特許第5942627号(P5942627)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カシオ計算機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5942627-演奏装置、方法及びプログラム 図000002
  • 特許5942627-演奏装置、方法及びプログラム 図000003
  • 特許5942627-演奏装置、方法及びプログラム 図000004
  • 特許5942627-演奏装置、方法及びプログラム 図000005
  • 特許5942627-演奏装置、方法及びプログラム 図000006
  • 特許5942627-演奏装置、方法及びプログラム 図000007
  • 特許5942627-演奏装置、方法及びプログラム 図000008
  • 特許5942627-演奏装置、方法及びプログラム 図000009
  • 特許5942627-演奏装置、方法及びプログラム 図000010
  • 特許5942627-演奏装置、方法及びプログラム 図000011
  • 特許5942627-演奏装置、方法及びプログラム 図000012
  • 特許5942627-演奏装置、方法及びプログラム 図000013
  • 特許5942627-演奏装置、方法及びプログラム 図000014
  • 特許5942627-演奏装置、方法及びプログラム 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5942627
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】演奏装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/00 20060101AFI20160616BHJP
   G10H 1/053 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   G10H1/00 A
   G10H1/00 Z
   G10H1/053 A
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-137064(P2012-137064)
(22)【出願日】2012年6月18日
(65)【公開番号】特開2014-2249(P2014-2249A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】春日 一貴
【審査官】 間宮 嘉誉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−252149(JP,A)
【文献】 特開2012−2919(JP,A)
【文献】 特開2007−184834(JP,A)
【文献】 特開2013−195645(JP,A)
【文献】 特開2003−295860(JP,A)
【文献】 特開2010−66660(JP,A)
【文献】 特開2009−31457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00−7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
奏操作によって奏部材が仮想的に打撃する仮想打面を有し、当該仮想打面が仮想空間内の所定の位置および角度に配置される仮想パッドに対して前記演奏操作がなされた時に、所定の楽音の発音を指示する発音指示手段と、
前記演奏操作がなされた時から、前記仮想打面と前記演奏部材とで形成されるピッチ角の取得を開始するとともに、前記演奏操作がなされた時点における前記演奏部材を起点とし、当該起点における演奏部材とその後の前記演奏部材とで形成されるヨー角の取得を開始するピッチ角・ヨー角取得出手段と、
前記演奏操作がなされた時点から所定時間内に、前記取得されたピッチ角及びヨー角が所定の条件を満たした場合に、前記発音を指示された楽音の消音を指示する消音指示手段と、
を備えることを特徴とする演奏装置。
【請求項2】
前記消音指示手段は、前記演奏操作がなされた後における前記ピッチ角・ヨー角取得出手段により取得された前記ピッチ角が第1の閾値を超えず、かつ、前記演奏操作がなされた後におけるピッチ角・ヨー角取得出手段により取得された前記ヨー角が第2の閾値を超えた場合に、前記消音する指示をすることを特徴とする請求項1に記載の演奏装置。
【請求項3】
奏操作によって奏部材が仮想的に打撃する仮想打面を有し、当該仮想打面が仮想空間内の所定の位置および角度に配置され、前記演奏部材のピッチ角を検出するピッチ角検出手段と、前記演奏部材のヨー角を検出するヨー角検出手段と、を備える演奏装置が実行する方法であって、
前記演奏部材により前記仮想打面に対して前記演奏操作がなされた時に、所定の楽音の発音を指示する発音指示ステップと、
前記演奏操作がなされた時から、前記仮想打面と前記演奏部材とで形成されるピッチ角の取得を開始するとともに、前記演奏操作がなされた時点における前記演奏部材を起点とし、当該起点における演奏部材とその後の前記演奏部材とで形成されるヨー角の取得を開始するピッチ角・ヨー角取得出ステップと、
前記演奏操作がなされた時点から所定時間内に、前記取得されたピッチ角及びヨー角が所定の条件を満たした場合に、前記発音を指示された楽音の消音を指示する消音指示ステップと、
を含む方法。
【請求項4】
奏操作によって奏部材が仮想的に打撃する仮想打面を有し、当該仮想打面が仮想空間内の所定の位置および角度に配置され、前記演奏部材のピッチ角を検出するピッチ角検出手段と、前記演奏部材のヨー角を検出するヨー角検出手段と、を備える演奏装置として用いられるコンピュータに、
前記演奏部材により前記仮想打面に対して前記演奏操作がなされた時に、所定の楽音の発音を指示する発音指示ステップと、
前記演奏操作がなされた時から、前記仮想打面と前記演奏部材とで形成されるピッチ角の取得を開始するとともに、前記演奏操作がなされた時点における前記演奏部材を起点とし、当該起点における演奏部材とその後の前記演奏部材とで形成されるヨー角の取得を開始するピッチ角・ヨー角取得出ステップと、
前記演奏操作がなされた時点から所定時間内に、前記取得されたピッチ角及びヨー角が所定の条件を満たした場合に、前記発音を指示された楽音の消音を指示する消音指示ステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、演奏者の演奏動作を検知すると、演奏動作に応じた電子音を発音する演奏装置が提案されている。例えば、スティック状の部材のみで打楽器音を発音する演奏装置(エアドラム)が知られている。この演奏装置では、演奏者が、センサを内蔵するスティック状の部材を手で保持して振るといった、あたかもドラムを打撃するような演奏動作をすると、センサが当該演奏動作を検知し、打楽器音が発音される。
このような演奏装置によれば、現実の楽器を必要とせずに当該楽器の楽音を発音することができるため、演奏者は、演奏場所や演奏スペースに制約を受けずに演奏を楽しむことができる。
【0003】
このような演奏装置として、例えば、特許文献1には、演奏者のスティック状の部材を用いた演奏動作を撮像すると共に、当該演奏動作の撮像画像と、楽器セットを示す仮想画像とを合成した合成画像をモニタに表示し、スティック状の部材と仮想的な楽器セットとの位置情報に応じて所定の楽音を発音するように構成された楽器ゲーム装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3599115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の楽器ゲーム装置では、実際の楽器セットが存在しないため、打楽器等の発音後に実際に手で触ることにより消音するというチョーク奏法を実現させることは困難であった。
また、スティック状の部材に消音スイッチを設けることで消音する方法が考えられるが、この方法は生のドラム又は電子ドラムのチョーク奏法とは異なるため、実際のドラムセットにおけるチョーク奏法を実現させることは困難であった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、演奏者が、あたかも実際のドラムセットにおけるチョーク奏法を行っているかのような感覚を得られる演奏装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の演奏装置は、
奏操作によって奏部材が仮想的に打撃する仮想打面を有し、当該仮想打面が仮想空間内の所定の位置および角度に配置される仮想パッドに対して前記演奏操作がなされた時に、所定の楽音の発音を指示する発音指示手段と、
前記演奏操作がなされた時から、前記仮想打面と前記演奏部材とで形成されるピッチ角の取得を開始するとともに、前記演奏操作がなされた時点における前記演奏部材を起点とし、当該起点における演奏部材とその後の前記演奏部材とで形成されるヨー角の取得を開始するピッチ角・ヨー角取得出手段と、
前記演奏操作がなされた時点から所定時間内に、前記取得されたピッチ角及びヨー角が所定の条件を満たした場合に、前記発音を指示された楽音の消音を指示する消音指示手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、演奏者は、あたかも実際のドラムセットにおけるチョーク奏法を行っているかのような感覚を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の演奏装置の一実施形態の概要を示す図である。
図2】上記演奏装置を構成するスティック部のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】上記演奏装置を構成するカメラユニット部のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】上記演奏装置を構成するセンターユニット部のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】本発明の演奏装置の一実施形態に係るセットレイアウト情報を示す図である。
図6】上記セットレイアウト情報が示す概念を仮想空間上で可視化した図である。
図7】上記スティック部の処理の流れを示すフローチャートである。
図8】上記カメラユニット部の処理の流れを示すフローチャートである。
図9】上記センターユニット部の処理の流れを示すフローチャートである。
図10】シンバルのチョーク奏法について説明する図である。
図11】シンバルのチョーク奏法について説明する図である。
図12】シンバルのチョーク奏法におけるスティック部の回転運動を定量的に表した図である。
図13】シンバルのチョーク奏法におけるスティック部の回転運動を定量的に表した図である。
図14】シンバルのチョーク奏法におけるスティック部の回転運動を定量的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
[演奏装置1の概要]
初めに、図1を参照して、本発明の一実施形態としての演奏装置1の概要について説明する。
図1(1)に示すように、本実施形態の演奏装置1は、スティック部10R,10Lと、カメラユニット部20と、センターユニット部30と、を含んで構成される。本実施形態の演奏装置1は、2本のスティックを用いた仮想的なドラム演奏を実現するため、2つのスティック部10R,10Lを備えることとしているが、スティック部の数は、これに限られず1つとしてもよく、3つ以上としてもよい。なお、以下では、スティック部10R,10Lを個々に区別する必要がない場合には、両者を総称して「スティック部10」と呼ぶ。
【0012】
スティック部10は、長手方向に延びるスティック状の演奏部材である。演奏者は、スティック部10の一端(根元側)を手に持ち、手首などを中心として振り上げたり振り下ろしたりする動作を、演奏動作として行う。このような演奏者の演奏動作を検知するため、スティック部10の他端(先端側)には、加速度センサ及び角速度センサなどの各種センサが設けられている(後述のモーションセンサ部14)。スティック部10は、これらの各種センサにより検知された演奏動作に基づいて、センターユニット部30にノートオンイベントを送信する。
また、スティック部10の先端側には、後述するマーカー部15(図2参照)が設けられており、撮像時にカメラユニット部20がスティック部10の先端を判別可能に構成されている。
【0013】
カメラユニット部20は、光学式の撮像装置として構成され、スティック部10を保持して演奏動作を行う演奏者を被写体として含む空間(以下、「撮像空間」と呼ぶ)を、所定のフレームレートで撮像し、動画像のデータとして出力する。カメラユニット部20は、撮像空間内における発光中のマーカー部15の位置座標を特定し、当該位置座標を示すデータ(以下、「位置座標データ」と呼ぶ)をセンターユニット部30に送信する。
【0014】
センターユニット部30は、スティック部10からノートオンイベントを受信すると、受信時のマーカー部15の位置座標データに応じて、所定の楽音を発音する。具体的には、センターユニット部30は、カメラユニット部20の撮像空間に対応付けて、図1(2)に示す仮想ドラムセットDの位置座標データを記憶しており、当該仮想ドラムセットDの位置座標データと、ノートオンイベント受信時のマーカー部15の位置座標データとに基づいて、スティック部10が仮想的に打撃した楽器を特定し、当該楽器に対応する楽音を発音する。
【0015】
次に、このような本実施形態の演奏装置1の構成について具体的に説明する。
【0016】
[演奏装置1の構成]
初めに、図2図4を参照して、本実施形態の演奏装置1の各構成要素、具体的には、スティック部10、カメラユニット部20及びセンターユニット部30の構成について説明する。
【0017】
[スティック部10の構成]
図2は、スティック部10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2に示すように、スティック部10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、モーションセンサ部14と、マーカー部15と、データ通信部16と、スイッチ操作検出回路17と、を含んで構成される。
【0018】
CPU11は、スティック部10全体の制御を実行し、例えば、モーションセンサ部14から出力されるセンサ値に基づいて、スティック部10の姿勢の検知、ショット検出及びアクション検出に加え、マーカー部15の発光・消灯などの制御を実行する。このとき、CPU11は、マーカー特徴情報をROM12から読み出し、当該マーカー特徴情報に従い、マーカー部15の発光制御を実行する。また、CPU11は、データ通信部16を介して、センターユニット部30との間の通信制御を実行する。
【0019】
ROM12は、CPU11により各種処理が実行されるための処理プログラムを格納する。また、ROM12は、マーカー部15の発光制御に用いるマーカー特徴情報を格納する。ここで、カメラユニット部20は、スティック部10Rのマーカー部15(以下、「第1マーカー」と適宜呼ぶ)と、スティック部10Lのマーカー部15(以下、「第2マーカー」と適宜呼ぶ)とを区別する必要がある。マーカー特徴情報とは、第1マーカーと第2マーカーとをカメラユニット部20が区別するための情報であり、例えば、発光時の形状、大きさ、色相、彩度、あるいは輝度に加え、発光時の点滅スピードなどを用いることができる。
スティック部10RのCPU11及びスティック部10LのCPU11は、夫々異なるマーカー特徴情報を読み出し、夫々のマーカーの発光制御を実行する。
【0020】
RAM13は、モーションセンサ部14が出力した各種センサ値など、処理において取得され又は生成された値を格納する。
【0021】
モーションセンサ部14は、スティック部10の状態を検知するための各種センサであり、所定のセンサ値を出力する。ここで、モーションセンサ部14を構成するセンサとしては、例えば、加速度センサ、角速度センサ及び磁気センサなどを用いることができる。
【0022】
演奏者は、スティック部10の一端(根元側)を保持し、手首などを中心とした振り上げ振り下ろし動作を行うことで、スティック部10に対して運動を生じさせる。その際にこの運動に応じたセンサ値がモーションセンサ部14から出力されるようになっている。
【0023】
モーションセンサ部14からのセンサ値を受け付けたCPU11は、演奏者が持っているスティック部10の状態、を検知する。一例としては、CPU11は、スティック部10による仮想的な楽器の打撃タイミング(以下、「ショットタイミング」とも呼ぶ)を検知する。ショットタイミングは、スティック部10が振り下ろされてから停止される直前のタイミングであり、スティック部10にかかる振り下ろし方向とは逆向きの加速度の大きさがある閾値を超えたタイミングである。
【0024】
更に、モーションセンサ部14のセンサ値には、演奏者がスティック部10を持ったときの長手方向と水平面とのなす角である「ピッチ角」及び、当該長手方向と、水平面と直交する面とのなす角である「ヨー角」を検出するために必要なデータも含まれる。
【0025】
マーカー部15は、スティック部10の先端側に設けられた発光体であり 、例えばLEDなどで構成され、CPU11からの制御に応じて発光及び消灯する。具体的には、マーカー部15は、CPU11によってROM12から読み出されたマーカー特徴情報に基づいて発光する。このとき、スティック部10Rのマーカー特徴情報と、スティック部10Lのマーカー特徴情報とは異なるため、カメラユニット部20は、スティック部10Rのマーカー部(第1マーカー)の位置座標と、スティック部10Lのマーカー部(第2マーカー)の位置座標とを個々に区別し取得することができる。
【0026】
データ通信部16は、少なくともセンターユニット部30との間で所定の無線通信を行う。所定の無線通信は、任意の方法で行うこととしてよく、本実施形態では、赤外線通信によりセンターユニット部30との間での無線通信を行う。なお、データ通信部16は、カメラユニット部20との間で無線通信を行うこととしてもよく、また、スティック部10R及びスティック部10Lとの間で無線通信を行うこととしてもよい。
【0027】
スイッチ操作検出回路17は、スイッチ171と接続され、当該スイッチ171を介した入力情報を受け付ける。
【0028】
[カメラユニット部20の構成]
スティック部10の構成についての説明は、以上である。続いて、図3を参照して、カメラユニット部20の構成について説明する。
図3は、カメラユニット部20のハードウェア構成を示すブロック図である。
カメラユニット部20は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、イメージセンサ部24と、データ通信部25と、を含んで構成される。
【0029】
CPU21は、カメラユニット部20全体の制御を実行し、例えば、イメージセンサ部24が検出したマーカー部15の位置座標データ及びマーカー特徴情報に基づいて、スティック部10R、10Lのマーカー部15(第1マーカー及び第2マーカー)の夫々の位置座標を算出し、夫々の算出結果を示す位置座標データを出力する制御を実行する。また、CPU21は、データ通信部25を介して、算出した位置座標データなどをセンターユニット部30に送信する通信制御を実行する。
【0030】
ROM22は、CPU21により各種処理が実行されるための処理プログラムを格納する。RAM23は、イメージセンサ部24が検出したマーカー部15の位置座標データなど、処理において取得され又は生成された値を格納する。また、RAM23は、センターユニット部30から受信したスティック部10R、10Lの夫々のマーカー特徴情報も併せて格納する。
【0031】
イメージセンサ部24は、例えば、光学式のカメラであり、スティック部10を持って演奏動作を行う演奏者の動画を所定のフレームレートで撮像する。また、イメージセンサ部24は、フレームごとの撮像データをCPU21に出力する。なお、撮像画像内におけるスティック部10のマーカー部15の位置座標の特定については、イメージセンサ部24が行うこととしてもよく、CPU21が行うこととしてもよい。同様に、撮像したマーカー部15のマーカー特徴情報についても、イメージセンサ部24が特定することとしてもよく、CPU21が特定することとしてもよい。
【0032】
データ通信部25は、少なくともセンターユニット部30との間で所定の無線通信(例えば、赤外線通信)を行う。なお、データ通信部16は、スティック部10との間で無線通信を行うこととしてもよい。
【0033】
[センターユニット部30の構成]
カメラユニット部20の構成についての説明は、以上である。続いて、図4を参照して、センターユニット部30の構成について説明する。
図4は、センターユニット部30のハードウェア構成を示すブロック図である。
センターユニット部30は、CPU31と、ROM32と、RAM33と、スイッチ操作検出回路34と、表示回路35と、音源装置36と、データ通信部37と、を含んで構成される。
【0034】
CPU31は、センターユニット部30全体の制御を実行し、例えば、スティック部10から受信したショット検出及びカメラユニット部20から受信したマーカー部15の位置座標に基づいて、所定の楽音を発音する制御などを実行する。また、CPU31は、データ通信部37を介して、スティック部10及びカメラユニット部20との間の通信制御を実行する。
【0035】
ROM32は、CPU31の実行する各種処理の処理プログラムを格納する。また、ROM32は、種々の音色の波形データ、例えば、フルート、サックス、トランペットなどの管楽器、ピアノなどの鍵盤楽器、ギターなどの弦楽器、バスドラム、ハイハット、スネア、シンバル、タムなど打楽器の波形データ(音色データ)を、位置座標などと対応付けて格納する。
【0036】
音色データ等の格納方法としては、例えば、図5にセットレイアウト情報として示すように、セットレイアウト情報は、第1パッド〜第nパッドまでのn個のパッド情報を有しており、更に各パッド情報にパッドの有無(後述する仮想空間における仮想パッドの存在の有無)、位置(後述する仮想空間における位置座標)、角度(後述する仮想空間における仮想パッドの略水平面に対する角度)、サイズ(仮想パッドの形状及び径など)、音色(波形データ)などが対応づけられて格納されている。
【0037】
ここで、図6を参照して、具体的なセットレイアウトについて説明する。図6は、センターユニット部30のROM32に格納されたセットレイアウト情報(図5参照)が示す概念を仮想空間上で可視化した図である。
図6は、8個の仮想パッド81〜88が仮想空間上に配置されている様子を示しており、仮想パッド81〜88には、第1パッド〜第nパッドのうち、パッド有無データが「パッド有」となっているものが対応している。例えば、第2パッド、第3パッド、第5パッド、第6パッド、第8パッド、第9パッド、第12パッド、第13パッドの8つが対応している。更に、位置データ、サイズデータ及び角度データに基づいて仮想パッド81〜88が配置されている。更にまた、各仮想パッドに音色データが対応付けられている。したがって、ショット検出時におけるマーカー部15の位置座標が仮想パッド81〜88に対応する領域に属し、かつ、スティック部10によるショットタイミングが検出された場合には仮想パッド81〜88に対応する音色が発音される。
また、本実施形態ではカメラユニット20によってどのパッドを打撃しているのかを検出しているが、カメラユニット20がなくても、モーションセンサ部14が現在どこのパッドを打撃しているかを検出することは可能である。例えば、ショット検出時におけるスティック部10のピッチ角やヨー角が仮想パッド81〜88の夫々について定められたピッチ角やヨー角の範囲に属した場合、このパッドを打撃していると判断し、仮想パッド81〜88に対応する音色を発音させるようにしてもよい。
また、本実施形態において、この仮想空間での位置座標は、カメラユニット部20の撮像画像での位置座標と一致するものとする。
【0038】
図4に戻って、RAM33は、スティック部10から受信したスティック部10の状態(ショット検出など)、カメラユニット部20から受信したマーカー部15の位置座標、及び、ROM32から読み出されたセットレイアウト情報など、処理において取得され又は生成された値を格納する。
ショット検出時(すなわち、ノートオンイベント受信時)にマーカー部15の位置座標が属する領域の仮想パッド81に対応する音色データ(波形データ)を、RAM33に格納されたセットレイアウト情報から、CPU31が読み出すことで、演奏者の演奏動作に応じた楽音が発音される。
【0039】
スイッチ操作検出回路34は、スイッチ341と接続され、当該スイッチ341を介した入力情報を受け付ける。入力情報としては、例えば、発音する楽音の音量や発音する楽音の音色の変更、セットレイアウト番号の設定及び変更、表示装置351の表示の切り替えなどが含まれる。
【0040】
音源装置36は、CPU31からの指示にしたがって、ROM32から波形データを読み出して、楽音データを生成すると共に、楽音データをアナログ信号に変換し、図示しないスピーカから楽音を発音する。
また、データ通信部37は、スティック部10及びカメラユニット部20との間で所定の無線通信(例えば、赤外線通信)を行う。
【0041】
[演奏装置1の処理]
以上、演奏装置1を構成するスティック部10、カメラユニット部20及びセンターユニット部30の構成について説明した。続いて、図7図9を参照して、演奏装置1の処理について説明する。
【0042】
[スティック部10の処理]
図7は、スティック部10が実行する処理(以下、「スティック部処理」と呼ぶ)の流れを示すフローチャートである。
図7を参照して、スティック部10のCPU11は、モーションセンサ部14からモーションセンサ情報、すなわち、各種センサが出力するセンサ値を読み出し、RAM13に格納する(ステップS1)。その後、CPU11は、読み出したモーションセンサ情報に基づいて、スティック部10の姿勢検知処理を実行する(ステップS2)。姿勢検知処理では、CPU11は、モーションセンサ情報に基づいて、スティック部10の姿勢、例えば、スティック部10のピッチ角、ヨー角及びロール角などを算出する。
【0043】
続いて、CPU11は、モーションセンサ情報に基づいて、ショット検出処理を実行する(ステップS3)。ここで、演奏者がスティック部10を用いて演奏を行う場合、一般には、現実の楽器(例えば、ドラム)を打撃する動作と同様の演奏動作を行う。このような演奏動作では、演奏者は、まずスティック部10を振り上げ、それから仮想的な楽器に向かって振り下ろす。そしてスティック部10を仮想的な楽器に打撃する寸前に、スティック部10の動作を止めようとする力を働かせる。このとき、演奏者は、仮想的な楽器にスティック部10を打撃した瞬間に楽音が発生することを想定しているため、演奏者が想定するタイミングで楽音を発生できるのが望ましい。そこで、本実施形態では、演奏者が仮想的な楽器の面にスティック部10を打撃する瞬間又はそのわずかに手前のタイミングで楽音を発音することとしている。
【0044】
本実施形態においては、ショット検出のタイミングは、スティック部10が振り下ろされてから停止される直前のタイミングであり、スティック部10にかかる振り下ろし方向とは逆向きの加速度の大きさがある閾値を超えたタイミングである。
このショット検出のタイミングを発音タイミングとし、発音タイミングが到来したと判断されると、スティック部10のCPU11は、ノートオンイベントを生成し、センターユニット部30に送信する。これにより、センターユニット部30において、発音処理が実行されて、楽音が発音される。
ステップS3に示すショット検出処理では、モーションセンサ情報(例えば、加速度センサのセンサ合成値)に基づいて、ノートオンイベントを生成する。このとき、生成するノートオンイベントには、発音する楽音の音量を含めることとしてもよい。なお、楽音の音量は、例えば、センサ合成値の最大値から求めることができる。
【0045】
続いて、CPU11は、ステップS1からステップS3の処理で検出した情報、すなわち、モーションセンサ情報、姿勢情報及びショット情報を、データ通信部16を介してセンターユニット部30に送信する(ステップS4)。このとき、CPU11は、スティック識別情報と対応付けて、モーションセンサ情報、姿勢情報及びショット情報をセンターユニット部30に送信する。
これにより、処理はステップS1に戻され、それ以降の処理が繰り返される。
【0046】
[カメラユニット部20の処理]
図8は、カメラユニット部20が実行する処理(以下、「カメラユニット部処理」と呼ぶ)の流れを示すフローチャートである。
図8を参照して、カメラユニット部20のCPU21は、イメージデータ取得処理を実行する(ステップS11)。この処理では、CPU21は、イメージセンサ部24からイメージデータを取得する。
【0047】
続いて、CPU21は、第1マーカー検出処理(ステップS12)及び第2マーカー検出処理(ステップS13)を実行する。これらの処理では、CPU21は、イメージセンサ部24が検出した、スティック部10Rのマーカー部15(第1マーカー)及びスティック部10Lのマーカー部15(第2マーカー)の位置座標、サイズ、角度などのマーカー検出情報を、取得しRAM23に格納する。このとき、イメージセンサ部24は、発光中のマーカー部15について、マーカー検出情報を検出する。
【0048】
続いて、CPU21は、ステップS12及びステップS13で取得したマーカー検出情報を、データ通信部25を介してセンターユニット部30に送信し(ステップS14)、ステップS11に処理を移行させる。
【0049】
[センターユニット部30の処理]
図9は、センターユニット部30が実行する処理(以下、「センターユニット部処理」と呼ぶ)の流れを示すフローチャートである。
【0050】
図9を参照して、センターユニット部30のCPU31は、カメラユニット部20から、第1マーカー及び第2マーカー夫々のマーカー検出情報を受信し、RAM33に格納する(ステップS21)。また、CPU31は、スティック部10R、10Lの夫々から、スティック識別情報と対応付けられたモーションセンサ情報、姿勢情報及びショット情報を受信し、RAM33に格納する(ステップS22)。更に、CPU31は、スイッチ341の操作により入力された情報を取得する(ステップS23)。
【0051】
続いて、CPU31は、ショットありか否かを判断する(ステップS24)。この処理では、CPU31は、スティック部10からノートオンイベントを受信したか否かにより、ショットの有無を判断する。このとき、ショットありと判断した場合には、CPU31は、発音処理を実行する(ステップS25)。ショットなしと判断した場合には、CPU31は、処理をステップS21に移行させる。
発音処理では、CPU31は、RAM33に読み出されたセットレイアウト情報に基づいて、マーカー検出情報に含まれる位置座標が仮想パッド81〜88のいずれかに属するか否かを判断する。属すると判断された場合には、RAM33に格納された姿勢情報に含まれるピッチ角が、属すると判断された仮想パッドに対応するピッチ角の範囲に属するか否かを、RAM33に読み出されたセットレイアウト情報に基づいて判断する。この判断でも属すると判断された場合には、先の判断で属すると判断された仮想パッドに対応する音色データ(波形データ)を読み出し、ノートオンイベントに含まれる音量データと共に音源装置36に出力する。すると、音源装置36は、受け取った波形データに基づいて該当する楽音を発音する。
【0052】
続いて、CPU31は、発音された楽音がシンバルであるか否か判断する(ステップS26)。発音された楽音がシンバルでない場合には、処理をステップS21に移行させる。発音された楽音がシンバルの場合には、CPU31は、図12図14を参照して後述する平面αとスティック部10とのなす角Δθ、及びショットタイミングでのスティック部10のヨー角を起点とし、その後ミュート操作時に演奏者がZ軸周りにスティック10を回転させたときのヨー角の回転角φ1又はφ2の算出を行う(ステップS27)。具体的には、CPU31は、RAM33に格納されたモーションセンサ情報及び姿勢情報等からΔθ及び回転角φ1又はφ2を算出する。
【0053】
ここで、図10及び図11を参照して、シンバルのチョーク奏法について説明する。図10及び図11では、生のシンバル又は電子ドラムのシンバルを例として説明する。チョーク奏法とは、演奏者が、スティック部10でシンバル40をショットした後、手でシンバル40を押さえてシンバルのショット音を消音する奏法である。ショット音を消音することを以下、「ミュート」という。より詳細に説明すると、演奏者が、スティック部10でシンバル40をショットした後、スティック部10を保持しつつ手でシンバル40を押さえる。このとき、スティック部10は、手の動きに合わせて時計回り(図10参照)又は反時計回りに回転する(図11参照)。
【0054】
図12図14は、シンバルのチョーク奏法におけるスティック部10の回転運動を定量的に表した図である。
ショットタイミングにおけるスティック部10のピッチ角をθとしている(図12及び図13に示すように、平面αは、スティック部10により打撃される打面、即ち、仮想空間上に配置される仮想パッド面であり、この仮想パッド面とスティック部10とのなす角をΔθとする。更に、図14に示すように、ショットタイミングでのスティック部10のヨー角を起点とし、その後ミュート操作時に演奏者がZ軸周りにスティック部10を回転させたときのヨー角の回転角をφ1又はφ2とする。φ1は、スティック部10が時計回り方向に回転した場合のヨー角の回転角であり、φ2は、スティック部10が反時計回り方向に回転した場合のヨー角の回転角である。
【0055】
ここで、図13におけるΔθが、図9のステップS27で検出する仮想パッド面とスティック部10とのなす角Δθであり、図14におけるφ1又はφ2が、図9のステップS27で検出する回転角φ1又はφ2である。
【0056】
生のシンバル又は電子ドラムのシンバルでのチョーク奏法では、シンバルがショットされた後、スティック部10は仮想パッド面に沿って回転するため、この仮想パッド面とスティック部10とのなす角であるΔθは、ほとんど変化しない。したがって、チョーク奏法が行われる場合、Δθは所定の閾値を超えない。本実施形態では、この所定の閾値を「θth」とする。
また、チョーク奏法において、シンバル音のミュートが行われるのは、演奏者の手の回転の結果、スティック部10のショットタイミングでのスティック部10のヨー角を起点とし、その後ミュート操作時に演奏者がZ軸周りにスティック部10を回転させたときのヨー角の回転角φ1又はφ2が90度に近づいた場合である。すなわち、φ1又はφ2が所定の閾値を超えた場合である。本実施形態では、この所定の閾値を「φ1th」又は「φ2th」とする。
【0057】
図9に戻って、CPU31は、所定時間経過したか否かを判断する(ステップS28)。この所定時間とは、ショットタイミングからミュートまでに許容される時間の最長時間であり、予め定められているか、又は、演奏者により設定される。所定時間経過した場合には、CPU31は、処理をステップS21に移行させ、所定時間経過していない場合には、CPU31は、処理をステップS29に移行させる。
【0058】
ステップS29では、CPU31は、Δθの絶対値がθth以下であるか否かを判断する。Δθの絶対値がθthより大きい場合には、CPU31は、チョーク奏法ではないと判断し、処理をステップS21に移行させる。Δθの絶対値がθth以下である場合には、CPU31は、チョーク奏法の可能性があると判断し、処理をステップS30に移行させる。したがって、一旦Δθの絶対値がθthより大きくなった時点で、チョーク奏法の可能性はなくなり、ステップS21の処理が実行される。
【0059】
ステップS30では、CPU31は、φ1がφ1thより大きいかの判断、又は、φ2がφ2thより大きいかの判断のいずれか一方が成立しているか否かを判断する。φ1がφ1thより大きい場合、又は、φ2がφ2thより大きい場合には、CPU31は、処理をステップS31に移行させる。φ1がφ1thより大きくなく、かつ、φ2がφ2thより大きくない場合には、CPU31は、処理をステップS27に移行させる。
【0060】
ステップS31では、CPU31は、ミュート処理を行う。具体的には、CPU31は、シンバル音を消音するために、ノートオフイベントを音源装置36に出力する。すると、音源装置36は、シンバル音をミュートする。ステップS31の処理が終了すると、CPU31は、処理をステップS21に移す。
【0061】
以上、センターユニット部処理によれば、所定時間が経過するまでの間に、Δθの絶対値がθth以下である状態を保っている条件の下、φ1がφ1thより大きくなる場合、又は、φ2がφ2thより大きくなる場合に、チョーク奏法が行われたと判断され、ミュート処理が実行される。
【0062】
尚、上記シンバル音をミュートする方法は、ノートオフを出して音を消音するという方法の他にも、発音中の音のエンベロープをハイリリースさせるよう音源へ指示するといった方法も考えられ、どちらの方法を用いても構わない。
【0063】
以上、本実施形態の演奏装置1の構成及び処理について説明した。
本実施形態においては、CPU31は、スティック部10により打面である平面αに対して演奏操作がなされた時に、所定の楽音の発音を指示し、演奏操作がなされた時から、平面αとスティック部10とで形成されるピッチ角Δθの取得を開始するとともに、演奏操作がなされた時点におけるスティック部10を起点とし、当該起点におけるスティック部10とその後のスティック部10とで形成されるヨー角φ1又はφ2の取得を開始し、演奏操作がなされた時点から所定時間内に、当該取得されたピッチ角及びヨー角が所定の条件を満たした場合に、発音を指示された楽音の消音を指示する。
よって、スティック部10のピッチ角及びヨー角に基づいて消音できるので、演奏者は、あたかも実際のドラムセットにおけるチョーク奏法を行っているかのような感覚を得られる。
【0064】
また、本実施形態においては、CPU31は、演奏操作がなされた後において取得されたピッチ角Δθの絶対値が第1の閾値(θth)を超えず、かつ、演奏操作がなされた後において取得されたヨー角φ1又はφ2が第2の閾値(φ1th又はφ2th)を超えた場合に、消音する指示をする。
よって、演奏者は、あたかも実際のドラムセットにおけるチョーク奏法を行っているかのような感覚を得られる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、実施形態は例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換など種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書などに記載された発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0066】
上記実施形態では、チョーク奏法の例としてシンバルを例にとって説明したが、これに限られるものではなく、発音してから消音するまでの時間が長い楽器、例えば、スネア、フロアタム、タムタム等であってもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、カメラユニット部20を用いて、スティック部10のショットの位置座標を検出しているが、これに限られるものではなく、カメラユニット部20を用いずに、スティック部10自体にショットの位置座標を検出させるようにしてもよい。
またスティック部10の他端に設けたセンサ類は必ずしも先端側である必要はなく中間部などに設けても構わない。
さらに上記実施形態データ通信部16は赤外線通信により通信を行っているが、演奏を妨げなければどのようなデータ通信方法を用いても構わない。
【0068】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
演奏者が保持可能な演奏部材と、
演奏操作によって前記演奏部材が仮想的に打撃する仮想打面を有し、当該仮想打面が仮想空間内の所定の位置および角度に配置される仮想パッドに対して前記演奏操作がなされた時に、所定の楽音の発音を指示する発音指示手段と、
前記演奏操作がなされた時から、前記仮想打面と前記演奏部材とで形成されるピッチ角の取得を開始するとともに、前記演奏操作がなされた時点における前記演奏部材を起点とし、当該起点における演奏部材とその後の前記演奏部材とで形成されるヨー角の取得を開始するピッチ角・ヨー角取得出手段と、
前記演奏操作がなされた時点から所定時間内に、前記取得されたピッチ角及びヨー角が所定の条件を満たした場合に、前記発音を指示された楽音の消音を指示する消音指示手段と、
を備えることを特徴とする演奏装置。
[付記2]
前記消音指示手段は、前記演奏操作がなされた後における前記ピッチ角・ヨー角取得出手段により取得された前記ピッチ角が第1の閾値を超えず、かつ、前記演奏操作がなされた後におけるピッチ角・ヨー角取得出手段により取得された前記ヨー角が第2の閾値を超えた場合に、前記消音する指示をすることを特徴とする付記1に記載の演奏装置。
[付記3]
演奏者が保持可能な演奏部材と、演奏操作によって前記演奏部材が仮想的に打撃する仮想打面を有し、当該仮想打面が仮想空間内の所定の位置および角度に配置され、前記演奏部材のピッチ角を検出するピッチ角検出手段と、前記演奏部材のヨー角を検出するヨー角検出手段と、を備える演奏装置が実行する方法であって、
前記演奏部材により前記打面に対して前記演奏操作がなされた時に、所定の楽音の発音を指示する発音指示ステップと、
前記演奏操作がなされた時から、前記打面と前記演奏部材とで形成されるピッチ角の取得を開始するとともに、前記演奏操作がなされた時点における前記演奏部材を起点とし、当該起点における演奏部材とその後の前記演奏部材とで形成されるヨー角の取得を開始するピッチ角・ヨー角取得出ステップと、
前記演奏操作がなされた時点から所定時間内に、前記取得されたピッチ角及びヨー角が所定の条件を満たした場合に、前記発音を指示された楽音の消音を指示する消音指示ステップと、
を含む方法。
[付記4]
演奏者が保持可能な演奏部材と、演奏操作によって前記演奏部材が仮想的に打撃する仮想打面を有し、当該仮想打面が仮想空間内の所定の位置および角度に配置され、前記演奏部材のピッチ角を検出するピッチ角検出手段と、前記演奏部材のヨー角を検出するヨー角検出手段と、を備える演奏装置として用いられるコンピュータに、
前記演奏部材により前記打面に対して前記演奏操作がなされた時に、所定の楽音の発音を指示する発音指示ステップと、
前記演奏操作がなされた時から、前記打面と前記演奏部材とで形成されるピッチ角の取得を開始するとともに、前記演奏操作がなされた時点における前記演奏部材を起点とし、当該起点における演奏部材とその後の前記演奏部材とで形成されるヨー角の取得を開始するピッチ角・ヨー角取得出ステップと、
前記演奏操作がなされた時点から所定時間内に、前記取得されたピッチ角及びヨー角が所定の条件を満たした場合に、前記発音を指示された楽音の消音を指示する消音指示ステップと、
を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0069】
1・・・演奏装置、10・・・スティック部、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、14・・・モーションセンサ部、15・・・マーカー部、16・・・データ通信部、17・・・スイッチ操作検出回路、171・・・スイッチ、20・・・カメラユニット部、21・・・CPU、22・・・ROM、23・・・RAM、24・・・イメージセンサ部、25・・・データ通信部、30・・・センターユニット、31・・・CPU、32・・ROM、33・・・RAM、34・・・スイッチ操作検出回路、341・・・スイッチ、35・・・表示回路、40・・・シンバル、351・・・表示装置、36・・・音源装置、37・・・データ通信部、81〜88・・・仮想パッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14