(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、保護シートが、ワイヤハーネスにおける比較的長い保護領域に対して多重に巻き付けられる場合がある。この場合、保護シートをワイヤハーネスの保護領域全体に均一に巻き付けることが難しい。
【0005】
例えば、1枚の矩形状の保護シートがワイヤハーネスにおける比較的長い領域に巻き付けられる場合、保護シートがねじれてしまい、電線の長手方向において、保護シートの巻き数のばらつきが生じやすい。また、ワイヤハーネスの周方向における保護シートの層の厚みのばらつきも生じやすい。
【0006】
さらに、保護シートが、例えば不織布のように伸縮性を有する部材である場合、保護シートが部分的に大きく伸びてしまうことにより、ワイヤハーネスの長手方向における保護シートの巻き数のばらつき及びワイヤハーネスの周方向における保護シートの層の厚みのばらつきがより顕著となる。
【0007】
本発明は、保護シートをワイヤハーネスに均一に巻き付けることを容易にするワイヤハーネス保護シート巻き機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様に係るワイヤハーネス保護シート巻き機は、以下に示される各構成要素を備える。
(1)第1の構成要素は、環状のシート材からなる無端ベルトである。
(2)第2の構成要素は、前記無端ベルトをたるんだ状態で内側から支持する一対のローラである。これら一対のローラは、それぞれ平行な回転中心線の周りに回転可能に支持された第一ローラ及び第二ローラからなる。
(3)第3の構成要素は、前記一対のローラを位置決めするローラ位置決め機構である。このローラ位置決め機構は、前記無端ベルトにおける前記第一ローラ及び前記第二ローラの各々に支持されている第一被支持部及び第二被支持部の間隔が第一の間隔及びそれより離れた第二の間隔の各々となるときの近接位置及び離隔位置の各々に、前記一対のローラを位置決めする。
(4)第4の構成要素は、ワイヤハーネスに巻き付けられる保護シートを所定の位置へ導く保護シート案内部である。この保護シート案内部は、前記保護シートを、前記近接位置にある前記一対のローラに支持された前記無端ベルトにおける前記第一被支持部及び前記第二被支持部の間へ導く。
(5)第5の構成要素は、前記一対のローラの少なくとも一方を回転させるローラ回転機構である。
【0009】
本発明の第2実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機は、第1実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機の一態様である。第2実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機は、さらに以下に示される各構成要素を備える。
(6)第6の構成要素は、前記一対のローラ各々の回転中心線に平行な直線の周りに回転可能に支持されたワイヤハーネス保持部である。このワイヤハーネス保持部は、前記無端ベルトにおける前記第一被支持部及び前記第二被支持部の間の中間垂れ部に支持されたワイヤハーネスにおける前記中間垂れ部からはみ出した部分を保持する。
(7)第7の構成要素は、前記ローラ回転機構によるローラの回転に連動させて前記ワイヤハーネス保持部をローラの回転方向に対し反対方向へ回転させる保持部回転機構である。
【0010】
本発明の第3実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機は、第2実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機の一態様である。第3実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機において、前記ワイヤハーネス保持部は、ワイヤハーネスの一部を収容するケースを有する第一ワイヤハーネス保持部を含む。
【0011】
本発明の第4実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機は、第2実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機の一態様である。第4実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機において、前記ワイヤハーネス保持部は、ワイヤハーネスの端部を位置決めするワイヤハーネス位置決め部を有する第二ワイヤハーネス保持部を含む。
【0012】
本発明の第5実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機は、第1実施形態から第4態様のいずれかに係るワイヤハーネス保護シート巻き機の一態様である。第5実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機において、前記保護シート案内部は、シート支え部及びシート規制部を含む。上記シート支え部は、前記一対のローラの上方において斜め下方から前記保護シートを支え、斜め上方から前記無端ベルトにおける前記第一被支持部及び前記第二被支持部の間へ前記保護シートを滑落させる。上記シート規制部は、前記シート支え部に対し前記保護シートが通る隙間を隔てて配置され、前記シート支え部からの前記保護シートの浮き上がりを制限する。
【0013】
本発明の第6実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機は、第1実施形態から第5態様のいずれかに係るワイヤハーネス保護シート巻き機の一態様である。第6実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機において、前記ローラ回転機構は、前記無端ベルトの前記中間垂れ部を前記第一被支持部の位置へ引き上げる方向へ前記第一ローラを回転させる。さらに、前記ローラ回転機構は、それと並行して、前記無端ベルトの前記第二被支持部を前記中間垂れ部の位置へ繰り出す方向へ、かつ、前記第一ローラの周速度に対し1より大きな周速度比で、前記第二ローラを回転させる。
【0014】
本発明の第7実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機は、第1実施形態から第6態様のいずれかに係るワイヤハーネス保護シート巻き機の一態様である。第7実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機において、前記無端ベルトの内側面と前記一対のローラ各々の外周面とに相互に噛み合う凹凸が形成されている。
【0015】
本発明の第8実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機は、第7実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機の一態様である。第8実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機は、上記無端ベルトにおける上記一対のローラの一方の外側から下方を経て他方の外側へ亘る外側亘り部に、上記一対のローラから遠ざかる方向へ弾性力を加える弾性力付加機構をさらに備える。
【発明の効果】
【0016】
上記の各態様に係るワイヤハーネス保護シート巻き機を用いた保護シートの巻き付け工程は、以下に示される手順で行われる。まず、一対のローラが離隔位置に位置する状態で、ワイヤハーネスの保護領域が、一対のローラに支持された無端ベルトの中間垂れ部上に載置される。中間垂れ部は、無端ベルトにおける一対のローラ各々に支持されている部分(第一被支持部及び第二被支持部)の間の部分である。
【0017】
さらに、保護シートが保護シート案内部にセットされ、保護シート案内部は、保護シートを無端ベルトの第一被支持部及び第二被支持部の間へ導く。続いて、一対のローラがローラ位置決め機構によって近接位置に位置決めされる。
【0018】
次に、一対のローラの少なくとも一方が、ローラ回転機構によって回転駆動される。これにより、ワイヤハーネスを支持する無端ベルトは、たるんだ状態のまま回動する。また、無端ベルトが回動することにより、ワイヤハーネスは、無端ベルトの中間垂れ部上において、一対のローラの回転方向に対し反対方向へ回転する。さらに、保護シートは、回動する無端ベルトに連れられ、無端ベルトの中間垂れ部に沿って湾曲しながら移動する。これにより、保護シートが、中間垂れ部上で回転するワイヤハーネスの周囲に巻き付く。
【0019】
以上に示したように、上記の各態様に係るワイヤハーネス保護シート巻き機が用いられれば、ローラ回転機構によって一対のローラを回転させるというごく簡易な工程が行われるだけで、無端ベルトから保護シートへの巻き付け力が、無端ベルトの長手方向全体に亘る範囲において均一に作用する。しかも、予め保護シートの先端部をワイヤハーネスの保護領域に粘着テープなどで留める作業も不要である。従って、容易に保護シートをワイヤハーネスの保護領域全体に均一に巻き付けることが可能となる。
【0020】
また、本発明が、不織布のように伸縮性を有する保護シートの巻き付けに適用されれば、保護シートの巻き付けの均一化の効果がより顕著となる。
【0021】
また、第2態様においては、ワイヤハーネス保持部が、ワイヤハーネスにおける無端ベルトの中間垂れ部からはみ出した部分を保持するとともに、ローラの回転に連動して回転する。そのため、ワイヤハーネスにおける無端ベルトからはみ出した部分が長い場合であっても、ワイヤハーネスが過剰にねじれて破損することが防がれる。
【0022】
また、第3態様において、第一ワイヤハーネス保持部は、ワイヤハーネスにおける無端ベルトからはみ出した部分をケース内に収容することによって保持する。そのため、ワイヤハーネスにおける無端ベルトからはみ出した部分が長い場合であっても、はみ出し部分を第一ワイヤハーネス保持部に保持させることが容易である。
【0023】
また、第4態様においては、ワイヤハーネスの端部が、第二ワイヤハーネス保持部におけるワイヤハーネス位置決め部で位置決めされる。ここで、ワイヤハーネス位置決め部から無端ベルトの中間垂れ部までの距離は、ワイヤハーネスにおける端部から保護領域までの距離と一致するように予め調節される。従って、ワイヤハーネスの保護領域を無端ベルトの中間垂れ部上に位置合わせすることが容易となる。
【0024】
また、第5態様において、シート支え部が、保護シートを斜め上方から無端ベルトの中間垂れ部への入口へ滑落させ、シート規制部が、シート支え部からの保護シートの浮き上がりを制限する。これにより、保護シートは円滑に無端ベルトの中間垂れ部への入口へ導かれる。
【0025】
ところで、保護シートは、ワイヤハーネスに密接して巻き付けられることが望ましい場合が多い。保護シートをワイヤハーネスに密接させて巻き付けるためには、無端ベルトの中間垂れ部とワイヤハーネスの周囲に巻き付いた保護シートとの隙間が小さい状態が維持されることが望ましい。また、ワイヤハーネスに対する保護シートの巻き付け工程が進行するほど、無端ベルトの中間垂れ部上において、ワイヤハーネスの周囲に巻き付いた保護シートの厚みが大きくなる。
【0026】
第6態様において、ローラ回転機構は、無端ベルトの第二被支持部を中間垂れ部へ繰り出す第二ローラの周速度が、無端ベルトの中間垂れ部を第一被支持部の位置へ引き上げる第一ローラの周速度よりも速くなるように、一対のローラを並行して回転させる。これにより、保護シートの巻き付け工程が進行するほど、即ち、ワイヤハーネスの周囲に巻き付いた保護シートの厚みが大きくなるほど、無端ベルトの中間垂れ部を徐々に長くすることが可能となる。この場合、無端ベルトの中間垂れ部とワイヤハーネスの周囲に巻き付いた保護シートとの隙間が小さい状態が維持される。その結果、保護シートをワイヤハーネスに密接させて巻き付けることが可能となる。
【0027】
第7態様において、無端ベルトの内側面の凹凸と一対のローラ各々の外周面の凹凸とが相互に噛み合う。この場合、無端ベルトが一対のローラ各々の外周面で滑ることが防止される。そのため、一対のローラの回転の制御によって無端ベルトの回動を誤差無く制御することができる。その結果、保護シートの巻き付き状態のばらつきが小さくなり、保護シート付きワイヤハーネスの品質が安定する。
【0028】
また、第8態様において、無端ベルトは、一対のローラの一方の外側から下方を経て他方の外側へ亘る外側亘り部において、一対のローラから遠ざかる方向へ弾性力が加えられる。これにより、無端ベルトが一対のローラから浮き上がることが防止され、無端ベルトの内側面の凹凸と一対のローラ各々の外周面の凹凸とが相互に噛み合う状態が維持される。その結果、無端ベルトが一対のローラ各々の外周面で滑ることがより確実に防止される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
【0031】
まず、
図1,2を参照しつつ本発明の実施形態に係るワイヤハーネス保護シート巻き機10の概略構成について説明する。ワイヤハーネス保護シート巻き機10は、車両に搭載されるワイヤハーネス9の製造工程の一部の工程である保護シート8の巻き付け工程で用いられる装置である。
【0032】
ワイヤハーネス保護シート巻き機10は、無端ベルト1、第一ローラ21及び第二ローラ22からなる一対のローラ2、ローラ位置決め機構3、保護シート案内部4、ローラ回転機構5、第一ワイヤハーネス保持部61、第二ワイヤハーネス保持部62、第一保持部回転機構71及び第二保持部回転機構72を備えている。
【0033】
ワイヤハーネス9に巻き付けられる保護シート8は、ワイヤハーネス9が備える1本の電線もしくは複数本の電線の束における予め定められた保護領域91に巻き付けられるシート状の部材である。
【0034】
保護シート8は、例えば、合成樹脂の不織布、発泡成形された合成樹脂からなるシート状の部材又は紫外線硬化樹脂からなるシート状の部材などである。
図2に示される例では、保護シート8は、広げた状態において矩形状に形成されている。しかしながら、保護シート8の形状は、必ずしも矩形状であるとは限らない。
【0035】
以下の説明において、保護シート8におけるワイヤハーネス9に対して最初に巻かれる側の縁部のことを第一縁部81と称し、保護シート8における第一縁部81に対して反対側の縁部、即ち、ワイヤハーネス9の周囲に最後に巻かれる終端側の縁部のことを第二縁部82と称する。さらに、保護シート8の四方の縁部のうち、第一縁部81及び第二縁部82以外を第三縁部83及び第四縁部84と称する。
【0036】
<無端ベルト>
無端ベルト1は、柔軟性を有する環状のシート材からなる。例えば、無端ベルト1は、エラストマーなどの弾性部材からなる。無端ベルト1の中空部の延伸方向が無端ベルト1の長手方向である。
【0037】
<ローラ>
一対のローラ2は、無端ベルト1の中空部に通されており、無端ベルト1をたるんだ状態で内側から支持している。これら一対のローラ2は、それぞれ平行な回転中心線の周りに回転可能に支持された第一ローラ21及び第二ローラ22からなる。
【0038】
各図に示される座標軸において、X軸方向は、一対のローラ2各々の回転中心線に平行な方向である。一対のローラ2各々の回転中心線は水平面内の直線である。Y軸方向は、水平面内においてX軸方向に直交する方向である。また、Z軸方向は鉛直方向である。
【0039】
本実施形態において、第一ローラ21及び第二ローラ22における無端ベルト1を支持する部分の外周面は円筒状である。しかしながら、第一ローラ21及び第二ローラ22における無端ベルト1を支持する部分の外周面が正多角形状であることも考えられる。但し、第一ローラ21及び第二ローラ22の外周面が正多角形状である場合、その正多角形の角の数が多いことが望ましい。
【0040】
また、本実施形態においては、第一ローラ21及び第二ローラ22の太さ及び長さは同じである。しかしながら、第一ローラ21及び第二ローラ22の太さ及び長さが同じであることは必須ではない。
【0041】
第一ローラ21及び第二ローラ22は、例えば、筒状の金属部材又は筒状の合成樹脂部材であることが考えられる。
【0042】
以下の説明において、無端ベルト1における第一ローラ21に支持されている部分のことを第一被支持部11と称し、無端ベルト1における第二ローラ22に支持されている部分のことを第二被支持部12と称する。
【0043】
また、無端ベルト1おける第一被支持部11と第二被支持部12との間の部分、即ち、一対のローラ2の間において湾曲して垂れ下がっている部分のことを中間垂れ部13と称する。さらに、一対のローラ2によって支持された無端ベルト1の第一被支持部11と第二被支持部12との間の隙間(開口)のことを垂れ部入口130と称する。
【0044】
<ローラ位置決め機構>
ローラ位置決め機構3は、一対のローラ2を位置決めする機構である。ローラ位置決め機構3は、無端ベルト1における第一被支持部11及び第二被支持部12の間隔が第一の間隔及びそれより離れた第二の間隔の各々となるときの近接位置及び離隔位置の各々に、一対のローラ2を位置決めする。
【0045】
無端ベルト1における第一被支持部11及び第二被支持部12の間隔は、垂れ部入口130の縦方向の幅である。
【0046】
図1に示される例では、ローラ位置決め機構3は、第一ローラ支持部31と、第二ローラ支持部32と、支持部スライド機構33と、ロック機構34とを含む。第一ローラ支持部31は、第一ローラ21を回転可能に支持する。第二ローラ支持部32は、第二ローラ22を回転可能に支持する。
【0047】
支持部スライド機構33は、第一ローラ支持部31をY軸方向に沿って移動可能に支持する機構である。なお、第二ローラ支持部32は固定されている。
【0048】
ロック機構34は、操作部に対してなされる操作に応じて、支持部スライド機構33上での第一ローラ支持部31の移動を制限するロック状態とその制限を解除するロック解除状態とに選択的に切り替わる機構である。ロック機構34が第一ローラ支持部31の移動を制限することにより、第一ローラ支持部31は固定される。
【0049】
図1において、近接位置にある一対のローラ2が実線で示されており、一対のローラ2が離隔位置にあるときの第一ローラ支持部31及びロック機構34が仮想線(二点鎖線)で示されている。
【0050】
なお、第一ローラ支持部31及び第二ローラ支持部32の固定及び移動の関係が逆であってもよい。また、第一ローラ支持部31及び第二ローラ支持部32の両方を同時に反対方向へ移動させるスライド機構及びその移動を制限するロック機構が、ローラ位置決め機構3として設けられることも考えられる。
【0051】
一対のローラ2の近接位置は、垂れ部入口130縦方向の幅が保護シート8の厚みに応じた適切な幅となるように設定される。
【0052】
<保護シート案内部>
保護シート案内部4は、ワイヤハーネス9の保護領域91に巻き付けられる保護シート8を所定の位置へ導く部分である。この保護シート案内部4は、保護シート8を、近接位置にある一対のローラ2に支持された無端ベルト1における中間垂れ部13の入口(垂れ部入口130)へ導く。
【0053】
本実施形態においては、保護シート案内部4は、シート支え部41及びシート規制部42を含む。シート支え部41は、一対のローラ2の上方において斜め下方から保護シート8を支える。そして、シート支え部41、斜め上方から無端ベルト1における中間垂れ部13の入口(垂れ部入口130)へ保護シート8を滑落させる。
【0054】
一方、シート規制部42は、シート支え部41に対し保護シート8が通る隙間を隔てて配置されている。シート規制部42は、シート支え部41からの保護シート8の浮き上がりを制限する。保護シート8は、シート支え部41側の反対側へ倒れたり折れ曲がったりすることによってシート支え部41から浮き上がろうとするが、シート規制部42はその
浮き上がりを阻止する。
【0055】
図2に示されるように、保護シート8におけるシート支え部41で支えられる側の面に対し反対側の面には、接着層80が形成される。この場合、接着層80がシート規制部42に接触し、保護シート8がシート規制部42に引っ掛かる恐れがある。
【0056】
本実施形態におけるシート規制部42は、保護シート8に対する接触面積及び摩擦係数を小さくするため、細い棒状に形成されている。これにより、保護シート8がシート規制部42に引っ掛かりにくくなる。また、下方へ移動中の保護シート8と接触したときに回転するコロが、シート規制部42に設けられることも考えられる。これにより、シート規制部42への保護シート8の引っ掛かりがより確実に防止される。
【0057】
本実施形態においては、シート支え部41は、鉛直方向に対して傾斜して配置された板状の部材である。また、シート支え部41の幅方向の両側の縁部411は、保護シート8の第三縁部83及び第四縁部84に対向する壁を形成している。シート支え部41の両側の縁部411は、保護シート8位置ずれを防止する。
【0058】
また、シート支え部41は第二ローラ支持部32に支持されており、シート規制部42は第一ローラ支持部31に支持されている。さらに、一対のローラ2の近接位置は、第一ローラ支持部31を位置決めするローラ位置決め機構3によって調節される。そのため、一対のローラ2の近接位置が保護シート8の厚みに応じて調節されることにより、シート支え部41とシート規制部42との間隔も、保護シート8の厚みに応じた適切な間隔に調節される。
【0059】
<ローラ回転機構>
ローラ回転機構5は、一対のローラ2のうち少なくとも第一ローラ21を回転させる機構である。より具体的には、ローラ回転機構5は、無端ベルト1の中間垂れ部13を第一被支持部11の位置へ引き上げる方向へ第一ローラ21を回転させる。
【0060】
図1に示される例では、ローラ回転機構5は、回転操作部51と回転リンク機構52とを含む。回転操作部51は、人の操作による回転力が加えられることによって回転する部分である。回転リンク機構52は、回転操作部51に加えられた回転力を第一ローラ21の回転軸に伝達する。
【0061】
第二ローラ22の回転に要するトルクが比較的小さい場合、第一ローラ21が上記の方向へ回転すると、第二ローラ22も無端ベルト1から加わる力によって回転し、同時に、無端ベルト1が回動する。その際、第二ローラ22は、無端ベルト1の第二被支持部12を中間垂れ部13の位置へ繰り出す方向へ回転する。これにより、第一ローラ21及び第二ローラ22は同じ方向へ回転する。
【0062】
一方、ローラ回転機構5が、第一ローラ21を上記のように回転させるのと並行して、第二ローラ22も回転させることも考えられる。この場合、ローラ回転機構5は、無端ベルト1の第二被支持部12を中間垂れ部13の位置へ繰り出す方向へ第二ローラ22を回転させる。これにより、第一ローラ21及び第二ローラ22は同じ方向へ回転する。
【0063】
また、ローラ回転機構5が、第一ローラ21及び第二ローラ22を並行して回転させる場合、ローラ回転機構5が、第一ローラ21の周速度に対し1より大きな周速度比で第二ローラ22を回転させることが望ましい。
【0064】
例えば、回転リンク機構52が、予め定められたギア比のギア機構を備えることにより、第一ローラ21及び第二ローラ22を予め定められた周速度比で回転させることができる。また、一対のローラ2各々の太さが異なる場合、ローラ回転機構5が一対のローラ2各々を同じ角速度で回転させたとしても、第一ローラ21及び第二ローラ22は異なる周速度で回転する。
【0065】
<ワイヤハーネス保持部>
図2に示されるように、第一ワイヤハーネス保持部61及び第二ワイヤハーネス保持部62は、無端ベルト1における中間垂れ部13に支持されたワイヤハーネス9における中間垂れ部13からはみ出した第一はみ出し部92及び第二はみ出し部93を保持する部分である。
【0066】
第一はみ出し部92は、一対のローラ2の一端側において中間垂れ部13からはみ出した部分であり、第二はみ出し部93は、一対のローラ2の他端側において中間垂れ部13からはみ出した部分である。
【0067】
第一ワイヤハーネス保持部61及び第二ワイヤハーネス保持部62は、一対のローラ2の回転中心線に平行な直線の周りに回転可能に支持されている。即ち、第一ローラ21の回転中心線、第二ローラ22の回転中心線、第一ワイヤハーネス保持部61の回転中心線及び第二ワイヤハーネス保持部62の回転中心線は平行である。
【0068】
より具体的には、第一ワイヤハーネス保持部61及び第二ワイヤハーネス保持部62の回転中心線は、いずれも無端ベルト1の中間垂れ部13に載置されたワイヤハーネス9の保護領域91の中心線とほぼ一致している。
【0069】
第一ワイヤハーネス保持部61は、第一回転支持部615によって回転可能に支持されている。
図1に示される例では、第一回転支持部615は、ケース610の外周面を支えるコロ6151を備えている。同様に、第二ワイヤハーネス保持部62は、第二回転支持部622によって回転可能に支持されている。
【0070】
また、第一ワイヤハーネス保持部61は、ワイヤハーネス9の第一はみ出し部92を収容するケース610を有している。ケース610は、ヒンジ部613によって相対的に回動可能に支持された第一分割部611と第二分割部612とを含む。第一分割部611及び第二分割部612は、相互に組み合わされることによって中空部の周囲を覆うケース610を構成する。ケース610の外周面は、円滑に回転可能なように円筒状に形成されている。
【0071】
また、第一分割部611及び第二分割部612には、それらを組み合わさった閉状態に留めるロック部614を備えている。
図1には、中空部を覆う閉状態のケース610が実線で示されている。さらに、
図1には、ケース610の中空部が開放された開状態のケース610における第二分割部612が仮想線(二点鎖線)で示されている。
【0072】
一方、第二ワイヤハーネス保持部62は、ワイヤハーネス9の第二はみ出し部93を保持する部分である。第二ワイヤハーネス保持部62は、長尺部621と、長尺部621に固定されたワイヤハーネス位置決め部623とを有する。ワイヤハーネス位置決め部623は、ワイヤハーネス9の端部を位置決めする部分である。
【0073】
図1,2に示される例では、ワイヤハーネス位置決め部623は、ワイヤハーネス9の端部に設けられたコネクタ94が嵌め入れられる凹部6231が形成された部分である。また、第二ワイヤハーネス保持部62は、ワイヤハーネス位置決め部623の固定位置を調節可能にする固定機構を備えている。この固定機構の作用により、無端ベルト1の端からワイヤハーネス位置決め部623までの距離を調節することが可能である。
【0074】
<保持部回転機構>
第一保持部回転機構71は、ローラ回転機構5による第一ローラ21又は第二ローラ22の回転に連動させて第一ワイヤハーネス保持部61を回転させる機構である。第一保持部回転機構71は、第一ワイヤハーネス保持部61を一対のローラ2の回転方向に対し反対方向へ回転させる。
【0075】
同様に、第二保持部回転機構72は、ローラ回転機構5による第一ローラ21又は第二ローラ22の回転に連動させて第二ワイヤハーネス保持部62を回転させる機構である。第二保持部回転機構72も、第二ワイヤハーネス保持部62を一対のローラ2の回転方向に対し反対方向へ回転させる。
【0076】
第一保持部回転機構71及び第二保持部回転機構72は、直接、或いはローラ回転機構5が回転させる一対のローラ2の一方を介してローラ回転機構5とリンクしている。
図1,2に示される例では、第一保持部回転機構71は、ローラ回転機構5が回転させる第二ローラ22を介してローラ回転機構5とリンクしている。また、第二保持部回転機構72は、第二ローラ22及び第二保持部回転機構72と、第二保持部回転機構72とリンクしている連結シャフト73とを介して、ローラ回転機構5とリンクしている。
【0077】
第一保持部回転機構71及び第二保持部回転機構72は、無端ベルト1の回動に応じて中間垂れ部13上で転がりながら回転するワイヤハーネス9の保護領域91の回転速度と同等の速度で第一ワイヤハーネス保持部61及び第二ワイヤハーネス保持部62を回転させる。
【0078】
<保護シートの巻き付け工程>
次に、
図3〜8を参照しつつ、保護シート8がワイヤハーネス9の保護領域91に巻き付けられるときのワイヤハーネス保護シート巻き機10の主要部の動作について説明する。
【0079】
図3は、ワイヤハーネス9がセットされる前のワイヤハーネス保護シート巻き機10の主要部の断面図である。また、
図4は、ワイヤハーネス9の保護領域91がセットされたときのワイヤハーネス保護シート巻き機10の主要部の断面図である。また、
図5は、保護シート8の供給開始時の同主要部の断面図である。また、
図6は、保護シート8の巻き付け開始時の同主要部の断面図である。
図7は、保護シートの巻き付け途中の同主要部の断面図である。
図8は、保護シート8の巻き付け完了時の同主要部の断面図である。
【0080】
図3,4に示されるように、保護シート8の巻き付け工程において、まず、一対のローラ2が、ローラ位置決め機構3によって離隔位置に位置決めされる。これにより、垂れ部入口130の縦方向の幅が、ワイヤハーネス9の保護領域91を中間垂れ部13へ挿入可能な幅まで広がる。
【0081】
そして、ワイヤハーネス9の保護領域91が、垂れ部入口130から挿入され、無端ベルト1の中間垂れ部13上に載置される。なお、その前に、ワイヤハーネス9の端部のコネクタ94が、ワイヤハーネス位置決め部623にセットされることによって予め位置決めされている。
【0082】
また、ワイヤハーネス9の第一はみ出し部92は、第一ワイヤハーネス保持部61のケース610内に収容される。
【0083】
ワイヤハーネス9の保護領域91が無端ベルト1の中間垂れ部13上に載置されると、
図5に示されるように、保護シート8が、第一縁部81を下方にして保護シート案内部4のシート支え部41にセットされる。これにより、保護シート案内部4は、保護シート8の第一縁部81を垂れ部入口130へ導く。
【0084】
より具体的には、保護シート8がシート支え部41上を滑落し、保護シート3の先端部が、無端ベルト1の垂れ部入口130から中間垂れ部13上に進入する。続いて、一対のローラ2が、ローラ位置決め機構3によって近接位置に位置決めされる。
【0085】
次に、一対のローラ2が、ローラ回転機構5によって回転駆動される。これにより、ワイヤハーネス9の保護領域91を支持する無端ベルト1は、たるんだ状態のまま回動する。
【0086】
なお、
図2に示されるように、保護シート8におけるシート支え部41で支えられる側の面に対し反対側の面には、保護シート8の第二縁部82に沿って接着層80が形成されている。接着層80は、例えば両面粘着テープなどである。
【0087】
さらに、
図6,7に示されるように、無端ベルト1が回動することにより、ワイヤハーネス9の保護領域91は、無端ベルト1の中間垂れ部13上において転がり、一対のローラ2の回転方向に対し反対方向へ回転する。さらに、保護シート8は、回動する無端ベルト1に連れられ、無端ベルト1の垂れ部13に沿って湾曲しながら移動する。これにより、保護シート8が、中間垂れ部13上で回転するワイヤハーネス9の保護領域91の周囲に巻き付く。
【0088】
また、一対のローラ2の回転が継続されると、
図8に示されるように、保護シート8全体が、中間垂れ部13上で回転するワイヤハーネス9の保護領域91の周囲に巻き付く。そして、保護シート8の第二縁部82が、その内側に位置する部分に対し接着層80によって接着される。
【0089】
その後、一対のローラ2の回転が停止され、さらに、一対のローラ2が再び離隔位置に位置決めされた状態で、ワイヤハーネス9の保護領域91が無端ベルト1の中間垂れ部13から取り出される。また、ワイヤハーネス9の第一はみ出し部92及び第二はみ出し部93が、第一ワイヤハーネス保持部61及び第二ワイヤハーネス保持部62から取り外される。
【0090】
<ローラ及び無端ベルトの応用例>
次に、
図9を参照しつつ、ワイヤハーネス保護シート巻き機10に採用可能な応用例に係る一対のローラ2A及び無端ベルト1Aについて説明する。
図9は、一対のローラ2A及び無端ベルト1Aの断面図である。
【0091】
図9に示される応用例において、無端ベルト1Aの内側面には凹凸100が形成されている。同様に、一対のローラ2A各々の外周面にも凹凸200が形成されている。一対のローラ2Aが無端ベルト1Aを支持する状態において、無端ベルト1Aの凹凸100と一対のローラ2A各々の凹凸200とは相互に噛み合う。
【0092】
無端ベルト1Aの凹凸100及び一対のローラ2A各々の凹凸200は、無端ベルト1Aが一対のローラ2A各々の外周面で滑ることを防止するために設けられている。このような無端ベルト1A及び一対のローラ2Aが、ワイヤハーネス保護シート巻き機10に採用されてもよい。
【0093】
また、
図9に示されるように、ワイヤハーネス保護シート巻き機10が、無端ベルト1Aに弾性力を加える弾性力付加機構35を備えることも考えられる。
【0094】
弾性力付加機構35は、無端ベルト1Aにおける一対のローラ2Aの一方の外側から下方を経て他方の外側へ亘る外側亘り部14に弾性力を加える機構である。弾性力付加機構35は、無端ベルト1Aの外側亘り部14に対し、一対のローラ2Aから遠ざかる方向へ弾性力を加える。
【0095】
図9に示される例では、弾性力付加機構35は、テンションローラ351とバネ352とを備えている。テンションローラ351は、無端ベルト1Aの外側亘り部14を内側から支えるルーラである。テンションローラ351は、回転自在に支持されており、無端ベルト1Aの外側亘り部14に対して従動する。
【0096】
バネ352は、テンションローラ351の回転軸に対し、一対のローラ2Aから遠ざかる方向へ弾性力を加える。これにより、無端ベルト1Aの外側亘り部14は、テンションローラ351を介して、一対のローラ2Aから遠ざかる方向への弾性力を受ける。
【0097】
<ワイヤハーネス保持部の応用例>
次に、
図10を参照しつつ、ワイヤハーネス保護シート巻き機10に採用可能な応用例に係る第三ワイヤハーネス保持部63について説明する。
図10は、第三ワイヤハーネス保持部63の斜視図である。
【0098】
第三ワイヤハーネス保持部63は、例えば、第一ワイヤハーネス保持部61及び第二ワイヤハーネス保持部63の一方又は両方の代わりに採用される。
【0099】
第三ワイヤハーネス保持部63は、第一ワイヤハーネス保持部61及び第二ワイヤハーネス保持部63と同様に、無端ベルト1における第一はみ出し部92又は第二はみ出し部93を保持する。
図10には、第三ワイヤハーネス保持部63に保持された第一はみ出し部92が仮想線(二点鎖線)で描かれている。
【0100】
第三ワイヤハーネス保持部63は、回転台631と複数の電線係合部632とを備えている。回転台631は、第三回転支持部633によって回転可能に支持されている。
【0101】
一方、電線係合部632は、回転台631に固定されている。電線係合部632は、イヤハーネス9の第一はみ出し部92又は第二はみ出し部93と係り合うことにより、第一はみ出し部92又は第二はみ出し部93を保持する。
【0102】
また、回転台631は、第三保持部回転機構74によって回転駆動される。第三保持部回転機構74は、ローラ回転機構5による第一ローラ21又は第二ローラ22の回転に連動させて第三ワイヤハーネス保持部63を回転させる機構である。第三保持部回転機構74は、第三ワイヤハーネス保持部63を一対のローラ2の回転方向に対し反対方向へ回転させる。
【0103】
ワイヤハーネス保護シート巻き機10において、第三ワイヤハーネス保持部63及び第三保持部回転機構74が、第一ワイヤハーネス保持部61及び第一保持部回転機構71の代わりに、又は第二ワイヤハーネス保持部63及び第二保持部回転機構72の代わりに採用されることも考えられる。
【0104】
<効果>
以上に示したように、ワイヤハーネス保護シート巻き機10が用いられれば、ローラ回転機構5によって一対のローラ2を回転させるというごく簡易な工程が行われるだけで、無端ベルト1から保護シート8への巻き付け力が、無端ベルト1の長手方向全体に亘る範囲において均一に作用する。従って、容易に保護シート8をワイヤハーネス9の保護領域91全体に均一に巻き付けることが可能となる。
【0105】
また、保護シート8が手作業でワイヤハーネス9に巻かれる場合、予め保護シート8の先端部をワイヤハーネス9の保護領域91に粘着テープなどで留める作業が必要となる。しかしながら、ワイヤハーネス保護シート巻き機10が用いられれば、保護シート8の先端部をワイヤハーネス9に留める作業は不要である。この点においても、保護シート8を巻く工程が簡易化される。
【0106】
また、ワイヤハーネス保護シート巻き機10が、不織布のように伸縮性を有する保護シート8の巻き付けに適用されれば、保護シート8の巻き付けの均一化の効果がより顕著となる。
【0107】
また、第一ワイヤハーネス保持部61及び第二ワイヤハーネス保持部62が、ワイヤハーネス9における中間垂れ部13からはみ出した部分を保持するとともに、一対のローラ2の回転に連動して回転する。そのため、ワイヤハーネス9における無端ベルト1からはみ出した部分が長い場合であっても、ワイヤハーネス9が過剰にねじれて破損することが防がれる。
【0108】
また、第一ワイヤハーネス保持部61は、ワイヤハーネス9の第一はみ出し部92をケース610内に収容することによって保持する。そのため、ワイヤハーネス9の第一はみ出し部92が長い場合であっても、第一はみ出し部92を第一ワイヤハーネス保持部61に保持させることが容易である。
【0109】
また、ワイヤハーネス9の端部が、第二ワイヤハーネス保持部62におけるワイヤハーネス位置決め部623で位置決めされる。ここで、ワイヤハーネス位置決め部623から無端ベルト1の中間垂れ部13までの距離は、ワイヤハーネス9における端部から保護領域91までの距離と一致するように予め調節される。従って、ワイヤハーネス9の保護領域91を無端ベルト1の中間垂れ部13上に位置合わせすることが容易となる。
【0110】
また、シート支え部41が、保護シート8を斜め上方から無端ベルト1の垂れ部入口130へ滑落させ、シート規制部42が、シート支え部41からの保護シート8の浮き上がりを制限する。これにより、保護シート8は円滑に無垂れ部入口130へ導かれる。
【0111】
ところで、保護シート8は、ワイヤハーネス9に密接して巻き付けられることが望ましい場合が多い。保護シート8をワイヤハーネス9に密接させて巻き付けるためには、無端ベルト1の中間垂れ部13とワイヤハーネス9の周囲に巻き付いた保護シート8との隙間が小さい状態が維持されることが望ましい。
【0112】
また、
図6〜8に示されるように、ワイヤハーネス9に対する保護シート8の巻き付け工程が進行するほど、無端ベルト1の中間垂れ部13上において、ワイヤハーネス9の周囲に巻き付いた保護シート8の厚みが大きくなる。
【0113】
前述したように、第二ローラ22の周速度が第一ローラ21の周速度よりも速くなるように、ローラ回転機構5が一対のローラ2を並行して回転させることが考えられる。これにより、
図6〜8に示されるように、保護シート8の巻き付け工程が進行するほど、即ち、ワイヤハーネス9の周囲に巻き付いた保護シート8の厚みが大きくなるほど、中間垂れ部13を徐々に長くすることが可能となる。この場合、中間垂れ部13とワイヤハーネス9の周囲に巻き付いた保護シート8との隙間が小さい状態が維持される。その結果、保護シート8をワイヤハーネス9に密接させて巻き付けることが可能となる。
【0114】
また、
図9に示される応用例においては、無端ベルト1Aの内側面の凹凸100と一対のローラ2A各々の外周面の凹凸200とが相互に噛み合う。この場合、無端ベルト1Aが一対のローラ2A各々の外周面で滑ることが防止される。
【0115】
従って、一対のローラ2Aの回転の制御によって無端ベルト1Aの回動を誤差無く制御することができる。その結果、保護シート8の巻き付き状態のばらつきが小さくなり、保護シート付きワイヤハーネスの品質が安定する。
【0116】
また、
図9に示される弾性力付加機構35が採用されることにより、無端ベルト1Aが一対のローラ2Aから浮き上がることが防止される。そして、無端ベルト1Aの内側面の凹凸100と一対のローラ2A各々の外周面の凹凸200とが相互に噛み合う状態が維持される。その結果、無端ベルト1Aが一対のローラ2A各々の外周面で滑ることがより確実に防止される。
【0117】
<その他>
ワイヤハーネス保護シート巻き機10においては、ローラ回転機構5は、人の操作による回転力を駆動源としている。しかしながら、ローラ回転機構5が、モータなどの回転駆動機を駆動源として第一ローラ21又は一対のローラ2両方を回転させる機構であることも考えられる。
【0118】
なお、本発明に係るワイヤハーネス保護シート巻き機は、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された実施形態及び応用例を自由に組み合わせること、或いは実施形態及び応用例を適宜、変形する又は一部を省略することによって構成されることも可能である。