特許第5942458号(P5942458)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋製罐株式会社の特許一覧

特許5942458シュリンクラベル装着方法、シュリンクラベル装着装置
<>
  • 特許5942458-シュリンクラベル装着方法、シュリンクラベル装着装置 図000002
  • 特許5942458-シュリンクラベル装着方法、シュリンクラベル装着装置 図000003
  • 特許5942458-シュリンクラベル装着方法、シュリンクラベル装着装置 図000004
  • 特許5942458-シュリンクラベル装着方法、シュリンクラベル装着装置 図000005
  • 特許5942458-シュリンクラベル装着方法、シュリンクラベル装着装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5942458
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】シュリンクラベル装着方法、シュリンクラベル装着装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 53/02 20060101AFI20160616BHJP
   B65D 23/08 20060101ALI20160616BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   B65B53/02 G
   B65D23/08 Z
   B65D1/02 221
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-29011(P2012-29011)
(22)【出願日】2012年2月14日
(65)【公開番号】特開2013-166558(P2013-166558A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2015年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】相川 孝之
(72)【発明者】
【氏名】前田 耕二
(72)【発明者】
【氏名】鶴本 高
(72)【発明者】
【氏名】重松 佳英子
(72)【発明者】
【氏名】長尾 丈太郎
【審査官】 神山 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−216984(JP,A)
【文献】 特開平11−157514(JP,A)
【文献】 特開2006−305856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 53/00−53/02
B65D 23/08
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のシュリンクラベルを熱収縮させて窪みが形成された容器に装着するシュリンクラベル装着方法であって、
容器に外嵌されたシュリンクラベルを押付手段が前記窪みに押し付ける押付工程と、この押付工程の状態のままシュリンクラベルを加熱手段で加熱する加熱工程と、押付工程時の状態でシュリンクラベルを冷却する冷却工程とを備え、
前記加熱工程時に押付手段を冷却し、押付工程で前記窪みに押し付けられたシュリンクラベルの部分を加熱工程時に熱収縮温度未満の温度に維持し、
前記冷却工程時に押付手段の冷却を続行し、シュリンクラベルを熱収縮温度未満の温度まで冷却することを特徴とするシュリンクラベル装着方法。
【請求項2】
筒状のシュリンクラベルを熱収縮させて窪みが形成された容器に装着するシュリンクラベル装着装置であって、
容器に外嵌されたシュリンクラベルを前記窪みに押し付ける押付手段と、この押付手段で押し付けられた状態のままシュリンクラベルを加熱する加熱手段と、押付手段で押付けられた状態でシュリンクラベルを冷却する冷却手段とを備え、
前記押付手段を冷却し、押付手段で前記窪みに押し付けられたシュリンクラベルの部分を加熱手段による加熱時に熱収縮温度未満の温度に維持し、
前記冷却手段による冷却時に前記押付手段の冷却を続行し、シュリンクラベルを熱収縮温度未満まで冷却することを特徴とするシュリンクラベル装着装置。
【請求項3】
前記押付手段の冷却を、冷媒が循環可能な循環路を内部に形成して行うことを特徴とする請求項2記載のシュリンクラベル装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状のシュリンクラベルを熱収縮させて容器に装着させるシュリンクラベル装着方法、シュリンクラベル装着装置及びその装置用の押付治具、並びに前記装着方法で得られるシュリンクラベル付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように飲料容器、食品容器、化粧品容器、洗剤容器などの様々な容器には熱収縮性フィルム製のシュリンクラベルが装着されている。このシュリンクラベルは筒状に形成され、容器に被せられた状態で外部から加熱される。この加熱時の熱収縮によりシュリンクラベルが容器に密着して装着されている。
【0003】
ところがシュリンクラベルは、容器の周方向に連続した凹凸形状に対しては、その形状に追従して熱収縮するものの、比較的平坦な面に深い凹状の窪みを形成した場合には追従して熱収縮できないため、窪みの開口部を覆った状態となり、輸送時・使用時にシュリンクラベルが破られるおそれがある。特に、凹状の窪みを容器の持ち上げ時の指当て部としたい場合、しっかりと把持することができなくなってしまう。この点につき紙スリーブなどの代用も考えられるが、使用後のゴミが増加し、好ましくない。
【0004】
そこで、容器に形成した凹状の窪みにシュリンクラベルを密着させる手法として特許文献1.2の技術が提案されている。この特許文献1の技術は、図4(a)に示すように、まず容器1の外周にシュリンクラベル3を熱収縮率に応じて緩やかに被せる。つぎに押付治具(プッシャー)4を加熱し、図4(b)に示すように、その先端部5でシュリンクラベル3を窪み2内に押し付ける。このときシュリンクラベル3の内周面に感熱性接着剤Sが塗布されているため、シュリンクラベル3が窪み2に接着される。その後に図4(c)に示すように、シュリンクラベル3を熱風HWで加熱し、シュリンクラベル3を熱収縮させて容器1の外周に装着させている。
【0005】
特許文献2の技術には、図5(a)の押付治具6を用いる。この押付治具6は、シュリンクラベル3を窪み2に押し付ける押付部7と、押付部7を支持する支持バー8とを備え、押付部7には複数の貫通孔7aが形成されている。そして、図5(b)に示すように、シュリンクラベル3の内周面に塗布された感熱性接着剤Sを、貫通孔7aを通じて加熱してシュリンクラベル3を窪み2の底面2aに接着させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−176515
【特許文献2】特開2009−286428
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1.2の技術は、共にシュリンクラベル3を感熱性接着剤Sによって窪み2に接着させているものの、シュリンクラベルはミシン目から切り裂いて簡単に分別廃棄できるのがメリットなため、接着という手法は好ましくない。
【0008】
また、押付治具4.6で押し付けたシュリンクラベル3を加熱して感熱性接着剤Sを活性化させる必要があるため、押し付けられた部分をムラなく均一に加熱しなければならならない。この押し付けられた部分は、他の部分よりも加熱されにくく、特許文献2の貫通孔7aを設けてもラベル装着に要する時間が長くなるおそれがある。
【0009】
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、シュリンクラベルを接着することなく、容器の窪みに密着させることを解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、容器の窪みに押し付けられたシュリンクラベルの部分を熱収縮させることなく、窪みに押し付けられた状態、即ち密着状態を維持させている。本発明のシュリンクラベル装着方法は、容器に外嵌されたシュリンクラベルを押付手段が容器の窪みに押し付ける押付工程と、この押付工程の状態のままシュリンクラベルを加熱手段で加熱する加熱工程とを備え、押付工程で前記窪みに押し付けられたシュリンクラベルの部分を、加熱工程時に熱収縮温度未満の温度に維持することを特徴としている。この方法の一態様としては、加熱工程時に押付手段を冷却することが挙げられる。
【0011】
本発明のシュリンクラベル装着装置は、容器に外嵌されたシュリンクラベルを容器の窪みに押し付ける押付手段と、この押付手段で押し付けられた状態のままシュリンクラベルを加熱する加熱手段とを備え、押付手段で前記窪みに押し付けられたシュリンクラベルの部分を、加熱手段の加熱時に熱収縮温度未満の温度に維持することを特徴としている。この装置の一態様にも加熱手段によるシュリンクラベルの加熱時に押付手段を冷却することが挙げられる。
【0012】
本発明のシュリンクラベル装着装置用の押付治具は、冷媒が循環可能な循環路を内部に形成して、前記装置におけるシュリンクラベルの加熱時に冷媒を循環路に循環させることを特徴としている。したがって、シュリンクラベルは、押付治具に押し付けられた部分が冷却される。
【0013】
本発明のシュリンクラベル付容器は、前記シュリンクラベル装着方法により得られ、任意の対象を内部に収容可能な容器本体と、この容器本体の外周に装着されたシュリンクラベルとを備え、容器本体の窪みに押し付けられたシュリンクラベルの部分が、熱収縮することなく該窪みに密着している一方、前記部分を除いたシュリンクラベルが、熱収縮して容器本体に密着していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シュリンクラベルを接着させることなく、シュリンクラベルを窪みに密着させた容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は本発明の実施形態に係るシュリンクラベル付容器の正面図、(b)は(a)のA−A断面図。
図2】(a)は本発明の実施形態に係るシュリンクラベル装着方法の外嵌工程を示す縦断面図、(b)は同装着方法の押付工程を示す縦断面図、(c)は同装着方法の加熱工程を示す縦断面図、(d)は同装着方法の冷却工程を示す縦断面図、(e)は押付治具の押し付けを解除した状態の縦断面図。
図3図2(b)〜(e)の工程を実行するシュリンクラベル装着装置の概略図。
図4】(a)は特許文献1の外嵌工程を示す横断面図、(b)は同押付工程を示す横断面図(c)は同加熱工程を示す横断面図。
図5】(a)は特許文献2の押付治具の斜視図、(b)は(a)の押付治具によりシュリンクラベルを窪みに押し付けた状態の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
≪シュリンクラベル付容器≫
図1に基づき本発明の実施形態に係るシュリンクラベル付容器を説明する。このシュリンクラベル付容器(ボトル)10は、例えばブロー成形により成形され、図1(a)に示すように、内部に収容対象を収容する容器本体11と、容器本体11の有底筒状の胴部12に装着されたシュリンクラベル13とを有している。
【0017】
容器本体11の材料は、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系などの熱可塑性樹脂、金属、ガラス、陶器、紙など公知の材料でよい。また、容器本体11の収容対象としては、洗浄剤、柔軟剤、化粧品、薬品、燃料、食品、食用油、飲料などの液体又は粉体などが例示される。
【0018】
胴部12には、比較的平坦な面に持ち運び時などに指を掛けるための逆切頭円錐状の深い窪み14が形成されている。このように深い窪み14を有する前記容器10は、指先を嵌め入れるようにして把持することができ、握力の弱い人など多くの使用者にとって使いやすいため、ユニバーサルデザイン容器とも呼ばれている。具体的には、窪み14は、図1(b)に示すように、胴部12に前後一対の断面凹状に形成され、窪み底面15が円形状に形成されている。この窪み底面15は平面状(平坦状)が好ましく、該窪み14が形成されていれば、胴部12の形状は問わず、公知の形状でよい。
【0019】
シュリンクラベル13は、例えば熱収縮性のフィルムの両側端部を重ね合わせ、該重ね合わせた部分を溶剤又は接着剤などで接着(センターシール)することよって筒状に形成され、所定の長さに切断して提供されている。このシュリンクラベル13は分断用のミシン目が形成され、外周面に商品名、商標、絵柄デザインなどがグラビア印刷される。
【0020】
シュリンクラベル13の基材となる熱収縮性フィルムは、少なくとも幅方向、即ち筒状に形成した際における周方向に熱収縮性を有すれば材質は限定されず、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選択される1種又は2種以上の混合物などからなる合成樹脂フィルムを用いることができる。また、熱収縮性を有する2種類以上の合成樹脂製フィルムが積層された積層フィルムを用いることもできる。さらに、熱収縮性を有するフィルムに発泡樹脂シートなどの断熱層やその他の機能層が積層された公知の積層フィルムを用いることもできる。
【0021】
この熱収縮性フィルムの熱収縮率は、熱収縮により容器10に密着可能であればよく、通常は幅方向における熱収縮(90℃温水中に10秒間浸漬)が約40%以上、好ましくは約50%以上が例示される。ここでは「熱収縮率(%)=[{(幅方向の元の長さ)−(幅方向の浸漬後の長さ)}/(幅方向の元の長さ)]×100」とする。
【0022】
このような前記容器10は、シュリンクラベル13が周方向の熱収縮によって胴部12の外形に沿って密着して装着され、該胴部12からの脱落などが防止されている。このときシュリンクラベル13は、窪み14の形状に沿っているものの、窪み底面15に対応する部分(以下、底面対応部17とする)が熱収縮することなく窪み底面15に密着している。
【0023】
≪シュリンクラベルの装着方法≫
図2に基づき前記容器10におけるシュリンクラベル13の装着方法を説明する。ここでは、まず筒状のシュリンクラベル13を開口させて、図2(a)に示すように、窪み14の開口部を覆うようにシュリンクラベル13を容器本体11の胴部12に外嵌する(外嵌工程)。このときシュリンクラベル13は、熱収縮率に応じた余裕をもって緩やかに胴部12に被せられる。
【0024】
すなわち、窪みを有しない一般的な容器の場合、シュリンクラベル13の周長は胴部12の外周長より1〜10%程度長く設定されている。本装着方法においてもシュリンクラベル13の周長は一般的な容器の場合と同程度あるいは窪み14の深さ分を加味した長さとしておくのがよい。なお、ストッパ27によりシュリンクラベル13の下限位置が規制される。また必要に応じて周方向も位置決めする。さらに位置決め用の接着剤を内面に塗布しておき、シュリンクラベル13を仮止めしてもよい。
【0025】
つぎに図3のシュリンクラベル装着装置(ラベラー)20を用いて、シュリンクラベル13を胴部12の外周面に密着させる。この装置20は、対向配置された一対のエンドレス状の回転駆動装置21と、各回転駆動装置21に所定間隔をおいて複数個が固定された円筒状の押付治具(プッシャー)22と、シュリンクラベル13を熱収縮させる複数の熱風機23とを備え、熱風機23には汎用のヒートガンなどを用いることができる。
【0026】
各押付治具22は、耐熱性樹脂やステンレスなどの金属により構成され、それぞれの先端部22aが対向しており、各回転駆動装置21に左右一対に配設されている。この各押付治具22は、図示省略のエアシリンダーやカムなどの手段によって先端部22aをシュリンクラベル13に押し付けたり、後退させたりすることが可能である。例えば単動のエアシリンダーであれば、エアによって前進動作して先端部22aがシュリンクラベル13を窪み底面15に押し付ける一方、内蔵ばねによって後退動作して前記押し付けが解除される。
【0027】
また、各押付治具22は、先端面22bが窪み底面15と同等の大きさの相似形(円形)に形成され、内部には冷媒の循環可能なコ字状の循環路24が形成されている。この循環路24の基端部側の入出口には、一対のアダプタ25を介してホース26の一端部が連結されている。このホース26の他端部には図示省略のポンプが連結され、該ポンプの作動によって所定タンク内の冷媒が循環路24を通って循環可能となっている。ここではポンプは前記装置20の運転稼動中は常時作動し、循環路24内に冷媒を常に循環させているものとする。なお、前記冷媒として、通常は冷却水・クーラント(coolant)などの冷却液が用いられている。
【0028】
各回転駆動装置21は、容器本体11を搬送する方向に同期して回転可能となっている。ここではシュリンクラベル13を胴部12に外嵌させた容器本体11は、矢印P.Qに示すように、回転駆動装置21の上流側から(A)押付ゾーン→(B)加熱ゾーン→(C)冷却ゾーンの順に搬送される。なお、図3中では、容器本体11の状態をわかり易くするために容器本体11を横倒し状態で示しているが、実際には容器本体11は立てた状態で各ゾーンに搬送される。以下、各ゾーンの処理工程を説明する。
【0029】
(A)押付ゾーン
押付ゾーンでは、左右の押付治具22を用いてシュリンクラベル13を胴部12の窪み14に押し付ける(押付工程)。ここでは図2(b)に示すように、各押付治具22の先端部22aをシュリンクラベル13に押し当てて、シュリンクラベル13を窪み14に押し込む。これによりシュリンクラベル13が、各押付治具22の先端部22aにより窪み底面15に押し付けられ、窪み底面15に密着する。この押付工程の完了後に容器本体11は、左右の押付治具22の先端部22aで保持された状態のまま加熱ゾーンおよび冷却ゾーンへと搬送される。
【0030】
(B)加熱ゾーン
加熱ゾーンでは、図2(c)に示すように、押付工程時の状態のままシュリンクラベル13を熱収縮温度に加熱する(加熱工程)。ここでは一例として90℃までシュリンクラベル13を加熱するものとする。この加熱は、矢印Hに示すように、熱風機23により熱風(例えば100℃〜200℃)を吹き付けて行う。この加熱によりシュリンクラベル13が、容器本体11の胴部12の外形に追従して熱収縮し、胴部12の外周に密着する。
【0031】
ただし、前記ポンプが前記装置20の運転稼動中は常時作動しているため、矢印(c)に示すように、冷媒が循環路24内を常に循環し、各押付治具22が冷媒循環により冷却されている。このとき窪み底面15に密着するシュリンクラベル13の部分、即ち底面対応部17は押付治具22の先端面22bに押し付けられているため、該先端面22bを通じて冷却される。この意味で前記装置20の押付治具22は、シュリンクラベル13の押付と冷却とを兼ねるクーリングプッシャーとして機能している。
【0032】
その結果、シュリンクラベル13の底面対応部17は、熱風Hを吹き付けても熱収縮温度(90℃)に到達することはなく、加熱工程を通じて熱収縮温度未満の温度を維持する。したがって、前記底面対応部17は、加熱工程時に熱収縮することなく、押付工程時の窪み底面15に対する密着状態が維持される。これによりシュリンクラベル13を接着の手法を用いることなく、窪み底面15に密着させることが可能となる。
【0033】
一方、シュリンクラベル13中、窪みの周側面18に対応する部分(以下、側面対応部19とする。)は、押付治具22と接していないため、冷却されることはなく、熱収縮温度に到達して熱収縮する。このとき底面対応部17が窪み底面15に押し付けられているため、側面対応部19は熱収縮でテンションが加わって窪み周側面18に密着する。
【0034】
(C)冷却ゾーン
冷却ゾーンでは、図2(d)に示すように、押付工程時の状態でシュリンクラベル13を熱収縮温度未満の温度まで冷却する(冷却工程)。この冷却は自然冷却でもよいが、時間短縮のためには冷風などを吹き付けて強制的に温度を下げることが好ましい。
【0035】
この冷却工程時にも、矢印(c)に示すように、冷媒循環による押付治具22の冷却が続行されるため、余熱によるシュリンクラベル13における底面対応部17の熱収縮が防止される。
【0036】
そして、シュリンクラベル13の全体が概ね冷えた段階で、図2(e)に示すように、各押付治具22の先端部22aを戻して窪み14から取り外し、シュリンクラベル13の押し付け状態を解除する。これにより容器本体11へのシュリンクラベル13の装着が完了し、前記容器10が提供される。
【0037】
ここで提供される前記容器10は、シュリンクラベル13が窪み底面15に接着されていないため、シュリンクラベル13の分別廃棄時に接着を剥がす手間を省くことができる。その結果、ミシン目から切り裂くだけで簡単にシュリンクラベル13を分別廃棄することが可能となる。また、加熱工程時に感熱性接着剤を活性化させる必要がないため、シュリンクラベル13の底面対応部17に熱をムラなく均一に伝えなくともよく、ラベル装着時間の短縮に貢献できる。
【0038】
また、シュリンクラベル13の底面対応部17は、各押付治具22の冷媒循環で局所的に常時冷却されているため、熱ムラが発生しなく、仕上がり状態がより美麗となる。さらにシュリンクラベル13の底面対応部17と側面対応部19との境界では温度差が大きくなるため、該境界がくっきりと発現し、窪み14の形状に沿わせた形が明瞭化され、この点も加味すればラベル装着をボトル印刷のイメージに近づけることができる。
【0039】
このような前記容器10を提供する前記装置20は、各押付治具22内に冷媒を循環させる流通路24を形成すればよく、特別な設備を必要とせず、簡易な設備で前記容器10が提供できる。この点で設備費の増加を抑制でき、既存設備を活用することもできる。
【0040】
≪変形例等≫
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載された範囲内で変形して実施することができる。以下に一例を説明する。
【0041】
(1)窪み14
容器本体11の窪み14は、必ずしも前後一対である必要はなく、前後の大きさ、形状、個数は対称でなくてもよい。例えば窪み14は、図1(a)の正面円形に限らず、楕円形やトラック形状でもよい。
【0042】
また、一対の回転駆動装置21の片方の押付治具22を容器本体11を支持する部材に交換したり、図示省略の容器搬送コンベヤにポケットやグリッパを設けて容器本体11を支持するようにしておけば、窪み14を胴部12の前後のいずれか一方にのみ設けることもできる。このような容器の支持部材は、シュリンクラベル13を隠さない位置で容器を支持するか、加熱を妨げない多数の穴あき状、網目状であるのが好ましい。
【0043】
(2)加熱工程
加熱工程は、熱風機23の熱風ではなく、蒸気噴出ノズルの蒸気によりシュリンクラベル13を加熱することもできる。この場合の蒸気噴出ノズルとしては、ノズル孔が多数穿設されたパイプを用いればよい。
【0044】
(3)冷媒循環
冷媒循環させる前記ポンプは、前記装置20の運転稼動中に常時作動させる必要はなく、ポンプ作動のON/OFFを制御することもできる。この場合には少なくとも加熱工程前にはポンプ作動をONにし、冷媒循環による押圧治具22の冷却を開始する。一方、シュリンクラベル13の余熱による熱収縮を防止する観点から冷却工程でシュリンクラベル13が冷えた段階、即ち押付治具22の押し付け状態を解除した後にポンプ作動をOFFとすることが好ましい。
【0045】
また、押付治具22を冷却する冷媒も冷却液には限定されず、例えば冷却エアを用いることもできる。この場合には汎用の空気冷却装置から冷却エアを循環路24に送出・排出すればよい。
【0046】
なお、押付治具22の冷却は、内部の循環路24に冷媒を循環させるだけではなく、押付治具22が押付状態にない回転駆動装置21の区間で外部から冷却しておくこともできる。この場合の外部冷却は自然放冷や冷却エアなどでよい。
【符号の説明】
【0047】
10…シュリンクラベル付容器
11…容器本体
13…シュリンクラベル
14…窪み
15…窪み底面
17…シュリンクラベルの底面対応部
20…シュリンクラベル装着装置
22…押付治具(押付手段)
23…熱風機(加熱手段)
24…循環路
図1
図2
図3
図4
図5