特許第5942441号(P5942441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5942441ロール状基材への微細抜き加工方法と装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5942441
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】ロール状基材への微細抜き加工方法と装置
(51)【国際特許分類】
   B26F 1/44 20060101AFI20160616BHJP
   B26F 1/38 20060101ALI20160616BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   B26F1/44 G
   B26F1/38 A
   B26D7/18 F
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-13966(P2012-13966)
(22)【出願日】2012年1月26日
(65)【公開番号】特開2013-151054(P2013-151054A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2014年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】有本 祥子
(72)【発明者】
【氏名】山口 誠
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−045018(JP,A)
【文献】 特開平10−225899(JP,A)
【文献】 特開2004−074350(JP,A)
【文献】 特開2010−214475(JP,A)
【文献】 特開昭62−165817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/18
B26F 1/38
B26F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の打抜き模様に相応する形状の抜き刃を有するダイカットロールの外側とバックアップロールの外側との間に、紙をベースとするロール状基材と付着性を有する抜きかす受取部材とを別々に供給して重ね合わせた状態で挿通し、ロール状基材に所定の微細模様を打ち抜き、模様を打ち抜かれたロール状基材と抜きかす受取部材とを分離して、ロール状基材から抜きかすを抜きかす受取部材に付着させて巻取り除去する工程において、
ロール状基材と分離して抜きかすを付着させた抜きかす受取部材を巻取り前に検査機で所定の位置に抜きかすが付着していることを確認する検査することを特徴とするロール状基材への微細抜き加工方法。
【請求項2】
抜きかす受取部材がロール状基材と重ね合わせる面に粘着剤層または接着剤層を形成することにより付着性を備えたことを特徴とする請求項1に記載のロール状基材への微細抜き加工方法。
【請求項3】
模様を打ち抜かれたロール状基材を巻取り前にバキュームロールまたは粘着ロールの表面を通すことを特徴とする請求項1または2に記載のロール状基材への微細抜き加工方法。
【請求項4】
抜き刃がエッチングにより形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のロール状基材への微細抜き加工方法。
【請求項5】
紙をベースとするロール状基材と付着性を有する抜きかす受取部材とを別々に供給するための巻き出し部と、
これらを重ね合わせた状態で挿通し、ロール状基材に所定の微細模様を打ち抜く抜き刃を有するダイカットロールとバックアップロールからなるダイユニットと、
打ち抜かれたロール状基材と抜きかす受取部材とを分離して、ロール状基材から抜きかすを抜きかす受取部材に付着させて別々に巻取る巻取り部と、
ロール状基材と分離して抜きかすを付着させた抜きかす受取部材を巻取り前に所定の位置に抜きかすが付着していることを確認する検査する検査機を備えていることを特徴とするロール状基材への微細抜き加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙をベースとするロール状基材に所望の微細模様を打ち抜く微細模様の打ち抜き加工方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紙をベースとするロール状基材に所望の模様を連続的に打抜く方法としては、基材をゴムロール等のロールと所望の模様に相応する金属刃を有するダイカットロールとで挟みかつ挿通させて打抜くという方法が多用されてきた。
しかし、このような方法にあっては、素材を所望の模様に打抜く際に生じる素材の抜きかすが前記ロール近辺に散乱してしまうため連続的打抜きに支障をきたすという欠点があり、また、打抜きに用いる金属刃は通常工作機械などで加工されているため、ある程度以上の複雑な模様に相応する金属刃の製造は困難であり、それ故、前述の方法では複雑な模様を素材に打抜くことが出来ないという欠点があった。
【0003】
レーザー加工機を用いて、枚葉あるいはロール状でレーザーカットにより打ち抜く方式もあるが、加工可能な抜き柄の最小寸法は小さく微細な柄の抜き加工には向いているものの、紙ベースの基材に用いるには、紙の焼けや焦げカスの混入さらには焦げによる臭気等の問題があり、一次容器に不向きな生産環境となってしまう。
また、レーザーカットは加工スピードが遅いため、生産速度はダイカットロールによる打ち抜きよりも遅くなり、大量生産の場合には対応できないという欠点があった。
【0004】
たとえば、枚葉で通常の打ち抜き機を用いた方式としては、打ち抜き機とエッチング刃を用いた通常打ち抜きの方法がある。
この方法は加工費用は少なくてすむが、加工可能な抜き柄の最小寸法が大きいのみならず、抜きかすの混入を防止できず直径10mm以上程度の抜きかすは除去不能という問題がある。
また、枚葉で彫刻刃を用いた通常の打ち抜き機構にカス収納ボックスを付加した抜き型機構を用いた方法もあるがこれによっても抜きかすの混入は完全には避けられず、さらに近接した絵柄の抜きは困難であり微細な柄の表現には向かない。
【0005】
また、プラスチックフィルムに用いられる打ち抜き方法としては、金属刃や熱溶断刃を使用してロール状の基材を打ち抜く方法がある。
たとえば、特許文献1には、熱溶断性の素材を所望の模様に打抜く際に生ずる抜きかすを散乱させることなく処理することの出来る帯状素材の模様打抜き製造方法として、所望の打抜き模様に相応する形状の溶断刃を有する熱溶断ロールの外側とバックアップロールの外側との間に、熱溶断性の帯状素材とこの帯状素材と付着性を有する形状の抜きかす受取部材とを重ね合わせて挿通することにより帯状素材に所望の模様を打抜き、この際生じる抜きかすは前記抜きかす受取部材上に溶着、接着などにより付着させて抜きかすを抜きかす受取部材とともに処理するという方法が提案されている。
この方法によれば、熱溶断性の素材を所望の模様に打抜く際に生ずる抜きかすを散乱させることなく処理することの出来る帯状素材の模様打抜き製造方法を提供することが出来るとされる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に提案された方法を紙ベースの基材に用いる場合には、熱溶断ロールの熱によって起きる紙の焼けや焦げカスの混入、さらには焦げによる臭気等の問題が裂けられない。
また、所望の打抜き模様に相応する形状の模様の抜きかすが、抜きかす受け取り部材の
所定の位置に付着して分離除去されていることを確認することも非常に困難であった。
【0007】
上記のような事情から、紙ベースの基材を所望の模様に打抜く際に生ずる抜きかすを散乱させることなく処理することが出来て、確実に所望の模様に打ち抜かれていることを容易に確認することができる、ロール状基材の微細模様打抜き加工の新たな方法が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭58−45018
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、紙ベースの基材を所望の模様に打抜く際に生ずる抜きかすを散乱させることなく処理することが出来て、確実に所望の模様に打ち抜かれていることを確認できる紙をベースとするロール状基材への微細抜き加工方法と装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る発明は、所望の打抜き模様に相応する形状の抜き刃を有するダイカットロールの外側とバックアップロールの外側との間に、紙をベースとするロール状基材と付着性を有する抜きかす受取部材とを別々に供給して重ね合わせた状態で挿通し、ロール状基材に所定の微細模様を打ち抜き、模様を打ち抜かれたロール状基材と抜きかす受取部材とを分離して、ロール状基材から抜きかすを抜きかす受取部材に付着させて巻取り除去する工程において、
ロール状基材と分離して抜きかすを付着させた抜きかす受取部材を巻取り前に検査機で所定の位置に抜きかすが付着していることを確認する検査することを特徴とするロール状基材への微細抜き加工方法である。
【0011】
本発明の請求項2に係る発明は、抜きかす受取部材がロール状基材と重ね合わせる面に粘着剤層または接着剤層を形成することにより付着性を備えたことを特徴とする請求項1に記載のロール状基材への微細抜き加工方法である。
【0012】
本発明の請求項3に係る発明は、模様を打ち抜かれたロール状基材を巻取り前にバキュームロールまたは粘着ロールの表面を通すことを特徴とする請求項1または2に記載のロール状基材への微細抜き加工方法である。
【0013】
本発明の請求項4に係る発明は、抜き刃がエッチングにより形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のロール状基材への微細抜き加工方法である。
【0014】
本発明の請求項5に係る発明は、紙をベースとするロール状基材と付着性を有する抜きかす受取部材とを別々に供給するための巻き出し部と、
これらを重ね合わせた状態で挿通し、ロール状基材に所定の微細模様を打ち抜く抜き刃を有するダイカットロールとバックアップロールからなるダイユニットと、
打ち抜かれたロール状基材と抜きかす受取部材とを分離して、ロール状基材から抜きかすを抜きかす受取部材に付着させて別々に巻取る巻取り部と、
ロール状基材と分離して抜きかすを付着させた抜きかす受取部材を巻取り前に所定の位置に抜きかすが付着していることを確認する検査する検査機を備えていることを特徴とするロール状基材への微細抜き加工装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の方法によれば、ロール状基材から抜きかすを抜きかす受取部材に付着させて巻
取り除去することによって、ロール状基材を所望の模様に打抜く際に生ずる抜きかすを散乱させることなく処理することの出来るロール状基材への微細抜き加工方法を提供することが出来る。
【0016】
抜きかす受取部材がロール状基材と重ね合わせる面に粘着剤層または接着剤層を形成することにより付着性を備えていることにより抜きかすを抜きかす受取部材に付着させることが容易に行なえるだけでなく、さらに、抜きかすを付着させた抜きかす受取部材を巻取り前に検査することによって、所望の模様に確実に打ち抜かれていることを確認できるので抜き不良に対する対処が迅速に出来るようになる。
【0017】
模様を打ち抜かれたロール状基材を巻き取り前にバキュームロールや粘着ロールに通すことによって製品に混入した抜きかすの除去をおこない、抜きかすの製品への混入を防止することがさらに確実に出来るようになる。
【0018】
抜き刃がエッチングにより形成されていることによって細かく複雑な微細模様を打ち抜くことが出来る。
すなわち、抜き刃はダイカットロールの外周面にエッチングなどの化学的処理によって形成されたものであるので、従来の機械加工による刃の形状と比較してはるかに複雑な形状の抜き刃を製造することが可能となる。
また、抜き刃の形成がエッチングでなされるので製造コストの低減が出来、ダイカットロールを安価に提供できる。
【0019】
以上のように本発明の加工方法と装置によれば、ロール状基材に細かく複雑な微細模様を打ち抜くことが確実に出来るようになり、ロール状基材を使用した製品の意匠性とアイキャッチ効果を高めることに貢献することが出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の製造装置の一実施例を示す簡略工程図。
図2図1の装置を用いた本発明の方法での打ち抜き前後の断面略図。
図3】本発明の製造装置の別の実施例を示す簡略工程図。
図4図1の装置を用いた本発明の方法での打ち抜き前後の断面略図。
図5】本発明の方法による打ち抜き後の製品と抜きかす受取部材の平面略図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、抜き刃を有するダイカットロールの外側とバックアップロールの外側との間に、紙をベースとするロール状基材と付着性を有する抜きかす受取部材とを別々に供給して重ね合わせた状態で挿通することにより、ロール状基材に所定の微細模様を打ち抜き、ロール状基材から抜きかすを抜きかす受取部材に付着させて除去する工程において、
ロール状基材と分離して抜きかすを付着させた抜きかす受取部材を巻取り前に検査機で検査することによって打ち抜きの確実性を高めたロール状基材への微細抜き加工方法とそれに用いる装置である。
【0022】
以下、本発明の製造方法の実施の形態例を図面に基づいて説明する。
図1図2は本発明の製造装置の一実施形態を示す簡略工程図とそれを用いた打ち抜き前後の断面略図であり、図3図4は本発明の製造装置の別の実施形態を示す簡略工程図とそれを用いた打ち抜き前後の断面略図である。さらに図5では打ち抜き後の製品と抜きかす受取部材の平面略図を示した。
【0023】
図1の簡略工程図において、巻芯に巻装された紙ベースのロール状基材(2)は、ダイカットロール(10)とバックアップロール(11)との間を通って製品(1)として巻
き取られる。
別の巻き出しから引き出された抜きかす受取部材である粘着フィルム(9)はロール状基材(2)と重ねられてダイカットロール(10)とバックアップロール(11)との間を通ってそれぞれ別の巻き取りに巻き取られる。
【0024】
あらかじめ印刷機により所定の印刷表示を印刷されたロール状基材(2)は、ガイドロールを経て引き出され、一方、このガイドロールに対向した位置に設けられた別個のガイドロールには抜きかす受取部材である粘着フィルム(9)が巻回されてロール状基材(2)と同方向に引き出されており、これらのロール状基材(2)および抜きかす受取部材(9)は重合された状態でダイカットロール(10)およびバックアップロール(11)からなる打抜き工程部(ダイユニット)に送られている。
【0025】
さらに打ち抜き工程部でダイカットロール(10)の外周面に形成されている抜き刃(4)によって打ち抜かれて抜き穴(5)があけられたロール状基材(2)は製品(1)として巻き取られる。
打ち抜かれた後で抜きかすや紙粉除去のために粘着ロール(23)を通しても良い。この粘着ロールは抜きかすや紙粉を除去するためのものであるから同様の効果を奏するものであればバキュームロール等の装置であっても構わない。
【0026】
打ち抜き工程部で打ち抜かれてからロール状基材(2)と分離された粘着フィルム(9)は抜きかす(6)を付着させた状態で巻き取られる。
このときに粘着フィルム巻き取り前に画像検査機(24)を用いて所定の位置に抜きかす(6)が付着していることを確認することによって製品に形成された抜き穴(5)が所定の位置に洩れなく形成されていることかどうかを判定することができる。
【0027】
図5(A)には、抜き穴が正常に形成された場合の打ち抜き分離後の製品の平面部分略図を示した。また、図5(B)には(A)に対応する位置の打ち抜き分離後の抜きかす受取部材の平面略図を示した。
図5(A)のように、抜き穴が正常に形成された場合には打ち抜き分離後の抜きかすの状態は図5(B)のように打ち抜き分離後の受取部材表面に対応する位置に分布した抜きかすの配置状態が見られる。
【0028】
図2には図1の装置を用いた場合の打ち抜き工程部の断面略図を示した。
外周面に抜き刃(4)を備えたダイカットロール(10)と外周面にゴム等を巻いたバックアップロール(11)とからなる打ち抜き工程部に、重ね合わせて挿通されたロール状基材(2)と抜きかす受取部材としての粘着フィルム(9)を加圧して刃高Hの抜き刃(4)をロール状基材(2)に押し込みカットした状態を図2(A)に示した。
この後ダイカットロール(10)とバックアップロール(11)を開き、ロール状基材(2)と抜きかす受取部材としての粘着フィルム(9)を分離して、ロール状基材に抜き穴(5)が形成された製品(1)と抜きかす(6)が付着した粘着フィルム(9)とに分けた状態を図2(B)に示した。
【0029】
図3図4には抜きかす受取部材を保護フィルムを加えた構成とした場合の、本発明の製造装置の別の実施例を示す簡略工程図とそれを用いた打ち抜き前後の断面略図を示した。
図3の簡略工程図において、巻芯に巻装された紙ベースのロール状基材(2)は、ダイカットロール(10)とバックアップロール(11)との間を通って製品(1)として巻き取られる。
【0030】
別の巻き出しから引き出された抜きかす受取部材である粘着フィルム(9)は別の巻き
出しから引き出された保護フィルム(12)と重ねられてピンチロール(7)とピンチロール(8)の間を挿通して仮ラミネートされる。なお、仮ラミネートの工程は別工程であっても構わない。
この仮ラミネートされた片面粘着性のフィルムはその粘着面をロール状基材(2)と重ねられてダイカットロール(10)とバックアップロール(11)との間を通ってそれぞれ別の巻き取りに巻き取られる。このときに粘着フィルム(9)と保護フィルム(12)は一緒に巻き取られても構わない。
【0031】
あらかじめ印刷機により所定の印刷表示を印刷されたロール状基材(2)は、ガイドロールを経て引き出され、一方、このガイドロールに対向した位置に設けられた別個の案内ロールには抜きかす受取部材である粘着フィルム(9)と保護フィルム(12)の仮ラミネートされたフィルムが巻回されてロール状基材(2)と同方向に引き出されており、これらのロール状基材(2)および抜きかす受取部材(9)、(12)は重合された状態で外周面に抜き刃(4)を備えたダイカットロール(10)およびバックアップロール(11)からなる打抜き工程部に送られている。
【0032】
さらに打ち抜き工程部で打ち抜かれて抜き穴(5)があけられたロール状基材(2)は製品(1)として巻き取られる。打ち抜かれた後で抜きかすや紙粉除去のために粘着ロール(23)を通しても良い。
この粘着ロールは抜きかすや紙粉を除去するためのものであるから同様の効果を奏するものであればバキュームロール等の装置であっても構わない。
打ち抜き工程部で打ち抜かれてからロール状基材(2)と分離された粘着フィルム(9)は抜きかす(6)を付着させた状態で巻き取られる。
【0033】
このときに粘着フィルム巻き取り前に画像検査機(24)を用いて所定の位置に抜きかす(6)が付着していることを確認することによって製品に形成された抜き穴(5)が所定の位置に洩れなく形成されていることかどうかを判定できる(図5参照)。
画像検査機による検査を製品に対して行なうことは広く行なわれていることであるが、抜きかすの検査を行なうことによってより確実な検査を行うことが出来る。
検査機による検査において張力による形状変化を防ぐためにあるいは抜きかす(6)の画像のコントラストを高める等の目的で、保護フィルム(12)は粘着フィルム(9)と分離しない状態で一緒に巻き取ることも出来る。
【0034】
図4には図3の装置を用いた場合の打ち抜き工程部の断面略図を示した。
ダイカットロール(10)とバックアップロール(11)とからなる打ち抜き工程部に重ね合わせて挿通されたロール状基材(2)と抜きかす受取部材としての粘着フィルム(9)および保護フィルム(12)を加圧して刃高Hの抜き刃(4)をロール状基材(2)に押し込みカットした状態を図4(A)に示した。この後ダイカットロール(10)とバックアップロール(11)を開き、ロール状基材(2)と抜きかす受取部材としての粘着フィルム(9)および保護フィルム(12)を分離して、基材に抜き穴(5)が形成された製品(1)と抜きかす(6)が付着した粘着フィルム(9)および保護フィルム(12)とに分けた状態を図4(B)に示した。
【0035】
このように抜きかす受取部材としての粘着フィルム(9)に保護フィルム(12)を追加して用いることにより、ダイカット抜き刃(10)が押し込み時に磨耗や破損することを防止できるだけでなく、搬送中の張力変動による寸法変化を抑制することによって、画像検査機(24)を用いて所定の位置に抜きかす(6)が付着していることを確認することがより安定して出来るようになる。
【0036】
抜きかす受取部材(9)は、部材のベース基材に対してロール状基材と重ね合わせる面
に粘着剤層や接着剤層を形成することにより付着性を与えている。
ここでのベース基材はポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニル、セロハン、アセテート、紙、布などを用いることが出来る。
粘着剤や接着剤としては、アクリル系接着剤、ゴムなどを用いることが出来る。
【0037】
ロール状基材(2)はコート紙などの紙やそれらと樹脂フィルム層や金属層などを貼り合せたものを用いることが多いが、これらに限定されるものではない。基材の厚みは200μm以下であり、望ましくは50μmから130μmの範囲であることが好ましい。
抜き刃の損傷を少なくするためには、抜きかす受取部材(9)のロール状基材と重ね合わせる面の反対面に、保護フィルムを使用することが望ましい。
保護フィルム(12)としてはポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニル、セロハン、アセテート、紙、布などを用いることが出来る。
【0038】
前記ダイカットロール(10)は、表面が通常エッチングに適したマグネシウム合金などからなるシリンダ状に形成され、このシリンダの周面にはエッチングなどの化学処理により、所望の打抜き模様に相応する突起状の抜き刃(4)(図2図4参照)が設けられている。
また、前記バックアップロール(11)は外周面がシリコンゴムなどの軟質材で形成され、ダイカットロール(10)との間に挿通されるロール状基材(2)と抜きかす受取部材(9)とをダイカットロール(10)側に所定の圧力で押圧し、抜き刃(4)によりロール状基材(2)を円滑に打抜くことが出来るようにされている。
打ち抜き工程部から巻き取りとの間において、切断刃などを有する切断機構(図示せず)が設けられていてもよい。
この切断機構により所定模様を打抜かれたロール状基材(2)は適宜の長さに切断出来るようになっている。
【0039】
上述のように本発明のロール状基材への微細抜き加工方法によれば、抜きかす(6)は、抜きかす受取部材(9)の粘着剤に貼着されて抜きかす受取部材(9)、(12)とともに巻取機に巻取られるから、抜きかす(6)がダイカットロール(10)の下方などに散乱することがなく、したがってこれらの抜きかすが機械に巻き込まれることによって発生する機械の故障などを防止することが出来る。
【0040】
また、抜きかす(6)は前述のように抜きかす受取部材(9)に接着もしくは粘着されて運ばれるので、抜きかす受取部材(9)の表面から画像検査機で抜きかす(6)の分布を確認することによってダイカットロール(10)による打抜きが不完全な場合にはそれを確実に判定することが出来る。
【0041】
さらに、ダイカットロール(10)に備えられた抜き刃(4)はダイカットロール(10)の外周面にマグネシウム合金などの金属からエッチングなどの化学的処理によって形成されたものであるので、従来の機械加工による刃の形状と比較してはるかに複雑な形状の抜き刃を製造することが可能となり、複雑な形状の打抜きが可能となる。
また、抜き刃(4)の形成がエッチングでなされるので製造コストが安価となり、したがってダイカットロール(10)を安価に提供できる。
【0042】
なお、本実施形態では、ダイカットロール(10)はマグネシウム合金製としたがこれに限らずエッチングが可能でかつ抜き刃としての強度を有する金属によって製造されていても良い。
また、打抜き模様が複雑でない場合はダイカットロール(10)の抜き刃(4)をエッチングにより形成せず、機械加工あるいは所望の模様に相当する金属片を鉄製などのロー
ルの周面に固着して形成しても良いが、エッチングにより形成すれば安価となる利点がある。
【0043】
さらに、バックアップロール(11)の外周面はシリコンゴムなどの軟質材に限らず、耐熱性の優れた硬質な部材で形成しても良いが、軟質材とすれば抜き刃(4)を損傷することがないという利点がある。
また、ロール状基材(2)の供給は印刷済の巻き取りから巻き出す方法に限らず、同調して直結した印刷機による印刷工程から供給することも出来る。
このようにして単なる打抜き模様だけをロール状基材(2)に形成するのみならず、印刷機械と打抜き模様とを併用すれば、より多様な模様を同調して形成できるという利点がある。
【実施例】
【0044】
<実施例1>
下記の材料を用いて図3図4に示した構成の装置を用いた本発明の方法でロール状に巻かれたコート紙基材に星型の多数の抜き模様を形成した製品を製造した。
・抜き模様:星型(直径2.5mm、ピッチ1.0mm)
・ロール状基材:コート紙(印刷済み、坪量90g/m
・寸法:一面寸法 幅100mm×ピッチ160mm
・原反寸法 幅100mm×50m巻き
・粘着フィルム:キャリアテープ透明 PET25μmベース(寺岡製作所)
・保護フィルム:PET50μm
・抜き刃:エッチング刃 刃の高さH=0.2mm(塚谷刃物製作所)
【0045】
上記の材料を用いて速度15m/minで連続加工を行い画像検査機でキャリアテープに付着した抜きかすの映像を確認しながら50m運転して抜き加工を行なった。
巻き取られた製品を巻き戻しながら目視で確認したところ下記の不具合は見られなかった。
・ダイカットユニットでのカット不良。
・粘着フィルムで抜きかすを除去する際の、除去残りやカスの落下。
・コート紙裏面と粘着フィルムの貼着面において、粘着フィルムを剥がす際のコート紙の破れ、毛羽立ち。
・抜き加工を行なった基材について、テンションを掛けたときの波打ち。
・抜き加工を行なった基材について、 星型先端部分での破れ。
このようにして本発明の方法によれば、紙ベースの基材を所望の模様に打抜く際に生ずる抜きかすを散乱させることなく処理することが出来て、確実に所望の模様に打ち抜かれていることを確認できる紙をベースとするロール状基材の模様打抜き製造方法を提供することが可能になった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
紙ベースのロール状基材に意匠性とアイキャッチ効果を高めるために確実に細かく複雑な微細模様を打ち抜くことが要求される製品の製造。
【符号の説明】
【0047】
1…製品
2…ロール状基材
4…抜き刃
5…抜き穴
6…抜きかす
7…ピンチロール
8…ピンチロール
9…抜きかす受取部材(粘着フィルム)
10…ダイカットロール
11…バックアップロール
12…保護フィルム
23…粘着ロール
24…画像検査機
H…抜き刃の高さ
図1
図3
図2
図4
図5