特許第5943190号(P5943190)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5943190カップ支持部用部材およびカップ部を有する衣類
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943190
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】カップ支持部用部材およびカップ部を有する衣類
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/10 20060101AFI20160616BHJP
   A41C 3/12 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   A41C3/10 B
   A41C3/12 C
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-66359(P2012-66359)
(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-194346(P2013-194346A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】306033379
【氏名又は名称】株式会社ワコール
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100129137
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 ゆみ
(74)【代理人】
【識別番号】100146064
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 玲子
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 勝
(72)【発明者】
【氏名】立入 めぐみ
【審査官】 一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平1−260034(JP,A)
【文献】 特開平8−325887(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3068244(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C 3/00 − 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ部を有する衣類に用いるカップ支持部用部材であって、
クッション部と耳部とを有し、
前記クッション部と前記耳部とは、織物または編物を用いて一体的に形成され、
前記耳部は、ワイヤーが未挿入であり、
前記クッション部の厚みは、衣類におけるワイヤーの厚みと、略同一であり、
前記カップ支持部用部材を、カップ部を有する衣類のカップ支持部に使用する際、
前記耳部、前記衣類のカップ部下辺に重なるように配置され
前記カップ支持部用部材は、その上辺側に前記クッション部が位置するように配置され、
肌から遠い順に、前記カップ部、前記カップ支持部用部材、ワイヤーを内包するワイヤーループが位置するように配置されることを特徴とするカップ支持部用部材。
【請求項2】
前記耳部と一体的に形成された管状体の内部にクッション材が挿入されており、前記クッション材が内部に挿入された前記管状体が、前記クッション部であることを特徴とする、請求項1記載のカップ支持部用部材。
【請求項3】
前記クッション材が、糸束であることを特徴とする、請求項2記載のカップ支持部用部材。
【請求項4】
前記クッション部が、前記耳部よりも高目付の織物または編物であることを特徴とする、請求項1記載のカップ支持部用部材。
【請求項5】
前記クッション部の厚みが2〜5mmの範囲であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のカップ支持部用部材。
【請求項6】
前記クッション部の幅が5〜10mmの範囲であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のカップ支持部用部材。
【請求項7】
前記耳部の両側に前記クッション部が設けられていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のカップ支持部用部材。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のカップ支持部用部材を、カップ支持部に有し、
前記カップ支持部用部材は、その上辺側に前記クッション部が位置するように配置され、
肌から遠い順に、前記カップ部、前記カップ支持部用部材、ワイヤーを内包するワイヤーループが位置するように配置されることを特徴とするカップ部を有する衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ支持部用部材およびカップ部を有する衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラジャー等のカップ部を有する衣類には、バストの造形や着用安定性のため、カップ部下辺のバージスラインに沿う部分にカップ支持部が設けられている。このようなカップ部を有する衣類として、カップ支持部に、例えば、ワイヤーを挿入した、ワイヤー入りブラジャー等がある。しかし、ワイヤー入りブラジャーは、着用時にワイヤーが肌にあたる、くいこむ等、着用時に違和感が生じることがある。こうした問題点を解消するため、例えば、ワイヤー用サポートループの幅を広くし、ブラジャー等と縫着しない遊離部を設けることによって、サポートループが極端な凸起部とならず、肌へのくいこみを緩和させるというブラジャー用等のアンダーワイヤー用サポートループが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−24916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ワイヤー用ループは、カップ部との縫着時に、ワイヤーに沿って、ワイヤーを挟んでその上下を縫うため、ワイヤー部が突起となって肌にあたることは防ぎきれないという問題があった。図9に、ブラジャーに挿入されるワイヤーの模式図を示す。図9(a)は、前記ワイヤーを正面から見た図、図9(b)は、前記ワイヤーのバージスライン最下点部付近の断面図である。ブラジャーを着用すると、図9(a)に示す矢印方向にワイヤーは広がり、それに伴い、ワイヤーが身体側に倒れ込む。そのため、バージスラインの最下点では、図9(b)に示すように、図9(a)に示すワイヤー下点の上辺があたったり、食い込んだりしやすくなるが、前記の技術では、これを防ぐことができず、このため着用時に違和感があった。また、図9(a)に示すように、ワイヤーの両先端は、ワイヤーがワイヤー用ループを突き破るのを防止するために、樹脂で丸く加工され、太くなっている。そのため、ワイヤーの両先端部は、肌にあたりやすく、着用時、この部分に違和感を感じやすいという問題もあった。一方、ワイヤーによる違和感を軽減させるために、ワイヤーの幅を広くしたり、ワイヤーを柔らかくしたりすると、造形性および安定性が弱くなるという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、ワイヤー等のカップ支持部における前述の着用時の違和感を解消しつつ、カップ部の造形性および安定性を向上させることができるカップ支持部用部材、および、カップ部を有する衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のカップ支持部用部材は、
カップ部を有する衣類に用いるカップ支持部用部材であって、
クッション部と耳部とを有し、
前記クッション部と前記耳部とは、織物または編物を用いて一体的に形成され、
前記耳部が、前記衣類のカップ部下辺に重なるように配置されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のカップ部を有する衣類は、前記本発明のカップ支持部用部材を、カップ支持部に有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカップ支持部用部材およびカップ部を有する衣類によると、ワイヤー等に起因するカップ支持部における着用時の違和感を解消し、かつカップ部の造形性および安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)は、本発明のカップ支持部用部材の一例である、第1の実施形態に係るカップ支持部用部材を示す斜視図である。図1(b)は、前記第1の実施形態に係るカップ支持部用部材の変形例を示す斜視図である。
図2図2(a)は、本発明のカップ支持部用部材の一例である、第2の実施形態に係るカップ支持部用部材を示す斜視図である。図2(b)は、前記第2の実施形態に係るカップ支持部用部材の変形例を示す図である。
図3図3(a)は、本発明のカップ支持部用部材の一例である、第3の実施形態に係るカップ支持部用部材を示す斜視図である。図3(b)は、前記第3の実施形態に係るカップ支持部用部材の変形例を示す斜視図である。
図4図4(a)は、本発明のカップ支持部用部材の一例である、第4の実施形態に係るカップ支持部用部材を示す斜視図である。図4(b)は、前記第4の実施形態に係るカップ支持部用部材の変形例を示す斜視図である。
図5図5は、本発明のカップ部を有する衣類の一例である、ブラジャーの斜視図である。
図6図6は、図5のブラジャーをI−I方向に見た、第5の実施形態における断面図である。
図7図7は、図5のブラジャーをI−I方向に見た、第6の実施形態における断面図である。
図8図8は、図5のブラジャーをI−I方向に見た、第7の実施形態における断面図である。
図9図9は、着用時のワイヤーの肌へのあたりを説明する図である。(a)は、ワイヤーの図、(b)は、ワイヤーが身体側へ倒れる時の様子を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のカップ支持部用部材およびカップ部を有する衣類について、例をあげて説明する。ただし、本発明は、以下の例に限定および制限されない。
【0011】
(第1の実施形態)
図1(a)に、本発明の第1の実施形態に係るカップ支持部用部材100Aを示す。図1(a)は、本実施形態のカップ支持部用部材100Aの斜視図である。図1(a)に示すとおり、カップ支持部用部材100Aは、クッション部101と、耳部102とを有している。カップ支持部用部材100Aは織物または編物であって、クッション部101と耳部102とは、一体的に形成されている。
【0012】
クッション部101は、クッション性を有している。クッション部101は、例えば、耳部102と一体にあらかじめ管状体を形成し、前記管状体の内部にクッション材30を挿入して管状体の内部を埋めることによって作製することができる。これにより、クッション部101にクッション性を持たせることができる。クッション材30としては、大量の細い糸の束や、ナイロンチューブ等の樹脂チューブ、弾性樹脂等を用いることができる。糸束を用いる場合、糸を詰めすぎると、クッション部101が硬くなり、クッション性が不十分となるので、クッション性を有するよう調節して糸を挿入することが好ましい。また、樹脂チューブや樹脂(例えば、ウレタン樹脂)を挿入する場合、チューブや樹脂が硬いと肌にあたる時に痛みを感じるので、やわらかいものを使用することが好ましい。前記樹脂は、液状で注入した後、ゲル状に硬化するような素材であることも好ましい。耳部101および前記管状体の素材としては、ナイロン、ポリエステル、綿、アクリル等の繊維を用いることができる。
【0013】
本実施形態のカップ支持部用部材100Aを、織物で形成すると製造が容易である。例えば、2本針タイプのニードル織機を用いて、耳部から織り始め、クッション部と耳部との境目まで織り上げた後に、経糸を、例えば1本おきに均等に2等分してそれぞれに緯糸を通して2枚に織り上げ、最後に2等分された経糸を合わせて緯糸を通して2枚を連結させクッション部を形成して得ることができる。しかし、本発明のカップ支持部用部材の製造方法は、これに限定されるものではない。
【0014】
カップ支持部用部材100Aは、耳部102が、カップ部を有する衣類のカップ部下辺に重なるように設けられる。前記カップ部下辺にワイヤーが設けられている場合、カップ支持部用部材100Aは、前記ワイヤーと組み合わせて、カップ部に装着することができる。カップ支持部用部材100Aをワイヤーと組み合わせることにより、カップ支持部用部材100Aのクッション部101の厚みとワイヤーの厚みとを、ほぼ平らにすることができる。これにより、ワイヤー部が突起し、肌にあたるという着用時の違和感を解消することができる。クッション部101の厚みは、2〜5mmの範囲であることが好ましい。厚みをこれらの範囲にすることにより、カップ支持部用部材100Aとワイヤーとを組み合わせたとき、ワイヤーとクッション部101とを段差なく設けることができる。さらに、前記厚みは、3mm前後であることがより好ましい。また、クッション部101の幅は、実現したい着用感に合わせて、適宜調整することが可能であるが、5〜10mmの範囲が好ましく、6mm前後がより好ましい。クッション部101の幅が広すぎると、クッション部101が浮いてしまうため、幅を前記範囲にすることによって、ブラジャーをアンダーバストにフィットさせることができる。
【0015】
また、カップ支持部用部材100Aは、ワイヤーを補助し、バストの造形力や着用安定感を高めるという機能も有する。カップ支持部用部材100Aの幅におけるクッション部101が占める割合が高くなると、カップ支持部用部材100Aの前記造形機能が高くなる。また、カップ支持部用部材100Aにより、カップ部の土台が安定し、バストをしっかりと支えることができる。また、ワイヤーがバストを挟んで造形する力を補助できるため、バストの造形性を高め、バストが脇側に流れるのを防ぐことができる。
【0016】
耳部102の厚みは、ワイヤーと組み合わせた際、耳部102の厚みとワイヤーの厚みとを合計した厚みと、クッション部101の厚みとがほぼ同じになるように設定されることが好ましい。前記ワイヤーは、バイアステープがワイヤーを包んだワイヤーループとしてカップ支持部用部材100Aと組み合わせることができる。その場合、バイアステープの厚みも考慮し、耳部は薄いほうが好ましい。
【0017】
図1(b)に、第1の実施形態の変形例を示す。本変形例のカップ支持部用部材100Bは、耳部102の両端に、クッション部101が設けられている他は、第1の実施形態と同様である。これにより、後述のように、1つの部材で、ワイヤーを挟んで上下にクッション部101を設けることができる。
【0018】
本実施形態では、カップ支持部用部材を、カップ部下辺にワイヤーが設けられているカップ部を有する衣類に用いる場合について説明した。しかし、本発明のカップ支持部用部材は、これに限って使用されるものではなく、ノンワイヤータイプのカップ部を有する衣類にも用いることができる。ノンワイヤータイプのカップ部を有する衣類においても、本発明のカップ支持部用部材をカップ部下辺に装着することにより、カップ部下辺が補強され、安定するため、適度な造形力と着用安定感を付与することができる。
【0019】
(第2の実施形態)
図2(a)に、本発明のカップ支持部用部材の第2の実施形態に係るカップ支持部用部材200Aを示す。本実施形態では、耳部202が、一定程度の厚みを有している。この厚みは、ワイヤーと組み合わせた際、耳部202の厚みとワイヤーの厚みとを合計した厚みと、クッション部201の厚みとがほぼ同じになるように設定されることが好ましい。耳部202に厚みを設けることにより、ワイヤーを組み合わせた際にワイヤーを補強することができるため、バストの造形力や着用安定性をより高めることができる。このように、本発明のカップ支持部用部材は、クッション部や耳部の大きさや厚さを調整することにより、様々な態様のワイヤーと組み合わせて用いることができる。
【0020】
図2(b)に、第2の実施形態の変形例を示す。本変形例のカップ支持部用部材200Bは、耳部202の両端に、クッション部201が設けられている他は、第2の実施形態と同様である。これにより、後述のように、1つの部材で、ワイヤーを挟んで上下にクッション部201を設けることができる。
【0021】
(第3の実施形態)
図3(a)に、本発明のカップ支持部用部材の第3の実施形態に係るカップ支持部用部材300Aを示す。本実施形態では、耳部302が、ワイヤー50を挿入することができるよう設計されている。
【0022】
本実施形態では、カップ支持部用部材300Aの耳部302にワイヤー50を直接挿入して組み合わせることができる。これにより、ワイヤーループを別途設ける必要がないため、部材を少なくすることができ、製造コストを削減することが可能となる。また、ワイヤーループをカップ部にセットして縫着するという手間がなくなるため、作業効率も良くなる。
【0023】
図3(b)に、第3の実施形態の変形例を示す。本変形例のカップ支持部用部材300Bは、耳部302の両端に、クッション部301が設けられている他は、第3の実施形態と同様である。これにより、後述のように、1つの部材で、ワイヤー50を挟んで上下にクッション部301を設けることができる。
【0024】
(第4の実施形態)
図4(a)に、本発明のカップ支持部用部材の第4の実施形態に係るカップ支持部用部材400Aを示す。本実施形態では、クッション部401が、耳部402よりも高目付の織物または編物で形成されている。目付とは、単位面積当たりの重さをいう。クッション部401を高目付とする方法として、クッション部401の糸に、耳部402の糸よりも太いものを使用する、クッション部401の糸の数を耳部402よりも多くする、等の方法を用いることができる。本実施形態において、カップ支持部用部材400Aは、織物で形成されていることが好ましい。また、本実施形態においても、第3の実施形態のように、耳部402にワイヤーを挿入できるように設計されていてもよい。
【0025】
図4(b)に、第4の実施形態の変形例を示す。本変形例のカップ支持部用部材400Bは、耳部402の両端に、クッション部401が設けられている他は、第4の実施形態と同様である。これにより、後述のように、1つの部材で、ワイヤーを挟んで上下にクッション部401を設けることができる。
【0026】
(第5の実施形態)
図5に、本発明のカップ部を有する衣類の一例であるブラジャー500の斜視図を示す。このブラジャー500のカップ部501の下辺部には、本発明のカップ支持部用部材が取り付けられてカップ支持部505が形成されている。図6から図8に、本発明のカップ支持部用部材の取り付け方法の具体例を示す。図6から図8は、図5のブラジャーをI−I方向に見た断面図である。
【0027】
本発明のカップ支持部用部材をワイヤーループ515と組み合わせて使用する場合は、図6に示すように、カップ部501の下辺部において、肌側から遠い順に、土台部510、カップ部501、カップ支持部用部材100A、ワイヤーループ515の順番に重ね、全てを縫着する。なお、ワイヤーループ515とカップ支持部用部材100Aをカップ部501の外側に取り付けることもできるが、この場合、肌側にあたりがないためバストがひっかからず、ずれやすくなってしまう。縫着する箇所は、ワイヤー50に沿って、ワイヤーの上下部分とするとよい。この場合、カップ支持部用部材100Aのクッション部は、図6(a)のようにワイヤー50の上側(カップ支持部505の上辺側)になるように縫着されても、図6(b)のようにワイヤー50の下側(カップ支持部505の下辺側)になるように縫着されてもよい。また、図6(c)のようにカップ支持部用部材100Aを2つ用い、クッション部がそれぞれ別の向きとなるように重ね合わせ、クッション部がワイヤー50を挟んで上下ともに設けられるようにしてもよい。クッション部がワイヤー50の上側に装着されるのが、ワイヤー50が身体側に倒れた時の角のあたりを防ぎ、かつ、軽い着用感を実現できるため、最も好ましい。なお、本実施形態においては、ブラジャー500は土台部510を有しているが、本発明はこれに限られず、土台部を有さないブラジャーにも使用することができる。
【0028】
このように本発明のカップ支持部用部材を取り付けることにより、ワイヤーが身体側に倒れても、カップ支持部用部材のクッション部がクッションとなってワイヤーが直接肌にあたることを防ぐことができるため、着用時にワイヤーがあたることの痛みや違和感をなくすことができる。また、本発明のカップ支持部用部材は、ワイヤーを補強する機能も有しているため、カップ支持部用部材とワイヤーとを組み合わせることによって、バストの保形力や着用安定感を高めることができる。
【0029】
(第6の実施形態)
本発明のカップ支持部用部材が、幅の上下方向にクッション部を有している場合は、図7に示すように、カップ部501の下辺部において、肌側から遠い順に、土台部510、カップ部501、ワイヤー50、カップ支持部用部材100Bの順番に重ね、縫着する。この場合、ワイヤー50は、カップ支持部用部材100Bの上下のクッション部の中央に挟むようにする。
【0030】
この場合、ワイヤー50を、ワイヤーループで覆う必要がなく、直接、カップ支持部用部材100Bのクッション部の間に設けることができる。そして、その状態で土台部510、カップ部501およびカップ支持部用部材100Bを縫着することができる。これにより、ワイヤーループを用意し、ワイヤーをワイヤーループに挿入する工程を省くことができるため、作業効率を上げることができる。また、1つのカップ支持部用部材で、ワイヤー50の上下にクッション部を設けることができるので、カップ部下辺部の厚みを薄くすることができ、締め付け感を少なくすることができる。
【0031】
(第7の実施形態)
本発明のカップ支持部用部材が、耳部にワイヤーを挿入することができる場合には、図8に示すように、カップ部501の下辺部において、肌側から遠い順に、土台部510、カップ部501、カップ支持用部材の順番に重ね、全てを縫着する。図8(a)は、クッション部が1つであるカップ支持用部材300Aを用いた場合の図、図8(b)は、クッション部が2つ設けられているカップ支持用部材300Bを用いた場合の図である。この場合も、ワイヤー50に沿って、ワイヤーの上下部分を縫着するとよい。
【0032】
この場合、カップ支持部用部材とワイヤーとが一体となっているため、カップ支持部用部材とは別の部材としてワイヤーを覆ったワイヤーループを用意する必要がない。そのため、重ね合わせる部材が少なくなり、カップ部下辺部の厚みを薄くすることができる。これにより、締め付け感や着用時の違和感を少なくすることができる。また、重ねる部材が少ないため、縫着が容易になり、作業効率を上げることができる。
【0033】
以上、実施の形態の具体例として、ブラジャーをあげて本発明を説明したが、本発明のカップ部を有する衣類は、具体例で記載されたもののみに限定されるものではなく、種々の態様が可能である。例えば、ボディスーツ、ブラスリップ、水着、レオタード、その他各種のカップ部を有する衣類に適用できる。また、前中心を係脱自在のホックで連結するフロントホックタイプの衣類にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明のカップ支持部用部材は、種々の態様のカップ部を有する衣類への適用が可能である。例えば、上記の実施形態のようなブラジャー等のファンデーション衣類以外にも、スポーツ衣類、アウターなど、各種のカップ部を有する衣類に適用できる。
【符号の説明】
【0035】
100A、100B、200A、200B、300A、300B、400A、400B カップ支持用部材
101、201、301、401 クッション部
102、202、302、402 耳部
30 クッション材
50 ワイヤー
500 ブラジャー
501 カップ部
505 カップ支持部
510 土台部
515 ワイヤーループ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9