(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の金属配線パターンと前記第2の金属配線パターンとの間の領域に、前記導体パターンが形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の半導体装置。
前記第1の金属配線パターンからの距離と前記第2の金属配線パターンからの距離とが等しい位置に前記導体パターンが形成されていることを特徴とする請求項6記載の半導体装置。
同層に形成された複数の前記第1の金属配線パターンを有し、前記複数の第1の金属配線パターンが前記第1の方向に交差する第2の方向に延在する第1の接続部により接続されているとともに、
同層に形成され、前記複数の第1の金属配線パターンの間にそれぞれ配置された複数の前記第2の金属配線パターンを有し、前記複数の第2の金属配線パターンが前記第2の方向に延在する第2の接続部により接続されていることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の半導体装置。
【背景技術】
【0002】
LSI等の半導体装置は、製造過程におけるエッチングやCMP(化学機械的研磨)等のプロセス工程において、パターンの粗密差が大きいと製造できなかったり所望のパターンが形成できなかったりする。そのため、パターンの粗密差を低減して各層の平坦性を向上させることを目的として、設計パターンに対して密度制約等を満たすようにダミーパターンを挿入し配置することが行われている。
【0003】
また、
図15及び
図16に示すように、配線層の平行な金属配線パターンにより形成される容量を利用した容量素子を有する半導体装置がある。
図15は、金属配線パターン間の容量を利用した容量素子を有する半導体装置の構成例を示す概略平面図である。
図16は、
図15に示したA−A’線に沿った断面を示す概略断面図である。
図15及び
図16において、101は半導体装置であり、102A、102Bは配線層に形成された金属配線パターンであり、103はポリシリコン膜である。104は半導体基板であり、107は半導体基板104に形成されたp型ウェルであり、105は絶縁膜である。絶縁膜105は、例えばゲート絶縁膜に相当する酸化膜である。106は素子活性領域を画定する素子分離絶縁膜である。素子分離絶縁膜106は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により形成される。
【0004】
半導体装置101において、第1の金属配線パターン102A及び第2の金属配線パターン102Bは、櫛歯型にレイアウトされ、金属配線パターン102A、102B間の絶縁膜を誘電体膜として、金属配線パターン102A、102B間に容量が形成されている。この構成においても、半導体基板104に形成されるポリシリコン膜や素子分離絶縁膜の密度制約等の製造上の問題から金属配線パターン102A、102Bの下方の半導体基板104側にパターン密度が均等になるようにポリシリコン膜103等が挿入し配置される。この例では、ポリシリコン膜103は、p型ウェル107上に絶縁膜105を介して形成されており、また製造用のダミーパターンであるために結線はされておらず電気的にフローティングである。
【0005】
図15及び
図16に例示した半導体装置は、金属配線パターン102A、102B間の容量を容量素子として使うように構成したものである。しかし、金属配線パターン102A、102B間の容量Csに加えて、金属配線パターン102A、102Bについて寄生容量として基板側の容量Cxがつき、その等価回路は
図17に示すようになる。
図17において、ノードA(NA)及びノードB(NB)は金属配線パターン102A及び102Bの金属配線パターンに対応する。
【0006】
寄生容量である容量Cxの容量値は電圧に応じて変化し、金属配線パターン102A、102Bから見た容量は容量Csと容量Cxとの並列接続であるので、金属配線パターン102A、102Bから見た容量特性は
図18のような電圧依存を示す。
図18には、基板側がp型半導体領域で、金属配線パターン102A、102Bの一方及び半導体基板を0(V)に固定した場合の金属配線パターン102A、102Bの他方の電圧変化に対する容量の変化を示している。金属配線パターン102A、102Bの他方の電圧が大きくなるのに伴って容量値が小さくなっていき、期待する容量特性との差が大きくなる。このような容量特性における電圧依存性は、高精度アナログ回路(例えばA/D変換器)等で問題となる。
【0007】
ここで、
図19を参照し、寄生容量である基板側の容量Cxの電圧依存について説明する。金属配線パターン102A、102Bに電圧がかかることで生じる金属配線パターン102A、102Bからの電界がポリシリコン膜103を経由して基板104(p型ウェル107)に終端する。そのため、ダミーパターンとして形成されるポリシリコン膜103はフローティングであるが、擬似的に可変電源が接続されているのと同じような振る舞いを示す。したがって、金属配線パターン102A、102Bにかかる電圧が変化すると、ポリシリコン膜103−絶縁膜105−基板104(p型ウェル107)の構造がバラクタ容量の振る舞いをし、
図19(B)に示すように容量値が変化する。このようにして寄生容量である基板側の容量Cxは電圧に応じて変化する。また、
図20(A)及び
図20(B)に示すように、ウェルがp型ウェル107でなくn型ウェル108である場合も同様である。ただし、ウェルがn型ウェル108である場合の容量特性は、
図20(B)に示すようにp型ウェル107とは逆の変化を示す。
【0008】
フローティングのポリシリコン膜−絶縁膜−基板(ウェル)の構造が形成されていれば、基板側の容量Cxは同様な電圧依存を示し、金属配線パターン102A、102Bから見た容量も同様な電圧依存を示す。例えば、
図21(A)に示すようにダミーパターンであるポリシリコン膜103が素子分離絶縁膜106上に形成されている場合も、絶縁膜の膜厚が大きくなっただけであるので、金属配線パターン102A、102Bに電圧を大きくかけていくと同様な電圧依存を示す。また、例えば、ダミーパターンであるポリシリコン膜103が、
図21(B)に示すようにn型ウェル108上に絶縁膜105を介して形成されている場合、又は
図21(C)に示すようにn型ウェル108中に形成された素子分離絶縁膜106上に形成されている場合も同様である。ただし、n型ウェル108の上方にポリシリコン膜103が形成されている場合の容量は、
図20(B)に示したように電圧が大きくなるのに伴って容量値が大きくなるように変化する。なお、
図21(A)〜(C)において、
図15及び
図16に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0009】
前述のような金属配線パターン102A、102Bから見た容量の電圧依存を改善する方法として、基板側におけるバラクタ容量のような振る舞いを抑制するためにポリシリコン膜103の電位を固定することが考えられる。しかし、ダミーパターンであるポリシリコン膜103の電位を固定するには、ポリシリコン膜103を物理的に接続しなければならず、金属配線パターン102A、102Bの下方にポリシリコン膜103を張り巡らす必要がある。この場合には、金属配線パターン102A、102Bから見た容量の電圧依存を改善することはできるが、ポリシリコン膜103を物理的に長く接続することとなり寄生容量が大きくなってしまうという問題がある。
【0010】
下記特許文献1、2には、半導体基板(ウェル)上に絶縁膜を形成し、さらに絶縁膜上に導電性薄膜(電極)を形成することで容量素子を構成する半導体装置において、容量の電圧依存を低減する技術が開示されている。下記特許文献1、2では、電極となる導電性薄膜を物理的に接続し、p型ウェルを含む容量素子とn型ウェルを含む容量素子とを並列に接続することで電圧依存の低減を図っている。また、下記特許文献3には、配線の金属パターンを電極として容量素子が形成される半導体装置において、容量素子の下方に形成されるダミーパターンである導体パターン及びウェルを、配線からなるシールド用金属パターンに接続し電位を固定することが開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の各実施形態における半導体装置は、配線パターンにより形成される容量素子を有する半導体装置であり、回路形成領域、及び回路形成領域とは異なる領域である容量形成領域を有する。回路形成領域には、配線パターンを用いた容量素子とは異なる電界効果トランジスタ等の通常の回路素子が形成され、容量形成領域には、配線パターンを用いた容量素子が形成されている。なお、以下の説明では、半導体装置の容量形成領域についてのみ説明するが、回路形成領域については従来の半導体装置と同様である。また、以下に示す断面図において、基板上及び配線層の層間絶縁膜については明示していないが、一般的な半導体装置と同様に層間絶縁膜が形成されている。
【0017】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態における半導体装置の構成例を示す概略平面図である。
図2は、
図1に示したA−A’線に沿った断面を示す概略断面図であり、
図3は、
図1に示したB−B’線に沿った断面を示す概略断面図である。
【0018】
図1〜
図3において、11は半導体装置であり、12A及び12Bは金属配線パターンであり、13はポリシリコン膜である。また、21は半導体基板であり、22は絶縁膜であり、23は素子分離絶縁膜であり、24はp型半導体領域であるp型ウェルであり、25はn型半導体領域であるn型ウェルである。
【0019】
半導体装置11において、金属配線パターン12Aは、配線層の層間絶縁膜中に形成され、容量素子の一方の電極を形成する金属配線パターンである。金属配線パターン12Aは、第1の方向に延在する複数の第1の配線パターンが、第1の方向に交差する第2の方向に延在する接続部により接続されている。金属配線パターン12Bは、配線層の層間絶縁膜中に形成され、容量素子の他方の電極を形成する金属配線パターンである。金属配線パターン12Bは、金属配線パターン12Aの複数の第1の配線パターンの間にそれぞれ配置された第1の方向に延在する複数の第2の配線パターンが、第2の方向に延在する接続部により接続されている。
【0020】
つまり、金属配線パターン12A及び12Bは櫛歯型にレイアウトされており、複数の第1の配線パターン及び複数の第2の配線パターンが互いに嵌合するように配置されている。金属配線パターン12A、12B間には、金属配線パターンを埋め込む層間絶縁膜を誘電体膜として容量が形成されている。なお、多層配線により金属配線パターン12Aが形成されている例を示しているが、各層の金属配線パターン12Aは図示しないビア部等により接続されている(金属配線パターン12Bについても同様)。また、金属配線パターン12A及び12Bは、多層配線で形成されていなくとも良く、1つの層の配線パターンで形成されていても良い。
【0021】
金属配線パターン12A及び12Bの下方には、パターン密度の粗密差を小さくし各層の平坦性を向上させるために、ダミーパターンであるポリシリコン膜13が配置されている。ポリシリコン膜13は、半導体基板21に形成されたウェル24、25上の素子活性領域内に絶縁膜22を介して形成されている。ポリシリコン膜13は、導体パターンであるが、接続されていない孤立したパターンであり電気的にフローティングとされている。なお、素子活性領域は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により形成された素子分離絶縁膜23により画定された領域である。また、絶縁膜22は、例えばゲート絶縁膜に相当する酸化膜である。
【0022】
本実施形態では、金属配線パターン12A及び12Bの各々の下方に、ポリシリコン膜13が上方に形成されているp型ウェル24及びn型ウェル25がほぼ均等に配置されている。
図1〜
図3に示す例では、p型ウェル24及びn型ウェル25の各々は、同じ幅で第2の方向に延在する矩形形状を有し、第1の方向において交互に配置されている。フローティングのポリシリコン膜13−絶縁膜22−基板(p型ウェル24)の構造を有する部分では、基板側の容量として、
図19(B)に示したような容量特性をもつ容量Cpxが形成される。また、フローティングのポリシリコン膜13−絶縁膜22−基板(n型ウェル25)の構造を有する部分では、基板側の容量として、
図20(B)に示したような容量特性をもつ容量Cnxが形成される。
【0023】
このように1つの金属配線パターン12A及び12Bに対して、p型ウェル24及びn型ウェル25を均等に配置し、基板側の容量としてつく容量Cpx、Cnxが電圧依存を相殺するようにすることで、基板側の容量について
図4に示すような容量特性が得られる。これにより、金属配線パターン12A及び12Bによる容量の電圧依存を低減することができ、容量特性を改善することができる。
【0024】
なお、
図1〜
図3に示した例では、p型ウェル24及びn型ウェル25の各々は、同じ幅で第2の方向に延在する矩形形状を有するものとしているが、幅は同じでなくともよく、1つの金属配線パターン12A及び12Bの全体でp型ウェル24の領域及びn型ウェル25の領域の合計面積が均等であれば良い。
【0025】
また、
図5に概略平面図を示すように、p型ウェル24及びn型ウェル25が第1の方向に延在する矩形形状を有し、第2の方向において交互に配置するようにしても良い。このような構成においても、金属配線パターン12A及び12Bの下方には、ポリシリコン膜13が上方に形成されているp型ウェル24及びn型ウェル25がともに配置されることとなる。したがって、従来のようにp型ウェル24又はn型ウェル25の一方のみを配置した場合と比較して、金属配線パターン12A及び12Bによる容量の電圧依存を低減し、容量特性を改善することができる。
【0026】
ここで、半導体基板に形成されたp型ウェル及びn型ウェルの上方に、ダミーパターンであるポリシリコン膜を配置する構成としては、例えば
図6に示すような構成がある。
図6において、31は半導体基板、32pはp型ウェル、32nはn型ウェル、33は素子分離絶縁膜、34は絶縁膜(ゲート絶縁膜相当)、35はダミーパターンとしてのポリシリコン膜、36は金属配線パターンである。
【0027】
図6(A)は、半導体基板31に形成されたp型ウェル32p上の素子活性領域内に、絶縁膜34を介してポリシリコン膜35が形成されている例を示している。また、
図6(B)は、半導体基板31に形成されたn型ウェル32n上の素子活性領域内に、絶縁膜34を介してポリシリコン膜35が形成されている例を示している。
図6(C)は、半導体基板31のp型ウェル32p中に形成された素子分離絶縁膜33上にポリシリコン膜35が形成されている例を示しており、
図6(D)は、半導体基板31のn型ウェル32n中に形成された素子分離絶縁膜33上にポリシリコン膜35が形成されている例を示している。
【0028】
図6(A)〜(D)に示した何れの例においても、フローティングのポリシリコン膜35−素子分離絶縁膜33又は絶縁膜34−基板(p型ウェル32p又はn型ウェル32n)の構造により基板側の容量の容量特性は電圧依存性を示す。素子分離絶縁膜33の方が絶縁膜34よりも膜厚が厚いので、
図6(C)、(D)に示した構造の方が
図6(A)、(B)に示した構造よりも電圧に対する感度が低く、容量特性の電圧依存を低減する観点からは好ましい。また、寄生容量を抑制するには、ポリシリコン膜35の上端の高さが低い、言い換えればポリシリコン膜35と金属配線パターン36の間の距離が大きいほうが好ましいが、ポリシリコン膜35の上端の高さはプロセスに依存する。以上のことから、ウェルの上方にポリシリコン膜を配置する構成としては、容量特性の電圧依存の低減の効果を最大にする、又は電圧依存の低減の効果は多少小さくなるが寄生容量付加の低減を最大にするなど、要求仕様等に応じて適宜選択すれば良い。
【0029】
図6(A)〜(D)に例示した構成において、ウェル32p、32nの上方に形成されるポリシリコン膜35の上面(金属配線パターン36側)から見た面積を小さくすることで、金属配線パターン36に対する寄生容量を低減することができる。また、ウェル32p、32n中に形成される素子分離絶縁膜33の上面から見た面積を大きくする、すなわち金属配線パターン36から見えるウェル32p、32nの面積を小さくすることで、寄生容量の電圧依存を低減することができる。
【0030】
寄生容量の付加を低減するためにウェルの上方に形成されるダミーパターンであるポリシリコン膜の大きさを最小限に抑え、かつ容量の電圧依存を低減するために素子分離絶縁膜が形成される領域を可能な限り多くする例を、以下に説明する。以下に説明する第2〜第4の実施形態における半導体装置は、容量特性の電圧依存の低減、及び寄生容量の付加防止の両方の点で有効である。
【0031】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について説明する。
図7は、第2の実施形態における半導体装置の構成例を示す概略平面図である。
図8(a)は、
図7に示したA−A’線に沿った断面を示す概略断面図であり、
図8(b)は、
図7に示したB−B’線に沿った断面を示す概略断面図である。
図9(a)は、
図7に示したC−C’線に沿った断面を示す概略断面図であり、
図9(b)は、
図7に示したD−D’線に沿った断面を示す概略断面図である。
【0032】
図7〜
図9において、51は半導体装置であり、52A及び52Bは金属配線パターンであり、53はポリシリコン膜であり、54はp型半導体領域であるp型ウェルであり、55はn型半導体領域であるn型ウェルである。また、61は半導体基板であり、62は絶縁膜であり、63は素子分離絶縁膜である。
【0033】
半導体装置51において、金属配線パターン52A、52Bは、配線層の層間絶縁膜中に形成され、容量素子の電極を形成する金属配線パターンである。金属配線パターン52A、52Bのそれぞれは、
図1〜
図3に示した第1の実施形態における金属配線パターン12A、12Bと同様に形成され、金属配線パターンを埋め込む層間絶縁膜を誘電体膜として金属配線パターン52A、52B間に容量が形成されている。
【0034】
金属配線パターン52A及び52Bの下方には、パターン密度の粗密差を小さくし各層の平坦性を向上させるために、ダミーパターンであるポリシリコン膜53が配置されている。ポリシリコン膜53は、半導体基板61に形成されたウェル54、55上の素子活性領域内に絶縁膜62を介して形成されている。絶縁膜62は、例えばゲート絶縁膜に相当する酸化膜である。
【0035】
ポリシリコン膜53は、
図1〜
図3に示した第1の実施形態におけるポリシリコン膜13に対応するものであるが、本実施形態では金属配線パターン52A及び52B側から見た面積を最小限に抑えるように形成される。また、容量特性の電圧依存の低減、及び寄生容量の付加の低減の点から、ポリシリコン膜53は、金属配線パターン52A及び52Bの間の領域であって、かつ金属配線パターン52A及び52Bからの距離(d11とd12、d13とd14)が等しい位置に配置されることが望ましい。
【0036】
ポリシリコン膜53が上方に形成されているp型ウェル54及びn型ウェル55が、金属配線パターン52A及び52Bの各々の下方に、ほぼ均等に配置されている。
図7〜
図9に示す例では、p型ウェル54及びn型ウェル55の各々は、第2の方向に延在する矩形形状を有し、第1の方向において交互に配置されている。また、本実施形態では、p型ウェル54及びn型ウェル55中に形成される素子分離絶縁膜63の金属配線パターン52A及び52B側から見た領域は、容量の電圧依存を低減するために可能な限り大きくすることが望ましい。
【0037】
なお、金属配線パターン52A及び52Bにおける接続部の下方に配置された、ポリシリコン膜53が上方に形成されているp型ウェル54及びn型ウェル55の組56は、それらを設けなくとも密度制約等を満足できる場合には、設けないのが望ましい。また、領域57については、素子分離絶縁膜63の下にp型ウェル54及びn型ウェル55を配置しているが、間隔が狭くp型ウェル54及びn型ウェル55を配置できない場合には、p型ウェル54又はn型ウェル55の一方を配置すれば良い。
【0038】
このように各金属配線パターン52A及び52Bに対して、p型ウェル54及びn型ウェル55を均等に配置し、p型の領域及びn型の領域にそれぞれ寄生容量としてつく基板側の容量の電圧依存を互いに打ち消すようにする。これにより、金属配線パターン52A及び52Bによる容量の電圧依存を低減することができ、容量特性を改善することができる。また、p型ウェル54及びn型ウェル55の上方に形成されるポリシリコン膜53の金属配線パターン52A及び52B側から見た面積を最小限に抑えることで、寄生容量の付加を抑制することができる。また、金属配線パターン52A及び52B側から見た素子分離絶縁膜63の領域を可能な限り大きくすることで、金属配線パターン52A及び52Bによる容量の電圧依存を低減することができる。
【0039】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図10は、第3の実施形態における半導体装置の構成例を示す概略平面図である。
図11(a)は、
図10に示したA−A’線に沿った断面を示す概略断面図であり、
図11(b)は、
図10に示したB−B’線に沿った断面を示す概略断面図である。
図12(a)は、
図10に示したC−C’線に沿った断面を示す概略断面図であり、
図12(b)は、
図10に示したD−D’線に沿った断面を示す概略断面図であり、
図12(c)は、
図10に示したE−E’線に沿った断面を示す概略断面図である。
図10〜
図12において、
図7〜
図9に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
第3の実施形態における半導体装置は、ポリシリコン膜53が上方に形成されているp型ウェル54及びn型ウェル55の各々が、第1の方向に延在する矩形形状を有し、金属配線パターン52A及び52Bの下方に、第2の方向において交互に配置されている。
図10〜
図12には、第1の方向に延在する金属配線パターン52A及び52Bの配線パターンの間に、ポリシリコン膜53が上方に形成されているp型ウェル54及びn型ウェル55が配置されている例を示している。このように、ある配線パターンに対して一方の側にp型ウェル54を配置し、他方の側にn型ウェル55を配置して、その配線パターンから見えるp型領域とn型領域の割合が同じになるように配置することで、容量の電圧依存の低減に関して大きな効果が期待できる。
【0041】
また、第3の実施形態における半導体装置においても、ポリシリコン膜53は、金属配線パターン52A及び52B側から見た面積を最小限に抑えるように形成される。また、容量特性の電圧依存の低減、及び寄生容量の付加の低減の点から、ポリシリコン膜53は、金属配線パターン52A及び52Bの間の領域であって、かつ金属配線パターン52A及び52Bからの距離(d21とd22)が等しい位置に配置されることが望ましい。また、p型ウェル54及びn型ウェル55中に形成される素子分離絶縁膜63の金属配線パターン52A及び52B側から見た領域も、容量の電圧依存を低減するために可能な限り大きくすることが望ましい。
【0042】
第3の実施形態においても、p型の領域及びn型の領域にそれぞれ寄生容量としてつく基板側の容量の電圧依存を互いに打ち消すようにすることで、金属配線パターン52A及び52Bによる容量の電圧依存を低減することができ、容量特性を改善することができる。また、p型ウェル54及びn型ウェル55の上方に形成されるポリシリコン膜53の金属配線パターン52A及び52B側から見た面積を最小限に抑えることで、寄生容量の付加を抑制することができる。また、金属配線パターン52A及び52B側から見た素子分離絶縁膜63の領域を可能な限り大きくすることで、金属配線パターン52A及び52Bによる容量の電圧依存を低減することができる。
【0043】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
第2及び第3の実施形態では、p型ウェル54及びn型ウェル55上に絶縁膜62を介してダミーパターンであるポリシリコン膜53が形成されている例を示したが、ウェル中に形成された素子分離絶縁膜上にダミーパターンであるポリシリコン膜が形成されている場合にも同様の効果が得られる。
【0044】
第4の実施形態における半導体装置は、半導体基板のp型ウェル及びn型ウェル中に形成された素子分離絶縁膜上にダミーパターンであるポリシリコン膜を形成するようにしたものである。
図13は、第4の実施形態における半導体装置の構成例を示す概略平面図であり、
図14は、第4の実施形態における基板側構成を説明するための図である。
図13及び
図14において、
図7〜
図9に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0045】
図13及び
図14において、71は素子分離絶縁膜であり、72は半導体基板であり、73はp型半導体領域であるp型ウェルであり、74はn型半導体領域であるn型ウェルである。
図13には、前述した第2の実施形態と同様に、p型ウェル73及びn型ウェル74の各々が、第2の方向に延在する矩形形状を有し、第1の方向において交互に配置されている例を示している。なお、前述した第3の実施形態と同様に、p型ウェル73及びn型ウェル74の各々が、第1の方向に延在する矩形形状を有し、第2の方向において交互に配置されるようにすることも可能である。
【0046】
第4の実施形態と前述した第2及び第3の実施形態は、基板側構成の基本単位だけが異なり、他の構成は前述した第2及び第3の実施形態と同様である。第4の実施形態では、
図14(a)及び
図14(b)にそれぞれ示した基本単位でダミーパターンであるポリシリコン膜53、p型ウェル73及びn型ウェル74を配置すれば良い。
【0047】
図14(a)は、半導体基板72のp型ウェル73中に形成された素子分離絶縁膜71上にポリシリコン膜53が形成された構成を第1の基本単位75とし、半導体基板72のn型ウェル74中に形成された素子分離絶縁膜71上にポリシリコン膜53が形成された構成を第2の基本単位76とする。そして、第1の基本単位75と第2の基本単位76とを所定の方向において交互に配置する。
図14(b)は、半導体基板72のp型ウェル73とn型ウェル74との境界中に形成された素子分離絶縁膜71上にポリシリコン膜53が形成された構成を基本単位75として、所定の方向において交互に配置する。
【0048】
なお、前述した各実施形態において、ダミーパターンであるポリシリコン膜が上方に形成されたp型ウェル及びn型ウェルは電気的に接続することが好ましい。電気的に接続した場合には、p型ウェル及びn型ウェルのバイアスが同じになり、容量特性の理想的な相殺が可能となる。さらに、例えばダミーパターンであるポリシリコン膜が上方に形成されたp型ウェル及びn型ウェルと半導体基板とを外周部で接続し、固定電位(例えばグランド電位)を与えるようにしても良い。
【0049】
なお、前記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明の諸態様を付記として以下に示す。
【0050】
(付記1)
半導体基板と、
前記半導体基板に形成されたウェル上に第1の絶縁膜を介して形成されたダミーパターンであって、電気的にフローティングである導体パターンと、
前記導体パターンよりも上層の配線層の第2の絶縁膜中に形成され、第1の方向に延在し容量素子の一方の電極を形成する第1の金属配線パターンと、
前記第2の絶縁膜中に形成され、前記第1の方向に延在し前記容量素子の他方の電極を形成する第2の金属配線パターンと
を含み、
前記第1の金属配線パターン及び前記第2の金属配線パターンの各々の下方に、前記導体パターンが上方に形成されたp型ウェル及びn型ウェルが配置されていることを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記第1の金属配線パターン及び前記第2の金属配線パターンの各々の下方に、前記導体パターンが上方に形成されたp型ウェル及びn型ウェルが略均等に配置されていることを特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記3)
前記導体パターンが上方に形成されたp型ウェル及びn型ウェルは、前記第1の方向に交差する第2の方向に延在する形状を有し、前記第1の方向において交互に配置されていることを特徴とする付記2記載の半導体装置。
(付記4)
前記導体パターンは、素子分離絶縁膜により画定された素子活性領域に形成されていることを特徴とする付記3記載の半導体装置。
(付記5)
前記導体パターンは、素子活性領域を画定する素子分離絶縁膜上に形成されていることを特徴とする付記3記載の半導体装置。
(付記6)
前記第1の金属配線パターンと前記第2の金属配線パターンとの間の領域に、前記導体パターンが形成されていることを特徴とする付記3記載の半導体装置。
(付記7)
前記第1の金属配線パターンからの距離と前記第2の金属配線パターンからの距離とが等しい位置に前記導体パターンが形成されていることを特徴とする付記6記載の半導体装置。
(付記8)
前記導体パターンが上方に形成されたp型ウェル及びn型ウェルが電気的に接続されていることを特徴とする付記3記載の半導体装置。
(付記9)
前記導体パターンが上方に形成されたp型ウェル及びn型ウェルと前記半導体基板とが電気的に接続されていることを特徴とする付記3記載の半導体装置。
(付記10)
同層に形成された複数の前記第1の金属配線パターンを有し、前記複数の第1の金属配線パターンが前記第1の方向に交差する第2の方向に延在する第1の接続部により接続されているとともに、
同層に形成され、前記複数の第1の金属配線パターンの間にそれぞれ配置された複数の前記第2の金属配線パターンを有し、前記複数の第2の金属配線パターンが前記第2の方向に延在する第2の接続部により接続されていることを特徴とする付記3記載の半導体装置。
(付記11)
前記導体パターンが上方に形成されたp型ウェル及びn型ウェルは、前記第1の方向に延在する形状を有し、前記第1の方向に交差する第2の方向において交互に配置されていることを特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記12)
前記金属配線パターンのそれぞれに対して、前記第2の方向における一方の側の下方に前記導体パターンが上方に形成されたp型ウェルが配置され、前記第2の方向における他方の側の下方に前記導体パターンが上方に形成されたn型ウェルが配置されていることを特徴とする付記11記載の半導体装置。
(付記13)
前記導体パターンは、素子分離絶縁膜により画定された素子活性領域に形成されていることを特徴とする付記12記載の半導体装置。
(付記14)
前記導体パターンは、素子活性領域を画定する素子分離絶縁膜上に形成されていることを特徴とする付記12記載の半導体装置。
(付記15)
前記第1の金属配線パターンと前記第2の金属配線パターンとの間の領域に、前記導体パターンが形成されていることを特徴とする付記12記載の半導体装置。
(付記16)
前記第1の金属配線パターンからの距離と前記第2の金属配線パターンからの距離とが等しい位置に前記導体パターンが形成されていることを特徴とする付記15記載の半導体装置。
(付記17)
前記導体パターンが上方に形成されたp型ウェル及びn型ウェルが電気的に接続されていることを特徴とする付記12記載の半導体装置。
(付記18)
前記導体パターンが上方に形成されたp型ウェル及びn型ウェルと前記半導体基板とが電気的に接続されていることを特徴とする付記12記載の半導体装置。
(付記19)
同層に形成された複数の前記第1の金属配線パターンを有し、前記複数の第1の金属配線パターンが前記第1の方向に交差する第2の方向に延在する第1の接続部により接続されているとともに、
同層に形成され、前記複数の第1の金属配線パターンの間にそれぞれ配置された複数の前記第2の金属配線パターンを有し、前記複数の第2の金属配線パターンが前記第2の方向に延在する第2の接続部により接続されていることを特徴とする付記12記載の半導体装置。