(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ローカル制御部は、前記メイン制御部から前記ボイラ停止指示を受けた回数が所定時間内に所定回数に達した場合、前記ボイラ停止指示を受けたボイラを給蒸準備状態に移行させる請求項1又は2に記載のボイラシステム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のボイラシステムの好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明のボイラシステム1の全体構成につき、
図1を参照しながら説明する。
ボイラシステム1は、複数(3台)のボイラ20を含むボイラ群2と、これら複数のボイラ20において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ6と、この蒸気ヘッダ6の内部の圧力を測定する蒸気圧センサ7と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する台数制御装置3と、を備える。
【0018】
ボイラ群2は、負荷機器としての蒸気使用設備18に供給する蒸気を生成する。
蒸気ヘッダ6は、蒸気管11を介してボイラ群2を構成する複数のボイラ20に接続されている。この蒸気ヘッダ6の下流側は、蒸気管12を介して蒸気使用設備18に接続されている。
蒸気ヘッダ6は、ボイラ群2で生成された蒸気を集合させて貯留することにより、複数のボイラ20の相互の圧力差及び圧力変動を調整し、圧力が調整された蒸気を蒸気使用設備18に供給する。
【0019】
蒸気圧センサ7は、信号線13を介して、台数制御装置3に電気的に接続されている。蒸気圧センサ7は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧(ボイラ群2で発生した蒸気の圧力)を測定し、測定した蒸気圧に係る信号(蒸気圧信号)を、信号線13を介して台数制御装置3に送信する。
【0020】
台数制御装置3は、信号線16を介して、複数のボイラ20と電気的に接続されている。この台数制御装置3は、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧に基づいて、各ボイラ20の燃焼状態を制御する。台数制御装置3の詳細については、後述する。
【0021】
以上のボイラシステム1は、ボイラ群2で発生させた蒸気を、蒸気ヘッダ6を介して、蒸気使用設備18に供給可能とされている。
ボイラシステム1において要求される負荷(要求負荷)は、蒸気使用設備18における蒸気消費量である。台数制御装置3は、この蒸気消費量の変動に対応して生じる蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧の変動を、蒸気圧センサ7が測定する蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧(物理量)に基づいて算出し、ボイラ群2を構成する各ボイラ20の燃焼量を制御する。
【0022】
具体的には、蒸気使用設備18の需要の増大により要求負荷(蒸気消費量)が増加し、供給蒸気量が不足すれば、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧が減少することになる。一方、蒸気使用設備18の需要の低下により要求負荷(蒸気消費量)が減少し、供給蒸気量が過剰になれば、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧が増加することになる。従って、ボイラシステム1は、蒸気圧センサ7により測定された蒸気圧の変動に基づいて、要求負荷の変動をモニターすることができる。そして、ボイラシステム1は、蒸気ヘッダ6の蒸気圧に基づいて蒸気使用設備18の消費蒸気量(要求負荷)に応じた目標蒸発量を算出する。
【0023】
ここで、本実施形態のボイラシステム1を構成する複数のボイラ20について説明する。
図2は、本実施形態に係るボイラ群2の概略を示す図である。
本実施形態のボイラ20は、複数の段階的な燃焼位置を有する段階値制御ボイラからなる。段階値制御ボイラとは、燃焼を選択的にオン/オフしたり、炎の大きさを調整したりすること等により燃焼量を制御して、選択された燃焼位置に応じて燃焼量を段階的に増減可能なボイラである。
【0024】
ボイラ20の各燃焼位置における燃焼量は、制御対象とされる蒸気ヘッダ6における蒸気圧の圧力差に対応する量の蒸気を発生するように設定されている。段階値制御ボイラからなる3台のボイラ20においては、それぞれ、各燃焼位置における燃焼量及び燃焼能力は、等しく設定されていてもよく、あるいは、異なって設定されていてもよい。
【0025】
本実施形態におけるボイラ20は、
図2に示すように、燃焼停止位置(0%)、第1燃焼位置としての低燃焼位置(50%)、及び第2燃焼位置としての高燃焼位置(100%)の3段階の燃焼位置で燃焼可能とされるいわゆる3位置制御のボイラ20により構成される。この場合、高燃焼位置における燃料状態(高燃焼状態)の燃焼量を1.0と捉えれば、各ボイラ20の燃焼量は0.5刻みで変更することができることになる。
【0026】
尚、N位置制御とは、段階値制御ボイラの燃焼量を、燃焼停止位置を含めてN位置に段階的に制御可能なことを表す。燃焼位置の個数は、2位置(つまり、オン/オフのみ)、4位置(燃焼停止位置、低燃焼位置、中燃焼位置及び高燃焼位置)、又は5位置以上でもよい。
【0027】
また、本実施形態においては、各ボイラ20において、燃焼停止位置から低燃焼位置に移行して蒸気の供給(給蒸)が開始されるまでの状態を、給蒸準備状態という。この給蒸準備状態は、以下の(1)〜(3)の状態を含む。
(1)連続パイロット燃焼状態:燃料としてガスを用い、パイロットバーナ及びメインバーナを有して構成されるガス焚きボイラにおいて、送風機を駆動させつつパイロットバーナを燃焼させることでボイラ20の内部における未燃ガス(可燃成分)の滞留を防ぎ、燃焼指示を受けた場合に速やかにメインバーナに着火可能とされた状態。尚、連続パイロット燃焼状態は、少なくともメインバーナの燃焼が停止されている場合にパイロットバーナを燃焼させる状態をいう。即ち、連続パイロット燃焼状態は、メインバーナが燃焼しているときには、パイロットバーナの燃焼を停止させる場合を含む。
(2)微風パージ状態:燃料として油を用いる油焚きボイラにおいて、送風機を連続して駆動させてボイラ20(缶体)の内部への空気の供給を維持することで、ボイラ20の内部における可燃成分である気化した油成分の滞留を防ぎ、燃焼指示を受けた場合に速やかにバーナに着火可能とされた状態。尚、微風パージ状態には、バーナの燃焼時よりも弱い状態で送風機を運転する場合、及びバーナの燃焼時と同状態で送風機を運転する場合が含まれる。
(3)圧力保持状態:給蒸は行っていないがボイラ20の内部の圧力を保持し、燃焼指示を受けた場合に、速やかに給蒸を開始可能とされた状態。
【0028】
尚、給蒸準備状態は、上記(1)〜(3)単独の状態だけではなく、(1)かつ(2)の状態(圧力を保持した状態で連続パイロット燃焼を行っている状態)、及び(1)かつ(3)の状態(圧力を保持した状態で微風パージを行っている状態)を含む。
【0029】
以上のボイラ群2には、各ボイラ20とその各燃焼位置との組み合わせからなる複数の燃焼パターンが設定されている。
図3は、本実施形態に係る各ボイラ20の燃焼パターン及び優先順位と、蒸気圧制御範囲における蒸気圧帯との関係を示す図である。
本実施形態においては、
図3に示すように、燃焼パターンは、ボイラを高燃焼位置で燃焼させる状態(高燃焼状態)にする場合を「H」、低燃焼位置で燃焼させる状態(低燃焼状態)にする場合を「L」、燃焼停止状態にする場合を「−」として示す。
【0030】
燃焼パターンは、蒸気圧センサ7にて検出される蒸気圧が高くなるほど燃焼量が小さいパターンが選択され、蒸気圧が低下するほど燃焼量が大きいパターンが選択される。
図3に示すように、本実施形態では、蒸気圧制御範囲は、A〜Gの7つの蒸気圧帯に区分される。そして、ボイラシステム1は、蒸気圧帯ごとに、対応する燃焼パターン、即ち、燃焼状態(燃焼位置)を設定しておき、蒸気圧がどの圧力帯に対応するかによって燃焼量を決定する。燃焼パターンは、7つの蒸気圧帯に対応して、7つ設定される。
【0031】
より具体的には、
図3に示すように、最上位の蒸気圧帯A(要求負荷が小さい場合)においては、すべてのボイラ20が燃焼停止位置(−)に位置し、最下位の蒸気圧帯G(要求負荷が大きい場合)においては、すべてのボイラ20が高燃焼位置(H)に位置する。
【0032】
複数のボイラ20には、それぞれ優先順位が設定されている。優先順位は、燃焼指示や燃焼停止指示を行うボイラを選択するために用いられる。優先順位は、例えば整数値を用いて、数値が小さいほど優先順位が高くなるよう設定することができる。
図2及び
図3に示すように、ボイラ20の1号機〜3号機のそれぞれに「1」〜「3」の優先順位が割り当てられている場合、1号機の優先順位が最も高く、3号機の優先順位が最も低い。この優先順位は、後述のメイン制御部4の制御により、所定の時間間隔(例えば、24時間間隔)で変更される。
【0033】
本実施形態では、
図3に示すように、最上位の蒸気圧帯Aから最下位の蒸気圧帯Gに向けて蒸気圧が低下していく場合、通常の制御においては、最も優先順位が高いボイラ(ここでは1号ボイラ)が燃焼停止状態(−)から低燃焼状態(L)に変更された後に、次に順位が高いボイラ(ここでは2号ボイラ)が燃焼停止状態(−)から低燃焼状態(L)に変更される。そして、すべてのボイラ20が低燃焼状態(L)に変更された後に、最も優先順位が高いボイラ20(ここでは1号ボイラ)が低燃焼状態(L)から高燃焼状態(H)に変更される。
【0034】
次に、本実施形態のボイラシステム1による複数のボイラ20の燃焼状態の制御の詳細について説明する。本実施形態のボイラシステム1は、ボイラ群2の燃焼状態を制御する制御部として、台数制御装置3に設けられるメイン制御部4と、複数のボイラ20それぞれに設けられるローカル制御部25と、を備える。
台数制御装置3は、蒸気圧センサ7からの蒸気圧信号に基づいて、要求負荷に応じたボイラ群2の必要燃焼量及び必要燃焼量に対応する各ボイラ20の燃焼位置(燃焼状態)を算出し、各ボイラ20(後述のローカル制御部25)に台数制御信号を送信する。この台数制御装置3は、
図1に示すように、メイン記憶部5と、メイン制御部4と、を備える。
【0035】
メイン記憶部5は、台数制御装置3(メイン制御部4)の制御により各ボイラ20に対して行われた指示や、各ボイラ20から受信した燃焼状態(燃焼位置)等の情報、複数のボイラ20の優先順位の設定の情報、優先順位の変更(ローテーション)に関する設定の情報等を記憶する。
【0036】
メイン制御部4は、信号線16を介して各ボイラ20に各種の指示を行ったり、各ボイラ20から各種のデータを受信したりして、3台のボイラ20の燃焼状態(燃焼位置)や優先順位を制御する。各ボイラ20は、台数制御装置3から燃焼位置の変更指示の信号を受けると、その指示に従って当該ボイラ20を制御する。
【0037】
ボイラ20は、
図1に示すように、燃焼が行われるボイラ本体21と、ボイラ20の内部の蒸気圧を測定するローカル蒸気圧測定部27と、ローカル記憶部26と、ボイラ20の燃焼位置(燃焼状態)を制御するローカル制御部25と、を備える。
【0038】
ローカル蒸気圧測定部27は、蒸気圧センサから構成され、ボイラ20の内部の蒸気圧を測定する。
ローカル記憶部26は、台数制御装置3(メイン制御部4)からボイラ20(ローカル制御部25)に対して行われた燃焼位置の変更指示の内容や、変更指示を受けた時間等の情報を記憶する。
【0039】
ローカル制御部25は、要求負荷に応じてボイラ20の燃焼位置(燃焼状態)を変更させる。具体的には、ローカル制御部25は、信号線16を介して台数制御装置3から送信される台数制御信号に基づいて、又はローカル蒸気圧測定部27により測定されたボイラ20の内部の蒸気圧に基づいて、ボイラ20の燃焼状態を制御する。
また、ローカル制御部25は、台数制御装置3で用いられる信号を、信号線16を介して台数制御装置3に送信する。台数制御装置3で用いられる信号としては、ボイラ20の内部の蒸気圧、ボイラ20の実際の燃焼状態、及びその他のデータが挙げられる。
【0040】
本実施形態では、ローカル制御部25は、メイン制御部4からボイラ停止指示を受けた回数が所定時間内(例えば1分間以内)に所定回数(例えば5回)に達した場合、ボイラ停止指示に基づいてボイラ20を給蒸準備状態に移行させる。
【0041】
具体的には、例えば、
図3に示すボイラ群2において、1号ボイラと2号ボイラが共に低燃焼位置(L)で燃焼している場合に、蒸気ヘッダ6で測定される蒸気圧の値が蒸気圧帯Cの上限値をまたいで上下を繰り返した場合、メイン制御部4は、測定された蒸気圧が蒸気圧帯Cの上限値を上回ると2号ボイラに燃焼停止指示を出す。また、この場合、メイン制御部4は、測定された蒸気圧が蒸気圧帯Cの上限値(蒸気圧帯Bの下限値)を下回ると、2号ボイラを低燃焼位置で燃焼させる指示を出す。
【0042】
ローカル制御部25は、メイン制御部4の指示に基づいてボイラ20の燃焼位置を変更する。また、ローカル制御部25は、メイン制御部4から受ける指示の内容及び指示を受けた時間をローカル記憶部26に記憶させる。
そして、ローカル制御部25は、ローカル記憶部26に記憶されたボイラ停止指示の回数が所定時間内に所定回数に達した場合には、ボイラ停止指示を受けてもボイラ20を停止させず、このボイラ20を給蒸準備状態に移行させる。
【0043】
これにより、給蒸準備状態に移行されたボイラ20に、再度低燃焼位置で燃焼させる指示が出された場合には、ボイラ20は、すみやかに給蒸を開始できる(低燃焼位置に移行できる)ので、負荷変動に対する応答性を向上させられる。
【0044】
例えば、ボイラ20を、給蒸準備状態として圧力保持状態に移行させた場合には、このボイラ20は、すみやかに給蒸を開始できる状態を保っているので、ボイラ20に低燃焼位置で燃焼させる指示が出された場合における給蒸を開始するまでの時間を短縮できる。
また、ボイラ20を、給蒸準備状態として連続パイロット燃焼状態に移行させた場合には、このボイラ20を燃焼させる場合に、パイロット運転を行うことなくメインバーナを燃焼させられるので、給蒸を開始するまでの時間を短縮できる。
また、ボイラ20を、給蒸準備状態として微風パージ状態に移行させた場合には、このボイラ20を燃焼させる場合に、プレパージを行うことなくバーナを燃焼させられるので、給蒸を開始するまでの時間を短縮できる。
【0045】
また、ローカル制御部25は、ボイラ20を給蒸準備状態に移行させた後、所定時間内(例えば5分以内)に給蒸指示が出されなかった場合、このボイラ20を停止させる。
即ち、ローカル制御部25は、ボイラ20を給蒸準備状態に移行させた後、所定時間内にメイン制御部4からこのボイラ20を低燃焼位置で燃焼させる指示を受けなかった場合には、給蒸準備状態に移行させたボイラ20を燃焼停止位置に移行させる。
これにより、負荷変動に対する応答性を向上させるために給蒸準備状態に移行させたボイラ20に対して繰り返し燃焼位置の変更指示が出されなくなった場合には、この給蒸準備状態に移行させたボイラ20を停止させられる。
【0046】
次に、本実施形態のボイラシステム1の動作につき、
図2〜
図4を参照しながら説明する。
図4は、ボイラシステム1の動作を示すフロー図である。
ここでは、
図2及び
図3に示すように、ボイラ20の1号機〜3号機のそれぞれに「1」〜「3」の優先順位が割り当てられている場合において、1号機のボイラ20及び2号機のボイラ20が低燃焼位置(L)で燃焼し、3号機のボイラ20が燃焼停止位置(−)に位置している状態で、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧が蒸気圧帯Cの上限値をまたいで上下を繰り返した場合のボイラシステム1の動作について説明する。この状態では、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧は、
図3に示す蒸気圧帯Cの範囲に位置している。
【0047】
この場合、
図4に示すように、まず、ステップST1において、メイン制御部4は、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧を監視する。ここで、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧が
図3に示す蒸気圧帯Cの上限値である第1閾値を上回っていない場合、処理はステップST1に戻る。蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧が第1閾値を上回った場合、処理はステップST2に進む。
【0048】
ステップST2において、メイン制御部4は、低燃焼位置で燃焼しているボイラ20のなかで最も優先順位の低い2号ボイラ20のローカル制御部25に燃焼停止指示を出す。そして、処理は、ステップST3に進む。
【0049】
ステップST3において、2号ボイラ20のローカル制御部25は、メイン制御部4から受けた指示の内容及び指示を受けた時間をローカル記憶部26に記憶させる。そして、処理は、ステップST4に進む。
【0050】
ステップST4において、ローカル制御部25は、燃焼停止指示を受けた頻度が所定の頻度を上回っているかを判定する。具体的には、ローカル制御部25は、ローカル記憶部26に記憶された情報に基づいて、n回前(例えば、4回前)の燃焼停止指示から今回の燃焼停止指示までの時間がT1時間(例えば1分)未満であるかを判定する。ローカル制御部25により、n回前の燃焼停止指示から今回の燃焼停止指示までの時間がT1時間未満であると判定された場合、処理はステップST10に進む。ローカル制御部25により、n回前の燃焼停止指示から今回の燃焼停止指示までの時間がT1時間未満でないと判定された場合、処理はステップST5に進む。
【0051】
ステップST5において、ローカル制御部25は、2号ボイラの燃焼を停止させる。そして、処理はステップST6に進む。
【0052】
ステップST6において、メイン制御部4は、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧が第1閾値を下回ったかを判定する。メイン制御部4により、蒸気圧が第1閾値を下回ったと判定された場合、処理はステップST7に進む。メイン制御部4により、蒸気圧が第1閾値を下回ったと判定されなかった場合、処理はステップST6に戻る。
【0053】
ステップST7において、メイン制御部4は、2号ボイラ20を低燃焼位置に移行させる指示を出す。そして、処理はステップST8に進む。
【0054】
ステップST8において、2号ボイラ20のローカル制御部25は、停止状態の2号ボイラ20をパイロット運転又はプレパージする。そして、処理はステップST9に進む。
【0055】
ステップST9において、ローカル制御部25は、2号ボイラ20を燃焼させて低燃焼位置に移行させる。そして、処理はステップST1に戻る。
【0056】
一方、ステップST4において、ローカル制御部25により、n回前の燃焼停止指示から今回の燃焼停止指示までの時間がT1時間未満であると判定された場合、ステップST10において、ローカル制御部25は、2号ボイラ20を給蒸準備状態に移行させる。ここでは、ローカル制御部25は、2号ボイラ20を、連続パイロット運転状態又は微風パージ状態に移行させる。そして、処理はステップST11に進む。
【0057】
ステップST11において、メイン制御部4は、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の蒸気圧が第1閾値を下回ったかを判定する。メイン制御部4により、蒸気圧が第1閾値を下回ったと判定された場合、処理はステップST12に進む。メイン制御部4により、蒸気圧が第1閾値を下回ったと判定されなかった場合、処理はステップST14に進む。
【0058】
ステップST12において、メイン制御部4は、2号ボイラ20を低燃焼位置に移行させる指示を出す。そして、処理はステップST13に進む。
【0059】
ステップST13において、ローカル制御部25は、2号ボイラ20を、パイロット運転又はプレパージさせることなく燃焼させて低燃焼位置に移行させる。そして、処理はステップST1に戻る。
【0060】
一方、ステップST11において、メイン制御部4により、蒸気圧が第1閾値を下回ったと判定されなかった場合、ステップST14において、2号ボイラ20のローカル制御部25は、給蒸準備状態に移行してから所定時間であるT2時間が経過したかを判定する。ローカル制御部25により、給蒸準備状態に移行してからT2時間が経過したと判断された場合、処理はステップST15に進む。ローカル制御部25により、給蒸準備状態に移行してからT2時間が経過したと判断されなかった場合、処理はステップST11に戻る。
【0061】
ステップST15において、ローカル制御部25は、2号ボイラ20の燃焼を停止させる。そして、本フローの処理は終了する。
【0062】
以上説明した本実施形態のボイラシステム1によれば、以下のような効果を奏する。
【0063】
(1)ボイラシステム1を、ボイラ群2を制御するメイン制御部4と、複数のボイラ20それぞれに設けられたローカル制御部25と、を含んで構成し、ローカル制御部25に、所定の頻度でメイン制御部4からボイラ停止指示を受けた場合にボイラ停止指示を受けたボイラ20を給蒸準備状態に移行させた。これにより、発停が繰り返される頻度が高いボイラ20にボイラ停止指示が出された場合に、このボイラ20を給蒸準備状態に移行させるので、このボイラ20に再度低燃焼位置で燃焼させる指示が出された場合には、すみやかに給蒸を開始させられる(低燃焼位置に移行できる)。よって、要求される負荷がボイラ20を起動又は停止させる閾値をまたいで繰り返し変動する場合であっても、負荷の変動に対する応答性を向上させられる。
【0064】
(2)ローカル制御部25に、メイン制御部4からボイラ停止指示を受けた回数が所定時間内に所定回数に達した場合、ボイラ停止指示に基づいてボイラ20を給蒸準備状態に移行させた。これにより、ボイラ停止指示を受けた場合に、指示の内容及び指示を受けた時間をローカル記憶部26に記憶させることで、このローカル記憶部26に記憶された情報に基づいて、ボイラ20の発停が繰り返される頻度を容易に判定できる。
【0065】
(3)ローカル制御部25に、所定の頻度でメイン制御部4からボイラ停止指示を受けた場合、このボイラ20を圧力保持状態に移行させた。これにより、発停が繰り返される頻度が高いボイラ20にボイラ停止指示が出された場合に、このボイラ20を、すみやかに給蒸を開始できる圧力保持状態とできるので、負荷変動に対する応答性をより向上させられる。
【0066】
(4)ローカル制御部25に、所定の頻度でメイン制御部4からボイラ停止指示を受けた場合、このボイラ20を連続パイロット燃焼状態又は微風パージ状態に移行させた。これにより、このボイラ20を燃焼させる場合に、パイロット運転又はプレパージを行うことなくボイラ20の燃焼を開始させられるので、給蒸を開始するまでの時間を短縮できる。
また、ボイラ20を連続パイロット燃焼状態又は微風パージ状態とした場合には、ボイラ20の内部に空気を供給する送風機の駆動は継続される。ここで、送風機の駆動及び停止は、インバータを用いて行われる。そのため、頻繁に発停が繰り返されるボイラ20にボイラ停止指示が出された場合に、ボイラ20を連続パイロット燃焼状態又は微風パージ状態することで、送風機を連続して駆動させられるので、送風機の駆動及び停止が頻繁に繰り返されることを防げる。よって、送風機の駆動及び停止に用いられるインバータに過剰な負荷を与えることを防げるので、インバータ等の電気系統の長寿命化を図れる。
また、複数のボイラ20それぞれに設けられたインバータの性能に応じて、ボイラ20を給蒸準備状態に移行させる発停の頻度を設定することで、複数のボイラ20それぞれの性能に応じた制御を行える。
【0067】
(5)ローカル制御部25に、ボイラ20を給蒸準備状態に移行させた後、所定時間T2内に給蒸指示が出されなかった場合、ボイラ20を停止させた。これにより、負荷変動に対する応答性を向上させるために給蒸準備状態に移行させたボイラ20に対して繰り返し燃焼位置の変更指示が出されなくなった場合には、この給蒸準備状態に移行させたボイラ20を停止させられる。よって、給蒸を行わないボイラ20を停止させられるので、ボイラシステム1の運転効率を向上させられる。
【0068】
以上、本発明のボイラシステム1の好ましい一実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、本発明のボイラシステム1を、3位置制御のボイラ20に適用したが、これに限らない。即ち、本発明のボイラシステム1を、2位置制御(つまり、オン/オフのみ)のボイラに適用してもよく、また、4位置制御のボイラに適用してもよい。尚、本発明のボイラシステムを4位置制御のボイラに適用した場合、第1燃焼位置は、低燃焼位置に対応し、第2燃焼位置は、中燃焼位置に対応する。
【0069】
また、本実施形態では、ローカル記憶部26に記憶されたボイラ停止指示の回数に基づいて、ボイラ20の発停の頻度を判定したが、これに限らない。即ち、ローカル記憶部に記憶された低燃焼位置で燃焼させる指示(給蒸開始指示)の回数に基づいて、ボイラの発停の頻度を判定してもよい。
【0070】
また、本実施形態では、ローカル制御部25が所定の頻度でメイン制御部4からボイラ停止指示を受けた場合に、ローカル制御部25の制御によりボイラ停止指示を受けたボイラ20を給蒸準備状態に移行させたが、これに限らない。即ち、メイン制御部が所定の頻度でローカル制御部からボイラ停止指示を受けた場合に、メイン制御部の制御によりボイラ停止指示を受けたボイラを給蒸準備状態に移行させてもよい。