【実施例】
【0046】
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はかかる実施例により限定されない。
【0047】
(実施例1)
(1)ゴム組成物
ゴム組成物の配合を下記とした。
【0048】
・エチレン−アクリル酸メチル共重合体(AEM)(デュポン社製「VAMAC DP」) 100重量部
・水酸化カルシウム(近江化学工業社製「CALDIC #2000」) 1重量部
・カーボンブラック(FEF)(東海カーボン社製「シーストG−S0」) 70重量部
・乾式シリカ(日本エアロジル社製「AEROSIL 200」) 5重量部
・老化防止剤(4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(大内新興化学工業社製「ノクラックCD」) 1重量部
・加工助剤1;ミヨシ油脂社製「ステアリン酸TST」 1重量部
・加工助剤2;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸(東邦化学工業社製「ファスファノールRL210) 1.25重量部
・加工助剤3;N−オクタデシルアミン(ライオン・アクゾ社製「ARMEEN 18D」) 0.5重量部
・可塑剤;アジピン酸(ブトキシエチル)ジセステル(旭電化工業社製「アデカサイザーRS−107)」 10重量部
・架橋剤1;ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(日本油脂社製「ペロキシモンF40」) 7.5重量部
・共架橋剤;トリメタクリル酸トリメチロールプロパン(三菱レーヨン社製「アクリエステルTMP」 2重量部
【0049】
(2)架橋条件
得られたゴム組成物について、200℃、3分間の一次架橋(プレス架橋)を行って、架橋ゴムを得た。この架橋は、有機過酸化物である架橋剤1による過酸化物架橋である。二次架橋は省略された。
【0050】
(実施例2)
(1)ゴム組成物
実施例1において、水酸化カルシウムの配合量を3重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。
【0051】
(2)架橋条件
得られたゴム組成物について、実施例1と同様の架橋条件により架橋を行って、架橋ゴムを得た。
【0052】
(実施例3)
(1)ゴム組成物
実施例1において、水酸化カルシウムの配合量を5重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。
【0053】
(2)架橋条件
得られたゴム組成物について、実施例1と同様の架橋条件により架橋を行って、架橋ゴムを得た。
【0054】
(実施例4)
(1)ゴム組成物
実施例1において、水酸化カルシウムの配合量を7重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。
【0055】
(2)架橋条件
得られたゴム組成物について、実施例1と同様の架橋条件により架橋を行って、架橋ゴムを得た。
【0056】
(参考例1)*従来の材料(ACM組成物)
(1)ゴム組成物
ゴム組成物の配合を下記とした。
【0057】
・アクリルゴム(ACM)(ユニマテック社製「Noxtite PA401」)
100重量部
・カーボンブラック(FEF)(東海カーボン社製「シーストG−S0」) 70重量部
・乾式シリカ(日本エアロジル社製「AEROSIL 200」) 5重量部
・老化防止剤(4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(大内新興化学工業社製「ノクラックCD」) 1重量部
・加工助剤1;ミヨシ油脂社製「ステアリン酸TST」 1重量部
・加工助剤4;パラフィンワックス(大内新興化学工業社製「サンノック」) 2重量部
・架橋剤2;硫黄 0.6重量部
・加硫促進剤1;精製ソーダ石鹸(花王社製「NS-Sorp」) 5重量部
・加硫促進剤2;ステアリン酸カリウム(日本油脂社製「ノンサールSK−1」) 2重量部
【0058】
(2)架橋条件
得られたゴム組成物について、200℃、3分間の一次架橋(プレス架橋)、及び、170℃、6時間の二次架橋(オーブン架橋)を行って、架橋ゴムを得た。これらの架橋は、硫黄である架橋剤2による加硫である。
【0059】
(比較例1)
(1)ゴム組成物
比較例1のゴム組成物は、参考例1と同様の配合である。
【0060】
(2)架橋条件
得られたゴム組成物について、200℃、3分間の一次架橋(プレス架橋)を行って、架橋ゴムを得た。この架橋は、硫黄である架橋剤2による加硫である。二次架橋は省略された。
【0061】
(比較例2)
(1)ゴム組成物
実施例1において、水酸化カルシウムの配合を省略したこと以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物を得た。
【0062】
(2)架橋条件
得られたゴム組成物について、実施例1と同様の架橋条件により架橋を行って、架橋ゴムを得た。
【0063】
(比較例3)
(1)ゴム組成物
実施例1において、水酸化カルシウムの配合量を0.5重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。
【0064】
(2)架橋条件
得られたゴム組成物について、実施例1と同様の架橋条件により架橋を行って、架橋ゴムを得た。
【0065】
(比較例4)
(1)ゴム組成物
実施例1において、水酸化カルシウムの配合量を10重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。
【0066】
(2)架橋条件
得られたゴム組成物について、実施例1と同様の架橋条件により架橋を行って、架橋ゴムを得た。
【0067】
(比較例5)
(1)ゴム組成物
実施例1において、水酸化カルシウムに代えて、水酸化マグネシウム(協和化学工業社製「200−6H」)1重量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。
【0068】
(2)架橋条件
得られたゴム組成物について、実施例1と同様の架橋条件により架橋を行って、架橋ゴムを得た。
【0069】
(比較例6)
(1)ゴム組成物
実施例1において、水酸化カルシウムに代えて、水酸化アルミニウム(昭和電工社製「ハイジライト」)1重量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。
【0070】
(2)架橋条件
得られたゴム組成物について、実施例1と同様の架橋条件により架橋を行って、架橋ゴムを得た。
【0071】
2.評価方法
(1)ムーニースコーチ
上記実施例、参考例及び比較例のゴム組成物(未架橋ゴム)について、JIS K6300−1(2001)に準拠し、試験温度125℃、余熱時間1分、L形ローターにてムーニースコーチ試験を実施し、最低ムーニー粘度Vm、スコーチタイムT5を求めた。
【0072】
(2)常態物性
上記実施例、参考例及び比較例の架橋ゴムについて、常態物性(硬さ(Duro−A)、引張強度及び破断時伸び)を測定した。
【0073】
<測定方法>
a.硬さ
JIS K6253(1997)に準拠して、硬さ(Duro−A:瞬時)を測定した。
【0074】
b.引張強度
JIS K6251(2010)に準拠して、引張強度(MPa)を測定した。
【0075】
c.破断時伸び
JIS K6251(2010)に準拠して、破断時伸び(%)を測定した。
【0076】
(3)接着試験
SPCC鋼板からなる基材を用意し、リン酸亜鉛マグネシウムで化成処理した。
【0077】
次いで、化成処理されたSPCC鋼板上に、ノボラック型フェノール樹脂を主成分とし、レゾール型フェノール樹脂を硬化剤としてなる接着剤を塗布し、乾燥させた後、130℃で15分間、接着剤の焼付処理を行った。
【0078】
接着剤が焼付されたSPCC鋼板に、上記実施例、参考例及び比較例のゴム組成物(未架橋ゴム)を接合させ、各実施例、参考例及び比較例について上述した架橋条件で架橋を行って、ゴム金属複合体を得た。
【0079】
得られたゴム金属複合体において、SPCC鋼板からゴムを剥離させ、剥離後のSPCC鋼板表面へのゴム残存率(%)を測定した。
【0080】
ゴム残存率(%)は、SPCC鋼板上にゴムが残存する面積を、ゴム−SPCC鋼板の接合面の面積で除し、これを100分率で示したものである。ゴム残存率(%)が大きいほど、接着性が強い(即ち接着性に優れる)と評価できる。
【0081】
(4)圧縮永久歪試験
上記実施例及び比較例のゴム組成物(未架橋ゴム)を、各実施例、参考例及び比較例について上述した架橋条件で架橋し、架橋ゴムからなる断面がO形(円形状)の環状シール部材(環の直径=φ3.1cm)を得、JIS K6262(2013)に準拠して120℃、70時間の耐熱老化後の圧縮永久歪率(%)を測定した。圧縮率は25%とした。
【0082】
以上の評価結果を、表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
<評価>
実施例1〜4は、参考例1(従来の材料)との対比で、二次架橋がなくても同等の圧縮永久歪を有しており、生産コストが安い。また、スコーチタイムT5が6分以上であるため、生地保管性も十分であり、且つ接着性も良好である。
【0085】
参考例1(従来の材料)は、接着性、圧縮永久歪ともに良好だが、二次架橋を施しているため、生産コストが高い。
【0086】
比較例1は、参考例1で用いたACM組成物を一次架橋のみ(二次架橋無し)としたものであり、圧縮永久歪が著しく悪化していることがわかる。
【0087】
比較例2、3は、参考例1(従来の材料)との対比で良好な圧縮永久歪を有するが、接着性は皆無である。
【0088】
比較例4は、接着性は良好であるが、比較例2(水酸化カルシウム無添加)と比較して圧縮永久歪に劣り、またスコーチタイムT5も6分に満たないため、生地保管性が不安定である。
【0089】
比較例5、6より、水酸化カルシウム以外の金属水酸化物では、接着性は皆無であることがわかる。