(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
粉砕室を画成する粉砕部筐体と、前記粉砕室に収納され、下面に固定粉砕面を有する固定ディスクと、該固定ディスクの中心を貫通し、被粉砕材料を供給する原料投入孔と、前記固定ディスクに対峙して設けられ、上面に粉砕面を有し同一回転中心で回転する複数の回転粉砕ディスクと、同心多重に設けられた複数の回転軸を介して前記複数の回転粉砕ディスクを回転駆動する駆動手段とを有し、中心側に位置する中心側回転粉砕ディスクは外周側に位置する外周側回転粉砕ディスクに形成される凹部に収納され、前記駆動手段は前記複数の回転粉砕ディスク間で相対回転が生じる様に前記複数の回転粉砕ディスクを回転し、被粉砕材料は前記固定粉砕面と前記中心側回転粉砕ディスクの粉砕面との間を通過する過程で粗粉砕が行われ、前記中心側回転粉砕ディスクの外周面と前記外周側回転粉砕ディスクの内周面との間で補助粉砕が行われ、前記固定粉砕面と前記外周側回転粉砕ディスクの粉砕面との間を通過する過程で微粉砕が行われる様構成されたことを特徴とする粉砕装置。
粉砕室を画成する粉砕部筐体と、前記粉砕室に収納され、下面に固定粉砕面を有する固定ディスクと、該固定ディスクの中心を貫通し、被粉砕材料を供給する原料投入孔と、前記固定ディスクに対峙して設けられ、上面に粉砕面を有し同一回転中心で回転する複数の回転粉砕ディスクと、同心多重に設けられた複数の回転軸を介して前記複数の回転粉砕ディスクを回転駆動する駆動手段と、前記固定ディスクの下面より凹部内に延出する固定補助粉砕ディスク部とを有し、中心側に位置する中心側回転粉砕ディスクは外周側に位置する外周側回転粉砕ディスクに形成される前記凹部に収納され、被粉砕材料は前記固定粉砕面と前記中心側回転粉砕ディスクの粉砕面との間を通過する過程で粗粉砕が行われ、前記固定補助粉砕ディスク部の外周面と前記外周側回転粉砕ディスクの内周面との間で補助粉砕が行われ、前記固定粉砕面と前記外周側回転粉砕ディスクの粉砕面との間を通過する過程で微粉砕が行われる様構成されたことを特徴とする粉砕装置。
前記凹部が倒立円錐台形状であり、前記中心側回転粉砕ディスクが倒立円錐台形状であり、該中心側回転粉砕ディスクの外周面は前記凹部の内周面と同等の傾き角を有し、前記中心側回転粉砕ディスクの外周面と前記凹部の内周面との間で補助粉砕が行われる請求項1の粉砕装置。
前記中心側回転粉砕ディスクは、該中心側回転粉砕ディスクを回転させる回転軸に対して偏心しており、前記中心側回転粉砕ディスクは外周面の最外端部が前記凹部の内周面に沿って回転する請求項3の粉砕装置。
前記中心側回転粉砕ディスクの中央に粗粉砕ディスク部が形成されると共に該粗粉砕ディスク部の周りに第2凹部が形成され、前記中心側回転粉砕ディスクの下部に前記凹部と前記第2凹部とを連通する流出孔が穿設された請求項3の粉砕装置。
前記固定ディスクと前記回転粉砕ディスクの少なくとも1つの粉砕面に溝を形成し、該溝により被粉砕材料に外周方向への分力が与えられる様構成した請求項1〜請求項6の内いずれかの粉砕装置。
【背景技術】
【0002】
既存の材料を微細粉に粉砕し、他の材料と混合することで新たな材料を開発する等、廃材を有効利用することが行われている。例えば、木材を微粉砕し、プラスチック粉と混合し、加熱、加圧成形し、複合材料を製作する等である。
【0003】
従来、粉砕装置として乾式の粉砕機が特許文献1に開示され、湿式の粉砕装置が特許文献2に開示されている。
【0004】
特許文献1に係る粉砕機は、同心多重に隔壁が設けられ、同心多重のリング状空間が隔壁によって形成され、前記隔壁に固定カッタが設けられ、前記リング状空間を回転する移動カッタが設けられ、中心に供給された被粉砕物が前記リング状空間を中心から外周に移動する過程で、前記移動カッタと前記固定カッタにより被粉砕物が粉砕される構成となっている。
【0005】
又、特許文献2に係る湿式の粉砕装置では、円筒状の空間に液状の被粉砕物が供給され、該空間には粉砕子が封入されており、被粉砕物と粉砕子が撹拌子によって掻回され、被粉砕物と粉砕子とがぶつかり合って被粉砕物が粉砕される構成となっている。
【0006】
特許文献1の粉砕機では、前記移動カッタと前記固定カッタに噛込まれた粉体が粉砕されるので、効率が悪く又、粉砕する粒度に限界があり、微細粉迄粉砕するのは困難である。
【0007】
又、特許文献2では、被粉砕物と粉砕子とがぶつかり合って被粉砕物が粉砕されるので、やはり、粉砕効率が悪く、更に粗粉と微粉とが混在した状態となるので、粉砕の粒度を制御することが困難であり、所定の粒度を得ようとするとフィルタ等により分離する必要が生じ、構成が複雑になると共にフィルタの交換等メンテナンスも煩雑となる等の問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は斯かる実情に鑑み、効率よく被粉砕材料の粉砕が可能である粉砕装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、粉砕室を画成する粉砕部筐体と、前記粉砕室に収納され、下面に固定粉砕面を有する固定ディスクと、該固定ディスクの中心を貫通し、被粉砕材料を供給する原料投入孔と、前記固定ディスクに対峙して設けられ、上面に粉砕面を有し同一回転中心で回転する複数の回転粉砕ディスクと、同心多重に設けられた複数の回転軸を介して前記複数の回転粉砕ディスクを回転駆動する駆動手段とを有し、中心側に位置する中心側回転粉砕ディスクは外周側に位置する外周側回転粉砕ディスクに形成される凹部に収納され、前記駆動手段は前記複数の回転粉砕ディスク間で相対回転が生じる様に前記複数の回転粉砕ディスクを回転し、被粉砕材料は前記固定粉砕面と前記中心側回転粉砕ディスクの粉砕面との間を通過する過程で粗粉砕が行われ、前記中心側回転粉砕ディスクの外周面と前記外周側回転粉砕ディスクの内周面との間で補助粉砕が行われ、前記固定粉砕面と前記外周側回転粉砕ディスクの粉砕面との間を通過する過程で微粉砕が行われる様構成された粉砕装置に係るものである。
【0011】
又本発明は、粉砕室を画成する粉砕部筐体と、前記粉砕室に収納され、下面に固定粉砕面を有する固定ディスクと、該固定ディスクの中心を貫通し、被粉砕材料を供給する原料投入孔と、前記固定ディスクに対峙して設けられ、上面に粉砕面を有し同一回転中心で回転する複数の回転粉砕ディスクと、同心多重に設けられた複数の回転軸を介して前記複数の回転粉砕ディスクを回転駆動する駆動手段と、前記固定ディスクの下面より凹部内に延出する固定補助粉砕ディスク部とを有し、中心側に位置する中心側回転粉砕ディスクは外周側に位置する外周側回転粉砕ディスクに形成される前記凹部に収納され、被粉砕材料は前記固定粉砕面と前記中心側回転粉砕ディスクの粉砕面との間を通過する過程で粗粉砕が行われ、前記固定補助粉砕ディスク部の外周面と前記外周側回転粉砕ディスクの内周面との間で補助粉砕が行われ、前記固定粉砕面と前記外周側回転粉砕ディスクの粉砕面との間を通過する過程で微粉砕が行われる様構成された粉砕装置に係るものである。
【0012】
又本発明は、前記凹部が倒立円錐台形状であり、前記中心側回転粉砕ディスクが倒立円錐台形状であり、該中心側回転粉砕ディスクの外周面は前記凹部の内周面と同等の傾き角を有し、前記中心側回転粉砕ディスクの外周面と前記凹部の内周面との間で補助粉砕が行われる粉砕装置に係るものである。
【0013】
又本発明は、前記中心側回転粉砕ディスクは、該中心側回転粉砕ディスクを回転させる回転軸に対して偏心しており、前記中心側回転粉砕ディスクは外周面の最外端部が前記凹部の内周面に沿って回転する粉砕装置に係るものである。
【0014】
又本発明は、前記中心側回転粉砕ディスクの中央に粗粉砕ディスク部が形成されると共に該粗粉砕ディスク部の周りに第2凹部が形成され、前記中心側回転粉砕ディスクの下部に前記凹部と前記第2凹部とを連通する流出孔が穿設された粉砕装置に係るものである。
【0015】
又本発明は、前記固定ディスクの下部に埋設されたヒータを更に具備し、該ヒータによって被粉砕材料を加熱可能とした粉砕装置に係るものである。
【0016】
更に又本発明は、前記固定ディスクと前記回転粉砕ディスクの少なくとも1つの粉砕面に溝を形成し、該溝により被粉砕材料に外周方向への分力が与えられる様構成した粉砕装置に係るものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、粉砕室を画成する粉砕部筐体と、前記粉砕室に収納され、下面に固定粉砕面を有する固定ディスクと、該固定ディスクの中心を貫通し、被粉砕材料を供給する原料投入孔と、前記固定ディスクに対峙して設けられ、上面に粉砕面を有し同一回転中心で回転する複数の回転粉砕ディスクと、同心多重に設けられた複数の回転軸を介して前記複数の回転粉砕ディスクを回転駆動する駆動手段とを有し、中心側に位置する中心側回転粉砕ディスクは外周側に位置する外周側回転粉砕ディスクに形成される凹部に収納され、前記駆動手段は前記複数の回転粉砕ディスク間で相対回転が生じる様に前記複数の回転粉砕ディスクを回転し、被粉砕材料は前記固定粉砕面と前記中心側回転粉砕ディスクの粉砕面との間を通過する過程で粗粉砕が行われ、前記中心側回転粉砕ディスクの外周面と前記外周側回転粉砕ディスクの内周面との間で補助粉砕が行われ、前記固定粉砕面と前記外周側回転粉砕ディスクの粉砕面との間を通過する過程で微粉砕が行われる様構成されたので、被粉砕材料の粗粉砕、補助粉砕、微粉砕が連続的に行われ、効率よく粉砕が可能である。
【0018】
又本発明によれば、粉砕室を画成する粉砕部筐体と、前記粉砕室に収納され、下面に固定粉砕面を有する固定ディスクと、該固定ディスクの中心を貫通し、被粉砕材料を供給する原料投入孔と、前記固定ディスクに対峙して設けられ、上面に粉砕面を有し同一回転中心で回転する複数の回転粉砕ディスクと、同心多重に設けられた複数の回転軸を介して前記複数の回転粉砕ディスクを回転駆動する駆動手段と、前記固定ディスクの下面より凹部内に延出する固定補助粉砕ディスク部とを有し、中心側に位置する中心側回転粉砕ディスクは外周側に位置する外周側回転粉砕ディスクに形成される前記凹部に収納され、被粉砕材料は前記固定粉砕面と前記中心側回転粉砕ディスクの粉砕面との間を通過する過程で粗粉砕が行われ、前記固定補助粉砕ディスク部の外周面と前記外周側回転粉砕ディスクの内周面との間で補助粉砕が行われ、前記固定粉砕面と前記外周側回転粉砕ディスクの粉砕面との間を通過する過程で微粉砕が行われる様構成されたので、被粉砕材料の粗粉砕、補助粉砕、微粉砕が連続的に行われ、効率よく粉砕が可能であるという優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施例に係る粉砕装置の概略を示している。
【0022】
図1中、1は駆動部を収納する駆動部筐体であり、該駆動部筐体1の天板はベースプレート2となっており、該ベースプレート2に粉砕部筐体3が設置されている。
【0023】
該粉砕部筐体3は円筒状の空間を画成し、該空間は密閉された粉砕室4となっている。該粉砕室4には後述する様に、固定ディスク5、該固定ディスク5に対峙して設けられる第1粉砕ディスク6及び第2粉砕ディスク7が収納される。
【0024】
前記粉砕部筐体3の側壁の下部所要位置には、排出口8が設けられ、該排出口8には排出管9が接続されている。又、前記粉砕室4の底面は前記排出口8が最下端となる傾斜面となっている。
【0025】
前記粉砕室4の天井面には前記固定ディスク5が固定される。該固定ディスク5の下面は水平な平面となっており、下面の周端部に温度センサ11が設けられると共に、内部に前記固定ディスク5の下面を加熱可能なヒータ12が埋設されている。又、前記固定ディスク5の中心には鉛直方向に延在する原料投入孔13が形成されている。該原料投入孔13は前記粉砕部筐体3の天板を貫通し、前記原料投入孔13に原料供給管14が接続され、該原料供給管14は図示しない原料供給源に接続されている。
【0026】
前記ベースプレート2を上下に貫通する第2回転軸15が軸受け16を介して前記ベースプレート2に回転自在に支持され、又軸受け部は軸シール17によって液密にシールされている。前記第2回転軸15は中空軸であり、該第2回転軸15の軸心は前記固定ディスク5の中心線と合致している。
【0027】
前記第2回転軸15の上端には、前記第2粉砕ディスク7が固定されている。該第2粉砕ディスク7は前記固定ディスク5と同心であり、前記第2粉砕ディスク7の上面は水平に形成され、該第2粉砕ディスク7の上面と前記固定ディスク5の下面との間には間隙G2 が形成される。前記固定ディスク5と前記第2粉砕ディスク7間で微粉砕部が構成され、前記固定ディスク5の下面は固定粉砕面、前記第2粉砕ディスク7の上面は移動粉砕面を形成する。
【0028】
該第2粉砕ディスク7の中央部は、上方に向って拡径する倒立円錐台形状の凹部18となっており、該凹部18に前記第1粉砕ディスク6が収納される。
【0029】
前記第2回転軸15の中空部に該第2回転軸15と同心に第1回転軸19が設けられ、該第1回転軸19は軸受け21を介して前記第2回転軸15に回転自在に支持されている。又、前記第1回転軸19は前記第2粉砕ディスク7の底部を貫通し、上端は前記凹部18の内部に延出し、前記第1回転軸19の下端は前記第2回転軸15の下端より下方に延出している。前記第1回転軸19の前記第2粉砕ディスク7底部の貫通部には、軸シール22が設けられ、前記第1回転軸19の支持部は液密構造となっている。
【0030】
該第1回転軸19の上端には、前記第1粉砕ディスク6が前記第1回転軸19に対して偏心して固定され、前記第1粉砕ディスク6は前記第1回転軸19と一体に回転する様になっている。前記第1粉砕ディスク6は上方に向って漸次拡径する倒立円錐台形状であり、該第1粉砕ディスク6の外周面の傾き角は前記凹部18の内周面の傾き角と同等となっており、前記第1粉砕ディスク6外周面の前記第1回転軸19から最も離れた端部と前記凹部18の内周面との間には所定の間隙が形成される。前記第1粉砕ディスク6は前記凹部18の内周面に沿って回転する様になっており、前記第1粉砕ディスク6の外周面と前記凹部18の内周面とで補助粉砕部が構成される。
【0031】
前記第1粉砕ディスク6の上面は水平であり、該第1粉砕ディスク6の上面と前記固定ディスク5の下面との間には間隙G1 が形成される。前記固定ディスク5と前記第1粉砕ディスク6間で粗粉砕部が構成され、前記固定ディスク5の下面は固定粉砕面、前記第1粉砕ディスク6の上面は移動粉砕面を形成する。
【0032】
ここで、G2 <G1 であり、間隙G1 を流通する流路抵抗より、間隙G2 を流通する流路抵抗の方が大きくなる様に設定されている。例えば、G1 =300μm,G2 =150μmに設定される。
【0033】
前記第2回転軸15の下端は、前記駆動部筐体1の内部に延出し、前記第1回転軸19は前記第2回転軸15より更に下方に延出し、前記第1回転軸19の下端には第1被動輪23が固着され、前記第2回転軸15の下端には第2被動輪24が固着されている。
【0034】
又、前記駆動部筐体1の内部には、第1駆動モータ25、第2駆動モータ26が設けられ、前記第1駆動モータ25の駆動軸には第1駆動輪27が設けられ、該第1駆動輪27と前記第1被動輪23との間にはベルト或はチェーン等の動力伝達部材が掛回され、前記第1駆動モータ25によって前記第1駆動輪27、前記動力伝達部材、前記第1被動輪23、前記第1回転軸19を介して前記第1粉砕ディスク6が回転される。
【0035】
前記第2駆動モータ26の駆動軸には第2駆動輪28が設けられ、該第2駆動輪28と前記第2被動輪24との間にはベルト或はチェーン等の動力伝達部材が掛回され、前記第2駆動モータ26によって前記第2駆動輪28、前記動力伝達部材、前記第2被動輪24、前記第2回転軸15を介して前記第2粉砕ディスク7が回転される。
【0036】
又、前記駆動部筐体1の内部、或は外部の所要位置には制御装置29が設けられ、該制御装置29は前記第1駆動モータ25、前記第2駆動モータ26の駆動を制御し、前記第1駆動モータ25、前記第2駆動モータ26をそれぞれ所定の回転速度で駆動させると共に、前記温度センサ11に検出された温度に基づき前記ヒータ12の発熱量を制御する。
【0037】
又、前記固定ディスク5を上下方向に変位可能とし、前記間隙G1 、前記間隙G2 を調整可能としてもよい。尚、前記間隙G1 、前記間隙G2 を調整可能とする場合、前記第1粉砕ディスク6、前記第2粉砕ディスク7を上下方向に変位可能としてもよい。
【0038】
又、前記第1粉砕ディスク6の外周面と前記凹部18の内周面とがそれぞれ垂直であってもよい。
【0039】
前記第1駆動モータ25、前記第2駆動モータ26、前記制御装置29等は駆動手段を構成する。
【0040】
以下、第1の実施例の作動を説明する。
【0041】
前記第1駆動モータ25、前記第2駆動モータ26が駆動され、前記第1粉砕ディスク6が回転速度V1、前記第2粉砕ディスク7が回転速度V2で回転される。又、V1≠V2であり、前記第1粉砕ディスク6と前記第2粉砕ディスク7との間で相対回転が発生する。
【0042】
所定の粒径の木材等の粉体が水と混合され、スラリー状にされた被粉砕材料31が前記原料供給管14より前記第1粉砕ディスク6上に供給される。
【0043】
供給された被粉砕材料31は、前記第1粉砕ディスク6の回転により遠心力が付与され、前記固定ディスク5と前記第1粉砕ディスク6の間隙G1 を通過する。前記固定ディスク5は固定であり、前記第1粉砕ディスク6が回転していることで、通過する被粉砕材料31、即ち粉体に剪断力が作用し、粉体を粉砕(粗粉砕)する。被粉砕材料31の粉砕は、前記第1粉砕ディスク6の上面全域で行われる。
【0044】
前記間隙G1 を通過した被粉砕材料31は、遠心力により更に外周側に移動し、前記凹部18内に流落する。前記第1粉砕ディスク6は最外端が前記凹部18の内周面に沿って回転しているので、前記凹部18内に流落した被粉砕材料31は、付与された遠心力及び前記第1粉砕ディスク6の押圧により前記凹部18の内周面に向って移動し、又遠心力及び前記第1粉砕ディスク6の押圧により上方への分力が与えられることで、被粉砕材料31が前記凹部18の内周面に沿って上昇する。この時、前記第1粉砕ディスク6と前記第2粉砕ディスク7との間で相対回転が発生しているので、前記凹部18の内周面を上昇する被粉砕材料31に剪断力が作用し、粉体が粉砕(補助粉砕)される。
【0045】
前記凹部18の内周面を上昇した被粉砕材料31は、遠心力により更に外周側に移動し、前記間隙G2 を通過する。被粉砕材料31が前記間隙G2 を通過する過程で、前記固定ディスク5は固定であり、前記第2粉砕ディスク7は回転しているので、被粉砕材料31に剪断力が作用し、粉体が粉砕される。又、前記間隙G2 は前記間隙G1 よりも小さいので、被粉砕材料31には大きな剪断力が作用し、又、前記間隙G2 の流路抵抗は前記間隙G1 の流路抵抗よりも大きいので、前記間隙G2 を通過する被粉砕材料31の流速は前記間隙G1 を通過する流速より遅く、更に細かく粉砕(微粉砕)される。
【0046】
前記間隙G2 を通過した被粉砕材料31は、前記粉砕室4の底面に流落し、底面の傾斜に沿って前記排出口8へと流動し、前記排出管9を介して外部に排出される。
【0047】
又、被粉砕材料31の粉体は、前記間隙G1 、前記凹部18、前記間隙G2 を通過する過程で、それぞれ安定した剪断力が作用するので、粉砕後の粒径は安定し、又前記間隙G1 、前記間隙G2 、前記第1粉砕ディスク6、前記第2粉砕ディスク7の回転数を調整する等で容易に粉砕粒度の調整が可能である。
【0048】
又、前記間隙G1 、前記間隙G2 を通過する過程で、又補助粉砕される過程で、剪断、摩擦による発熱がある。前記被粉砕材料31が木粉である場合、木粉の粒子を結合しているヘミセルロースは適度に含水した状態では150℃で軟化することが分っている。従って、前記間隙G1 、前記間隙G2 の値、前記第1粉砕ディスク6、前記第2粉砕ディスク7の回転数を適宜設定し、粉砕中の被粉砕材料31の温度が150℃を超える様にすることで、更に微細な粉体に粉砕することが可能である。
【0049】
又、前記固定ディスク5に前記ヒータ12を埋設し、前記温度センサ11によって検出された温度に基づき、前記ヒータ12により被粉砕材料31を加熱することで、被粉砕材料31を確実に150℃以上に加熱することができる。
【0050】
而して、前記固定ディスク5と前記第1粉砕ディスク6との間で粗粉砕が行われ、前記第1粉砕ディスク6と前記凹部18の内周面との間で補助粉砕が行われ、前記固定ディスク5と前記第2粉砕ディスク7との間で微粉砕が行われる。
【0051】
次に、
図2に於いて、本発明の第2の実施例について説明する。尚、
図2中、
図1中と同等のものには同符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0052】
第2の実施例では、第1の実施例に於ける第1粉砕ディスク6の形状を変更し、第1粉砕ディスク33としている。
【0053】
第1回転軸19の上端に倒立円錐台形状の前記第1粉砕ディスク33が固定されている。該第1粉砕ディスク33は固定ディスク5と同心であり、中央に円柱状の粗粉砕ディスク部34が形成され、該粗粉砕ディスク部34と同心に円筒状の回転補助粉砕ディスク部35が形成され、前記粗粉砕ディスク部34と前記回転補助粉砕ディスク部35との間にはリング状の第2凹部36が形成される。該第2凹部36の内周面は上方に向って拡径する倒立円錐台形状となっている。
【0054】
又、前記回転補助粉砕ディスク部35の外周面の傾き角は、凹部18の内周面の傾き角と同等となっており、前記第1粉砕ディスク33と前記第2粉砕ディスク7との間には所定の大きさの間隙が形成される。
【0055】
前記回転補助粉砕ディスク部35の下部には、前記第2凹部36と前記凹部18とを連通させる流出孔37が所定の間隔で複数穿設されている。尚、前記固定ディスク5と前記回転補助粉砕ディスク部35との間に形成される間隙G3 は極めて小さくなっており、被粉砕材料31が前記間隙G3 を通過しない、或は殆ど通過しない様になっている。
【0056】
尚、前記固定ディスク5と前記粗粉砕ディスク部34との間で粗粉砕部が構成され、前記回転補助粉砕ディスク部35と前記第2粉砕ディスク7との間で補助粉砕部が構成され、前記固定ディスク5と前記第2粉砕ディスク7との間で微粉砕部が構成される。
【0057】
前記原料投入孔13より前記粗粉砕ディスク部34の中心部に投入され、前記固定ディスク5と前記粗粉砕ディスク部34との間で粗粉砕が行われた被粉砕材料31は、遠心力により外周側へと移動し、前記第2凹部36内に流入する。
【0058】
該第2凹部36内に流入した被粉砕材料31は、遠心力により外周側へと移動し、前記流出孔37を流通して前記凹部18内に流出される。該凹部18内に流出された被粉砕材料31には、遠心力及び前記回転補助粉砕ディスク部35の外周面からの押圧力により、上方への分力が作用し、前記凹部18内を該凹部18の内周面に沿って上昇する。
【0059】
この時、前記回転補助粉砕ディスク部35と前記第2粉砕ディスク7との間には相対回転が生じているので、前記凹部18の内周面を上昇する被粉砕材料31に対して剪断力が作用し、補助粉砕が行われる。
【0060】
更に、前記凹部18の内周面を上昇した被粉砕材料31は、前記固定ディスク5と前記第2粉砕ディスク7との間の間隙G2 を通過する過程で微粉砕される。
【0061】
尚、第2の実施例では、前記回転補助粉砕ディスク部35の下端に穿設した前記流出孔37により前記第2凹部36と前記凹部18とを連通させているが、前記流出孔37を流通する被粉砕材料31に前記流出孔37から外周方向への分力が与えられる様、回転方向に対して内周端が前、外周端が後となる様に傾斜させてもよい。又、前記流出孔37を周方向に延びるスリット状の流出孔としてもよい。
【0062】
又、前記回転補助粉砕ディスク部35の外周面と前記凹部18の内周面とがそれぞれ垂直であってもよい。
【0063】
次に、
図3に於いて、本発明の第3の実施例について説明する。尚、
図3中、
図2中と同等のものには同符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0064】
第3の実施例に於いては、第1回転軸19の上端に円柱状の第1粉砕ディスク39が固定ディスク5と同心に設けられている。又、該固定ディスク5に該固定ディスク5の下面より凹部18の底面近傍迄延出する固定補助粉砕ディスク部41が形成されている。
【0065】
該固定補助粉砕ディスク部41は、外周面が上方に向って拡径する倒立円錐台形状となっており、前記固定補助粉砕ディスク部41と前記凹部18の底面との間には、所定の大きさの間隙が形成される様になっている。又、前記固定補助粉砕ディスク部41の外周面の傾き角は、前記凹部18の内周面の傾き角と同等となっており、前記固定補助粉砕ディスク部41と第2粉砕ディスク7との間には所定の間隙42が形成される。
【0066】
尚、前記固定ディスク5と前記第1粉砕ディスク39との間で粗粉砕部が構成され、前記固定補助粉砕ディスク部41の外周面と前記凹部18の内周面との間で補助粉砕部が構成され、前記固定ディスク5と前記第2粉砕ディスク7との間で微粉砕部が構成される。
【0067】
被粉砕材料31が前記凹部18内に流入し、遠心力により外周側へと移動し、前記固定補助粉砕ディスク部41の下端と前記凹部18の底面間の間隙を通過した後、前記間隙42内へと流入する。
【0068】
該間隙42に流入した被粉砕材料31には、遠心力及び前記固定補助粉砕ディスク部41からの押圧力により上方への分力が作用し、該分力により被粉砕材料31が前記凹部18の内周面に沿って前記間隙42を上昇する。この時、前記固定補助粉砕ディスク部41は固定であり、前記第2粉砕ディスク7は回転しているので、前記間隙42を流通する被粉砕材料31には剪断力が作用し、補助粉砕が行われる。
【0069】
被粉砕材料31が前記間隙42を通過した後、前記固定ディスク5と前記第2粉砕ディスク7との間で微粉砕が行われる。
【0070】
尚、上記した第3の実施例に於いて、前記第1粉砕ディスク39を前記第1回転軸19に対して偏心させ、前記第1粉砕ディスク39の外周面と前記固定補助粉砕ディスク部41の内周面との間に所定の間隙が形成される様にし、前記第1粉砕ディスク39の外周面と前記固定補助粉砕ディスク部41の内周面との間で更に補助粉砕が行われる様構成してもよい。
【0071】
又、前記固定補助粉砕ディスク部41の外周面と前記凹部18の内周面とがそれぞれ垂直であってもよい。
【0072】
又、上記した第3の実施例に於いて、前記第1粉砕ディスク39、前記第2粉砕ディスク7の一方又は両方の上面に、
図4に示される様な溝43を形成してもよい。該溝43は、所定角度ピッチで放射状に設けられ、該溝43の内周端又は外周端を通過する半径に対して傾斜し、又回転方向に対して内周端が先、外周端が後となる様に傾斜している。
【0073】
前記溝43が形成されることで、前記第1粉砕ディスク39又は前記第2粉砕ディスク7が回転すると、前記溝43を充填する被粉砕材料31が前記溝43から外周方向への分力を与えられ、間隙G1 、間隙G2 を通過する被粉砕材料31の排出効果が増大する。
【0074】
尚、上記した前記溝43は、第1の実施例に於ける前記第1粉砕ディスク6、前記第2粉砕ディスク7(
図1参照)上面の一方又は両方に形成してもよく、第2の実施例に於ける粗粉砕ディスク部34、第2粉砕ディスク7(
図2参照)上面の一方又は両方に形成してもよいのは言う迄もない。更に、前記溝43は前記固定ディスク5の下面に形成してもよく、前記溝43の形状も適宜変更可能であることは言う迄もない。
【0075】
又、第1〜第3の実施例では、前記ヒータ12が前記固定ディスク5の下部全域に亘って設けられているが、前記ヒータ12を粗粉砕部、微粉砕部にそれぞれ設け、各ヒータ12を個別に制御する様にしてもよい。又、該ヒータ12を前記固定ディスク5ではなく前記粉砕室4の側壁に埋設する様にしてもよい。
【0076】
又、第1〜第3の実施例に於いて、前記粉砕部筐体3を耐圧容器とし、前記粉砕室4を高圧に保持することで、被粉砕材料31が水分を多量に含有する場合でも、100℃以上に昇温可能な構造としてもよい。
【0077】
又、3以上の粉砕ディスクを同心多重に設け、各粉砕ディスクを同心多重軸を介して回転させ、前記固定ディスク5の下面と各粉砕ディスクの上面とで粗粉砕及び微粉砕を行うと共に、中心側に位置する粉砕ディスクの外周面と外周側に位置する粉砕ディスクの内周面とで補助粉砕を行い、該外周側に位置する粉砕ディスクの外周面と更に外周側に位置する粉砕ディスクの内周面とで更に補助粉砕を行う様にしてもよい。又、各粉砕ディスクを個別の駆動モータで回転させることが好ましいが、1つの駆動モータで回転させてもよい。この場合、モータと各粉砕ディスクの回転軸とを連結するギア列のギア比を変え、各粉砕ディスクの回転速度を異ならせ、各粉砕ディスク間で相対回転が生じる様に設定する。
【0078】
更に、第1〜第3の実施例では、被粉砕材料を粉体と水とを混合させたスラリー状としているが、粉体のみを被粉砕材料とする乾式粉砕にも本発明の粉砕装置を適用可能であることは言う迄もない。