【実施例】
【0043】
(実施例1:NaOH浴による陽極酸化処理)
[焼鈍による黒色化の確認実験]
焼鈍による黒色化の効果を確認するために、Al−Zn−Mg系アルミニウム合金を溶体化して更に時効処理したアルミ材、すなわち、JIS H0001に示された調質記号T6で処理したJIS A7075アルミニウム合金(JIS A7075-T6)材を表1に示した温度と時間で熱処理したものについて、それぞれ以下のような陽極酸化処理を行って実験用の表面処理アルミ合金材を得て、L
*値を測定した。
【0044】
すなわち、この実験では上記JIS A7075−T6材を表1の条件によりそれぞれ大気中で熱処理した後、表面の状態を同じにするために各試料をエメリー♯600で研磨した。次いで、水酸化ナトリウム(NaOH)100g/Lが溶解したアルカリ性水溶液(pH=14)を電解液として、浴温度15℃、電解電圧15V、電気量40C/cm
2の条件で陽極酸化処理した。その後、相対湿度100%(R.H.)、圧力2.0kg/cm
2G、及び温度130℃の水蒸気を発生させながら30分の封孔処理し、得られたアルミ合金材の陽極酸化皮膜について、ハンターの色差式による明度指数L
*値を測定した。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
上記結果から分るように、100℃〜400℃の熱処理によりいずれもL
*値が未処理の場合より下がる(黒色化する)ことが確認された。なかでも250℃〜350℃の熱処理では未処理の場合と比べてL
*値が良好に下がっており、特に、250℃×60分〜120分、300℃×30分〜120分、350℃×30分〜120分、及び400℃×30分の場合は黒色化が顕著に図れることが分った。
【0047】
また、上記の実験用表面処理アルミ合金材の焼鈍によるMgZn
2の析出の様子を調べるために、JIS A7075−T6材を熱処理して陽極酸化処理を施す前の状態のものと、JIS A7075−T6材を熱処理して更に陽極酸化処理を施した後の状態のものについて、X線回折法によりMgZn
2のピーク(回折角度2θ=19.7°)の積分回折強度を求めた。得られた積分回折強度と、そのA7075−T6材を陽極酸化処理した実験用表面処理アルミ合金材のL
*値の関係についてまとめたものを表2に示す。表2には、熱処理しないJIS A7075−T6材の場合についてもMgZn
2の積分回折強度を示しており、これと比較して所定の温度で熱処理することでMgZn
2の析出が増大することが確認される。
【0048】
なお、X線回折には、株式会社リガク製X線回折装置RAD−rRを使用し、Bragg−Brentano光学系、集中法で行った。ゴニオメーター半径は185mm、測定の種類は2θ/θ、管球はCuのKα、波長は1.54056Å、モノクロメーターを使用し、管電圧は50kV、管電流は200mA、走査範囲は2θ=10°〜70°、軸送り速度は1.0°/min、データサンプル幅は0.010°、試料の内面回転は80回/min、スリットは発散スリット1°、散乱スリット1°、受光スリット0.3mm、モノクロ受光スリット0.3mmの各条件とし、シンチレーション検出器を用いて測定した。
【0049】
【表2】
【0050】
[陽極酸化処理による黒色化の確認試験]
陽極酸化処理による黒色化の効果を確認するために、以下の試験を行った。JIS H0001に示された調質記号T6で処理したJIS A7075アルミニウム合金(JIS A7075-T6)の中空押出し材を切断して、支持枠外寸法160mm×130mm×高さ5mm、支持枠厚さ3mmとなるように切削研磨し、枠材形状に加工してアルミフレームを用意した。これを大気中で熱処理温度250℃、熱処理時間120分の焼鈍を行い、平均直径約100μmのステンレスを用いて焼鈍後のアルミフレームの表面をショットブラスト処理した。
【0051】
次いで、ショットブラスト処理後のアルミフレームを水酸化ナトリウム(NaOH)50g/Lが溶解したアルカリ性水溶液(pH=14)を電解液として、浴温度15℃において、電解電圧及び電気量を下記表3のような条件にして、それぞれ陽極酸化処理した。純水にて洗浄した後、アルミフレームの表面に形成された陽極酸化皮膜を渦電流式膜厚計(株式会社フィッシャー・インストルメンツ社製)にて測定した。
【0052】
次いで、純水にて洗浄して、陽極酸化処理後の各アルミフレームを蒸気封孔装置に入れ、相対湿度100%(R.H.)、圧力2.0kg/cm
2G、及び温度130℃の水蒸気を発生させながら30分の封孔処理を行って、試験例1-1〜1-16に係る各ペリクル用支持枠を得た。得られたペリクル用支持枠の黒色性、及びハンターの色差式による明度指数L
*値の結果を表3に示す。なお、表3における黒色性の評価はL
*値が40以下のものを〇とし、L
*値が40超過のものを×としている。
【0053】
また、A7075−T6材の焼鈍を行わなかった以外は試験例1-3と同様にして、試験例1-17に係るペリクル用支持枠を得た。得られたペリクル用支持枠のL
*値、及び黒色性について結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
上記結果から分かるように、焼鈍を行い、かつ、水酸化ナトリウム浴を用いて電圧値0.5V以上20V未満の範囲で陽極酸化処理を行うことで、十分に黒色化されたペリクル用支持枠を得ることができる。
【0056】
[イオン溶出量の確認試験]
上記試験例1-1で得られたペリクル用支持枠について、これをポリエチレン袋に入れて純水100mlを加えて密封し、80℃に保って4時間浸漬させた。このようにして支持枠からの溶出成分を抽出した抽出水を、セル温度35℃、カラム(IonPacAS11-HC)温度40℃とし、1.5ml/minの条件でイオンクロマトグラフ分析装置(日本ダイオネクス社製ICS-2000)を用いて分析した。この抽出水から酢酸イオン、ギ酸イオン、塩酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン及びシュウ酸イオンを検出し、支持枠表面積100cm
2あたりの純水100ml中への溶出濃度を求めた。これらの結果を表4に示す。なお、当該試験で使用したイオンクロマトグラフ分析装置の定量限界(下限)は各イオン種により異なり0.01〜0.001ppmであり、表4に示した分析結果は、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン及びシュウ酸イオンはいずれも検出されなかったことを表す。
【0057】
【表4】
【0058】
(実施例2:酒石酸ナトリウム+NaOH混合浴による陽極酸化処理)
[焼鈍による黒色化の確認実験]
酒石酸ナトリウム2水和物(Na
2C
4H
4O
6・2H
2O)50g/L、及び水酸化ナトリウム5g/Lが溶解したアルカリ性水溶液(pH=13.1)を電解液として、浴温度10℃、電解電圧15V、電気量20C/cm
2の条件で陽極酸化処理した以外は上記実施例1の[焼鈍による黒色化の確認実験]と同様にして、実験用の表面処理アルミ合金材を得て、L
*値を測定した。結果を表5に示す。
【0059】
【表5】
【0060】
上記結果から分るように、100〜350℃の熱処理によりいずれもL
*値が未処理の場合より下がる(黒色化する)ことが確認された。なかでも150〜350℃の熱処理では未処理の場合と比べてL
*値が良好に下がっており、特に、250℃×120分、300℃×30分、及び300℃×60分の場合は黒色化が顕著に図れることが分った。
【0061】
また、実験用表面処理アルミ合金材の焼鈍によるMgZn
2の析出の様子を調べるために、上記実施例1の[焼鈍による黒色化の確認実験]と同様にして、X線回折法によりMgZn
2のピーク(回折角度2θ=19.7°)の積分回折強度を求めた。結果は表6に示したとおりである。
【0062】
【表6】
【0063】
[陽極酸化処理による黒色化の確認試験]
酒石酸ナトリウム2水和物(Na
2C
4H
4O
6・2H
2O)50g/L、及び水酸化ナトリウム5g/Lが溶解したアルカリ性水溶液(pH=13.1)を電解液として、浴温度10℃において、電解電圧及び電気量を下記表7に示した条件にしてそれぞれ陽極酸化処理を行った以外は上記実施例1の[陽極酸化処理による黒色化の確認試験]と同様にして、試験例2-1〜2-13に係る各ペリクル用支持枠を得て、酒石酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとのアルカリ混合浴の場合における陽極酸化処理の効果を確認した。結果を表7に示す。なお、試験例2-13は、A7075−T6材の焼鈍を行わなかった以外は試験例2-2と同様にした。
【0064】
また、比較参照用として、焼鈍を行わずに、ショットブラスト処理のみ行ったアルミフレームについて、20℃、15質量%(150g/L)の硫酸水溶液を電解浴として用いて、電圧18Vで陽極酸化処理し、最後に封孔処理して試験例2-14に係るペリクル用支持枠を得た。同じく比較参照用として、焼鈍を行わずに、ショットブラスト処理のみ行ったアルミフレームについて、30℃、5質量%(50g/L)のシュウ酸水溶液を電解浴として用いて、電圧35Vで陽極酸化処理し、最後に封孔処理して試験例2-15に係るペリクル用支持枠を得た。これらのペリクル用支持枠について、L
*値、及び黒色性の評価を表7に示す。
【0065】
【表7】
【0066】
上記結果から分かるように、焼鈍を行い、かつ、酒石酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとのアルカリ混合浴を用いて電圧値2V以上20V未満の範囲で陽極酸化処理を行うことにより、十分に黒色化されたペリクル用支持枠を得ることができる。
【0067】
[イオン溶出量の確認試験]
上記試験例2-2、2-14及び2-15で得られたペリクル用支持枠について、これらのペリクル用支持枠をそれぞれポリエチレン袋に入れて純水100mlを加えて密封し、80℃に保って4時間浸漬させ、上記実施例1の[イオン溶出量の確認試験]と同様にして各イオンの溶出濃度を測定した。結果は表8に示したとおりであり、電解浴として硫酸やシュウ酸を含んだ水溶液を用いた場合に比べて、酒石酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとのアルカリ混合浴を用いることで、ヘイズの原因となるような酸成分の取り込みが抑制されていることが分かる。
【0068】
【表8】
【0069】
(実施例3:クエン酸ナトリウム+NaOH混合浴による陽極酸化処理)
[焼鈍による黒色化の確認実験]
クエン酸ナトリウム2水和物(Na
3(C
6H
5O
7)・2H
2O)100g/L、及び水酸化ナトリウム5g/Lが溶解したアルカリ性水溶液(pH=12.7)を電解液として、浴温度10℃、電解電圧19V、電気量7C/cm
2の条件で陽極酸化処理した以外は上記実施例1の[焼鈍による黒色化の確認実験]と同様にして、実験用の表面処理アルミ合金材を得て、L
*値を測定した。結果を表9に示す。
【0070】
【表9】
【0071】
上記結果から分るように、100℃〜400℃の熱処理によりいずれもL
*値が未処理の場合より下がる(黒色化する)ことが確認された。なかでも200℃〜400℃の熱処理では未処理の場合と比べてL
*値が良好に下がっており、特に、250℃×60分、250℃×120分、300℃×30分、及び300℃×60分の場合は黒色化が顕著に図れることが分った。
【0072】
また、実験用表面処理アルミ合金材の焼鈍によるMgZn
2の析出の様子を調べるために、上記実施例1の[焼鈍による黒色化の確認実験]と同様にして、X線回折法によりMgZn
2のピーク(回折角度2θ=19.7°)の積分回折強度を求めた。結果は表10に示したとおりである。
【0073】
【表10】
【0074】
[陽極酸化処理による黒色化の確認試験]
クエン酸ナトリウム2水和物(Na
3(C
6H
5O
7)・2H
2O)100g/L、及び水酸化ナトリウム5g/Lが溶解したアルカリ性水溶液(pH=12.7)を電解液として、浴温度10℃において、電解電圧及び電気量を下記表11に示した条件にしてそれぞれ陽極酸化処理を行った以外は上記実施例1の[陽極酸化処理による黒色化の確認試験]と同様にして、試験例3-1〜3-17に係る各ペリクル用支持枠を得て、クエン酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとのアルカリ混合浴の場合における陽極酸化処理の効果を確認した。結果を表11に示す。なお、試験例3-17は、A7075−T6材の焼鈍を行わなかった以外は試験例3-5と同様にした。
【0075】
【表11】
【0076】
上記結果から分かるように、焼鈍を行い、かつ、クエン酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとのアルカリ混合浴を用いて電圧値2V以上19V以下の範囲で陽極酸化処理を行うことにより、十分に黒色化されたペリクル用支持枠を得ることができる。
【0077】
[イオン溶出量の確認試験]
上記試験例3-5で得られたペリクル用支持枠について、これをポリエチレン袋に入れて純水100mlを加えて密封し、80℃に保って4時間浸漬させ、上記実施例1の[イオン溶出量の確認試験]と同様にして各イオンの溶出濃度を測定した。結果は表12に示したとおりであり、クエン酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとのアルカリ混合浴を用いることで、ヘイズの原因となるような酸成分の取り込みが抑制されていることが分かる。
【0078】
【表12】
【0079】
(実施例4:シュウ酸ナトリウム+NaOH混合浴による陽極酸化処理)
[焼鈍による黒色化の確認実験]
シュウ酸ナトリウム(Na
2C
2O
4)25g/L、及び水酸化ナトリウム5g/Lが溶解したアルカリ性水溶液(pH=12.9)を電解液として、浴温度10℃、電解電圧15V、電気量20C/cm
2の条件で陽極酸化処理した以外は上記実施例1の[焼鈍による黒色化の確認実験]と同様にして、実験用の表面処理アルミ合金材を得て、L
*値を測定した。結果を表13に示す。
【0080】
【表13】
【0081】
上記結果から分るように、150〜400℃の熱処理によりいずれもL
*値が未処理の場合より下がる(黒色化する)ことが確認された。なかでも200〜250℃の熱処理では未処理の場合と比べてL
*値が良好に下がっており、特に、250℃×30〜120分の場合は黒色化が顕著に図れることが分った。
【0082】
また、実験用表面処理アルミ合金材の焼鈍によるMgZn
2の析出の様子を調べるために、上記実施例1の[焼鈍による黒色化の確認実験]と同様にして、X線回折法によりMgZn
2のピーク(回折角度2θ=19.7°)の積分回折強度を求めた。結果は表14に示したとおりである。
【0083】
【表14】
【0084】
[陽極酸化処理による黒色化の確認試験]
シュウ酸ナトリウム(Na
2C
2O
4)25g/L、及び水酸化ナトリウム5g/Lが溶解したアルカリ性水溶液(pH=12.9)を電解液として、浴温度10℃において、電解電圧及び電気量を下記表15に示した条件にしてそれぞれ陽極酸化処理を行った以外は上記実施例1の[陽極酸化処理による黒色化の確認試験]と同様にして、試験例4-1〜4-17に係る各ペリクル用支持枠を得て、シュウ酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとのアルカリ混合浴の場合における陽極酸化処理の効果を確認した。結果を表15に示す。なお、試験例4-17は、A7075−T6材の焼鈍を行わなかった以外は試験例4-7と同様にした。
【0085】
【表15】
【0086】
上記結果から分かるように、焼鈍を行い、かつ、シュウ酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとのアルカリ混合浴を用いて電圧値2V以上19V以下の範囲で陽極酸化処理を行うことにより、十分に黒色化されたペリクル用支持枠を得ることができる。
【0087】
[イオン溶出量の確認試験]
上記試験例4-7で得られたペリクル用支持枠について、これをポリエチレン袋に入れて純水100mlを加えて密封し、80℃に保って4時間浸漬させ、上記実施例1の[イオン溶出量の確認試験]と同様にして各イオンの溶出濃度を測定した。結果は表16に示したとおりであり、シュウ酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとのアルカリ混合浴を用いることで、ヘイズの原因となるような酸成分の取り込みが抑制されていることが分かる。
【0088】
【表16】
【0089】
(実施例5:サリチル酸ナトリウム+NaOH混合浴による陽極酸化処理)
[焼鈍による黒色化の確認実験]
サリチル酸ナトリウム(NaC
7H
5O
3)100g/L、及び水酸化ナトリウム20g/Lが溶解したアルカリ性水溶液(pH=13.7)を電解液として、浴温度15℃、電解電圧19V、電気量40C/cm
2の条件で陽極酸化処理した以外は上記実施例1の[焼鈍による黒色化の確認実験]と同様にして、実験用の表面処理アルミ合金材を得て、L
*値を測定した。結果を表17に示す。
【0090】
上記結果から分るように、100℃〜400℃の熱処理によりいずれもL
*値が未処理の場合より下がる(黒色化する)ことが確認された。なかでも200℃〜350℃の熱処理では未処理の場合と比べてL
*値が良好に下がっており、特に、250℃×120分、300℃×30分〜120分、350℃×30分〜120分、及び400℃×30分の場合は黒色化が顕著に図れることが分った。
【0091】
【表17】
【0092】
また、実験用表面処理アルミ合金材の焼鈍によるMgZn
2の析出の様子を調べるために、上記実施例1の[焼鈍による黒色化の確認実験]と同様にして、X線回折法によりMgZn
2のピーク(回折角度2θ=19.7°)の積分回折強度を求めた。結果は表18に示したとおりである。
【0093】
【表18】
【0094】
[陽極酸化処理による黒色化の確認試験]
サリチル酸ナトリウム(NaC
7H
5O
3)100g/L、及び水酸化ナトリウム20g/Lが溶解したアルカリ性水溶液(pH=13.7)を電解液として、浴温度15℃において、電解電圧及び電気量を下記表19に示した条件にしてそれぞれ陽極酸化処理を行った以外は上記実施例1の[陽極酸化処理による黒色化の確認試験]と同様にして、試験例5-1〜5-17に係る各ペリクル用支持枠を得て、サリチル酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとのアルカリ混合浴の場合における陽極酸化処理の効果を確認した。結果を表19に示す。なお、試験例5-17は、A7075−T6材の焼鈍を行わなかった以外は試験例5-3と同様にした。
【0095】
【表19】
【0096】
上記結果から分かるように、焼鈍を行い、かつ、サリチル酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとのアルカリ混合浴を用いて電圧値3V以上19V以下の範囲で陽極酸化処理を行うことにより、十分に黒色化されたペリクル用支持枠を得ることができる。
【0097】
[イオン溶出量の確認試験]
上記試験例5-3で得られたペリクル用支持枠について、これをポリエチレン袋に入れて純水100mlを加えて密封し、80℃に保って4時間浸漬させ、上記実施例1の[イオン溶出量の確認試験]と同様にして各イオンの溶出濃度を測定した。結果は表20に示したとおりであり、サリチル酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとのアルカリ混合浴を用いることで、ヘイズの原因となるような酸成分の取り込みが抑制されていることが分かる。
【0098】
【表20】