(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、吸着剤は経年劣化する。上記ガス供給装置において、吸着剤が劣化すると、所望の濃度の窒素濃縮空気を生成できず、庫内空気の酸素濃度を目標濃度まで低下させることができなくなる。そのため、吸着剤が劣化した場合には、吸着剤を交換する必要がある。上述のようなガス供給装置では、使用開始からある程度の日数を経た時点で、吸着剤を交換することとしていた。
【0006】
しかしながら、吸着剤は、使用状況により劣化の程度が異なる。そのため、使用開始からの日数で交換時期を判断すると、不必要に吸着剤を交換してしまう場合や、逆に、交換の必要があるにも拘わらず、吸着剤が交換されない場合があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸着剤を用いて窒素濃縮空気を生成するガス供給装置及びそれを備えたコンテナ用冷凍装置において、ガス供給装置の運転状態から吸着剤の性能を診断可能に構成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、呼吸を行う植物(15)が収納されるコンテナ(11)に設けられ、空気中の窒素を吸着する吸着剤がそれぞれ内部に設けられた第1吸着部(34)及び第2吸着部(35)と、上記第1吸着部(34)及び第2吸着部(35)の一方に接続され、該吸着部に外気を供給して該外気中の窒素を上記吸着剤に吸着させて該外気よりも酸素濃度が高い酸素濃縮空気を生成する第1ポンプ機構(31a)と、上記第1吸着部(34)及び第2吸着部(35)の他方に接続され、該吸着部から空気を吸引して上記吸着剤から脱着させた窒素を含む窒素濃縮空気を生成する第2ポンプ機構(31b)とを有するエアポンプ(31)と、上記エアポンプ(31)を駆動するモータ(41)と、上記第1吸着部(34)が上記第1ポンプ機構(31a)に接続され且つ上記第2吸着部(35)が上記第2ポンプ機構(31b)に接続される第1の接続状態と、上記第2吸着部(35)が上記第1ポンプ機構(31a)に接続され且つ上記第1吸着部(34)が上記第2ポンプ機構(31b)に接続される第2の接続状態とを交互に切り換える切換機構(32,33)と、上記第2ポンプ機構(31b)と上記コンテナ(11)の庫内とを繋ぎ、上記窒素濃縮空気を上記コンテナ(11)の庫内に導く供給通路(44)と、上記第1吸着部(34)及び第2吸着部(35)と外部とを繋ぎ、上記酸素濃縮空気を外部へ導く酸素排出通路(45)とを備えたガス供給装置であって、上記窒素濃縮空気の酸素濃度が所定濃度以下にならない場合に、上記ガス供給装置の各構成機器が正常であるか否かを診断して異常箇所を特定する異常診断部(91)を備え、上記異常診断部(91)は、上記エアポンプ(31)と上記モータ(41)と上記切換機構(32,33)のそれぞれが正常であるか否かを診断し、全てが正常であると診断した場合に、上記吸着剤が異常であると診断するものである。
【0009】
第1の発明では、第1ポンプ機構(31a)によって外気が第1吸着部(34)及び第2吸着部(35)に交互に供給され、該外気中の窒素が吸着剤に吸着して外気よりも酸素濃度が高い酸素濃縮空気が生成される。一方、第2ポンプ機構(31b)によって第1吸着部(34)及び第2吸着部(35)の内部の空気が交互に吸引され、吸着剤に吸着した窒素が脱着して該窒素を含む窒素濃縮空気が生成される。このようにして生成される窒素濃縮空気の酸素濃度が所定濃度以下にならない場合、異常診断部(91)は、ガス供給装置(30)の各構成機器が正常であるか否かを診断して異常箇所を特定する。具体的には、異常診断部(91)は、エアポンプ(31)とモータ(41)と切換機構(32,33)のそれぞれが正常であるか否かを診断する。そして、異常診断部(91)は、エアポンプ(31)とモータ(41)と切換機構(32,33)の全てが正常であると診断した場合に、第1吸着部(34)及び第2吸着部(35)の吸着剤が異常であると診断する。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、少なくとも上記エアポンプ(31)と上記モータ(41)とを収納するユニットケース(70)を備え、上記異常診断部(91)は、上記エアポンプ(31)の運転開始後における上記ユニットケース(70)内の温度が、上記エアポンプ(31)の運転開始前に比べて上昇した場合に、上記エアポンプ(31)と上記モータ(41)とが正常であると診断し、上記エアポンプ(31)の運転開始後における上記ユニットケース(70)内の温度が、上記エアポンプ(31)の運転開始前に比べて上昇していない場合に、上記エアポンプ(31)又は上記モータ(41)が異常であると診断するものである。
【0011】
第2の発明では、少なくともエアポンプ(31)とモータ(41)とが、ユニットケース(70)内に収納されている。エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常である場合、エアポンプ(31)の運転中に発熱する。そのため、エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常であれば、エアポンプ(31)の運転を開始すると、ユニットケース(70)内の温度が運転開始前より上昇する。そこで、異常診断部(91)は、エアポンプ(31)の運転開始後のユニットケース(70)内の温度が、エアポンプ(31)の運転開始前に比べて上昇した場合に、エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常であると診断し、エアポンプ(31)の運転開始前に比べて上昇していない場合に、エアポンプ(31)又はモータ(41)が異常であると診断する。
【0012】
第3の発明は、第1の発明において、上記異常診断部(91)は、上記エアポンプ(31)の運転開始後における上記酸素排出通路(45)内の圧力が、上記エアポンプ(31)の運転開始前に比べて上昇した場合に、上記エアポンプ(31)と上記モータ(41)とが正常であると診断し、上記エアポンプ(31)の運転開始後における上記酸素排出通路(45)内の圧力が、上記エアポンプ(31)の運転開始前に比べて上昇していない場合に、上記エアポンプ(31)又は上記モータ(41)が異常であると診断するものである。
【0013】
第3の発明では、エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常である場合、エアポンプ(31)を運転させると、酸素排出通路(45)には、第1ポンプ機構(31a)によって加圧されて第1吸着部(34)及び第2吸着部(35)に供給された外気が酸素濃縮空気となって酸素排出通路(45)に流出する。つまり、酸素排出通路(45)内の圧力が第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気の圧力とほぼ等しくなる。一方、エアポンプ(31)の運転開始前は、酸素排出通路(45)には何ら空気が流入しないため、外部に繋がる酸素排出通路(45)内の圧力は、外気の圧力とほぼ等しくなる。そのため、エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常であれば、エアポンプ(31)の運転を開始すると、酸素排出通路(45)内の圧力が運転開始前より上昇する。そこで、異常診断部(91)は、エアポンプ(31)の運転開始後の酸素排出通路(45)内の圧力が、エアポンプ(31)の運転開始前に比べて上昇した場合に、エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常であると診断し、エアポンプ(31)の運転開始前に比べて上昇していない場合に、エアポンプ(31)又はモータ(41)が異常であると診断する。
【0014】
第4の発明は、第2又は第3の発明において、上記異常診断部(91)は、上記エアポンプ(31)又は上記モータ(41)が異常であると診断した場合であって、上記モータ(41)の電流値が所定の正常範囲内である場合に、上記エアポンプ(31)が異常であると診断し、上記エアポンプ(31)又は上記モータ(41)が異常であると診断した場合であって、上記モータ(41)の電流値が所定の正常範囲内でない場合に、上記モータ(41)が異常であると診断するものである。
【0015】
第4の発明では、異常診断部(91)は、エアポンプ(31)又はモータ(41)が異常であると診断した場合、モータ(41)の電流値が所定の正常範囲内であるか否かを判定する。そして、異常診断部(91)は、モータ(41)の電流値が所定の正常範囲内である場合に、エアポンプ(31)が異常であると診断し、モータ(41)の電流値が所定の正常範囲内でない場合に、モータ(41)が異常であると診断する。
【0016】
第5の発明は、第1乃至4のいずれか1つの発明において、上記切換機構(32,33)は、上記第1吸着部(34)を上記第1ポンプ機構(31a)に接続する第1状態と上記第2ポンプ機構(31b)に接続する第2状態とに切り換わる第1電磁弁(32)と、上記第2吸着部(35)を上記第2ポンプ機構(31b)に接続する第1状態と上記第1ポンプ機構(31a)に接続する第2状態とに切り換わる第2電磁弁(33)とを有し、上記第1電磁弁(32)が上記第1状態となり且つ上記第2電磁弁(33)が上記第2状態となる両方加圧状態と、上記第1電磁弁(32)が上記第2状態となり且つ上記第2電磁弁(33)が上記第1状態となる両方減圧状態とに切換可能に構成されると共に、上記第1電磁弁(32)及び上記第2電磁弁(33)を共に非通電状態にすると、上記両方加圧状態及び上記両方減圧状態の一方の状態に切り換わり、上記第1電磁弁(32)及び上記第2電磁弁(33)を共に通電状態にすると、上記両方加圧状態及び上記両方減圧状態の他方の状態に切り換わるように構成され、上記異常診断部(91)は、上記第1電磁弁(32)及び上記第2電磁弁(33)を、同時に非通電状態から通電状態に切り換える通電動作の前後において、上記酸素排出通路(45)内の圧力が、所定圧力以上変化した場合に、上記切換機構(32,33)が正常であると診断し、上記通電動作の前後において、上記酸素排出通路(45)内の圧力が、上記所定圧力以上変化しない場合に、上記切換機構(32,33)が異常であると診断するものである。
【0017】
第5の発明では、異常診断部(91)は、第1電磁弁(32)及び第2電磁弁(33)を同時に非通電状態から通電状態に切り換える通電動作を行う。該通電動作を行うと、エアポンプ(31)と第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)との接続状態が、両方加圧状態から両方減圧状態へ又は両方減圧状態から両方加圧状態へ切り換わる。両方加圧状態では、第1吸着部(34)及び第2吸着部(35)の両方が第1ポンプ機構(31a)によって加圧され、両方において酸素濃縮空気が生成されて酸素排出通路(45)に流出する。そのため、酸素排出通路(45)内の圧力は、第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気の圧力とほぼ等しくなる。一方、両方減圧状態では、第1吸着部(34)及び第2吸着部(35)の両方が第2ポンプ機構(31b)によって減圧されるため、第1吸着部(34)及び第2吸着部(35)のいずれからも酸素排出通路(45)に空気が流出しない。そのため、外部と繋がる酸素排出通路(45)内の圧力は、外気の圧力とほぼ等しくなる。よって、切換機構(32,33)が正常である場合、通電動作によって両方加圧状態から両方減圧状態へ又は両方減圧状態から両方加圧状態へ切り換わることにより、酸素排出通路(45)内の圧力が低下又は上昇する。
【0018】
このような構成により、異常診断部(91)は、通電動作の前後において、酸素排出通路(45)内の圧力が所定圧力以上変化した場合には、切換機構(32,33)が正常であると診断し、所定圧力以上変化しない場合には、切換機構(32,33)が異常であると診断することとしている。
【0019】
第6の発明は、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、上記異常診断部(91)によって、上記ガス供給装置(30)における異常箇所が特定されると、使用者に異常箇所を報知する報知部(92)を備えているものである。
【0020】
第6の発明では、異常診断部(91)によって、ガス供給装置(30)における異常箇所が特定されると、報知部(92)によって異常箇所が使用者に報知される。
【0021】
第7の発明は、呼吸を行う植物(15)が収納されるコンテナ(11)に取り付けられ、冷凍サイクルを行って上記コンテナ(11)の庫内空気を冷却する冷媒回路(20)と、上記コンテナ(11)の庫内にガスを供給するガス供給装置(30)と、上記コンテナ(11)の庫内空気を庫外へ排出する排気部(46)とを有し、上記コンテナ(11)の庫内空気の組成を調節する庫内空気調節装置(60)とを備えたコンテナ用冷凍装置であって、上記ガス供給装置(30)は、第1乃至第6のいずれか1つの発明に係るガス供給装置によって構成されているものである。
【0022】
第7の発明では、冷媒回路(20)において冷凍サイクルが行われることにより、コンテナ(11)の庫内空気が冷却される。また、庫内空気調節装置(60)のガス供給装置(30)において生成した窒素濃縮空気をコンテナ(11)へ供給し、庫内空気調節装置(60)の排気部(46)によってコンテナ(11)の庫内空気を庫外へ排出することにより、コンテナ(11)の庫内空気の組成が調節される。
【発明の効果】
【0023】
第1の発明では、吸着剤の性能低下による異常は、ガス供給装置(30)の運転状態から診断し難いところ、運転状態から正常であるか否かを比較的診断し易いエアポンプ(31)とモータ(41)と切換機構(32,33)の診断結果から診断することとした。具体的には、エアポンプ(31)とモータ(41)と切換機構(32,33)のそれぞれが正常であるか否かを診断し、全てが正常であると診断した場合に、第1吸着部(34)及び第2吸着部(35)の吸着剤が異常であると診断することとした。従って、第1の発明によれば、吸着剤の性能低下による異常をガス供給装置の運転状態から容易に診断することができる。よって、吸着剤の吸着性能が低下したことを検知することができるため、不必要に吸着剤を交換することがなくなり、吸着剤を適切な時期に交換することができる。
【0024】
また、第2の発明によれば、エアポンプ(31)とモータ(41)とが、ユニットケース(70)内に収納されていることを利用し、エアポンプ(31)の運転開始後に、ユニットケース(70)内の温度が運転開始前より上昇するか否かで、エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常であるか否かを診断することとした。そのため、エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常であるか否かを容易に診断することができる。
【0025】
また、第3の発明によれば、エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常であれば、エアポンプ(31)の運転開始後、酸素排出通路(45)内の圧力が第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気の圧力と等しくなることを利用し、エアポンプ(31)の運転開始後に、酸素排出通路(45)内の圧力が運転開始前より上昇するか否かで、エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常であるか否かを診断することとした。そのため、エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常であるか否かを容易に診断することができる。
【0026】
また、第4の発明によれば、モータ(41)が正常であれば、モータ(41)の電流値が正常範囲内になることを利用し、エアポンプ(31)又はモータ(41)が異常であると診断した場合に、モータ(41)の電流値が正常範囲内であれば、エアポンプ(31)が異常であると診断し、モータ(41)の電流値が正常範囲内でなければ、モータ(41)が異常であると診断することとした。そのため、エアポンプ(31)が正常か否かを検知するために別途圧力センサ等を設けることなく、モータ(41)の電流値を測定するだけで、エアポンプ(31)が異常であるのか、モータ(41)が異常であるのかを容易に診断することができる。
【0027】
また、第5の発明によれば、切換機構(32,33)が正常であれば、通電動作の前後で酸素排出通路(45)内の圧力が所定圧力以上変化することを利用し、通電切換動作の前後において、酸素排出通路(45)内の圧力が、所定圧力以上変化した場合には、切換機構(32,33)が正常であると診断し、所定圧力以上変化しない場合には、切換機構(32,33)が異常であると診断することとした。そのため、酸素排出通路(45)内の圧力を検知するだけで、容易に切換機構(32,33)が正常であるか否かを診断することができる。
【0028】
また、第6の発明によれば、異常診断部(91)によって特定されたガス供給装置における異常箇所を、報知部(92)によって使用者に報知することとした。そのため、ガス供給装置の異常箇所を迅速に使用者に報知して、交換を促すことにより、ガス供給装置を常に正常な状態に保つことができる。よって、コンテナ(11)の庫内空気の組成を所望の組成に精度よく調節することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0031】
《本発明の実施形態1》
図1及び
図2に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、海上輸送等に用いられるコンテナ(11)に設けられ、該コンテナ(11)の庫内空気を冷却するものである。コンテナ(11)の庫内には、植物(15)が箱詰めされた状態で収納されている。植物(15)は、空気中の酸素(O
2)を取り込んで二酸化炭素(CO
2)を放出する呼吸を行うものであり、例えば、バナナやアボカド等の青果物、野菜、穀物、球根、生花等である。
【0032】
コンテナ(11)は、一方の端面が開口する細長い箱状に形成されている。コンテナ用冷凍装置(10)は、ケーシング(12)と、冷媒回路(20)と、CA装置(Controlled Atmosphere System)(60)とを備え、コンテナ(11)の開口端を塞ぐように取り付けられている。
【0033】
〈ケーシング〉
図2に示すように、ケーシング(12)は、コンテナ(11)の庫外側に位置する庫外壁(12a)と、コンテナ(11)の庫内側に位置する庫内壁(12b)とを備えている。庫外壁(12a)及び庫内壁(12b)は、例えば、アルミニウム合金によって構成されている。
【0034】
庫外壁(12a)は、コンテナ(11)の開口端を塞ぐようにコンテナ(11)の開口の周縁部に取り付けられている。庫外壁(12a)は、下部がコンテナ(11)の庫内側へ膨出するように形成されている。
【0035】
庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)と対向して配置されている。庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)の下部に対応して庫内側へ膨出している。庫内壁(12b)と庫外壁(12a)との間の空間には、断熱材(12c)が設けられている。
【0036】
このように、ケーシング(12)の下部は、コンテナ(11)の庫内側に向かって膨出するように形成されている。これにより、ケーシング(12)の下部におけるコンテナ(11)の庫外側には庫外収納空間(S1)が形成され、ケーシング(12)の上部におけるコンテナ(11)の庫内側には庫内収納空間(S2)が形成されている。
【0037】
図1に示すように、ケーシング(12)には、メンテナンス用の2つのサービス用開口(14)が幅方向に並んで形成されている。2つのサービス用開口(14)は、それぞれ開閉自在な第1及び第2サービス扉(16A,16B)によって閉塞されている。第1及び第2サービス扉(16A,16B)は、いずれもケーシング(12)と同様に、庫外壁と庫内壁と断熱材とによって構成されている。
【0038】
図2に示すように、コンテナ(11)の庫内には、仕切板(18)が配置されている。この仕切板(18)は、略矩形状の板部材に構成され、ケーシング(12)のコンテナ(11)の庫内側の面と対向する姿勢で立設されている。この仕切板(18)によって、コンテナ(11)の庫内と庫内収納空間(S2)とが区画されている。
【0039】
仕切板(18)の上端とコンテナ(11)内の天井面との間には吸込口(18a)が形成されている。コンテナ(11)の庫内空気は、吸込口(18a)を介して庫内収納空間(S2)に取り込まれる。
【0040】
また、庫内収納空間(S2)には、水平方向に延びる区画壁(13)が設けられている。区画壁(13)は、仕切板(18)の上端部に取り付けられ、後述する庫内ファン(26)が設置される開口が形成されている。区画壁(13)は、庫内収納空間(S2)を、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)と、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)とに区画する。なお、本実施形態では、庫内収納空間(S2)は、区画壁(13)によって上下に区画され、吸込側の1次空間(S21)が上側、吹出側の2次空間(S22)が下側に形成されている。
【0041】
コンテナ(11)内には、コンテナ(11)の底面との間に隙間を存して床板(19)が設けられている。床板(19)上には、箱詰めされた植物(15)が載置されている。コンテナ(11)内の底面と床板(19)との間には、床下流路(19a)が形成されている。仕切板(18)の下端とコンテナ(11)内の底面との間には隙間が設けられ、床下流路(19a)に連通している。
【0042】
床板(19)におけるコンテナ(11)の奥側(
図2で右側)には、コンテナ用冷凍装置(10)によって冷却された空気をコンテナ(11)の庫内へ吹き出す吹出口(18b)が形成されている。
【0043】
〈冷媒回路〉
図3に示すように、冷媒回路(20)は、圧縮機(21)と、凝縮器(22)と、膨張弁(23)と、蒸発器(24)とを、冷媒配管(20a)によって順に接続することによって構成された閉回路である。
【0044】
凝縮器(22)の近傍には、庫外ファンモータ(25a)によって回転駆動され、コンテナ(11)の庫外空間の空気(外気)を庫外収納空間(S1)内へ誘引して凝縮器(22)へ送る庫外ファン(25)が設けられている。凝縮器(22)では、圧縮機(21)で加圧されて凝縮器(22)の内部を流れる冷媒と庫外ファン(25)によって凝縮器(22)に送られた外気との間で熱交換が行われる。本実施形態では、庫外ファン(25)は、プロペラファンによって構成されている。
【0045】
蒸発器(24)の近傍には、庫内ファンモータ(26a)によって回転駆動され、コンテナ(11)の庫内空気を吸込口(18a)から誘引して蒸発器(24)へ吹き出す庫内ファン(26)が2つ設けられている。蒸発器(24)では、膨張弁(23)によって減圧されて蒸発器(24)の内部を流れる冷媒と庫内ファン(26)によって蒸発器(24)に送られた庫内空気との間で熱交換が行われる。
【0046】
図2に示すように、庫内ファン(26)は、プロペラファン(回転翼)(27a)と、複数の静翼(27b)と、ファンハウジング(27c)とを有している。プロペラファン(27a)は、庫内ファンモータ(26a)に連結され、庫内ファンモータ(26a)によって回転軸周りに回転駆動されて軸方向に送風する。複数の静翼(27b)は、プロペラファン(27a)の吹出側に設けられて該プロペラファン(27a)から吹き出されて旋回する空気流れを整流する。ファンハウジング(27c)は、複数の静翼(27b)が内周面に取り付けられた円筒部材によって構成され、プロペラファン(27a)の外周まで延び、プロペラファン(27a)の外周を取り囲んでいる。
【0047】
図1に示すように、圧縮機(21)及び凝縮器(22)は、庫外収納空間(S1)に収納されている。凝縮器(22)は、庫外収納空間(S1)の上下方向の中央部分において、該庫外収納空間(S1)を下側の第1空間(S11)と上側の第2空間(S12)とに区画するように設けられている。第1空間(S11)には、上記圧縮機(21)と、該圧縮機(21)を可変速で駆動するための駆動回路が収納されたインバータボックス(29)と、CA装置(60)のガス供給装置(30)とが設けられている。一方、第2空間(S12)には、庫外ファン(25)と、電装品ボックス(17)とが設けられている。第1空間(S11)は、コンテナ(11)の庫外空間に対して開放される一方、第2空間(S12)は、庫外ファン(25)の吹出口のみが庫外空間に開口するように庫外空間との間が板状部材によって閉塞されている。
【0048】
一方、
図2に示すように、蒸発器(24)は、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)に収納されている。庫内収納空間(S2)における蒸発器(24)の上方位置には、ケーシング(12)の幅方向に並んで2つの庫内ファン(26)が設けられている。
【0049】
〈CA装置〉
図4に示すように、CA装置(60)は、ガス供給装置(30)と、排気部(46)と、センサユニット(50)と、測定ユニット(80)と、制御部(55)とを備え、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とを調節するものである。なお、以下の説明で用いる「濃度」は、全て「体積濃度」を指す。
【0050】
[ガス供給装置]
−ガス供給装置の構成−
ガス供給装置(30)は、コンテナ(11)の庫内に供給するための低酸素濃度の窒素濃縮空気を生成する装置である。本実施形態では、ガス供給装置(30)は、VPSA(Vacuum Pressure Swing Adsorption)によって構成されている。また、ガス供給装置(30)は、
図1に示すように、庫外収納空間(S1)の左下のコーナー部に配置されている。
【0051】
図4に示すように、ガス供給装置(30)は、エアポンプ(31)と、第1方向制御弁(第1電磁弁)(32)及び第2方向制御弁(第2電磁弁)(33)と、空気中の窒素を吸着するための吸着剤が設けられた第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)と、酸素タンク(39)とが接続された空気回路(3)と、該空気回路(3)の構成部品が収納されたユニットケース(70)とを有している。このようにガス供給装置(30)は、構成部品がユニットケース(70)の内部に収納されることによって1つのユニットとして構成され、コンテナ用冷凍装置(10)に後付けすることができるように構成されている。ユニットケース(70)内には、内部の温度を測定する温度センサ(71)が設けられている。
【0052】
(エアポンプ)
エアポンプ(31)は、ユニットケース(70)内に設けられ、それぞれ空気を吸引して加圧して吐出する第1ポンプ機構(31a)及び第2ポンプ機構(31b)を有している。第1ポンプ機構(31a)及び第2ポンプ機構(31b)は、モータ(41)の駆動軸に接続され、モータ(41)によって回転駆動されることにより、それぞれ空気を吸引して加圧して吐出する。モータ(41)には、該モータ(41)に流れる電流を測定する電流計(72)が設けられている。
【0053】
第1ポンプ機構(31a)の吸込口は、ユニットケース(70)内において開口し、ユニットケースの空気流入口(75)には、通気性と防水性を有するメンブレンフィルタ(76)が設けられている。そのため、第1ポンプ機構(31a)は、空気流入口(75)に設けられたメンブレンフィルタ(76)を介してユニットケース(70)の外から中へ流入する際に水分が除去された外気を吸い込んで加圧する。一方、第1ポンプ機構(31a)の吐出口には吐出通路(42)の一端が接続されている。該吐出通路(42)の他端は、下流側において2つに分岐して第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)のそれぞれに接続されている。
【0054】
第2ポンプ機構(31b)の吸込口には、吸引通路(43)の一端が接続されている。該吸引通路(43)の他端は、上流側において2つに分かれ、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)のそれぞれに接続されている。一方、第2ポンプ機構(31b)の吐出口には、供給通路(44)の一端が接続されている。供給通路(44)の他端は、コンテナ(11)の庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)において開口している。
【0055】
エアポンプ(31)の第1ポンプ機構(31a)及び第2ポンプ機構(31b)は、潤滑用のオイルを使用しないオイルレスのポンプで構成されている。具体的に、第1ポンプ機構(31a)のポンプにおいてオイルを使用した場合には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に加圧した空気を供給して加圧する際に、加圧空気に含まれるオイルが吸着剤に吸着され、吸着剤の吸着性能が低下してしまう。
【0056】
また、第2ポンプ機構(31b)のポンプにおいてオイルを使用した場合には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から脱着された窒素を含む窒素濃縮空気と共にオイルがコンテナ(11)の庫内に供給されてしまう。つまり、この場合には、植物(15)が積み込まれたコンテナ(11)の庫内に対してオイル臭のする窒素濃縮空気が供給されてしまう。
【0057】
そのため、本実施形態では、エアポンプ(31)の第1ポンプ機構(31a)及び第2ポンプ機構(31b)をオイルレスのポンプで構成することで、上述した不具合を解消できるようにしている。
【0058】
エアポンプ(31)の側方には、エアポンプ(31)に向かって送風することでエアポンプ(31)を冷却するための送風ファン(48)が2つ設けられている。
【0059】
(方向制御弁)
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)は、空気回路(3)におけるエアポンプ(31)と第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)との間に設けられ、エアポンプ(31)と第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)と接続状態を第1の接続状態と第2の接続状態と第3の接続状態と第4の接続状態とに切り換えるものである。この切り換え動作は、制御部(55)によって制御される。
【0060】
具体的に、第1方向制御弁(32)は、第1ポンプ機構(31a)の吐出口に接続された吐出通路(42)と、第2ポンプ機構(31b)の吸込口に接続された吸引通路(43)と、第1吸着筒(34)の頂部とに接続される。この第1方向制御弁(32)は、第1吸着筒(34)を第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通させて第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断する第1状態(
図4に示す状態)と、第1吸着筒(34)を第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通させて第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断する第2状態とに切り換わる。なお、本実施形態では、第1方向制御弁(32)は、非通電状態が上記第1状態であり、通電されると上記第2状態に切り換わる電磁弁によって構成されている。
【0061】
第2方向制御弁(33)は、第1ポンプ機構(31a)の吐出口に接続された吐出通路(42)と、第2ポンプ機構(31b)の吸込口に接続された吸引通路(43)と、第2吸着筒(35)の頂部とに接続される。この第2方向制御弁(33)は、第2吸着筒(35)を第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通させて第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断する第1状態(
図4に示す状態)と、第2吸着筒(35)を第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通させて第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断する第2状態とに切り換わる。なお、本実施形態では、第2方向制御弁(33)は、非通電状態が上記第2状態であり、通電されると上記第1状態に切り換わる電磁弁によって構成されている。
【0062】
第1方向制御弁(32)を非通電状態にし、第2方向制御弁(33)を通電状態にすると、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が共に第1状態に設定される。これにより、空気回路(3)が、第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第1吸着筒(34)とが接続され且つ第2ポンプ機構(31b)の吸込口と第2吸着筒(35)とが接続される第1の接続状態に切り換わる。この状態では、第1吸着筒(34)で外気中の窒素を吸着剤に吸着させる吸着動作が行われ、第2吸着筒(35)で吸着剤に吸着された窒素を脱着させる脱着動作が行われる。
【0063】
第1方向制御弁(32)を通電状態にし、第2方向制御弁(33)を非通電状態にすると、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が共に第2状態に設定される。これにより、空気回路(3)が、第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第2吸着筒(35)とが接続され且つ第2ポンプ機構(31b)の吸込口と第1吸着筒(34)とが接続される第2の接続状態に切り換わる。この状態では、第2吸着筒(35)で吸着動作が行われ、第1吸着筒(34)で脱着動作が行われる。
【0064】
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)の両方を非通電状態にすると、第1方向制御弁(32)が第1状態に設定され、第2方向制御弁(33)が第2状態に設定される。これにより、空気回路(3)が、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方が第1ポンプ機構(31a)の吐出口と接続される第3の接続状態に切り換わる。この状態では、第1ポンプ機構(31a)によって第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方に加圧された外気が供給される。つまり、第3の接続状態は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方が、第1ポンプ機構(31a)によって加圧される両方加圧状態であり、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方で脱着動作が行われる。
【0065】
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)の両方を通電状態にすると、第1方向制御弁(32)が第2状態に設定され、第2方向制御弁(33)が第1状態に設定される。これにより、空気回路(3)が、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方が第2ポンプ機構(31b)の吸込口と接続される第4の接続状態に切り換わる。この状態では、第2ポンプ機構(31b)によって第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方の空気が吸引される。つまり、第4の接続状態は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方が、第2ポンプ機構(31b)によって減圧される両方減圧状態であり、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方で脱着動作が行われる。
【0066】
なお、本実施形態では、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が、本発明に係る切換機構を構成する。
【0067】
(吸着筒)
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)は、内部に吸着剤が充填された円筒状の部材であり、起立した姿勢(即ち、それぞれの軸方向が上下方向となる姿勢)で設置されている。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填された吸着剤は、加圧下で窒素を吸着して、減圧下で吸着した窒素を脱着させる性質を有している。
【0068】
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填された吸着剤は、例えば、窒素分子の分子径(3.0オングストローム)よりも小さく且つ酸素分子の分子径(2.8オングストローム)よりも大きな孔径の細孔を有する多孔体のゼオライトで構成されている。このような孔径のゼオライトで吸着剤を構成すれば、空気中の窒素を吸着することができる。
【0069】
また、ゼオライトの細孔内には、陽イオンが存在しているために電場が存在し極性を生じているので、水分子などの極性分子を吸着する性質を有している。そのため、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填されたゼオライトからなる吸着剤には、空気中の窒素だけでなく、空気中の水分(水蒸気)も吸着される。そして、吸着剤に吸着された水分は、脱着動作によって窒素と共に吸着剤から脱着される。そのため、水分を含んだ窒素濃縮空気がコンテナ(11)の庫内に供給されることとなり、庫内の湿度を上げることができる。さらに、吸着剤が再生されるので、吸着剤の長寿命化を図ることができる。
【0070】
このような構成により、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)では、エアポンプ(31)から加圧された外気が供給されて内部が加圧されると、吸着剤に該外気中の窒素が吸着する。その結果、外気よりも窒素が少なくなることで外気よりも窒素濃度が低く且つ酸素濃度が高い酸素濃縮空気が生成される。一方、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)では、エアポンプ(31)によって内部の空気が吸引されて減圧されると、吸着剤に吸着されていた窒素が脱着する。その結果、外気よりも窒素を多く含むことで外気よりも窒素濃度が高く且つ酸素濃度が低い窒素濃縮空気が生成される。本実施形態では、例えば、窒素濃度90%、酸素濃度10%の成分比率の窒素濃縮空気が生成される。
【0071】
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の下端部(加圧時の流出口、減圧時の流入口)には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において、第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気が供給されて生成された酸素濃縮空気を、コンテナ(11)の庫外へ導くための酸素排出通路(45)の一端が接続されている。酸素排出通路(45)の一端は、2つに分かれ、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の下端部のそれぞれに接続されている。酸素排出通路(45)の他端は、ガス供給装置(30)の外部、即ち、コンテナ(11)の庫外において開口している。酸素排出通路(45)の一端のうち、第1吸着筒(34)の下端部に接続された接続通路には、酸素排出通路(45)から第1吸着筒(34)への空気の逆流を防止するための第1逆止弁(37)が設けられている。一方、酸素排出通路(45)の一端のうち、第2吸着筒(35)の下端部に接続された接続通路には、酸素排出通路(45)から第2吸着筒(35)への空気の逆流を防止するための第2逆止弁(38)が設けられている。
【0072】
また、酸素排出通路(45)の一端を構成する2つの接続通路は、パージ弁(36)を介して接続され、該パージ弁(36)と各接続通路の間には、オリフィス(62)が設けられている。パージ弁(36)は、加圧側の吸着筒(
図4では、第1吸着筒(34))から減圧側の吸着筒(
図4では、第2吸着筒(35))に所定量の酸素濃縮空気を導いて、減圧側の吸着筒(35,34)の吸着剤から窒素を放出させるのを補助するために用いられる。パージ弁(36)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。
【0073】
また、酸素排出通路(45)の中途部には、酸素タンク(39)が設けられ、該酸素タンク(39)と第1逆止弁(37)及び第2逆止弁(38)との間には、オリフィス(61)が設けられている。酸素タンク(39)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)で生成された酸素濃縮空気を一時的に貯留するものである。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)で生成された酸素濃縮空気は、オリフィス(61)で減圧された後、酸素タンク(39)に一時的に貯留される。
【0074】
また、酸素排出通路(45)のオリフィス(61)と第1逆止弁(37)及び第2逆止弁(38)との間には、酸素排出通路(45)内の圧力を測定するための圧力センサ(49)が接続されている。
【0075】
(流通切換機構)
また、空気回路(3)は、該空気回路(3)における空気の流通状態を、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)で生成された窒素濃縮空気を、エアポンプ(31)によってコンテナ(11)の庫内に供給する第1の流通状態と、空気回路(3)内に取り込まれた外気をエアポンプ(31)によってコンテナ(11)の庫内に供給する第2の流通状態とに切り換える流通切換機構(65)を備えている。
【0076】
本実施形態では、流通切換機構(65)は、バイパス通路(66)と、バイパス開閉弁(67)と、排出通路開閉弁(68)とを有している。バイパス通路(66)は、吐出通路(42)と吸引通路(43)とを接続する通路である。バイパス開閉弁(67)は、バイパス通路(66)に設けられている。排出通路開閉弁(68)は、酸素排出通路(45)における酸素タンク(39)よりもガス供給装置(30)の外部、即ち、コンテナ(11)の庫外側に設けられている。
【0077】
バイパス開閉弁(67)及び排出通路開閉弁(68)は、制御部(55)によって開閉制御される。具体的な動作については後述するが、制御部(55)によって、バイパス開閉弁(67)を閉じ、排出通路開閉弁(68)を開くことによって、空気回路(3)における空気の流通状態が第1の流通状態(
図4の状態)に切り換えられる。一方、制御部(55)によって、バイパス開閉弁(67)を開き、排出通路開閉弁(68)を閉じることによって、空気回路(3)における空気の流通状態が第2の流通状態(
図5の状態)に切り換えられる。
【0078】
なお、本実施形態では、空気回路(3)における空気の流通状態が第1の流通状態(
図4の状態)に切り換えられることによって、ガス供給装置(30)が、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において外気から生成された窒素濃縮空気を供給空気として供給通路(44)を介してコンテナ(11)の庫内に供給する第1の供給状態となる。一方、空気回路(3)における空気の流通状態が第2の流通状態(
図5の状態)に切り換えられることによって、ガス供給装置(30)が、外気を取り込み、該外気を供給空気として供給通路(44)を介してコンテナ(11)の庫内に供給する第2の供給状態となる。
【0079】
−ガス供給装置の運転動作−
ガス供給装置(30)は、外気から生成した窒素濃縮空気を供給空気としてコンテナ(11)の庫内に供給する第1の供給状態と、外気を取り込み、供給空気としてコンテナ(11)の庫内に供給する第2の供給状態とに切り換えられる。
【0080】
《第1の供給状態における動作》
制御部(55)は、空気回路(3)における空気の流通状態を第1の流通状態に切り換えることにより、ガス供給装置(30)を第1供給状態に切り換える。
【0081】
具体的には、制御部(55)は、バイパス開閉弁(67)を閉じ、排出通路開閉弁(68)を開いた状態で、エアポンプ(31)を稼働させる。そして、エアポンプ(31)と第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)との接続状態が、所定の時間(例えば、15秒)ずつ交互に第1の接続状態と第2の接続状態とに切り換わるように、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を操作する。第1の接続状態では、第1吸着筒(34)が加圧されると同時に第2吸着筒(35)が減圧される第1動作が行われる。一方、第2の接続状態では、第1吸着筒(34)が減圧されると同時に第2吸着筒(35)が加圧される第2動作が行われる。
【0082】
《第1動作》
第1動作では、制御部(55)によって、第1方向制御弁(32)を非通電状態にし、第2方向制御弁(33)を通電状態にする。これにより、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が共に
図4に示す第1状態に切り換えられる。そして、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)が第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通して第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断され、且つ第2吸着筒(35)が第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通して第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断された第1の接続状態となる。
【0083】
第1ポンプ機構(31a)は、加圧した外気を第1吸着筒(34)へ供給する。第1吸着筒(34)へ流入した空気に含まれる窒素は、第1吸着筒(34)の吸着剤に吸着される。このように、第1動作中、第1吸着筒(34)では、上記第1ポンプ機構(31a)から加圧された外気が供給されて該外気中の窒素が吸着剤に吸着することにより、窒素濃度が外気よりも低く酸素濃度が外気よりも高い酸素濃縮空気が生成される。酸素濃縮空気は、第1吸着筒(34)から酸素排出通路(45)に流出する。
【0084】
一方、第2ポンプ機構(31b)は、第2吸着筒(35)から空気を吸引する。その際、第2吸着筒(35)の吸着剤に吸着した窒素が、空気と共に第2ポンプ機構(31b)に吸引されて吸着剤から脱着する。このように、第1動作中、第2吸着筒(35)では、第2ポンプ機構(31b)によって内部の空気が吸引されて吸着剤に吸着した窒素が脱着することにより、吸着剤から脱着された窒素を含み、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い窒素濃縮空気が生成される。窒素濃縮空気は、第2ポンプ機構(31b)に吸い込まれ、加圧された後、供給通路(44)に吐出される。
【0085】
《第2動作》
第2動作では、制御部(55)によって、第1方向制御弁(32)を通電状態にし、第2方向制御弁(33)を非通電状態にする。これにより、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が共に
図4に示す状態とは逆側の第2状態に切り換えられる。そして、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)が第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通して第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断され、且つ第2吸着筒(35)が第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通して第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断された第2の接続状態となる。
【0086】
第1ポンプ機構(31a)は、加圧した外気を第2吸着筒(35)へ供給する。第2吸着筒(35)へ流入した空気に含まれる窒素は、第2吸着筒(35)の吸着剤に吸着される。このように、第2動作中、第2吸着筒(35)では、上記第1ポンプ機構(31a)から加圧された外気が供給されて該外気中の窒素が吸着剤に吸着することにより、窒素濃度が外気よりも低く酸素濃度が外気よりも高い酸素濃縮空気が生成される。酸素濃縮空気は、第2吸着筒(35)から酸素排出通路(45)に流出する。
【0087】
一方、第2ポンプ機構(31b)は、第1吸着筒(34)から空気を吸引する。その際、第1吸着筒(34)の吸着剤に吸着した窒素が、空気と共に第2ポンプ機構(31b)に吸引されて吸着剤から脱着する。このように、第2動作中、第1吸着筒(34)では、第2ポンプ機構(31b)によって内部の空気が吸引されて吸着剤に吸着した窒素が脱着することにより、吸着剤から脱着された窒素を含み、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い窒素濃縮空気が生成される。窒素濃縮空気は、第2ポンプ機構(31b)に吸い込まれ、加圧された後、供給通路(44)に吐出される。
【0088】
このようにして、ガス供給装置(30)では、第1動作と第2動作とを交互に繰り返すことによって空気回路(3)において窒素濃縮空気と酸素濃縮空気とが生成される。また、第1の流通状態では、バイパス開閉弁(67)が閉じ、排出通路開閉弁(68)が開いているため、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において生成された酸素濃縮空気は、エアポンプ(31)の第1ポンプ機構(31a)の加圧力により、酸素排出通路(45)を介してコンテナ(11)の庫外へ排出され、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において生成された窒素濃縮空気は、エアポンプ(31)の第2ポンプ機構(31b)の加圧力により、供給通路(44)を介してコンテナ(11)の庫内へ供給される。
【0089】
以上のように、第1の流通状態では、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において生成された窒素濃縮空気を、エアポンプ(31)の第2ポンプ機構(31b)の加圧力によって、コンテナ(11)の庫内に供給するガス供給動作が行われる。つまり、ガス供給装置(30)が、外気から生成した窒素濃縮空気を供給空気として供給通路(44)を介してコンテナ(11)の庫内に供給する第1の供給状態となる。
【0090】
《第2の供給状態における動作》
制御部(55)は、空気回路(3)における空気の流通状態を第2の流通状態に切り換えることにより、ガス供給装置(30)を第2供給状態に切り換える。
【0091】
具体的には、バイパス開閉弁(67)を開き、排出通路開閉弁(68)を閉じた状態で、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を操作してエアポンプ(31)と第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)との接続状態を、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方が第1ポンプ機構(31a)の吐出口と接続される第3の接続状態(両方加圧状態)に切り換える。そして、エアポンプ(31)を稼働させる。
【0092】
第2の流通状態では、第1ポンプ機構(31a)によって第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方に加圧された外気が供給され、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方において吸着動作が行われて酸素濃縮空気が生成される。
【0093】
また、第2の流通状態では、バイパス開閉弁(67)が開き、排出通路開閉弁(68)が閉じているため、加圧された外気が第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に供給されて酸素濃縮空気が生成されても、該酸素濃縮空気が外部(コンテナ(11)の庫外)へ排出されない。そのため、第2の流通状態となってすぐに、吐出通路(42)のバイパス通路(66)の接続部と酸素排出通路(45)の排出通路開閉弁(68)との間の内圧が著しく上昇し、第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気が第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)側へ流れなくなる。
【0094】
よって、第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気は、吐出通路(42)からバイパス通路(66)に流入し、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)をバイパスして吸引通路(43)に流出し、第2ポンプ機構(31b)に吸引される。つまり、第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気は、そのまま第2ポンプ機構(31b)に吸引される。そして、第2ポンプ機構(31b)に吸引された外気は加圧され、供給通路(44)を介してコンテナの庫内に供給される。
【0095】
以上のように、第2の流通状態では、空気回路(3)内に取り込んだ外気を、そのままエアポンプ(31)の第2ポンプ機構(31b)の加圧力によってコンテナ(11)の庫内へ供給する外気導入動作が行われる。つまり、ガス供給装置(30)が、取り込んだ外気を供給空気として供給通路(44)を介してコンテナ(11)の庫内に供給する第2の供給状態となる。
【0096】
[排気部]
図2に示すように、排気部(46)は、庫内収納空間(S2)と庫外空間とを繋ぐ排気通路(46a)と、排気通路(46a)に接続された排気弁(46b)とを有している。排気通路(46a)は、ケーシング(12)を内外に貫通するように設けられている。排気弁(46b)は、排気通路(46a)の庫内側に設けられ、排気通路(46a)における空気の流通を許容する開状態と、排気通路(46a)における空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。排気弁(46b)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。
【0097】
庫内ファン(26)の回転の回転中に、制御部(55)によって排気弁(46b)を開くことによって、庫内に繋がる庫内収納空間(S2)の空気(庫内空気)が庫外へ排出される排気動作が行われる。
【0098】
具体的には、庫内ファン(26)が回転すると、吹出側の2次空間(S22)の圧力が、庫外空間の圧力(大気圧)よりも高くなる。これにより、排気弁(46b)が開状態であるときには、排気通路(46a)の両端部の間で生じる圧力差(庫外空間と2次空間(S22)との間の圧力差)により、庫内に繋がる庫内収納空間(S2)の空気(庫内空気)が排気通路(46a)を介して庫外空間へ排出される。
【0099】
[センサユニット]
図2に示すように、センサユニット(50)は、庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられている。センサユニット(50)は、酸素センサ(51)と、二酸化炭素センサ(52)と、固定プレート(53)と、メンブレンフィルタ(54)と、連絡管(56)と、排気管(57)とを有している。
【0100】
酸素センサ(51)は、内部にガルバニ電池式センサが収容された酸素センサボックス(51a)を有している。酸素センサ(51)は、ガルバニ電池式センサの電解液に流れる電流値を計測することによって、酸素センサボックス(51a)内の気体中の酸素濃度を測定する。酸素センサボックス(51a)の外面は、固定プレート(53)に固定されている。酸素センサボックス(51a)の外面であって固定プレート(53)への固定面とは反対側の面には、開口が形成され、該開口には、通気性と防水性を有するメンブレンフィルタ(54)が取り付けられている。また、酸素センサボックス(51a)の下面には、コネクタ(管継手)を介して後述する測定ユニット(80)の分岐管(81)が連結されている。さらに、酸素センサボックス(51a)の一方の側面には、コネクタを介して連絡管(56)の一端が連結されている。
【0101】
二酸化炭素センサ(52)は、二酸化炭素センサボックス(52a)を有し、二酸化炭素センサボックス(52a)内の気体に赤外線を放射し、二酸化炭素に固有の波長の赤外線の吸収量を計測することによって気体中の二酸化炭素濃度を測定する非分散型赤外線方式(NDIR:non dispersive infrared)のセンサである。二酸化炭素センサボックス(52a)の一方の側面には、コネクタを介して連絡管(56)の他端が連結されている。また、二酸化炭素センサボックス(52a)の他方の側面には、コネクタを介して排気管(57)の一端が連結されている。
【0102】
固定プレート(53)は、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とが取り付けられた状態で、ケーシング(12)に固定されている。
【0103】
連絡管(56)は、上述のように、酸素センサボックス(51a)の側面と二酸化炭素センサボックス(52a)の側面とに連結され、酸素センサボックス(51a)の内部空間と二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間とを連通させている。
【0104】
排気管(57)は、上述のように、一端が二酸化炭素センサボックス(52a)の他方の側面に連結され、他端が庫内ファン(26)の吸込口の近傍において開口している。つまり、排気管(57)は、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間と庫内収納空間(S2)の1次空間(S21)とを連通させている。
【0105】
このように、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)と1次空間(S21)とは、メンブレンフィルタ(54)、酸素センサボックス(51a)の内部空間、連絡管(56)、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間、及び排気管(57))によって形成される空気通路(58)を介して連通している。そのため、庫内ファン(26)の運転中には、1次空間(S21)の圧力が、2次空間(S22)の圧力よりも低くなるため、その圧力差によって、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とが接続された空気通路(58)において、2次空間(S22)側から1次空間(S21)側へ庫内空気が流れる。このようにして、庫内空気が酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とを順に通過し、酸素センサ(51)において庫内空気の酸素濃度が測定され、二酸化炭素センサ(52)において庫内空気の二酸化炭素濃度が測定される。
【0106】
[測定ユニット]
測定ユニット(80)は、分岐管(81)と測定用開閉弁(82)とを備え、ガス供給装置(30)において生成されて供給通路(44)を流れる窒素濃縮空気の一部を分岐させて酸素センサ(51)に導くように構成されている。
【0107】
具体的には、分岐管(81)は、一端が供給通路(44)に接続され、他端が酸素センサ(51)の酸素センサボックス(51a)に連結されている。このような構成により、分岐管(81)は、供給通路(44)と酸素センサボックス(51a)の内部空間とを連通させる。なお、本実施形態では、分岐管(81)は、ユニットケース(70)内において供給通路(44)から分岐し、ユニットケースの内外に亘るように設けられている。
【0108】
測定用開閉弁(82)は、分岐管(81)のユニットケースの内部に設けられている。測定用開閉弁(82)は、分岐管(81)における窒素濃縮空気の流通を許容する開状態と、分岐管(81)における窒素濃縮空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。測定用開閉弁(82)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。詳細については後述するが、測定用開閉弁(82)は、後述する給気測定動作が実行される際にのみ開状態となり、その他のモードでは閉状態となる。
【0109】
[制御部]
制御部(55)は、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を所望の濃度にする濃度調節運転を実行するように構成されている。具体的には、制御部(55)は、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)の測定結果に基づいて、コンテナ(11)の庫内空気の組成(酸素濃度及び二酸化炭素濃度)が所望の組成(例えば、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%)になるように、ガス供給装置(30)及び排気部(46)の動作を制御する。
図6に示すように、本実施形態では、制御部(55)は、起動制御と通常制御とを実行することにより、濃度調節運転を行うように構成されている。また、制御部(55)は、所定の起動制御の終了後に通常制御を行い、通常制御では、酸素濃度低下モードと空気組成調整モードとを行うように構成されている。
【0110】
また、制御部(55)は、ユーザからの指令により又は定期的に、測定用開閉弁(82)の動作を制御して、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の酸素濃度を測定する給気測定動作を行うように構成されている。
【0111】
さらに、制御部(55)は、異常診断部(91)と報知部(92)とを有している。異常診断部(91)は、上記給気測定動作において測定された窒素濃縮空気の酸素濃度が、所定濃度(90%)以下にならない場合に、ガス供給装置(30)の各構成機器が正常であるか否かを診断して異常箇所を特定する異常診断動作を行うように構成されている。報知部(92)は、異常診断部(91)によって特定された異常箇所を例えばコントロールパネル等の表示部(図示省略)に表示するように構成されている。
【0112】
−運転動作−
〈冷媒回路の運転動作〉
本実施形態では、
図3に示すユニット制御部(100)によって、コンテナ(11)の庫内空気を冷却する冷却運転が実行される。
【0113】
冷却運転では、ユニット制御部(100)によって、圧縮機(21)、膨張弁(23)、庫外ファン(25)及び庫内ファン(26)の動作が、図示しない温度センサの測定結果に基づいて庫内空気の温度が所望の目標温度になるように制御される。このとき、冷媒回路(20)では、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。そして、庫内ファン(26)によって庫内収納空間(S2)へ導かれたコンテナ(11)の庫内空気が、蒸発器(24)を通過する際に該蒸発器(24)の内部を流れる冷媒によって冷却される。蒸発器(24)において冷却された庫内空気は、床下流路(19a)を通って吹出口(18b)から再びコンテナ(11)の庫内へ吹き出される。これにより、コンテナ(11)の庫内空気が冷却される。
【0114】
〈濃度調節運転〉
また、本実施形態では、
図4に示す制御部(55)によって、CA装置(60)が、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)の測定結果に基づいて、コンテナ(11)の庫内空気の組成(酸素濃度及び二酸化炭素濃度)を所望の組成(例えば、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%)に調節する濃度調節運転を行う。制御部(55)は、起動制御と通常制御とを実行することにより、濃度調節運転を行う。また、制御部(55)は、通常制御では、酸素濃度低下モードと空気組成調整モードとを実行することによって、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を所定の目標濃度SPに調節する。
【0115】
なお、濃度調節運転中、制御部(55)は、測定用開閉弁(82)を閉状態に制御する。また、濃度調節運転中、制御部(55)は、ユニット制御部(100)と通信し、該ユニット制御部(100)によって庫内ファン(26)を回転させる。これにより、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)には、庫内ファン(26)によって庫内空気が供給され、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とが測定されることとなる。
【0116】
具体的には、
図6に示すように、制御部(55)は、起動制御の終了後、通常制御において酸素濃度低下モードを実行する。そして、酸素センサ(51)によって測定されたコンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO
2(本実施形態では、5%)まで低下すると、制御部(55)は、酸素濃度低下モードを終了して空気組成調整モードを実行する。空気組成調整モードにおいて、酸素センサ(51)によって測定されたコンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO
2(本実施形態では、5%)に所定濃度V(本実施形態では、1.0%)を加えた濃度(本実施形態では、6.0%)以上になると、制御部(55)は、空気組成調整モードを終了して、酸素濃度低下モードへ戻す。以下、通常制御における酸素濃度低下モードと空気組成調整モードとについて詳述する。
【0117】
[酸素濃度低下モード]
酸素濃度低下モードでは、まず、制御部(55)は、空気回路(3)を第1の流通状態に切り換え、空気回路(3)において窒素濃縮空気(窒素濃度90%、酸素濃度10%)を生成してコンテナ(11)の庫内に供給するガス供給動作を行う。また、同時に、制御部(55)は、排気部(46)の排気弁(46b)を開状態に制御して排気動作を行い、ガス供給動作によって窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給した分だけ庫内空気を庫外へ排出する。このようなガス供給動作と排気動作とにより、庫内空気が窒素濃縮空気に置換されるため、庫内空気の酸素濃度が低下する(
図7の点A→点B)。
【0118】
制御部(55)は、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度を合計した合計値が目標酸素濃度SPO
2と目標二酸化炭素濃度SPCO
2とを合計した目標濃度合計値になる(
図7の点Bに至る)と、ガス供給動作と排気動作とを停止させる。
【0119】
ガス供給動作と排気動作が停止されると、コンテナ(11)の庫内では、空気が何ら入れ替わらないため、庫内空気の組成は、植物(15)の呼吸によってのみ変化する。植物(15)は、呼吸により、酸素を取り込み、取り込んだ酸素と同体積の二酸化炭素を排出する。そのため、植物(15)の呼吸によって、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が減少し、酸素濃度の低下分だけ二酸化炭素濃度が増加するが、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度の合計値は変化しない。そのため、ガス供給動作と排気動作の停止後、コンテナ(11)の庫内空気の組成は、植物(15)の呼吸によって、コンテナ(11)の庫内空気の組成は、目標組成点SP(酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%)を通る傾き−1の直線L上を、酸素濃度が低下し且つ二酸化炭素濃度が上昇する方向へ遷移する。つまり、ガス供給動作と排気動作とを上記直線L上の任意の点において停止することにより、その後は、植物(15)の呼吸を利用するだけでコンテナ(11)の庫内空気の組成を目標の組成に調節することができる。
【0120】
その後、制御部(55)は、庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO
2(本実施形態では、5%)以下になると、酸素濃度低下モードを終了し、空気組成調整モードを開始する。
【0121】
[空気組成調整モード]
《酸素濃度の調整》
空気組成調整モードでは、制御部(55)は、庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO
2(本実施形態では、5%)よりも所定濃度X(本実施形態では、0.5%)だけ低い下限値(本実施形態では、4.5%)を下回ると、庫内空気の酸素濃度を上昇させる酸素濃度上昇制御を実行する。
【0122】
酸素濃度上昇制御では、制御部(55)は、空気回路(3)を第2の流通状態に切り換え、空気回路(3)内に取り込まれた外気をコンテナ(11)の庫内に供給する外気導入動作を行う。また、同時に、制御部(55)は、排気部(46)の排気弁(46b)を開状態に制御して排気動作を行い、外気導入動作によって外気をコンテナ(11)の庫内に供給した分だけ庫内空気を庫外へ排出する。このような外気導入動作と排気動作とにより、庫内空気が外気に置換され、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が上昇する。
【0123】
制御部(55)は、庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO
2(本実施形態では、5%)よりも所定濃度X(本実施形態では、0.5%)だけ高い値(本実施形態では、5.5%)以上になると、外気導入動作と排気動作とを停止させ、酸素濃度上昇制御を終了する。
【0124】
《二酸化炭素濃度の調整》
また、空気組成調整モードにおいて、制御部(55)は、庫内空気の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度SPCO
2(本実施形態では、5%)よりも所定濃度Y(本実施形態では、0.5%)だけ高い上限値(本実施形態では、5.5%)以上になると、庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させる二酸化炭素濃度低下制御を実行する。
【0125】
二酸化炭素濃度低下制御では、制御部(55)は、まず、制御部(55)は、空気回路(3)を第1の流通状態に切り換え、空気回路(3)において窒素濃縮空気(窒素濃度90%、酸素濃度10%)を生成してコンテナ(11)の庫内に供給するガス供給動作を行う。また、同時に、制御部(55)は、排気部(46)の排気弁(46b)を開状態に制御して排気動作を行い、ガス供給動作によって窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給した分だけ庫内空気を庫外へ排出する。このようなガス供給動作と排気動作とにより、庫内空気が窒素濃縮空気に置換されるため、コンテナ(11)の庫内空気の二酸化炭素濃度が低下する。
【0126】
制御部(55)は、庫内空気の二酸化炭素濃度が、目標二酸化炭素濃度SPCO
2(本実施形態では、5%)よりも所定濃度Y(本実施形態では、0.5%)だけ低い値(本実施形態では、4.5%)未満になると、ガス供給動作と排気動作とを停止させ、二酸化炭素濃度低下制御を終了する。
【0127】
なお、二酸化炭素濃度低下制御において、ガス供給動作の代わりに、空気回路(3)を第2の流通状態に切り換え、空気回路(3)に取り込まれた外気をコンテナ(11)の庫内に供給する外気導入動作を行ってもよい。
【0128】
[給気測定動作]
また、制御部(55)は、ユーザからの指令により又は定期的(例えば、10日毎)に、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の酸素濃度を測定する給気測定動作を行う。なお、給気測定動作は、上述の濃度調節運転や試運転等のガス供給動作中に庫内ファン(26)が停止した際に並行して行われる。
【0129】
具体的には、制御部(55)は、ガス供給動作中、即ち、ガス供給装置(30)が、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において外気から生成した窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給する第1の供給状態であるときに、測定用開閉弁(82)を開状態に制御する。ガス供給動作中に測定用開閉弁(82)が開かれると、供給通路(44)を流れる窒素濃縮空気の一部が分岐管(81)に流入する。分岐管(81)に流入した窒素濃縮空気は、空気通路(58)の一部を構成する酸素センサボックス(51a)内に流入し、酸素センサ(51)において酸素濃度が測定される。
【0130】
このように、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の酸素濃度を測定することにより、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の組成(酸素濃度、窒素濃度)が所望の状態(例えば、窒素濃度90%、酸素濃度10%)であるかを確認することができる。
【0131】
[異常診断動作]
制御部(55)の異常診断部(91)は、上記給気測定動作において測定した窒素濃縮空気の酸素濃度が、所定濃度(90%)以下にならない場合に、ガス供給装置(30)の各構成機器が正常であるか否かを診断し、異常箇所を特定する。
【0132】
(エアポンプ及びモータを診断する動作)
異常診断部(91)は、まず、エアポンプ(31)及びモータ(41)が正常か否かを診断する。
【0133】
具体的には、異常診断部(91)は、ガス供給装置(30)の運転停止状態において、温度センサ(71)によって測定されたユニットケース(70)内の温度を記憶し、エアポンプ(31)の運転を開始する。運転開始後、所定時間が経過したところで、異常診断部(91)は、温度センサ(71)の測定温度と、先に記憶した運転開始前のユニットケース(70)内の温度とを比較する。ユニットケース(70)内の温度が、運転開始前に比べて運転開始後に上昇した場合、異常診断部(91)は、エアポンプ(31)の動作とモータ(41)の動作とが正常であると診断する。一方、ユニットケース(70)内の温度が、運転開始前に比べて運転開始後に上昇していない場合、異常診断部(91)は、エアポンプ(31)又はモータ(41)が正常でない(異常である)と診断する。
【0134】
異常診断部(91)は、エアポンプ(31)又はモータ(41)が正常でない(異常である)と診断すると、電流計(72)によって測定されたモータ(41)の電流値と、予め設定されたモータ(41)の電流値の正常範囲とを比較する。モータ(41)の電流値が、予め設定された正常範囲内である場合、異常診断部(91)は、エアポンプ(31)が正常でない(異常である)と診断する。一方、モータ(41)の電流値が、予め設定された正常範囲内でない場合、異常診断部(91)は、モータ(41)が正常でない(異常である)と診断する。
【0135】
(切換機構を診断する動作)
異常診断部(91)は、エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常であると診断すると、切換機構(32,33)が正常であるか否かを診断する。
【0136】
まず、異常診断部(91)は、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を、同時に非通電状態から通電状態に切り換える通電動作を行い、通電動作の前後において、酸素排出通路(45)内の圧力が所定圧力以上変化したか否かによって、切換機構(32,33)が正常であるか否かを診断する。
【0137】
具体的には、異常診断部(91)は、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が共に非通電状態である第3の接続状態においてエアポンプ(31)の運転を開始し、圧力センサ(49)によって測定された酸素排出通路(45)内の圧力を記憶する。次に、異常診断部(91)は、第3の接続状態から、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を、同時に非通電状態から通電状態に変更して第4の接続状態に切り換える。この状態で、異常診断部(91)は、圧力センサ(49)によって測定された酸素排出通路(45)内の圧力と、先に記憶した切換前の酸素排出通路(45)内の圧力とを比較する。
【0138】
ところで、第3の接続状態では、第1吸着部(34)及び第2吸着部(35)の両方が第1ポンプ機構(31a)によって加圧される両方加圧状態となる。両方加圧状態では、酸素排出通路(45)内の圧力は第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気の圧力とほぼ等しくなる。一方、第4の接続状態に切り換えられると、第1吸着部(34)及び第2吸着部(35)の両方が第2ポンプ機構(31b)によって減圧される両方減圧状態となる。両方減圧状態では、第1吸着部(34)及び第2吸着部(35)のいずれからも酸素排出通路(45)に空気が流出しないため、酸素排出通路(45)内の圧力は外気の圧力とほぼ等しくなる。よって、切換機構(32,33)が正常である場合、通電動作によって、酸素排出通路(45)内の圧力が低下する。
【0139】
このことから、異常診断部(91)は、酸素排出通路(45)内の圧力が、通電動作によって所定圧力(例えば、50kPa)以上低下した場合、異常診断部(91)は、切換機構(32,33)が正常であると診断する。一方、酸素排出通路(45)内の圧力が、通電動作を行っても、所定圧力(例えば、50kPa)以上低下していない場合、異常診断部(91)は、切換機構(32,33)が正常でない(異常である)と診断する。
【0140】
(吸着剤を診断する動作)
異常診断部(91)は、以上のように、エアポンプ(31)とモータ(41)と切換機構(32,33)とが正常であるか否かを診断し、全てが正常であると診断した場合、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の吸着剤が異常であると診断する。
【0141】
このような異常診断部(91)による異常診断動作により、ガス供給装置(30)における異常箇所が特定される。そして、異常診断部(91)によって、ガス供給装置(30)における異常箇所が特定されると、報知部(92)によって、使用者に異常箇所が報知される。本実施形態では、表示部(図示省略)に、異常な機器が特定されるエラーコードを表示することによって使用者に異常箇所が報知される。なお、報知部(92)は、異常箇所の報知を音声や警告音等の音で報知するようにしてもよく、表示と音での報知とを併用してもよい。
【0142】
−実施形態1の効果−
以上のように、本実施形態によれば、吸着剤の性能低下による異常は、ガス供給装置(30)の運転状態から診断し難いところ、運転状態から正常であるか否かを比較的診断し易いエアポンプ(31)とモータ(41)と切換機構(32,33)の診断結果から診断することとした。具体的には、エアポンプ(31)とモータ(41)と切換機構(32,33)のそれぞれが正常であるか否かを診断し、全てが正常であると診断した場合に、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の吸着剤が異常であると診断することとした。従って、本実施形態によれば、吸着剤の性能低下による異常をガス供給装置(30)の運転状態から容易に診断することができる。よって、吸着剤の吸着性能が低下したことを検知することができるため、不必要に吸着剤を交換することなく、吸着剤の性能が低下して交換の必要がある際に、吸着剤を交換することができる。
【0143】
また、本実施形態によれば、エアポンプ(31)とモータ(41)とが、ユニットケース(70)内に収納されていることを利用し、エアポンプ(31)の運転開始後に、ユニットケース(70)内の温度が運転開始前より上昇するか否かで、エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常であるか否かを診断することとした。そのため、エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常であるか否かを容易に診断することができる。
【0144】
また、本実施形態によれば、モータ(41)が正常であれば、モータ(41)の電流値が正常範囲内になることを利用し、エアポンプ(31)又はモータ(41)が異常であると診断した場合に、モータ(41)の電流値が正常範囲内であれば、エアポンプ(31)が異常であると診断し、モータ(41)の電流値が正常範囲内でなければ、モータ(41)が異常であると診断することとした。そのため、エアポンプ(31)が正常か否かを検知するために別途圧力センサ等を設けることなく、モータ(41)の電流値を測定するだけで、エアポンプ(31)が異常であるのか、モータ(41)が異常であるのかを容易に診断することができる。
【0145】
また、本実施形態によれば、切換機構(32,33)が正常であれば、通電動作の前後で酸素排出通路(45)内の圧力が所定圧力以上変化することを利用し、通電動作の前後において、酸素排出通路(45)内の圧力が、所定圧力以上変化した場合には、切換機構(32,33)が正常であると診断し、所定圧力以上変化しない場合には、切換機構(32,33)が異常であると診断することとした。そのため、酸素排出通路(45)内の圧力を検知するだけで、容易に切換機構(32,33)が正常であるか否かを診断することができる。
【0146】
また、本実施形態によれば、異常診断部(91)によって特定されたガス供給装置(30)における異常箇所を、報知部(92)によって使用者に報知することとした。そのため、ガス供給装置(30)の異常箇所を迅速に使用者に報知して、交換を促すことにより、ガス供給装置(30)を常に正常な状態に保つことができる。よって、コンテナ(11)の庫内空気の組成を所望の組成に精度よく調節することができる。
【0147】
《本発明の実施形態2》
実施形態2は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)において、制御部(55)による異常診断動作の一部(エアポンプ(31)及びモータ(41)を診断する動作)を変更したものである。以下では、実施形態1と異なるエアポンプ(31)及びモータ(41)を診断する動作についてのみ説明する。
【0148】
(エアポンプ及びモータを診断する動作)
異常診断部(91)は、まず、エアポンプ(31)及びモータ(41)が正常か否かを診断する。
【0149】
具体的には、異常診断部(91)は、ガス供給装置(30)の運転停止状態において、圧力センサ(49)によって測定された酸素排出通路(45)内の圧力を記憶し、エアポンプ(31)の運転を開始する。運転開始後、所定時間が経過したところで、異常診断部(91)は、圧力センサ(49)の測定圧力と、先に記憶した運転開始前の酸素排出通路(45)内の圧力とを比較する。酸素排出通路(45)内の圧力が、運転開始前に比べて運転開始後に上昇した場合、異常診断部(91)は、エアポンプ(31)の動作とモータ(41)の動作とが正常であると診断する。一方、酸素排出通路(45)内の圧力が、運転開始前に比べて運転開始後に上昇していない場合、異常診断部(91)は、エアポンプ(31)又はモータ(41)が正常でない(異常である)と診断する。
【0150】
異常診断部(91)は、エアポンプ(31)又はモータ(41)が正常でない(異常である)と診断すると、電流計(72)によって測定されたモータ(41)の電流値と、予め設定されたモータ(41)の電流値の正常範囲とを比較する。モータ(41)の電流値が、予め設定された正常範囲内である場合、異常診断部(91)は、エアポンプ(31)が正常でない(異常である)と診断する。一方、モータ(41)の電流値が、予め設定された正常範囲内でない場合、異常診断部(91)は、モータ(41)が正常でない(異常である)と診断する。
【0151】
ところで、エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常である場合、エアポンプ(31)を運転させると、酸素排出通路(45)には、第1ポンプ機構(31a)によって加圧されて第1吸着部(34)及び第2吸着部(35)に供給された外気が酸素濃縮空気となって酸素排出通路(45)に流出する。つまり、酸素排出通路(45)内の圧力が第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気の圧力とほぼ等しくなる。一方、エアポンプ(31)の運転開始前は、酸素排出通路(45)には何ら空気が流入しないため、外部に繋がる酸素排出通路(45)内の圧力は、外気の圧力とほぼ等しくなる。そのため、エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常であれば、エアポンプ(31)の運転を開始すると、酸素排出通路(45)内の圧力が運転開始前より上昇する。
【0152】
このように、実施形態2では、エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常であれば、エアポンプ(31)の運転開始後、酸素排出通路(45)内の圧力が第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気の圧力と等しくなることを利用し、エアポンプ(31)の運転開始後に、酸素排出通路(45)内の圧力が運転開始前より上昇するか否かで、エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常であるか否かを診断することとした。そのため、エアポンプ(31)とモータ(41)とが正常であるか否かを容易に診断することができる。
【0153】
《その他の実施形態》
上記各実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0154】
上記各実施形態では、異常診断部(91)によって、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の吸着剤の性能が低下したと診断されると、報知部(92)によって使用者に異常箇所が第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の吸着剤であることが報知されていた。しかしながら、報知部(92)による報知の前、又は報知と共に、制御部(55)による第1動作と第2動作との切り換え時間の間隔を長くする(例えば、15秒から20秒に変更する)こととしてもよい。これにより、第1ポンプ機構(31a)が第1及び第2吸着筒(34,35)へ外気を供給する時間が長くなるため、第1及び第2吸着筒(34,35)内の圧力が増大する。吸着剤の吸着性能は、圧力を上げると向上するため、性能低下を補うことができる。
【0155】
上記各実施形態では、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が、両方を非通電状態にすると両方加圧状態に切り換えられ、両方を通電状態にすると両方減圧状態に切り換えられるように構成されていた。しかしながら、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)は、両方を非通電状態にすると両方減圧状態に切り換えられ、両方を通電状態にすると両方加圧状態に切り換えられるように構成してもよい。この場合、切換機構(32,33)の診断において、非通電状態である両方減圧状態から通電状態である両方加圧状態に切り換える切換動作を行い、圧力センサ(49)によって測定された酸素排出通路(45)内の圧力が、切換動作の前後で所定圧力以上上昇した場合に切換機構(32,33)が正常であると診断し、切換動作の前後で所定圧力以上上昇していない場合に切換機構(32,33)が正常でない(異常である)と診断するように異常診断部(91)を構成する。
【0156】
上記各実施形態では、1つのエアポンプ(31)が第1ポンプ機構(31a)と第2ポンプ機構(31b)とを有する構成としていたが、第1ポンプ機構(31a)と第2ポンプ機構(31b)とは、2つの個別のエアポンプによって構成されていてもよい。
【0157】
また、上記各実施形態では、第1吸着部及び第2吸着部として、それぞれ1本の吸着筒を用いて窒素の吸着及び脱着を行うようにしていたが、各吸着部を構成する吸着筒の本数は1本に限定されない。例えば、各吸着部を3本の吸着筒で構成し、合計6本の吸着筒を用いることとしてもよい。
【0158】
また、上記各実施形態では、海上輸送用のコンテナ(11)に設けられるコンテナ用冷凍装置(10)に本発明に係るCA装置(60)を適用した例について説明したが、本発明に係るCA装置(60)の用途はこれに限られない。本発明に係るCA装置(60)は、海上輸送用のコンテナの他、例えば、陸上輸送用のコンテナ、単なる冷凍冷蔵倉庫、常温の倉庫等の庫内空気の組成調節に用いることができる。
【課題】ガス供給装置の運転状態から吸着剤の性能を診断可能に構成する、吸着剤を用いて窒素濃縮空気を生成するガス供給装置及びそれを備えたコンテナ用冷凍装置を提供する。
【解決手段】呼吸を行う植物が収納されるコンテナに設けられ、窒素濃縮空気をコンテナの庫内に供給するガス供給装置30に、窒素濃縮空気の酸素濃度が所定濃度以下にならない場合に、ガス供給装置30の各構成機器が正常であるか否かを診断して異常箇所を特定する異常診断部91を設ける。異常診断部91は、エアポンプ31とモータ41と切換機構32,33のそれぞれが正常であるか否かを診断し、全ての作動状態が正常であると診断した場合に、吸着剤が異常であると診断する。