(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について、
図1〜
図4にしたがって説明する。
【0016】
図1に示すように、半導体モジュール10は、絶縁層としての絶縁基板11と、絶縁基板11に積層された第1の配線金属板13に設けられた第1の半導体素子21,22と、第1の半導体素子21,22に積層された第2の配線金属板25に設けられた第2の半導体素子26,27とを有している。本実施形態の半導体モジュール10は、第1の半導体素子21,22に対して第2の半導体素子26,27を積層した積層型半導体モジュールである。
【0017】
絶縁基板11は、矩形平板状をなしている。絶縁基板11としては、例えば窒化アルミニウム、アルミナ、窒化ケイ素等からなるセラミック基板が用いられる。絶縁基板11の上面には、第1の半導体素子21,22が接合される第1の配線層としての第1の配線金属板13と、第1の配線金属板13と電気的に分離して設けられた伝熱層としての金属板14が形成されている。第1の配線金属板13と金属板14は、同一面上に設けられている。
【0018】
金属板14は、平面視L字状に形成されている。具体的にいえば、金属板14は、矩形平板状をなす第1の延設部14aと、第1の延設部14aから第1の延設部14aの短手方向に水平に延びる第2の延設部14bからなる。第1の延設部14aは、絶縁基板11の一つの角部から、絶縁基板11の長手方向に直線状に延びている。第2の延設部14bは、上記した角部から絶縁基板11の短手方向に直線状に延びている。第1の延設部14aの長さは、絶縁基板11の長手方向の長さよりも短い。第2の延設部14bの長さは、絶縁基板11の短手方向の長さよりも短い。
【0019】
第1の配線金属板13は、略矩形平板状をなしている。第1の配線金属板13は、その長手方向が絶縁基板11の長手方向と一致し、短手方向が絶縁基板11の短手方向と一致するように設けられている。そして、第1の配線金属板13は、その短手方向の縁部が第1の延設部14aから若干離間して設けられるとともに、長手方向の縁部が第2の延設部14bから若干離間して設けられている。これにより、第1の配線金属板13と金属板14は、電気的に分離されている。また、第1の配線金属板13は、絶縁基板11の上面において、金属板14が設けられていない面の略全面に形成されている。
【0020】
第1の配線金属板13の上面には、二つの第1の半導体素子21,22が第1の配線金属板13の長手方向に並んで設けられている。第1の半導体素子21,22は、半田などの接合材によって接合されている。第1の半導体素子21,22は、例えば、絶縁ゲートバイポーラ型トランジスタ(insulated gate bipolar transistor:IGBT)やパワーMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)等のスイッチング素子や、ダイオードなどである。また、第1の配線金属板13の上面には、電源に接続される第1の入力電極31が接合されている。
【0021】
図1及び
図3に示すように、金属板14の上面には、出力電極32が半田などの接合材によって接合されている。出力電極32は、金属板14に接合される接合部33を有している。接合部33は、矩形平板状をなす第1の接合部33aと、第1の接合部33aから第1の接合部33aの短手方向に水平に延びる第2の接合部33bからなる。第1の接合部33aは、長手方向及び短手方向の寸法が、第1の延設部14aの長手方向及び短手方向の寸法と同一となっている。第2の接合部33bは、長手方向及び短手方向の寸法が、第2の延設部14bの長手方向及び短手方向の寸法と同一となっている。第1の接合部33aは、第1の延設部14aに接合され、第2の接合部33bは、第2の延設部14bに接合されている。第1の接合部33aには、第2の接合部33bが延びる方向と逆方向に水平に延びるとともに、負荷(例えば、電気自動車などに搭載される三相モータ)に接続される接続部34が形成されている。
【0022】
第1の半導体素子21,22の上面(第1の半導体素子21,22の第1の配線金属板13に接合された面と反対側の面)には、半田層23が設けられている。出力電極32の接合部33の上面には、接合部33と同一形状をなす半田層24が接合されている。それぞれの半田層23,24の上面には、第2の配線層としての第2の配線金属板25が接合されている。すなわち、第1の半導体素子21,22の上面には、半田層23,24によって第2の配線金属板25が接合されている。第2の配線金属板25の上面(第2の配線金属板25の第1の半導体素子21,22が接合された面と反対側の面)には、二つの第2の半導体素子26,27が半田などの接合材によって接合されている。第2の半導体素子26,27は、第1の半導体素子21,22に積層されている。金属板14(伝熱層)は、第2の半導体素子26,27に対して第2の配線金属板25が配置される側に配置されている。
【0023】
図2に示すように、二つの第2の半導体素子26,27のうち、一方の第2の半導体素子26は、平面視したときに、第2の半導体素子26の一辺が出力電極32の第1の接合部33a上に位置し、この一辺と交わる辺が出力電極32の第2の接合部33b上に位置するように設けられている。第2の半導体素子27は、平面視したときに、第2の半導体素子27の一辺が出力電極32の第1の接合部33a上に位置するように設けられている。また、同時に第2の半導体素子26,27は、平面視したときに第1の半導体素子21,22上にも位置するように設けられている。
【0024】
第2の半導体素子26,27は、第1の半導体素子21,22の発熱量を考慮して配置位置が決められる。二つの第1の半導体素子21,22の発熱量に偏りがあり、二つの第2の半導体素子26,27の発熱量にも偏りがある場合、二つの第2の半導体素子26,27のうち、発熱量の多い第2の半導体素子26,27が、二つの第1の半導体素子21,22のうち、発熱量の少ない第1の半導体素子21,22に積層される。また、発熱量の少ない第2の半導体素子26,27が発熱量の多い第1の半導体素子21,22に積層される。第2の半導体素子26,27は、例えば、絶縁ゲートバイポーラ型トランジスタ(insulated gate bipolar transistor:IGBT)やパワーMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)等のスイッチング素子や、ダイオードなどである。
【0025】
図4に示すように、第2の半導体素子26,27が発する熱は、矢印Y1にしたがって第1の配線金属板13に伝導する。第2の半導体素子26,27で発した熱は、第2の配線金属板25に伝導し、半田層23及び第1の半導体素子21,22を介して第1の配線金属板13に伝導する。したがって、半田層23及び第1の半導体素子21,22が第1の配線金属板13に熱を伝導させる第1の伝熱経路を形成している。
【0026】
また、第2の半導体素子26,27が発する熱は、矢印Y2にしたがって第2の配線金属板25に伝導し、半田層24及び出力電極32を介して金属板14にも伝導する。したがって、金属板14と第2の配線金属板25の間に設けられた半田層24及び出力電極32が第2の伝熱経路を形成している。第2の伝熱経路は、二つの第2の半導体素子26,27のうち、一方の第2の半導体素子26の二辺と重なり合うように設けられている。すなわち、第2の半導体素子26の複数方向(2方向)に第2の伝熱経路が設けられている。具体的にいえば、第1の接合部33aと第1の接合部33aの上面に設けられた半田層24からなる第2の伝熱経路と、第2の接合部33bと第2の接合部33bの上面に設けられた半田層24からなる第2の伝熱経路が第2の半導体素子26の2方向に位置する第2の伝熱経路となる。一方、第2の伝熱経路は、第2の半導体素子27の一方向に設けられている。しがたって、第2の半導体素子27は、第2の半導体素子26に比べて冷却されにくい。このため、第2の半導体素子26として、第2の半導体素子27よりも発熱量が多い半導体素子を使用することが望ましい。例えば、第2の半導体素子26として、IGBTを使用し、第2の半導体素子27としてダイオードを使用すればよい。なお、第2の伝熱経路は、絶縁基板11によって第1の配線金属板13と電気的に絶縁されている。
【0027】
第2の半導体素子26,27の上面には、半田層28が設けられている。半田層28の上面には、電源と接続される第2の入力電極35が接合されている。
第1の配線金属板13の下面には、絶縁基板11を介して平板状の放熱部材36が接合されている。放熱部材36は、半田などの接合材によって接合されている。放熱部材36は、銅やアルミニウムなどの金属材料からなる。放熱部材36は、周囲に存在する空気と熱交換を行うことで、放熱部材36に伝導した熱を放熱する。
【0028】
次に、本実施形態の半導体モジュール10の作用について説明する。
本実施形態の半導体モジュール10は、例えばインバータに適用される。このインバータは第1の入力電極31及び第2の入力電極35から入力されたバッテリの直流電力を交流電力に変換して出力電極32から負荷に出力するためのものである。本実施形態の半導体モジュール10は、3相インバータの1相分の上下アームを構成している。
【0029】
上述のとおり、第1の半導体素子21,22と第2の半導体素子26,27は積層構造であり、放熱部材36は、第1の半導体素子21,22側のみに配置されている。
半導体モジュール10が駆動するときには、第1の半導体素子21,22及び第2の半導体素子26,27が発熱する。第1の半導体素子21,22が発熱すると、この熱は、第1の配線金属板13に伝導する。第1の配線金属板13に伝導した熱は、絶縁基板11を介して放熱部材36に伝導し、これにより第1の半導体素子21,22で発した熱が放熱される。
【0030】
第2の半導体素子26,27が発熱すると、この熱は、第1の伝熱経路を介して第1の配線金属板13に伝導する。第1の配線金属板13に伝導した熱は、絶縁基板11を介して放熱部材36に伝導し、これにより第2の半導体素子26,27で発した熱が放熱される。
【0031】
また、第2の半導体素子26,27が発した熱は、第2の伝熱経路を介して金属板14にも伝導する。金属板14に伝導した熱は、絶縁基板11を介して放熱部材36に伝導し、これにより第2の半導体素子26,27で発した熱が放熱される。すなわち、第2の半導体素子26,27で発した熱は、複数の伝熱経路を介して放熱部材36に伝導する。
【0032】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第2の半導体素子26,27が発した熱は、第1の伝熱経路を介して第1の配線金属板13に伝導するのに加えて、第2の伝熱経路を介して金属板14に伝導する。第2の半導体素子26,27が発した熱を第1の配線金属板13及び金属板14に伝導させる伝熱経路を複数設けることで、第1の半導体素子21,22側のみから放熱される積層構造でも、第2の半導体素子26,27に対する冷却効率を向上させることができる。また、第2の半導体素子26,27に対する冷却効率を向上させることで、第1の伝熱経路を伝導する熱量が少なくなり、第1の半導体素子21,22に伝導する熱量が少なくなる。このため、第1の半導体素子21,22に対する冷却効率も向上される。
【0033】
(2)第2の半導体素子26,27の複数方向に第2の伝熱経路を設けることで、第2の半導体素子26,27が発した熱が伝導しやすく、第2の半導体素子26,27に対する冷却効率が更に向上される。
【0034】
(3)絶縁基板11には、放熱部材36が設けられている。このため、第1の配線金属板13及び金属板14に伝導した熱は、絶縁基板11を介して放熱部材36に伝導し、放熱部材36によってこの熱を適切に放熱することができる。したがって、第1の半導体素子21,22及び第2の半導体素子26,27に対する冷却効率が向上される。
【0035】
(4)出力電極32は、第2の伝熱経路の一部を兼ねている。したがって、第2の伝熱経路を形成するための部材を別途用意する必要が無く、部品点数の削減が図られる。
(5)第1の半導体素子21,22の発熱量を考慮して第2の半導体素子26,27の位置を決めている。このため、第1の半導体素子21,22間の温度差及び第2の半導体素子26,27間の温度差が小さくなる。
【0036】
(6)半導体モジュール10を積層構造とすることで、第1の配線金属板13と第2の配線金属板25が、その厚み方向に対向している。第1の配線金属板13を流れる電流と第2の配線金属板25を流れる電流の向きは、逆向きとなるため、相互誘導作用によって半導体モジュール10のインダクタンスを低減させることができる。
【0037】
(7)半導体モジュール10を積層構造とすることで、半導体素子を水平方向に並べて配置した半導体モジュール10に比べると、平面視したときの面積を約3割小さくすることができる。
【0038】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態について
図5及び
図6にしたがって説明する。
【0039】
図5に示すように、半導体モジュール40は、絶縁層としての第1の絶縁基板41を有している。第1の絶縁基板41は矩形平板状をなしている。第1の絶縁基板41の上面には、第1の配線層及び伝熱層としての第1の配線金属板42が接合されている。
【0040】
第1の配線金属板42の上面には、第2の絶縁基板43が設けられている。第2の絶縁基板43は、第1の配線金属板42の長手方向に3つ並んで設けられている。各第2の絶縁基板43は、同一形状をなしている。第2の絶縁基板43は、矩形平板状をなす本体部44と、本体部44の長手方向両端から本体部44の短手方向両側に向けて延びる第1の延設部45及び第2の延設部46とからなる。第2の延設部46の一方は、他方よりも(上面が)広くなるように設けられている。また、第1の配線金属板42の上面には、電源に接続される第1の入力電極71が接合されている。
【0041】
第1の配線金属板42の上面には、第1の半導体素子61,62が接合されている。第1の半導体素子61は、各第2の絶縁基板43の本体部44と二つの第1の延設部45に囲まれる領域のそれぞれに、一個ずつ設けられている。第1の半導体素子62は、本体部44と二つの第2の延設部46に囲まれる領域のそれぞれに、一個ずつ設けられている。
【0042】
第2の絶縁基板43の上面には、第2の絶縁基板43と相似の金属板47が設けられている。金属板47の上面には、金属板47と同一形状をなす半田層48が設けられている。また、各第1の半導体素子61,62の上面(第1の半導体素子61,62の第1の配線金属板42が接合された面と反対側の面)には、半田層49が設けられている。
【0043】
それぞれの半田層48,49の上面には、第2の配線層としての第2の配線金属板50が一つずつ設けられている。すなわち、第1の半導体素子61,62、金属板47の上面には、半田層48,49を介して第2の配線金属板50が接合されている。それぞれの第2の配線金属板50は、電気的に分離されている。第2の配線金属板50の上面には、第2の半導体素子63,64が二個ずつ設けられている。第2の半導体素子63は、第1の半導体素子61に対して積層されている。第2の半導体素子64は、第1の半導体素子62に積層されている。本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、発熱量の多い第1の半導体素子61に対して発熱量の少ない第2の半導体素子63が積層され、発熱量の少ない第1の半導体素子62に対して発熱量の多い第2の半導体素子64が積層される。第1の配線金属板42は、第2の半導体素子63,64に対して第2の配線金属板50が配置される側に配置されている。
【0044】
第2の半導体素子63は、平面視したときに、第2の半導体素子63の一辺に第2の絶縁基板43の本体部44が沿い、この一辺と交わる二辺に第1の延設部45が沿うように配置されている。第2の半導体素子64は、平面視したときに、第2の半導体素子64の一辺に本体部44が沿い、この一辺と交わる二辺に第2の延設部46が沿うように配置されている。また、発熱量の少ない第1の半導体素子62をオフセットして配置し、第2の延設部46の一方を他方より広く設け、発熱量の多い第2の半導体素子64を逆にオフセットして配置している。従って、オフセットしない場合より、平面視したときに発熱量の多い第2の半導体素子64が広く設けた第2の延設部46の上に広く配置されるとともに、第2の配線金属板50の上面に後述の出力電極51の配置スペースを確保している。
【0045】
図6に示すように、第2の半導体素子63,64が発する熱は、矢印Y3にしたがって第2の配線金属板50に伝導し、半田層49及び第1の半導体素子61,62を介して第1の配線金属板42に伝導する。したがって、第1の伝熱経路は、半田層49及び第1の半導体素子61,62から形成されている。
【0046】
また、矢印Y4に示すように、第2の半導体素子63,64が発する熱は、矢印Y4にしたがって第2の配線金属板50に伝導し、半田層48、金属板47及び第2の絶縁基板43を介して第1の配線金属板42に伝導する。したがって、第2の伝熱経路は、半田層48、金属板47及び第2の絶縁基板43から形成されている。第2の伝熱経路は、全ての第2の半導体素子63,64の3方向に設けられている。具体的にいえば、本体部44と本体部44の上面に設けられた半田層48からなる第2の伝熱経路と、二つの第1の延設部45と第1の延設部45の上面に設けられた半田層48からなる第2の伝熱経路が第2の半導体素子63の3方向に位置する第2の伝熱経路となる。また、本体部44と本体部44の上面に設けられた半田層48からなる第2の伝熱経路と、二つの第2の延設部46と第2の延設部46の上面に設けられた半田層48からなる第2の伝熱経路が第2の半導体素子64の3方向に位置する第2の伝熱経路となる。なお、金属板47と第1の配線金属板42との間に、第2の絶縁基板43を介在させることで、金属板47と第1の配線金属板42との電気的な接続を防止し、第2の伝熱経路と第1の配線金属板42との電気的な絶縁を図っている。
【0047】
各第2の配線金属板50の上面には、負荷に接続される出力電極51が接合されている。全ての第2の半導体素子63,64の上面には、半田層65が設けられている。半田層65の上面には、電源に接続される第2の入力電極72が接合されている。第2の入力電極72は、矩形平板状をなす本体部73と、本体部73の長手方向に沿って3箇所に形成されるとともに本体部73の短手方向に延びる接続部74とからなる。各接続部74は、各第2の配線金属板50に接合された二つの第2の半導体素子63,64の上面に接合されている。
【0048】
第1の配線金属板42の下面には、第1の絶縁基板41を介して、放熱部材75が接合されている。放熱部材75の内部には、直線状に延びる複数の冷媒通路76が区画されている。放熱部材75には、図示しない冷媒流入部及び冷媒流出部が形成されており、冷媒流入部から流入した液状の冷媒が、冷媒通路76を流通して冷媒流出部から流出するように構成されている。
【0049】
次に、半導体モジュール40の作用について説明する。
本実施形態の半導体モジュール40は、3相インバータの3相分の上下アームを構成している。半導体モジュール40が駆動すると、第1の半導体素子61,62及び第2の半導体素子63,64が発熱する。第2の半導体素子63,64が発した熱は、第1の伝熱経路及び第2の伝熱経路を介して第1の配線金属板42に伝導する。したがって、本実施形態では、第1の配線金属板42が伝熱層としても機能している。すなわち、伝熱層は、配線層と個別に設けられていなくてもよく、配線層を伝熱層として兼用してもよい。第1の配線金属板42に伝導した熱は、第1の絶縁基板41を介して放熱部材75に伝導し、放熱部材75の内部(冷媒通路76)を流通する冷媒と熱交換される。
【0050】
したがって、上記実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(3)、(5)(7)に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(8)第2の伝熱経路は、全ての第2の半導体素子63,64の複数方向に設けられている。したがって、全ての第2の半導体素子63,64を冷却しやすく、第2の半導体素子63,64を効率よく冷却することができる。
【0051】
(9)第1の配線金属板42と第2の入力電極72は、その厚み方向に対向している。第1の配線金属板42を流れる電流の向きと、第2の入力電極72に流れる電流の向きは、逆向きとなるため、相互誘導作用によって半導体モジュール40のインダクタンスを低減させることができる。
【0052】
(10)第1の配線金属板42は、配線層及び伝熱層として機能している。このため、伝熱層を別個に設ける必要がなく、部品点数の削減が図られている。
なお、実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0053】
○ 各実施形態において、半導体素子を更に積層してもよい。
○ 各実施形態において、それぞれの第1の半導体素子21,22,61,62の発熱量の偏りがない場合や、発熱量の偏りが無視できるほど小さい場合には、第1の半導体素子21,22,61,62の発熱量を考慮して第2の半導体素子26,27,63,64の位置を決めなくてもよい。また、第1の半導体素子、第2の半導体素子それぞれ2個ずつ用いたが、用途に応じて1個でも、3個以上用いてもよい。
【0054】
○ 各実施形態において、十分に放熱が行える場合には、放熱部材36,75を設けなくてもよい。
○ 各実施形態において、放熱部材36,75が絶縁性の材料から形成されている場合や、絶縁性の材料でコーティングされている場合には、絶縁基板11及び第1の絶縁基板41を設けず、第1の配線金属板13,42の下面に放熱部材36,75を直接接合してもよい。
【0055】
○ 各実施形態において、絶縁層として、絶縁性を有する樹脂からなるシートを用いてもよい。
○ 第1の実施形態において、第2の半導体素子27の複数方向に第2の伝熱経路を設けてもよい。
【0056】
○ 第1の実施形態において、伝熱層として、金属板14以外を用いてもよい。例えば、熱伝導率の高い樹脂などを用いてもよい。
○ 第2の実施形態において、第2の半導体素子63,64の3方向に第2の伝熱経路を設けたが、第2の半導体素子63,64の4方向に第2の伝熱経路を設けてもよい。
【0057】
○ 第2の実施形態において、第2の絶縁基板43の下面にも金属板を接合しても良い。
○ 第1の実施形態において、半導体モジュール10は、3相インバータの1相分の上下アームを構成したが、絶縁基板11や放熱部材36を共通として3相分の上下アームのモジュールとしてもよい。また、第2の実施形態において、半導体モジュール40は、3相分の上下アームのモジュールであったが、第1の配線金属板42を分割し、第1の入力電極71、第2の入力電極72をそれぞれ設けて1相分の上下アームのモジュールとしてもよい。
【0058】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記配線層は、前記伝熱層を兼ねることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の半導体モジュール。