特許第5942496号(P5942496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5942496踏切通過時間算出システム、踏切通過時間算出方法、及び踏切通過時間算出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5942496
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】踏切通過時間算出システム、踏切通過時間算出方法、及び踏切通過時間算出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20160616BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20160616BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20160616BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   G01C21/26 A
   G08G1/00 A
   G09B29/10 A
   G09B29/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-55141(P2012-55141)
(22)【出願日】2012年3月12日
(65)【公開番号】特開2013-190238(P2013-190238A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2014年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】谷▲崎▼ 大介
(72)【発明者】
【氏名】六鹿 克彦
【審査官】 岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−117220(JP,A)
【文献】 特開2007−078489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
G08G 1/00
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の位置を示す複数のノードを相互に接続する各リンクのリンク情報と、踏切に関する踏切情報とを含む地図情報を格納する地図情報格納手段と、
車両が各リンクを走行するのに要する時間であるリンク旅行時間を格納するリンク旅行時間格納手段と、
前記地図情報格納手段から前記踏切情報を取得する踏切情報取得手段と、
前記踏切情報取得手段にて取得された前記踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも前記車両の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、当該踏切のあるリンクに対する道なりのリンクであって、
当該踏切のあるリンクに対して直接的に接しているリンクであり、且つ当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクである道なりのリンク、又は、
当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクのみを介して当該踏切のあるリンクと間接的に接しているリンクであり、且つ当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクである道なりのリンク、
であるか否かを、前記地図情報格納手段から取得した前記リンク情報に基づいて判定する判定手段と、
前記判定手段によって、前記踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも前記車両の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、前記踏切のあるリンクに対する道なりのリンクであると判定された場合に、当該踏切のあるリンクのリンク旅行時間と、当該踏切のあるリンクに対する道なりのリンクのリンク旅行時間とを、前記リンク旅行時間格納手段から取得し、当該取得したリンク旅行時間に基づいて、当該踏切を通過するまでの踏切通過時間を算出する算出手段と、
を備える踏切通過時間算出システム。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも前記車両の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、前記踏切のあるリンクに対する道なりのリンクでないと判定した場合に、当該踏切のあるリンクよりも前記車両の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、当該踏切のあるリンクに対する2差路のリンクであって、
当該踏切のあるリンクに対して直接的に接しているリンクであり、且つ当該リンクにおける前記車両の進行方向側の部分が当該踏切のあるリンクの進行方向に沿っており、それ以外の部分が当該踏切のあるリンクの進行方向に沿っていない2差路のリンク、又は、
当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクのみを介して当該踏切のあるリンクと間接的に接しているリンクであり、且つ当該リンクにおける前記車両の進行方向側の部分が当該踏切のあるリンクの進行方向に沿っており、それ以外の部分が当該踏切のあるリンクの進行方向に沿っていない2差路のリンク、
であるか否かを、前記地図情報格納手段から取得した前記リンク情報に基づいて判定し、
前記算出手段は、
前記判定手段によって、前記踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも前記車両の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、前記踏切のあるリンクに対する2差路のリンクであると判定された場合に、当該踏切のあるリンクのリンク旅行時間と、当該踏切のあるリンクに対する2差路のリンクのリンク旅行時間とを、前記リンク旅行時間格納手段から取得し、当該取得したリンク旅行時間に基づいて、前記踏切通過時間を算出する、
請求項1に記載の踏切通過時間算出システム。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも前記車両の進行方向逆側に位置する各リンクとして、当該各リンクにおける前記車両の進行方向側のノードが当該踏切から所定距離内に位置するリンクを対象として、判定を行う、
請求項1又は2に記載の踏切通過時間算出システム。
【請求項4】
踏切情報取得手段が、道路の位置を示す複数のノードを相互に接続する各リンクのリンク情報と、踏切に関する踏切情報とを含む地図情報を格納する地図情報格納手段から前記踏切情報を取得する踏切情報取得ステップと、
判定手段が、前記踏切情報取得ステップにおいて取得された前記踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも車両の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、当該踏切のあるリンクに対する道なりのリンクであって、
当該踏切のあるリンクに対して直接的に接しているリンクであり、且つ当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクである道なりのリンク、又は、
当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクのみを介して当該踏切のあるリンクと間接的に接しているリンクであり、且つ当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクである道なりのリンク、
であるか否かを、前記地図情報格納手段から取得した前記リンク情報に基づいて判定する判定ステップと、
算出手段は、前記判定ステップにおいて、前記踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも前記車両の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、前記踏切のあるリンクに対する道なりのリンクであると判定された場合に、車両が各リンクを走行するのに要する時間であるリンク旅行時間を格納するリンク旅行時間格納手段から当該踏切のあるリンクのリンク旅行時間と、当該踏切のあるリンクに対する道なりのリンクのリンク旅行時間とを取得し、当該取得したリンク旅行時間に基づいて、当該踏切を通過するまでの踏切通過時間を算出する算出ステップと、
を含む踏切通過時間算出方法。
【請求項5】
コンピュータを、
道路の位置を示す複数のノードを相互に接続する各リンクのリンク情報と、踏切に関する踏切情報とを含む地図情報を格納する地図情報格納手段から前記踏切情報を取得する踏切情報取得手段と、
前記踏切情報取得手段にて取得された前記踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも車両の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、当該踏切のあるリンクに対する道なりのリンクであって、
当該踏切のあるリンクに対して直接的に接しているリンクであり、且つ当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクである道なりのリンク、又は、
当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクのみを介して当該踏切のあるリンクと間接的に接しているリンクであり、且つ当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクである道なりのリンク、
であるか否かを、前記地図情報格納手段から取得した前記リンク情報に基づいて判定する判定手段と、
前記判定手段によって、前記踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも前記車両の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、前記踏切のあるリンクに対する道なりのリンクであると判定された場合に、当該踏切のあるリンクのリンク旅行時間と、当該踏切のあるリンクに対する道なりのリンクのリンク旅行時間とを、車両が各リンクを走行するのに要する時間であるリンク旅行時間を格納するリンク旅行時間格納手段から取得し、当該取得したリンク旅行時間に基づいて、当該踏切を通過するまでの踏切通過時間を算出する算出手段と、
として機能させるための踏切通過時間算出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、踏切通過時間算出システム、踏切通過時間算出方法、及び踏切通過時間算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行経路の経路計算に関する技術の一つとして、車両の走行道路の位置を示す複数のノードを相互に接続する複数のリンク上のいずれかに踏切がある場合に、車両が当該踏切を通過する時刻を推定し、当該推定した時刻に対応した踏切データ(係数データ)を、踏切のあるリンクを車両が走行する際の時間(コスト)に乗じることにより、車両が踏切を通過するまでの踏切通過時間を算出することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、各踏切毎の時間帯毎の閉期間の割合を実測等により取得し、当該取得した閉期間の割合に基づいて踏切データを算定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−304887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術においては、各踏切毎の時間帯毎の閉期間の割合を実測等により取得する必要があるため、電車のダイヤが変更された場合には、踏切の閉期間の割合を再度実測等する必要があった。また、車両の実際の踏切通過時間には、踏切の開閉時間だけでなく、踏切の近隣における様々な交通要因(例えば、踏切が原因で渋滞が発生しているのではなく、踏切の近傍の道路で渋滞が発生している場合等)が含まれていることからすると、踏切のあるリンクだけを対象として踏切通過時間を算出することは、踏切通過時間の正確性の観点から問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、踏切の閉期間の割合等を実測する必要がなく、踏切通過時間の正確性を向上させることも可能となる、踏切通過時間算出システム、踏切通過時間算出方法、及び踏切通過時間算出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の踏切通過時間算出システムは、道路の位置を示す複数のノードを相互に接続する各リンクのリンク情報と、踏切に関する踏切情報とを含む地図情報を格納する地図情報格納手段と、車両が各リンクを走行するのに要する時間であるリンク旅行時間を格納するリンク旅行時間格納手段と、前記地図情報格納手段から前記踏切情報を取得する踏切情報取得手段と、前記踏切情報取得手段にて取得された前記踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも前記車両の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、当該踏切のあるリンクに対する道なりのリンクであって、当該踏切のあるリンクに対して直接的に接しているリンクであり、且つ当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクである道なりのリンク、又は、当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクのみを介して当該踏切のあるリンクと間接的に接しているリンクであり、且つ当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクである道なりのリンク、であるか否かを、前記地図情報格納手段から取得した前記リンク情報に基づいて判定する判定手段と、前記判定手段によって、前記踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも前記車両の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、前記踏切のあるリンクに対する道なりのリンクであると判定された場合に、当該踏切のあるリンクのリンク旅行時間と、当該踏切のあるリンクに対する道なりのリンクのリンク旅行時間とを、前記リンク旅行時間格納手段から取得し、当該取得したリンク旅行時間に基づいて、当該踏切を通過するまでの踏切通過時間を算出する算出手段と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の踏切通過時間算出システム、請求項1に記載の踏切通過時間算出システムにおいて、前記判定手段は、前記踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも前記車両の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、前記踏切のあるリンクに対する道なりのリンクでないと判定した場合に、当該踏切のあるリンクよりも前記車両の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、当該踏切のあるリンクに対する2差路のリンクであって、当該踏切のあるリンクに対して直接的に接しているリンクであり、且つ当該リンクにおける前記車両の進行方向側の部分が当該踏切のあるリンクの進行方向に沿っており、それ以外の部分が当該踏切のあるリンクの進行方向に沿っていない2差路のリンク、又は、当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクのみを介して当該踏切のあるリンクと間接的に接しているリンクであり、且つ当該リンクにおける前記車両の進行方向側の部分が当該踏切のあるリンクの進行方向に沿っており、それ以外の部分が当該踏切のあるリンクの進行方向に沿っていない2差路のリンク、であるか否かを、前記地図情報格納手段から取得した前記リンク情報に基づいて判定し、前記算出手段は、前記判定手段によって、前記踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも前記車両の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、前記踏切のあるリンクに対する2差路のリンクであると判定された場合に、当該踏切のあるリンクのリンク旅行時間と、当該踏切のあるリンクに対する2差路のリンクのリンク旅行時間とを、前記リンク旅行時間格納手段から取得し、当該取得したリンク旅行時間に基づいて、前記踏切通過時間を算出する。
【0008】
請求項3に記載の踏切通過時間算出システムは、請求項1又は2に記載の踏切通過時間算出システムにおいて、前記判定手段は、前記踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも前記車両の進行方向逆側に位置する各リンクとして、当該各リンクにおける前記車両の進行方向側のノードが当該踏切から所定距離内に位置するリンクを対象として、判定を行う。
【0009】
請求項4に記載の踏切通過時間算出方法は、踏切情報取得手段が、道路の位置を示す複数のノードを相互に接続する各リンクのリンク情報と、踏切に関する踏切情報とを含む地図情報を格納する地図情報格納手段から前記踏切情報を取得する踏切情報取得ステップと、判定手段が、前記踏切情報取得ステップにおいて取得された前記踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも車両の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、当該踏切のあるリンクに対する道なりのリンクであって、当該踏切のあるリンクに対して直接的に接しているリンクであり、且つ当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクである道なりのリンク、又は、当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクのみを介して当該踏切のあるリンクと間接的に接しているリンクであり、且つ当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクである道なりのリンク、であるか否かを、前記地図情報格納手段から取得した前記リンク情報に基づいて判定する判定ステップと、算出手段は、前記判定ステップにおいて、前記踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも前記車両の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、前記踏切のあるリンクに対する道なりのリンクであると判定された場合に、車両が各リンクを走行するのに要する時間であるリンク旅行時間を格納するリンク旅行時間格納手段から当該踏切のあるリンクのリンク旅行時間と、当該踏切のあるリンクに対する道なりのリンクのリンク旅行時間とを取得し、当該取得したリンク旅行時間に基づいて、当該踏切を通過するまでの踏切通過時間を算出する算出ステップと、を含む。
【0010】
請求項5に記載の踏切通過時間算出プログラムは、コンピュータを、道路の位置を示す複数のノードを相互に接続する各リンクのリンク情報と、踏切に関する踏切情報とを含む地図情報を格納する地図情報格納手段から前記踏切情報を取得する踏切情報取得手段と、
前記踏切情報取得手段にて取得された前記踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも車両の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、当該踏切のあるリンクに対する道なりのリンクであって、当該踏切のあるリンクに対して直接的に接しているリンクであり、且つ当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクである道なりのリンク、又は、当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクのみを介して当該踏切のあるリンクと間接的に接しているリンクであり、且つ当該踏切のあるリンクの進行方向に沿ったリンクである道なりのリンク、であるか否かを、前記地図情報格納手段から取得した前記リンク情報に基づいて判定する判定手段と、前記判定手段によって、前記踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも前記車両の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、前記踏切のあるリンクに対する道なりのリンクであると判定された場合に、当該踏切のあるリンクのリンク旅行時間と、当該踏切のあるリンクに対する道なりのリンクのリンク旅行時間とを、車両が各リンクを走行するのに要する時間であるリンク旅行時間を格納するリンク旅行時間格納手段から取得し、当該取得したリンク旅行時間に基づいて、当該踏切を通過するまでの踏切通過時間を算出する算出手段と、として機能させるための踏切通過時間算出プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の踏切通過時間算出システム、請求項4に記載の踏切通過時間算出方法、及び請求項5に記載の踏切通過時間算出プログラムによれば、踏切のあるリンクだけでなく、踏切のあるリンクに対して道なりのリンクも考慮して踏切通過時間を算出することで、正確な踏切通過時間を算出することができ、車両の走行経路を支援する際に有効な情報を提供することができる。また、プローブ情報として容易に取得できるリンク旅行時間に基づいて踏切通過時間を算出することができ、プローブ情報として取得することができない踏切の閉期間を実測する必要がなくなるので、実測の手間を省くことができると共に、電車のダイヤが変更されたような場合であっても正確な踏切通過時間を算出することができる。
【0012】
請求項2に記載の踏切通過時間算出システムによれば、踏切のあるリンクだけでなく、踏切のあるリンクに対して2差路のリンクも考慮して踏切通過時間を算出することで、一層正確な踏切通過時間を算出することができる。
【0013】
請求項3に記載の踏切通過時間算出システムによれば、踏切周辺の様々な状況に応じた適切な距離を設定して判定を行うことが可能になり、状況に応じた正確な踏切通過時間を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る踏切通過時間算出システムを例示するブロック図である。
図2】リンク旅行時間テーブルを例示した表である。
図3】踏切通過時間算出処理のフローチャートである。
図4】踏切通過時間算出処理の処理対象となる踏切の周辺状況を例示した図である。
図5】踏切通過時間テーブルを例示した表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る踏切通過時間算出システム、踏切通過時間算出方法、及び踏切通過時間算出プログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(構成)
まず、本実施の形態に係る踏切通過時間算出システムの構成を説明する。図1は、本実施の形態に係る踏切通過時間算出システムを例示するブロック図である。図1に示すように、踏切通過時間算出システム1は、踏切通過時間算出装置10、及び車両2に搭載された車載装置20を備えており、これらの踏切通過時間算出装置10と車載装置20とはネットワーク3を介して相互に通信可能に接続されている。
【0017】
(構成−車載装置)
図1に示すように、車載装置20は、車両情報を出力する車両情報出力手段である。具体的には、この車載装置20は、車両2に関する各種データを記録する図示しないデータ記録部と、各種の情報を出力する図示しない出力手段を備えており、図示しないデータ記録部に格納された車両情報を任意のタイミングで踏切通過時間算出装置10に向けて出力したり、踏切通過時間算出装置10から入力された踏切通過時間を車両2の運転者に向けて出力したりする。ここで、「車両情報」とは、車両2に関する情報であり、例えば、車両2の種別に関する車種データと、車両2の走行内容(例えば、車両の現在位置、現在時刻、車速等)に関する走行履歴データ等を含んで構成されている。ただし、車載装置20は、例えば公知のナビゲーション装置等として構成することができるので、その詳細な説明は省略する。
【0018】
(構成−踏切通過時間算出装置)
踏切通過時間算出装置10は、踏切通過時間を算出する踏切通過時間算出手段であり、通信部11、制御部12、及びデータ記録部13を備えている。
【0019】
(構成−踏切通過時間算出装置−通信部)
通信部11は、車載装置20との間でネットワーク3を介して通信を行う通信手段である。具体的には、通信部11は、車両2の車載装置20から出力された車両情報をネットワーク3を介して受信したり、後述する算出部12dにて算出された踏切通過時間をネットワーク3を介して車両2に送信する。この通信部11としては、例えば、FM多重放送やビーコンを介した公知のVICS(登録商標)システム用の無線通信手段を用いることができる。
【0020】
(構成−踏切通過時間算出装置−制御部)
制御部12は、踏切通過時間算出装置10を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態に係る踏切通過時間算出プログラムは、任意の記録媒体又はネットワーク3を介して踏切通過時間算出装置10にインストールされることで、制御部12の各部を実質的に構成する。
【0021】
この制御部12は、機能概念的に、踏切情報取得部12a、リンク情報取得部12b、判定部12c、及び算出部12dを備えている。
【0022】
踏切情報取得部12aは、後述する地図情報データベース(以下、データベースを「DB」と称する)から後述する踏切情報を取得する踏切情報取得手段である。リンク情報取得部12bは、後述する地図情報DB13aから後述するリンク情報を取得するリンク情報取得手段である。判定部12cは、道路の位置を示す複数のノードを相互に接続するリンクが、踏切のあるリンクに対して後述するリンク種別のいずれに該当するか否かを判定する判定手段である。算出部12dは、所定のリンクから踏切を通過するまでの踏切通過時間を算出する算出手段である。これらの制御部12の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0023】
(構成−踏切通過時間算出装置−データ記録部)
データ記録部13は、踏切通過時間算出装置10の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、DVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体、又はフラッシュメモリの如き半導体記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0024】
このデータ記録部13は、地図情報DB13a、リンク旅行時間テーブル13b、及び踏切通過時間テーブル13cを備えている。
【0025】
地図情報DB13aは、地図情報を格納する地図情報格納手段である。「地図情報」とは、交差点や一時停止地点を含む各種の位置の特定に必要な情報であり、例えば、道路上に設定された各ノードに関するノードデータ(ノード番号、座標)や、地物データ(信号機、道路標識、ガードレール、建物等)、地形データ等を含んで構成されている。また、地図情報は、リンク情報、及び踏切情報を含んで構成されている。「リンク情報」とは、複数のノードを相互に接続する各リンクに関する情報であり、例えば、リンクID、接続ノード番号、道路座標、道路種別、リンク種別、車線数、進行方向、走行規制等を含んで構成されている。ここで、「リンク種別」とは、所定条件に基づいて設定されたリンクの種別であり、具体的には、「道なりのリンク」、「2差路のリンク」、「道なり及び2差路でないリンク」に区分される。「道なりのリンク」とは、車両2があるリンクから他のリンクへと向かう場合に、車両2が自然に走行していれば向かうことになるリンクである。「2差路のリンク」とは、分岐することなく他のリンクに接続されているリンクである。「道なり及び2差路でないリンク」とは、道なりのリンクと2差路のリンクのいずれにも属さないリンクである。これら3つのリンクの設定については、具体的には、地図情報DB13aに予め設定されて登録されていたり、あるいは、制御部12によって所定解析ソフトの公知の解析ロジックに基づいて設定される。また、「踏切情報」とは、踏切に関する情報であり、例えば、踏切番号や踏切の位置を含んで構成されている。
【0026】
リンク旅行時間テーブル13bは、車両2が各リンクを走行するのに要する時間であるリンク旅行時間を格納するリンク旅行時間格納手段である。図2は、リンク旅行時間テーブル13bを例示した表である。図2に示すように、リンク旅行時間テーブル13bには、項目「リンクID」、項目「リンク名」、及び項目「リンク旅行時間」と、各項目に対応する情報が、相互に関連付けて格納されている。項目「リンクID」に対応して格納される情報は、リンクIDを特定する情報である。項目「リンク名」に対応して格納される情報は、リンクの名称を特定する情報である。項目「リンク旅行時間」に対応して格納される情報は、リンク旅行時間を特定する情報である。「リンク旅行時間」とは、車両2が各リンクを通過する時間(走行時間)である。このリンク旅行時間は、例えば、各車両2の車載装置20から通信部11を介して取得され、平均値として格納される。
【0027】
踏切通過時間テーブル13cは、算出部12dによって算出された踏切通過時間を格納する踏切通過時間格納手段である。この踏切通過時間テーブル13cの構成の詳細については後述する。
【0028】
(処理)
次に、このように構成される踏切通過時間算出装置10によって実行される踏切通過時間算出処理について説明する。図3は、踏切通過時間算出処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この踏切通過時間算出処理は、例えば、踏切通過時間算出装置10に電源が投入された後に所定周期にて繰り返し実行される。
【0029】
踏切通過時間算出装置10の起動後、踏切情報取得部12aは、地図情報DB13aに格納されている踏切情報を取得する(SA1)。例えば、踏切情報取得部12aは、地図情報DB13aに格納されている踏切情報のうち、所定順序(例えば、踏切番号がもっとも若い順等)に踏切情報を取得する。図4は、踏切通過時間算出処理の処理対象となる踏切の周辺状況を例示した図である(なお、以下の説明では、図4のX方向を横方向又は左右方向、図4のY方向を上下方向と称する)。図4の例では、踏切番号1の踏切の踏切情報が取得される。
【0030】
図3に戻り、リンク情報取得部12bは、地図情報DB13aからリンク情報を取得する(SA2)。具体的には、リンク情報取得部12bは、SA1にて取得された踏切情報に対応する踏切のあるリンクのリンク情報を取得すると共に、SA1にて取得された踏切情報に対応する踏切から所定距離(例えば500m等)以内のリンクであって、当該踏切のあるリンクよりも車両2の進行方向逆側に位置するリンクのリンク情報を、地図情報DB13aから取得する。図4の例では、踏切よりも右側に位置するリンクA〜リンクHのリンク情報が取得される。
【0031】
図3に戻り、算出部12dは、SA2にて取得された踏切のあるリンクのリンク情報に基づいて、リンク旅行時間テーブル13bから当該踏切のあるリンクのリンク旅行時間を取得し、当該取得したリンク旅行時間を、踏切通過時間の初期値として設定する(SA3)。図4の例では、踏切のあるリンクであるリンクAのリンクID(例えば1001)に基づいて、リンクAのリンク旅行時間=20secが、リンク旅行時間テーブル13bから取得されて踏切通過時間の初期値として設定される。
【0032】
図3に戻り、判定部12cは、SA4とSA8のループにおいて、SA2で取得したリンク情報に対応するリンクの中で、踏切から所定距離以内のリンクをそれぞれ対象として、SA5〜SA7の処理を順次行う。以下、処理対象となっているリンクを「対象リンク」と称する。
【0033】
このループにおいては、最初に、対象リンクが、道なりのリンクであるか否かを、地図情報DB13aから取得したリンク情報に基づいて判定する(SA5)。ここで、「道なりのリンク」とは、踏切のあるリンクに対する道なりのリンクであることを意味し、直接的には、踏切のあるリンクに対して直接的に接している道なりのリンクと、当該直接的に接している道なりのリンクに対してさらに直接的に接している道なりのリンクを含む。図4の例で、対象リンクがリンクB又はリンクCのいずれかである場合には、道なりのリンクであると判定され、対象リンクが他のリンクのいずれかである場合には、道なりのリンクでないと判定される。
【0034】
図3に戻り、対象リンクが道なりのリンクであると判定された場合(SA5、Yes)、算出部12dは、SA2にて取得されたリンク情報に基づいて、リンク旅行時間テーブル13bから当該対象リンクのリンク旅行時間を取得し、SA3にて設定された踏切通過時間の初期値に、当該取得した対象リンクのリンク旅行時間を加算することにより、踏切通過時間を更新する(SA6)。図2、4の例で、対象リンクがリンクBである場合、リンクBのリンクID(例えば1002)に基づいて、リンクBのリンク旅行時間=10secがリンク旅行時間テーブル13bから取得され、その時点の踏切通過時間=20secに当該取得されたリンクBのリンク旅行時間=10secが加算されることにより、踏切通過時間が30secに更新される。そして、図3のSA4に戻り、他のリンクを対象リンクとして、SA5〜SA7を再び繰り返す。
【0035】
一方、対象リンクが道なりのリンクでないと判定された場合(SA5、No)、判定部12cは、対象リンクが、2差路のリンクであるか否かを、地図情報DB13aから取得したリンク情報に基づいて判定する(SA7)。ここで、「2差路のリンク」とは、踏切のあるリンクに対する2差路のリンクであることを意味し、直接的には、踏切のあるリンクに対して直接的に接している2差路のリンクと、上述した道なりのリンクに対して直接的に接している2差路のリンクを含む。図4の例で、対象リンクがリンクDである場合には、2差路のリンクであると判定され、対象リンクが他のリンクのいずれかである場合には、2差路のリンクでないと判定される。
【0036】
図3に戻り、2差路のリンクであると判定された場合に(SA7、Yes)、リンク旅行時間テーブル13bから当該次のリンクのリンク旅行時間を取得し、前回のSA6にて更新された踏切通過時間に当該取得したリンク旅行時間を加算することにより、踏切通過時間を更新する(SA6)。図2、4の例で、対象リンクがリンクDである場合、リンクDのリンクID(例えば1004)に基づいて、リンクDのリンク旅行時間=15secがリンク旅行時間テーブル13bから取得され、その時点の踏切通過時間=30secに当該取得されたリンクDのリンク旅行時間=15secが加算されることにより、踏切通過時間が45secに更新される。そして、図3のSA4に戻り、他のリンクを対象リンクとして、SA5〜SA7を再び繰り返す。また、対象リンクが2差路のリンクでないと判定された場合にも(SA7、No)、SA4に戻り、他のリンクを対象リンクとして、SA5〜SA7を再び繰り返す。
【0037】
このように、SA4とSA8のループにおいて、SA2で取得したリンク情報に対応するリンクの中で、踏切から所定距離以内のリンクの全てを対象として、SA5〜SA7の処理を順次行った後、制御部12は、算出部12dにて算出された踏切通過時間に関連する情報を、踏切通過時間テーブル13cに格納する(SA9)。
【0038】
ここで、図5は、踏切通過時間テーブル13cを例示した表である。図5に示すように、踏切通過時間テーブル13cには、項目「踏切No」、項目「踏切通過時間」、項目「踏切クロスリンク」、及び複数の項目「踏切進入リンク」と、各項目に対応する情報が、相互に関連付けて格納される。項目「踏切No」に対応して格納される情報は、踏切を一意に識別するための踏切識別情報である。項目「踏切通過時間」に対応して格納される情報は、踏切通過時間を特定する情報である。項目「踏切クロスリンク」に対応して格納される情報は、踏切のあるリンクに関する情報である。この項目「踏切クロスリンク」は、さらに小項目「リンクID」、小項目「方向」、及び小項目「リンク旅行時間」を含んで構成されており、これら各小項目に対応する情報が、相互に関連付けて格納されている。小項目「リンクID」に対応して格納される情報は、リンクIDである。小項目「方向」に対応して格納される情報は、踏切のあるリンクとの方向関係を特定する情報である。小項目「リンク旅行時間」に対応して格納される情報は、リンク旅行時間を特定する情報である。項目「踏切進入リンク」に対応して格納される情報は、踏切のあるリンクに対して道のりのリンク又は2差路のリンクに関する情報である。この項目「踏切進入リンク」は、項目「踏切クロスリンク」と同様に、小項目「リンクID」、小項目「方向」、及び小項目「リンク旅行時間」を含んでおり、これら各小項目に対応する情報が、相互に関連付けて格納されている。例えば、図5の一番上のレコードの例では、踏切No.=1にて特定される踏切に対して、リンクID=1001にて特定されるリンクが、当該踏切のあるリンクであり、リンクID=1002、1003、1004にて特定されるリンクが、リンクID=1001にて特定されるリンクに対する道のりのリンク又は2差路のリンクである。そして、踏切No.=1にて特定される踏切の踏切通過時間が、リンクID=1001、1002、1003、1004にて特定される各リンクのリンク旅行時間の総和(=20+10+20+15=65sec)となっている。
【0039】
踏切通過時間算出装置10は、このような踏切通過時間算出処理を各踏切に対して行うことで、各踏切の踏切通過時間を図5の踏切通過時間テーブル13cに格納した後、踏切通過時間算出処理を終了する。このように踏切通過時間テーブル13cに格納された各踏切の踏切通過時間は、必要に応じて各車両2の車載装置20にネットワーク3を介して送信される。すなわち、各車両2の車載装置20は、例えば、運転者によって走行経路が設定されて走行予測時間を算定する際、当該走行経路を特定する情報を踏切通過時間算出装置10に送信する。踏切通過時間算出装置10の制御部12は、当該走行経路を特定する情報と地図情報DB13aの地図情報とに基づいて、当該走行経路上に存在する踏切を特定し、当該特定した踏切の踏切通過時間を踏切通過時間テーブル13cから取得して車載装置20に送信する。そして、車載装置20は、当該踏切通過時間に基づいて走行予測時間を算定して運転者に対して表示等する。
【0040】
(効果)
このように実施の形態によれば、判定部12cによって、踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも車両2の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、当該踏切のあるリンクに対する道なりのリンクであると判定された場合に、当該踏切のあるリンクのリンク旅行時間と、当該踏切のあるリンクに対する道なりのリンクのリンク旅行時間とを、リンク旅行時間テーブル13bから取得し、当該取得したリンク旅行時間に基づいて、当該踏切を通過するまでの踏切通過時間を算出する算出部12dを備えるので、踏切のあるリンクだけでなく、踏切のあるリンクに対して道なりのリンクも考慮して踏切通過時間を算出することで、正確な踏切通過時間を算出することができ、車両2の走行経路を支援する際に有効な情報を提供することができる。また、プローブ情報として容易に取得できるリンク旅行時間に基づいて踏切通過時間を算出することができ、プローブ情報として取得することができない踏切の閉期間を実測する必要がなくなるので、実測の手間を省くことができると共に、電車のダイヤが変更されたような場合であっても正確な踏切通過時間を算出することができる。
【0041】
また、算出部12dは、判定部12cによって、踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも車両2の進行方向逆側に位置するリンクのいずれかが、当該踏切のあるリンクに対する2差路のリンクであると判定された場合に、当該踏切のあるリンクのリンク旅行時間と、当該踏切のあるリンクに対する2差路のリンクのリンク旅行時間とを、リンク旅行時間テーブル13bから取得し、当該取得したリンク旅行時間に基づいて、踏切通過時間を算出するので、踏切のあるリンクだけでなく、踏切のあるリンクに対して2差路のリンクも考慮して踏切通過時間を算出することで、一層正確な踏切通過時間を算出することができる。
【0042】
また、判定部12cは、踏切情報に対応する踏切のあるリンクよりも車両2の進行方向逆側に位置する各リンクとして、当該各リンクにおける車両2の進行方向側のノードが当該踏切から所定距離内に位置するリンクを対象として、判定を行うので、踏切周辺の様々な状況に応じた適切な距離を設定して判定を行うことが可能になり、状況に応じた正確な踏切通過時間を算出することができる。
【0043】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0044】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。例えば、踏切通過時間を従来より正確に算定できない場合であっても、踏切通過時間の算定や提供を従来とは異なる技術により達成できている場合には、本願発明の課題が解決されている。
【0045】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。例えば、踏切通過時間算出システム1の構成要素の一部又は全部を、車両2の車載装置20に組み込んでも良い。
【0046】
(踏切通過時間算出処理について)
上述の実施の形態では、図3の踏切通過時間算出処理において、算出部12dは、リンク旅行時間テーブル13bから各リンクのリンク旅行時間を取得し、当該取得したリンク旅行時間を用いて、踏切通過時間の初期値を設定したり、踏切通過時間を更新するものとして説明したが、これに限られない。例えば、踏切通過時間の算出の正確性を高めるために、算出部12dは、リンク旅行時間テーブル13bから取得した各リンクのリンク旅行時間に、踏切の開閉時間又は踏切の交通量に応じた係数を乗じることにより、踏切通過時を算定してもよい。この場合において、例えば、データ記録部13は、踏切の開閉時間又は踏切の交通量に応じた係数に関する係数情報を格納する係数テーブルを備えてもよい。
【0047】
また、上述の実施の形態では、図3の踏切通過時間算出処理において、踏切から所定距離以内のリンクを特定するものとして説明したが、この所定距離は一つの値に限られず、例えば、踏切の開閉時間、踏切の交通量、又はリンクの道路種別等に応じて、異なる値を動的に選択等してもよい(さらに、踏切の開閉時間又は踏切の交通量に関する値については、時間帯毎に異なる値であってもよい)。この場合において、例えば、データ記録部13は、踏切の開閉時間、踏切の交通量、又はリンクの道路種別等に応じた所定距離に関する距離情報を格納する距離情報テーブルを備えてもよい。
【0048】
また、上述の実施の形態では、図3の踏切通過時間算出処理において、踏切から所定距離以内のリンクを特定した後、当該特定されたリンクを順次対象として、道なりのリンクであるか否かの判定や、2差路のリンクであるか否かの判定を行うこととしているが、このような特定や判定の順序は変更することができる。例えば、踏切のあるリンクから近い順又は遠い順にリンクを選択し、当該選択したリンクを対象として、踏切から所定距離以内であるかの条件と、道なりのリンク又は2差路リンクであるかの条件を判定し、各条件を満たす場合のみ当該リンクのリンク通過時間を踏切の踏切通過時間に含めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 踏切通過時間算出システム
2 車両
3 ネットワーク
10 踏切通過時間算出装置
11 通信部
12 制御部
12a 踏切情報取得部
12b リンク情報取得部
12c 判定部
12d 算出部
13 データ記録部
13a 地図情報DB
13b リンク旅行時間テーブル
13c 踏切通過時間テーブル
20 車載装置
図1
図2
図3
図4
図5