御装置15、第2モータジェネレータ制御装置16、及びバッテリ制御装置17に対して制御信号を出力する。ハイブリッド制御装置18は、エンジン制御装置13を介してエンジン2の始動や停止を制御し、変速機制御装置14を介してクラッチ3の動作、及び
図2の切換機構35〜37の切換動作を制御し、第1モータジェネレータ制御装置15を介して第1モータジェネレータ5の駆動、発電、回生を制御し、第2モータジェネレータ制御装置16を介して第2モータジェネレータ6の駆動、発電、回生を制御し、バッテリ制御装置17を介してバッテリ12を管理する。
【0066】
次に、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の各走行パターンについて図面を用いて説明する。
図3は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の各走行パターンを模式的に示した表である。
【0067】
パターン(1)のニュートラルでは、クラッチ3がOFF(非係合)、第1切換機構35がOFF(ニュートラル)、第2切換機構36がOFF(ニュートラル)、第3切換機構37がOFF、リバースアイドラギヤ39がOFF(リバースアイドラギヤ39がリバースドライブギヤ27及びリバースドリブンギヤ38と非噛合)である。
【0068】
パターン(2)の前進1速では、クラッチ3がON(係合)、第1切換機構35がL側でON(出力軸28と第1ドリブンギヤ29とが連結)、第2切換機構36がOFF、第3切換機構37がOFF、リバースアイドラギヤ39がOFFである。
【0069】
パターン(3)の前進2速では、クラッチ3がON、第1切換機構35がR側でON(出力軸28と第2ドリブンギヤ30とが連結)、第2切換機構36がOFF、第3切換機構37がOFF、リバースアイドラギヤ39がOFFである。
【0070】
パターン(4)の前進3速では、クラッチ3がON、第1切換機構35がOFF、第2切換機構36がL側でON(入力軸21と第3ドライブギヤ24とが連結)、第3切換機構37がOFF、リバースアイドラギヤ39がOFFである。
【0071】
パターン(5)の前進4速では、クラッチ3がON、第1切換機構35がOFF、第2切換機構36がR側でON(入力軸21と第4ドライブギヤ25とが連結)、第3切換機構37がOFF、リバースアイドラギヤ39がOFFである。
【0072】
パターン(6)の前進5速では、クラッチ3がON、第1切換機構35がOFF、第2切換機構36がOFF、第3切換機構37がON(入力軸21と第5ドライブギヤ26とが連結)、リバースアイドラギヤ39がOFFである。
【0073】
パターン(7)のリバースでは、クラッチ3がON、第1切換機構35がOFF、第2切換機構36がOFF、第3切換機構37がOFF、リバースアイドラギヤ39がON(リバースアイドラギヤ39がリバースドライブギヤ27及びリバースドリブンギヤ38と噛合い)である。
【0074】
次に、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の制御動作について比較例及び図面を用いて説明する。
図4は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の制御動作を模式的に示したフローチャート図である。
図5は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の変速段を1速から2速に変更するとき動作を模式的に示したタイムチャート図である。
図6は、比較例に係る車両駆動装置における駆動装置の構成を模式的に示したスケルトン図である。
図7は、比較例に係る車両駆動装置の変速段を1速から2速に変更するとき動作を模式的に示したタイムチャート図である。
【0075】
まず、車両停止又は前進時において、ハイブリッド制御装置18は、要求変速段の変化があるか否かを判断する(ステップA1)。なお、要求変速段の変化は、自動変速において情報処理(演算)により要求変速段の変化(アップシフト、ダウンシフト)があった場合、手動変速においてシフト操作があった場合が挙げられる。要求変速段の変化は、
図5のタイムチャートにおいては要求変速段が1速から2速に変化したT1の時点に相当する。要求変速段の変化がない場合(ステップA1のNO)、ステップA1に戻る。
【0076】
要求変速段の変化があった場合(ステップA1のYES)、ハイブリッド制御装置18は、変速機制御装置14を介してクラッチ3を断(OFF)に制御し、かつ、第1モータジェネレータ制御装置15を介して第1モータジェネレータ5を駆動又は回生制御する(ステップA2)。なお、ステップA2の制御は、
図5のタイムチャートにおいては、クラッチトルクが減少しているT1からT2の間に相当する。また、ステップA2において、第1モータジェネレータ5は、アップシフトの場合は駆動制御によりアシストし、ダウンシフトの場合は回生制御によりエンジンブレーキに相当する回生ブレーキをかける(ステップA3〜A5においても同様)。
【0077】
ステップA2の後、ハイブリッド制御装置18は、変速機制御装置14を介して変速機4をニュートラルの状態に制御し、かつ、第1モータジェネレータ制御装置15を介して第1モータジェネレータ5を駆動又は回生制御する(ステップA3)。なお、ステップA3の制御は、
図5のタイムチャートにおいては、実変速段が1速からニュートラルに変化するT2からT3の間に相当する。
【0078】
ステップA3の後、ハイブリッド制御装置18は、要求後の変速段で対応する回転要素(例えば、要求後の変速段が前進2速であれば出力軸28と第2ドリブンギヤ30)間の回転速度が同期するように、変速機制御装置14を介してクラッチ3を接状態に制御し、かつ、第2モータジェネレータ制御装置16を介して第2モータジェネレータ6を回生又は駆動制御し、かつ、第1モータジェネレータ制御装置15を介して第1モータジェネレータ5を駆動又は回生制御する(ステップA4)。なお、ステップA4の制御は、
図5のタイムチャートにおいては、クラッチトルクが高くなるT3からT4の間に相当する。また、ステップA4において、第2モータジェネレータ6は、アップシフトの場合は回生制御によりエンジン回転数を引き摺り落し、ダウンシフトの場合は駆動制御によりエンジン回転数を引き上げる。これにより、要求後の変速段で対応する回転要素間の回転速度を同期させる時間を短縮することができる。
【0079】
ステップA4の後、ハイブリッド制御装置18は、変速機制御装置14を介してクラッチ3を断(OFF)に制御し、かつ、変速機制御装置14を介して変速機4を要求後の変速段となるように制御し、かつ、第1モータジェネレータ制御装置15を介して第1モータジェネレータ5を駆動又は回生制御する(ステップA5)。なお、ステップA5の制御は、
図5のタイムチャートにおいては、実変速段がニュートラルから2速になるT4からT5の間に相当する。
【0080】
ステップA5の後、ハイブリッド制御装置18は、変速機制御装置14を介してクラッチ3を接状態に制御し(ステップA6)、その後、終了する。なお、ステップA6の制御は、
図5のタイムチャートにおいては、クラッチトルクが上昇するT5からT6の間に相当する。
【0081】
なお、比較例として、実施例1の第2モータジェネレータ(
図2の6)を有さない
図6のような構成の場合、切換機構35´、36´、37´において回転要素間の回転速度を同期させるためにシンクロ装置を設ける必要があり、変速機4の軸方向のサイズが大きくなってしまう。また、比較例では、実施例1の第2モータジェネレータ(
図2の6)を有さないので、エンジン回転数が成り行きで落ちて行き、変速機4で要求後の変速段を構成した後のクラッチ3を接状態に開始できるタイミングが遅れてしまい、要求変速段の変化があってから実際の変速段の変化が完了するまでの時間が実施例1よりも長くなってしまう(
図7参照)。
【0082】
実施例1によれば、差動装置7(出力軸28でも可)を駆動可能な第1モータジェネレータ5を設けるとともに入力軸21を駆動可能な第2モータジェネレータ6を設けることで、要求変速段に対応する回転要素間の回転速度を同期させることができるようになるので、切換機構35〜37においてシンクロ機構を設ける必要がない。切換機構35〜37においてシンクロ機構が不要になることにより、シンクロ機構による引き摺りロスがなくなるとともに、変速機4の軸長を短縮することができ、切換機構35〜37における部品点数を減少させることができ、第2モータジェネレータ6を追加した分のコストを切換機構35〜37の簡素化により相殺することができる。
【0083】
また、実施例1によれば、入力軸21を駆動可能な第2モータジェネレータ6の回生又は駆動により要求変速段に対応する回転要素間の回転速度を強制的に同期させることができるので、変速時間の短縮させることができ、フィーリングを向上させることができる。
【0084】
また、実施例1によれば、アップシフト時の第1モータジェネレータ5の駆動(力行)による変速アシス卜時に、第2モータジェネレータ6で回生を行なうため、トータルでの消費電力を低減させることができる。
【0085】
さらに、実施例1によれば、第2モータジェネレータ6を設けることでエンジン2を始動するスタータが不要となり、コストダウンを図ることができる。
【実施例4】
【0092】
本発明の実施例4に係る車両駆動装置について図面を用いて説明する。
図11は、本発明の実施例4に係る車両駆動装置における駆動装置の構成を模式的に示したスケルトン図である。
【0093】
実施例4は、実施例3の変形例であり、エンジン2と変速機4との間にクラッチを設けるのをやめ、その代わりにダンパ装置45を設けたものである。ダンパ装置45は、弾性力によってエンジン2と変速機4との間に生じた変動トルクを吸収するダンパ部を有する装置である。なお、ダンパ装置45は、摩擦力によってエンジン2と変速機4との間に生じた変動トルクを吸収するヒステリシス部を有する構成であってもよく、ダンパ部及びヒステリシス部で変動トルクを吸収できなくなったときにすべりを生ずるリミッタ部を有する構成であってもよい。なお、実施例4に係る車両駆動装置のその他の構成は、実施例1と同様である。
【0094】
次に、本発明の実施例4に係る車両駆動装置の制御動作について図面を用いて説明する。
図12は、本発明の実施例4に係る車両駆動装置の制御動作を模式的に示したフローチャート図である。
図13は、本発明の実施例4に係る車両駆動装置の変速段を1速から2速に変更するとき動作を模式的に示したタイムチャート図である。
【0095】
まず、車両停止又は前進時において、ハイブリッド制御装置(
図1の18)は、要求変速段の変化があるか否かを判断する(ステップC1)。要求変速段の変化は、
図13のタイムチャートにおいては要求変速段が1速から2速に変化したT1の時点に相当する。要求変速段の変化がない場合(ステップC1のNO)、ステップC1に戻る。
【0096】
要求変速段の変化があった場合(ステップC1のYES)、ハイブリッド制御装置(
図1の18)は、第1モータジェネレータ制御装置(
図1の15)を介して第1モータジェネレータ5を駆動又は回生制御する(ステップC2)。なお、ステップC2では、実施例1の
図4のステップA2と異なり、エンジン2の回転動力(駆動力又はエンジンブレーキ力)は変速機4に伝達された状態にある。また、ステップC2の制御は、
図13のタイムチャートにおいては、クラッチトルクが減少しているT1からT2の間に相当する。また、ステップC2において、第1モータジェネレータ5は、アップシフトの場合は駆動制御によりアシストし、ダウンシフトの場合は回生制御によりエンジンブレーキに相当する回生ブレーキをかける(ステップC3〜C7においても同様)。
【0097】
ステップC2の後、ハイブリッド制御装置(
図1の18)は、エンジントルクが0Nm以下となっているか否かを判断する(ステップC3)。エンジントルクが0Nm以下となっているポイントは、
図13のT2の時点に相当する。エンジントルクが0Nm以下となっていない場合(ステップC3のNO)、ステップC3に戻る。
【0098】
エンジントルクが0Nm以下となっている場合(ステップC3のYES)、ハイブリッド制御装置(
図1の18)は、第1モータジェネレータ制御装置(
図1の15)を介して第1モータジェネレータ5を駆動又は回生制御するとともに、第2モータジェネレータ制御装置(
図1の16)を介して第2モータジェネレータ6を駆動又は回生制御する(ステップC4)。第2モータジェネレータ6を駆動又は回生制御するのは、実施例4においてクラッチがないためで、変速機4においてシフト抜き(現状の変速段をニュートラルにする)を行うために、現状の変速段に対応する回転要素(例えば、現状の変速段が前進1速であれば出力軸28と第1ドリブンギヤ29)間でゼロトルクとなるようにしたものである。ステップC4の制御は、
図13のタイムチャートにおいては、第2モータジェネレータ6が駆動状態となっているT2からT3の間に相当する。
【0099】
ステップC4の後、ハイブリッド制御装置(
図1の18)は、変速機制御装置(
図1の14)を介して変速機4をニュートラルの状態に制御し、かつ、第1モータジェネレータ制御装置(
図1の15)を介して第1モータジェネレータ5を駆動又は回生制御する(ステップC5)。なお、ステップC5の制御は、
図13のタイムチャートにおいては、実変速段が1速からニュートラルに変化するT3からT4の間に相当する。
【0100】
ステップC5の後、ハイブリッド制御装置(
図1の18)は、要求後の変速段で対応する回転要素(例えば、要求後の変速段が前進2速であれば出力軸28と第2ドリブンギヤ30)間の回転速度が同期するように、第2モータジェネレータ制御装置(
図1の16)を介して第2モータジェネレータ6を回生又は駆動制御し、かつ、第1モータジェネレータ制御装置(
図1の15)を介して第1モータジェネレータ5を駆動又は回生制御する(ステップC6)。なお、ステップC6の制御は、
図13のタイムチャートにおいては、T3からT5の間に相当する。また、ステップC6において、第2モータジェネレータ6は、アップシフトの場合は回生制御によりエンジン回転数を引き摺り落し、ダウンシフトの場合は駆動制御によりエンジン回転数を引き上げる。これにより、要求後の変速段で対応する回転要素間の回転速度を同期させる時間を短縮することができる。
【0101】
ステップC6の後、ハイブリッド制御装置(
図1の18)は、変速機制御装置(
図1の14)を介して変速機4を要求後の変速段となるように制御し、かつ、第1モータジェネレータ制御装置(
図1の15)を介して第1モータジェネレータ5を駆動又は回生制御し(ステップC7)、その後、終了する。なお、ステップC7の制御は、
図13のタイムチャートにおいては、T5以降に相当する。
【0102】
実施例4によれば、実施例1と同様な効果を奏するとともに、エンジントルクが0Nm以下となったときに第2モータジェネレータ6を駆動又は回生制御することでクラッチがなくとも変速機4でのシフト抜けが可能となる。
【0103】
なお、本発明の全開示(請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。