(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
それぞれが互いに相対移動可能な一対のチューブを有し、ステアリングホイールの回転操作によって回転するステアリングシャフトを回転可能に支持するステアリングコラムと、
前記ステアリングコラムの前記一対のチューブを連結するための連結ワイヤと、
前記連結ワイヤの端部に取り付けられ、ブラケット本体及び複数の凸片を有するワイヤ取付用のブラケットとを備え、
前記ワイヤ取付用のブラケットにおいて、
前記ブラケット本体は、ステアリング操作のアシスト機構を電動モータ及びトルクセンサと共に構成する減速機を収容する減速機用のハウジングの端面にボルトによって取り付けられ、前記ボルトを挿通させるボルト挿通孔を有し、
前記複数の凸片は、前記ブラケット本体から突出して前記ボルト挿通孔の軸線回りに並列し、回転を規制するための回転規制用の凸片、及び誤取り付けを防止するための誤取付防止用の凸片によって構成され、前記回転規制用の凸片及び前記誤取付防止用の凸片が互いに異なる方向に突出して前記ブラケット本体に設けられている
ステアリング装置。
前記ワイヤ取付用のブラケットは、前記回転規制用の凸片に回転規制爪を、また前記誤取付防止用の凸片に誤取付防止爪をそれぞれ有し、前記回転規制爪及び前記誤取付防止爪が互いに反対の方向に突出して形成されている請求項1に記載のステアリング装置。
前記ワイヤ取付用のブラケットは、前記ブラケット本体及び前記回転規制用の凸片が前記減速機用のハウジングに接触して、また前記誤取付防止用の凸片が前記トルクセンサを収容するセンサ用のハウジングに突出してそれぞれ配置されている請求項2又は3に記載のステアリング装置。
前記ワイヤ取付用のブラケットは、その取付中心の回りに所定の間隔をもって並列する2つの凸片から前記回転規制用の凸片が構成されている請求項1乃至5のいずれか1項に記載のステアリング装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態に係るステアリング装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
(ステアリング装置の全体構成)
図1はステアリング装置の全体を示す。
図2は連結ワイヤの取付状態を示す。
図1及び
図2に示すように、ステアリング装置1は、ステアリングホイール100の回転操作によって回転するステアリングシャフト2と、ステアリングシャフト2を回転可能に支持するステアリングコラム(後述するブラケット本体の取付対象)3と、ステアリングコラム3の伸縮動作(テレスコピック調整)及び回転動作(チルト調整)を行うための操作レバー4とから大略構成されている。
【0023】
(ステアリングシャフト2の構成)
ステアリングシャフト2は、アッパシャフト20及びロアシャフト21を有し、ステアリングコラム3内にその軸線回りに回転可能に支持され、かつ操舵機構(図示せず)に連結されている。そして、ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール100の回転力を操舵力として操舵機構に伝達するように構成されている。
【0024】
アッパシャフト20は、ステアリングシャフト2のアッパ側(ステアリングホイール100側)に一部をステアリングコラム3外に露出させて配置され、全体が軸線両方向に開口する円筒部材によって形成されている。
【0025】
ロアシャフト21は、ステアリングシャフト2のロア側(操舵機構側)に配置され、かつアッパシャフト20にその軸線に沿って相対移動可能に連結されている。ロアシャフト21のアッパシャフト20に対する連結は、例えばスプライン嵌合によって行われる。
【0026】
(ステアリングコラム3の構成)
ステアリングコラム3は、それぞれが互いに相対移動可能な外方のチューブ30及び内方のチューブ31を有し、車両用運転席(図示せず)の前方に配置されている。そして、ステアリングコラム3は、ステアリングシャフト2を回転可能に支持するように構成されている。
【0027】
外方のチューブ30は、車体側のコラムブラケット(図示せず)にロック・アンロック機構用のハウジング5を介して移動可能に取り付けられ、かつ内方のチューブ31に連結ワイヤ6によって連結されている。そして、外方のチューブ30は、その軸線方向にアッパシャフト20と共に移動し得るように構成されている。連結ワイヤ6の詳細については後述する。
【0028】
ロック・アンロック機構用のハウジング5は、操作レバー4のレバー操作によってステアリングコラム3の伸縮動作及び回転動作のロック状態とアンロック状態とを切り替えるロック・アンロック機構(図示せず)を内蔵し、コラムブラケットに取り付けられている。
【0029】
内方のチューブ31は、外方のチューブ30にその軸線方向に沿って相対移動可能に配置され、かつコラムブラケットにアシスト機構用のハウジング7を介して支軸8の回りに回転可能に支持されている。
【0030】
アシスト機構用のハウジング7は、センサ用のハウジング9及び減速機用のハウジング10からなり、内方のチューブ31の外周囲に配置されている。そして、アシスト機構用のハウジング7は、ステアリングシャフト2にステアリング操作の操作補助力を付与するアシスト機構(図示せず)を収容するように構成されている。アシスト機構用のハウジング7には、トルクセンサ(図示せず)及び減速機(図示せず)と共にアシスト機構を構成する電動モータ11が取り付けられている。
【0031】
アシスト機構は、ステアリングホイール100の操作者(運転者)による操作によって作動する。これにより、ステアリングホイール100が操作されると、トルクセンサ及び車速の検出値に基づいて所定の電圧で電動モータ11が駆動される。そして、電動モータ11の駆動力(回転力)が減速機を介してステアリングシャフト2に伝達され、運転者のステアリング操作に対する操舵補助が行われる。
【0032】
センサ用のハウジング9は、操舵トルクを検出するトルクセンサ(図示せず)を内蔵し、ステアリングシャフト2の外周囲に配置され、全体が円筒部材によって形成されている。
【0033】
減速機用のハウジング10は、電動モータ11の回転力を減速する減速機(図示せず)を内蔵し、センサ用のハウジング9の操舵機構側に隣接して配置され、全体がセンサ用のハウジング9の外径よりも大きい外径をもつ円筒部材によって形成されている。そして、減速機用のハウジング10は、ステアリングコラム3(内方のチューブ31)のワイヤ取付部(後述するワイヤ取付用のブラケット12の取付部)として機能するように構成されている。
【0034】
(操作レバー4の構成)
操作レバー4は、ロック・アンロック機構用のハウジング5に回転可能に支持され、かつロック・アンロック機構に連結されている。そして、操作レバー4は、そのレバー操作(回転操作)によってロック・アンロック機構を作動させ、チルトロック,テレスコピックロック及びそのロック解除を実現し得るように構成されている。
【0035】
次に、外方のチューブ30と内方のチューブ31とを連結する連結ワイヤ6及びワイヤ取付用のブラケット12につき、
図2及び
図3(a),(b)を用いて説明する。
図3(a)及び(b)は連結ワイヤ及びワイヤ取付用のブラケットを示す。連結ワイヤ及びワイヤ取付用のブラケットによって連結器600が構成される。
【0036】
図2及び
図3(a),(b)に示すように、連結ワイヤ6は、端子60,61を両端部に有し、全体が例えば硬鋼線材からなる金属ワイヤによって形成されている。そして、連結ワイヤ6は、ステアリングコラム3(
図1に示す)の外方のチューブ30と内方のチューブ31(共に
図1に示す)とを連結するように構成されている。連結ワイヤ6のワイヤ長は、内方のチューブ31が外方のチューブ30から抜けない程度の寸法に設定されている。
【0037】
一方の端子60は、例えば金属端子からなり、連結ワイヤ6の一方端部に素材としての端子板(図示せず)の両側縁をかしめることにより取り付けられている。一方の端子60には、ロック・アンロック機構用のハウジング5に対するワイヤ取付片62が一体に設けられている。
【0038】
ワイヤ取付片62は、表裏両端面に開口するボルト挿通孔62aを有し、ボルト挿通孔62aを挿通するボルト13(
図1に示す)によってロック・アンロック機構用のハウジング5にねじ締めされている。
【0039】
他方の端子61は、一方の端子60と同様に、例えば金属端子からなり、連結ワイヤ6の他方端部に素材としての端子板(図示せず)の両側縁をかしめることにより取り付けられている。他方の端子61には、減速機用のハウジング10に対するワイヤ取付用のブラケット12が取り付けられている。
【0040】
ワイヤ取付用のブラケット12は、ブラケット本体14及び複数の凸片15〜17(ストッパ用の凸片15,16と誤取付防止用の凸片17)を有し、減速機用のハウジング10の軸線方向端面に配置され、全体が金属片によって形成されている。ワイヤ取付用のブラケット12としては、金属片に代えて樹脂片で形成してもよい。ワイヤ取付用のブラケット12は、右ハンドル車(運転席が車両の進行方向右側にある車)におけるステアリングコラム3の外方のチューブ30と内方のチューブ31とを連結する連結ワイヤ6に適用される。
【0041】
ブラケット本体14は、ボルト18を挿通させるボルト挿通孔14aを有し、減速機用のハウジング10の軸線方向端面に接触して配置され、かつ減速機用のハウジング10にその軸線方向端面に位置決めされた状態でボルト18によって取り付けられ、全体が平面円形状の板部材(金属板)によって形成されている。
【0042】
複数の凸片15〜17は、ブラケット本体14の円周方向(ボルト挿通孔14aの軸線回り)に所定の間隔をもって並列する位置に配置されている。一方のストッパ用の凸片15(基部15a)と誤取付防止用の凸片17(基部17a)との間の挟角α及び他方のストッパ用の凸片16(基部16a)と誤取付防止用の凸片17(基部17a)との間の挟角βは、例えばα,β≒71°の角度に設定されている。
【0043】
一方のストッパ(回転規制)用の凸片15は、基部15a及びストッパ(回転規制)爪15bを有し、減速機用のハウジング10に接触して配置され、かつブラケット本体14の外周縁に一体に設けられている。そして、一方のストッパ用の凸片15は、ワイヤ取付用のブラケット12の一方向回転を規制するように構成されている。
【0044】
基部15aは、ブラケット本体14の放射方向(連結ワイヤ6の引き出し方向)に突出して減速機用のハウジング10の軸線方向端面に配置され、かつ他方の端子61の裏面に取り付けられ、全体が矩形片によって形成されている。
【0045】
ストッパ爪15bは、減速機用のハウジング10の外周面(側面)に係止(位置決めされた状態で配置)され、かつ基部15aの裏面から突出してその一方側側縁(
図3(a)では上側側縁)に折り曲げ形成されている。そして、ストッパ爪15bは、ワイヤ取付用のブラケット12の一方向回転を規制するストッパとして機能するように構成されている。また、ストッパ爪15bは、ワイヤ取付用のブラケット12の減速機用のハウジング10に対する位置決め爪としても機能するように構成されている。
【0046】
他方のストッパ(回転規制)用の凸片16は、基部16a及びストッパ(回転規制)爪16bを有し、減速機用のハウジング10に接触して配置され、かつブラケット本体14の外周縁一方側(
図3(a)では下側)に一体に設けられている。そして、他方のストッパ用の凸片16は、ワイヤ取付用のブラケット12の他方向回転を規制するように構成されている。
【0047】
基部16aは、ブラケット本体14の放射方向に突出して減速機用のハウジング10の側方に配置され、全体が矩形片によって形成されている。
【0048】
ストッパ爪16bは、減速機用のハウジング10の外周面(側面)に係止(位置決めされた状態で配置)され、かつ基部16aの裏面から突出してその先端縁に折り曲げ形成されている。そして、ストッパ爪16bは、ワイヤ取付用のブラケット12の他方向回転を規制するストッパとして機能するように構成されている。また、ストッパ爪16bは、ワイヤ取付用のブラケット12の減速機用のハウジング10に対する位置決め爪としても機能するように構成されている。これにより、ブラケット取付時にその作業スペースが狭いスペースであっても、減速機用のハウジング10にストッパ爪16bをストッパ爪15bと共にブラケット本体14の取付中心回り(ボルト挿通孔14aの軸線回り)に位置決めしてワイヤ取付用のブラケット12を確実に取り付けることができる。
【0049】
誤取付防止用の凸片17は、基部17a及び誤取付防止爪17bを有し、センサ用のハウジング9に突出して配置され、かつブラケット本体14の外周縁一方側(
図3(a)では下側)に一方のストッパ用の凸片15と他方のストッパ用の凸片16との間に介在して一体に設けられている。
【0050】
基部17aは、ブラケット本体14の放射方向に突出して減速機用のハウジング10の軸線方向端面に配置され、全体が矩形片によって形成されている。
【0051】
誤取付防止爪17bは、センサ用のハウジング9の外周面(側面)を指向して配置され、かつストッパ爪15b,16bの突出方向と反対の方向に基部17aの表面から突出してその先端縁に折り曲げ形成されている。そして、誤取付防止爪17bは、ワイヤ取付用のブラケット12がその表裏面を逆にした状態で位置決めされると、減速機用のハウジング10の軸線方向端面あるいは他の部材(例えば電動モータ11)に当接するように構成されている。これにより、減速機用のハウジング10に対するワイヤ取付用のブラケット12の誤取付状態が検知される。
【0052】
次に、本実施の形態に示すステアリング装置1におけるステアリングコラム3の外方チューブ30と内方チューブ31とを連結する方法(チューブ連結方法)について説明する。
【0053】
本実施の形態に示すチューブ連結方法は、「ワイヤ取付用のブラケットの取り付け」及び「ワイヤ取付片の取り付け」の各工程が順次実施されるため、これら各工程を順次説明する。
【0054】
「ワイヤ取付用のブラケットの取り付け」
先ず、ワイヤ取付用のブラケット12のストッパ爪15b,16bを減速機用のハウジング10の外周面(係止位置)に位置決めし、減速機用のハウジング10のねじ孔(図示せず)にボルト挿通孔14aが合致するようにブラケット本体14の裏面を減速機用のハウジング10の軸線方向端面(ブラケット取付部)に配置する。この際、ワイヤ取付用のブラケット12の配置は、減速機用のハウジング10の軸線方向端面に対して誤取付防止用の凸片17の基部17aを当接させ、かつ誤取付防止爪17bを当接させない状態で行う。ここで、減速機用のハウジング10の軸線方向端面に対して基部17aが当接せず、かつ誤取付防止爪17bが当接する状態でワイヤ取付用のブラケット12が配置されると、ワイヤ取付用のブラケット12の表裏面を逆にした状態(誤取付状態)となり、ストッパ用の凸片15,16がストッパとして機能しない。
【0055】
次に、ブラケット本体14のボルト挿通孔14aにボルト18を挿通させて減速機用のハウジング10のねじ孔にねじ結合する。この場合、ボルト18が減速機用のハウジング10のねじ孔にねじ結合されると、減速機用のハウジング10に対してワイヤ取付用のブラケット12すなわち連結ワイヤ6の一方端部が取り付けられる。
【0056】
「ワイヤ取付片の取り付け」
先ず、ロック・アンロック機構用のハウジング5のねじ孔(図示せず)にボルト挿通孔62aが合致するようにワイヤ取付片62の裏面をロック・アンロック機構用のハウジング5の軸線方向端面に配置する。
【0057】
次に、ワイヤ取付片62のボルト挿通孔62aにボルト13を挿通させてロック・アンロック機構用のハウジング5のねじ孔にねじ結合する。この場合、ボルト13がロック・アンロック機構用のハウジング5のねじ孔にねじ結合されると、ロック・アンロック機構用のハウジング5に対してワイヤ取付片62すなわち連結ワイヤ6の他方端部が取り付けられる。
【0058】
このようにして、ステアリングコラム3の外方のチューブ30と内方のチューブ31とを連結することができる。なお、本実施の形態においては、「ワイヤ取付用のブラケットの取り付け」及び「ワイヤ取付片の取り付け」の各工程が順次実施される場合について説明したが、「ワイヤ取付片の取り付け」及び「ワイヤ取付用のブラケットの取り付け」の各工程を順次実施してもよい。
【0059】
[第1の実施の形態の効果]
以上説明した第1の実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0060】
(1)ワイヤ取付用のブラケット12がその表裏面を逆にした状態(誤取付状態)で位置決めされると、減速機用のハウジング10の軸線方向端面あるいは他の部材(例えば電動モータ11)に当接して減速機用のハウジング10に対するワイヤ取付用のブラケット12の誤取付状態が検知されるため、ステアリングコラム3(外方のチューブ30及び内方のチューブ31)に対する連結ワイヤ6の取付時にワイヤ取付用のブラケット12の誤取付状態を回避することができる。
【0061】
(2)ストッパ用の凸片15,16及び誤取付防止用の凸片17が互いに異なる方向に突出してブラケット本体14に設けられているため、ワイヤ取付用のブラケット12の取付時にストッパ用の凸片15,16及び誤取付防止用の凸片17を別々の位置に配置することができ、比較的狭いスペースを利用して減速機用のハウジング10に対するワイヤ取付用のブラケット12の取り付けを行うことができる。
【0062】
(3)ストッパ爪15b,16b及び誤取付防止爪17が互いに反対の方向に突出して形成されているため、ストッパ爪15b,16b及び誤取付防止爪17bの機能を共に発揮させることができる。
【0063】
(4)ブラケット本体14及びストッパ用の凸片15,16が減速機用のハウジング10に接触して、誤取付防止用の凸片17がセンサ用のハウジング9に突出してそれぞれ配置されているため、減速機用のハウジング10とセンサ用のハウジング9との間に形成されるスペースを利用してワイヤ取付用のブラケット12の取り付けを行うことができる。
【0064】
(5)ブラケット本体14が減速機用のハウジング10の軸線方向端面に、またストッパ用の凸片15,16が減速機用のハウジング10の側面にそれぞれ位置決めされた状態で配置されているため、減速機用のハウジング10の軸線方向端面にブラケット本体14を配置した状態でストッパ用の凸片15,16を位置決め用の凸片として機能させることができ、減速機用のハウジング10に対するワイヤ取付用のブラケット12の取り付けを簡単に行うことができる。
【0065】
(6)ストッパ用の凸片15,16がボルト挿通孔14aの軸線回りに並列して配置されているため、ワイヤ取付用のブラケット12の取付時にボルト挿通孔14aの軸線回り2方向にワイヤ取付用のブラケット12を位置決めすることができる。
【0066】
なお、本実施の形態では、右ハンドル車における減速機用のハウジング10にワイヤ取付用のブラケット12を取り付けるに際してその誤取付状態が検知され得る場合について説明したが、左ハンドル車(運転席が車両の進行方向左側にある車)における減速機用のハウジングにワイヤ取付用のブラケット12を取り付けるに際してもその誤取付状態を検知することができる。
【0067】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係るステアリング装置(ワイヤ取付用のブラケット等)につき、
図4(a)及び(b)を用いて説明する。
図4(a)及び(b)は連結ワイヤ及びワイヤ取付用のブラケットを示す。
図4(a)及び(b)において、連結ワイヤ及びワイヤ取付片等については
図3(a)及び(b)と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0068】
図4(a)及び(b)に示すように、本発明の第2の実施の形態に係るステアリング装置のワイヤ取付用のブラケット120は、左ハンドル車におけるステアリングコラム3の外方のチューブ30と内方のチューブ31(
図1に示す)とを連結する連結ワイヤ6に用いられる点に特徴がある。
【0069】
ワイヤ取付用のブラケット120は、ブラケット本体140及び複数の凸片150,160,170(ストッパ用の凸片150,160と誤取付防止用の凸片170)を有し、減速機用のハウジング10(
図2に示す)の軸線方向端面に配置され、全体が金属片によって形成されている。ワイヤ取付用のブラケット120としては、金属片に代えて樹脂片で形成してもよい。
【0070】
ブラケット本体140は、ボルト18(
図2示す)を挿通させるボルト挿通孔140aを有し、減速機用のハウジング10(
図2に示す)の軸線方向端面に接触して配置され、かつ減速機用のハウジング10にその軸線方向端面に位置決めされた状態で取り付けられ、全体が平面円形状の板部材(金属板)によって形成されている。
【0071】
複数の凸片150,160,170は、ブラケット本体140の円周方向(ボルト挿通孔140aの軸線回り)に所定の間隔をもって並列する位置に配置されている。一方のストッパ用の凸片150(基部150a)と誤取付防止用の凸片170(基部170a)との間の挟角γ及び他方のストッパ用の凸片160(基部160a)と誤取付防止用の凸片170(基部170a)との間の挟角δは、例えばγ,δ≒71°の角度に設定されている。
【0072】
一方のストッパ(回転規制)用の凸片150は、基部150a及びストッパ(回転規制)爪150bを有し、減速機用のハウジング10に接触して配置され、かつブラケット本体140の外周縁に一体に設けられている。そして、一方のストッパ用の凸片150は、ワイヤ取付用のブラケット120の一方向回転を規制するように構成されている。
【0073】
基部150aは、ブラケット本体140の放射方向(連結ワイヤ6の引き出し方向)に突出して減速機用のハウジング10の軸線方向端面に配置され、かつ他方の端子61の裏面に取り付けられ、全体が矩形片によって形成されている。
【0074】
ストッパ爪150bは、減速機用のハウジング10の外周面(側面)に係止(位置決めされた状態で配置)され、かつ基部150aの裏面から突出してその他方側側縁(
図4(a)では下側側縁)に折り曲げ形成されている。そして、ストッパ爪150bは、ワイヤ取付用のブラケット120の一方向回転を規制するストッパとして機能するように構成されている。また、ストッパ爪150bは、ワイヤ取付用のブラケット120の減速機用のハウジング10に対する位置決め爪としても機能するように構成されている。
【0075】
他方のストッパ(回転規制)用の凸片160は、基部160a及びストッパ(回転規制)爪160bを有し、減速機用のハウジング10に接触して配置され、かつブラケット本体140の外周縁他方側(
図4(a)では上側)に一体に設けられている。そして、他方のストッパ用の凸片160は、ワイヤ取付用のブラケット120の他方向回転を規制するように構成されている。
【0076】
基部160aは、ブラケット本体140の放射方向に突出して減速機用のハウジング10の側方に配置され、全体が矩形片によって形成されている。
【0077】
ストッパ爪160bは、減速機用のハウジング10の外周面(側面)に係止(位置決めされた状態で配置)され、かつ基部160aの裏面から突出してその先端縁に折り曲げ形成されている。そして、ストッパ爪160bは、ワイヤ取付用のブラケット120の他方向回転を規制するストッパとして機能するように構成されている。また、ストッパ爪160bは、ワイヤ取付用のブラケット120の減速機用のハウジング10に対する位置決め爪としても機能するように構成されている。これにより、ブラケット取付時に減速機用のハウジング10にストッパ爪160bをストッパ爪150bと共にブラケット本体140の取付中心回り(ボルト挿通孔140aの軸線回り)に位置決めしてワイヤ取付用のブラケット120を確実に取り付けることができる。
【0078】
誤取付防止用の凸片170は、基部170a及び誤取付防止爪170bを有し、センサ用のハウジング9(
図2に示す)の側面に突出して配置され、かつブラケット本体140の外周縁他方側(
図4(a)では上側)に一方のストッパ用の凸片150と他方のストッパ用の凸片160との間に介在して一体に設けられている。
【0079】
基部170aは、ブラケット本体140の放射方向に突出して減速機用のハウジング10の軸線方向端面に配置され、全体が矩形片によって形成されている。
【0080】
誤取付防止爪170bは、センサ用のハウジング9の外周面(側面)を指向して配置され、かつストッパ爪150b,160bの突出方向と反対の方向に基部170aの表面から突出してその先端縁に折り曲げ形成されている。そして、誤取付防止爪170bは、ワイヤ取付用のブラケット120がその表裏面を逆にした状態で位置決めされると、減速機用のハウジング10の軸線方向端面あるいは他の部材に当接するように構成されている。これにより、減速機用のハウジング10に対するワイヤ取付用のブラケット120の誤取付状態が検知される。
【0081】
本実施の形態に示すステアリング装置におけるステアリングコラム3の外方チューブ30と内方チューブ31とを連結する方法(チューブ連結方法)は、第1の実施の形態に示すチューブ連結方法と略同様に行われるため、その説明を省略する。
【0082】
[第2の実施の形態の効果]
以上説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態に示す効果と同様の効果が得られる。
【0083】
なお、本実施の形態では、左ハンドル車における減速機用のハウジング10にワイヤ取付用のブラケット120を取り付けるに際してその誤取付状態が検知され得る場合について説明したが、右ハンドル車における減速機用のハウジングにワイヤ取付用のブラケット120を取り付けるに際してもその誤取付状態を検知することができる。
【0084】
以上、本発明のステアリング装置及び連結器を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
【0085】
(1)上記の実施の形態では、連結ワイヤ6の一方端部にワイヤ取付片62が、また他方端部にワイヤ取付用のブラケット12(120)が取り付けられている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、連結ワイヤ6の一方端部又は両端部にワイヤ取付用のブラケット12(120)を取り付けてもよい。
【0086】
(2)上記の実施の形態では、ブラケット本体14(140)の取付対象がステアリング装置1のステアリングコラム3(外方のチューブ30と内方のチューブ31)側である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、ステアリングコラム以外の取付対象であってもよい。