特許第5942912号(P5942912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5942912
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】含水率推定システム、無線タグリーダ
(51)【国際特許分類】
   G01N 22/04 20060101AFI20160616BHJP
   G01N 22/00 20060101ALI20160616BHJP
   G06K 7/08 20060101ALI20160616BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   G01N22/04 Z
   G01N22/00 U
   G01N22/00 Y
   G06K7/08 060
   G06K7/10 184
   G06K7/10 252
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-67037(P2013-67037)
(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-190857(P2014-190857A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】武藤 英治
【審査官】 藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−311047(JP,A)
【文献】 特開2006−029993(JP,A)
【文献】 特開2007−079785(JP,A)
【文献】 特表2003−515130(JP,A)
【文献】 特開2006−266688(JP,A)
【文献】 特開2006−119118(JP,A)
【文献】 特開2005−135132(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0169507(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102759546(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 22/00
G01N 22/04
G06K 7/08
G06K 7/10
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共振周波数が互いに異なる周波数に設定され、同一の測定対象物に固定される複数の無線タグと、
前記複数の無線タグと通信可能なタグリーダとを備え、
前記複数の無線タグとタグリーダとの通信結果に基づいて、前記測定対象物の含水率を推定する含水率推定システムであって、
前記タグリーダが前記複数の無線タグからそれぞれ受信した受信信号の信号レベルである受信レベルの比較に基づいて、前記測定対象物の含水率を推定することを特徴とする含水率推定システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記無線タグを2つ備え、
前記タグリーダは、
それら2つの無線タグからの受信レベルの差を算出する受信レベル差算出手段と、
受信レベルの差から含水率が定まる予め設定された関係と、前記受信レベル差算出手段で算出した受信レベルの差とから、前記測定対象物の含水率を決定する含水率決定手段と、を備えることを特徴とする含水率推定システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記2つの無線タグはいずれもパッシブタグであり、
前記タグリーダは、
前記無線タグへ送信する送信電力を調整する送信電力調整部と、
前記送信電力調整部により送信電力を順次変化させつつ、前記無線タグから情報を読み取ることができたかどうかを判定する読み取り判定手段と、
前記読み取り判定手段により読み取ることができたと判定した送信電力のうちで最も低い電力である最低送信電力と、そのときの受信レベルを無線タグ別に決定する最低送信電力決定手段とを備え、
前記受信レベル差算出手段は、前記2つの無線タグの受信レベルの差を無線タグ別の最低送信電力の差により補正した補正受信レベル差を算出し、
前記含水率決定手段は、受信レベルの差として補正受信レベル差を用いて含水率を決定することを特徴とする含水率推定システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記読み取り判定手段は、読み取りができたと判定した場合には、読み取りができた無線タグを特定し、
前記含水率決定手段は、前記読み取り判定手段が1つの無線タグのみしか情報を読み取ることができなかったと判定した場合、読み取ることができた1つの無線タグがいずれであるかに基づいて、前記測定対象物の含水率が、2つの無線タグのアンテナ利得の大小関係が入れ替わる含水率よりも高いか低いかを決定することを特徴とする含水率推定システム。
【請求項5】
請求項1において、
前記タグリーダは、
前記複数の無線タグのそれぞれと含水率との対応関係を記憶する記憶部と、
前記複数の無線タグからの受信レベルを比較し、受信レベルが最大である無線タグを決定する最大受信レベル決定手段と、
その最大受信レベル決定手段で決定した無線タグと前記対応関係とから、前記測定対象物の含水率を決定する含水率決定手段と
を備えることを特徴とする含水率推定システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項の含水率推定システムに用いられるタグリーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグとタグリーダとの通信に基づいて測定対象物の含水率を推定する含水率推定システムおよびそのシステムに用いる無線タグリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグとタグリーダとの通信に基づいて水分変化を推定する技術が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示の技術は、環境変化に伴い共振周波数が第1の共振周波数から第2の共振周波数に変化する環境変化感知タグと、そのタグと無線通信を行うタグリーダとを備えている。これらタグとタグリーダは工場内で使用される。タグは、内部に物品が収められた箱に貼り付けられ、この箱が搬送ベルトに載って検査ラインを流れる。タグリーダは、検査ラインの途中において搬送ベルトの上方に固定されており、タグが貼り付けられた箱がタグリーダの下を通過するときにタグとの通信を試みる。タグリーダは、この通信を2種類の電力レベルで行う。
【0003】
環境変化感知タグの共振周波数がタグリーダが送信する電波の周波数に近くなっていると、低い電力レベルでもタグとタグリーダの通信が可能になる一方で、環境変化感知タグの共振周波数がタグリーダが送信する電波の周波数から離れた共振周波数になっていると、タグリーダの送信電力が高くないと通信が行えない。このことを利用して、2種類の電力レベルでの通信成否から、環境変化の有無を検知する。そして、検知できる環境の種類として水分変化が例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−79785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タグとタグリーダとの通信の成否には、それらタグとタグリーダとの距離も影響する。特許文献1のシステムでは、タグは搬送ベルト上の箱に貼り付けられており、タグリーダは搬送ベルトの上方に固定されているため、通信時のタグとタグリーダとの距離を一定にすることができる。
【0006】
しかし、タグとタグリーダとの距離を一定にすることができない状況も多い。よく知られているように、タグリーダはハンディ型も多く、ハンディ型の場合、タグリーダの位置を一定にすることは困難であることから、タグリーダとタグとの距離を一定にすることも困難である。また、据付型や取り付け台付きとして通信時のタグリーダの位置を一定にできるとしても、タグの位置も決まっていなければ通信距離を一定にすることはできない。しかし、特許文献1のように、搬送ベルト上の箱に貼り付ける場合など、限られた場合にしかタグの位置を一定にすることはできない。
【0007】
つまり、特許文献1のように、タグとタグリーダとの距離を一定にできる状況は限られている。したがって、特許文献1の技術は、検知できる環境の種類として水分変化が例示されているものの、限られた状況でしか測定対象物の水分変化は検知できない。もちろん、水分変化から含水率を推定するとしても、限られた状況でしか含水率を推定することはできない。
【0008】
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、測定対象物までの距離が変動する測定条件でも、その測定対象物の含水率を推定することができる含水率推定システム、および、そのシステムに用いるタグリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その目的を達成するための本発明は、共振周波数が互いに異なる周波数に設定され、同一の測定対象物に固定される複数の無線タグと、
前記複数の無線タグと通信可能なタグリーダとを備え、
前記複数の無線タグとタグリーダとの通信結果に基づいて、前記測定対象物の含水率を推定する含水率推定システムであって、
前記タグリーダが前記複数の無線タグからそれぞれ受信した受信信号の信号レベルである受信レベルの比較に基づいて、前記測定対象物の含水率を推定することを特徴とする。
【0010】
本発明では、同一の測定対象物に、共振周波数が互いに異なる複数の無線タグを固定する。そして、タグリーダが複数の無線タグからそれぞれ受信した受信信号の信号レベル(受信レベル)を比較する。無線タグとタグリーダとの距離が変化した場合を考えると、無線タグの共振周波数によらず、距離が遠いほど受信レベルは低下し、距離が近くなると受信レベルが高くなる。つまり、無線タグとタグリーダとの距離が変動すると、複数の無線タグからの受信レベルは同じ傾向で増減する。
【0011】
よって、複数の無線タグからの受信レベルを比較することで、距離による受信レベルの変動の影響を除去あるいは軽減させて測定対象物の含水率を推定することができるので、測定対象物までの距離が変動する測定条件でも、その測定対象物の含水率を推定することができる。
【0012】
請求項2記載の発明では、前記無線タグを2つ備え、
前記タグリーダは、
それら2つの無線タグからの受信レベルの差を算出する受信レベル差算出手段と、
受信レベルの差から含水率が定まる予め設定された関係と、前記受信レベル差算出手段で算出した受信レベルの差とから、前記測定対象物の含水率を決定する含水率決定手段とを備える。
【0013】
測定距離が変化すると受信レベルは変化してしまうが、測定距離の変化による受信レベルの変化傾向は、複数の無線タグで同一である。したがって、受信レベル差算出手段で算出する2つの無線タグの受信レベルの差は、無線タグとタグリーダとの距離の変動による受信レベルの変動の影響が除去ないしは軽減されている。この受信レベルの差と、受信レベルの差から含水率が定まる予め設定された関係とを用いて含水率を推定するので、含水率を精度よく推定することができる。
【0014】
請求項3記載の発明では、前記2つの無線タグはいずれもパッシブタグであり、
前記タグリーダは、
前記無線タグへ送信する送信電力を調整する送信電力調整部と、
前記送信電力調整部により送信電力を順次変化させつつ、前記無線タグから情報を読み取ることができたかどうかを判定する読み取り判定手段と、
前記読み取り判定手段により読み取ることができたと判定した送信電力のうちで最も低い電力である最低送信電力と、そのときの受信レベルを無線タグ別に決定する最低送信電力決定手段とを備え、
前記受信レベル差算出手段は、前記2つの無線タグの受信レベルの差を無線タグ別の最低送信電力の差により補正した補正受信レベル差を算出し、
前記含水率決定手段は、受信レベルの差として補正受信レベル差を用いて含水率を決定する。
【0015】
この請求項3記載の発明によれば、送信電力を順次変化させて最低送信電力を決定し、この最低送信電力での受信レベルを用いて受信レベル差を算出する。そのため、送信電力が強すぎて飽和してしまった受信レベルから受信レベルの差を算出してしまうことを防止できる。そして、受信レベルの差を最低送信電力の差により補正して補正受信レベル差とするので、送信電力を変化させることによる受信レベルの変動の影響も抑制できる。
【0016】
請求項4記載の発明では、前記読み取り判定手段は、読み取りができたと判定した場合には、読み取りができた無線タグを特定し、
前記含水率決定手段は、前記読み取り判定手段が1つの無線タグのみしか情報を読み取ることができなかったと判定した場合、読み取ることができた1つの無線タグがいずれであるかに基づいて、前記測定対象物の含水率が、2つの無線タグのアンテナ利得の大小関係が入れ替わる含水率よりも高いか低いかを決定する。
【0017】
この請求項4記載の発明によれば、1つの無線タグのみしか情報を読み取ることができなくても含水率の一応の推定ができる。
【0018】
請求項5記載の発明では、前記タグリーダは、
前記複数の無線タグのそれぞれと含水率との対応関係を記憶する記憶部と、
前記複数の無線タグからの受信レベルを比較し、受信レベルが最大である無線タグを決定する最大受信レベル決定手段と、
その最大受信レベル決定手段で決定した無線タグと前記対応関係とから、前記測定対象物の含水率を決定する含水率決定手段とを備える。
【0019】
この請求項5記載の発明では、複数の無線タグのうち受信レベルが最大の無線タグと対応関係とから、測定対象物の含水率を決定する。そのため、簡単な処理で含水率を推定することができる。また、要求される推定精度が高い場合には、無線タグの数を増やせばよいことから、容易に要求される推定精度に対応することができる。
【0020】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項の含水率推定システムに用いられるタグリーダである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】タグリーダRの外観斜視図である。
図2】無線タグTgの使用状態図である。
図3】タグリーダRの内部構成を主として示すブロック図である。
図4】比誘電率εrとタグアンテナ利得との関係の一例を示す図である。
図5図4に示したタグアンテナ利得から算出した、比誘電率εrと利得差deltaGとの関係を示す図である。
図6】木材の含水率Wt(%)と比誘電率εrとの関係を示すグラフである。
図7図5、6から得られる、利得差deltaGと含水率Wtとの関係を示す図である。
図8】含水率Wtを測定する際に実行する処理を示すフローチャートである。
図9】含水率Wtとタグアンテナ利得との関係の一例を示す図である。
図10】第2実施形態における無線タグTg3、4、5の使用状態図である。
図11】各無線タグTg3、Tg4、Tg5の周波数と電圧定在波比VSWRとの関係を示す図である。
図12】木材の含水率Wtと比誘電率εrとの対応を示す表である。
図13】無線タグTgのタグIDと含水率Wtとの対応を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1はタグリーダRの外観斜視図であり、図2は無線タグTgの使用状態図である。本実施形態の含水率推定システムは、図1に示したタグリーダRと、図2に示した無線タグTgとで構成される。
【0023】
図1に示すように、タグリーダRは、ハンディ型であり、持ち手部12、表示部14を備える。持ち手部12には、このタグリーダRに対する種々の入力を行う入力キーも備えられている。表示部14には無線タグTgとの通信結果等が表示される。このタグリーダRの内部構成は図3を用いて後述する。
【0024】
図2(A)は、本システムの無線タグTgが、含水率を測定する測定対象物である柱20に貼り付けられている状態を、その柱20の側面から見た図である。図2(B)は、この柱20を無線タグTgが貼り付けられている面から見た図である。
【0025】
図2(B)に示すように、2つの無線タグTg1、Tg2が同じ柱20に貼り付けられている。これら2つの無線タグTg1、Tg2は、いずれも、公知のパッシブタグと同じ構成であり、回路部30と、アンテナ31、32を備える。
【0026】
回路部30は、図示しない内部に符号部、送信部、受信部、復号部などを備える公知の構成である。アンテナ31、32は、互いに長さが異なる以外は同じ構成、かつ、いずれも公知のアンテナである。無線タグTg1のアンテナ31は165mmであり、無線タグTg2のアンテナ32は62mmである。
【0027】
無線タグTg1のアンテナ31の長さを165mmとしているのは、本実施形態においてタグリーダRとの通信に使用する使用周波数(915MHz)は、波長が約328mmであり、その半波長にアンテナ長を設定したためである。よって、無線タグTg1のアンテナ31の共振周波数は上記仕様周波数(915MHz)となる。
【0028】
一方、無線タグTg2のアンテナ32の長さを62mmとしているのは、この無線タグTg2を、比較的高い約21%の含水率において共振するようにしたからである。ここで、含水率と共振周波数との関係を説明する。測定対象物の含水率が変化すると、それに応じてその物体の比誘電率εrも変化する。そして、電磁波の速度は、真空中の速度を1とすると下記式1で表されることから、比誘電率εrが変化すると、波長が短くなった場合と同じ効果(波長短縮効果)が得られ、共振周波数が変化するのである。
(式1) 1/√εr
含水率が約21%であると、比誘電率εrは約7になり、165/√7=62mmより、62mmを無線タグTg2のアンテナ長として設定したのである。なお、約21%の含水率を比較的高いとしているのは、本実施形態は、含水率を測定する測定対象物として木材を想定しており、木材の場合、公知の接触式の含水率計でも、含水率が25%より高くなってくると測定精度が低下する。この公知の接触式の含水率計の測定レンジに近い測定レンジとなるようにしたためである。
【0029】
2つの無線タグTg1、Tg2はいずれも長手形状であり、それら2つの無線タグTg1、Tg2は、互いに平行に、かつ、いずれも柱20の長手方向に沿って、柱20の同じ側面の同じ高さに貼り付けられている。
【0030】
本実施形態における測定対象物である柱20は木製であり、一般住宅において部屋を区画する壁22の裏側に配置されている。また、柱20は四角柱であり、無線タグTg1、Tg2が貼り付けられているのは、図2(A)に示すように、壁22とは反対側の面である。つまり、無線タグTg1、Tg2は、部屋から見ると(図2(A)において壁22の右側から見ると)、柱20の裏面に貼り付けられている。
【0031】
図3は、タグリーダRの内部構成を主として示すブロック図である。図3に示すように、タグリーダRは、アンテナ102、アンテナ共用器104、IQ復調器106、受信レベル測定部108、デコード部110、制御部120、記憶装置130、コーディング部132、変調器134、局部発信器136、可変利得増幅器138、パワーアンプ140を備えている。
【0032】
アンテナ102は、送信および受信の両方に使用する。このアンテナ102で送受信する周波数は、本実施形態では915MHz付近である。アンテナ共用器104は、送信を行う装置と受信を行う装置を同じアンテナ102に接続するための装置であり、パワーアンプ140からの信号をアンテナ102へ出力する一方、アンテナ102からの信号はIQ復調器106へ出力する。
【0033】
IQ復調器106には、局部発信器136で発生した局部発信信号が入力される。IQ復調器106は、この局部発信信号を用いて、アンテナ共用器104を介してアンテナ102から入力された受信信号を同相成分Iと直交成分Qに分離する。そして、同相成分I、直交成分Qを、それぞれ受信レベル測定部108、デコード部110に入力する。
【0034】
受信レベル測定部108は、同相成分Iの大きさと直交成分Qのベクトル長さから受信応答レベルGを測定する。この受信応答レベルGは、無線タグTgが、このタグリーダRが送信した電力により起電して送信した応答信号の受信レベルを意味する。受信レベル測定部108は、測定した受信応答レベルGを制御部120に出力する。
【0035】
デコード部110は、同相成分Iの大きさ、直交成分Qの角度に基づいてデコードを行って、タグTgが送信した応答信号に含まれているタグIDを読み取る。そして、読み取ったタグIDを制御部120に出力する。
【0036】
制御部120には、書き込み可能な記憶装置130が接続されている。制御部120は、この記憶装置130に、受信応答レベルGとタグIDを、そのときの送信電力(以下、リーダ出力)PWRと対応付けて記憶する。また、制御部120は、リーダ出力PWRを徐々に増加させる制御も行う。そして、記憶装置130の記憶内容から柱20の含水率Wtを推定する。制御部120が行うこれらの処理は、図8を用いて後述する。
【0037】
コーディング部132は、制御部120が出力した信号を符号化して変調器134に出力する。制御部120がコーディング部132に出力する信号には、たとえば、無線タグTgに対して応答信号の送信を要求する応答要求信号などがある。
【0038】
変調器134には、局部発信器136から局部発振信号が入力され、この局部発信信号を用いて、コーディング部132から入力された信号を変調する。そして変調した信号を可変利得増幅器138へ出力する。
【0039】
可変利得増幅器138は、変調器134から入力される信号を増幅してパワーアンプ140に出力する。可変利得増幅器138のゲインは制御部120が制御する。
【0040】
パワーアンプ140は、可変利得増幅器138から入力された信号を、一定のゲインで増幅して出力する。パワーアンプ140から出力された信号は、アンテナ共用器104を介してアンテナ102に入力されて、アンテナ102から電波として送信される。
【0041】
次に、これら図1〜3に示した含水率推定システムによる含水率推定の考え方を図4図7を用いて説明する。図4は、比誘電率εrとタグアンテナ利得(無線タグTgのアンテナ利得)との関係の一例を示す図であり、Ga_tag1は無線タグTg1のアンテナ利得(dBi)を示し、Ga_tag2は無線タグTg2のアンテナ利得(dBi)を示している。
【0042】
なお、この図4および図5図7は、図2(A)(B)に示したように、柱20の裏面に無線タグTgを柱20に沿って貼り付けたとした場合のシミュレーション結果であり、柱20の太さ(壁22に垂直な方向の長さ)は120mmとし、柱20の誘電損失tanδを0.2として計算している。
【0043】
無線タグTg1は、前述したように、使用周波数に対応する波長から直接にアンテナ長さを設定している。換言すれば、波長短縮効果を考慮せず、すなわちεr=1として、アンテナ長を設定している。そのため、図4に示されるように、無線タグTg1のアンテナ利得(Ga_tag1)は、比誘電率εrが大きくなるに従って低下する。
【0044】
これに対して、無線タグTg2は、前述したように、比誘電率εrを7としたときの波長(62mm)からアンテナ長を設定しているので、比誘電率εrが7付近でタグアンテナ利得が最大となっている。
【0045】
この図4に示した縦軸はアンテナ利得であり、タグリーダRが無線タグTgから受信する受信電力ではない。しかし、通信距離、タグリーダRが送信する送信電力等、測定環境を固定すれば、受信電力とタグアンテナ利得は比例する。よって、図4は、比誘電率εrと、タグリーダRが無線タグTgから受信する受信電力との関係を表していると見ることもできる。
【0046】
ただし、一つの無線タグTgが送信した電波の受信レベルのみから比誘電率εrを推定するには、測定距離を固定する必要がある。しかし、ハンディ型のタグリーダRでは測定距離を固定することはできない。また、無線タグTgも、壁22の裏側にある柱20に貼り付けられており、部屋の中からは柱20の位置も不明である。このことからも、測定距離を固定することは困難である。
【0047】
そこで、本実施形態では、2つの無線タグTg1、Tg2からそれぞれ受信した受信信号の利得差deltaGを算出する。図5は、図4に示したタグアンテナ利得から算出した利得差deltaGである。図5の各利得差deltaGは、図4の同一の比誘電率εrにおける(Ga_tag1−Ga_tag2)×2により算出した値である。2倍しているのは次の理由からである。すなわち、パッシブタグの場合、タグリーダRが無線タグTgからの電波を受信するには、タグリーダRから無線タグTgへ電力を供給する必要があり、このときに無線タグTgのアンテナ利得が影響し、また、無線タグTgがタグリーダRへ電波を送信する際にもアンテナ利得が影響するからである。ただし、2倍するか否かは適宜設定すればよい。この図5に示すグラフ(あるいはこのグラフに相当する関係式)は、後述する図8のステップS7で算出する利得差deltaGとともに用いる。比誘電率εrと利得差deltaGの関係におけるdeltaGの算出方法は、ステップS7で算出する利得差deltaGと同じであればよい。
【0048】
比誘電率εrと利得差deltaGとの関係式は、図5に示す各点から近似式を求めることで、下記式2で表される。
(式2) deltaG =0.46εr−10.56εr+49.00
図6は、木材の含水率Wt(%)と比誘電率εrとの関係を示すグラフである。このグラフに示す値は、種々に含水率Wtを変化させた木材を金属板で挟んで測定した比誘電率εrの値である。このグラフを式で表すと式3になる。
(式3) εr=0.017Wt2−0.035Wt+0.9
図7は、図5、6から得られる、利得差deltaGと含水率Wtとの関係を示す図である。本実施形態では、式2から比誘電率εrを算出し、その比誘電率εrを式3に代入して含水率Wtを計算するが、これに代えて、図7に示すグラフに基づいて含水率Wtを決定してもよい。
【0049】
図8は、含水率Wtを推定する際にタグリーダRの制御部120が実行する処理を示すフローチャートである。この処理は、たとえば、所定のトリガスイッチをユーザが押したことにより開始する。
【0050】
ステップS1では、可変利得増幅器138の利得を最小に設定することで、リーダ出力PWRを最低値に設定する。
【0051】
ステップS2では、無線タグTgから情報を読み取る読み取り処理を実行する。読み取り処理は、具体的には、この時点で設定されているリーダ出力PWRで無線タグTgに応答要求信号を送信するとともに、無線タグTgが送信した応答信号がデコード部110から入力された場合に、その応答信号からタグID、コマンド等を読み取れるかを判断する処理である。
【0052】
ステップS3では、タイムアウトになったか否か、すなわち、上記ステップS2で読み取りを開始してからの経過時間が読み取り上限時間(たとえば5秒)を経過したか否かを判断する。この判断がNOであれば、ステップS4に進む。
【0053】
ステップS4では、読み取りできたか否かを判断する。この判断がNOであればステップS2に戻り、読み取り処理を継続する。一方、YESであればステップS5へ進む。
【0054】
ステップS5では、読み取りできたタグIDから、応答信号を送信した無線タグTgを判別する。そして、今回、受信レベル測定部108から取得した受信応答レベルGを受信応答レベルG*(Gは無線タグTgの番号であり、本実施形態では1または2)とし、今回のリーダ出力PWRをPWR*とし、それら受信応答レベルG*とリーダ出力PWR*を記憶装置130に記憶する。このリーダ出力PWR*は請求項の最低送信電力に相当する。
【0055】
ステップS6では、2つの無線タグTgともに読み取りができたか否かを判断する。この判断がNOであればステップS2へ戻り、読み取りを継続する。一方、YESであればステップS7へ進む。ステップS7の説明の前に、ステップS9、S10を説明する。
【0056】
ステップS9は、ステップS3でタイムアウトと判定した場合に実行する。ステップS3でタイムアウトと判定した場合、まだ2つの無線タグTgの読み取りは完了していない。リーダ出力PWRを上げれば読み取りができる可能性があるので、ステップS9でリーダ出力PWRをx(dB)増加させる。
【0057】
なお、当初から高いリーダ出力PWRに設定せず、段階的にリーダ出力PWRを増加させているのは、リーダ出力PWRが高すぎると、受信レベル測定部108が飽和してしまい、受信応答レベルGを正確に測定できない可能性を考慮したためである。
【0058】
続くステップS10では、リーダ出力PWRが設定許容値を超えたか否かを判断する。リーダ出力PWRが設定許容値を超えていない場合(S10:NO)にはステップS2へ戻り、ステップS9で増加させたリーダ出力PWRで読み取り処理を実行する。ステップS10がYESの場合には、ステップS11を実行する。このステップS11の処理を説明する前に、ステップS7以下を説明する。
【0059】
ステップS7は、2つの無線タグTgともに読み取りができた場合に実行する。このステップS7では、利得差deltaG(=(Ga_tag1−Ga_tag2)×2)を下記式4から算出する。
【0060】
(式4) deltaG = (G1−PWR1)−(G2−PWR2)
この式4において、(G1−PWR1)および(G2−PWR2)は、いずれも、リーダ出力PWR*と受信応答レベルG*との差であり、リーダ出力PWR*の変動による受信応答レベルG*の変動を除去することを意味する。したがって、式4から算出した利得差deltaGは請求項の補正受信レベル差に相当する。
【0061】
このように、リーダ出力PWR*の変動による受信応答レベルG*の変動分を除去しているのは、前述したように、本実施形態ではリーダ出力PWRを段階的に増加させつつ、読み取りを行なっているからである。
【0062】
ステップS8では、式2、3に示す関係式と、ステップS7で算出した利得差deltaGとから、測定対象物の含水率Wtを推定する。推定した含水率Wtは、設定に従い、表示部14に表示したり、記憶装置130に記憶したりする。
【0063】
最後にステップS11を説明する。ステップS11は、2つの無線タグTgの少なくともいずれかが読み取りできない場合に実行することになる。そのため、deltaGを算出することができないので、式2、式3から含水率Wtを推定することはできない。
【0064】
そこで、ステップS11では、いずれか1つの無線タグTgのみ読み取りができた場合に、含水率Wtがどの範囲にあるかを推定する。具体的には、本実施形態では、無線タグTg1のみ読み取りができた場合、含水率Wtが18%よりも低いと推定する。反対に、無線タグTg2のみ読み取りができた場合、含水率Wtが18%よりも高いと推定する。この含水率Wt=18%は、図9に示されるように、無線タグTg1のアンテナ利得と無線タグTg2のアンテナ利得の大小関係が入れ替わる含水率である。
【0065】
アンテナ利得が高いほど、タグリーダRは無線タグTgの情報が読み取れる可能性が高い。図9から分かるように、含水率が0〜18%では無線タグTg1のアンテナ利得の方が無線タグTg2のアンテナ利得よりも高く、含水率が18%よりも高くなると、反対に、無線タグ2のアンテナ利得の方が高くなる。そこで、ステップS11では、無線タグTg1のみ読み取りができた場合には含水率Wtが18%よりも低いと推定し、無線タグTg2のみ読み取りができた場合には含水率Wtが18%よりも高いと推定するのである。推定した含水率Wtは、ステップS8と同様、設定に従い、表示部14に表示したり、記憶装置130に記憶したりする。なお、いずれの無線タグTgからも読み取りができなかった場合には、含水率Wtの推定は行わない。
【0066】
以上、説明した本実施形態では、同一の測定対象物である柱20に、共振周波数が互いに異なるパッシブ型の2つの無線タグTg1、Tg2を互いに隣接して貼り付けており(図2)、タグリーダRから電波を送信して、それら2つの無線タグTg1、Tg2からタグID等の読み取りを試みる(図8のS1〜S4、S9、S10)。そして、2つの無線タグTg1、Tg2ともに読み取りができた場合には、それら2つの無線タグTg1、Tg2からの受信応答レベルの差である利得差deltaGと式2、式3から、柱20の含水率Wtを推定する(S7、S8)。
【0067】
無線タグTg1、Tg2のそれぞれの受信応答レベルGは、無線タグTg1、Tg2とタグリーダRとの距離の影響を受けて変動する。そのため、受信応答レベルGを直接用いて含水率Wtを推定してしまうと、無線タグTgとタグリーダRとの距離の変動が誤差原因になる。
【0068】
しかし、本実施形態では、2つの受信応答レベルGの差である利得差deltaGを算出しており、この利得差deltaGをもとに含水率Wtを推定する。測定距離が変化することによる2つの受信応答レベルGの変化傾向は同じであることから、利得差deltaGは測定距離の影響が除去ないしは軽減されている。したがって、利得差deltaGから含水率Wtを推定することで、無線タグTg1、Tg2までの距離を固定することが困難なハンディ型でも、精度よく含水率Wtを推定することができる。
【0069】
また、本実施形態では、含水率Wtを、利得差deltaGから含水率Wtを求める式(式2、式3)から算出するので、含水率Wtを細かい数値で推定することができる。
【0070】
また、本実施形態では、2つ備えている無線タグTgのうちのいずれか一方しか読み取りができなくても、いずれの無線タグTgが読み取りできたかにより、2つの無線タグTgのアンテナ利得の大小関係が入れ替わる含水率Wtである18%よりも高いか低いかの推定が可能である。
【0071】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。なお、この第2実施形態以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用することができる。
【0072】
図10は、第2実施形態における無線タグTg3、4、5の使用状態図である。この図10に示す例では、3つの無線タグTgを用いているが、複数であれば、3つ以外の数の無線タグTgを用いることができる。
【0073】
3つの無線タグTg3、Tg4、Tg5は、第1実施形態と同様、回路部30を備え、その回路部30に、互いに長さの異なるアンテナ33、34、35がそれぞれ接続された構成である。
【0074】
これら3つの無線タグTg3、Tg4、Tg5は、いずれも同じ測定対象物40の同じ面に、互いに隣接かつ互いに平行に貼り付けられている。無線タグTg3は比誘電率εr=2、無線タグTg4は比誘電率εr=6、無線タグTg5は比誘電率εr=11において共振するようにした。具体的には、前述の式1に各比誘電率εrを代入して得られる波長短縮率から各アンテナ33、34、35のアンテナ長を設定した。
【0075】
図11は、各無線タグTg3、Tg4、Tg5の周波数と電圧定在波比VSWRとの関係を示す図である。この図に示すように、各無線タグTg3、Tg4、Tg5は、比誘電率εr=2、6、11に基づいたアンテナ長としているので、VSWRの曲線は下ピーク周波数が互いに相違する。
【0076】
また、周波数f2以上では無線タグTg3のVSWRが最も小さく、周波数f1〜f2では無線タグTg4のVSWRが最も小さく、周波数f1より低い周波数では無線タグTg5のVSWRが最も小さい。なお、周波数f3は使用周波数を示している。
【0077】
これら無線タグTg3、Tg4、Tg5のVSWRの周波数特性の違いにより、測定対象物40の比誘電率εrが2、6、11のうちで2に最も近いと、無線タグTg3からの受信応答レベルGが3つの無線タグTgのうちで最も高くなる。また、測定対象物40の比誘電率εrが6に最も近いと、無線タグTg4からの受信応答レベルGが最も高くなり、測定対象物40の比誘電率εrが11に最も近いと、無線タグTg5からの受信応答レベルGが最も高くなる。
【0078】
また、各無線タグTg3、Tg4、Tg5のアンテナ長を決める際に考慮した比誘電率εrと、木材の含水率Wtとの間には図12の対応関係がある。そこで、第2実施形態では、図13に示すように、タグIDと含水率Wtとの対応関係を、タグリーダRの記憶装置130に予め記憶しておく。
【0079】
そして、制御部120は、次のようにして測定対象物40の含水率Wtを推定する。まず、予め設定された送信出力で無線タグTgに記憶されている情報の読み取り処理を実行する。そして、読み取りが完了したら、受信応答レベルが最大であった無線タグTgがどれであるかを決定する。
【0080】
なお、全ての無線タグTgからは情報が読み取れなかった場合、読み取ることができた無線タグTgを対象として、受信応答レベルが最大である無線タグTgを決定する。また、情報が読み取れた無線タグTgが一つのみであれば、その無線タグTgを受信応答レベルが最大であった無線タグTgとする。
【0081】
そして、受信応答レベルが最大である無線タグTgのタグIDと図13に示した対応関係から、測定対象物40の含水率Wtの推定値を、12%、18%、25%のいずれかに決定する。推定した含水率Wtは表示部14に表示する。第2実施形態では、制御部120は最大受信レベル決定手段および含水率決定手段として機能する。
【0082】
以上、説明した第2実施形態では、3つの無線タグTgのうち受信応答レベルGが最大の無線タグTgを決定し、図13の対応関係から測定対象物40の含水率Wtを決定するので、簡単な処理で含水率Wtを推定することができる。
【0083】
また、要求される推定精度が高い場合には、別の比誘電率から定まるアンテナ長の無線タグTg(すなわち、別の共振周波数の無線タグTg)を増やすとともに、その増やした無線タグTgに対応する含水率Wtを図13に例示した対応関係に追加すればよい。したがって、容易に要求される推定精度に対応することができる。
【0084】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0085】
たとえば、前述の実施形態似では示したアンテナ長は一例であり、無線タグTgのアンテナ長は前述の実施形態に開示の長さに限定されない。たとえば、第1実施形態の無線タグTg2のアンテナ長を、含水率25%に対応する比誘電率εrから計算して設定してもよい。ただし、高い比誘電率εrからアンテナ長を設定するほど、アンテナ長が短くなり、アンテナ放射効率が落ちる。よって、アンテナ放射効率が許容できる範囲で、比誘電率εrからアンテナ長を設定することが好ましい。
【0086】
また、前述の実施形態における無線タグTgはパッシブタグであったが、アクティブタグであっても、測定対象物の比誘電率εrの影響(換言すれば測定対象物の含水率Wtの影響)を受けることはパッシブタグと同じである。従って、本発明の含水率推定システムにおける無線タグをアクティブタグとしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
R:タグリーダ、 Tg:無線タグ、 12:持ち手部、 14:表示部、 20:柱、 22:壁、 30:回路部、 31:(Tg1の)アンテナ、 32:(Tg2の)アンテナ、 33:(Tg3の)アンテナ、 34:(Tg4の)アンテナ、 35:(Tg5の)アンテナ、 40:測定対象物、 102:アンテナ、 104:アンテナ共用器、 106:IQ復調器、 108:受信レベル測定部、 110:デコード部、 120:制御部(最大受信レベル決定手段、含水率決定手段)、 130:記憶部、 132:コーディング部、 134:変調器、 136:局部発信器、 138:可変利得増幅器(送信電力調整部)、 140:パワーアンプ、 S4:読み取り判定手段、 S5:最低送信電力決定手段、 S7:受信レベル差算出手段、 S8、S11:含水率決定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13