特許第5942670号(P5942670)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5942670
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/235 20060101AFI20160616BHJP
   G03B 7/08 20140101ALI20160616BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20160616BHJP
   H04N 101/00 20060101ALN20160616BHJP
【FI】
   H04N5/235
   G03B7/08
   G03B15/00 H
   H04N101:00
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-166045(P2012-166045)
(22)【出願日】2012年7月26日
(65)【公開番号】特開2014-27466(P2014-27466A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】311015207
【氏名又は名称】リコーイメージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】寺内 正和
【審査官】 佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−202050(JP,A)
【文献】 特開2003−319269(JP,A)
【文献】 特開2004−048421(JP,A)
【文献】 特開2012−050073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/235
G03B 7/08
G03B 15/00
H04N 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像を連写し記憶する連続撮影手段と、
前記複数の画像の全てを加算して第1画像を合成する画像合成手段と、
前記第1画像の画素値または前記複数の画像の全てを加算して得られる各画素値を用いて前記第1画像とは露出が異なる第2画像を生成する第2画像生成手段とを備える
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記複数の画像の総数をNとするとき、前記第2画像の各画素値が、前記第1画像または前記複数の画像の各画素値に1/N≦α<1の係数αを掛けたものであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記複数の画像間における露出幅が±nEVのとき、前記複数の画像の総数が22n枚であることを特徴とする請求項1または請求項2の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2画像に前記複数の画像の相加平均が含まれることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記連写が電子シャッタ制御により実行され、前記複数の画像が略連続して撮影されることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1画像および前記第2画像が露出ブラケット画像であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1画像および第2画像に基づきHDR合成を行うHDR合成手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間的に略連続する複数の画像を連続撮影可能なデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
連続撮影を利用する撮影技法の1つとして、例えば、自動露出で得られた露出値を中心に異なる露出値で複数の画像を自動撮影し、これにより適正露出での撮り損ないを防止する自動露出ブラケット撮影が知られている。また他の例としては、コントラスト比の大きい被写体を撮影する場合に、異なる露光時間で順次被写体を撮影し、撮影された複数の画像を合成してダイナミックレンジが拡大された合成画像を得るハイダイナミックレンジ合成が知られている。しかし、このように連続撮影を利用する撮影技法では、被写体が移動する場合など、各画像間において被写体の位置にずれが発生する。特にハイダイナミックレンジ(HDR)合成において被写体の位置にずれが発生すると問題であり、このような問題に対しては、画像間の経時的な位置ずれに対応する座標変換を行った後に画像の合成を行う撮像方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−007336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の方法においても、各画像が撮影される時間は異なり、依然各画像は同時に撮影されたものではない。
【0005】
本発明は、同時に撮影されたと看做せる露光量の異なる複数の画像を得ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像装置は、複数の画像を連写し記憶する連続撮影手段と、複数の画像を加算して第1画像を合成する画像合成手段と、第1画像または複数の画像から、第1画像とは露出が異なる第2画像を生成する第2画像生成手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
複数の画像の総数をNとするとき、第2画像の各画素値は、第1画像または複数の画像の各画素値に1/N≦α<1の係数αを掛けたものであることが好ましい。複数の画像間における露出幅が±nEVのとき、複数の画像の総数が22n枚であることが好ましい。第2画像に、複数の画像の相加平均が用いられてもよい。また連写は、電子シャッタ制御により実行され、複数の画像が略連続して撮影されることが好ましい。第1画像および第2画像は例えば露出ブラケット画像である。また撮像装置は、第1画像および第2画像に基づきHDR合成を行うHDR合成手段を備えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、同時に撮影されたと看做せる露光量の異なる複数の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態である画像取得方法を適用した撮像装置のブロック図である。
図2】本実施形態の露出ブラケットモードにおける撮像・画像合成処理(画像取得方法)の流れを示すフローチャートである。
図3】ブラケット撮影における撮像処理のシーケンスを示す。
図4】ΣImの演算によって得られる合成画像の構成を模式的に示す。
図5】本実施形態のHDRモードにおける撮像・画像合成処理(画像取得方法)の流れを示すフローチャートである。
図6図5に示されたHDRモードにおける撮像・画像合成処理(画像取得方法)の変形例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態である画像取得方法を適用した撮像装置のブロック図である。
【0011】
撮像装置は例えばデジタルカメラ10であり、デジタルカメラ10は、撮像素子11、画像信号処理部12、撮像素子11の駆動およびカメラ全体の制御を行う制御部13、スルー画像や撮影画像あるいは各種設定画面を表示するLCDなどのモニタ14、レリーズスイッチなどの操作スイッチを含む操作部15、メモリカードなどの着脱自在な外部記録媒体16を備える。
【0012】
撮像素子11は、例えば制御部13からの駆動信号に基づき制御され、撮像素子11で検出された画像信号はデジタル信号に変換され、画像信号処理部12に入力される。画像信号処理部12は、例えば、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)17や画像メモリ18から構成される。
【0013】
画像メモリ18は、撮像素子11で連写された画像を記憶可能であり、DSP17では、従来周知の各種画像処理が施されるとともに、画像メモリ18に記憶された画像を用いて後述する本実施形態の画像処理が施される。DSP17で処理された画像は、モニタ14に出力可能であるとともに、必要に応じて外部記録媒体16に保存される。
【0014】
デジタルカメラ10は、撮影モードとして例えば複数の画像を撮影し、これに基づきハイダイナミックレンジ合成を行うHDRモード、自動露出ブラケット撮影を行う露出ブラケットモードを備える。各モードは、ユーザが操作部15を操作することにより選択され、レリーズスイッチがオンされると以下に説明するように、例えば電子シャッタ操作により複数の画像が連続して撮影されるとともに画像メモリ18に保存され、各モード所定の画像処理が施される。
【0015】
図2は、本実施形態の露出ブラケットモードにおける撮像・画像合成処理(画像取得方法)の流れを示すフローチャートである。露出ブラケットモードにおいてレリーズスイッチがオンされると、本処理が制御部13、DSP17を中心に実行される。
【0016】
ステップS100ではブラケット幅の設定の確認が行われる。ブラケット幅は例えばデフォルトあるいはユーザの設定に基づいてメモリに記憶されており、自動露出で得られる適正露出値、あるいはユーザが設定した露出値を中心に撮影される複数の画像のうち、露出が最もアンダーとなる露出値と最もオーバーとなる露出値の間の差を示している。図2の例では、4EV(露出値で4段)、すなわち設定露出値を中心とする±2EV(上下2段分)の露出幅がブラケット幅とされる。
【0017】
ステップS102では、取得されたブラケット幅に基づいて連続撮影される画像枚数が算出される。すなわちブラケット幅が±nEVのときには、画像枚数が22n枚とされる。図2の例では、n=4なので撮影される画像は16枚となる。そしてステップS104、S106において、16(22n)枚の画像が連続して−2EV(−nEV)の露出で撮影される。すなわち、+2EV(+nEV)での撮影で想定されるシャッタースピードの1/16(1/22n)のシャッタースピードで各画像の撮影が行われ、画像メモリ18に記憶される。なお、図3にこのときの撮像処理のシーケンスを示す。すなわち図3において横軸は時間、縦軸は露光量であり、16枚の画像を連続撮影する際の各画像撮影における経時的な露光量の変化が示される。t0〜t1の期間が1枚目の画像の露光期間に対応し、t1〜t2が2枚目の画像の露光期間、t15〜t16が16枚目の画像の露光期間に対応する。
【0018】
ステップS108では、−2EVで撮影された16枚の画像から、例えば+2EV、±0EV(設定露出値)、−2EVに対応する3枚の画像が作成される。すなわち、−2EVの画像には、ブラケット撮影で撮像された全16枚(N枚)の画像の平均値ΣIm/Nが用いられる。ただしここでImは、撮像された16枚(N枚)の画像の中のm番目の画像を表している(m:1〜16(N))。同様に、±0EV(設定露出値)の画像としては、−2EVの画像を4倍した4ΣIm/Nが用いられ、+2EVの画像には、全画像を加算したΣImが用いられる。算出された−2EV、±0EV、+2EVの各画像は例えば画像メモリ18に記憶される。
【0019】
なお図4に、ΣImの演算によって得られる画像を模式的に示す。例えば被写体が移動しているとき、16枚の各画像に写る被写体の位置は異なる。しかしこれらを加算したΣImの画像は、図3のt0〜t16を露光期間として撮影された画像に対応し、被写体は16枚全てに写る被写体を加算したものとして現れる。また、−2EV、±0EVの画像も、ΣImで得られる画像の画素値を1/16(N)、4/16(N)したものとして算出されるので、+2EVの画像と同様にt0〜t16を露光期間として撮影された画像に対応する。
【0020】
ステップS110では、ステップS108において合成された−2EV、±0EV、+2EVの画像がモニタ14に表示される。なお、これらの画像は並べて表示してもよいし、キー操作を通して一枚ずつ順次比較表示される構成としてもよい。ステップS112では、画像メモリ18に一時的に記憶されている−2EV、±0EV、+2EVの画像が例えば外部記録媒体16に記録される。そして以上により露出ブラケットモードにおける画像取得処理は終了する。
【0021】
図5は、本実施形態のHDRモードにおける撮像・画像合成処理(画像取得方法)の流れを示すフローチャートである。すなわちHDRモードにおいてレリーズスイッチがオンされると、本処理が制御部13、DSP17を中心に実行される。
【0022】
本処理におけるステップS200〜S208は、露出ブラケットモードでのステップS100〜S108に対応し、その処理内容は、露出ブラケットモードでのものと同様である。したがって、ステップS208では画像メモリ18に、−2EV、±0EV、+2EVで撮影された画像が記憶されている。HDRモードが露出ブラケットモードと異なるのは、ステップS210において、これら異なる3つのEV値、−2EV、±0EV、+2EVで撮影された画像を用いてハイダイナミックレンジ(HDR)合成が行われる点である。なお、本実施形態HDRモードでは、合成画像の連続性を担保するため電子シャッタが用いられ、合成画像の同時性を担保するためにアンダーおよびオーバーとなる画像がそれぞれ同じ画像を合成して作成される。そして、ステップS212ではモニタ14に合成されたHDR画像が表示されるとともに、ステップS214において合成されたHDR画像が外部記録媒体16に記録され、このHDRモードにおける画像取得処理は終了する。なお、ステップS210におけるHDR合成は、従来周知の方法で行われる。
【0023】
なお図6にHDRモードの変形例のフローチャートを示す。図5のHDRモードにおける画像取得処理では、ブラケット幅がユーザにより、あるいはデフォルトで設定されていたが、図6の変形例ではブラケット幅が撮影環境に合わせて自動設定される。
【0024】
すなわち、このHDRモードにおいてレリーズスイッチがオンされると、ステップS300において被写体の輝度分布の判定が行われ、ブラケット幅±nEV(nは整数でなくともよい)が決定される。ステップS302では、取得されたブラケット幅±nEVに基づいて連続撮影される画像枚数が22n枚として算出される。そしてステップS304、S306において、22n枚の画像が連続して−nEVの露出で撮影され、画像メモリ18に記憶される。
【0025】
ステップS308では、−nEVで撮影された22n枚の画像から、例えば−nEV、±0EV(設定露出値)、+nEVに対応する3枚の画像が作成され、画像メモリ18に記憶される。ステップS310では、この露出の異なる3枚の画像−nEV、±0EV、+nEVを用いて従来周知のHDR合成処理が実行される。ステップS312では合成されたHDR画像がモニタ14に表示される。そしてステップS314においてこのHDR画像が例えば外部記録媒体16に記録され、このHDRモードにおける画像取得処理は終了する。
【0026】
以上のように、本実施形態によれば、露光量のみが異なる同一の画像を同一露光期間(t0〜t16)を用いて複数得ることができる。すなわち、露出が異なる同時性を備えた複数の画像が取得される。これにより、特に複数の画像を合成して1枚の画像を得るHDR合成などの場合には、ブラケット撮影中に被写体が移動したり、撮影画角内で時間的な変化が生じたりするなどの経時的な変化が、生成される合成画像の画質向上にとって障害となっていたが、本実施形態の画像取得方法を適用することで、そのような問題が解決する。
【0027】
また、本実施形態では、短い露光時間で撮影された画像を複数加算することでダイナミックレンジを拡大しているので、画像信号にゲインを掛けて拡大する場合と異なり、ノイズが拡大されることがない。
【0028】
なお、本実施形態では電子シャッタを用い連続してブラケット画像の撮影を行ったが、例えばメカニカルシャッタを用いる場合など、ブラケット画像が僅かに離れている場合であっても、その間隔が十分に短ければ本実施形態を適用することができる。
【0029】
また、本実施形態では、相加平均を利用したが、ブラケット画像毎に重み付けを行い加重平均を利用することも可能である。例えば、途中フラッシュが発光されるフレームに対して軽い重み付けを行ったり、新しい画像ほど重み付け大きくしたりすることも考えられる。
【0030】
また、本実施形態では、露出の異なる3つの画像を作成したが、作成される画像の数は2枚以上であれば、これに限定されるものではなく4枚以上でもよい。その場合、1/N≦α<1の任意の係数αをΣImに掛ける。また、多数の画像を加算して露光量の大きい画像を合成する場合には、従来周知のように桁落ちを防止するために、加算を順次分割して行うなどの方法が取られる。
【符号の説明】
【0031】
10 デジタルカメラ
11 撮像素子
12 画像信号処理部
13 制御部
14 モニタ
15 操作部
16 外部記録媒体
17 DSP
18 画像メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6