特許第5942865号(P5942865)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5942865-画像形成システム 図000002
  • 特許5942865-画像形成システム 図000003
  • 特許5942865-画像形成システム 図000004
  • 特許5942865-画像形成システム 図000005
  • 特許5942865-画像形成システム 図000006
  • 特許5942865-画像形成システム 図000007
  • 特許5942865-画像形成システム 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5942865
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20160616BHJP
【FI】
   G03G15/20 510
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-8135(P2013-8135)
(22)【出願日】2013年1月21日
(65)【公開番号】特開2014-139605(P2014-139605A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2015年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原島 正治
【審査官】 中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−161347(JP,A)
【文献】 特開2012−198502(JP,A)
【文献】 特開2010−145621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に転写されたトナー画像の定着を行う定着部と、
前記定着部を通過した前記用紙を、第1ベルトと該第1ベルトに対向する第2ベルトで挟んで搬送しながら冷却する用紙冷却機構と、
前記用紙冷却機構の前記第1ベルトを駆動する駆動ローラと、
前記第2ベルトと前記第1ベルトを介して前記駆動ローラを押圧する押圧ローラと、
前記押圧ローラの押圧力を調整する圧力調整機構と、
前記用紙の種類を判断し、前記用紙の種類に応じて、前記圧力調整機構による前記押圧ローラの押圧力を制御する制御部と、を備える
画像形成システム。
【請求項2】
前記用紙冷却機構は、前記第2ベルトの内側空間であって前記第2ベルトにおける用紙搬送方向下流側に前記押圧ローラが設けられている
請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記用紙が前記駆動ローラの駆動時に基準のトルクよりも高いトルクが必要とされる用紙の場合に、前記押圧ローラの押圧力を基準よりも高い水準に設定する
請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記駆動ローラの駆動時に基準のトルクよりも高いトルクが必要とされる用紙を、少なくとも前記用紙の紙素材、紙厚、及び坪量のいずれかによって判定する
請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記定着部の定着ローラ間のニップ圧が、前記用紙冷却機構の前記駆動ローラと前記押圧ローラとのニップ圧より高い
請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記用紙冷却機構に前記用紙が通紙されないとき、前記押圧ローラの押圧力を、前記駆動ローラの駆動時に基準のトルクよりも高いトルクが必要とされる用紙に対して設定する押圧力よりも低い水準に設定する
請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記定着部を通過した前記用紙の搬送方向下流側の先端を検知する第1先端検知部と、
前記用紙冷却機構を通過した前記用紙の搬送方向下流側の先端を検知する第2先端検知部と、を備え、
前記制御部は、前記駆動ローラの駆動時に高いトルクが必要とされる用紙を前記用紙冷却機構で搬送する際に、前記第1先端検知部と前記第2先端検知部の検知結果に基づき、前記用紙の後端が前記定着部のニップ部を抜けたときから前記駆動ローラと前記押圧ローラとのニップ部を抜けるまでの間、前記押圧ローラの押圧力を基準よりも高い水準に設定する
請求項3乃至6のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記駆動ローラの駆動時に高いトルクが必要とされる用紙を前記用紙冷却機構で搬送する際に、前記用紙冷却機構の使用履歴に応じて、前記押圧ローラの押圧力を基準よりも高い水準に設定する
請求項3乃至7のいずれかに記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着部の用紙搬送方向下流で用紙を冷却する用紙冷却機構を備える画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成システムにおいて、定着部でトナー画像が定着された用紙を、ベルト挟持方式の用紙冷却機構により冷却することが行われている。ベルト挟持方式の用紙冷却機構は、上ベルトとこれに対向する下ベルトで、トナー画像が定着した用紙を挟んで搬送する。このとき、上ベルト又は下ベルトの用紙と接触する面の裏面側に金属材料で構成された冷却部材を接触させ、上ベルト又は下ベルトを通じて用紙を冷却する。
【0003】
例えば、特許文献1には、ベルト挟持方式の用紙冷却機構として、上ベルトと下ベルトのそれぞれに対応して2つの冷却部材を備える構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−112102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のベルト挟持方式の用紙冷却機構では、厚紙通紙時にベルトと用紙との接触部における摩擦力不足のため生じるスリップを防止することを目的として、ベルトを駆動する駆動ローラを、該ベルトを挟んで押圧する押圧ローラを設ける構成が採られることがある。
【0006】
図6は、従来の用紙冷却機構と定着部の概略側面図である。
ベルト挟持方式の用紙冷却機構210が、定着上ローラ201と定着下ローラ202から構成される定着部200の用紙搬送方向下流に配置されている。用紙冷却機構210は、無端状の上ベルト211と、上ベルト211を駆動させる駆動ローラ212と、従動ローラ213,214,215と、上ベルト211を冷却する冷却部材216を備えている。また、用紙冷却機構210は、上ベルト211に対向するように配置された下ベルト221を備えている。下ベルト221の内側には、押圧ローラ226が駆動ローラ212と平行に設けられている。なお、下ベルト221の内側空間には、駆動ローラ212の駆動に合わせて駆動する駆動ローラ222と、従動ローラ223,224,225が配置されている。
【0007】
用紙冷却機構210は、駆動ローラ212を回転させて上ベルト211を駆動し、定着部200から搬送された用紙を上ベルト211と下ベルト221に面接触させながら搬送する。ベルト間に用紙を挟んで搬送(ベルト搬送)する場合のベルトと用紙との間の摩擦係数は、ローラ間に用紙を挟んで用紙を搬送(ローラ搬送)する場合のベルトと用紙との摩擦係数よりも小さく、それゆえ摩擦力も小さい。したがって、厚紙通紙時のスリップの発生を防止するために、押圧ローラ226を駆動ローラ212に向かって押圧することにより、駆動ローラ212及び押圧ローラ226付近の上ベルト211と下ベルト221よるニップ部の圧力(以下、「ニップ圧」と呼称する)を、常時高く設定している。しかし、ベルト挟持方式の用紙冷却機構210は、ベルト間に用紙を挟んで搬送するという構造から紙しわが発生しやすく、ニップ圧を高めると、さらに紙しわが発生しやすくなるという問題がある。
【0008】
図7は、薄紙及び厚紙通過させる際における、ローラの適切な押圧力の範囲を示す説明図である。
図7左図に示すように、ローラ搬送の場合、ローラ同士の押圧力が高いと、薄紙通紙時に紙しわが発生しやすくなり、押圧力が低いと、厚紙通紙時にスリップが発生しやすくなる。したがって、ローラ搬送の場合、単純にローラ252の押圧力を紙しわ及びスリップが発生しない中レベル(図7左図の斜線部分)に設定すればよい。
【0009】
また、ベルト搬送すなわち用紙冷却機構210(図6)の場合、ローラ搬送の場合と同様であるが、薄紙通紙時は、ローラ搬送の場合と比較して用紙とベルトを面接触させるため、紙しわが発生しない押圧ローラ226の押圧力の上限が低くなる。
一方で、ローラ搬送の場合と比較してベルトと用紙の摩擦係数が小さいため、厚紙通紙時のスリップの発生を防止するための適切な押圧ローラ226の押圧力の下限が高くなる。
したがって、図7を見てわかるように、ベルト搬送の場合、用紙のスリップ及び紙しわの両方が発生しない範囲で押圧ローラ226の押圧力を設定できる範囲が無くなってしまう。
【0010】
上記の状況から、定着後の用紙冷却機構において、用紙のスリップ及び紙しわを発生させることなく、用紙を搬送する手法が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面の画像形成システムは、用紙に転写されたトナー画像の定着を行う定着部と、該定着部を通過した用紙を、第1ベルトと該第1ベルトに対向する第2ベルトで挟んで搬送しながら冷却する用紙冷却機構を備える。用紙冷却機構は、第1ベルトを駆動する駆動ローラと、第2ベルトと第1ベルトを介して駆動ローラを押圧する押圧ローラと、押圧ローラの押圧力を調整する圧力調整機構を備える。そして、制御部により、用紙の種類を判断し、用紙の種類に応じて、圧力調整機構による押圧ローラの押圧力を制御する。
【0012】
上記の構成によれば、用紙の種類に応じて、押圧ローラの押圧力が適切に設定されるため、用紙のスリップ及び紙しわが発生しない範囲で、駆動ローラ及び押圧ローラ付近の第1ベルトと第2ベルトのニップ圧が調整される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、定着後の用紙冷却機構において、用紙のスリップ及び紙しわを発生させることなく、用紙を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成システムの全体構成を示す概略図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る画像形成システムの用紙冷却機構を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施の形態に係る画像形成システムの用紙冷却機構を示す正面図である。
図4】本発明の一実施の形態に係る画像形成システムの各部のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】本発明の一実施の形態に係る用紙の種類と押圧ローラの押圧力の設定との関係例を示すテーブルである。
図6】従来の用紙冷却機構と定着部の概略側面図である。
図7】薄紙及び厚紙通過させる際における、ローラの適切な押圧力の範囲を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。各図において共通の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0016】
[画像形成システムの全体構成例]
図1は、本発明の一実施の形態に係る、画像形成システムの全体構成を示す概略図である。なお、図1では、画像形成システムの構成のうち、本発明の説明に必要と考える部分を抽出して記載している。
【0017】
図1に示すように、画像形成システム1は、給紙装置20と、第1本体としての画像形成装置10と、第2本体としての定着装置30を備える。
【0018】
給紙装置20は、用紙のサイズや種類に応じて複数の用紙収納部20aが設けられている。給紙装置20では、画像形成装置10からの指示に基づいて該当する用紙収納部20aが選択され、不図示の給紙部により用紙Sが取り出され、画像形成装置10の搬送路Cに送られる。
【0019】
画像形成装置10は、静電気を用いて画像の形成を行う電子写真方式を採用しており、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(Br)の4色のトナー画像を重ね合わせるタンデム形式のカラー画像形成装置である。この画像形成装置10は、例えば操作表示部105と、画像形成部5と、中間転写ベルト6と、2次転写部7を有する。
【0020】
画像形成部5は、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色のトナー画像を形成するために、4つの画像形成ユニット5Y,5M,5C,5Kを備えている。また、画像形成装置10は、用紙を搬送するための複数のローラ(搬送ローラ)11,12,13を備えている。ローラ11,12,13は、通常、ローラ対により構成される。以下に説明する各ローラについても同様の構成である。操作表示部105は、例えば画像形成処理等のジョブの開始を指示する操作部としての機能を備えている。なお、画像形成装置10は用紙収納部14を備えており、操作表示部105が用紙収納部14を選択した場合、用紙収納部14に収納された用紙が搬送路Cに送られる。
【0021】
画像形成装置10は、画像形成モードにおいて、画像形成ユニット5Y,5M,5C,5Kが有する感光体を帯電させると共に原稿画像に合わせて電荷を消去して露光し、感光体に静電潜像を形成する。そして、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの感光体の静電潜像に対し現像部を用いてトナーを付着させ、各色のトナー画像を形成する。次に、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの感光体に形成されたトナー画像を、回転する中間転写ベルト6の表面に順次、1次転写する。
【0022】
次に、2次転写部を用いて、中間転写ベルト6上の各色のトナー画像を、2次転写部7を用いて、給紙装置20から供給されてローラ11,12により搬送される用紙Sに2次転写する。画像形成装置10は、カラーのトナー画像が形成された用紙Sを、ローラ13により定着装置30へ排出する。
【0023】
定着装置30は、画像形成装置10から供給される、カラーのトナー画像が形成された用紙Sに定着処理を行う装置である。定着装置30は、例えば定着部31と、用紙冷却機構32と、第1先端検知センサ33と、第2先端検知センサ34と、排出ローラ35を備えている。
【0024】
定着装置30に設けられた定着部31は、搬送された用紙Sを加圧及び加熱して、転写されたトナー画像を用紙Sに定着させる。定着部8は、例えば、一対の定着部材である定着上ローラ201及び定着下ローラ202で構成されている。定着上ローラ201及び定着下ローラ202は、互いに圧接した状態で配置されており、定着上ローラ201と定着下ローラ202との圧接部として定着ニップ部が形成される。
【0025】
定着上ローラ201の内部には、加熱部が設けられている。この加熱部からの輻射熱により定着上ローラ201の外周部にあるローラ部が温められる。そして、定着上ローラ201のローラ部の熱が用紙へ伝達されることにより、用紙上のトナー画像が熱定着される。
【0026】
用紙Sは、2次転写部7によりトナー画像が転写された面(定着対象面)が定着上ローラ201と向き合うように搬送され、定着ニップ部を通過する。したがって、定着ニップ部を通過する用紙には、定着上ローラ201と定着下ローラ202とによる加圧と、定着上ローラ201のローラ部の熱による加熱が行われる。
【0027】
定着部31の用紙搬送方向下流には、用紙冷却機構32が配置されている。用紙冷却機構32は、定着処理後の用紙Sの冷却を行う。用紙冷却機構32は、用紙搬送方向上において定着部31の直後が望ましいがこの限りではない。用紙冷却機構32の基本構造は、図6の用紙冷却機構210と同じである。用紙冷却機構32の構造については後述する。定着部31から搬送された用紙Sは用紙冷却機構32で冷却された後、排出ローラ35によって排紙トレイ50に排出される。
【0028】
第1先端検知センサ33は、定着部31と用紙冷却機構32の間において搬送路Cと対向するように配置され、搬送された用紙Sの先端を検知する第1先端検知部としての機能を持つ。同様に、第2先端検知部としての機能を持つ第2先端検知センサ34が、用紙冷却機構32の排出側に配置されている。第1先端検知センサ33と第2先端検知センサ34は、特に用紙Sの用紙搬送方向下流側の先端(後端)の検知を行う。
【0029】
第1先端検知センサ33は定着部31の直後、第2先端検知センサ34は用紙冷却機構32の直後に配置されることが望ましい。第1先端検知センサ33と第2先端検知センサ34には、例えば発光部材と受光部材が対向配置された透過型のフォトセンサ、あるいは出射した光の物体による反射光を検出する反射型のフォトセンサなどが用いられる。
【0030】
なお、図1の画像形成システム1において、用紙の片面に画像を形成する例を示したが、用紙の両面に画像を形成し、用紙冷却機構にて当該用紙の両面を順次又は同時に冷却する構成としてもよい。
【0031】
[用紙冷却機構]
以下、本発明の一実施の形態に係る画像形成システム1の用紙冷却機構32について説明する。
図2は、用紙冷却機構32を示す斜視図である。図3は、用紙冷却機構32を示す正面図である。
【0032】
用紙冷却機構32は、無端状の上ベルト211(第1ベルトの例)と、上ベルト211を回転させる駆動ローラ212と、上ベルト211の回転に伴い回転する従動ローラ213,214,215と、上ベルト211の内側空間に配置された冷却部材216を備えている。上ベルト211は、熱伝導性に優れた材質が用いられる。駆動ローラ212及び従動ローラ213〜215は、例えばアルミニウムなどの軽金属製の中空ローラである。駆動ローラ212の周速度は搬送されてくる用紙Sの速度とほぼ同じである。冷却部材216は、金属部材が用いられ、複数の細幅溝(フィン)が形成されている。これにより、通常の箱体の表面積よりも表面積が広くなり、放熱効果が高められている。
【0033】
また、用紙冷却機構32は、上ベルト211に対向するように配置された下ベルト221(第2ベルトの例)を備えている。下ベルト221の内側には、下ベルト221を回転させる駆動ローラ222、下ベルト221の回転に伴い回転する従動ローラ223,224,225が設けられている。駆動ローラ222と従動ローラ223〜225は、駆動ローラ212及び従動ローラ213〜215と同じ構成である。駆動ローラ222の周速度は駆動ローラ212と同じである。また、下ベルト221の内側には、上ベルト211の内側において用紙搬送方向の最下流側に設けられた駆動ローラ212と対向するように、押圧ローラ226が駆動ローラ212と平行に設けられている。押圧ローラ226は、一例として所定厚の肉厚の円筒形の発泡ゴム(気泡ゴムスポンジ)で構成される。発泡ゴムには、例えばアクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)が用いられる。さらに、上ベルト211と下ベルト221の面接触領域に対応して、押圧補助ローラ227,228,229が、下ベルト221の内側に圧接している。
【0034】
このように構成された用紙冷却機構32において、上ベルト211と下ベルト221が面接触するように構成されている。駆動ローラ212が回転して上ベルト211が駆動すると従動ローラ213〜215が回転される。また、上ベルト211の駆動に合わせて駆動ローラ222が駆動することにより下ベルト221が駆動し、従動ローラ223〜225が回転される。
【0035】
用紙冷却機構32に用紙Sが送り込まれると、用紙Sは、この面接触している上ベルト211と下ベルト221の間に挟まれ、用紙Sの表面及び裏面共に上ベルト211と下ベルト221との間に生じる摩擦力を利用して搬送される。この面接触により定着部31で暖められた用紙Sの熱が上ベルト211に伝わり、冷却部材216を介して放熱される。本実施の形態では、用紙の種類に応じて、駆動ローラ212に対する押圧ローラ226の押圧力を変化させる。それにより、用紙の種類に応じて、駆動ローラ212及び押圧ローラ226付近の上ベルト211と下ベルト221よるニップ部の圧力を調整することができる。
【0036】
なお、押圧補助ローラ227,228,229は、上ベルト211と下ベルト221が撓まないようにして、上ベルト211と下ベルト221が面接触する領域のニップ圧を維持する目的で設けられる従動ローラである。なお、上ベルト211と下ベルト221の面接触している部分のニップ圧が一定以上に維持されていれば、押圧補助ローラ227,228,229は他の構成で置換してもよい、もしくはこれらの押圧補助ローラはなくてもよい。なお、定着部31のニップ圧は、用紙Sに画像を確実に定着するために、用紙冷却機構32の駆動ローラ212と押圧ローラ226とのニップ圧よりも高くなるように設定される。
【0037】
次に、押圧ローラ226の押圧力を調整する押圧力調整機構を説明する。
図3に示すように、押圧力調整機構230は主に、押圧ローラ226を軸支する可動部材231と、弾性部材233−1,233−2と、回転軸235aを中心に回転する偏心カム235と、偏心カム235を回転させる回転駆動部(不図示)から構成される。
【0038】
可動部材231は、下ベルト221の内側空間において、下ベルト221と用紙との接触面に対して垂直に配置された、押圧ローラ226を支持する主面部231aを有する。押圧ローラ226は、可動部材231の主面部231aの上部に形成された貫通孔(不図示)に軸支されている。可動部材231の下部には、弾性部材233−1,233−2の一端を掛止する孔を有する掛止部232−1,232−2が形成されている。同様にして、定着装置30本体には、弾性部材233−1,233−2の他端を掛止する孔を有する掛止部234−1,234−2が設けられている。そして、掛止部232−1,232−2と定着装置30本体に設けられた掛止部234−1,234−2との間に、弾性部材233−1,233−2がそれぞれ張架され、可動部材231を上方向へ付勢している。すなわち、弾性部材233−1,233−2は、可動部材231の主面部による押圧ローラ226の押圧力を強める方向へ付勢する。
【0039】
可動部材231は、その主面部231aの下部から側方に突出する係合突起231cを有する。係合突起231cの上端辺に相当する当接部231dには、回転駆動部(不図示)によって回転する偏心カム235が当接している。回転駆動部としては、モータと各種の機構を組み合わせたものや、エアーシリンダーなどのその他のアクチュエーターを採用することができる。可動部材231の主面部231aの中央部には、上下方向に延在するガイド孔231bが形成されているとともに、定着装置30本体に固定されたガイドピン236がガイド孔231bに挿通されている。
【0040】
偏心カム235が回転することにより、回転軸235aと可動部材231の係合突起231cの当接部231dとの距離が変化し、弾性部材233−1,233−2の付勢力に反して、押圧ローラ226を下方向すなわち駆動ローラ212がある側とは反対側へ押圧する。このとき、可動部材231は、ガイド孔231bとガイドピン236によって上下方向に案内されて移動する。可動部材231が上下方向に移動することにより、可動部材231に支持された押圧ローラ226が上下方向に移動し、可動部材231の基準位置からの移動量(押し込み量)に応じて押圧ローラ226の押圧力が変化する。この押圧ローラ226の押圧力の変化に応じて、駆動ローラ212及び押圧ローラ226付近の上ベルト211と下ベルト221によるニップ圧が変化する。
本実施の形態では、所望する押圧ローラ226の押圧力が得られるよう、可動部材231が指示された位置に移動するまで偏心カム235を回転させ、その位置で停止させる制御が行われる。
【0041】
なお、本実施の形態では、可動部材231と偏心カム235を用いて押圧ローラ226の押圧力を調整する構成としたが、この例に限られないことは勿論である。また、弾性部材233−1,233−2としてコイル状のバネを利用しているが、弾性力を有して押圧ローラの押圧力の調整に貢献する弾性部材であればよい。
【0042】
[画像形成システムの制御系の構成]
次に、画像形成システム1の制御系について、図4を参照して説明する。
図4は、画像形成システム1の制御系を示すブロック図である。
【0043】
図4に示すように、画像形成システム1は、制御部100を備えている。制御部100は、例えばCPU(中央演算処理装置)101と、CPU101が実行するプログラムやデータ等を記憶するためのROM(Read Only Memory)102と、CPU101の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)103とを有している。ROM102には、例えば各種ジョブの制御プログラムや押圧ローラ226の押圧力の設定値が登録されたテーブル等が保存されている。なお、ROM102としては、例えば、通常電気的に消去可能なプログラマブルROMが用いられる。制御部100は、各ブロックの制御すなわち装置全体の制御を行う。
【0044】
制御部100は、HDD(Hard disk drive)104、操作表示部105にそれぞれシステムバス107を介して接続されている。また、制御部100は、システムバス107を介して、画像読取部4、画像処理部106、画像形成部5、2次転写部7、及び定着部31にそれぞれ接続されている。さらに、制御部100は、システムバス107を介して、ベルト駆動機構211M、押圧力調整機構230、第1先端検知センサ33及び第2先端検知センサ34にそれぞれ接続されている。
【0045】
HDD104は、画像読取部4で読み取って得た原稿画像の画像データを記憶したり、出力済みの画像データ等を記憶したりする大容量記憶装置である。
【0046】
操作表示部105は、液晶表示装置(LCD)又は有機ELD(Electro Luminescence Display)等のディスプレイとタッチセンサ(操作部の一例)からなるタッチパネルである。この操作表示部105は、ユーザに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。さらに、操作表示部105は、複数のキーを備え、ユーザのキー操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付けて入力信号を出力する。
【0047】
画像読取部4は、制御部100により駆動制御され、原稿画像を光学的に読み取って電気信号に変換する。画像読取部4によって生成された画像データや、画像形成システム1に接続された外部装置の一例であるPC(Personal Computer)120から送信された画像データは、画像処理部106に送られ、画像処理される。画像処理部106は、受信した画像データに対してアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮等の処理を行う。
【0048】
画像形成部5は、制御部100により駆動制御され、画像処理部106によって画像処理された画像データを受け取り、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色の感光体の表面にトナー画像を形成する。
【0049】
2次転写部7は、制御部100により駆動制御され、各色の感光体の表面から中間転写ベルト6の表面へ1次転写されたトナー画像を、用紙Sに2次転写する。
【0050】
定着部31は、制御部100により駆動制御され、2次転写部7より供給されるトナー画像が形成された用紙Sに定着処理を行う。
【0051】
ベルト駆動機構211Mは、制御部100により駆動制御され、2次転写部7より供給されるトナー画像が定着された用紙Sを、上ベルト211と下ベルト221で挟んで搬送する。それにより、用紙Sの熱が上ベルト211及び冷却部材216を通じて放熱される。このベルト駆動機構211Mは、少なくとも駆動ローラ212に駆動力を伝達して回転させる回転駆動部を備える。
【0052】
押圧力調整機構230は、制御部100により駆動制御され、用紙の種類に応じて、押圧ローラ226を軸支する可動部材231の移動量を可変し、駆動ローラ212に対する押圧ローラ226の押圧力を調整する。この動作により、用紙の種類に応じて、駆動ローラ212及び押圧ローラ226付近の上ベルト211と下ベルト221のニップ圧が調整される。
【0053】
第1先端検知センサ33及び第2先端検知センサは、制御部100により駆動制御され、用紙Sの用紙搬送方向下流側の先端の検知を行い、検知結果を制御部100に出力する。
【0054】
通信部108は、外部の情報処理装置であるPC120から送信されるジョブ情報を、通信回線を介して受け取る。そして、受け取ったジョブ情報を、システムバス107を介して制御部100に送る。
【0055】
なお、本例では、外部装置としてパーソナルコンピュータ120を適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、外部装置としては、例えばファクシミリ装置等その他各種の装置を適用することができる。
【0056】
[押圧ローラの押圧力の調整]
次に、用紙冷却機構32における押圧ローラ226の押圧力の設定について説明する。
以下の説明において、用紙に画像を形成するジョブを実行することを「プリント」といい、プリントにより画像が形成される用紙の枚数を「プリント枚数」という。
【0057】
(用紙の種類に応じた押圧力設定)
まず、プリントの実行前に、予め画像形成システム1又は外部装置において、ユーザによりジョブデータの設定がされる。そして、画像形成システム1において、ジョブの実行を開始する旨の入力操作の受け付け、又は外部装置からジョブの実行を開始する旨の指令が受信され、ジョブの実行が開始される。その後、ジョブデータに基づいて、用紙に画像形成処理及び定着処理が実行され、定着処理の実行された用紙が用紙冷却機構32に搬送される。用紙冷却機構32では、用紙の種類に基づき、駆動ローラ212に対する押圧ローラ226の押圧力が調整される。押圧ローラ226の押圧力は、用紙の種類ごとに設定される。押圧力の設定値は、例えばROM102又はHDD104に格納される。
【0058】
ジョブデータはRAM103に記憶されており、ジョブデータには用紙の種類情報が含まれているものとする。種類情報は、用紙の種類(紙厚、紙素材、坪量等の種類)を示す情報である。
【0059】
前述したように、用紙とベルトとの接触する部分の摩擦係数は低いため、厚紙を一対のベルトで搬送するとき、ベルト間のニップ圧が弱いと用紙とベルトとの間の摩擦力が小さくなり、それゆえ用紙のスリップが発生しやすい。すなわち、用紙搬送時にスリップが発生しないようにするためには、上ベルト211と下ベルト221のニップ圧を高める必要がある。そして、上ベルト211及び下ベルト221と用紙との間でスリップを発生させずに用紙を搬送するには、ニップ圧を高めて用紙とベルトとの間の摩擦力を高める必要がある。そのためには、ニップ圧を高めても駆動ローラ212が回転するよう、駆動ローラ212の駆動時に高いトルクが必要とされる。つまり、スリップしやすい用紙というのは、駆動ローラ212の駆動時に高いトルクを必要とする用紙であると言い換えられる。
【0060】
厚紙は、薄紙と比較して用紙の質量や体積が大きく、該厚紙を搬送するのに必要な摩擦力が大きくなるので、ニップ圧を高める必要があり駆動ローラ212の駆動時に高いトルクが必要である。その他に、駆動ローラ212の駆動時に高いトルクを必要とする用紙として、例えば滑りやすい紙素材のもの、坪量が大きいもの等が挙げられる。例えば、こうぞ紙はスリップが発生しやすい用紙と言える。すなわち、用紙の種類に応じて、駆動ローラ212を駆動するのに高いトルクが必要とされるか否かが特定される。このため、種類情報は、駆動ローラ212の駆動時に高いトルクが必要とされる用紙であるか否かを判定し、押圧ローラ226の押圧力を最適に設定するための情報として利用できる。
【0061】
本実施の形態では、制御部100がジョブデータを取得し、プリント時の用紙の種類を判定する。用紙の種類が駆動ローラ212を駆動するのに高いトルクが必要とされる厚紙である場合、ROM102から用紙冷却機構32の押圧ローラ226の押圧力の設定値を読み出す。このとき読み出した押圧ローラ226の押圧力の設定値は、駆動ローラ212を駆動するのに高いトルクが必要とされない用紙に対する基準の値よりも高い水準の値である。そして、押圧力調整機構230が、この読み出した設定値に基づいて駆動ローラ212に対する押圧ローラ226の押圧力を調整し、駆動ローラ212及び押圧ローラ226付近の上ベルト211と下ベルト221のニップ圧を高める。同様に、用紙の紙素材が滑りやすいものであるとき、あるいは坪量が大きいものであるときは、駆動ローラ212の駆動時に高いトルクを必要とする用紙であるから、押圧ローラ226の押圧力を基準よりも高い水準に設定する。以下では、駆動ローラ212の駆動時に高いトルクを必要とする用紙として、厚紙を例に説明するが、紙素材、坪量でも同様の考え方である。
【0062】
また用紙が厚紙でなく薄紙のとき、用紙の紙素材が滑りやすいものではないとき、あるいは坪量が小さいときは、予め設定した標準の押圧力に設定する。なお、種類情報は、例示した紙厚、紙素材又は坪量に限られない。
【0063】
このように、用紙の種類に応じて、押圧ローラ226の押圧力を適切に設定することにより、用紙のスリップ及び紙しわが発生しない範囲で、駆動ローラ212及び押圧ローラ226付近の上ベルト211と下ベルト221のニップ圧を調整することができる。
【0064】
(待機時の押圧力設定)
駆動ローラ212に対する押圧ローラ226の押圧力が大きい状態が、長時間続くことは、寿命(耐久性)の観点から好ましくない。そのため、プリント実行時以外の待機時は、押圧ローラ226の押圧力は小さい方がよい。したがって、制御部100は、用紙冷却機構32に用紙Sが通紙されないときは、押圧ローラ226の押圧力を低い水準に設定する。
【0065】
このように押圧ローラ226の押圧力を設定することにより、押圧ローラ226の変形を防止したり、冷却部材216と上ベルト211の間の摩擦力を軽減したりする効果を期待できる。
【0066】
(定着部でニップしていないときの押圧力設定)
用紙Sとして厚紙を用紙冷却機構32に通紙時、厚紙を上ベルト211と下ベルト221で挟み、かつ定着部31でも挟んでいるときは、定着部31でのグリップ力(定着ローラ間の摩擦力)が高いため、厚紙はスリップしないから、押圧ローラ226の押圧力は小さくてよい。そこで、制御部100は、搬送される厚紙の後端が定着部31のニップ部を抜ける直前に、押圧ローラ226の押圧力を基準よりも高い水準に設定する。すなわち、厚紙を用紙冷却機構32に通紙する時、厚紙の後端が定着部31のニップ部を抜けたときから駆動ローラ212と押圧ローラ226とのニップ部を抜けるまでの間(図1の区間L)、押圧ローラ226の押圧力を基準よりも高い水準に設定する。
【0067】
制御部100は、厚紙の後端が定着部31のニップ部を抜けたことを、第1先端検知センサ33の検知結果から判定する。同様に、厚紙の後端が用紙冷却機構32のニップ部を抜けたことを、第2先端検知センサ34の検知結果から判定する。
【0068】
このように押圧ローラ226の押圧力を設定することにより、用紙のスリップ及び紙しわの発生を防止するのに必要な区間だけ、押圧ローラ226の押圧力が基準よりも高い水準に設定される。それによって、押圧する時間を必要最小限に抑えつつ、押圧ローラ226の変形を防止したり、冷却部材216と上ベルト211の間の摩擦力を軽減したりする効果を期待できる。
【0069】
(使用履歴に応じた押圧力設定)
用紙冷却機構32の使用時間が長くなると、冷却部材216と上ベルト211との摩擦により発生した上ベルト211の摩耗粉が、駆動ローラ212に付着する。駆動ローラ212に付着する摩耗粉が多くなると、駆動ローラ212と上ベルト211の間に入り込み、駆動ローラ212と上ベルト211との間の摩擦力が低下するために、用紙のスリップが発生しやすくなる。そこで、制御部100は、用紙Sとして厚紙を用紙冷却機構32に通紙する時、用紙冷却機構32の使用履歴に応じて、押圧ローラ226の押圧力を厚紙通紙時の通常の設定値よりさらに高い水準に設定する。使用履歴としては、一例として通算プリント枚数の情報を利用できる。通算プリント枚数の情報は、ROM102に記録されている。
【0070】
このように、経年変化による駆動ローラ212と上ベルト211との間の摩擦力の低下に応じて、押圧ローラ226の押圧力が設定される。それにより、用紙冷却機構32を長時間使用した後でも、紙しわの発生を防止しつつ、用紙のスリップを防止することができる。
【0071】
[押圧力設定の具体例]
以下、上述した押圧ローラ226の押圧力の設定指針に基づく設定値の一例を説明する。
図5は、本発明の一実施の形態に係る用紙の種類と押圧ローラ226の押圧力の設定との関係例を示すテーブルである。このテーブルは、薄紙と厚紙のそれぞれについて押圧ローラ226の押圧力を設定した場合の一例である。
【0072】
図5では、用紙冷却機構32に搬送される用紙が薄紙の場合、上記の設定指針に基づいて、待機時の押圧力が弱に設定されている。また、ROM102に記録された通算プリント枚数が所定プリント枚数を超えるか否かにかかわらず、押圧力が弱に設定されている。
【0073】
制御部100は、ジョブデータから薄紙を用いるプリントであると判定した場合、ROM102より図5のテーブルの設定情報を読み出し、読み出したテーブルの設定情報に基づいて、押圧ローラ226の押圧力を設定する。制御部100は、設定に基づく制御信号を押圧力調整機構230に供給し、駆動ローラ212及び押圧ローラ226付近の上ベルト211と下ベルト221によるニップ圧を調整する。
【0074】
図5では、用紙冷却機構32に搬送される用紙が厚紙の場合、上記の設定指針に基づいて、待機時の押圧力が弱に設定されている。また、ROM102に記録された通算プリント枚数に基づく押圧力を、用紙の後端が定着部31を通過したか否かに応じて設定している。テーブル中の“/”の左側は用紙の後端が定着部31を通過していないときの設定、“/”の右側は用紙の後端が定着部31を通過した後の設定を表している。すなわち、厚紙を通紙する時、通算プリント枚数が所定プリント枚数未満であって、かつ用紙の後端が定着部31を通過していないときは押圧力が弱に設定され、用紙の後端が定着部31を通過した後の押圧力は中に設定されている。
また、厚紙を通紙する時、通算プリント枚数が所定プリント枚数以上であって、かつ用紙の後端が定着部31を通過していないときは押圧力が弱に設定され、用紙の後端が定着部31を通過した後の押圧力は強に設定されている。
【0075】
図5の例では、押圧ローラ226の押圧力が、用紙の種類だけでなく、待機時、通算プリント枚数及び用紙の搬送位置の項目ごとに設定されている。したがって、これらの設定情報を用いることにより、画像形成システム1(用紙冷却機構32)の状態に合わせて、押圧ローラ226の押圧力をきめ細かく調整することができる。
【0076】
制御部100は、ジョブデータから厚紙を用いるプリントであると判定した場合、ROM102より通算プリント枚数と図5のテーブルの設定情報を読み出す。そして、読み出したテーブルの設定情報に基づいて、通算プリント枚数と用紙の搬送位置ごとに押圧ローラ226の押圧力を設定する。制御部100は、設定に基づく制御信号を押圧力調整機構230に供給し、駆動ローラ212及び押圧ローラ226付近の上ベルト211と下ベルト221によるニップ圧を調整する。
【0077】
なお、図5の例では、用紙の種類として紙厚で設定を区別したが、紙素材、坪量でも同様である。また、所定プリント枚数のしきい値が1つであるが、このしきい値を2つ以上設定し、通算プリント枚数に応じて押圧ローラ226の押圧力を多段階に設定してもよい。
【0078】
このように、用紙の種類、さらには通算プリント枚数と用紙の搬送位置を考慮することにより、押圧ローラ226の押圧力をより適切に設定することができる。したがって、駆動ローラ212及び押圧ローラ226付近の上ベルト211と下ベルト221のニップ圧をより適切に調整することができるので、用紙のスリップ及び紙しわをさらに防止することができる。
【0079】
なお、本発明は上記の実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
例えば、上記した実施の形態例は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施の形態例の構成の一部について、他の構成を追加・置換、削除をすることが可能である。
【0080】
また、上記の実施の形態では、第1先端検知センサ33と第2先端検知センサ34を用いた構成を例示したが、第1先端検知センサ33だけを用いることも可能である。例えば、第1先端検知センサ33の検知結果より用紙の後端が定着部31を通過した時刻がわかるので、この時刻からの経過時間と用紙の搬送速度に基づいて用紙の後端の移動距離を計算する。そして、その移動距離から推定される用紙の搬送位置に応じて、押圧ローラ226の押圧力を設定するようにしてもよい。
【0081】
また、上記の実施の形態では、静電気を用いて画像の形成を行う電子写真方式の画像形成システム1について説明したが、この適用例に限られるものではない。例えばレーザーを感光に利用するレーザープリンタなど、定着部及びベルト挟持方式の用紙冷却機構を備える画像形成システムに適用することができる。
【0082】
また、上記の実施の形態では、画像形成システム1が、画像形成装置10と別体で給紙装置20と定着装置30を備えた構成、いわゆるプロダクションプリント機を例示したが、この例に限られない。例えば、画像形成装置10が定着装置30の機能を備える構成でもよいし、または画像形成装置10が定着装置30と給紙装置20の機能を備える構成としてもよい。
【0083】
また、本発明は、定着部及びベルト挟持方式の用紙冷却機構を備えるプリンタ装置、複写機、ファクシミリ装置、印刷機、複合機などにも適用可能である。
【0084】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行するためのソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、光ディスク等の記録媒体に保持することができる。
【0085】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【符号の説明】
【0086】
1…画像形成システム、 5…画像形成部、 5Y,5M,5C,5K…画像形成ユニット、 6…転写ベルト、 7…2次転写ローラ、 10…画像形成装置、 30…定着装置、 31…定着部、 32…用紙冷却機構、 33…第1先端検知センサ、 34…第2先端検知センサ、 100…制御部、 201…定着上ローラ、 202…定着下ローラ、 211…上ベルト(第1ベルト)、 211M…ベルト駆動機構、 212〜215…駆動ローラ、 216…冷却部材、 221…下ベルト(第2ベルト)、 222〜225…従動ローラ、 226…押圧ローラ、 230…押圧ローラ圧力調整機構、 231…可動部材、 231a…主面部、 231b…ガイド孔、 231c…係合突起、 231d…当接部、 232−1〜2…掛止部、 233−1〜2…弾性部材、 234−1〜2…掛止部、 235…偏心カム、 235a…回転軸、236…ガイドピン
図4
図5
図7
図1
図2
図3
図6