(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0013】
<画像形成システム>
本発明の実施の形態に係る画像形成システム100は、
図1に示すように、画像形成装置Aと後処理装置(用紙折り装置)FSとから構成されている。
【0014】
<画像形成装置>
画像形成装置Aは、画像読取部1、画像処理部2、画像書込部3、画像形成部4、給紙カセット5、給紙部6、定着部7、排紙部8、及び自動両面コピー給紙部(ADU:Automatic Duplex copy Unit)9等を具備している。
【0015】
画像形成装置Aの上部には、自動原稿送り装置DFが搭載されている。画像形成装置Aの
図1中の左側面の排紙部8側には、後処理装置FSが連結されている。
【0016】
画像読取部1は、所定の光学系により、自動原稿送り装置DFの原稿台に載置され搬入される原稿の片面又は両面の画像を光学像として読み取り、読み取られた光学像をCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー1Aにより光電変換する。
【0017】
画像処理部2は、CCDイメージセンサー1Aにより光電変換されたアナログ信号に対し、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、画像信号を画像書込部3に送る。
【0018】
画像書込部3は、取得した画像信号に基づいて、半導体レーザーにより画像形成部4の感光体ドラム4Aに出力光を照射し、感光体ドラム4Aの表面上に静電潜像を形成する。
【0019】
画像形成部4は、感光体ドラム4A上に形成された潜像に、現像処理を施し、トナー像を形成する。画像形成部4は、転写部4Bにより、給紙カセット5から給紙部6により給送された記録用紙S1を感光体ドラム4Aに押し付け、記録用紙S1上にトナー像を転写する。トナー像が転写された記録用紙S1は、定着部7に搬送される。
【0020】
定着部7は、画像形成部4によりトナー像が転写された記録用紙S1に対し熱と圧力を加えて定着処理を施し、これにより記録用紙S1上に画像を形成する。画像形成がなされた記録用紙S1は、排紙部8から後処理装置FSに搬送される。
【0021】
記録用紙S1に対して両面コピーを行う場合には、定着部7を通過して一方の面に画像が形成された記録用紙S1が搬送路切り替え板8Aにより自動両面コピー給紙部9に搬送され、記録用紙S1の表裏が反転された後に、再び画像形成部4及び定着部7により記録用紙S1の他方の面に画像が形成される。両面に画像形成がなされた記録用紙S1は、排紙部8から後処理装置FSに搬送される。
【0022】
<後処理装置>
次に、本発明の実施の形態に係る後処理装置FSについて
図1、2を参照して説明する。
【0023】
後処理装置FSは、用紙搬入部20、挿入用紙給紙部30a,30b、穴あけ処理部40、折り処理部50、重ね合わせ処理部60、ステープラー71,103、排紙部80、記憶部M、及び制御部90等を具備している。
【0024】
用紙搬入部20は、後処理装置FSにおける画像形成装置Aと対向する側面に設けられ、画像形成装置Aに連結されている。用紙搬入部20には、画像形成装置A内で画像形成がなされた記録用紙S1が排紙部8を介して搬入される。
【0025】
挿入用紙給紙部30a,30bは、後処理装置FSの上部に設けられ、挿入用紙給紙部30aには挿入用紙S2が装填され、挿入用紙給紙部30bには他の挿入用紙S3が装填される。挿入用紙S2,S3は、画像形成装置Aから排出される複数の記録用紙S1同士の間に挿入される表紙用紙やインサート紙等の挿入用紙であり、記録用紙S1と同様に、穴あけ処理や折り処理を施すことができる。挿入用紙給紙部30a,30bから送り出される挿入用紙S2,S3は、下方に向かう搬送路を経て用紙搬入部20に搬送される。
なお、以下の説明では、記録用紙S1及び挿入用紙S2,S3を総称して用紙Sと称する。
【0026】
穴あけ処理部40は、用紙搬入部20の近傍に設けられ、所定の駆動機構によりパンチが上下動し、用紙Sの所定位置にパンチ穴を穿孔する。
【0027】
重ね合わせ処理部60は、用紙搬入部20から上方に分岐した搬送路H2の搬送方向下流側に配設され、ステープラー71における用紙Sの綴じ処理時間を確保するためのものである。
ここで、搬送路H2は、搬送方向下流側において、搬送路H3と搬送路H4とに分岐しており、搬送路H3は更に搬送路H5と搬送路H6とに分岐している。搬送路H4の末端には搬送ローラー21が設けられ、当該搬送ローラー21において搬送路H4の末端と搬送路H5の末端とが合流している。これら搬送路H3〜H5及び搬送ローラー21により、重ね合わせ処理部60が構成されている。
【0028】
重ね合わせ処理部60は、ステープラー71による綴じ処理の対象となる用紙束に後続する次の用紙束の第一枚目の用紙Sを搬送路H4に進入させ、回転を停止した搬送ローラー21に当該第一枚目の用紙Sの先端を当接させて第一枚目の用紙Sを待機させる。また、重ね合わせ処理部60は、当該用紙束の第二枚目の用紙Sを搬送路H5に進入させ、搬送ローラー21に当該第二枚目の用紙Sの先端部を当接させて第二枚目の用紙Sを待機させる。前の用紙束に対するステープラー71の綴じ処理が終了すると、重ね合わせ処理部60は、搬送ローラー21の回転を再開し、第一枚目の用紙Sと第二枚目の用紙Sとを重ね合わせて、重ね合わせ処理部60よりも用紙搬送方向の下流側に搬送する。
搬送ローラー21により搬送される用紙Sは、先端が
図1中の左方向に移動し、用紙Sの後端が搬送ローラー21から離脱したときに、傾斜して設けられた集積部70を滑落して集積部70のストッパー(図示略)により受け止められる。
【0029】
ステープラー71は、集積部70上に設定枚数の用紙Sが集積されると、集積された用紙Sの所定位置に綴じ針を打ち込む綴じ処理を行う。ステープラー71により綴じ処理がなされた用紙Sの用紙束は、ストッパー(図示略)により押し上げられて集積部70上を
図1中の左上方に移動し、排紙部80に搬送される。
【0030】
排紙部80は、重ね合わせ処理部60及びステープラー71よりも搬送方向下流側に配設され、排紙ローラー22を介して用紙Sを機外に排出する。排紙ローラー22は、一対のローラーからなり、非排紙時には離間し、排紙時には当接して用紙Sをニップするように構成されている。ステープラー71により綴じ処理がなされた用紙Sの用紙束は、集積部70から押し上げられて排紙ローラー22にニップされ、更に用紙搬送方向の下流側に搬送されて、昇降排紙皿82に排出される。昇降排紙皿82は、後処理装置FSの機外に突出して配設され、排出される用紙Sの最上面が常に一定の高さになるように上下方向に移動可能である。例えば、昇降排紙皿82は、
図1中の矢印(a)の方向に移動し、
図1中の二点鎖線で示す位置に移動することが可能である。
【0031】
搬送路H3から分岐した搬送路H6は、固定排紙皿81に用紙Sを排出する排紙路を形成している。固定排紙皿81は、搬送路H6の下流側で、後処理装置FSの機外に突出して配設されている。固定排紙皿81は、搬送路H2,H3,H6を経て搬送され排出された用紙Sを集積する。
【0032】
折り処理部50は、用紙搬入部20から下方に分岐した搬送路H1の用紙搬送方向の下流側に配設されている。折り処理部50及びその周辺構成について、
図3〜
図7を参照して以下説明する。
【0033】
図3に示すように、搬送路H1の用紙搬送方向の下流端には、ガイド101及び搬送ローラー102が設けられ、搬送路H1を
図3中の矢印(b)の方向に搬送される用紙Sはガイド101及び搬送ローラー102から中間スタックトレイ107に排出される。中間スタックトレイ107は、用紙搬送方向上流側が上部、用紙搬送方向下流側が下部となるように設けられ、上下方向に対して傾斜して配設されている。中間スタックトレイ107の下部には折り処理部50が設けられ、中間スタックトレイ107の上下中央部には、ステープラー103及び整合部材104が設けられている。ステープラー103は、中間スタックトレイ107上の用紙Sに対して綴じ針を打ち込む綴じ処理を行う。整合部材104は、用紙Sの搬送方向に直交する方向に往復移動して、用紙Sを幅方向において整合する。
【0034】
折り処理部50は、中間スタックトレイ107に集積される用紙Sに対して中折り処理、中折り・中綴じ処理又は三つ折り処理等を行う。折り処理部50は、
図3に示すように、ストッパー(支持部)51、挟持部52、駆動モーター(移動部)53及び折り部54等を具備している。
【0035】
ストッパー51は、中間スタックトレイ107に沿って
図3〜
図6中の矢印(d)の方向に移動可能に構成されており、
図5〜7に示すように、中間スタックトレイ107の面に対してその表面が略平行となるよう設けられた平面部511aと、当該平面部511aの一端(下端)部から中間スタックトレイ107の面に対して略垂直方向に立設された立設部511bを有する。ストッパー51は、搬送路H1から排出され中間スタックトレイ107上を滑落する用紙Sを、平面部511a及び立設部511bにて形成される空間内に受け止め、用紙Sの搬送方向先端部を立設部511bに突き当てて停止させる。これにより、用紙Sが搬送方向において整合され、中間スタックトレイ107とストッパー51により用紙Sが支持された状態となる。
【0036】
挟持部52は、ストッパー51に設けられ、ストッパー51に支持された用紙Sを所定の挟持力で挟持可能に構成されている。
図5は、挟持部52が用紙Sを挟持する前の状態を示し、
図6(a)は、挟持部52が用紙Sを第1挟持力(後述)で挟持した状態を示し、
図6(b)は、挟持部52が用紙Sを第2挟持力(後述)で挟持した状態を示している。
挟持部52は、
図7に示すように、用紙搬送方向に直交し且つ用紙面に平行な方向に延在する軸521に、所定間隔を空けて設けられた二つのグリッパー522を備え、軸521が軸回りに回転することで、二つのグリッパー522が
図3、
図5及び
図7中の矢印(c)の方向に回動することにより、二つのグリッパー522が用紙Sを押さえられるように構成されている。軸521には径方向に突出する突起523が設けられ、当該突起523は押さえレバー525の先端部に当接するように構成されている。押さえレバー525は、軸521に直交し且つ用紙面に平行な方向に延在する回転軸525aにより回転し、その先端部に当接した突起523を押圧する。この押さえレバー525の回転軸525aは、ソレノイド524の駆動により回転駆動される。
【0037】
ソレノイド524は、PWM(Pulse Wide Modulation:パルス幅変調)制御によりその駆動力(作動力)が制御される。
具体的に、ソレノイド524には、PWM信号生成部524a及びドライブ部524bが接続されている。
PWM信号生成部524aは、制御部90によって指定されたデューティ比に基づいてパルス信号を生成しドライブ部524bに出力する。ドライブ部524bは、PWM信号生成部524aから入力されたパルス信号の入力に基づいてソレノイド524に電流を出力する。なお、デューティ比が高いほど、電流値が高く、駆動力が強い。
【0038】
ストッパー51に設定枚数の用紙Sが集積された後、ストッパー51が駆動モーター53による移動を開始する前に、ソレノイド524に第1挟持力に相当する所定の電流が供給されると、押さえレバー525は回転軸525a回りに回転してその先端部が突起523を押圧し、これに伴う突起523の回転によって軸521が軸回りに回転する。これにより、グリッパー522が矢印(c)の方向に回動して、第1挟持力にて、ストッパー51の平面部511aとの間に用紙Sが挟持された状態となる(
図6(a)参照)。
また、ストッパー51の駆動モーター53による移動完了後、ソレノイド524に供給される電流を第2挟持力に相当する値に変化(減少)させると、押さえレバー525は回転軸525a回りに回転してその先端部が突起523から離間し、所定のバネ機構(図示略)等により軸521が軸回りに逆回転する。これにより、グリッパー522が矢印(c)の方向とは逆方向に回動して、第2挟持力にて、ストッパー51の平面部511aとの間に用紙Sが挟持された状態となる(
図6(b)参照)。
【0039】
ここで、「第1挟持力」とは、ストッパー51を折り位置まで移動させる際に、このストッパー51に支持された複数の用紙Sが、ストッパー51の平面部511aとグリッパー522の間から抜けない程度に、グリッパー522を用紙S表面に押し付けることのできる力である。
なお、「第1挟持力」は、ユーザーにより予め設定された一定値である。
【0040】
また、「第2挟持力」とは、ストッパー51に支持された複数の用紙Sのカール等を抑えられる程度に、グリッパー522を用紙S表面に当接させることのできる力であって、第1挟持力より小さいものである。
本実施形態において、この「第2挟持力」は、記憶部M(後述)に格納された条件設定テーブルT1及び第2挟持力設定テーブルT2に基づいて、用紙折り処理の度に設定される。
【0041】
駆動モーター53は、ストッパー51を中間スタックトレイ107に沿って
図3〜
図6中の矢印(d)の方向に移動させる。具体的には、折り処理部50が中折り処理又は三つ折り処理を行う場合には、駆動モーター53は、ストッパー51に設定枚数の用紙Sが集積された後、ストッパー51を折り部54が折り処理を行う位置(折り位置)まで移動させる。また、折り処理部50が中折り・中綴じ処理を行う場合には、駆動モーター53は、ストッパー51に設定枚数の用紙Sが集積された後、ストッパー51をステープラー103が綴じ処理を行う位置まで移動させ、ステープラー103による綴じ処理が終了してから、ストッパー51を折り位置まで移動させる。
【0042】
折り部54は、折り板55、折りローラー対56、及び折り板HPセンサー59等を具備している。
【0043】
折り板55は、折り位置まで移動された用紙Sに対して、用紙Sに直交する方向(略直交する方向)から用紙Sを押圧して用紙Sを折るように構成されている。折り板55は、ブラシレスモーター(図示略)により駆動され、用紙Sに対して接離自在に構成されている。折りローラー対56は、折りローラー56aと折りローラー56bとからなり、折り板55により折られた用紙Sをニップして折り板55の押圧方向に搬送するように構成されている。折り板55は、用紙Sを押圧しながら折りローラー56aと折りローラー56bとの間に進入し、用紙Sを折りローラー56aと折りローラー56bとの間に挿入する。折りローラー56a,56bは、用紙Sが挿入された状態で、回転駆動することにより用紙Sを搬送する。このようにして、折り部54は用紙Sに対して折り処理を行う。
【0044】
折り板55は、用紙Sを折りローラー56a,56bの間に挿入した後、用紙Sを押圧する方向の反対方向に移動して、折りローラー対56から離脱し、折り処理を行う前のホームポジション位置(HP位置)に復帰する。折り板HPセンサー59は、折り板55の近傍に設けられ、折り板55のHP位置を検出する。
【0045】
記憶部Mは、例えば、フラッシュメモリやハードディスクドライブ、その他の書き換え可能な記憶装置又はそれらの記憶装置の組合せ等によって構成される。
記憶部93には、例えば、条件設定テーブルT1及び第2挟持力設定テーブルT2等が格納されている。
【0046】
図8に、条件設定テーブルT1及び第2挟持力設定テーブルT2の一例を示す。
図8は、予め設定された所定条件として、「坪量」及び「枚数」に基づいて、第2の挟持力を設定する際に用いられるテーブルの例である。
【0047】
条件設定テーブルT1は、一乃至複数の項目が、それぞれの項目の分類条件と共に格納されるものである。
例えば、
図8の条件設定テーブルT1には、「坪量」の項目が、「大きい」「中間」「小さい」の3つの分類条件と共に格納されている。また、「枚数」の項目が、3つに分類された坪量毎に、「多い」「中間」「少ない」の3つの分類条件と共に格納されている。
なお、このような項目及び分類条件は、いずれもユーザーにより予め設定されるものであって、項目の種類や数、分類条件の値は、任意に設定変更可能である。
【0048】
具体的に、
図8の条件設定テーブルT1では、「坪量」は、「大きい(81g/m
2以上)」「中間(64〜80g/m
2)」「小さい(63g/m
2以下)」の3つに分類される。
また、「坪量」が「大きい(81g/m
2以上)」の場合、「枚数」は、「多い(10枚以上)」「中間(5〜9枚)」「少ない(1〜4枚)」の3つに分類される。
また、「坪量」が「中間(64〜80g/m
2)」の場合、「枚数」は、「多い(15枚以上)」「中間(7〜14枚)」「少ない(1〜6枚)」の3つに分類される。
また、「坪量」が「小さい(63g/m
2以下)」」の場合、「枚数」は、「多い(20枚以上)」「中間(11〜19枚)」「少ない(1〜10枚)」の3つに分類される。
【0049】
また、第2挟持力設定テーブルT2は、第2挟持力として設定可能な複数の異なる値の挟持力が格納されるものである。
例えば、
図8の第2挟持力設定テーブルT2には、第2挟持力として設定可能な挟持力として、「挟持力1」「挟持力2」「挟持力3」の3つの値が格納されている。
「挟持力1」は、3つの中で最も小さい(弱い)挟持力であり、「挟持力2」は、3つの中で中間の大きさの挟持力であり、「挟持力3」は、3つの中で最も大きい(強い)挟持力である。
【0050】
そして、条件設定テーブルT1と第2挟持力設定テーブルT2とは互いに紐付けされ、第2挟持力としての挟持力が設定されるようになっている。
例えば、
図8では、「枚数」が「多い」場合には、「挟持力1」が設定される。また、「枚数」が「中間」場合には、「挟持力2」が設定される。また、「枚数」が「少ない」場合には、「挟持力3」が設定される。
従って、用紙Sの束が厚いほど、第2挟持力が小さくなるように設定がなされることとなる。
【0051】
制御部90は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)91、RAM(Random Access Memory)92、ROM(Read Only Memory)93等を備えて構成される。
【0052】
CPU91は、ROM93内に記憶されたプログラムと協働し、RAM92に展開されたプログラムやデータ等に従って後処理装置FSの動作制御を行う。
RAM92は、CPU91の処理によって展開されたデータや、当該処理によって一時的に生じたデータ等を格納する。
ROM93は、CPU91によって読み出されるプログラムやデータ等を記憶する。ROM93は、プログラムやデータ等を書き換え可能な記憶装置である。
【0053】
本実施形態の制御部90は、挟持部52に用紙Sを挟持させた状態で、駆動モーター53によりストッパー51を折り位置まで移動させた後、折り部54により折り処理を実行させるものである。
このとき、制御部90は、挟持部52に第1挟持力で用紙Sを挟持させた状態で、駆動モーター53によるストッパー51の折り位置までの移動を開始させる。
また、制御部90は、ストッパー51の折り位置までの移動完了後に、挟持部52の挟持力を第1挟持力から第2挟持力に変更させる。
また、制御部90は、挟持部52に第2挟持力で用紙Sを挟持させた状態で、折り部54による折り処理を開始させる。
【0054】
また、制御部90は、挟持部52の挟持力を第1挟持力から第2挟持力に変更する際に、予め設定された所定条件(本実施形態では用紙Sの坪量及び枚数)に基づいて、第2挟持力を設定する。
具体的に、制御部90は、記憶部Mの条件設定テーブルT1及び第2挟持力設定テーブルT2を参照し、集積された用紙Sの坪量及び枚数が、「挟持力1」「挟持力2」「挟持力3」の何れに合致するかを判断し、第2挟持力を設定する。
制御部90は、第2挟持力を設定すると、その値に相当するデューティ比を指定してPWM信号生成部524aにパルス信号を生成させ、ドライブ部524bにソレノイド524に対して当該パルス信号の入力に基づく電流を供給させる。
【0055】
次に、以上のようにして構成された後処理装置FSにおいて、制御部90により行われる用紙折り制御処理の一例について、
図9を参照して以下説明する。以下に説明する用紙折り制御処理は、予め設定された所定枚数の用紙Sを一束として、一束毎に行われるものである。
【0056】
先ず、ステップS1において、制御部90は、用紙搬入部20から搬入された用紙Sのうち折り処理の対象となるものを搬送路H1に搬送し、搬送路H1の用紙搬送方向の下流端に設けられたガイド101及び搬送ローラー102を介して、中間スタックトレイ107に所定枚数の用紙Sを集積する。搬送路H1から中間スタックトレイ107に排出された用紙Sは、中間スタックトレイ107に沿って下方に滑落し、ストッパー51により受け止められ支持される。これにより、用紙Sは用紙搬送方向において整合される。
【0057】
次に、ステップS2において、制御部90は、整合部材104を用紙Sの搬送方向に直交する方向に往復移動させ、用紙Sを幅方向において整合する。
【0058】
次に、ステップS3において、制御部90は、ストッパー51に支持された用紙Sを挟持部52により第1挟持力にて挟持する。
具体的には、制御部90は、予め設定された第1挟持力に相当するデューティ比に応じたパルス信号をPWM信号生成部524aにより生成し、当該パルス信号の入力に基づく電流をドライブ部524bからソレノイド524に供給させることで、ソレノイド524を所定の作動力で作動させる。ソレノイド524の作動により、押さえレバーが突起523を押圧し、軸521を回動することにより、二つのグリッパー522により用紙Sが第1挟持力で押さえられる。
【0059】
次に、ステップS4において、制御部90は、駆動モーター53によりストッパー51を折り位置まで移動させる。
なお、本実施形態においては、この移動の間も、二つのグリッパー522が用紙Sを第1挟持力で押さえた状態が維持されている。
また、用紙Sに対し中折り・中綴じ処理を行う場合には、制御部90は、駆動モーター53によりストッパー51をステープラー103による綴じ処理を行う位置まで移動させ、ステープラー103による綴じ処理が終了した後に、駆動モーター53によりストッパー51を折り位置まで移動させる。
【0060】
次に、ステップS5において、制御部90は、第2挟持力を設定する。
具体的に、制御部90は、記憶部Mに格納された条件設定テーブルT1及び第2挟持力設定テーブルT2を参照し、所定条件(ここでは、用紙Sの坪量及び枚数)に基づいて第2挟持力を設定する。
【0061】
次に、ステップS6において、制御部90は、挟持部52の挟持力を、第1挟持力から、上記ステップS5により設定された第2挟持力に変更する。
具体的には、制御部90は、上記ステップS5により設定された第2挟持力に相当するデューティ比に応じたパルス信号をPWM信号生成部524aにより生成し、当該パルス信号の入力に基づく電流をドライブ部524bからソレノイド524に供給させることで、ソレノイド524の作動力を変更(減少)させる。すると、押さえレバー525が所定量復帰し、軸521が所定量逆方向に回動することで、二つのグリッパー522による用紙Sの挟持力が第2挟持力に変更される。
【0062】
次に、ステップS7において、制御部90は、折り板55による折り処理を実行する。 具体的には、制御部90は、折り板55を用紙Sに押し当てながら折りローラー対56に挿入し、折りローラー対56により用紙Sをニップして搬送することで、折り処理を実行する。
なお、本実施形態においては、二つのグリッパー522が用紙Sを第2挟持力で押さえた状態で、折り処理が開始される。即ち、二つのグリッパー522が用紙Sを第2挟持力で押さえた状態で、折り板55が用紙Sに当接するようになっている。
【0063】
次に、ステップS8において、制御部90は、折り処理した用紙を排紙する。
【0064】
次に、ステップS9において、制御部90は、設定された全部数の折り処理が終了したか否かを判断し、全部数の折り処理が終了していない場合(ステップS9:NO)には、前記したステップS1に戻って以降の処理を繰り返す。一方、全部数の折り処理が終了した場合(ステップS9:YES)には、本処理を終了する。
【0065】
このように、折り処理を開始する前に、集積された用紙Sの枚数及び坪量(所定条件)に基づいて、挟持力が適切な大きさに調整されることとなるため、用紙Sがばらつくことなく正確な折り処理が行われる。
【0066】
以上のように、本実施形態によれば、用紙Sを支持するストッパー51と、ストッパー51に設けられ、ストッパー51に支持された用紙Sを所定の挟持力で挟持可能な挟持部52と、ストッパー51を折り位置まで移動させる駆動モーター53と、折り位置において用紙Sを所定形状に折り畳む折り処理を行う折り部54と、挟持部52に用紙Sを挟持させた状態で、駆動モーター53によりストッパー51を折り位置まで移動させた後、折り部54により折り処理を行う制御部90と、を備え、制御部90は、挟持部52に予め設定された第1挟持力で用紙Sを挟持させた状態で、駆動モーター53によるストッパー51の折り位置までの移動を開始させ、ストッパー51の折り位置までの移動完了後に、挟持部52に第1挟持力より小さな第2挟持力で用紙Sを挟持させ、挟持部52に第2挟持力で用紙Sを挟持させた状態で、折り部54による折り処理を開始させる。
これにより、折り処理に際して、用紙Sの束を好適な挟持力で抑えることができるので、折り処理に際して折り目の位置のばらつきを低減することができる。また、ユーザーは、折り目の位置を調整するための設定入力等を行う必要がないため、折り処理におけるユーザーの負担を少ないものとすることができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、制御部90は、予め設定された所定条件に基づいて、第2挟持力を設定する。
このため、用紙Sの束ごとに第2挟持力の強弱を設定できることとなり、折り処理の際に、より適切な挟持力で用紙Sを挟持できることとなる。
【0068】
また、本実施形態によれば、制御部90は、挟持部52は、ストッパー51に支持された用紙Sの搬送方向に直交し且つ用紙面に平行な方向に延在する軸521回りに回転するグリッパー522と、グリッパー522を回転させるように作動するソレノイド524と、を備え、制御部90は、ソレノイド524に供給する電流をPWM制御することにより当該ソレノイド524の作動力を制御して、グリッパー522に第1挟持力又は第2挟持力を付与する。
このため、安価でありながら簡単な機構とすることができる。
【0069】
なお、上記実施形態においては、ストッパー51の折り位置までの移動が完了した後、挟持力を第1挟持力から第2挟持力に変更する構成を例示して説明したが、ストッパー51の折り位置までの移動中に、挟持力を第1挟持力から第2挟持力に変更する構成とすることもできる。
この場合、制御部90は、例えば、第1挟持力で用紙Sを挟持した後、条件設定テーブルT1及び第2挟持力設定テーブルT2を参照して第2挟持力を設定し、ストッパー51が折り位置へ移動している際に、徐々に或いは所定のタイミングで第1挟持力から第2挟持力に変更するなどの制御を行うこととなる。例えば、制御部90は、ソレノイド524に供給する電流値を徐々に或いは所定のタイミングで小さくし、第1挟持力から第2挟持力に挟持力を変更させる。かかる構成とした場合には、ストッパー51の折り位置への移動が完了した後、直ちに折り処理を実行することが可能となる。
【0070】
また、上記実施形態では、ソレノイド524を用いた機構を例示して説明したが、挟持部52の挟持力(グリッパー522が用紙Sを押す力)を変更できるものであれば上記機構以外の構成であっても良い。例えば、グリッパー522を回転させるためのモーターを設け、モーターの回転数を変えて挟持力を変化させる構成とすることもできる。かかる構成とした場合には、挟持力のより細かい調整が可能となる。
【0071】
また、上記実施形態では、条件設定テーブルT1及び第2挟持力設定テーブルT2を予め記憶部Mに格納し、第2挟持力の設定にあたってこれを参照する構成を例示して説明したが、用紙折り処理の度に、予め設定された所定条件に基づいて、第2挟持力を演算して算出し、設定する構成としても良い。この場合、制御部90に所定の演算を行うプログラムが格納した構成としておくのは勿論である。
【0072】
また、上記実施形態では、第2挟持力を複数の値から選択して設定する構成を例示して説明したが、第2挟持力も、第1挟持力と同様に、ただ1つの所定値として予め設定しておくことも可能である。
また、上記実施形態では、第2挟持力が3つの値から選択して設定される構成を例示して説明したが、第2挟持力を2つの値から選択することとしても良いし、4つ以上の値から選択可能としても良い。
また、第2挟持力を設定する所定条件として、モード(中折り、処理、中折り・中綴じ処理、三つ折り処理等)を用いる構成としても良い。