特許第5942972号(P5942972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5942972
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】緊急車両の排気浄化システム
(51)【国際特許分類】
   F02D 41/22 20060101AFI20160616BHJP
   F01N 3/023 20060101ALI20160616BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   F02D41/22 380Z
   F01N3/023 Z
   F01N3/023 K
   F02D45/00 312Z
   F02D45/00 314Z
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-261316(P2013-261316)
(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公開番号】特開2015-117620(P2015-117620A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2015年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】境野 誠
(72)【発明者】
【氏名】笈川 直彦
(72)【発明者】
【氏名】天池 雅明
【審査官】 山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−037925(JP,A)
【文献】 特開2013−194548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 41/00 − 45/00
F01N 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急出動中であることを報知する緊急出動報知手段を備えた緊急車両の排気浄化システムにおいて、
エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段を用いて検出した前記エンジンの運転状態に基づいて前記エンジンを制御する制御手段と、
前記エンジンからの排気中に含まれる微粒子状物質を捕集する主フィルタと、
前記主フィルタに対して並列するように設けられた補助フィルタと、
前記制御手段からの制御信号に基づいて前記エンジンからの排気を前記主フィルタに導くか前記補助フィルタに導くか切替え可能な流路切替手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記流路切替手段を前記主フィルタの側に設定している場合は、前記エンジンの運転状態に基づいて前記主フィルタが捕集した微粒子状物質の量を積算し、積算した微粒子状物質の捕集量が所定量を超えると、再生条件を満足した際に前記主フィルタが捕集している微粒子状物質を燃焼除去する再生処理を施し、前記再生処理が施されない状態が継続されて前記主フィルタの捕集量が前記所定量よりも多い第1所定量を超えた場合は、エンジンの出力を制限するエンジン出力制限状態へと移行し、
前記流路切替手段を前記補助フィルタの側に設定している場合に前記補助フィルタの捕集量を積算し、
緊急出動中である場合に、前記流路切替手段が前記主フィルタの側に設定されており且つ前記主フィルタの捕集量が前記エンジン出力制限状態とするべき前記第1所定量を超えているときは、前記流路切替手段を前記補助フィルタの側に設定し、前記補助フィルタの捕集量が前記エンジン出力制限状態とするべき第2所定量を超えているときは前記エンジン出力制限状態を強制的に解除する、
緊急車両の排気浄化システム。
【請求項2】
緊急出動中であることを報知する緊急出動報知手段を備えた緊急車両の排気浄化システムにおいて、
エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段を用いて検出した前記エンジンの運転状態に基づいて前記エンジンを制御する制御手段と、
前記エンジンからの排気中に含まれる微粒子状物質を捕集する主フィルタと、
前記主フィルタに対して並列するように設けられた補助フィルタと、
前記制御手段からの制御信号に基づいて前記エンジンからの排気を前記主フィルタに導くか前記補助フィルタに導くか切替え可能な流路切替手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記流路切替手段を前記主フィルタの側に設定している場合は、前記エンジンの運転状態に基づいて前記主フィルタが捕集した微粒子状物質の量を積算し、積算した微粒子状物質の捕集量が所定量を超えると、再生条件を満足した際に前記主フィルタが捕集している微粒子状物質を燃焼除去する再生処理を施し、前記再生処理が施されない状態が継続されて前記主フィルタの捕集量が前記所定量よりも多い第1所定量を超えた場合は、エンジンの出力を制限するエンジン出力制限状態へと移行し、
前記流路切替手段を前記補助フィルタの側に設定している場合に前記補助フィルタの捕集量を積算し、
緊急出動中である場合は、前記流路切替手段を強制的に前記補助フィルタの側に設定し、前記補助フィルタの捕集量が前記エンジン出力制限状態とするべき前記第2所定量を超えているときは前記エンジン出力制限状態を強制的に解除する、
緊急車両の排気浄化システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の緊急車両の排気浄化システムであって、
前記制御手段は、緊急出動中に前記補助フィルタを使用した場合、緊急出動が解除された後、前記緊急車両の乗員によって操作される手動再生指示手段による前記補助フィルタの再生処理である手動再生処理を促す手動再生督促手段を動作させる、
緊急車両の排気浄化システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の緊急車両の排気浄化システムであって、
前記緊急出動報知手段は、前記緊急車両の乗員からON状態またはOFF状態に操作される緊急出動操作手段によって動作し、
前記制御手段は、
前記緊急出動操作手段がON状態である場合は緊急出動中であると判定し、
前記緊急出動操作手段がON状態からOFF状態へと操作されてOFF状態が継続している場合、所定条件が満足されるまでの間は緊急出動中であると判定する、
緊急車両の排気浄化システム。
【請求項5】
請求項4に記載の緊急車両の排気浄化システムであって、
前記所定条件は、前記緊急出動操作手段がON状態からOFF状態へと操作された時点からの経過時間が所定時間未満、あるいは前記緊急出動操作手段がON状態からOFF状態へと操作された時点からの走行距離が所定距離未満、の少なくとも一方である、
緊急車両の排気浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排気経路中に微粒子状物質を捕集するフィルタを備えている緊急車両の排気浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、車両のエンジンからの排気中の微粒子を捕集するフィルタを備え、フィルタにて捕集した微粒子量が第1閾値以上になると運転者に手動再生(フィルタが捕集した微粒子を燃焼除去するようにエンジンを制御してフィルタ機能を再生させる)をするためのスイッチを作動させるように警告する警告ランプを点灯させている。そして、手動再生が行われずに捕集した微粒子量が第1閾値よりも多い第2閾値以上になると、最大燃料噴射量を減量(エンジンの出力を制限)して運転者に手動再生の実施を促している。なお、車速が所定速度以上(高速道路を走行中の場合等)では、最大燃料噴射量の減量を禁止し、速度が出ないことによる事故等が発生しないように、運転者が期待する速度が出るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−37925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、フィルタの微粒子状物質の捕集量に応じて、まず手動再生を警告し、そして手動再生が行われない状態が継続すると最大燃料噴射量を減量してフィルタの再生処理を運転者に促している。なお、最大燃料噴射量の減量を行うべき状態であっても、車両の速度が所定速度以上であれば、最大燃料噴射量の減量を禁止しているが、この最大燃料噴射量の減量を禁止する条件が、所定速度以上だけでは不十分な場合がある。
車両が救急車等の緊急車両である場合に最大燃料噴射量の減量(エンジンの出力の制限)を行うべき状態となったとき、例えば人命救助等のための緊急出動の際に勾配のきつい上り坂に遭遇すると、所定速度以上に車速を出すことができず、しかも最大燃料噴射量の減量の影響で、上り坂を登ることができないようなときも考えられる。これでは、一刻を争う緊急現場に急行することができない可能性がある。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、緊急車両の緊急出動中は、フィルタの微粒子状物質の捕集量がエンジンの出力を制限するべき捕集量であっても、一刻も早く緊急現場に到達することができる、緊急車両の排気浄化システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る緊急車両の排気浄化システムは次の手段をとる。
まず、本実施の形態に記載の発明は、緊急出動中であることを報知する緊急出動報知手段を備えた緊急車両の排気浄化システムにおいて、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段を用いて検出した前記エンジンの運転状態に基づいて前記エンジンを制御する制御手段と、前記エンジンからの排気中に含まれる微粒子状物質を捕集する主フィルタと、を備えている。
そして、前記制御手段は、前記エンジンの運転状態に基づいて前記主フィルタが捕集した微粒子状物質の量を積算し、積算した微粒子状物質の捕集量が所定量を超えると、再生条件を満足した際に前記主フィルタが捕集している微粒子状物質を燃焼除去する再生処理を施し、前記再生処理が施されない状態が継続されて前記主フィルタの捕集量が前記所定量よりも多い第1所定量を超えた場合は、エンジンの出力を制限するエンジン出力制限状態へと移行し、緊急出動中である場合に前記エンジン出力制限状態であるときは、前記エンジン出力制限状態を強制的に解除する。
【0006】
この本実施の形態に記載の発明では、フィルタの微粒子状物質の捕集量がエンジンの出力を制限するべき捕集量であっても緊急出動中は、エンジンの出力制限状態を強制的に解除する。
これにより、緊急出動中の場合、主フィルタの微粒子状物質の捕集量がエンジンの出力を制限するべき捕集量であっても、(また、勾配のきつい上り坂に遭遇しても)その車両の最大速度で緊急現場に急行することが可能であり、一刻も早く緊急現場に到達することができる。
【0007】
次に、本発明の第1の発明は、緊急出動中であることを報知する緊急出動報知手段を備えた緊急車両の排気浄化システムにおいて、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段を用いて検出した前記エンジンの運転状態に基づいて前記エンジンを制御する制御手段と、前記エンジンからの排気中に含まれる微粒子状物質を捕集する主フィルタと、前記主フィルタに対して並列するように設けられた補助フィルタと、前記制御手段からの制御信号に基づいて前記エンジンからの排気を前記主フィルタに導くか前記補助フィルタに導くか切替え可能な流路切替手段と、を備えている。
そして、前記制御手段は、前記流路切替手段を前記主フィルタの側に設定している場合は、前記エンジンの運転状態に基づいて前記主フィルタが捕集した微粒子状物質の量を積算し、積算した微粒子状物質の捕集量が所定量を超えると、再生条件を満足した際に前記主フィルタが捕集している微粒子状物質を燃焼除去する再生処理を施し、前記再生処理が施されない状態が継続されて前記主フィルタの捕集量が前記所定量よりも多い第1所定量を超えた場合は、エンジンの出力を制限するエンジン出力制限状態へと移行し、前記流路切替手段を前記補助フィルタの側に設定している場合に前記補助フィルタの捕集量を積算し、緊急出動中である場合に、前記流路切替手段が前記主フィルタの側に設定されており且つ前記主フィルタの捕集量が前記エンジン出力制限状態とするべき前記第1所定量を超えているときは、前記流路切替手段を前記補助フィルタの側に設定し、前記補助フィルタの捕集量が前記エンジン出力制限状態とするべき第2所定量を超えているときは前記エンジン出力制限状態を強制的に解除する。
【0008】
この第1の発明では、補助フィルタと流路切替手段を有し、緊急出動中の場合、主フィルタによる微粒子状物質の捕集量がエンジンの出力を制限するべき捕集量であるときは、流路切替手段を補助フィルタの側に設定する。そして、補助フィルタによる微粒子状物質の捕集量がエンジンの出力を制限するべき捕集量であっても緊急出動中は、エンジンの出力制限状態を強制的に解除する。
これにより、緊急出動中の場合は、主フィルタの微粒子状物質の捕集量がエンジンの出力を制限するべき捕集量であり、更に補助フィルタの微粒子状物質の捕集量がエンジンの出力を制限するべき捕集量であっても、その車両の最大速度で緊急現場に急行することが可能であり、一刻も早く緊急現場に到達することができる。
【0009】
次に、本発明の第2の発明は、緊急出動中であることを報知する緊急出動報知手段を備えた緊急車両の排気浄化システムにおいて、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段を用いて検出した前記エンジンの運転状態に基づいて前記エンジンを制御する制御手段と、前記エンジンからの排気中に含まれる微粒子状物質を捕集する主フィルタと、前記主フィルタに対して並列するように設けられた補助フィルタと、前記制御手段からの制御信号に基づいて前記エンジンからの排気を前記主フィルタに導くか前記補助フィルタに導くか切替え可能な流路切替手段と、を備えている。
そして、前記制御手段は、前記流路切替手段を前記主フィルタの側に設定している場合は、前記エンジンの運転状態に基づいて前記主フィルタが捕集した微粒子状物質の量を積算し、積算した微粒子状物質の捕集量が所定量を超えると、再生条件を満足した際に前記主フィルタが捕集している微粒子状物質を燃焼除去する再生処理を施し、前記再生処理が施されない状態が継続されて前記主フィルタの捕集量が前記所定量よりも多い第1所定量を超えた場合は、エンジンの出力を制限するエンジン出力制限状態へと移行し、前記流路切替手段を前記補助フィルタの側に設定している場合に前記補助フィルタの捕集量を積算し、緊急出動中である場合は、前記流路切替手段を強制的に前記補助フィルタの側に設定し、前記補助フィルタの捕集量が前記エンジン出力制限状態とするべき前記第2所定量を超えているときは前記エンジン出力制限状態を強制的に解除する。
【0010】
この第2の発明では、補助フィルタと流路切替手段を有し、緊急出動中の場合、流路切替手段を強制的に補助フィルタの側に設定する。そして、補助フィルタによる微粒子状物質の捕集量がエンジンの出力を制限するべき捕集量であるときは、エンジンの出力制限状態を強制的に解除する。
これにより、緊急出動中の場合は、主フィルタの微粒子状物質の捕集量がエンジンの出力を制限するべき捕集量であるか否かかにかかわらず流路切替手段を補助フィルタの側に設定する。そして、補助フィルタの微粒子状物質の捕集量がエンジンの出力を制限するべき捕集量であっても、その車両の最大速度で緊急現場に急行することが可能であり、一刻も早く緊急現場に到達することができる。
【0011】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明または第2の発明に係る緊急車両の排気浄化システムであって、前記制御手段は、緊急出動中に前記補助フィルタを使用した場合、緊急出動が解除された後、前記緊急車両の乗員によって操作される手動再生指示手段による前記補助フィルタの再生処理である手動再生処理を促す手動再生督促手段を動作させる。
【0012】
この第3の発明では、補助フィルタを備えた緊急車両の場合、緊急出動中に補助フィルタを使用したときは、緊急出動が解除された後、手動再生処理を督促する。
これにより、次の緊急出動に備えて、補助フィルタに捕集されている微粒子状物質を燃焼除去するように、乗員に督促することができるので便利である。
【0013】
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明〜第3の発明のいずれか1つに係る緊急車両の排気浄化システムであって、前記緊急出動報知手段は、前記緊急車両の乗員からON状態またはOFF状態に操作される緊急出動操作手段によって動作する。
そして、前記制御手段は、前記緊急出動操作手段がON状態である場合は緊急出動中であると判定し、前記緊急出動操作手段がON状態からOFF状態へと操作されてOFF状態が継続している場合、所定条件が満足されるまでの間は緊急出動中であると判定する。
【0014】
例えば緊急車両が緊急現場に到着した際、警告灯の光や警告音によって周囲の無関係な住人等が集まって緊急車両の身動きが取れなくなる場合がある。また深夜の場合では、警告灯の光や警告音が、周囲の住人の迷惑になる可能性がある。
このような状況を回避するために、緊急車両の乗員が、緊急現場に到着する少し手前で緊急出動操作手段を操作して警告灯や警告音を止める場合がある。
この第4の発明では、上記のように緊急現場に到着する少し手前で警告灯や警告音を止められたような場合であっても、制御装置は、緊急現場に到着するまで緊急出動中であるとみなし、エンジンの出力制限状態を強制的に解除することができる。
【0015】
次に、本発明の第5の発明は、上記第4の発明に係る緊急車両の排気浄化システムであって、前記所定条件は、前記緊急出動操作手段がON状態からOFF状態へと操作された時点からの経過時間が所定時間未満、あるいは前記緊急出動操作手段がON状態からOFF状態へと操作された時点からの走行距離が所定距離未満、の少なくとも一方である。
【0016】
この第5の発明では、緊急出動操作手段がON状態からOFF状態へと操作されてから、所定時間が経過するまでの間、または所定距離を走行するまでの間、の少なくとも一方を満足する間は、緊急出動操作手段がOFF状態であっても緊急出動中であるとみなすので、緊急現場に到着する少し手前で警告灯や警告音を止められたような場合であっても、緊急現場に到着するまで緊急出動中であるとみなし、エンジンの出力制限状態を強制的に解除することができる。

【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の(緊急車両の)排気浄化システムの構成を説明する図である。
図2】第1の実施の形態の処理手順を説明するフローチャートである。
図3】第1の実施の形態の処理手順を説明するフローチャートである。
図4】第1の実施の形態の処理手順を説明するフローチャートである。
図5】第1の実施の形態の処理手順を説明するフローチャートである。
図6】第1の実施の形態の処理手順を説明するフローチャートである。
図7】第2の実施の形態の処理手順を説明するフローチャートである。
図8】第2の実施の形態の処理手順を説明するフローチャートである。
図9】第2の実施の形態の処理手順を説明するフローチャートである。
図10】第2の実施の形態の処理手順を説明するフローチャートである。
図11】第2の実施の形態の処理手順を説明するフローチャートである。
図12】第3の実施の形態の処理手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。
●[排気浄化システム20の構成(図1)]
本発明の排気浄化システムが搭載される車両は、救急車や消防車やパトロールカー等、警告灯やサイレン等にて緊急手動中であることを周囲に報知することが可能な緊急車両である。
まず図1を用いて、本発明の(緊急車両の)排気浄化システム20の構成について説明する。
本発明の排気浄化システム20は、内燃機関10(エンジン(この場合、ディーゼルエンジン))の排気経路12の途中に設けられている主フィルタ42M、補助フィルタ42S、流路切替弁42V(流路切替手段に相当)、制御装置25(制御手段に相当)、緊急出動スイッチ51(緊急出動操作手段に相当)、手動再生スイッチ57(手動再生指示手段に相当)、警告灯52及び駆動装置52A(緊急出動報知手段に相当)、警告スピーカ53及び駆動装置53A(緊急出動報知手段に相当)、手動再生督促ランプ55(手動再生督促手段に相当)、フィルタ交換要求ランプ56(主フィルタ交換要求ランプまたは補助フィルタ交換要求ランプ)等にて構成されている。
なお、流路切替弁42Vと補助フィルタ42Sは、後述する第1の実施の形態では不要であり、第2及び第3の実施の形態では必須であるので、図1では点線にて示している。
【0019】
排気経路12には、上流側から、酸化触媒41、主フィルタ42M及び補助フィルタ42S、SCR触媒43、酸化触媒44、が順次接続されている。
酸化触媒41は、炭化水素(HC)と一酸化炭素(CO)を無害化する触媒である。
主フィルタ42M及び補助フィルタ42Sは、排気ガス中の粒子状物質を捕集するいわゆるDPF(Diesel Particulate Filter)である。
流路切替弁42Vは、制御装置25からの制御信号に基づいて、酸化触媒41を通過してきた排気を、主フィルタ42Mの側に導くか、補助フィルタ42Sの側に導くか、のいずれかへと排気経路を切替える。
【0020】
またSCR触媒43は、添加弁21から噴射されて分散装置43Aにて拡散された還元剤(例えば尿素水)を用いて窒素酸化物(NOx)を無害化する触媒であり、酸化触媒44は、SCR触媒にて反応に使用されずに余った還元剤を無害化する触媒である。
還元剤タンク22には液体状の還元剤が蓄えられており、還元剤タンク22の下方には吐出配管H1の一方端が接続され、吐出配管H1の他方端は添加弁21に接続されている。
吐出配管H1にはポンプ23が設けられており、ポンプ23は、制御装置25からの制御信号に基づいて還元剤タンク22内の還元剤を添加弁21に向けて圧送する。
添加弁21は、SCR触媒43の上流から、排気ガス中の所定成分(この場合、NOx)を浄化するための液体状の還元剤を、制御装置25からの制御信号に基づいて、分散装置43Aに向けて噴射する。そして添加弁21には、吐出配管H1の他方端が接続されている。
分散装置43Aは、熱伝導性の高い金属等にて構成され、添加弁21から噴射された還元剤と排気とを効果的に混合拡散させる。また分散装置取り付け部配管の外周には加熱部が取り付けられて混合拡散を促進している。還元剤として尿素水を用いた場合、分散装置は、尿素水が加水分解されて生成されたアンモニアと排気ガスとを混合分散させ、加熱することで加水分解を促進する。
【0021】
緊急出動スイッチ51は、乗員からの操作によってON状態またはOFF状態となるように操作され、緊急出動スイッチ51の状態は制御装置25に入力されている。そして、緊急出動スイッチ51がON状態に操作されると、駆動装置52Aを介して警告灯52が点灯されて警告光が出力されるとともに駆動装置53Aを介して警告スピーカ53から警告音が出力され、車両が緊急手動中であることを周囲に報知する。
手動再生スイッチ57(手動再生指示手段に相当)は、乗員からの操作によってON状態またはOFF状態となるように操作され、手動再生スイッチ57の状態は制御装置25に入力されている。そして、手動再生督促ランプ55が点灯しているときに手動再生スイッチ57がON状態に操作されると、後述する手動再生処理が行われる。
手動再生督促ランプ55は、主フィルタ42Mの手動再生処理を行うべき場合、あるいは補助フィルタ42Sの手動再生処理を行うべき場合に、制御装置25からの制御信号に基づいて点灯される。
フィルタ交換要求ランプ56は、主フィルタ42Mが交換されるべき状態である場合、あるいは補助フィルタ42Sが交換されるべき状態である場合に、制御装置25からの制御信号に基づいて点灯される。
【0022】
また制御装置25には、上記に説明した入力の他にも、吸入空気流量検出手段31の検出信号、NOx検出手段32の検出信号、アクセル開度検出手段33の検出信号、回転検出手段34の検出信号、シフトポジション検出手段(図示省略)の検出信号、のそれぞれが入力されている。そして制御装置25は、これらの検出手段からの信号に基づいて内燃機関10の運転状態を検出することができる。
また制御装置25は、上記に説明した出力の他にも、内燃機関10に燃料を噴射するインジェクタ35へ駆動信号を出力する。
吸入空気流量検出手段31は、内燃機関10の吸気経路11に設けられて内燃機関10が吸入した空気の流量に応じた検出信号を出力する。
NOx検出手段32は、内燃機関10の排気経路12に設けられて内燃機関10の排気ガス中のNOxに応じた検出信号を出力する。
アクセル開度検出手段33は、運転者が操作するアクセルの開度(すなわち、運転者の要求負荷)に応じた検出信号を出力する。
回転検出手段34は、例えば内燃機関10のクランクシャフトの回転に応じた検出信号を出力する。
シフトポジション検出手段は、シフトレバーの位置(パーキング、ニュートラル、Dレンジ、Sレンジ等)に応じた検出信号を出力する。
以降の説明にて、本発明の(緊急車両の)排気浄化システムにおける制御装置25の処理手順における第1の実施の形態〜第3の実施の形態について説明する。
【0023】
●[第1の実施の形態の処理手順(主フィルタ42Mを備えているが補助フィルタ42S及び流路切替弁42Vを備えていない緊急車両の制御装置25の処理手順)(図2図6)]
第1の実施の形態では、図1に示す排気浄化システム20において、主フィルタ42Mを備えているが、補助フィルタ42S及び流路切替弁42Vを備えていない緊急車両の場合における処理手順について説明する。
第1の実施の形態では、主フィルタ42Mの微粒子状物質の捕集量が、エンジン出力制限状態とするべき捕集量であっても、緊急出動中は、エンジン出力制限状態を強制的に解除する。
以下、図2図6の各フローチャートの詳細について説明する。
【0024】
●[第1の実施の形態の処理S100(図2)の説明]
まず図2に示す処理S100について説明する。制御装置25は、例えば所定時間間隔(数[ms]〜数10[ms]間隔等)にて処理S100を起動する。なお処理S100は、緊急出動中フラグをONまたはOFFにする処理である。
制御装置25は、緊急出動スイッチがON状態の場合は緊急出動中であると判定し、緊急出動スイッチがON状態からOFF状態へと操作された場合は所定時間が経過するまで、あるいは所定距離を走行するまで、一方の条件が満足されている間は、緊急出動中であると判定する。
なお、所定時間が経過するまで且つ所定距離を走行するまで緊急出動中であると判定してもよいし、所定時間が経過するまでと、所定距離を走行するまで、の少なくとも一方の条件が満足されるまで緊急出動中であると判定するようにしてもよい。
【0025】
ステップS110にて制御装置25は、緊急出動スイッチ51の状態がOFF状態からON状態へと変化した(前回の判定時ではOFF状態であり今回の判定時ではON状態となった)か否かを判定し、OFF状態からON状態へと変化した場合(Yes)はステップS140Aに進み、そうでない場合(No)はステップS115に進む。
ステップS115に進んだ場合、制御装置25は、緊急出動スイッチ51の状態がON状態であるか否かを判定し、ON状態である場合(Yes)はステップS140Aに進み、ON状態でない場合(No)はステップS120に進む。
【0026】
ステップS120に進んだ場合、制御装置25は、緊急出動スイッチ51の状態がON状態からOFF状態へと変化したか否かを判定し、ON状態からOFF状態へと変化した場合(Yes)はステップS125に進み、そうでない場合(No)はステップS130に進む。
ステップS125に進んだ場合、制御装置25は、一定時間タイマと一定距離カウンタを起動(初期化)してステップS130に進む。なお、一定時間タイマは、緊急出動スイッチがON状態からOFF状態へと変化した後の経過時間を計測するタイマであり、一定距離カウンタは、緊急出動スイッチがON状態からOFF状態へと変化した後の走行距離を計測するカウンタであり、それぞれ図示省略した別の処理にてカウントされる。
【0027】
ステップS130に進んだ場合、制御装置25は、一定時間タイマの計測時間が所定時間未満(例えば数10[分]未満)であるか否かを判定し、所定時間未満(緊急出動スイッチがON状態からOFF状態に変化後、所定時間が経過するまで)である場合(Yes)はステップS140Aに進み、所定時間以上が経過している場合(No)はステップS135に進む。
ステップS135に進んだ場合、制御装置25は、一定距離カウンタの計測距離が所定距離未満(例えば数100[m]〜数キロ[m]未満)であるか否かを判定し、所定距離未満(緊急出動スイッチがON状態からOFF状態に変化後、所定距離を走行するまで)である場合(Yes)はステップS140Aに進み、所定距離以上を走行している場合(No)はステップS140Bに進む。
ステップS140Aに進んだ場合、制御装置25は、緊急出動中フラグをONに設定して(緊急出動中であると判定して)処理S100を終了する。
ステップS140Bに進んだ場合、制御装置25は、緊急出動中フラグをOFFに設定して(緊急出動中でないと判定して)処理S100を終了する。
【0028】
●[第1の実施の形態の処理S200(図3)の説明]
次に図3に示す処理S200について説明する。制御装置25は、例えば所定時間間隔(数[ms]〜数10[ms]間隔等)にて処理S200を起動する。なお処理S200は、主フィルタ手動再生要求フラグ、及び手動再生督促ランプに関する処理である。
図示省略するが、制御装置25は、エンジンの運転状態に基づいて、主フィルタ42Mによる微粒子状物質の捕集量を積算している。そして制御装置25は、積算した微粒子状物質の捕集量が自動再生閾値((自動再生の)所定量に相当)を超えると、(自動)再生条件を満足した際に主フィルタ42Mが捕集している微粒子状物質を燃焼除去する(自動)再生処理を施す。例えば、主フィルタの捕集量が自動再生閾値を超えたとき、車両の速度が所定速度以上である場合かつエンジン回転数が所定回転数以上である場合、排気温度が上昇するように噴射時期を遅らせたり、噴射圧を下げたり、酸化触媒の上流に設けた噴射弁から燃料を噴射したりして、主フィルタ42M内の排気の温度を強制的に上昇させる(自動)再生処理を施す。そして制御装置25は、主フィルタ42M内に捕集されている微粒子状物質を燃焼除去し、所定時間(例えば数10[分]程度)の燃焼除去の後、(自動)再生処理を解除して主フィルタの捕集量を初期化(リセット)する。なお、(自動)再生条件(この場合、車速が所定車速以上かつエンジン回転数が所定回転数以上)を満足することがない場合では、(自動)再生処理が行われずに主フィルタの捕集量はさらに増加していく。
そして制御装置25は、捕集量が自動再生閾値よりも多い手動再生閾値((手動再生の)所定量に相当)を超えると、安全に(自動)再生処理を行うことができる状態ではないと判断し、乗員の手動による手動再生処理の実施を促すために、手動再生督促ランプを点灯させる。
また、主フィルタ過熱履歴フラグは、主フィルタが所定温度以上となるまで過熱したことが検出された場合にONとなるフラグであり、その処理については省略する。なお、主フィルタ過熱履歴フラグがONの場合、主フィルタは交換されるべき状態であるので、手動再生の要求を行わず、交換を要求する(交換要求については図6を参照)。
【0029】
ステップS210にて制御装置25は、緊急出動中フラグがON状態であるか否かを判定し、ON状態である場合(Yes)は処理S200を終了し、ON状態でない場合(No)はステップS215に進む。
ステップS215に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ過熱履歴フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)はステップS225Bに進み、ONでない場合(No)はステップS220に進む。
ステップS220に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタの手動再生要求条件が成立しているか否かを判定し、成立している場合(Yes)はステップS225Aに進み、成立していない場合(No)はステップS230に進む。なお、主フィルタの手動再生要求条件が成立している場合とは、例えば主フィルタの微粒子状物質の捕集量が、手動再生閾値を超えている場合である。
【0030】
ステップS225Aに進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ手動再生要求フラグをONに設定してステップS230に進む。
ステップS225Bに進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ手動再生要求フラグをOFFに設定してステップS230に進む。
ステップS230に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ手動再生要求フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)はステップS235Aに進み、ONでない場合(No)はステップS235Bに進む。
ステップS235Aに進んだ場合、制御装置25は、手動再生督促ランプをONに設定して処理S200を終了する。
ステップS235Bに進んだ場合、制御装置25は、手動再生督促ランプをOFFに設定して処理S200を終了する。
【0031】
●[第1の実施の形態の処理S300(図4)の説明]
次に図4に示す処理S300について説明する。制御装置25は、例えば所定時間間隔(数[ms]〜数10[ms]間隔等)にて処理S300を起動する。なお処理S300は、主フィルタの手動再生に関する処理である。
乗員は、手動再生督促ランプの点灯を認識した場合、車両を安全な場所に停止し、手動再生スイッチをON状態にすることで、主フィルタの手動再生を行うことができる。
制御装置25は、例えば車両が停止状態、且つシフトレバー(ギア)がニュートラルまたはパーキング、且つアクセルの踏み込み量=ゼロ、であるとき、手動再生スイッチがON状態にされると、エンジンをアイドリング状態から所定回転数まで上昇させ、さらに排気温度を強制的に上昇させ、主フィルタ内に捕集されている微粒子状物質を燃焼除去し、所定時間(例えば数10[分]程度)の燃焼除去の後、手動再生処理を解除して主フィルタの捕集量を初期化(リセット)する。
【0032】
ステップS310にて制御装置25は、緊急出動中フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)は処理S300を終了し、ONでない場合(No)はステップS315に進む。
ステップS315に進んだ場合、制御装置25は、手動再生スイッチ57がONに操作されているか否かを判定し、ONである場合(Yes)はステップS320に進み、ONでない場合(No)は処理S300を終了する。
【0033】
ステップS320に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ手動再生要求フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)はステップS325に進み、ONでない場合(No)はステップS345に進む。
ステップS325に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ手動再生実行条件が成立しているか否かを判定し、成立している場合(Yes)はステップS335に進み、成立していない場合(No)はステップS345に進む。なお、主フィルタ手動再生実行条件は、例えば車両が停止状態、且つシフトレバー(ギア)がニュートラルまたはパーキング、且つアクセルの踏み込み量=ゼロ、である。
ステップS335に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ手動再生実行中フラグをONに設定してステップS340に進む。
ステップS340では制御装置25は、主フィルタの手動再生処理を実行してステップS345に進む。なお、主フィルタの手動再生処理の詳細については省略するが、例えば強制的に回転数を所定回転数まで上昇させて、排気温度が上昇するように噴射時期を遅らせたり、噴射圧を下げたり、酸化触媒の上流に設けた噴射弁から燃料を噴射したりして、主フィルタ内の排気の温度を強制的に上昇させて捕集している微粒子状物質を燃焼除去する。
【0034】
ステップS345に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ手動再生実行中フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)はステップS350に進み、ONでない場合(No)は処理S300を終了する。
ステップS350に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ手動再生完了条件が成立しているか否かを判定し、成立している場合(Yes)はステップS355に進み、成立していない場合(No)は処理S300を終了する。なお、主フィルタ手動再生完了条件は、例えば、主フィルタ手動再生実行中フラグがONになって手動再生処理が実行されてからの経過時間が所定時間(例えば数10[分]程度)以上となった場合である。
ステップS355に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ手動再生実行中フラグをOFFに設定して、主フィルタ手動再生要求フラグをOFFに設定して、ステップS360に進む。
ステップS360に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタの微粒子状物質の捕集量を初期化(リセット)して処理S300を終了する。
【0035】
●[第1の実施の形態の処理S400(図5)の説明]
次に図5に示す処理S400について説明する。制御装置25は、例えば所定時間間隔(数[ms]〜数10[ms]間隔等)にて処理S400を起動する。なお処理S400は、エンジン出力制限フラグをONまたはOFFにする処理である。
制御装置25は、主フィルタの微粒子状物質の捕集量が、手動再生閾値よりも多い出力制限閾値(第1所定量に相当)を超えると、燃料の噴射量を低減する等してエンジンの出力を強制的に制限し(エンジン出力制限状態へと移行し)、緊急車両の乗員に、主フィルタが再生処理を行うべき状態であることを気づかせる。
ただし、緊急出動中は、緊急現場に一刻も早く到達できるように、エンジン出力制限状態を強制的に解除する。
【0036】
ステップS415にて制御装置25は、主フィルタの自動再生処理中(自動再生処理の実行中)であるか否かを判定し、自動再生処理中である場合(Yes)はステップ460Bに進み、自動再生中でない場合(No)はステップS420に進む。なお、自動再生処理の詳細については説明を省略する。
ステップS420に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ手動再生実行中フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)はステップS460Bに進み、ONでない場合(No)はステップS425に進む。
ステップS425に進んだ場合、制御装置25は、エンジンの出力制限条件が成立しているか否かを判定し、成立している場合(Yes)はステップS430に進み、成立していない場合(No)はステップS460Bに進む。例えば制御装置25は、主フィルタの微粒子状物質の捕集量が、手動再生閾値(>自動再生閾値)よりも多い出力制限閾値(第1所定量に相当)を超えたとき、(主フィルタに対する)エンジンの出力制限条件が成立している判定する。
【0037】
ステップS430に進んだ場合、制御装置25は、緊急出動中フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)はステップS460Bに進み、ONでない場合(No)はステップS460Aに進む。
ステップS460Aに進んだ場合、制御装置25は、エンジン出力制限フラグをONに設定して(エンジン出力制限状態へと移行して)処理S400を終了する。
ステップS460Bに進んだ場合、制御装置25は、エンジン出力制限フラグをOFFに設定して(エンジン出力制限状態を解除して)処理S400を終了する。
このように、処理S400では、エンジン出力制限状態へと移行するべき状態であっても、ステップS430の判定にて緊急出動中の場合は、エンジン出力制限状態を強制的に解除する。
【0038】
●[第1の実施の形態の処理S500(図6)の説明]
次に図6に示す処理S500について説明する。制御装置25は、例えば所定時間間隔(数[ms]〜数10[ms]間隔等)にて処理S500を起動する。なお処理S500は、主フィルタ交換要求フラグ、主フィルタ交換要求ランプ(フィルタ交換要求ランプ56)に関する処理である。
緊急車両の乗員は、主フィルタ交換要求ランプがONであることを認識すると、主フィルタは交換するべき状態であり、早期に交換作業を行うべきである、と認識することができる。そして乗員は、主フィルタの交換作業を行った後、制御装置25と通信可能なツール等を接続し、当該ツール等から主フィルタを交換したことを示すために主フィルタ交換済フラグをONに設定する。
【0039】
ステップS510にて制御装置25は、緊急出動中フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)は処理S500を終了し、ONでない場合(No)はステップS515に進む。
ステップS515に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ過熱履歴フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)はステップS520に進み、ONでない場合(No)はステップS525に進む。
ステップS520に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ交換要求ランプをONに設定してステップS525に進む。
【0040】
ステップS525に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ交換要求ランプがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)はステップS530に進み、ONでない場合(No)は処理S500を終了する。
ステップS530に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ交換済フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合はステップS535に進み、ONでない場合(No)は処理S500を終了する。
ステップS535に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ交換要求ランプをOFFに設定し、主フィルタ過熱履歴フラグをOFFに設定し、主フィルタ交換済フラグをOFFに設定して処理S500を終了する。
【0041】
●[第2の実施の形態の処理手順(主フィルタ42Mと補助フィルタ42Sと流路切替弁42Vを備えている緊急車両の制御装置25の処理手順(その1))(図7図11)]
第2の実施の形態では、図1に示す排気浄化システム20において、主フィルタ42Mと補助フィルタ42Sと流路切替弁42Vを備えている緊急車両の場合における処理手順について説明する。
第2の実施の形態では、流路切替弁を主フィルタの側に設定している際の主フィルタ42Mの微粒子状物質の捕集量がエンジン出力制限状態とするべき捕集量(第1所定量に相当)である場合において緊急出動中は流路切替弁を補助フィルタ42Sの側に設定し、さらに補助フィルタ42Sの微粒子状物質の捕集量がエンジン出力制限状態とするべき捕集量(第2所定量に相当)であるとき、エンジン出力制限状態を強制的に解除する。なお、補助フィルタを使用した場合は、緊急出動の解除後に補助フィルタの手動再生処理を督促するための補助フィルタ使用歴フラグをONとする。
また図示省略するが、制御装置25は、流路切替弁42Vが主フィルタの側に設定されている場合はエンジンの運転状態に基づいて主フィルタ42Mによる微粒子状物質の捕集量(主フィルタ捕集量)を積算し、流路切替弁42Vが補助フィルタの側に設定されている場合はエンジンの運転状態に基づいて補助フィルタ42Sによる微粒子状物質の捕集量(補助フィルタ捕集量)を積算する。
以下、図7図11の各フローチャートの詳細について説明するが、第1の実施の形態のフローチャートとの相違点について主に説明する。
【0042】
●[第2の実施の形態の処理S100(図7)の説明]
まず図7に示す処理S100について説明する。図7に示すフローチャートの処理は、図2に示す第1の実施の形態のフローチャートに対して、太実線としたステップS145〜ステップS155A、155B、及びステップS170〜ステップS185、の処理が追加されている点が異なる。以下、この相違点について主に説明する。
第2の実施の形態の処理S100では、緊急出動中の場合、流路切替弁が主フィルタの側であって主フィルタの状態がエンジン出力制限状態にするべき状態(捕集量が出力制限閾値を超えている)のときは、流路切替弁を補助フィルタの側に設定する。なお緊急出動中でない場合は、補助フィルタの手動再生実行中等の特殊な状態を除き、流路切替弁を主フィルタの側に設定する。
【0043】
ステップS140Aに進んだ場合、制御装置25は、緊急出動中フラグをONに設定してステップS145に進む。
ステップS145に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタの出力制限条件が成立しているか否かを判定し、成立している場合(Yes)はステップS150に進み、成立していない場合(No)はステップS155Bに進む。例えば制御装置25は、主フィルタの微粒子状物質の捕集量が、手動再生閾値(>自動再生閾値)よりも多い出力制限閾値(第1所定量に相当)を超えたとき、エンジンの出力制限条件が成立している判定する。
ステップS150に進んだ場合、制御装置25は、補助フィルタ使用歴フラグをONに設定し、ステップS155Aに進む。
そしてステップS155Aにて制御装置25は、流路切替弁42Vを補助フィルタの側に設定して処理S100を終了する。
またステップS155Bに進んだ場合、制御装置25は、流路切替弁42Vを主フィルタの側に設定して処理S100を終了する。
【0044】
ステップS140Bに進んだ場合、制御装置25は、緊急出動中フラグをOFFに設定してステップS170に進む。
ステップS170に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタの自動再生中であるか否かを判定し、主フィルタの自動再生中である場合(Yes)は処理S100を終了し、主フィルタの自動再生中でない場合(No)はステップS175に進む。
ステップS175に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ手動再生実行中フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)は処理S100を終了し、ONでない場合(No)はステップS180に進む。
ステップS180に進んだ場合、制御装置25は、補助フィルタ手動再生実行中フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)は処理S100を終了し、ONでない場合(No)はステップS185に進む。
ステップS185に進んだ場合、制御装置25は、流路切替弁42Vを主フィルタの側に設定して処理S100を終了する。
【0045】
●[第2の実施の形態の処理S200(図8)の説明]
次に図8に示す処理S200について説明する。図8に示すフローチャートの処理は、図3に示す第1の実施の形態のフローチャートに対して全体的に変更されているので、全体を説明する。
制御装置25は、例えば所定時間間隔(数[ms]〜数10[ms]間隔等)にて処理S200を起動する。なお処理S200は、主フィルタ手動再生要求フラグ、補助フィルタ手動再生要求フラグ、及び手動再生督促ランプに関する処理である。
制御装置25は、主フィルタの微粒子状物質の捕集量が主フィルタ自動再生閾値((自動再生の)所定量に相当)よりも多い主フィルタ手動再生閾値((手動再生の)所定量に相当)を超えると、安全に主フィルタの自動再生処理を行うことができる状態ではないと判断し、乗員の手動による(主フィルタの)手動再生処理の実施を促すために、手動再生督促ランプを点灯させる。
また制御装置25は、補助フィルタについては、緊急出動にて補助フィルタを使用した場合は、次回の緊急出動に備えて、乗員の手動による(補助フィルタの)手動再生処理の実施を促すために、手動再生督促ランプを点灯させる。
また、補助フィルタ過熱履歴フラグは、補助フィルタが所定温度以上となるまで過熱したことが検出された場合にONとなるフラグであり、その処理については省略する。なお、補助フィルタ過熱履歴フラグがONの場合、補助フィルタは交換されるべき状態であるので、手動再生の要求を行わず、交換を要求する(交換要求については図11を参照)。
【0046】
ステップS260にて制御装置25は、緊急出動中フラグがON状態であるか否かを判定し、ON状態である場合(Yes)は処理S200を終了し、ON状態でない場合(No)はステップS265に進む。
ステップS265に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタの手動再生要求条件が成立しているか否かを判定し、成立している場合(Yes)はステップS270に進み、成立していない場合(No)はステップS275に進む。なお、主フィルタの手動再生要求条件が成立している場合とは、例えば主フィルタの微粒子状物質の捕集量が、手動再生閾値((主フィルタの手動再生の)所定量に相当)を超えている場合である。
ステップS270に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ手動再生要求フラグをONに設定してステップS275に進む。
【0047】
ステップS275に進んだ場合、制御装置25は、補助フィルタ過熱履歴フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)はステップS285Bに進み、ONでない場合(No)はステップS280に進む。
ステップS280に進んだ場合、制御装置25は、補助フィルタ使用歴フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)はステップS285Aに進み、ONでない場合(No)はステップS290に進む。
ステップS285Aに進んだ場合、制御装置25は、補助フィルタ手動再生要求フラグをONに設定してステップS290に進む。
ステップS285Bに進んだ場合、制御装置25は、補助フィルタ手動再生要求フラグをOFFに設定してステップS290に進む。
【0048】
ステップS290に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ手動再生要求フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)はステップS2A0Aに進み、ONでない場合(No)はステップS295に進む。
ステップS295に進んだ場合、制御装置25は、補助フィルタ手動再生要求フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)はステップS2A0Aに進み、ONでない場合(No)はステップS2A0Bに進む。
ステップS2A0Aに進んだ場合、制御装置25は、手動再生督促ランプをONに設定して処理S200を終了する。
ステップS2A0Bに進んだ場合、制御装置25は、手動再生督促ランプをOFFに設定して処理S200を終了する。
【0049】
●[第2の実施の形態の処理S300(図9)の説明]
次に図9に示す処理S300について説明する。図9に示すフローチャートの処理は、図4に示す第1の実施の形態のフローチャートに対して、太実線としたステップS330、及びステップS365〜ステップS3C0、の処理が追加されている点と、ステップS345及びステップS350の分岐先が異なる。以下、この相違点について主に説明する。
第2の実施の形態の処理S300では、図4に示す第1の実施の形態の処理S300に対して、主フィルタの手動再生処理に、補助フィルタの手動再生処理と流路切替弁の制御が追加されている。制御装置25は、主フィルタの手動再生処理を行う場合は流路切替弁を主フィルタの側に設定して主フィルタの手動再生処理を行い、補助フィルタの手動再生処理を行う場合は流路切替弁を補助フィルタの側に設定して補助フィルタの手動再生処理を行う。
【0050】
ステップS325に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ手動再生実行条件が成立しているか否かを判定し、成立している場合(Yes)はステップS330に進み、成立していない場合(No)はステップS345に進む(図4のステップS325の説明を参照)。
ステップS330に進んだ場合、制御装置25は、流路切替弁42Vを主フィルタの側に設定してステップS335に進む。
またステップS345に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ手動再生実行中フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)はステップS350に進み、ONでない場合(No)はステップS365に進む。
またステップS350に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ手動再生完了条件が成立しているか否かを判定し、成立している場合(Yes)はステップS355に進み、成立していない場合(No)はステップS365に進む。
またステップS360では制御装置25は、主フィルタの捕集量(主フィルタ捕集量)を初期化(リセット)してステップS365に進む。
【0051】
ステップS365に進んだ場合、制御装置25は、主フィルタ手動再生実行中フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)は処理S300を終了し、ONでない場合(No)はステップS370に進む。
ステップS370に進んだ場合、制御装置25は、補助フィルタ手動再生要求フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)はステップS375に進み、ONでない場合(No)はステップS395に進む。
ステップS375に進んだ場合、制御装置25は、補助フィルタ手動再生実行条件が成立しているか否かを判定し、成立している場合(Yes)はステップS380に進み、成立していない場合(No)はステップS395に進む。なお、補助フィルタ手動再生実行条件は、例えば車両が停止状態、且つシフトレバー(ギア)がニュートラルまたはパーキング、且つアクセルの踏み込み量=ゼロ、である。
ステップS380に進んだ場合、制御装置25は、流路切替弁42Vを補助フィルタの側に設定してステップS385に進む。
ステップS385に進んだ場合、制御装置25は、補助フィルタ手動再生実行中フラグをONに設定してステップS390に進む。
ステップS390では制御装置25は、補助フィルタの手動再生処理を実行してステップS395に進む。なお、補助フィルタの手動再生処理の詳細については省略するが、例えば強制的に回転数を所定回転数まで上昇させて、排気温度が上昇するように噴射時期を遅らせたり、噴射圧を下げたり、酸化触媒の上流に設けた噴射弁から燃料を噴射したりして、補助フィルタ内の排気の温度を強制的に上昇させて捕集している微粒子状物質を燃焼除去する。
【0052】
ステップS395に進んだ場合、制御装置25は、補助フィルタ手動再生実行中フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)はステップS3A0に進み、ONでない場合(No)は処理S300を終了する。
ステップS3A0に進んだ場合、制御装置25は、補助フィルタ手動再生完了条件が成立しているか否かを判定し、成立している場合(Yes)はステップS3A5に進み、成立していない場合(No)は処理S300を終了する。なお、補助フィルタ手動再生完了条件は、例えば、補助フィルタ手動再生実行中フラグがONになって手動再生処理が実行されてからの経過時間が所定時間(例えば数10[分]程度)以上となった場合である。
ステップS3A5に進んだ場合、制御装置25は、補助フィルタ手動再生実行中フラグをOFFに設定して、補助フィルタ手動再生要求フラグをOFFに設定して、ステップS3B0に進む。
ステップS3B0では制御装置25は、補助フィルタ使用歴フラグをOFFに設定してステップS3B5に進む。
ステップS3B5では制御装置25は、補助フィルタの微粒子状物質の捕集量を初期化(リセット)してステップS3C0に進む。
そしてステップS3C0にて制御装置25は、流路切替弁42Vを主フィルタの側に設定して処理S300を終了する。
【0053】
●[第2の実施の形態の処理S400(図10)の説明]
次に図10に示す処理S400について説明する。図10に示すフローチャートの処理は、図5に示す第1の実施の形態のフローチャートに対して、太実線としたステップS410、及びステップS440〜ステップS450、の処理が追加されている点が異なる。以下、この相違点について主に説明する。
第2の実施の形態の処理S400では、主フィルタを使用中に主フィルタがエンジン出力制限をするべき状態であっても緊急出動中はエンジン出力制限を強制的に解除する第1の実施の形態の処理S400(図5参照)に加えて、補助フィルタを使用中に補助フィルタがエンジン出力制限をするべき状態であっても緊急出動中はエンジン出力制限を強制的に解除する。
【0054】
ステップS410にて制御装置25は、流路切替弁が主フィルタの側に設定されているか否かを判定し、主フィルタの側に設定されている場合(Yes)はステップS415に進み、主フィルタの側に設定されていない場合(No)はステップS440に進む。
またステップS440に進んだ場合、制御装置25は、補助フィルタ手動再生実行中フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)はステップS460Bに進み、ONでない場合(No)はステップS445に進む。
ステップS445に進んだ場合、制御装置25は、補助フィルタの出力制限条件が成立しているか否かを判定し、成立している場合(Yes)はステップS450に進み、成立していない場合(No)はステップS460Bに進む。例えば制御装置25は、補助フィルタの微粒子状物質の捕集量が、補助フィルタの出力制限閾値(第3所定量に相当)を超えたとき、補助フィルタに対するエンジンの出力制限条件が成立している判定する。
ステップS450に進んだ場合、制御装置25は、緊急出動中フラグがONであるか否かを判定し、ONである場合(Yes)はステップS460Bに進み、ONでない場合(No)はステップS460Aに進む。
【0055】
●[第2の実施の形態の処理S500(図11)の説明]
次に図11に示す処理S500について説明する。図11に示すフローチャートの処理は、図6に示す第1の実施の形態のフローチャートに対して、「主」フィルタ過熱履歴フラグが「補助」フィルタ過熱履歴フラグに変更され、「主」フィルタ交換要求ランプが「補助」フィルタ交換要求ランプに変更され、「主」フィルタ交換済フラグが「補助」フィルタ交換済フラグに変更されているのみである。また、図11に示す処理S500と図6に示す処理S500では、各ステップの流れは同じであるので、説明は省略する。
【0056】
●[第3の実施の形態の処理手順(主フィルタ42Mと補助フィルタ42Sと流路切替弁42Vを備えている緊急車両の制御装置25の処理手順(その2))(図12)]
第3の実施の形態では、第2の実施の形態に対して、緊急出動中は、主フィルタの微粒子状物質の捕集量にかかわらず強制的に流路切替弁を補助フィルタの側に設定し、さらに補助フィルタ42Sの微粒子状物質の捕集量が、エンジン出力制限状態とするべき捕集量(第2所定量に相当)であるとき、エンジン出力制限状態を強制的に解除する。なお、補助フィルタを使用した場合は、緊急出動の解除後に補助フィルタの手動再生処理を督促するための補助フィルタ使用歴フラグをONとする。
また図示省略するが、制御装置25は、流路切替弁42Vが主フィルタの側に設定されている場合はエンジンの運転状態に基づいて主フィルタ42Mによる微粒子状物質の捕集量(主フィルタ捕集量)を積算し、流路切替弁42Vが補助フィルタの側に設定されている場合はエンジンの運転状態に基づいて補助フィルタ42Sによる微粒子状物質の捕集量(補助フィルタ捕集量)を積算する。
図12に示す第3の実施の形態の処理S100では、図7に示す第2の実施の形態の処理S100に対して、ステップS145及びステップS155Bが省略されている点が異なる。以下、この相違点について主に説明する。
なお、処理S200、処理S300、処理S400、処理S500については、第2の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0057】
●[第3の実施の形態の処理S100(図12)の説明]
ステップS140Aにて制御装置25は、緊急出動中フラグをONに設定してステップS150に進む。
ステップS150にて制御装置25は、補助フィルタ使用歴フラグをONに設定してステップS155Aに進む。
そしてステップS155Aにて制御装置25は、流路切替弁を補助フィルタの側に設定して処理S500を終了する。
なお、補助フィルタ42Sの微粒子状物質の捕集量が、エンジン出力制限状態とするべき捕集量(第2所定量に相当)であっても緊急出動中は、エンジン出力制限状態を強制的に解除する処理については、第2の実施の形態の処理S400(図10参照)と同じであるので、説明を省略する。
【0058】
以上、緊急車両の排気浄化システム、及び排気浄化システムの制御装置の処理手順について説明したが、以下に示す(1)〜(3)のように、緊急車両の排気浄化方法とすることもできる。
(1)制御手段と主フィルタを有し、補助フィルタと流路切替手段を有していない排気浄化システムを用いて、緊急出動中である場合に、主フィルタの微粒子状物質の捕集量がエンジン出力制限状態とするべき第1所定量を超えているときは、エンジン出力制限状態を強制的に解除する、緊急車両の排気浄化方法。
(2)制御手段、主フィルタ、補助フィルタ、流路切替手段、を有している排気浄化システムを用いて、緊急出動中である場合に、流路切替手段が主フィルタの側に設定されており且つ主フィルタの微粒子状物質の捕集量がエンジン出力制限状態とするべき第1所定量を超えているとき、流路切替手段を補助フィルタの側に設定し、補助フィルタの微粒子状物質の捕集量がエンジン出力制限状態とするべき第2所定量を超えているときは、エンジン出力制限状態を強制的に解除する、緊急車両の排気浄化方法。
(3)制御手段、主フィルタ、補助フィルタ、流路切替手段、を有している排気浄化システムを用いて、緊急出動中である場合に、流路切替手段を強制的に補助フィルタの側に設定し、補助フィルタの微粒子状物質の捕集量がエンジン出力制限状態とするべき第2所定量を超えているときは、エンジン出力制限状態を強制的に解除する、緊急車両の排気浄化方法。
【0059】
本発明の、緊急車両の排気浄化システム20は、本実施の形態で説明した構成、構造、動作、処理手順等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
また、本実施の形態の説明では、制御装置が内燃機関の運転状態を検出するための検出手段として、吸入空気流量検出手段、アクセル開度検出手段、NOx検出手段、回転検出手段、を例として記載したが、これらに限定されず、制御装置は、検出手段に限らず、インジェクタへの駆動信号等、種々のものを用いて内燃機関の運転状態を検出することが可能である。
また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。
本実施の形態の説明では、緊急出動スイッチがON状態からOFF状態へと操作された後、所定時間が経過するまで、所定距離を走行するまで、の少なくとも一方が満足されている間は緊急出動中であると判定したが、ナビゲーション情報に基づいて、設定された緊急現場に到達するまで緊急出動中であると判定するようにしてもよいし、(緊急現場に到着した)緊急車両のシフトレバー(ギア)がパーキングに入れられるまで緊急出動中であると判定するようにしてもよい。このように、種々の条件を用いて、緊急出動スイッチがON状態からOFF状態へと操作された後、所定条件が満足されるまでは緊急出動中であると判定させることができる。
また図1に示す排気浄化システムでは、主フィルタ42MとSCR触媒43、補助フィルタ42SとSCR触媒43、とを別々(フィルタとSCR触媒とが別々)とした例を説明したが、主フィルタ42MとSCR触媒43とが一体化された機能を持つ触媒、補助フィルタ42SとSCR触媒43とが一体化された機能を持つ触媒、を用いてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 内燃機関(エンジン)
11 吸気経路
12 排気経路
20 排気浄化システム
21 添加弁
22 還元剤タンク
23 ポンプ
25 制御装置(制御手段)
31 吸入空気流量検出手段
32 NOx検出手段
33 アクセル開度検出手段
34 回転検出手段
35 インジェクタ
41 酸化触媒
42M 主フィルタ
42S 補助フィルタ
42V 流路切替弁(流路切替手段)
43 SCR触媒
43A 分散装置
44 酸化触媒
51 緊急出動スイッチ(緊急出動操作手段)
52 警告灯(緊急出動報知手段)
53 警告スピーカ(緊急出動報知手段)
55 手動再生督促ランプ(手動再生督促手段)
56 フィルタ交換要求ランプ
57 手動再生スイッチ(手動再生指示手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12