特許第5942824号(P5942824)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5942824
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】ガラス溶融炉
(51)【国際特許分類】
   C03B 5/00 20060101AFI20160616BHJP
   C03B 5/16 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   C03B5/00
   C03B5/16
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-265946(P2012-265946)
(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公開番号】特開2014-111511(P2014-111511A)
(43)【公開日】2014年6月19日
【審査請求日】2015年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】藤井 慎一
(72)【発明者】
【氏名】藤原 昌樹
【審査官】 増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−193907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 1/00 − 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融室と、
前記溶融室の周面に設置されたバーナーと前記バーナーに接続された配管ユニットとを有する燃焼ユニットと
を備えるガラス溶融炉であって、
前記配管ユニットは、
第1燃料を流すための第1燃料配管と、
第2燃料を流すための第2燃料配管と、
前記第1燃料配管と前記第2燃料配管との流路を切り替える切替バルブと
を含み、
前記第1燃料配管と前記第2燃料配管は前記バーナーに接続されている、ガラス溶融炉。
【請求項2】
前記配管ユニットは、前記第1燃料配管に接続されている流量計と、前記第2燃料配管に接続されている流量計とを含む、請求項1に記載のガラス溶融炉。
【請求項3】
前記配管ユニットは、前記第1燃料配管及び前記第2燃料配管に接続されている流量計を含む、請求項1に記載のガラス溶融炉。
【請求項4】
前記流量計は、
差圧伝送器と、
前記第1燃料配管の内部に設置された第1絞り機構と、
前記第1絞り機構を境にして前記第1燃料配管の上流側における前記第1燃料の圧力を前記差圧伝送器に伝導する第1上流側導圧管と、
前記第1絞り機構を境にして前記第1燃料配管の下流側における前記第1燃料の圧力を前記差圧伝送器に伝導する第1下流側導圧管と、
前記第2燃料配管の内部に設置された第2絞り機構と、
前記第2絞り機構を境にして前記第2燃料配管の上流側における前記第2燃料の圧力を前記差圧伝送器に伝導する第2上流側導圧管と、
前記第2絞り機構を境にして前記第2燃料配管の下流側における前記第2燃料の圧力を前記差圧伝送器に伝導する第2下流側導圧管と、
前記第1上流側導圧管、前記第1下流側導圧管、前記第2上流側導圧管及び前記第2下流側導圧管のそれぞれに設置された元弁と
を含む、請求項3に記載のガラス溶融炉。
【請求項5】
前記第1燃料の密度が前記第2燃料の密度より高い場合に、前記第1燃料に対する前記第1絞り機構の絞り量は前記第2燃料に対する前記第2絞り機構の絞り量より小さい、請求項4に記載のガラス溶融炉。
【請求項6】
前記第1絞り機構及び前記第2絞り機構がオリフィスプレートである、請求項4又は請求項5に記載のガラス溶融炉。
【請求項7】
前記配管ユニットは、前記バーナーに接続されている共通燃料配管を含み、
前記第1燃料配管及び前記第2燃料配管は、前記共通燃料配管を介して前記バーナーに接続される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラス溶融炉。
【請求項8】
前記配管ユニットは、燃焼用ガスを流すための燃焼用ガス配管を含み、前記燃焼用ガス配管は、前記バーナーに接続されている、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のガラス溶融炉。
【請求項9】
前記燃焼ユニットを複数備え、
前記複数の燃焼ユニットの各々に含まれた前記第1燃料配管が互いに連通し、
前記複数の燃焼ユニットの各々に含まれた前記第2燃料配管が互いに連通する、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のガラス溶融炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラス溶融炉に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス溶融炉は、ガラスの製造工程においてガラス原料の溶融作業に使用され、主に溶融室、溶融室に設置されたバーナー、バーナーに接続された燃料配管及び燃焼用ガス配管から構成される。燃料ガス及び燃焼用ガスは配管によってバーナーに送られ、バーナーにおいて燃焼して熱を発生し、溶融室内のガラス原料を溶融させる。
【0003】
ガラス溶融に使用される燃料としては、ブタン、プロパン、液化石油ガス、液化天然ガスなどがある。これらの燃料を燃焼すると、水蒸気が生成してガラスに溶存される。水分の存在は製品ガラスの特性(例えば柔らかさ、脆さ)に影響を与えるため、所望の特性を得るためにガラス原料の溶融工程において水分の量を制御することがある。
【0004】
特許文献1には、溶融槽の下流に溶融ガラスを収容する調整槽を設置し、調整槽内に水分含量の少ない雰囲気ガスを導入すると共に、調整槽を加熱することで、溶融ガラス中に溶存する水分を雰囲気ガスへ拡散させて水分濃度の制御を行う方法が開示されている。しかしながら、特許文献1に示す方法では、調整槽及び溶融ガラスの加熱手段を別途設置する必要があり、構造が複雑となる。また、加熱手段としては、溶融ガラスと反応しないように高価な白金電極を利用しているため、コストがかかるといった問題があった。
【0005】
また、燃料の種類により、生成する水蒸気の量が異なることから、溶融ガラスに溶存する水分の量が異なることも知られている。このため、使用する燃料の成分の調整によって水分濃度を制御することも行われている。例えば、水蒸気の生成量が少ない燃料を使用すれば、溶融ガラスに溶存する水分の濃度を下げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2007/108324号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のガラス溶融炉では、燃料をバーナーに供給する燃料配管は1本のみである。供給中の燃料の成分を調整する際には、溶融炉を一旦止める必要があり、生産効率が下がってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、構造が簡単であり、運転を中止することなく燃料の成分を調整できるガラス溶融炉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のガラス溶融炉は、溶融室と、前記溶融室の周面に設置されたバーナーと前記バーナーに接続された配管ユニットとを有する燃焼ユニットとを備えるガラス溶融炉であって、前記配管ユニットは、第1燃料を流すための第1燃料配管と、第2燃料を流すための第2燃料配管とを含み、前記第1燃料配管と前記第2燃料配管は前記バーナーに接続されている。
【0010】
ある実施形態において、前記配管ユニットは、前記第1燃料配管と前記第2燃料配管との流路を切り替える切替バルブを含む。
【0011】
ある実施形態において、前記配管ユニットは、前記第1燃料配管に接続されている流量計と、前記第2燃料配管に接続されている流量計とを含む。
【0012】
ある実施形態において、前記配管ユニットは、前記第1燃料配管及び前記第2燃料配管に接続されている流量計を含む。
【0013】
ある実施形態において、前記流量計は、差圧伝送器と、前記第1燃料配管の内部に設置された第1絞り機構と、前記第1絞り機構を境にして前記第1燃料配管の上流側における前記第1燃料の圧力を前記差圧伝送器に伝導する第1上流側導圧管と、前記第1絞り機構を境にして前記第1燃料配管の下流側における前記第1燃料の圧力を前記差圧伝送器に伝導する第1下流側導圧管と、前記第2燃料配管の内部に設置された第2絞り機構と、前記第2絞り機構を境にして前記第2燃料配管の上流側における前記第2燃料の圧力を前記差圧伝送器に伝導する第2上流側導圧管と、前記第2絞り機構を境にして前記第2燃料配管の下流側における前記第2燃料の圧力を前記差圧伝送器に伝導する第2下流側導圧管と、前記第1上流側導圧管、前記第1下流側導圧管、前記第2上流側導圧管及び前記第2下流側導圧管のそれぞれに設置された元弁とを含む。
【0014】
ある実施形態において、前記第1燃料の密度が前記第2燃料の密度より高い場合に、前記第1燃料に対する前記第1絞り機構の絞り量は前記第2燃料に対する前記第2絞り機構の絞り量より小さい。
【0015】
ある実施形態において、前記第1絞り機構及び前記第2絞り機構がオリフィスプレートである。
【0016】
ある実施形態において、前記配管ユニットは、前記バーナーに接続されている共通燃料配管を含み、前記第1燃料配管及び前記第2燃料配管は、前記共通燃料配管を介して前記バーナーに接続される。
【0017】
ある実施形態において、前記配管ユニットは、燃焼用ガスを流すための燃焼用ガス配管を含み、前記燃焼用ガス配管は、前記バーナーに接続されている。
【0018】
ある実施形態において、前記燃焼ユニットを複数備え、前記複数の燃焼ユニットの各々に含まれた前記第1燃料配管が互いに連通し、前記複数の燃焼ユニットの各々に含まれた前記第2燃料配管が互いに連通する。
【発明の効果】
【0019】
本発明のガラス溶融炉によれば、ガラス溶融炉の運転を中止することなく燃料の成分を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(a)及び(b)は、本発明によるガラス溶融炉の実施形態を示す模式図である。
図2】本発明によるガラス溶融炉の他の実施形態を示す模式図である。
図3】本発明によるガラス溶融炉の更なる実施形態を示す模式図である。
図4】(a)及び(b)は、本発明によるガラス溶融炉の更なる実施形態を示す模式図である。
図5】(a)及び(b)は、本発明によるガラス溶融炉の更なる実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明によるガラス溶融炉の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0022】
図1は、本発明によるガラス溶融炉10の実施形態を示す模式図である。図1(a) は本実施形態の一例を示し、図1(b)は本実施形態の他の例を示す。先ずは、図1(a)を参照して本実施形態を説明する。ガラス溶融炉10は、ガラスの製造工程においてガラスの原料を加熱して溶融させる装置であり、溶融室11と燃焼ユニット12とを備えている。
【0023】
溶融室11には、ガラス原料及び溶融ガラスを収容するための空間が設けられている。図示しないが、溶融室11の上流側には原料投入口が設けられ、下流側には取出口が設けられている。ガラス原料は原料投入口から溶融室11内へ供給され、加熱されて溶融ガラスになって取出口から排出される。また、溶融室11は複数の槽を含んでもよい。例えば、ガラス溶融炉10が連続生産を行うための溶融炉である場合、溶融室11はガラス原料を溶融する1つ以上の溶融槽と、溶融槽の下流側に配置され、溶融ガラスに対して脱泡を行う清澄槽とによって構成される。
【0024】
燃焼ユニット12は、溶融室11内に熱を供給し、熱によってガラス原料を溶融させ又は溶融ガラスを更に加熱する。燃焼ユニット12は、バーナー121と配管ユニット13とを有する。
バーナー121は、溶融室11の周面に設置されている。具体的には、溶融室11は壁部によって構成され、壁部にバーナー121が設置されている。図1(a)では、バーナー121は溶融室11の横壁部に設置されているが、横壁部以外の壁部に設置されることもある。
配管ユニット13は、バーナー121に接続されており、バーナー121に燃料を供給する。本実施形態において、配管ユニット13は、第1燃料配管131と第2燃料配管132とを含む。
【0025】
第1燃料配管131は、第1燃料を流すための配管である。本実施形態では、第1燃料配管131の一方の端部がバーナー121に直接接続されている。また、図示しないが、第1燃料配管131の他方の端部は、例えば第1燃料源に接続される。第1燃料源から供給される第1燃料は、第1燃料配管131を通じてバーナー121に送り込まれ、バーナー121において燃焼されて加熱用の熱を発生する。第1燃料としては、ブタン、プロパン、液化石油ガス、液化天然ガス、重油等の化石燃料が使用されるが、これらに限定されない。第1燃料には、燃料として使用可能なその他の気体も含まれる。
【0026】
第2燃料配管132は、第2燃料を流すための配管である。本実施形態では、第2燃料配管132の一方の端部がバーナー121に直接接続されている。また、図示しないが、第2燃料配管132の他方の端部は、例えば第2燃料源に接続される。第2燃料源から供給される第2燃料は、第2燃料配管132を通じてバーナー121に送り込まれ、バーナー121において燃焼されて加熱用の熱を発生する。第2燃料としては、液化石油ガス、液化天然ガス、ブタン、重油等の化石燃料が使用されるが、これらに限定されない。第2燃料には、燃料として使用可能なその他の気体も含まれる。
【0027】
図1(a)を参照して本実施形態の一例を説明した。本実施形態のガラス溶融炉10では、燃料をバーナー121に送るための配管が2つ設置されている。そのため、第1燃料配管131及び第2燃料配管132を通じて異なる種類の燃料をバーナー121に送ることができる。例えば、第1燃料としてブタンを第1配管131によってバーナー121に送り、第2燃料として天然ガスを第2配管132によってバーナー121に送ることができる。その結果、製品ガラスに必要な水分濃度に応じて、第1燃料及び第2燃料を選択的に供給し、又は第1燃料及び第2燃料を同時に供給することによって燃料の成分を調整することができる。本発明によるガラス溶融炉では、簡単な構造によって燃料成分の調整を可能にし、ガラス溶融炉10の運転を中止する必要がなくガラスの生産効率が向上する。
【0028】
なお、第1燃料配管131及び第2燃料配管132には、互いに異なる種類の燃料を供給することが好ましいが、同一種類の燃料を供給してもよい。この場合、一方の燃料配管に詰まりや漏れなどのトラブルが生じても、他方の配管に切り替えれば同一種類の燃料が続けて供給され、ガラス溶融炉10の運転中止を避けることができる。
【0029】
上述した本実施形態の一例において、第1燃料配管131及び第2燃料配管132はバーナー121に直接接続されていたが、本発明はこれに限定されない。第1燃料配管131及び第2燃料配管132は、その他の配管を介してバーナー121に接続されてもよい。具体的には、図1(b)に示す本実施形態の他の例のように、配管ユニット13は、更に共通燃料配管133を含む。共通燃料配管133の一端は、バーナー121に接続されている。第1燃料配管131及び第2燃料配管132は、共通燃料配管133の他端に接続されており、第1燃料配管131及び第2燃料配管132は共通燃料配管133を介してバーナー121に接続されている。この実施形態では、配管ユニット13の構成が簡略化され、ガラス溶融炉10の製造コストの削減又はメンテナンス性を向上することができる。
【0030】
図2は、本発明によるガラス溶融炉10の他の実施形態を示す模式図である。本実施形態のガラス溶融炉10では、配管ユニット13が第1燃料配管131と第2燃料配管132との流路を切り替える切替バルブ134a及び切替バルブ134bを含む点を除いて、図1(b)を参照して上述した実施形態と同様な構成を有しているため、重複の部分について説明を省略する。
【0031】
切替バルブ134aは、第1燃料配管131に設置されている。切替バルブ134aは流路の開閉を行うバルブであり、切替バルブ134aの操作により、第1燃料配管131内の第1燃料の流れを開放/閉止することができる。
切替バルブ134bは、第2燃料配管132に設置されている。切替バルブ134bは流路の開閉を行うバルブであり、切替バルブ134bの操作により、第2燃料配管132内の第2燃料の流れを開放/閉止することができる。
切替バルブ134a、切替バルブ134bとしては、ボールバルブを用い得る。また、切替バルブ134a、切替バルブ134bは、電動式、エアー駆動式又は手動式のものを使用し得るが、操作パネルから切り替え操作を行うことができるように、電動式又はエアー駆動式のバルブを用いることが好ましい。
【0032】
図2を参照して本実施形態を説明した。本実施形態のガラス溶融炉10では、配管ユニット13は第1燃料配管131と第2燃料配管132との流路を切り替える切替バルブを含んでいる。そのため、切替バルブの操作によって燃料の切り替えを制御することができる。例えば、切替バルブ134a、切替バルブ134bの操作により、第1燃料配管131の流路を開状態から閉状態に切り替えると共に第2燃料配管132の流路を閉状態から開状態に切り替えることにより、供給中の燃料を第1燃料から第2燃料に切り替えることができる。
【0033】
上述した本実施形態では、配管ユニット13は、第1燃料配管131に設置された切替バルブ134aと第2燃料配管132に設置された切替バルブ134bとを含んでいたが、本発明はこれに限定されない。例えば、配管ユニット13は、切替バルブ134a、切替バルブ134bの代わりに、3方バルブである切替バルブを1つのみ含んでもよい。3方バルブを第1燃料配管131と第2燃料配管132と共通燃料配管133との連通箇所に設置すれば、3方バルブの操作によって第1燃料配管131のみを共通燃料配管133に連通させ、又は第2燃料配管132のみを共通燃料配管133に連通させることができる。
【0034】
図3図4は本発明によるガラス溶融炉10の更なる実施形態を示す模式図である。図3は本実施形態の一例を示す。図4(a)は本実施形態の他の例を示し、図4(b)は図4(a)の一部を拡大して示す。先ずは、図3を参照して本実施形態を説明する。本実施形態のガラス溶融炉10では、配管ユニット13が流量計135a、流量計135b、切替バルブ136a、切替バルブ136b、流量制御用弁137及びバルブ138を含む点を除いて、図2を参照して上述した実施形態と同様な構成を有しているため、重複の部分について説明を省略する。
【0035】
流量計135aは、第1燃料配管131に接続されている。流量計135aは、具体的には、切替バルブ134aの上流側に位置するように第1燃料配管131に設置されている。流量計135aは、第1燃料配管131を流れる第1燃料の流量を測定する。
流量計135bは、第2燃料配管132に接続されている。流量計135bは、具体的には、切替バルブ134bの上流側に位置するように第2燃料配管132に設置されている。流量計135bは、第2燃料配管132を流れる第2燃料の流量を測定する。
流量計135a、流量計135bとしては、流体燃料の流量を測定できるものであればよく、例えば差圧式、面積式、超音波式、容積式、渦流式、タービン式、ピトー管式を用い得る。
【0036】
切替バルブ136aは、流量計135aの上流に位置するように第1燃料配管131に設置されている。切替バルブ136aは流路の開閉を行うバルブであり、切替バルブ136aの操作により、第1燃料配管131内の第1燃料の流れを開放/閉止することができる。
切替バルブ136bは、流量計135bの上流に位置するように第2燃料配管132に設置されている。切替バルブ136bは流路の開閉を行うバルブであり、切替バルブ136bの操作により、第2燃料配管132内の第2燃料の流れを開放/閉止することができる。
切替バルブ136a、切替バルブ136bは、切替バルブ134a、切替バルブ134bと同様なものを使用し得る。このように、流量計135a、流量計135bの上下流両方に切替バルブが存在するため、切替バルブの操作によって流路を閉止すれば、流量計135a、流量計135bの保守や点検を容易に行うことができる。
【0037】
流量制御用弁137は、共通配管133に設置されている。流量制御用弁137の操作により、共通配管133を流れる第1燃料又は第2燃料の流量を制御することができる。流量制御用弁137としては電動式、エアー駆動式又は手動式のものを使用し得るが、操作パネルから切り替え操作を行えるように、電動式又はエアー駆動式のバルブを用いることが好ましい。例えば流量制御用弁137は流量計135a、流量計135bに連動し、流量計135a又は流量計135bによって得た流量信号に基づいて操作される。
バルブ138は、共通配管133の下流に位置するように共通配管133に設置されている。バルブ138は流路の開閉を行うバルブである。バルブ138の操作によって共通配管133の流路を閉止すれば、流量制御用弁137の保守や点検を容易に行うことができる。
【0038】
図3を参照して本実施形態の一例を説明した。本実施形態のガラス溶融炉10によれば、配管ユニット13は流量計135a、流量計135bを含むため、第1燃料及び第2燃料の流量を測定し、測定結果に基づいて警報、制御などを行うことができる。第1燃料配管131に流量計135aが設置され、第2燃料配管132に流量計135bが設置されているため、燃料の切り替えを行った後でも流量を測定することができる。なお、本実施形態において、流量計135a及び流量計135bは必須であるものの、切替バルブ136a、切替バルブ136b、流量制御用弁137又はバルブ138は必須の構成ではなく、必ずしも設置されていなくてもよい。
【0039】
上述した本実施形態の一例では、第1燃料配管131に流量計135aが設けられ、第2燃料配管132に流量計135bが設けられていたが、本発明はこれに限定されない。図4に示す実施形態のように、配管ユニット13は、流量計135a、流量計135bの代わりに流量計14を含んでもよい。
【0040】
流量計14は、差圧式流量計である。流量計14は、第1燃料配管131と第2燃料配管132との両方に接続されている。図4(b)に示すように、流量計14は、差圧伝送器141と、第1絞り機構142と、第1上流側導圧管143a及び第1下流側導圧管143bと、第2絞り機構144と、第2上流側導圧管145a及び第2下流側導圧管145bと、元弁146とを含んでいる。
【0041】
差圧伝送器141は、第1燃料配管131において発生した第1燃料の差圧、又は第2燃料配管132において発生した第2燃料の差圧を測定し、且つ差圧を第1燃料又は第2燃料の流量信号に変換して出力する。第1燃料又は第2燃料の差圧の発生については後述する。
【0042】
第1絞り機構142は第1燃料配管131内に設置されている。具体的には、第1絞り機構142は切替バルブ134aの上流側に位置するように第1燃料配管131内に設置されている。第1絞り機構142は、第1燃料配管131の断面積を狭くし、第1燃料配管131を流れる第1燃料の流れを絞る機構である。第1絞り機構142としては、例えばオリフィスプレート、ベンチュリー、フローノズル、Vコーンなどを使用し得る。第1絞り機構142の設置により、流れが絞られた第1燃料の流速が速くなって圧力が下がり、第1絞り機構142を境にして第1燃料配管131の上流側と下流側に第1燃料の差圧が発生する。
【0043】
第1上流側導圧管143aは、第1絞り機構142の上流側を差圧伝送器141に接続し、第1下流側導圧管143bは第1絞り機構142の下流側を差圧伝送器141に接続する。第1上流側導圧管143aによって第1燃料の上流側(高圧側)の圧力が差圧伝送器141に伝達され、第1下流側導圧管143bによって第1燃料の下流側(低圧側)の圧力が差圧伝送器141に伝達される。
【0044】
第2絞り機構144は第2燃料配管132内に設置されている。具体的には、第2絞り機構144は切替バルブ134bの上流側に位置するように第2燃料配管132内に設置されている。第2絞り機構144は、第2燃料配管132の断面積を狭くし、第2燃料配管132を流れる第2燃料の流れを絞る機構である。第2絞り機構144としては、例えばオリフィスプレート、ベンチュリー、フローノズル、Vコーンなどを使用し得る。第2絞り機構144の設置により、流れが絞られた第2燃料の流速が速くなって圧力が下がり、第2絞り機構144を境にして第2絞り機構144の上流側と下流側に第2燃料の差圧が発生する。なお、第2絞り機構144は、第1絞り機構142と同様な構成であることが好ましいが、異なる構成であってもよい。
【0045】
第2上流側導圧管145aは、第2絞り機構144の上流側を差圧伝送器141に接続し、第2下流側導圧管145bは、第2絞り機構144の下流側を差圧伝送器141に接続する。第2上流側導圧管145aによって第2燃料の上流側(高圧側)の圧力が差圧伝送器141に伝達され、第2下流側導圧管145bによって第2燃料の下流側(低圧側)の圧力が差圧伝送器141に伝達される。
【0046】
元弁146は、第1上流側導圧管143a、第1下流側導圧管143b、第2上流側導圧管145a及び第2下流側導圧管145bのそれぞれに設置されている。元弁146の操作により、差圧伝送器141への第1燃料又は第2燃料の圧力の伝達を開放/閉止することができる。
【0047】
図4を参照して本実施形態を説明した。本実施形態によれば、例えば第1燃料をバーナー121に供給する場合では、第1上流側導圧管143a及び第1下流側導圧管143bに設置された元弁146を開放状態にし、第2上流側導圧管145a及び第2下流側導圧管145bに設置された元弁146を閉止状態にすれば、差圧伝送器141は第1燃料のみの差圧を測定して第1燃料の流量信号を出力する。一方、第2燃料をバーナー121に供給する場合では、第2上流側導圧管145a及び第2下流側導圧管145bに設置された元弁146を開放状態にし、第1上流側導圧管143a及び第1下流側導圧管143bに設置された元弁146を閉止状態にすれば、差圧伝送器141は第2燃料のみの差圧を測定して第2燃料の流量信号を出力する。
【0048】
このように、第1燃料の流量及び第2燃料の流量を共用の流量計14によって測定できる。その結果、複数の流量計を使用する場合に比べて、流量計にかかる費用、流量計を警報器、制御器などに接続する配線にかかる部品費用、工事費用の低減が可能になると共に、ガラス溶融炉10の構成を簡略化することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、絞り機構によって流体に差圧を発生させ、差圧の測定によって流量を求める差圧式流量計を使用している。流体に発生する差圧の大きさは、流体の密度に関係している。流体の密度が高いほど、絞り機構によって絞られた後の流体の流速が速くなり圧力が低下するため、高圧側と低圧側との差圧が大きくなり、同じ理由で、流体の密度が低いほど、高圧側と低圧側との差圧が小さくなる。このため、第1燃料及び第2燃料として異なる種類の燃料を使用する際、絞り量が等しい絞り機構を使用すると、第1燃料に発生する差圧と第2燃料に発生する差圧が異なることがある。
一方、一般に差圧伝送器では、測定可能な差圧レンジが一定の範囲内に限られている。第1燃料の差圧と第2燃料の差圧との間の差が大きく、差圧伝送器の差圧レンジを越えると、同一の差圧伝送器を用いて計測することができないことがある。このため、第1燃料及び第2燃料として異なる種類の燃料を使用する場合では、燃料の密度に応じて絞り量の異なる絞り機構を用いることによって第1燃料の差圧又は第2燃料の差圧を調整することが好ましい。
【0050】
具体的には、第1燃料の密度が第2燃料の密度より高い場合において、第1燃料に発生する差圧を小さくするように、第1燃料に対する第1絞り機構142の絞り量が第2燃料に対する第2絞り機構144の絞り量より小さい第1絞り機構142を使用する。
【0051】
図4(b)に示すように、例えば第1絞り機構142、第2絞り機構144としてオリフィスプレートを使用する場合では、第2絞り機構144の開口径より大きな開口径を有する第1絞り機構142を使用する。オリフィスプレートの開口径を大きくすることによって、第1燃料に対する絞り量を小さくすることができる。このように第1燃料に対する絞り量を小さくすることで、第1絞り機構142を通過した際の流速の上昇が比較的緩やかになるため、高圧側と低圧側の差圧が小さくなる。一方、第1燃料の密度が第2燃料の密度より低い場合では、第2絞り機構144の絞り量より大きい絞り量を有する第1絞り機構142を使用する。
【0052】
図4(b)を参照して説明したように、本実施形態よれば、燃料の密度に応じて絞り量の異なる絞り機構を用いることができる。その結果、第1燃料及び第2燃料として異なる種類の燃料を使用する場合でも、第1燃料に発生する差圧と第2燃料に発生する差圧との間の差を小さくし、共通の差圧伝送器を用いて第1燃料の流量又は第2燃料の流量を計測することが可能になる。
【0053】
図5は、本発明によるガラス溶融炉10の更なる実施形態を示す模式図である。図5(a)は本実施形態の一例を示し、図5(b)は本実施形態の他の例を示す。先ずは図5(a)を参照して本実施形態を説明する。本実施形態のガラス溶融炉10では、配管ユニット13が燃焼用ガス配管151、バルブ152a、バルブ152b、流量計153及び流量制御用弁154を含む点を除いて、図4を参照して上述した実施形態と同様な構成を有しているため、重複の部分について説明を省略する。
【0054】
燃焼用ガス配管151は、燃焼用ガスを流すための配管である。本実施形態では、燃焼用ガス配管151の一方の端部がバーナー121に直接接続されている。また、図示しないが、燃焼用ガス配管151の他方の端部は、例えば燃焼用ガス源に接続される。燃焼用ガスとしては、例えば酸素、酸素富化空気又は空気であり得る。燃焼用ガス源から供給される燃焼用ガスは、燃焼用ガス配管151を通じてバーナー121に送り込まれ、バーナー121において第1燃料及び/又は第2燃料と混合して燃焼される。
【0055】
バルブ152a、バルブ152bは燃焼用ガス配管151に設置されている。流量計153は、バルブ152aとバルブ152bとの間に位置するように燃焼用ガス配管151に接続されている。流量計153は、燃焼用ガス配管151を流れる燃焼用ガスの流量を測定する。流量制御用弁154は、バルブ152aとバルブ152bとの間に位置するように燃焼用ガス配管151に設置されている。流量制御用弁154の操作により、燃焼用ガス配管151を流れる燃焼用ガスの流量を制御することができる。
【0056】
図5を参照して本実施形態を説明した。本実施形態では、配管ユニット13は燃焼用ガス配管151を含むため、燃焼用ガス配管151によって燃焼用ガスをバーナー121に供給することができる。なお、本実施形態において、燃焼用ガス配管151は必須であるものの、バルブ152a、バルブ152b、流量計153、流量制御用弁154は必須の構成ではなく、必ずしも設置されていなくてもよい。
【0057】
上述した本実施形態の一例では、ガラス溶融炉10は燃焼ユニット12を1つのみ有していたが、本発明はこれに限定されない。図5(b)に示すように、ガラス溶融炉10は燃焼ユニット12を2つ有してもよい。この場合、2つの燃焼ユニット12の各々に含まれたバーナー121は溶融室11の壁部に設置されており、例えば溶融ガラスの流れに沿って壁部に設置される。2つの燃焼ユニット12の各々に含まれた第1燃料配管131が互いに連通し、2つの燃焼ユニット12の各々に含まれた第2燃料配管132が互いに連通している。また、2つの燃焼ユニット12の各々に含まれた燃焼ユニット12の燃焼用ガス配管151が互いに連通している。なお、2つの燃焼ユニット12を有するガラス溶融炉10を例として説明したが、ガラス溶融炉10は2つ以上の複数の燃焼ユニット12を有してもよい。
【0058】
図5(b)を用いて説明したように、本発明のガラス溶融炉10は複数の燃焼ユニット12を有してもよく、例えば溶融室11の大きさなどに応じて燃焼ユニット12の数量を選択し得る。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のガラス溶融炉によれば、ガラスの製造工程において、ガラス原料の溶融作業に好適に用いられる。本発明のガラス溶融炉を用いて溶融ガラス内の水分濃度を制御することができる。
【符号の説明】
【0060】
10 ガラス溶融炉
11 溶融室
12 燃焼ユニット
121 バーナー
13 配管ユニット
131 第1燃料配管
132 第2燃料配管
133 共通燃料配管
134a、134b 切替バルブ
135a、135b 流量計
136a、136b 切替バルブ
137 流量制御用弁
138 バルブ
14 流量計
141 差圧伝送器
142 第1絞り機構
143a、143b 第1上流側導圧管
144 第2絞り機構
145a、145b 第2上流側導圧管
146 元弁
151 燃焼用ガス配管
152a、152b バルブ
153 流量計
154 流量制御用弁
図1
図2
図3
図4
図5