(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記配置判断手段によって、前記各ボタン画像がX方向またはY方向に沿って1列に配置されていることが判断された場合に、前記各ボタン画像についてそのタッチ操作の頻度が閾値よりも低い低頻度のボタン画像と当該閾値よりも高い高頻度のボタン画像のいずれかに分類する頻度分類手段をさらに有し、
前記タッチ位置検出機構は、
前記表示面上におけるX成分領域とY成分領域のそれぞれについて任意のタッチ位置を検出するための複数の検出部を備え、
前記検出指示手段は、
前記頻度分類手段により高頻度に分類されたボタン画像が表示される第1領域のタッチ位置を検出するための検出部に、タッチ位置の検出動作が可能になる予め決められた許容範囲内における所定の標準電力が供給され、
低頻度に分類されたボタン画像が表示される第1領域のタッチ位置を検出するための検出部に前記許容範囲内において前記標準電力よりも低い所定の電力が供給されるように、前記タッチ位置検出機構に対して指示を行うことを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル入力装置。
前記配置判断手段によって、前記各ボタン画像がX方向またはY方向に沿って1列に配置されていることが判断された場合に、前記各ボタン画像についてそのタッチ操作の頻度が閾値よりも低い低頻度のボタン画像と当該閾値よりも高い高頻度のボタン画像のいずれかに分類する頻度分類手段をさらに有し、
前記タッチ位置検出機構は、
前記表示面上におけるX成分領域とY成分領域のそれぞれについて任意のタッチ位置を検出するための複数の検出部を備え、
前記検出指示手段は、
タッチ位置の検出を実行すべき2以上の検出部に対して一つずつ順番にタッチ位置検出のための電力供給が行われ、かつ、
前記頻度分類手段による分類の結果、低頻度に分類されたボタン画像が表示される第1領域のタッチ位置を検出するための検出部に電力を供給する時間の長さが、高頻度に分類されたボタン画像が表示される第1領域のタッチ位置を検出するための検出部に電力を供給する時間の長さよりも短くなるように、前記タッチ位置検出機構に対して指示を行うことを特徴とすること特徴とする請求項1に記載のタッチパネル入力装置。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[MFP]
図1は、本発明の実施形態に係るタッチパネル入力装置が設けられた画像形成装置の一例であるMFPの外観を示す斜視図である。
このMFPは、画像形成本体部Aと、タッチパネル入力装置Bとを有している。
【0027】
画像形成本体部Aは、電子写真方式によって記録シート上にトナー画像を形成してプリントアウトする画像形成機能、原稿の画像を読み取るスキャン機能、スキャンされたデータを送信する送信機能等を備えている。
タッチパネル入力装置Bは、各種情報の入力を受け付けるための画像を表示する機能と、画像が表示された表示面に対するユーザーのタッチ操作およびタッチ位置を検出する機能とを有している。
【0028】
[タッチパネル入力装置]
図2は、本実施形態に係るタッチパネル入力装置Bの構成を説明するための模式図である。タッチパネル入力装置Bは、表示パネル10およびタッチ位置検出機構20と、表示パネル10およびタッチ位置検出機構20のそれぞれを制御する主制御部30とを有している。
【0029】
表示パネル10は、各種画像が表示される表示パネル本体11と、表示パネル本体11を制御する表示制御部13とを有している。
表示パネル10の表示パネル本体11は、例えば液晶表示パネルによって構成されている。なお、表示パネル本体11は、バックライトが設けられた構成、バックライトが設けられていない構成のいずれであってもよい。
【0030】
表示制御部13は、表示パネル本体11における表示面11a(
図1において正面側に向けられた表面)に各種画像が表示されるように表示パネル本体11を制御する。
表示パネル本体11の表示面11aは横長の長方形状に構成されており、ユーザーによるタッチ操作が可能になっている。なお、以下においては、表示面11aにおける横方向を「X方向」、縦方向を「Y方向」とする。
【0031】
タッチ位置検出機構20は、表示パネル本体11の表示面11a上におけるユーザーの指、入力ペン等によるタッチ位置を検出する。
タッチ位置検出機構20は、表示パネル10における表示面11aの周囲であって、Y軸方向に対向する2辺の一方に設けられた第1発光部21Aと、他方に設けられた第1受光部21Bとを有している。第1発光部21Aには、複数の第1発光素子21aからなる第1発光素子列21Mが設けられている。第1受光部21Bには、複数の第1受光素子21bからなる第1受光素子列21Nが設けられている。
【0032】
また、タッチ位置検出機構20は、表示パネル10における表示面11aの周囲であって、X軸方向に対向する2辺の一方に設けられた第2発光部22Aと、他方に設けられた第2受光部22Bとを有している。第2発光部22Aには、複数の第2発光素子22aからなる第2発光素子列22Mが設けられている。第2受光部22Bには、複数の第2受光素子22bからなる第2受光素子列22Nが設けられている。
【0033】
第1発光部21Aおよび第1受光部21Bと、第2発光部22Aおよび第2受光部22Bとは、表示面11a上のタッチ位置を検出する検出光学系を構成している。
第1発光部21Aにおける各第1発光素子21aは、LEDによってそれぞれ構成されており、それぞれがX方向に沿って一定の間隔、例えば2〜3mm程度をあけて配置されている。各第1発光素子21aは、それぞれから照射される光が、表示パネル本体11の表示面11aに対して例えば1〜2mm程度の上方域をY方向に沿って通過するように設けられている。
【0034】
第1発光素子21aのそれぞれは、常開の第1発光側スイッチ21cを介して、1本の第1発光側電力供給線21eに接続されている。第1発光側スイッチ21cのそれぞれは、発光制御部25によって、オン(開)状態およびオフ(閉)状態に制御される。
発光制御部25は、主制御部30からの指示により、選択された1つの第1発光側スイッチ21cを、所定のタイミングでオン状態に制御する。この場合、他の第1発光側スイッチ21cはオフ状態に制御される。
【0035】
第1発光側電力供給線21eには、発光側電流制御部23によって制御された電流が供給される。発光側電流制御部23は発光制御部25によって制御される。発光側電流制御部23は、いずれか1つの第1発光側スイッチ21cがオン状態になるタイミングで、第1発光側電力供給線21eに所定の電流を供給する。
これにより、オン状態になる第1発光側スイッチ21cが接続された第1発光素子21aに所定の電流が供給される。当該第1発光素子21aは、供給された電流に対応した強度の光を発光する動作状態(駆動状態)になる。
【0036】
この場合、オン状態になった第1発光側スイッチ21c以外の第1発光側スイッチ21cはオフ状態とされる。このために、オフ状態になった第1発光側スイッチ21cに接続された第1発光素子21aには、第1発光側電力供給線21eから電流は供給されず、それぞれは、発光が停止した非動作状態(非駆動状態)になる。
発光制御部25は、第1発光側スイッチ21cのそれぞれを、X方向に沿って配置された順番で一つずつオン状態とし、それ以外をオフ状態に切り替え制御する。
【0037】
この第1発光側スイッチ21cのオンとオフの切り替え制御は、後述する省電力制御が実行される場合、全ての第1発光側スイッチ21cが対象になるのではなく、複数個の第1発光素子21aのうち、非動作状態(オフ状態)に設定された第1発光素子21aに接続される第1発光側スイッチ21cについては、オン状態とされずにオフ状態を維持する制御が実行されるようになっている。切り替え制御の対象とされる各第1発光側スイッチ21cを1つずつ順番にオンする場合の切り替え周期は、例えば数ミリ秒や数十ミリ秒とすることができる。第2発光部22Aも同様である。
【0038】
第1発光部21Aに対向する第1受光部21Bにおける各第1受光素子21bは、それぞれフォトダイオードによって構成されている。第1受光素子21bのそれぞれは、第1発光素子21aのそれぞれから照射された光を受光するように、第1発光素子21aのそれぞれに対向して配置されている。従って、第1受光素子21bのそれぞれも、第1発光素子21aのそれぞれと同様に、X方向に沿って2〜3mm程度の一定の間隔をあけて配置されている。
【0039】
第1受光素子21bのそれぞれは、第1受光側スイッチ21dを介して、1本の第1受光側電力供給線21fに接続されている。第1受光側電力供給線21fには、受光側電流制御部24によって制御された電流が供給される。
第1受光素子21bに接続された第1受光側スイッチ21dは、受光制御部26によって、第1受光素子21bに対向する第1発光素子21aに接続された第1発光側スイッチ21cに同期してオンおよびオフされる。従って、いずれか1つの第1発光素子21aが動作(発光)状態になるタイミングで、当該第1発光素子21aに対向する第1受光素子21bに接続された第1受光側スイッチ21dがオン状態に制御される。
【0040】
受光側電流制御部24は、受光制御部26の指示により、第1受光側スイッチ21dがオンするタイミングで、予め設定された所定の電流を第1受光側電力供給線21fに供給する。従って、第1受光素子21bに接続された第1受光側スイッチ21dがオンするタイミングで、当該第1受光素子21bに所定の電流が供給される。これにより、第1受光素子21bのそれぞれは、第1受光側スイッチ21dがオンするタイミングで、光に反応する動作状態(駆動(オン)状態)になる。
【0041】
動作状態になった第1受光素子21bは、対向する第1発光素子21aから発せられた光を受光すると、受光した光の強度に対応した電流を出力する。第1受光素子21bのそれぞれの出力は、主制御部30に与えられている。
第1受光素子21bが動作状態の場合、対向する第1発光素子21aから照射された光が、表示面11aをタッチした指等によって遮光されると、第1受光素子21bが受光する光の強度は低下し、当該第1受光素子21bから出力される電流が低下する。
【0042】
主制御部30は、動作状態になった第1受光素子21bから出力される電流値が予め設定された電流値(以下、「閾値電流」という。)よりも低下すると、ユーザーによって表示面31aがタッチ操作されたものと判定する。
これに対して、第1発光素子21aが非動作(非発光)状態に設定される場合には、当該第1発光素子21aに対向する第1受光素子21bに接続された第1受光側スイッチ21dは、オフ状態を維持するように制御される。これにより、オフ状態の第1受光側スイッチ21dに接続された第1受光素子21bは、第1受光側電力供給線21fから電流が供給されず、光に反応しない非動作状態(オフ状態)になる。このような非動作状態の第1受光素子21bは、対向する第1発光素子21aから照射される光を受光したとしても、電流を出力することはない。
【0043】
主制御部30は、順番に一つずつ動作状態になった第1受光素子21bのうち、出力される電流値が予め設定された閾値電流よりも低下した第1受光素子21b、すなわちユーザーによるタッチ操作を判定した第1受光素子21bを特定し、特定した第1受光素子21bのX座標位置に基づいて、表示面11aにおけるタッチ位置のX座標を検出する。なお、それぞれの第1受光素子21bごとに表示面11aに対するX座標位置が予め対応付けて記憶されている。
【0044】
このように、表示面11aにおける異なるX座標位置において相互に対向して配置された第1発光素子21aおよび第1受光素子21bの組は、表示面11aにおけるX成分領域のタッチ位置を検出する第1センサー21x(検出部)を構成している。第1センサー21xのそれぞれは、当該第1センサー21xが配置されたX座標位置におけるY方向に沿った全域をタッチ位置の検出対象とした透過型光学センサーになっている。
【0045】
次に、第2発光部22Aおよび第2受光部22Bについて説明する。
第2発光部22Aにおける各第2発光素子22aもLEDによってそれぞれ構成されており、それぞれがY方向に沿って一定の間隔、例えば2〜3mm程度をあけて配置されている。第2発光部22Aは、各第2発光素子22aから照射される光が、表示パネル本体11の表示面11aに対して例えば1〜2mm程度の上方域をX方向に沿って通過すること以外は、第1発光部21Aと同様の構成になっている。
【0046】
具体的には、第2発光素子22aのそれぞれは、第2発光側スイッチ22cを介して、1本の第2発光側電力供給線22eに接続されている。第2発光側スイッチ22cのそれぞれは、発光制御部25によって、オン状態およびオフ状態に制御される。また、第2発光側電力供給線22eに供給される電流は、発光側電流制御部23によって制御される。
このような構成の第2発光部22Aは、動作状態に設定された第2発光素子22aが、Y方向に沿って順番に動作状態となるように制御される。このこと以外は、第1発光部21Aと同様になっており、従って、非動作状態に設定された第2発光素子22aは、電流が供給されないことにより、非発光状態を維持する。
【0047】
第2発光部22Aに対向する第2受光部22Bにおける各第2受光素子22bも、それぞれフォトダイオードによって構成されている。第2受光素子22bのそれぞれは、第2発光素子22aのそれぞれから照射された光を受光するように、第2発光素子22aのそれぞれに対向して配置されている。第2受光部22Bも、第2受光素子22bがY方向に沿って配置されていること以外は、第1受光部22Aと同様の構成になっている。
【0048】
具体的には、第2受光部22Bにおける第2受光素子22bのそれぞれは、第2受光側スイッチ22dを介して、1本の第2受光側電力供給線22fに接続されている。第2受光側スイッチ22dのそれぞれは、受光制御部26によって、オン状態およびオフ状態に制御される。また、第2受光側電力供給線22fに供給される電流は、受光側電流制御部24によって制御される。
【0049】
このような構成の第2受光部22Bは、第1受光部21Bと同様に、第2受光素子22bのそれぞれが、対向する第2発光素子22aが動作状態になるタイミングで動作状態になるように制御される。
動作状態になった第2受光素子22bは、受光量に対応した電流を主制御部30に出力する。また、第2受光素子22bは、電流が供給されないことにより、光に反応しない非動作状態になり、光を受光しても電流を出力することはない。
【0050】
第2受光素子22bが動作状態の場合、対向する第2発光素子22aから照射された光が、表示面11aをタッチした指等によって遮光されると、第2受光素子22bが受光する光の強度は低下し、当該第2受光素子22bから出力される電流が低下する。
一方で、第2発光素子22aが非動作(非発光)状態に設定される場合には、当該第2発光素子22aに対向する第2受光素子22bに接続された第2受光側スイッチ22dは、オフ状態を維持するように制御される。これにより、オフ状態の第2受光側スイッチ22dに接続された第2受光素子22bは、第2受光側電力供給線22fから電流が供給されず、光に反応しない非動作状態(オフ状態)になる。
【0051】
主制御部30は、順番に一つずつ動作状態になった第2受光素子22bのうち、出力される電流値が閾値電流よりも低下した第2受光素子22b、すなわちユーザーによるタッチ操作を検出した第2受光素子22bを特定し、特定した第2受光素子22bのY座標位置に基づいて、表示面11aにおけるタッチ位置のY座標を検出する。なお、第2受光素子22bの座標位置は、第2受光素子22bごとに予め対応付けされて記憶されている。
【0052】
このタッチ位置のY座標の検出と上記のX座標の検出により、表示面11a上におけるユーザーのタッチ操作によるタッチ位置がX−Y直交座標系の座標として検出される。
このように、表示面11aにおける異なるY座標位置において相互に対向して配置された第2発光素子22aおよび第2受光素子22bの組は、表示面11aにおけるY成分領域のタッチ位置を検出する第2センサー22y(検出部)を構成している。第2センサー22yのそれぞれは、当該第2センサー22yが配置されたY座標位置におけるX方向に沿った全域をタッチ位置の検出対象とした透過型光学センサーになっている。
【0053】
主制御部30は、所定の情報の入力を受け付ける入力操作画面を表示パネル本体11の表示面11aに表示することを表示制御部13に指示する。
また、表示面11a上に入力操作画面が表示された状態で、タッチ位置検出機構20によってタッチ位置が検出されると、主制御部30は、検出されたタッチ位置に基づいて所定の情報の入力を受け付ける。
【0054】
[入力操作画面]
次に、表示パネル本体11の表示面11aに表示される入力操作画面について説明する。入力操作画面には、タッチ操作画面とスライド操作画面とがある。
タッチ操作画面は、例えば
図3に示す画面からなり、1つの画面内に、ユーザーによる表示面11aのタッチ操作によって所定の情報の入力を受け付ける1個以上のボタン画像、ここではB1〜B4が含まれている。ここで、ボタン画像とは、ユーザーがタッチ操作する、若しくは、ユーザーのタッチ操作による文字入力を要求するボタンやキーなどの形状を示す画像をいう。
【0055】
タッチ操作画面が表示面11aに表示されると、表示面11aは、ボタン画像が表示されている部分(第1領域)と、ボタン画像以外の表示画像あるいは背景画像が存在する残りの部分(第2領域)のいずれかになる。以下では、ボタン画像以外の残りの部分の画像を背景画像、第1領域をボタン画像領域、第2領域を背景画像領域という。
表示面11aにタッチ操作画面が表示されると、前述したように、タッチ位置検出機構20は、表示面11aのタッチ位置(X−Y座標)を検出し、主制御部30は、そのタッチ位置からどのボタン画像領域がタッチ操作されたのか、すなわちユーザーによりどのボタンが選択されたのかを特定する。
【0056】
そして、主制御部30は、ボタン画像領域に表示されたボタン画像に予め設定された所定の情報の入力(文字入力を含む)を受け付けて、受け付けられた所定の情報に関する処理を画像形成本体部Aに指示する。
一方、スライド操作画面とは、ユーザーが表示面11aのタッチ位置をスライドさせることによって所定の情報の入力を受け付ける場合に、表示面11aに表示される画面であり、シングルタッチ画面とダブルタッチ画面の2つがある。
【0057】
シングルタッチ画面とは、フリック操作のように、例えば、表示面11aにタッチされた1本の指を1方向へスライドさせることによって所定の情報の入力を受け付ける際に表示される(
図17参照)。
一方、ダブルタッチ画面とは、ピンチイン操作およびピンチアウト操作のように、例えば、表示面11aにタッチされた2本の指を相反する方向へスライドさせることによって所定情報の入力を受け付ける際に表示される(
図18参照)。
【0058】
図2に戻って、主制御部30の記憶部(不図示)には、複数のタッチ操作画面、複数のスライド操作画面のそれぞれの画像データが予め記憶されている。主制御部30は、記憶部に記憶された複数のタッチ操作画面またはスライド操作画面から選択された1つの画面を表示面11aに表示することを表示制御部13に指示する。
表示制御部13は、主制御部30の指示により、タッチ操作画面、スライド操作画面におけるシングルタッチ画面またはダブルタッチ画面のいずれか1つを、入力操作画面として表示面11aに表示する。表示面11aに表示された入力操作画面に対するタッチ操作によって所定情報の入力が受け付けられると、必要に応じて異なる入力操作画面が表示面11aに表示される。
【0059】
<タッチ操作画面>
次に、表示パネル本体11の表示面11aに表示されるタッチ操作画面を、
図3を用いて具体的に説明する。
図3に示すタッチ操作画面には、表示面11aに表示される複数のボタン画像、ここでは4つのボタン画像B1〜B4が含まれている。この表示面11aにおけるボタン画像B1〜B4のそれぞれの表示領域がボタン画像領域になる。
【0060】
ボタン画像B1〜B4は、表示面11aにおける上下方向(Y方向)の下側において、X方向に沿って相互に間隔を空けた状態で1列に並んで表示されている。最も右側に表示されたボタン画像B1は楕円形状になっており、例えば、画像形成本体部Aにおいてコピー動作などの各種動作モードでの動作の開始を受け付けるスタートボタンを表示する画像になっている。
【0061】
ボタン画像B1に対して左側方向に順番に並んで表示されたボタン画像B2、B3、B4は、それぞれ同じ大きさの矩形状になっている。
ボタン画像B2は、画像形成時の画質調整の選択を受け付ける選択キーを表示する画像であり、ボタン画像B3は、スキャン動作時における原稿の読取モード(片面/両面読取など)の選択を受け付ける選択キーを表示する画像であり、ボタン画像B4は、画像形成動作時において使用される用紙サイズの選択を受け付ける選択キーを表示する画像になっている。これら隣り合うボタン画像同士のX方向の間隔は、等しくなっている。
【0062】
表示面11aにおけるボタン画像B1〜B4の表示位置であるボタン画像領域のいずれかがタッチ操作されると、主制御部30は、タッチ操作されたボタン画像に設定された情報(動作開始時など)が指示されたものとして、その指示を受け付ける。
表示面11a上の全ての領域のうち、ボタン画像B1〜B4が表示されている領域以外の領域が背景画像領域であり、具体的には表示面11aにおける右側の辺とボタン画像B1との間、表示面11aにおける左側の辺とボタン画像B4との間、隣り合う2つのボタン画像の間、ボタン画像B1〜B4がX方向に並ぶ領域と表示面11aにおける上側の辺との間が含まれる。
【0063】
図3には、タッチ位置検出機構20における第1センサー21x(第1発光素子21aおよび第1受光素子21b)と、第2センサー22y(第2発光素子22aおよび第2受光素子22b)とを模式的に示している。
なお、
図3では、説明を容易にするために、第1発光素子21aおよび第2発光素子22aの大きさ、ボタン画像B1〜B4の大きさ等は実際とは異なっている。表示面11aにおけるボタン画像B1〜B4が表示された部分は、通常、それぞれの上方域を、相互に隣接する複数個(通常、5個以上)の第1発光素子21aおよび第2発光素子22aのそれぞれから照射される光が通過する大きさになっている。
【0064】
また、相互に隣り合うボタン画像の間の表示面11aの背景画像領域は、
図3では、それぞれ、1つの第1発光素子21aから照射される光が通過する程度の大きさに示されている。しかし、実際には、それぞれの背景画像領域の上方を、2〜3個程度の第1発光素子21aのそれぞれから照射される光が通過する大きさになっている。
さらに、
図3では、動作状態になった第1発光素子21aから発せられた光がその第1発光素子21aに対応する第1受光素子21bに向かう様子を破線の矢印で模式的に示している。以下の各図でも発光素子から発せられた光を破線の矢印で示す場合がある。
【0065】
タッチ操作画面は、複数個のボタン画像がX方向に沿って1列に配置された構成に限らず、例えば
図4に示すようにY方向に沿って1列に配置される構成もある。
図4に示すタッチ操作画面には、複数のボタン画像Biが表示されている。
各ボタン画像Biには、画像形成本体部Aに設けられた送信機能によって、データを送信する際の送信先としての氏名が表示されている。この各ボタン画像Biがそれぞれ表示された表示面11aにおける各表示領域がボタン画像領域になっている。
【0066】
このタッチ操作画面は、画像形成本体部Aの動作モードとしてデータの送信モードを選択した場合に、詳細設定画像またはポップアップ画像として表示面11aに表示される。
複数のボタン画像Biのそれぞれは同じ形状になっており、それぞれが、表示面11aにおけるX方向に沿った横長の長方形状になっている。全てのボタン画像Biは、隣り合うボタン画像Bi同士が相互に接した状態で、Y方向に沿って1列に並んで表示されている。
【0067】
全てのボタン画像Biと、表示面11aにおける左右の両側に位置する各辺との間は、表示面11aにおいてはY方向に沿った背景画像領域になっている。これらの背景画像領域は、X方向に沿った長さが比較的短く、表示面11aにおけるY方向の全域にわたって形成されている。
また、表示面11aにおけるY方向(上下方向)の最も上側および下側にそれぞれ表示された各ボタン画像Biと、表示面11aにおける上下の両側の各辺との間は、表示面11aにおけるX方向に沿った背景画像領域になっている。これらの背景画像領域は、Y方向に沿った長さが比較的短く、表示面11aにおけるX方向の全域にわたって形成されている。
【0068】
なお、
図4においても、
図3と同様に、タッチ位置検出機構20における第1センサー21x(第1発光素子21aおよび第1受光素子21b)と、第2センサー22y(第2発光素子22aおよび第2受光素子22b)とを模式的に示している。
表示面11aにおける各ボタン画像Biの表示位置であるボタン画像領域がタッチ操作されると、主制御部30は、各ボタン画像Biに設定されたアドレスにデータを送信することが指示されたものとして、その指示を受け付ける。
【0069】
<スライド操作画面>
上記のようなタッチ操作画面に対して、スライド操作画面は、本実施形態では、表示面11aに表示された画像の一部を、移動、拡大、縮小のいずれかの操作を実行する際に表示される。
[省電力制御]
主制御部30は、入力操作画面を表示パネル本体11の表示面11aに表示することが指示されると、タッチ位置を検出する際にタッチ位置検出機構20の消費電力を低減する省電力制御を実行する。省電力制御には、表示面11aにタッチ操作画面の表示が指示された場合に実行されるタッチ操作省電力処理と、表示面11aにスライド操作画面の表示が指示された場合に実行されるスライド操作省電力処理とがある。
【0070】
タッチ操作省電力処理では、タッチ位置検出機構20の消費電力を低減できる標準省電力モードの処理が実行される。また、ユーザーの選択によって、タッチ位置検出機構20における消費電力の低減を優先的に実行する省電力優先モードの処理を実行することも可能になっている。ユーザーによる省電力優先モードの選択は、MFPの初期設定において、あるいは、MFPを使用している間の任意のタイミングで行われる。
【0071】
スライド操作省電力処理では、シングルタッチ画面またはダブルタッチ画面におけるタッチ位置およびタッチ位置のスライドを検出する際に、タッチ位置検出機構20の消費電力を低減することができる。
次に、主制御部30によって実行される省電力制御の詳細について、
図5および
図6のフローチャートに基づいて説明する。
【0072】
主制御部30は、電源がオン状態になること等によって省電力制御を開始する。この場合、主制御部30は、表示パネル本体11の表示面11aに、表示すべき入力操作画面の表示を指示する前に、まず、その入力操作画面の画面データに付加されている入力操作画面に関する情報を取得する(ステップS11)。
この情報には、表示すべき入力操作画面の画面種類、具体的にはその画面がタッチ操作画面とスライド操作画面のいずれであるかを示す情報が含まれている。
【0073】
次いで、表示面11aに表示すべき入力操作画面がタッチ操作画面とスライド操作画面のいずれであるかを判定する(ステップS12)。この判定は、上記の画面種類の情報を参照することにより行われる。
スライド操作画面であることが判定されると(ステップS12において「No」)、スライド操作省電力処理を実行するためにステップS13に進む。ステップS13以降のスライド操作省電力処理については後述する。
【0074】
一方、タッチ操作画面であることが判定されると(ステップS12において「Yes」)、ステップS14以降のタッチ操作省電力処理を実行する。
<タッチ操作省電力処理>
タッチ操作省電力処理には、標準省電力モードを実行する処理(ステップS14〜S19、S21)と、省電力優先モードを実行する処理(ステップS22、S34、S36)が含まれている。以下、この順に処理内容を説明する。
【0075】
<標準省電力モード>
ステップS14では、表示が指示されたタッチ操作画面のボタン画像に関する情報(以下、「ボタン画像情報」という。)を取得する。ボタン画像情報には、表示面11aに表示されるべきボタン画像の輪郭を指標するX座標およびY座標(輪郭座標)と、ボタン画像毎に設定された設定入力情報が含まれる。
【0076】
ここで、設定入力情報は、そのボタンがタッチ操作されたときに実行すべき機能として予め割り当てられた機能、例えばコピー開始などを示す情報である。
主制御部30は、表示が指示されたタッチ操作画面の画像データから、その画面に含まれるボタン画像の輪郭座標を取得する。この取得は、主制御部30に設けられた輪郭座標取得部(不図示)が実行する。
【0077】
輪郭座標取得部は、例えば、タッチ操作画面の画像データを参照し、ボタン画像の輪郭を示す線分を構成する各画素ごとにそのX方向とY方向の座標位置を抽出することにより、輪郭座標を取得する。なお、輪郭座標の取得方法は、これに限られず、例えば表示対象のボタン画像ごとに、その輪郭座標が書き込まれたテーブルを予め作成して、作成されたテーブルから輪郭座標を取得する構成としてもよい。このテーブルは、例えば主制御部30の記憶部に予め記憶される構成とすることができる。
【0078】
ステップS14においてボタン画像情報が取得されると、ステップS15に進む。
ステップS15では、取得されたボタン画像の輪郭座標に基づいて、表示面11a上におけるボタン画像領域および背景画像領域を判定する領域判定処理を実行する。
この領域判定は、それぞれのボタンごとにその画像の輪郭で示される閉じられた領域をボタン画像領域と特定し、これ以外の残りの領域を背景画像領域とすることにより行われる。この意味で、主制御部30は、ステップS15を実行する場合に、ボタン画像領域と背景画像領域とを判定する領域判定手段として機能するといえる。
【0079】
次いで、領域判定処理の結果に基づいて、背景画像におけるX成分領域あるいはY成分領域が表示面11aの全域にわたって存在するかを判断する(ステップS16)。
具体的には、X方向に沿って並ぶそれぞれの受光素子21bのX座標位置ごとに、そのX座標位置に対する、表示面11a上におけるY座標の全域が背景画像領域に属するか、もしくはY座標の一部がボタン画像領域に属するかを判断する。
【0080】
例えば、
図3に示す受光素子21gのX座標位置については、Y方向のいずれの位置にもボタン画像領域が存在しないので、Y座標の全域が背景画像領域に属することが判断される。一方、受光素子21hのX座標位置については、Y方向の一部の位置にボタン画像B1のボタン画像領域が存在するので、一部がボタン画像領域に属すると判断される。
Y方向についても同様に、Y方向に沿って並ぶそれぞれの受光素子22bのY座標位置ごとに、そのY座標位置に対する、表示面11a上におけるX座標の全域が背景画像領域に属するか、もしくはX座標の一部がボタン画像領域に属するかを判断する。
【0081】
全域が背景画像領域に属すると判断されたX座標位置またはY座標位置が1つでもある場合には、背景画像におけるX成分領域あるいはY成分領域が表示面11aの全域にわたって存在すると判断され、1つもない場合には、存在しないことが判断される。
図3と
図4の例の場合、存在することが判断される。
背景画像領域におけるX成分領域あるいはY成分領域がY方向あるいはX方向の全域にわたって存在することを判断すると(ステップS16において「Yes」)、ステップS17に進む。
【0082】
ステップS17では、タッチ操作画面に複数のボタン画像が含まれる場合、その複数のボタン画像がX方向またはY方向に沿って1列に配置されているかをボタン画像情報に基づいて判断する。
図3と
図4に示す例の場合、1列の配置であると判断される。この意味で、主制御部30は、ステップS17を実行する場合に、各ボタン画像が1列に配置されていることを判断する配置判断手段として機能するといえる。
【0083】
図3の例のようにボタン画像B1〜B4がX方向に沿って1列に配置されている場合、ボタン画像B1〜B4の表示位置は、X座標では異なるがY座標では同一になる。このような状態では、いずれのボタン画像B1〜B4がタッチ操作されたかを、タッチ位置のY座標を検出しなくてもX座標だけで検出することができる。
一方、
図4では複数のボタン画像がY方向に沿って1列に配置されている。この場合、それぞれのボタン画像の表示位置は、Y座標では異なるがX座標では同一になるので、タッチ位置のX座標を検出しなくてもY座標だけで検出することができる。つまり、複数のボタン画像が1列に配置されている場合、ボタン画像領域と背景画像領域の区別に関わらず、X座標とY座標の一方を非検出にしてもボタン画像のタッチ操作を検出できることになる。
【0084】
複数のボタン画像が1列で配置されていることを判断すると(ステップS17において「Yes」)、領域判定の結果に関わらず、複数の第1センサー21xと第2センサー22yのうち、複数のボタン画像の配列方向とは直交する方向に沿って配置されたセンサーの全てを非動作状態に設定する(ステップS18)。
図3の例では、全ての第2センサー22yが非動作状態に設定され、
図4の例では、全ての第1センサー21xが非動作状態に設定される。
図3と
図4では、非動作状態に設定されたセンサーを網点の丸印で示している。
【0085】
上記のように第1センサー21xは、それぞれが配置されたX座標位置において、表示面11a上のY方向に沿った全域のタッチ操作を検出対象としている。従って、表示面11aにおいて、Y方向の全域にわたって連続した背景画像領域が存在する場合には、その背景画像領域のX成分領域のタッチ操作を検出するための第1センサー21xが抽出されて非動作状態に設定される。
【0086】
同様に、第2センサー22yは、それぞれが配置されたY座標位置において、表示面11aのX方向に沿った全域のタッチ操作を検出対象としている。従って、表示面11aにおいて、X方向の全域にわたって連続した背景画像領域が存在する場合には、その背景画像領域のY成分領域のタッチ操作を検出するための第2センサー22yが抽出されて非動作状態に設定される。
【0087】
続いて、ステップS18で非動作状態に設定されたセンサー以外のセンサーのうち、背景画像領域に対応するセンサー、すなわち複数のボタン画像の配列方向に沿って配置された複数のセンサーのうち、背景画像領域のタッチ位置を検出可能なセンサーを非動作状態に設定する(ステップS19)。
図3の例では、複数の第1センサー21xのうち、背景画像領域に対応するセンサー(網点の丸印で示すセンサー)が非動作状態に設定され、
図4の例では、複数の第2センサー22yのうち、背景画像領域に対応するセンサー(網点の丸印で示すセンサー)が非動作状態に設定される。なお、非動作状態に設定されなかったセンサーは、動作状態に設定されたことになる。
図3と
図4では、動作状態に設定されたセンサーを、白抜きの丸印で示している。
【0088】
続いて、省電力優先モードが選択されているかを判断する(ステップS20)。省電力優先モードが選択されていないことを判断すると(ステップS20において「No」)、ステップS23に進む。
一方、複数のボタン画像が1列で配置されていないことを判断すると(ステップS17において「No」)、複数の第1センサー21xと第2センサー22yのうち、背景画像領域に対応するセンサーを抽出して、抽出したセンサーだけを非動作状態に設定して(ステップS21)、
図6に示すステップS31に進む。
【0089】
ここで、複数のボタン画像が1列で配置されていないタッチ操作画面には、例えば
図7に示すような4つのボタン画像B6〜B9を含む画面があり、X方向の座標位置が同じ位置関係にあるボタン画像B8とB9や、Y方向の座標位置が同じ位置関係にあるボタン画像B7とB9を含む場合、X座標とY座標の一方の座標位置を検出するだけでは、いずれのボタン画像がタッチ操作されたかが判らない。
【0090】
従って、この場合には、上記のように第1センサー21xの全てまたは第2センサー22yの全てを非動作状態に設定することができず、背景画像領域に対応するセンサー(網点の丸印で示すもの)だけを抽出してそのセンサーが非動作状態に設定される。非動作状態に設定されなかったセンサーは、動作状態に設定されたことになる。
そして、
図6のステップS31において省電力優先モードがユーザーによって選択されているかを判断し、省電力優先モードが選択されていないことを判断すると(ステップS31において「No」)、
図5のステップS23に進む。
【0091】
一方、背景画像におけるX成分領域あるいはY成分領域が表示面11aの全域にわたって存在しないことを判断すると(ステップS16において「No」)、
図6のステップS31に進む。
ここで、背景画像におけるX成分領域あるいはY成分領域が表示面11aの全域にわたって存在しない場合とは、全ての第1センサー21xのX座標位置のそれぞれにおいて、表示面11aのY方向の全域にわたって背景画像領域が存在せず、全ての第2センサー22yのY座標位置のそれぞれにおいても、表示面11aのX方向の全域にわたって背景画像領域が存在しない場合である。この場合、非動作状態に設定できるセンサーが1つも存在しないことになり、全ての第1センサー21xと第2センサー22yが動作状態に設定される。
【0092】
ステップS31において、省電力優先モードがユーザーによって選択されていないことを判断すると(ステップS31において「No」)、
図5のステップS23に進む。
ステップS23では、表示指示されたタッチ操作画面を表示面11aに表示することを表示制御部13に指示するとともに、タッチ位置検出機構20に対して駆動開始を指示する。
【0093】
これにより、表示パネル本体11の表示面11aには、指示されたタッチ操作画面が表示される。また、タッチ位置検出機構20では、全ての第1センサー21xおよび第2センサー22yのうち、動作状態に設定されたセンサーが動作状態になり、非動作状態に設定されたセンサーが非動作状態になる。この意味で、主制御部30は、ステップS23を実行する場合に、表示パネル10に対して画像の表示を指示する表示指示手段として機能し、タッチ位置検出機構20に対してタッチ位置の検出を実行するオン状態とタッチ位置を検出しないオフ状態にすることを指示する検出指示手段として機能するといえる。
【0094】
非動作状態に設定された第1センサー21xおよび第2センサー22yについては、対応する第1発光側スイッチ21cと第1受光側スイッチ21dおよび第2発光側スイッチ22cと第2受光側スイッチ22dの全てがオフ状態に維持される。
動作状態に設定された第1センサー21xおよび第2センサー22yについては、対応する第1発光側スイッチ21cと第1受光側スイッチ21dおよび第2発光側スイッチ22cと第2受光側スイッチ22dが順次、オンとオフの切り替えが実行される。
【0095】
具体的には、発光制御部25は、動作状態に設定された第1センサー21xの第1発光素子21aに接続された第1発光側スイッチ21cを、X方向に沿って並んだ順番に、一定時間だけオン状態に制御する。この場合、オン状態に制御される第1発光側スイッチ21c以外の第1発光側スイッチ21cはオフ状態に制御される。
また、発光側電流制御部23は、第1発光側スイッチ21cがオンするタイミングで第1発光側電力供給線21eに所定の基準値の電流をそれぞれ供給する。なお、この場合の第1発光側電力供給線21eに供給される所定の電力を「標準電力」とする。
【0096】
これにより、オン状態の第1発光側スイッチ21cに接続された第1発光素子21aには標準電力が供給される。標準電力が供給される第1発光素子21aは、一定時間だけ、所定の発光強度の光をY方向に沿って照射する発光状態になる。なお、この場合の第1発光素子21aの発光強度を「標準強度」とする。
また、受光制御部26は、第1発光側スイッチ21cがオン状態とされる第1センサー21xの第1受光側スイッチ21dを、当該第1発光側スイッチ21cがオンされるタイミングに同期してオン状態に制御する。従って、第1受光側スイッチ21dのそれぞれも、X方向に沿って並んだ順番に、一定時間だけオン状態に制御される。この場合も、オン状態に制御される第1受光側スイッチ21d以外の第1受光側スイッチ21dはオフ状態に制御される。
【0097】
第1受光側スイッチ21dのそれぞれがオンすると、当該第1受光側スイッチ21dに接続された第1受光素子21bが一定時間だけ第1受光側電力供給線21fからの供給電力を受けて動作状態となり、受光した光の強度に対応した電流を出力する。
同様に、動作状態に設定された第2センサー22yについては、発光制御部25は、その第2発光素子22aに接続された第2発光側スイッチ22cを、Y方向に沿って並んだ順番に一定時間だけオン状態に制御する。また、受光制御部26は、第2発光側スイッチ22cがオン状態とされる第2センサー22yの第2受光側スイッチ22dを、当該第2発光側スイッチ22cがオンするタイミングに同期してオン状態に制御する。
【0098】
これにより、第2センサー22yのそれぞれは、第1センサー21xと同様に制御される。上記の標準電力と標準強度についても第2センサー22yについて同様である。
これにより、非動作状態に設定された第1センサー21xおよび第2センサー22yのそれぞれがタッチ操作の検出対象とする背景画像領域は、タッチ操作の検出が実行されない状態(オフ状態)になる。
【0099】
従って、全ての第1センサー21xおよび第2センサー22yをボタン画像の表示位置に関係なく動作状態、すなわちタッチ操作の検出を行えるオン状態にする構成に比べて、動作状態とされる第1センサー21xおよび第2センサー22yの個数が減少し、その個数の減少分、センサーへの供給電力が低減して、タッチ位置検出機構20の消費電力を低減することができ、タッチ位置検出機構20の省電力化を図れる。
【0100】
タッチ位置検出機構20の駆動が開始されると、ユーザーのタッチ操作による表示面11a上のタッチ位置が、動作状態になった第1センサー21xおよび第2センサー22yにより検出されるまで待機状態になる(ステップS24)。
このタッチ位置の検出は、次のようにして行われる。
すなわち、動作状態の第1受光素子21bおよび第2受光素子22bのそれぞれから順次出力される電流値をモニターし、いずれかの第1受光素子21bおよび第2受光素子22bの出力電流が閾値電流よりも低下したか否かを判断する。
【0101】
いずれかの第1受光素子21bおよび第2受光素子22bの出力電流が閾値電流よりも低下したことを判断すると、出力電流が閾値電流よりも低下した第1受光素子21bのX座標位置および第2受光素子22bのY座標位置に基づいて、タッチ操作によるタッチ位置を表示面11a上におけるX−Y直交座標系の2成分として検出する。
タッチ位置の検出を判断すると(ステップS24において「Yes」)、検出されたタッチ位置と、ステップS14で取得されたボタン画像の輪郭座標とに基づいて、タッチ操作されたボタン画像領域に対応するボタン画像を特定し、特定されたボタン画像の設定入力情報を、ステップS14で取得された全てのボタン画像の設定入力情報から選択して取得する(ステップS25)。
【0102】
主制御部30は、取得された設定入力情報に関する処理を画像形成本体部Aに指示する。例えば、ボタン画像B1のボタン画像領域がタッチ操作された場合には、コピー動作などの動作モードの開始が画像形成本体部Aに指示される。
また、ステップS25では、タッチ操作されたボタン画像に対するタッチ操作の回数(総合計)をカウントする。それぞれのボタン画像ごとに、1回のタッチ操作があるたびに、現在の回数に1がインクリメントされて、その回数が更新される。このタッチ操作の回数は、後述する操作頻度基準処理(ステップS22)で用いられる。
【0103】
ステップS25での処理が終了するとステップS26に進み、表示パネル10に表示されたタッチ操作画面を、異なる入力操作画面(タッチ操作画面に限らない)に変更する必要があるかを判断する。例えば、動作モードの選択を受け付けるボタン画像B2に対するタッチ操作がなされた場合、動作モードを選択するための別のメニュー画面に遷移する必要があることから、変更の必要があると判断される。
【0104】
異なる入力操作画面への変更が必要であることを判断すると(ステップS26において「Yes」)、ステップS11に戻り、新たな入力操作画面について、ステップS11以降の処理を実行する。一方、タッチ操作画面を他の入力操作画面に変更する必要がないことを判断すると(ステップS26において「No」)、ステップS24に戻って待機状態になる。なお、待機状態の継続時間が一定時間を超えると、当該省電力制御を終了するとしても良い。
【0105】
<省電力優先モード>
次に、省電力優先モードがユーザーによって選択されている場合について説明する。ユーザーが省電力優先モードを選択していることは、ステップS20またはS31において判断される。
<ステップS20による省電力優先モード>
省電力優先モードの選択を判断すると(ステップS20において「Yes」)、省電力優先モードとして操作頻度基準処理を実行する(ステップS22)。
【0106】
操作頻度基準処理は、タッチ操作の頻度が少ないボタン画像の表示位置であるボタン画像領域のタッチ操作を検出対象とする第1センサー21xまたは第2センサー22yに供給される電力を低減する処理である。
図8は、操作頻度基準処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、表示が指示されたタッチ操作画面におけるそれぞれのボタン画像(ボタン画像領域)に対するタッチ操作の頻度を取得する(ステップS41)。
【0107】
ボタン画像に対するタッチ操作の頻度とは、全てのボタン画像(ボタン画像領域)のタッチ操作の回数の合計に対して、それぞれのボタン画像の個別のタッチ操作の回数の割合である。なお、各ボタン画像に対するタッチ操作の回数は、前述したように、ステップS25においてカウントされている。従って、各ボタン画像に対するタッチ操作の回数のカウント値に基づいて、全てのボタン画像のタッチ操作の回数の合計を求めることができる。これにより、ボタン画像毎のタッチ操作の頻度を取得できる。
【0108】
次いで、取得されたボタン画像毎のタッチ操作の頻度を、それぞれ、予め設定された閾値と比較して、表示が指示されたタッチ操作画面における各ボタン画像を、閾値よりも高い高頻度と、閾値よりも低い低頻度とに分類する(ステップS42)。
この分類がなされると、低頻度のボタン画像および高頻度のボタン画像のいずれか一方または両方が複数であるかを判断する(ステップS43)。
【0109】
低頻度のボタン画像および高頻度のボタン画像のいずれか一方または両方が複数であることを判断すると(ステップS43において「Yes」)、ステップS44に進む。
ステップS44では、低頻度に分類された全てのボタン画像と、高頻度に分類された全てのボタン画像とが所定の並び替え状態になるように、表示制御部13に指示する。
このステップS44の処理前に、既にステップS17において、複数のボタン画像がX方向またはY方向に沿って1列になっていることが判断されている。このために、ステップS44では、低頻度のボタン画像の全てと、高頻度のボタン画像の全てとが、ステップS17において判断された配列方向に沿って相互に分離した状態になるように、ボタン画像の表示位置が並び替える指示が行われる。
【0110】
この指示により、表示面11aでは、低頻度のボタン画像の全てと高頻度のボタン画像の全てとが、配列方向に沿って分離した状態で表示される表示位置変更が実行される。
図9(a)は、ボタン画像の並び替え前の状態の例を示す図であり、
図9(b)は、ボタン画像の並び替え後の状態(変更状態)の例を示す図である。
図9では、ボタン画像B1、B3、B5が高頻度のボタン画像に分類され、ボタン画像B2、B4が低頻度のボタン画像に分類され、ボタン画像B1、B3、B5が表示面11aにおけるX方向の右側において相互に隣接した状態に並び替えられ、ボタン画像B2、B4が表示面11aにおけるX方向の左側において相互に隣接した状態に並び替えられた場合の例を示している。
【0111】
図8に戻って、ステップS45では、発光制御部25および受光制御部26に対して、低頻度のボタン画像に対応するボタン画像領域のタッチ操作を検出対象とする第1センサー21x(以下、「低頻度領域第1センサー21x」という。)または第2センサー22y(以下、「低頻度領域第2センサー22y」という。)のそれぞれを順番に動作状態とする時間だけを短くすることを指示する。
【0112】
この場合、高頻度のボタン画像領域のタッチ操作を検出対象とする第1センサー21x(以下、「高頻度領域第1センサー21x」という。)または第2センサー22y(以下、「高頻度領域第2センサー22y」という。)のそれぞれを順番に動作状態とする時間は短くされず、標準時間になっている。
ステップS45の処理が終了すると、ステップS47に進む。
【0113】
ステップS47では、低頻度領域第1センサー21xの第1発光素子21aまたは低頻度領域第2センサー22yの第2発光素子22aに対して、標準電力の電流値よりも低い電流の所定の電力(以下、「駆動低電力」という。)を供給することを発光制御部25に指示する。そして、タッチ位置検出機構20に駆動開始を指示して(ステップS48)、
図5のステップS24に進む。これにより、発光制御部25および受光制御部26は、タッチ位置検出機構20を、主制御部30による指示(ステップS45、S47)になるように制御して、タッチ操作の検出を実行する。
【0114】
例えば、第2センサー22yの全てが非動作状態に設定されている場合には、ステップS45において、低頻度領域第1センサー21xの動作時間を、高頻度領域第1センサー21xの動作時間(標準時間)よりも短くすることが指示される。これにより、発光制御部25は、低頻度領域第1センサー21xにおける第1発光側スイッチ21cのオン時間を標準時間よりも短くなるように制御する。その結果、全ての低頻度領域第1センサー21xの第1発光素子21aが発光状態になる時間の合計は、操作頻度基準処理を実行しない場合よりも短くなる。
【0115】
一方、第1センサー21xの全てが非動作状態に設定されている場合には、ステップS45において、低頻度領域第2センサー22yの動作時間を標準時間よりも短くすることが指示される。これにより、発光制御部25は、低頻度領域第2センサー22yにおける第2発光側スイッチ22cのオン時間が、標準時間よりも短くなるように制御する。その結果、全ての低頻度領域第2センサー22yの第2発光素子22aが発光状態になる時間の合計は、操作頻度基準処理を実行しない場合よりも短くなる。
【0116】
いずれの場合にも、タッチ位置検出機構20の消費電力が、操作頻度基準処理を実行しない場合よりも低減される。
上記のように動作状態に設定された第1センサー21xまたは第2センサー22yのそれぞれは、順番に一つずつだけが動作状態、すなわちタッチ位置検出のための電力が供給される状態に切り替わっていく。従って、1つのセンサーに対する動作状態の時間を短くするということは、単位時間当たりにおけるそのセンサーによる検出時間が標準時間よりも短くなる。
【0117】
検出時間を短くするほど消費電力を低減できるが、短くしすぎると、例えばユーザーによる指のタッチ操作が一瞬であった場合、その一瞬のタッチ操作を検出できなくなることが起こり易くなる。
一方で、動作状態の時間を標準時間よりも短くするのは、ユーザーがタッチ操作する機会が少ないボタン画像領域を検出対象とする低頻度領域第1センサー21xまたは低頻度領域第2センサー22yだけであり、かつ一瞬のタッチ操作が行われることも少ないと考えられるので、タッチ操作の検出精度の低下が生じる蓋然性は低くなる。
【0118】
このように各センサーに対する動作状態の時間を操作頻度に応じて標準時間よりも短くする制御をとる場合、動作状態の時間を固定する場合に比べてタッチ操作の検出精度の低下が生じる場合が想定されるが、ユーザーが省電力優先モードを選択していることから、タッチ位置検出機構20における消費電力の低減を優先するようにしている。
さらに、ステップS47においては、低頻度領域第1センサー21xの第1発光素子21aまたは低頻度領域第2センサー22yの第2発光素子22aに対して駆動低電力の供給が指示されている。このために、発光制御部25は、発光側電流制御部23を制御して、低頻度領域第1センサー21xの第1発光素子21aまたは低頻度領域第2センサー22yの第2発光素子22aに駆動低電力を供給する。
【0119】
例えば、
図9(b)に示すように全ての第2センサー22yが非動作状態に設定されている場合には、低頻度領域第1センサー21xの第1発光素子21aに接続された第1発光側スイッチ21cがオンするタイミングで、第1発光側電力供給線21eに駆動低電力が供給される。これにより、オン状態の第1発光側スイッチ21cに接続された低頻度領域第1センサー21xの第1発光素子21aには、駆動低電力が供給される。その結果、当該第1発光素子21aは、発光強度が標準強度よりも低下した低発光強度の光を照射する。
【0120】
なお、高頻度領域第1センサー21xの第1発光素子21aが動作状態とされる場合には、当該第1発光素子21aに対して標準電力が供給される。従って、高頻度領域第1センサー21xの第1発光素子21aは標準強度の光を照射する。
図9(b)では、複数の第1発光素子21aのうち、一部の第1発光素子21aから標準強度の光(太線)が照射されている様子と、別の第1発光素子21aから低発光強度の光(細線)が照射されている様子が示されている。
【0121】
一方、全ての第1センサー21xが非動作状態に設定されている場合には、低頻度領域第2センサー22yの第2発光素子22aに接続された第2発光側スイッチ22cがオンするタイミングで、第2発光側電力供給線22eに駆動低電力が供給される。これにより、オン状態の第2発光側スイッチ22cに接続された低頻度領域第2センサー22yの第2発光素子22aには駆動低電力が供給される。その結果、当該第2発光素子22aは、低発光強度の光を照射する。
【0122】
なお、高頻度領域第2センサー22yの第2発光素子22aが動作状態とされる場合には、当該第2発光素子22aに対して標準電力が供給される。従って、高頻度領域第2センサー22yの第2発光素子22aは標準強度の光を照射する。
いずれの場合にも、低頻度領域第1センサー21xの第1発光素子21aまたは低頻度領域第2センサー22xの第2発光素子22aへの供給電力が低減されるので、頻度に関係なく供給電力を標準電力のまま固定する構成に比べて、タッチ位置検出機構20の消費電力を低減できる。
【0123】
第1受光素子21bと第2受光素子22bのそれぞれについて、操作者のタッチ操作を検出可能な受光量の許容範囲のうち、基準となる受光量に相当する光を、対応する発光素子から発するのに必要な電流の電力が上記の標準電力として設定され、受光量の許容範囲のうち、標準電力の場合よりも少ない量の光を発光素子から発するのに必要な電流の電力が上記の駆動低電力として設定されている。
【0124】
標準電力と駆動低電力は、タッチ位置の検出が可能な発光素子への供給電力の許容範囲内において、駆動低電力が標準電力よりも低くなるように予め決められており、駆動低電力の方が標準電力よりも消費電力を低減できるが、駆動低電力では、標準電力よりも発光素子への供給電流が低下するので、その分、発光素子からの発光量が低減する。
発光素子からの発光量が低減すると、それだけ受光素子の受光量が少なくなるので、受光素子の出力電流が標準電力の場合よりも下がり、閾値電流との差が標準電力の場合よりも小さくなることが生じる。
【0125】
消費電力をより低減すべく、駆動低電力を標準電力に対して小さくしすぎると、例えばボタン画像領域上を通過する光の一部だけがユーザーの指により誤って遮光されただけでも、受光素子の出力電流が閾値電流を下回ってしまい、タッチ操作したものと検出してしまうことが起こり易くなる。
しかし、駆動低電力の供給は、ユーザーがタッチ操作する機会が少ないボタン画像領域を検出対象とする低頻度領域第1センサー21xまたは低頻度領域第2センサー22yだけであり、かつ当該ボタン画像領域上を通過する光を誤って指で遮光する操作を行うことも少ないと考えられるので、タッチ操作の検出精度の低下が生じる蓋然性は低くなる。
【0126】
また、低頻度と高頻度のボタン画像の少なくとも一方が複数ある場合には、低頻度のボタン画像は、高頻度のボタン画像と分離した状態で表示される。高頻度のボタン画像は、タッチ操作のためにユーザーが接近する機会が多くなるのに対して、低頻度のボタン画像は接近する機会が少なくなる。このことによっても、さらに低頻度のボタン画像のタッチ操作の検出精度が低下する蓋然性が低くなるといえる。
【0127】
このように各センサーに対する供給電力を操作頻度に応じて標準電力と駆動低電力に切り替える制御をとる場合、標準電力のまま固定する場合に比べてタッチ操作の検出精度の低下が生じる場合が想定されるが、ユーザーが省電力優先モードを選択していることから、タッチ位置検出機構20における消費電力の低減を優先するようにしている。
なお、上記の駆動状態の時間を標準時間に対してどれだけよりも短くするか、および駆動低電力を標準電力に対してどれだけ低くするかについては、消費電力と検出精度を考慮して予め実験などから適した時間や電流値などを決めることができる。
【0128】
次に、低頻度のボタン画像領域および高頻度のボタン画像領域の両方が複数でない場合(ステップS43において「No」)について説明する。この場合には、ステップS46に進む。ステップS46では、ボタン画像の表示位置を並び替えることなく、表示パネル本体11の表示面11aに表示することを表示制御部13に指示する。これにより、表示面11aには、ボタン画像が並び替えられていない状態のタッチ操作画面(指示されたタッチ操作画面)が表示される。
【0129】
その後、ステップS47に進む。従って、この場合には、低頻度領域第1センサー21xのそれぞれ、低頻度領域第2センサー22yのそれぞれが動作状態になる時間を短くするステップS45の処理は実行されない。
ステップS47では、低頻度領域第1センサー21xの第1発光素子21aまたは低頻度領域第2センサー22yの第2発光素子22aに、駆動低電力を供給することを発光制御部25に指示する。
【0130】
その後、タッチ位置検出機構20に駆動開始を指示して(ステップS48)、
図5のステップS24に進む。これにより、発光制御部25および受光制御部26は、タッチ位置検出機構20を、主制御部30によって指示された状態になるように制御して、タッチ位置検出機構20によるタッチ操作の検出を実行する。
この場合には、低頻度領域第1センサー21xの第1発光素子21aまたは低頻度領域第2センサー22yの第2発光素子22aに対しては駆動低電力が供給される。これにより、駆動低電力が供給された第1発光素子21aまたは第2発光素子22aからは、標準強度よりも低い低強度の光が照射される。従って、タッチ位置検出機構20の消費電力は、標準強度に固定する場合よりも低減される。
【0131】
なお、上記の説明では、低頻度のボタン画像におけるタッチ操作を検出する全ての第1センサー21xの第1発光素子21aに駆動低電力を供給する構成として、タッチ位置検出機構20における消費電力を低減している。しかし、この構成に限らない。
例えば、低頻度の1つのボタン画像(ボタン画像領域)を検出対象とする複数の第1センサー21xから選択される1以上の第1センサー21xを非動作状態とし、選択されない第1センサー21xの第1発光素子21aを動作状態にする構成としてもよい。動作状態にする第1センサー21xの第1発光素子21aには、標準電力、駆動低電力のいずれを供給してもよい。
【0132】
この場合、非動作状態にされる第1センサー21xのX方向に連続する個数が多くなると、タッチ操作を検出できない領域がX方向に広くなるので、ユーザーの指の大きさと、隣り合う2つの第1センサー21xのX方向の間隔の大きさなどから、連続する個数をタッチ操作が可能な範囲内になるように予め決めることができる。また、非動作状態になる第1センサー21xを挟んでX方向両側に位置する2つの第1センサー21xがそれぞれ動作状態になるように、動作状態と非動作状態を決めることもできる。上記のことは、第2センサー22yについても同様である。
【0133】
また、操作頻度基準処理では全ての低頻度のボタン画像と全ての高頻度のボタン画像とが相互に分離するように、ボタン画像の並び替えを行っている。しかし、このような並び替えを行わない構成としてもよい。
この場合には、
図8のステップS42の処理が終了すると、ステップS43〜S45の処理を実行せずに、ステップS46の処理が実行される。これにより、ボタン画像は並び替えられることがない。その後、ステップS47の処理が実行されることにより、低頻度領域第1センサー21xの第1発光素子21aには駆動低電力が供給される。従って、タッチ位置検出機構20における消費電力は、操作頻度基準処理が実行されない場合よりも低減される。
【0134】
さらに、ボタン画像を並び替えずに(ステップS44をスキップして)、低頻度領域第1センサー21x、低頻度領域第2センサー22yの動作状態になる時間を短くする処理(ステップS45)を実行する構成をとることも可能である。
また、操作頻度基準処理(ステップS22)では、ステップS44とS47のいずれか一方だけを実行する構成をとることもできる。
【0135】
さらに、低頻度と高頻度のボタン画像の数に関わりなく、かつボタン画像の並び替えの表示も指示することなく(ステップ43、S44をスキップして)、ステップS45とS47を実行する、またはステップ45とS47の一方だけを実行する構成としても良い。
また、検出時間の短縮(ステップS45)と供給電力の低減(ステップS47)に代えて、例えば1つの低頻度のボタン画像領域を検出対象とするセンサーが複数ある場合に、その複数のセンサーの中に、電力供給されないセンサーが一部に含まれるように制御する方法(センサーを間引く方法)も考えられる。
【0136】
<ステップS31による省電力優先モード>
省電力優先モードの選択が判断されると(ステップS31において「Yes」)、ステップS32〜S36による表示変更処理を省電力優先モードとして実行する。
まず、表示が指示されたタッチ操作画面の複数のボタン画像がX方向またはY方向に沿った複数の列を構成するかを判断する(ステップS32)。
【0137】
複数のボタン画像が複数列を構成するとは、X方向に沿って並ぶ列またはY方向に沿って並ぶ列が2列以上存在するように複数のボタン画像が並べられる構成をいう。例えば、
図10(a)に示すボタン画像B11〜B17は、Y方向に沿った列が2列になるように並べられて配置される構成になっている。以下、複数のボタン画像が複数列を構成するタッチ操作画面を「複数列領域画像」という。
【0138】
タッチ操作画面が複数列領域画像でないことを判断すると(ステップS32において「No」)、ステップS35に進み、集中表示処理が実行できるかを判断する。ステップS35以降の処理については後述する。
タッチ操作画面が複数列領域画像であることを判断すると(ステップS32において「Yes」)、ステップS33に進む。ステップS33では、複数列領域画像における複数列のボタン画像を1列に並び替えた画像(以下、「単列領域画像」という。)の画像データが記憶部に予め記憶されているかを判断する。単列領域画像とは、例えば
図10(b)に示すボタン画像B11〜B17のように複数のボタンがX方向またはY方向に沿って1列に配列された画像をいう。
【0139】
単列領域画像の画像データが記憶されていないことを判断すると(ステップS33において「No」)、ステップS34における単列領域表示処理を実行することなく、
図5のステップS23に進む。この場合には、上記のように省電力優先モードが選択されていない場合(ステップS31において「No」)と同様の処理が実行される。
一方、単列領域画像の画像データが記憶されていることを判断すると(ステップS33において「Yes」)、単列領域表示処理の実行が可能であると判断し、ステップS34に進んで、単列領域表示処理を実行する。
【0140】
<単列領域表示処理>
単列領域表示処理が実行されるのは、上記のステップS16で「No」の場合、またはステップS17で「No」の場合を条件としており、このことは、第1センサー21xの全て、または、第2センサー22yの全てが非動作状態に設定されていない状態(例えば、
図7の状態)であることを意味する。
【0141】
このために、タッチ位置の検出を実行する際におけるタッチ位置検出機構20の消費電力は、第1センサー21xの全て、または、第2センサー22yの全てが非動作状態に設定されている状態(例えば、
図3、
図4の状態)よりも多くなっている。
しかし、複数列領域画像を単列領域画像に変更すると、複数のボタン画像のそれぞれのタッチ操作を、ボタン画像の配列方向に沿って配置された第1センサー21xまたは第2センサー22yだけで検出することができる。従って、ボタン画像のタッチ操作に直接的に関与しない第2センサー22yまたは第1センサー21xの全てを非動作状態に設定することができる。
【0142】
これにより、タッチ位置の検出をオフ状態にできる背景画像領域の面積が増加して、背景画像領域のタッチ操作を検出対象とする第1センサー21xおよび第2センサー22yの個数の合計を増加させることができる場合があり得る。この場合、ボタン画像(ボタン画像領域)のタッチ操作を検出対象とする第1センサー21xおよび第2センサー22yの個数の合計が、複数列領域画像の場合よりも減少することになり、タッチ操作の検出を実行する際におけるタッチ位置検出機構20の消費電力を低減することができる。
【0143】
すなわち、予め決められている表示態様である複数列領域画像をこれとは異なる所定の表示態様である単列領域画像に変更すると仮定した場合に、動作状態に設定される第1センサー21xおよび第2センサー22yの総数を減少することができれば、タッチ位置検出機構20の消費電力の低減を実現できることになる。
従って、本実施の形態では、記憶部に記憶される全ての複数列領域画像のうち、単列領域画像に変更すると仮定した場合に、動作状態に設定される第1センサー21xおよび第2センサー22yの総数を減少できる複数列領域画像を予め決め、決められた複数列領域画像とこれに対応する単列領域画像とを主制御部30の記憶部に記憶しておき、表示指示された複数列領域画像に対応する単列領域画像が存在する場合に(ステップS33において「Yes」)、単列領域表示処理(ステップS34)を実行するとしている。
【0144】
この意味で、主制御部30は、ステップS33の処理を実行する際に、タッチ位置の検出をオフ状態にできるX成分領域とY成分領域の面積が増加するかを判定する領域増加判定手段として機能するといえる。
図10(a)は、単列領域表示処理が実行可能と判定される複数列領域画像が表示パネル本体11の表示面11aに表示された状態を示す模式図である。この複数列領域画像は、例えば、
図9(a)に示すタッチ操作画面が表示面11aに表示された場合に、用紙サイズを設定するための選択ボタンであるボタン画像B4がタッチ操作されることにより、タッチ操作画面上にレイヤー表示される。
【0145】
表示面11aに表示された複数列領域画像では、用紙サイズに関する情報に対応した7つのボタン画像B11〜B17のうち、Y方向に沿ったボタン画像B11〜B14の列とY方向に沿ったボタン画像B15〜B17の列が2列で並列表示されている。それぞれのボタン画像B11〜B17は同じ形状および大きさになっており、X方向に沿って長い長方形状になっている。なお、表示面11aにおいて7つのボタン画像B11〜B17がそれぞれ表示された領域がボタン画像領域になっている。
【0146】
左側のボタン画像の列には、表示面11aにおけるY方向の上側から下側にかけてボタン画像B11〜B14の4つが相互に接した状態で表示されている。また、右側のボタン画像の列には、表示面11aにおけるY方向の上側から下側にかけてボタン画像B15〜B17の3つが相互に接した状態で表示されている。
左側の列におけるY方向の最も上側に表示されたボタン画像B11には、プリントアウトする用紙サイズを画像データに基づいて自動的に選択することを画像形成本体部Aに指示する機能が設定されている。
【0147】
ボタン画像B11の下側のボタン画像B12、ボタン画像B13、ボタン画像B14には、それぞれ所定サイズの用紙の選択を画像形成本体部Aに指示する機能がそれぞれ設定されている。
右側の列におけるボタン画像B15〜B17のそれぞれにも、所定サイズの用紙の選択を画像形成本体部Aに指示する機能がそれぞれ設定されている。
【0148】
このような複数列領域画像の表示が指示されると、ステップS14〜S17、S21の処理が実行されることにより、ボタン画像B11〜B17のボタン画像領域のタッチ操作を検出対象とする第1センサー21xと第2センサー22y(
図10(a)の白抜きの丸印)が動作状態に設定される。
このような複数列領域画像における全てのボタン画像B11〜B17を、Y方向に沿って1列に並び替えた単列領域画像(変更画像)が表示パネル本体11の表示面11aに表示された状態を
図10(b)に示す。
【0149】
図10(b)に示す単列領域画像では、全てのボタン画像B11〜B17が、その順番で、Y方向に沿って1列に配置されるように並び替えられて表示される。
このような単列領域画像の場合、ボタン画像B11〜B17のそれぞれのボタン画像領域のタッチ操作を、X方向に沿って並んだ第1センサー21xに関係なく、Y方向に沿った第2センサー22yによって検出できる。
【0150】
このために、
図10(b)に模式的に示すように、ボタン画像B11〜B17のボタン画像領域のタッチ操作を検出対象とする第2センサー22y(
図10(b)の白抜きの丸印)だけを動作状態に設定すればよい。
従って、X方向に沿って並んだ第1センサー21xの全てが非動作状態に設定され、Y方向に沿って並んだ第2センサー22yは、ボタン画像B11〜B17のそれぞれを検出対象とするセンサーだけが動作状態に設定される。これにより、非動作状態となる第1センサー21xおよび第2センサー22yの総数は、
図10(a)に示す複数列領域画像の場合よりも増加し、動作状態となる第1センサー21xおよび第2センサー22yの総数は減少する。
【0151】
図10(a)に例示する複数列領域画像だけでなく、図示しない他の複数列領域画像についても、単列領域画像に変更した場合に動作状態になる第1センサー21xおよび第2センサー22yの総数が減少するものについては、上記のようにその複数列領域画像に対応する単列領域画像の画像データが予め主制御部30に記憶されている。
従って、1以上の複数列領域画像のうち、表示されるべき複数列領域画像が指示された場合に、その指示された複数列領域画像に対応する単列領域画像の画像データを読み出すことにより、読み出した単列領域画像の画像データに基づき、複数列領域画像を変更した単列領域画像を表示パネル本体11の表示面11aに表示することができる。
【0152】
このように、表示が指示された複数列領域画像に対応した単列領域画像が主制御部30の記憶部に記憶されている場合には、
図6のステップS33において「Yes」となり、ステップS34の単列領域表示処理が実行される。
図11は、単列領域表示処理のサブルーチンを示すフローチャートである。単列領域表示処理では、複数列領域画像に替えて、主制御部30の記憶部に記憶された単列領域画像を表示面11aに表示することを表示制御部13に指示する(ステップS51)。
【0153】
次いで、表示面11aに表示された単列領域画像における各ボタン画像の配列方向とは直交する方向に並ぶ第1センサー21xまたは第2センサー22yの全てを非動作状態にすることを、発光制御部25および受光制御部26に指示する(ステップS52)。
図10(b)の例では、全ての第1センサー21xが非動作状態に設定される。
さらに、非動作状態の設定が指示されなかった第1センサー21xまたは第2センサー22yのうち、ボタン画像(ボタン画像領域)をタッチ操作の検出対象としないセンサーと検出対象とするセンサーを抽出する(ステップS53)。
図10(b)の例では、全ての第2センサー22yのうち、網点の丸印で示す第2センサー22yが検出対象としないセンサーとして抽出され、白抜きの丸印で示す第2センサー22yが検出対象とするセンサーとして抽出される。
【0154】
検出対象としないセンサーとして抽出された第1センサー21xまたは第2センサー22yを非動作状態に、検出対象とするセンサーとして抽出された第1センサー21xまたは第2センサー22yを動作状態にすることを、発光制御部25および受光制御部26に指示する(ステップS54)。
その後、タッチ位置検出機構20に対して駆動開始を指示する(ステップS55)。これにより、発光制御部25および受光制御部26は、タッチ位置検出機構20を、主制御部30によって指示された状態になるように制御して、タッチ位置検出機構20によるタッチ操作の検出を実行する。
【0155】
この場合には、発光制御部25および受光制御部26は、非動作状態が指示された第1センサー21xまたは第2センサー22yの全てを非動作状態に制御する。従って、タッチ位置検出機構20の消費電力は、単列領域画像に変更される前の複数列領域画像が表示面11aに表示される場合よりも低減される。
その後、
図5のステップS24に進み、タッチ操作画面におけるいずれかのボタン画像がタッチ操作されるまで待機状態になる。ステップS24以降の処理は前述した通りである。
【0156】
なお、複数列領域画像を単列領域画像に変更すると、
図10(b)に示すように単列領域画像の一部が元々表示されていたボタン画像B2、B3の上に重なるようになるため、ユーザーによっては画面が見にくくなると感じる場合も生じ得る。しかし、ユーザーが省電力優先モードを選択していることから、タッチ位置検出機構20における消費電力の低減が優先されるようにしている。
【0157】
また、上記の単列領域表示処理では、ボタン画像B11〜B17をY方向に沿った1列に並び替えるとしたが、これに限られない。ボタンの数、形状、大きさによっては、例えばX方向に沿った1列に並び替えるとしても良い。いずれの方向に並び替えるかは予め決められる。
さらに、複数のボタン画像がX方向またはY方向に沿って2列に並んだ複数列領域画像について説明したが、単列領域表示処理の実行は、このような場合に限らない。例えば、ボタン画像がX方向またはY方向に沿って3列以上に並ぶ複数列領域画像に対しても、単列領域表示処理を実行する構成としてもよい。
【0158】
また、複数のボタン画像が列状に並ぶ場合に限られず、例えば相互に間隔をおいて散在する構成でも、それらを1列に並べることにより、並べる前よりも、動作状態となる第1センサー21xおよび第2センサー22yの総数を減少できるのであれば、上記同様に単列領域表示処理を実行する構成をとることもできる。
<集中表示処理>
次に、
図6に示すステップS32において、タッチ操作画面が複数列領域画像でない場合(ステップS32において「No」)におけるステップS35以降の処理について説明する。ステップS35以降の処理では、集中表示処理によりタッチ位置検出機構20における消費電力の低減が可能であるかを判断し(ステップS35)、集中表示処理が可能と判断されると、集中表示処理が実行される(ステップS36)。
【0159】
ここで、集中表示とは、表示が指示された全てのボタン画像を、表示面11aにおける任意の1個所に集中的に表示することである(
図12(b)参照)。このような集中表示により、隣接するボタン画像同士は、相互に接した状態、あるいは、比較的小さな間隙が形成された状態とされる。
ステップS35では、表示が指示されたタッチ操作画面がボタン画像の集中表示が可能であるかを判断する。本実施の形態では、複数個のボタン画像が相互に間隔をあけて表示される1つのタッチ操作画面ごとに、予め集中表示可能な否かが決められており、その決められた可否の結果に基づき、集中表示の可否が判断される。
【0160】
集中表示可能か否かの決定は、次のようにして行われる。
すなわち、
図12(a)に示すようにタッチ操作画面には、複数個のボタン画像Biが表示面11aの全面にわたって分散状態で表示される画面が存在する。
このようなタッチ操作画面では、表示面11aにおいてX方向またはY方向の全域にわたって背景画像領域が存在しない場合が多く、各ボタン画像のボタン画像領域のタッチ操作を検出対象とする第1センサー21xおよび第2センサー22yの個数が多くなる。つまり、非動作状態に設定できる第1センサー21xおよび第2センサー22yの個数が少なくなる。
【0161】
図12(a)に示すタッチ操作画面の場合、10個のボタン画像Biのそれぞれのボタン画像領域のタッチ操作を検出するには、第1センサー21xおよび第2センサー22yの全てを動作状態に設定する必要が生じる。
タッチ位置検出機構20の消費電力を低減すべく、非動作状態に設定できる第1センサー21xおよび第2センサー22yの個数をより多くするには、表示面11aにおいてX方向またはY方向の全域にわたって背景画像領域が存在する部分、すなわちタッチ位置の検出をオフ状態にできる背景画像領域の面積ができるだけ増加するようにすれば良い。
【0162】
このようにする方法の一つとして、分散する複数個のボタン画像を表示面11aにおける任意の1点の周囲に集中して表示させる集中表示を実行する構成がとられている。
図12(b)は、
図12(a)に示されたタッチ操作画面における全てのボタン画像Biを、表示面11a上における1個所(表示中心点)Paを中心として集中表示した画像(変更画像)を示している。
【0163】
ここで、各ボタン画像Biは、全てが同一の形状および大きさであり、各ボタン画像Biのそれぞれの表示位置が表示面11aにおけるボタン画像領域になっている。
ボタン画像のX方向に沿った長さは、それぞれ、表示面11aにおけるX方向に沿った長さの1/5であり、Y方向に沿った長さも、それぞれ、表示面11aにおけるY方向に沿った長さの1/5になっている。
【0164】
また、表示中心点Paは、表示面11aの左端からX方向に表示面11aのX方向長さの1/5の長さの位置、かつ、表示面11aの上端からY方向に表示面11aのY方向長さの半分の長さの位置になっている。
集中表示は、これを行う前の
図12(a)に示すタッチ操作画面における複数のボタン画像Biのうち、X方向の左側への移動可能なボタン画像Biの表示位置が、可能な限りX方向の左側へ移動することにより行われる。
【0165】
これにより、
図12(b)のタッチ操作画面に示すように、全てのボタン画像Biが表示中心点Paの周囲に集中表示されて、表示面11aにおける左側の2/5の大きさの領域内に位置するようになる。
各ボタン画像Biが集中表示された
図12(b)のタッチ操作画面において、各ボタン画像BiのX座標位置を検出するためには、表示面11aの左側の辺からX方向の全長の2/5の長さの範囲内に位置する第1センサー21x(白抜きの丸印)だけが動作状態であればよい。
【0166】
つまり、各ボタン画像Biが集中表示されている領域に対して右側に確保された大きな面積の背景画像領域11zに対応する複数個の第1センサー21x(網点の丸印)を非動作状態に設定できる。
従って、
図12(a)に示すタッチ操作画面における全てのボタン画像Bi(予め決められている表示態様)を、
図12(b)に示すように表示中心点Paの周囲に集中表示すれば(異なる所定の表示態様に変更すれば)、背景画像領域のタッチ操作を検出対象とする第1センサー21xおよび第2センサー22yの個数を増加することができる。これにより、ボタン画像Biを検出対象とする第1センサー21xおよび第2センサー22yの個数が減少する。
【0167】
複数のタッチ操作画面ごとに、それぞれ集中表示を行った場合に動作状態になる第1センサー21xおよび第2センサー22yの総数が減少するタッチ操作画面については集中表示が可能、そうでないタッチ操作画面については集中表示が不可と予め決められる。この決定結果は、主制御部30に記憶される。この意味で、主制御部30は、ステップS35の処理を実行する際に、上記同様の領域増加判定手段として機能するといえる。
【0168】
図12では、表示面11a上において表示中心点Paを表示面11aの中心位置よりもX方向左寄りに位置する場合の例を示したが、これに限られず、例えば表示面11aの中心位置やこれよりも右寄りの位置などとすることもできる。
図13(a)は、表示中心点Paが表示面11aの中心位置に位置する場合の集中表示の例を示し、
図13(b)は、表示中心点Paが表示面11aの中心位置よりも右寄りに位置する場合の集中表示の例を示している。
【0169】
図13(a)と
図13(b)のそれぞれの集中表示の方法でも、
図12(b)の集中表示の場合と同様に、動作状態になる第1センサー21xおよび第2センサー22yの総数を
図12(a)に示す分散表示よりも減少させることができる。
表示中心点Paを
図12(b)、
図13(a)、
図13(b)のいずれにするかは、後述のようにユーザーの最初のタッチ操作によるタッチ位置に基づき決めることができる。
【0170】
例えば、
図13(a)に示すように表示面11aをX方向に左側のα、中央のβ、右側のγの各領域に略3等分して、中央領域β内のいずれかの位置がタッチ操作されると、
図13(a)に示すように表示中心点Paを中央領域βの中央位置に決め、
図13(a)に示す集中表示を選択する。
また、右側領域γ内のいずれかの位置がタッチ操作されると、
図13(b)に示すように表示中心点Paを表示面11aの右端からX方向に表示面11aのX方向長さの1/5の長さの位置、かつ、表示面11aの上端からY方向に表示面11aのY方向長さの半分の長さの位置に決め、
図13(b)に示す集中表示を選択する。
【0171】
さらに、左側領域α内のいずれかの位置がタッチ操作されると、
図12(b)に示す集中表示を選択することができる。
なお、上記では、複数個のボタン画像BiがY方向に沿って並ぶ列を2列で並列表示する場合の例を説明したが、これに限られず、例えばX方向に沿って並ぶ列を2列で並列表示する構成をとることできる。どの方向に沿う列にするかは予め決められる。
【0172】
図6に戻り、ステップS35において、表示が指示されたタッチ操作画面が集中表示不可と判断すると(ステップS35において「No」)、
図5のステップS23に進み、ステップS23以降の処理を実行する。
一方、表示が指示されたタッチ操作画面が集中表示可能と判断すると(ステップS35において「Yes」)、ステップS36に進み、集中表示処理を実行する。
【0173】
図14は、集中表示処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、表示が指示されたタッチ操作画面(集中表示処理が実行されていないタッチ操作画面)の表示を表示制御部13に指示する(ステップS61)。これにより、集中表示が可能なタッチ操作画面が表示面11aに表示される。
次いで、第1センサー21xおよび第2センサー22yの全てを動作状態とすることを発光制御部25および受光制御部26に指示するとともに、タッチ位置の検出開始をタッチ位置検出機構20に指示する(ステップS62)。本実施形態では、タッチ操作画面が表示された後の最初のタッチ位置に基づいて表示中心点Paを決めるようにしている。このために、表示面11aにおける最初のタッチ位置を検出するために、第1センサー21xおよび第2センサー22yの全てを動作状態としている。
【0174】
そして、ユーザーの表示面11aへのタッチ操作によるタッチ位置が検出されるまで待機状態になる(ステップS63)。
その後、表示面11aのタッチ位置が検出されると(ステップS63において「Yes」)、タッチ位置を検出した第1センサー21xおよび第2センサー22yに基づいて表示中心点Paの座標位置を特定する(ステップS64)。ここでは、最初のタッチ位置が上記の
図13(a)に示すα、β、γのいずれの領域内であるかを判断し、判断した領域がαであれば、
図12(b)に示す表示中心点Paの座標位置が特定され、βであれば、
図13(a)に示す表示中心点Paの座標位置が特定され、γであれば、
図13(b)に示す表示中心点Paの座標位置が特定される。
【0175】
次いで、表示中心点Paの周囲にボタン画像Biを集中して表示することを表示制御部13に指示する(ステップS65)。これにより、表示制御部13は、表示面11aにおける表示中心点Paの周囲に全てのボタン画像Biを集中的に表示する表示位置変更を行う。この場合には、表示中心点Paに接近する方向への移動可能なボタン画像Biが、表示中心点Paに接近する方向へ移動させる。これにより、表示中心点Paの周囲に、全てのボタン画像Biが集中表示された状態になる。
【0176】
なお、全てのボタン画像Biを集中表示する際には、相互に隣接するボタン画像Biは、相互に接した状態になっていてもよいが、比較的小さな間隙が形成された状態であってもよい。
その後、全てのボタン画像Bi以外の背景画像領域のタッチ操作を検出対象とする第1センサー21xおよび第2センサー22yの全てを非動作状態に、全てのボタン画像Biのボタン画像領域のタッチ操作を検出対象とする第1センサー21xおよび第2センサー22yの全てを動作状態にする指示を行う(ステップS66)。これにより、集中表示処理を終了して、
図5のステップS24に進み、前述したように、いずれかのボタン画像Biのタッチ位置が検出されるまで待機状態になる。
【0177】
以上の集中表示処理においても、タッチ位置検出機構20における消費電力を、第1センサー21xおよび第2センサー22yの全てを動作状態にする場合よりも低減することができる。
上記のような集中表示処理を行うと、元々、分散表示されていた各ボタン画像の表示位置が変わることになるため、ユーザーにとっては操作性が低下したと感じる場合も生じ得るが、省電力優先モードが選択されていることから、この操作性の低下よりも、タッチ位置検出機構20における消費電力の低減が優先されるようになっている。
【0178】
なお、上記の集中表示処理の説明においては、表示中心点Paを、表示面11aおける最初のユーザーのタッチ位置に基づいて特定するとしたが、これに限られない。例えば、上記の構成に替えて、表示面11aにおける任意の位置を表示中心点Paとして予め設定しておいてもよい。この場合には、
図14のステップS62〜S64の処理を実行することなく、ステップS65以降の処理が実行される。
【0179】
<スライド操作省電力処理>
次に、
図5のステップS13において実行されるスライド操作省電力処理について説明する。
図15および
図16は、スライド操作省電力処理のサブルーチンを示すフローチャートである。スライド操作省電力処理では、スライド操作画面として、表示が指示されたシングルタッチ画面またはダブルタッチ画面を表示面11aに表示することを表示制御部13に指示する(
図15のステップS70)。
【0180】
シングルタッチ画面は、例えば、フリック操作によって表示位置を変更できる画像を含んだ状態で表示面11aに表示される。また、ダブルタッチ画面は、例えば、ピンチアウト操作またはピンチイン操作によって拡大または縮小される画像を含んだ状態で、表示面11aに表示される。表示面11aにシングルタッチ画面およびダブルタッチ画面のいずれが表示されても、
図15および
図16のフローチャートに基づく処理が実行される。
【0181】
スライド操作画面が表示面11aに表示されると、第1センサー21xおよび第2センサー22yの全てを動作状態にすることを、タッチ位置検出機構20に指示して、ユーザーのタッチ操作によるタッチ位置の検出開始を指示する(ステップS71)。
そして、タッチ位置が検出されるまで、待機状態になる(ステップS72)。
タッチ位置の検出は、上記のように、複数個の第1センサー21xおよび第2センサー22yのうち、受光素子21bおよび22bの出力電流が閾値電流よりも低下した状態になった第1センサー21xおよび第2センサー22yを特定し、特定した第1センサー21xおよび第2センサー22yのX、Y座標位置を検出することにより行われる。
【0182】
タッチ操作によるタッチ位置を検出すると(ステップS72において「Yes」)、タッチ位置を検出した第1センサー21xおよび第2センサー22yの全てをそれぞれ中核センサーSg1に設定する(ステップS73)。
そして、全ての中核センサーSg1のX座標位置およびY座標位置から、タッチ位置(領域)の中央のX座標およびY座標を求めて、求められたX座標およびY座標を現在のタッチ位置として記憶する(ステップS74)。
【0183】
次いで、中核センサーSg1によって検出されたタッチ位置の周囲の領域のタッチ操作を検出対象とする第1センサー21xおよび第2センサー22yを、それぞれ周辺センサーSg2に設定する(ステップS75)。これにより、中核センサーSg1に対してX方向およびY方向のそれぞれの両側に隣接する第1センサー21xおよび第2センサー22yのそれぞれが周辺センサーSg2に設定される。
【0184】
中核センサーSg1および周辺センサーSg2が設定されると、中核センサーSg1および周辺センサーSg2以外の全ての第1センサー21xおよび第2センサー22yを非動作状態にすることをタッチ位置検出機構20に指示する(ステップS76)。
これにより、タッチ位置検出機構20は、表示面11aにおける現在のタッチ位置部分と当該タッチ位置部分の周辺部分とを除いた残りの部分に相当するX成分領域とY成分領域の検出をオフ状態とする。従って、タッチ位置検出機構20は、表示面11aにおける現在のタッチ位置部分と当該タッチ位置部分の周辺部分との両方に相当するX成分領域とY成分領域の検出だけを実行する。この状態を第1状態という。
【0185】
以上のステップS71〜S76の処理を、シングルタッチ画面が表示面11aに表示されている場合について説明する。
図17は、表示パネル10の表示面11aに表示されたシングルタッチ画面上でのユーザーによるタッチ位置がスライド操作される前の状態とスライド操作された後の状態を説明するための模式図である。
【0186】
スライド操作前の状態では、シングルタッチ画面が表示された表示面11aに対して、ユーザーが指等によって最初にタッチ操作した位置をタッチ位置Ptとして、タッチ位置Ptの領域が、X方向に連続する3個の第1センサー21xと、Y方向に連続する3個の第2センサー22yとによって検出されている。
従って、ステップS73では、これら3個の第1センサー21xおよび3個の第2センサー22yのそれぞれが中核センサーSg1に設定される。また、ステップS74では、3個の第1センサー21xおよび3個の第2センサー22yのそれぞれの中央に位置する第1センサー21xおよび第2センサー22yのX座標およびY座標が、現在のタッチ位置のX座標およびY座標として記憶される。
【0187】
次のステップS75では、中核センサーSg1を構成する3個の第1センサー21xのX方向の両側に隣接する各1個の第1センサー21xと、3個の第2センサー22yのY方向の両側に隣接する各1個の第2センサー22yとが、それぞれ周辺センサーSg2に設定される。
次のステップS76では、中核センサーSg1および周辺センサーSg2に設定された5個の第1センサー21xおよび5個の第2センサー22y以外の全て第1センサー21xおよび第2センサー22yの非動作状態が、タッチ位置検出機構20に指示される。
【0188】
以上のように、スライド操作前の状態では、シングルタッチ画面の場合、ステップS71〜S76の処理によって、白抜きの丸印で示す5個の第1センサー21xおよび5個の第2センサー22yが動作状態になり、これら以外の網点の丸印で示す第1センサー21xおよび第2センサー22yが非動作状態になる。
表示面11aにダブルタッチ画面が表示されている場合におけるステップS71〜S76の処理も、シングルタッチ画面が表示されている場合と同様である。但し、ピンチイン操作およびピンチアウト操作を実行する場合には、通常、ユーザーは、タッチ操作を2本の指によって行う。この場合、ピンチアウト操作を実行する際に、タッチ操作される2本の指同士が相互に接していると、表示面11aにおけるタッチ位置Ptは、2つの領域として検出されずに1つの領域として検出されることがある。
【0189】
図18(a)は、表示パネル10の表示面11aに表示されたダブルタッチ画面をユーザーがピンチアウト操作を行うために、最初に表示面11aをタッチ操作した状態を説明するための模式図である。この場合には、タッチ位置Ptが1つの領域として検出されている。このタッチ位置Ptの面積は、シングルタッチ画面を1本の指でタッチ操作した場合のタッチ位置Ptの面積よりも若干大きくなっている。
図18(a)においては、タッチ位置Ptが、6個の第1センサー21xおよび6個の第2センサー22yによってそれぞれ検出されている。
【0190】
この場合も、
図18(a)に示すように、タッチ位置Ptを検出した6個の第1センサー21xおよび6個の第2センサー22yのそれぞれが中核センサーSg1に設定される。また、中核センサーSg1に設定された第1センサー21xのX方向の両側と、第2センサー22yのY方向の両側とにそれぞれ隣接する各1個の第1センサー21xおよび第2センサー22yが周辺センサーSg2に設定される。
【0191】
なお、ダブルタッチ画面においてピンチイン操作を実行する場合には、タッチ操作される2本の指同士が相互に離間した状態になっているために、2か所のタッチ位置が検出される。この場合には、2か所のタッチ位置のそれぞれにおいて、
図17で説明したスライド操作前の状態と同様に、中核センサーSg1および周辺センサーSg2のそれぞれが設定される。
【0192】
そして、ステップS76において、中核センサーSg1および周辺センサーSg2以外の第1センサー21xおよび第2センサー22yの非動作状態がタッチ位置検出機構20に指示される。
これにより、ダブルタッチ画面の場合も、タッチ位置検出機構20は、表示面11aにおける現在のタッチ位置部分と当該タッチ位置部分の周辺部分とを除いた残りの部分に相当するX成分領域とY成分領域の検出をオフ状態とする。従って、タッチ位置検出機構20は、表示面11aにおける現在のタッチ位置部分と当該タッチ位置部分の周辺部分との両方に相当するX成分領域とY成分領域の検出だけを実行する。
【0193】
次に、
図16のステップS77以降の処理について説明する。ステップS77では、動作状態になったいずれかの周辺センサーSg2がタッチ操作を検出して反応するまで待機状態になる。
シングルタッチ画面およびダブルタッチ画面においては、通常、ユーザーは、表示面11aにタッチした指を、表示面11aにタッチした状態を維持してスライドさせる。これにより、周辺センサーSg2のいずれかの受光素子(第1受光素子21bまたは第2受光素子22b)の出力電流が閾値電流よりも低下した状態に反応する。このことから、ステップS77では、周辺センサーSg2のいずれかが反応すると(ステップS77において「Yes」)、タッチ位置がスライドされたものと判定し、ステップS78に進む。
【0194】
ステップS78では、新たにタッチ位置を検出した第1センサー21xの全ておよび第2センサー22yの全てを、新たな中核センサーSg1に設定(更新)する。また、新たに中核センサーSg1に設定された第1センサー21xおよび第2センサー22yの両側にそれぞれ隣接する各1個の第1センサー21xおよび第2センサー22yのそれぞれを、新たな周辺センサーSg2に設定(更新)する(ステップS79)。
【0195】
中核センサーSg1および周辺センサーSg2が新たに設定されると、新たに設定された中核センサーSg1および周辺センサーSg2以外の全ての第1センサー21xおよび第2センサー22yが非動作状態(オフ状態)になり、かつ新たに設定された中核センサーSg1および周辺センサーSg2が動作状態になること(第1状態から第2状態への遷移)をタッチ位置検出機構20に指示する(ステップS80)。
【0196】
図17に示すシングルタッチ画面の例では、スライド操作前の状態のタッチ位置PtがX方向に沿って1個の第1センサー21xの幅分、右側にスライドした位置(以下、「スライド位置Ps」という。)に移動した状態がスライド操作後の状態になっている。
このスライド操作後の状態(第2状態)とは、スライド操作前の状態(第1状態)において中核センサーSg1に設定されていた3個の第1センサー21xに対してX方向の右側に隣接する周辺センサーSg2(第2センサー22y)が反応した瞬間(第2受光素子22bの出力電流が閾値電流よりも低下した瞬間)の状態のことである。
【0197】
図17の例に示すスライド操作後の状態では、スライド操作前のタッチ位置Ptに対して右側にスライドしたスライド位置Psを検出した3個の第1センサー21xおよび3個の第2センサー22yのそれぞれが新たに中核センサーSg1に設定されることになる。
そして、新たに設定された中核センサーSg1を構成する第1センサー21xおよび第2センサー22yに対してX方向およびY方向のそれぞれの両側に位置する各1個の第1センサー21xおよび第2センサー22yが、それぞれ新たな周辺センサーSg2に設定される。スライド前に既に周辺センサーSg2に設定されていた第1センサー21xおよび第2センサー22yがある場合でも、スライド後に周辺センサーSg2に該当するものについては新たに周辺センサーSg2に設定し直される。
【0198】
中核センサーSg1および周辺センサーSg2が新たに設定されると、次のステップS80では、中核センサーSg1および周辺センサーSg2以外のセンサーの非動作状態がタッチ位置検出機構20に指示される。
一方、ダブルタッチ画面では、ピンチイン操作またはピンチアウト操作が実行されると、通常、タッチ操作された2本の指が、相反する方向にスライドされる。このために、最初の1か所または2か所のタッチ位置Ptに対して、相反する方向にそれぞれ位置する周辺センサーSg2が反応する。この場合には、反応したそれぞれの周辺センサーSg2によって検出された2つのタッチ位置において、新たな中核センサーSg1および周辺センサーSg2がそれぞれ設定される。
【0199】
図18(b)は、ダブルタッチ画面において、最初の1か所のタッチ位置Ptが検出された
図18(a)に示す状態で、ピンチアウト操作を実行した場合を説明するための模式図である。ユーザーがピンチアウト操作を実行したときに、1つのタッチ位置Ptが、
図18(b)に示すように2つに分離されて、それぞれが相互に離間するように相反する方向に向かって表示面11a上をスライドした場合の例を示している。
【0200】
この例の場合、最初のタッチ位置Ptに対して相反する2つ方向のそれぞれに位置する周辺センサーSg2によってタッチ操作が検出され、スライド後の2か所のスライド位置Psのそれぞれを検出対象とする全ての第1センサー21xおよび第2センサー22y(
図18(b)では、それぞれ3個ずつ)が新たに中核センサーSg1に設定される。
また、2か所のスライド位置Psのそれぞれにおいても、新たに設定された中核センサーSg1のそれぞれに対して周辺センサーSg2が新たに設定される。この場合も、中核センサーSg1を構成する第1センサー21xおよび第2センサー22yに対して、X方向およびY方向のそれぞれの両側に隣接する各1個の第1センサー21xおよび第2センサー22yが、それぞれ新たな周辺センサーSg2に設定される。
【0201】
なお、ダブルタッチ画面において、ピンチイン操作を実行する場合には、最初に、表示面11aにおける2か所の領域(タッチ位置)がタッチ操作される。このような状態で、ピンチイン操作を実行すると、2か所のタッチ位置が相互に接近するように、それぞれ相反する方向に向かって表示面11a上をスライドする。この場合も、ピンチアウト操作の場合と同様に、2か所のスライド位置Psのそれぞれにおいて、中核センサーSg1および周辺センサーSg2のそれぞれが新たに設定される。
【0202】
図16に戻って、ステップS81では、現在のタッチ位置における中央のX座標およびY座標をそれぞれ取得する。この取得は、現在、中核センサーSg1に設定されている全ての第1センサー21xおよび第2センサー22yの中央位置のX座標およびY座標のそれぞれを検出することにより行われる。
そして、新たな設定の前後にそれぞれ取得されたタッチ位置、具体的にはステップS74で取得されたタッチ位置とステップS81で取得されたタッチ位置の各座標に基づき、所定情報の入力を受け付ける(ステップS82)。
【0203】
例えば、シングルタッチ画面では、ステップS74による設定前のタッチ位置からステップS81による設定後のタッチ位置に向けて画像を移動することが指示されたものとして、その指示を受け付ける。
また、ダブルタッチ画面では、2本の指等による設定前のタッチ位置と、設定後の2つのタッチ位置との差分の大きさに基づいて、設定前のタッチ位置に表示された画像を拡大または縮小することが指示されたものとして、その指示を受け付ける。この場合、ピンチアウト操作では、設定前のタッチ位置に表示された画像を、スライド方向に沿って、スライド距離に対応した拡大率で拡大することが指示されたものとする。また、ピンチイン操作では、設定前のタッチ位置に表示された画像を、スライド方向に沿って、スライド距離に対応した縮小率で縮小することが指示されたものとする。
【0204】
続いて、いずれかの周辺センサーSg2がタッチ操作の検出により反応したか否かを判断する(ステップS83)。
ユーザーによるタッチ位置のスライドが継続されて、いずれかの周辺センサーSg2が反応すると(ステップS83において「Yes」)、ステップS78に戻って、ステップS78以降の処理が実行される。
【0205】
タッチ位置が連続してスライドする場合には、周辺センサーSg2が反応する度に、ステップS78〜S83の処理が繰り返される。これにより、新たな中核センサーSg1と新たな周辺センサーSg2とが順次、設定(更新)されていくと共に、表示面11a上における画像もユーザーによるタッチ位置のスライド動作に追随するようにして移動、拡大等されることになる。
【0206】
なお、ステップS78〜S83の処理が2回以上繰り返される場合には、その回ごとに、ステップS82における所定情報の入力受付が、前回のステップS81で取得されたタッチ位置の座標を設定前のタッチ位置とし、今回のステップS81で取得したタッチ位置の座標を設定後の座標として行われる。
そして、タッチ位置Ptがスライドしなくなる状態、すなわちユーザーの指等によるスライドが停止した状態になり、周辺センサーSg2が反応しなくなったことを判断すると(ステップS83において「No」)、ステップS84に進む。
【0207】
ステップS84では、ユーザーによるタッチ操作が終了したかを判断する。
タッチ操作の終了は、ユーザーの指等が表示面11aから離間したこと、具体的には動作状態になった全ての第1センサー21xおよび第2センサー22yがタッチ位置を検出しない状態(全ての第1受光素子21bおよび第2受光素子22bの出力電流が閾値電流以上)に変化したことを検出することにより判定される。
【0208】
ユーザーによるタッチ操作の終了が判断されない場合には(ステップS84において「No」)、ステップS83に戻る。
一方、タッチ操作の終了が判断された場合には(ステップS84において「Yes」)、表示面11aに表示されたスライド操作画面を、異なる入力操作画面(スライド操作画面に限らない)の表示に変更する必要があるかを判断する(ステップS85)。例えば、ユーザーが表示面11aに表示されたスライド操作画面における所定位置のタッチ操作に基づいて、他の入力操作画面への表示変更が必要であるかを判定する。
【0209】
他の入力操作画面への表示変更が必要と判断されるまで待機状態になり、必要であることを判断すると(ステップS85において「Yes」)、
図5に示すステップS11に戻り、ステップS11以降の処理を実行する。
以上のように、表示面11aにスライド操作画面が表示されている場合には、最初のタッチ操作の後は、タッチ位置およびその周辺を検出対象とする第1センサー21xおよび第2センサー22yだけが選択的に動作状態とされる。これにより、第1センサー21xおよび第2センサー22yの全てを動作状態とする場合よりも、タッチ位置検出機構20の消費電力を低減することができる。
【0210】
さらに、その後にタッチ位置のスライドが検出されると、スライド位置およびその周辺を検出対象とする第1センサー21xおよび第2センサー22yだけが、新たに動作状態とされる。
このように、動作状態になった第1センサー21xおよび第2センサー22yに基づいて、タッチ位置のスライド、スライド方向、スライド距離のそれぞれを取得することができる。従って、タッチ位置検出機構20の消費電力が低減された状態で、スライド操作画面における各種情報の入力を受け付けることができる。
【0211】
なお、上記では、タッチ位置部分の周辺領域としての周辺部分に相当するX成分領域とY成分領域の検出を行う周辺センサーSg2を、中核センサーSg1に隣接するものだけとする例を説明したが、これに限られない。例えば、中核センサーSg1に隣接するセンサーと、さらにこれに隣接するセンサーを周辺センサーSg2に設定することもできる。中核センサーSg1を起点に、これに離れる方向に向かって何個目のセンサーまでを周辺センサーSg2に設定するかを予め決めておくことができる。
【0212】
[変形例]
上記の省電力制御は、
図5〜
図6のフローチャートで示すように、タッチ位置検出機構20が省電力状態になる複数の処理の実行が可能になっている。しかし、このような構成に限らず、タッチ位置検出機構20が省電力状態になるそれぞれの処理だけを単独で実行する構成、あるいは、2以上の処理を選択して実行する構成とすることもできる。
【0213】
<変形例1>
例えば、タッチ操作省電力処理として、
図5のフローチャートにおけるステップS17〜S20、S22を実行せずに、S15、S16で「Yes」の次にS21(背景画像領域に対する非動作設定)を実行して、その後、S23に進む構成としても良い。
この構成をとれば、ステップS18が実行されないので、複数個のボタン画像が1列に表示されていても、第1センサー21xまたは第2センサー22yの全てが非動作状態になることはなくなるが、全ての第1センサー21xおよび第2センサー22yを動作状態とする場合よりもタッチ位置検出機構20の消費電力を低減できる。この場合には、ステップS25において、タッチ操作の回数をカウントする必要がない。
【0214】
また、ステップS15の次にS17を実行し、S17で「Yes」であれば、S21、S22(操作頻度基準処理)の順に実行する構成をとることもできる。
<変形例2>
上記では、複数個のボタン画像が1列に表示されている場合に操作頻度基準処理(ステップ22)を実行する構成としたが、これに限られず、複数個のボタン画像が1列に表示されていない場合でも、操作頻度基準処理を実行する構成とすることもできる。
【0215】
例えば、
図7に示すような入力操作画面においてボタン画像B6が低頻度であれば、ボタン画像B6を並び替えることなく(ステップS44を実行せず)、そのボタン画像領域のタッチ操作を検出するための第1センサー21xと第2センサー22yのそれぞれに対して、動作時間の短縮(ステップS45)と供給電力の低減(ステップS47)の少なくとも一方を実行することができる。
【0216】
この構成をとる場合、例えばステップS15、S21、S22の順に実行し、ステップS22では、ステップS43とS44を除く他の処理を実行するとすれば良い。
また、
図7において、例えばボタン画像B8が低頻度であれば、そのボタン画像領域のタッチ操作を検出するための3つの第2センサー22yについてだけ、動作時間を短くしたり供給電力を低減したりすることができる。3つの第1センサー21xについては、ボタンB9の検出にも用いられるので、ボタンB9が低頻度でなければ、標準時間や標準電力のままとされる。
【0217】
さらに、省電力優先モード、操作頻度基準処理、単列領域表示処理、集中表示処理のうち、いずれか1つだけを実行する構成または2以上を組み合わせて実行する構成をとるとしても良い。単列領域表示処理または集中表示処理だけを実行する場合には、
図5のステップS15の次に
図6のステップS32以降を実行する構成をとることができる。
また、表示面11aに表示されるボタン画像は、複数個に限られず、例えば1個の場合もあり得、従って、1以上のボタン画像が表示される場合に適用することができる。
【0218】
<変形例3>
上記実施の形態では、隣り合う2つのボタン画像の間を背景画像として、この背景画像に対応する第1センサー21x(例えば、
図3の発光素子21ajと受光素子21bj)を非動作状態としたが、これに限られず、動作状態に設定されるとしても良い。
例えば、複数個のボタン画像をまとめてこれらを取り囲む一つの領域をボタン画像領域と捉えれば、隣り合う2つのボタン画像の間の領域もボタン画像領域になるので、隣り合う2つのボタン画像の間の領域を検出対象とする第1センサー21xまたは第2センサー22y、例えば
図3の発光素子21ajと受光素子21bjは、動作状態に設定される。
【0219】
このようにしても、第1センサー21xと第2センサー22yとの全てを動作状態に設定する構成よりもタッチ位置検出機構20の消費電力を低減できる。
つまり、表示面11a上におけるユーザーのタッチ操作を受け付けるための画像(第1領域)以外の背景画像領域(第2領域)の全体のうち、少なくとも一部の領域を検出対象とする第1センサー21xと第2センサー22yを非動作状態に設定、すなわちその一部の領域に相当するX成分領域とY成分領域のタッチ位置の検出をオフ状態に設定し、かつ、当該タッチ操作を受け付けるための画像が表示される領域に相当するX成分領域とY成分領域のタッチ位置の検出の実行を行う構成をとれば、全ての第1センサー21xと全ての第2センサー22yを動作状態に設定する構成よりもタッチ位置検出機構20の消費電力の低減に資することができる。
【0220】
なお、背景画像領域のどの部分を検出対象とする第1センサー21xと第2センサー22yを非動作状態に設定するかは、表示すべき全てのタッチ操作画面のそれぞれごとに予め決めておくことができる。
<変形例4>
上記の実施形態では、いわゆる光学方式のタッチ位置検出機構20において、それぞれの発光素子21aが個別に発光側スイッチ21cを介して発光側電力供給線21eと接続され、動作状態に設定された各発光素子21aに接続される発光側スイッチ21cを順番に1つずつだけがオンになるように切り替えていくことで、複数の発光素子21aのうち、発光素子列の並び順に1つだけが発光していく構成としたが、これに限られない。
【0221】
例えば、発光側スイッチ21cを設けずに、各発光素子21aを個別に発光と消灯の切り替えを制御する構成とすることもできる。この場合、各発光素子21aに対する供給電力を可変できるようにすれば標準電力と低電力を切り替えることもできる。
また、各発光素子21aを1つずつ順番に発光させることに限られず、例えば動作状態に設定された全ての発光素子21aを同時発光する構成とすることもできる。発光素子22aについても同様である。
【0222】
動作状態に設定された発光素子にタッチ位置を検出するための電力が供給され、非動作状態(オフ状態)に設定された発光素子に電力が供給されないようにすることができる構成に適用できる。
また、光学方式以外の、例えば投影型静電方式のタッチ位置検出機構を用いる構成とすることもできる。
【0223】
投影型静電方式の場合、異なるX座標位置においてY方向に沿った透明電極パターンによって第1センサーのそれぞれが構成される。また、異なるY座標位置においてX方向に沿って配置された透明電極パターンによって第2センサーのそれぞれが構成される。第1センサーと第2センサーの交差部のそれぞれでは相互に絶縁状態になっている。
上記の方式以外でも、表示面11a上におけるX−Y座標の異なる複数の領域のそれぞれごとに電力供給によるタッチ位置の検出をオン状態(可能)とオフ状態(不可)に切り替え可能な方式のタッチパネル一般に適用可能である。
【0224】
上記の実施形態では、画像形成装置において使用されるタッチパネル入力装置について説明したが、これに限られない。例えば、パーソナルコンピューター、携帯情報端末装置、車載用情報端末装置等の各種電子機器において使用されるタッチパネル入力装置にも適用することができる。
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容を可能な限りそれぞれ組み合わせるとしても良い。