特許第5943242号(P5943242)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943242
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】LEDランプ
(51)【国際特許分類】
   F21K 9/00 20160101AFI20160621BHJP
   F21K 9/237 20160101ALI20160621BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20160621BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20160621BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20160621BHJP
   F21V 29/67 20150101ALI20160621BHJP
   F21V 29/83 20150101ALI20160621BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20160621BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20160621BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20160621BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20160621BHJP
   F21Y 107/30 20160101ALN20160621BHJP
【FI】
   F21K9/00 100
   F21K9/237
   F21S2/00 224
   F21V29/76
   F21V29/503
   F21V29/67 100
   F21V29/83
   F21V23/00 117
   F21V23/00 150
   F21V23/00 140
   F21S2/00 214
   F21S2/00 216
   F21V3/00 510
   F21V19/00 150
   F21V19/00 170
   F21V19/00 450
   H01L33/00 L
   F21Y107:30
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-256157(P2014-256157)
(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公開番号】特開2016-115655(P2016-115655A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2016年2月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135965
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 要泰
(74)【代理人】
【識別番号】100100169
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 剛
(72)【発明者】
【氏名】今成 孝佳
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 清輝
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇太
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3190968(JP,U)
【文献】 特開2012−190557(JP,A)
【文献】 特開2014−44935(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/104625(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0170234(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 29/00−29/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口金と、多角形の断面を有し筒状に形成されたLED基板と、該LED基板の外側に装着されたLED素子と、前記LED基板の内側に装着されたヒートシンクと、該ヒートシンクの内側に形成された貫通孔と、前記口金と前記ヒートシンクの間に配置された冷却ファンと、空気排出孔を備えた透光性のカバーと、を有し、
前記冷却ファンと前記ヒートシンクと前記LED基板は前記口金を通るランプの中心軸線に沿って配置され、前記冷却ファンと前記ヒートシンクの間にスペーサが設けられ、
前記冷却ファンは、モータと、該モータの周囲の環状の貫通孔とを有し、前記スペーサは、中心部材と、該中心部材の周囲の環状部材と、前記中心部材と前記環状部材の間の貫通孔とを有し、該スペーサの貫通孔は前記冷却ファンの貫通孔に整合して配置されていることを特徴とするLEDランプ。
【請求項2】
請求項1記載のLEDランプにおいて、
前記スペーサの中心部材は、トップ側の円形部材と口金側の円筒部材を有する有底の円筒容器状に形成されていることを特徴とするLEDランプ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のLEDランプにおいて、
前記スペーサの貫通孔は、口金側からトップ側に向かって断面積が大きくなっていることを特徴とするLEDランプ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載のLEDランプにおいて、
前記スペーサの環状部材によって前記LED基板の口金側端部が支持されていることを特徴とするLEDランプ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載のLEDランプにおいて、
前記スペーサの環状部材に係合部材が設けられており、前記LED基板の口金側端部は前記係合部材に係合していることを特徴とするLEDランプ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載のLEDランプにおいて、
前記スペーサの中心部材と環状部材は、放射状の支持部材によって接続されており、前記冷却ファンのモータは、放射状の支持部材によって支持されており、前記スペーサの支持部材と前記モータの支持部材は整合して配置されていることを特徴とするLEDランプ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載のLEDランプにおいて、
前記冷却ファンによって生成された冷却用空気は、前記冷却ファンの貫通孔から前記スペーサの貫通孔を経由して、前記ヒートシンクの貫通孔に導かれることを特徴とするLEDランプ。
【請求項8】
請求項1記載のLEDランプにおいて、
前記冷却ファンと前記ヒートシンクの間に配置されたスペーサと、前記冷却ファン及び前記スペーサを収納する筐体と、を有し、
前記筐体は外部からの冷却用空気を吸入するための空気吸入口を有し、該空気吸入口と前記冷却ファンの間に回路基板が設けられていることを特徴とするLEDランプ。
【請求項9】
請求項8記載のLEDランプにおいて、
前記回路基板は、前記LED素子の温度が上昇した場合に前記LED素子への電流の供給を止めるランプ保護回路と前記冷却ファンに直流電流を供給するファン駆動回路を有することを特徴とするLEDランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDランプに関し、特に、LED冷却機構を備えた電球型のLEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以下、LED:Light Emitting Diode)を光源とするLEDランプが広く普及している。近年、LEDランプの用途の拡大に伴って、LEDランプの高出力化及び高電力化が求められている。LEDランプは、放電ランプと比較して高い発光効率を有する利点があるが、LEDが高温化すると、発光効率が低下する欠点がある。そこで、LEDの高温化を防止するために、LEDを冷却するためのLED冷却機構が設けられる。LED冷却機構として、例えば、ヒートシンクと冷却ファンがある。
【0003】
冷却ファンの性能が低下すると、LEDが高温化し、発熱効率が低下する。そこで、LEDランプの発光効率を維持するためには、冷却ファンの性能の低下を防止する必要がある。冷却ファンの性能低下の要因として、モータの潤滑油の劣化が挙げられる。一般にモータの潤滑油は高温下で容易に劣化する。そのため、冷却ファンの性能低下を防止するには、モータの高温化を回避する必要がある。
【0004】
特許文献1には、LEDライトボードアセンブリとファンの間にサポートフレームを設けた照明具の例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3190968号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
冷却ファンのモータの高温化を回避するには、モータに冷却空気を供給すればよい。しかしながら、冷却ファンとヒートシンクを備えた電球型のLEDランプでは、冷却ファンのモータに冷却空気を供給する機構を設けることは困難である。
【0007】
本発明の目的は、電球型のLEDランプにおいて、LEDの発光効率を向上させると同時に、冷却ファンのモータの温度を低下させて、冷却ファンの性能低下を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の発明者は、電球型のLEDランプにおいて、冷却ファンのモータの温度を低下させるための機構を鋭意検討した。そこで本願の発明者は、冷却ファンのモータに外部からの比較的温度が低い空気を接触させる構造を着想した。
【0009】
本実施形態によると、LEDランプは、口金と、多角形の断面を有し筒状に形成されたLED基板と、該LED基板の外側に装着されたLED素子と、前記LED基板の内側に装着されたヒートシンクと、該ヒートシンクの内側に形成された貫通孔と、前記口金と前記ヒートシンクの間に配置された冷却ファンと、空気排出孔を備えた透光性のカバーと、を有し、
前記冷却ファンと前記ヒートシンクと前記LED基板は前記口金を通るランプの中心軸線に沿って配置され、前記冷却ファンと前記ヒートシンクの間にスペーサが設けられ、
前記冷却ファンは、モータと、該モータの周囲の環状の貫通孔とを有し、前記スペーサは、中心部材と、該中心部材の周囲の環状部材と、前記中心部材と前記環状部材の間の貫通孔とを有し、該スペーサの貫通孔は前記冷却ファンの貫通孔に整合して配置されている、としてよい。
【0010】
本実施形態によると前記LEDランプにおいて、前記スペーサの中心部材は、トップ側の円形部材と口金側の円筒部材を有する有底の円筒容器状に形成されている、としてよい。
【0011】
本実施形態によると前記LEDランプにおいて、前記スペーサの貫通孔は、口金側からトップ側に向かって断面積が大きくなっている、としてよい。
【0012】
本実施形態によると前記LEDランプにおいて、前記スペーサの環状部材によって前記LED基板の口金側端部が支持されている、としてよい。
【0013】
本実施形態によると前記LEDランプにおいて、前記スペーサの環状部材に係合部材が設けられており、前記LED基板の口金側端部は前記係合部材に係合している、としてよい。
【0014】
本実施形態によると前記LEDランプにおいて、前記スペーサの中心部材と環状部材は、放射状の支持部材によって接続されており、前記冷却ファンのモータは、放射状の支持部材によって支持されており、前記スペーサの支持部材と前記モータの支持部材は整合して配置されている、としてよい。
【0015】
本実施形態によると前記LEDランプにおいて、前記冷却ファンによって生成された冷却用空気は、前記冷却ファンの貫通孔から前記スペーサの貫通孔を経由して、前記ヒートシンクの貫通孔に導かれる、としてよい。
【0016】
本実施形態によると前記LEDランプにおいて、前記冷却ファンと前記ヒートシンクの間に配置されたスペーサと、前記冷却ファン及び前記スペーサを収納する筐体と、を有し、
前記筐体は外部からの冷却用空気を吸入するための空気吸入口を有し、該空気吸入口と前記冷却ファンの間に円形の回路基板が設けられている、としてよい。
【0017】
本実施形態によると前記LEDランプにおいて、前記回路基板は、前記LED素子の温度が上昇した場合に前記LED素子への電流の供給を止めるランプ保護回路と前記冷却ファンに直流電流を供給するファン駆動回路を有する、としてよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電球型のLEDランプにおいて、LEDの発光効率を向上させると同時に、冷却ファンのモータの温度を低下させて、冷却ファンの性能低下を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A図1Aは、本実施形態に係るLEDランプの構成例を説明する斜視図である。
図1B図1Bは、本実施形態に係るLEDランプの構成例を説明する斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係るLEDランプの分解斜視図である。
図3図3は、本実施形態に係るLEDランプのLEDユニット及びスペーサの構造を説明する斜視図である。
図4図4は、本実施形態に係るLEDランプにおける冷却用空気流を説明する説明図である。
図5図5は、本実施形態に係るLEDランプのLEDユニットの構造を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るLEDランプの実施形態に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中、同一の要素に対しては同一の参照符号を付して、重複した説明を省略する。
【0021】
図1A及び図1Bを参照して本実施形態に係るLEDランプの例を説明する。図1Aに示すように、LEDランプ10は、口金13と、口金13に接続された連結部材19と、連結部材19に装着された筐体20と、筐体20に取り付けられた円筒状の透光性のカバー41とを有する。カバー41の内部には、LEDユニット30が配置される。本実施形態に係るLEDランプは所謂電球型である。以下に、口金13を通るランプの中心軸線に沿って、口金13に向かう方向又は口金13に近い方を口金側と称し、その反対をトップ側と称する。
【0022】
筐体20は、口金側の円筒部21とトップ側のファン収納部23とその間の空気取り入れ部24を含む。円筒部21及びファン収納部23は略円筒状外面を有し、ファン収納部23の外径は、円筒部21の外径より大きい。尚、円筒部21及びファン収納部23の円筒状外面は、口金側に向かって外径が僅かに減少するように軸線方向に沿って傾斜してもよい。空気取り入れ部24は冷却用空気を取り入れるための開口を有する。図1Bに示すように、LEDランプ10は、更に、口金13及び連結部材19の一部を覆うリング状の防振部材14を有する。
【0023】
図2を参照して、本実施形態に係るLEDランプ10の内部構造を詳細に説明する。LEDランプは、カバー41、LEDユニット30、スペーサ18、冷却ファン15、円形の回路基板27、筐体20、連結部材19、口金13及び防振部材14を有する。カバー41のトップ側端部には複数の空気排出孔42が形成される。空気排出孔42は、LEDランプの中心軸線を囲むように同心的に配置される。LEDユニット30、スペーサ18及び冷却ファン15の構造については後に説明する。冷却ファン15は、典型的にはモータと、その周囲に設けられた回転羽根を有する軸流ファンであってよい。モータは、直流ブラシレスモータであってよい。
【0024】
筐体20は、口金側の円筒部21、トップ側の空気取り入れ部24、及び、中間のファン収納部23を含む。空気取り入れ部24には複数の空気吸入口242が円周方向に沿って設けられている。回路基板27は、筐体20の空気取り入れ部24に配置されている。回路基板27は、LED素子の温度が上昇した場合にLED素子への電流の供給を止めるランプ保護回路と冷却ファン15に直流電流を供給するファン駆動回路を備える。冷却ファン15は、筐体20のファン収納部23内に配置される。スペーサ18は、筐体20のファン収納部23内に装着される。スペーサ18は樹脂製である。更に、スペーサ18に係合するようにLEDユニット30が装着される。こうして、回路基板27、冷却ファン15、スペーサ18及びLEDユニット30が装着されると、LEDユニット30を覆うようにカバー41が装着される。
【0025】
図3を参照してLEDユニット30とスペーサ18と冷却ファン15の構造の例を説明する。LEDユニット30は、筒状に形成されたLED基板31と、その内面に装着されたヒートシンク32を有する。LED基板31は、LEDランプの中心軸線に平行に且つそれを囲むように配置される。LED基板31は、筒状の配線基板311とその外面に装着された複数のLED素子312を有する。
【0026】
ヒートシンク32は、LED基板31の内面に面接触するように密着して装着される。ヒートシンク32は複数の放熱用のフィン322を有する。フィン322はLEDランプの中心軸線に沿って延びている。フィン322の形状は特に限定されない。ヒートシンク32の内側に、空気流が通るための貫通孔33が形成される。ヒートシンク32は1枚の長方形の薄い金属製の板状部材を順に折り曲げて製造する。ヒートシンク32は、熱伝導性が高い金属、例えば、銅、アルミニウム合金、ステンレス鋼等によって構成される。
【0027】
図示の例では、LED基板31は、断面が正八角形の筒状体に形成される。しかしながら、本実施形態では、LED基板31は、図示の例に限定されるものではなく、断面が正八角形以外の正多角形の筒状体に形成されてよい。LED基板31は、1枚の板状の長方形のLED基板を7つの折り曲げ部319に沿って順に折り曲げて筒状に成形することにより形成される。従って、筒状のLED基板の両縁の間に、隙間31Aが形成される。LED基板31は、7つの折り曲げ部319に沿って細い長孔315を有する。
【0028】
LED基板31とヒートシンク32は、トップ側端部(図3では上側端部)にてクリップ35によって固定される。更に、LED基板31とヒートシンク32は、軸線方向の略中央の位置にてリベット37によって固定される。クリップ35及びリベット37は、正八面体の各面毎に、合計8箇所にて設けられている。
【0029】
スペーサ18は、中心部材181とその周囲の環状部材183とを有する。中心部材181と環状部材183は、放射状の支持部材185によって接続されている。中心部材181と環状部材183の間に環状の貫通孔186が形成されている。中心部材181は、トップ側端面に設けられた円形部材181Aとそれを支持する円筒部材181Bを有する。環状部材183は、環状のトップ側端面183Aと円筒状内面183Bとを有する。トップ側端面183Aに係合部材187が設けられている。
【0030】
スペーサ18の貫通孔186は、口金側からトップ側に向かって断面積が大きくなっている。環状部材183の円筒状内面183Bと中心部材181の円筒部材181Bの少なくとも一方は、軸線方向に沿って傾斜している。図示の例では、環状部材183の円筒状内面183Bの径は、トップ側に向かって増大している。更に、中心部材181の円筒部材181Bの外径を、トップ側に向かって増大させてもよい。
【0031】
冷却ファン15は、中心の円筒状のモータ151とその周囲の円筒状部材153とを有し、両者の間に、環状の貫通孔156が形成されている。貫通孔156に回転羽根が配置されている。モータ151と円筒状部材153は、放射状の支持部材155によって接続されている。
【0032】
冷却ファン15のモータ151とスペーサ18の中心部材181は、対応した形状及び寸法を有し、ランプの中心軸線に沿って整合するように配置される。例えば、冷却ファン15のモータ151とスペーサ18の中心部材181の円形部材181Aは、同一の外径を有するように形成されてよい。更に、冷却ファン15のモータ151とスペーサ18の中心部材181の円筒部材181Bの口金側端面は、同一の外径を有するように形成されてよい。
【0033】
冷却ファン15の支持部材155とスペーサ18の支持部材185は、対応した形状及び寸法を有し、ランプの中心軸線に沿って整合して配置されている。例えば、冷却ファン15が4本の支持部材155を備える場合には、スペーサ18は4本の支持部材185を備える。
【0034】
冷却ファン15の貫通孔156とスペーサ18の貫通孔186は、対応した形状及び寸法を有し、ランプの中心軸線に沿って整合して配置される。例えば、冷却ファン15の貫通孔156のトップ側開口部とスペーサ18の貫通孔186の口金側開口部は、同一形状を有するように形成されてよい。冷却ファン15の貫通孔156とスペーサ18の貫通孔186によって連続した管状の空気流路が形成される。この空気流路は、ヒートシンク32の内側の貫通孔33に接続されている。
【0035】
LEDユニット30は、スペーサ18の環状部材183に装着される。LED基板31の口金側端部(図3では下側端部)は、スペーサ18の環状部材183のトップ側端面183Aに当接し、且つ、係合部材187によって保持される。係合部材187は図示のような爪状であってもよいが他の形状であってもよい。
【0036】
本願の発明者は、スペーサ18の中心部材181の好ましい形状を鋭意検討した。本願の発明者は、管状の中心部材181を備えたスペーサ18と、有底の円筒容器状の中心部材181を備えたスペーサ18を用意し、図2に示したLEDランプに装着し、点灯試験を行った。その結果、管状の中心部材181を備えたスペーサ18を用いる場合より、有底の円筒容器状の中心部材181を備えたスペーサ18を用いる場合のほうが、冷却ファン15のモータ151の冷却に有効であることを見出した。更に、中心部材181において円形部材181Aを円筒部材181Bのトップ側に設けた場合と、口金側に設けた場合を比較した。その結果、円形部材181Aを円筒部材181Bのトップ側に設けたほうが、冷却ファン15のモータ151の冷却に有利であることを見出した。そこで、本実施形態では、中心部材181は、図3に示すように、円形部材181Aと円筒部材181Bを有する有底の円筒容器状に形成した。
【0037】
図4を参照して、本実施形態に係るLEDランプの空冷システムを説明する。図4は、本実施形態に係わるLEDランプの軸線方向に沿った断面構造を示す。カバー41の口金側端部は、筐体20のファン収納部23のトップ側端面に接続されている。カバー41とファン収納部23によって形成される空間内に、LEDユニット30、スペーサ18及び冷却ファン15が配置されている。LEDユニット30、スペーサ18及び冷却ファン15は、ランプの中心軸線に沿って整合して配置されている。ヒートシンク32のフィン322は、ヒートシンク32の口金側端部からトップ側端部まで軸線方向に沿って延びている。
【0038】
本実施形態では、冷却ファン15とヒートシンク32の間にスペーサ18が配置されている。即ち、冷却ファン15とヒートシンク32の間に、スペーサ18を配置するための空間が形成されている。本実施形態では、冷却ファン15とヒートシンク32の間に空間を設け、更に、この空間にスペーサ18を配置することによって、ヒートシンク32からの熱が冷却ファン15のモータ151に伝達されることが阻止される。
【0039】
ヒートシンク32の貫通孔33の内径は、冷却ファン15の貫通孔156の外径より大きい。即ち、ヒートシンク32の貫通孔33の断面と、冷却ファン15の貫通孔156の断面の間に差異がある。スペーサ18は、この差異を緩和する機能を有する。図示のように、スペーサ18の環状部材183の円筒状内面183Bは傾斜しており、その径は、口金側からトップ側に向かって大きくなっている。即ち、スペーサ18の貫通孔186の断面は、口金側からトップ側に向かって大きくなっている。従って、ヒートシンク32の貫通孔33の断面と、冷却ファン15の貫通孔156の断面の間に差異は、スペーサ18の貫通孔186の断面の変化によって緩和されている。本実施形態では、スペーサ18を設けることによって、冷却ファン15によって生成された冷却用空気は、効率的にヒートシンク32の貫通孔33に導くことができる。
【0040】
筐体20の空気取り入れ部24は、円筒部21とファン収納部23を架橋する複数の支持部材241を有する。これらの支持部材241の間に空気吸入口242が形成されている。支持部材241は略三角形状であり、その斜辺の外面を共通に含む仮想の円錐面が形成される。筐体20のファン収納部23は円筒部23Aと底面部23Bを有する。底面部23Bには、空気吸入孔231が形成されている。
【0041】
本実施形態に係るLEDランプの冷却用空気流の経路を説明する。矢印は、冷却用空気流の経路を示す。筐体20の空気取り入れ部24の空気吸入口242、筐体20のファン収納部23の底面部23Bの空気吸入孔231、冷却ファン15の貫通孔156、スペーサ18の貫通孔186、ヒートシンク32の貫通孔33、及び、カバー41の空気排出孔42は、ランプの軸線方向に沿って整合して配置されており、1つの連続した空気流通路を形成する。更に、ヒートシンク32の貫通孔33、LED基板31の長孔315及び隙間31A(図3)、カバー41とLED基板31の間の空間43、及び、カバー41の空気排出孔42は、ランプの軸線の周りに1つの連続した空気流通路を形成する。
【0042】
冷却ファン15を回転させると、先ず、環状の貫通孔156に軸線方向の冷却用空気流が形成される。このとき、筐体20の空気取り入れ部24の空気吸入口242を介して外部空間から比較的温度が低い冷却用空気が取り入れられる。この冷却用空気は、ファン収納部23の底面部23Bの空気吸入孔231を経由して、冷却ファン15の貫通孔156に導かれる。冷却ファン15のモータ151は、外部空間からの比較的温度が低い冷却用空気によって冷却されるから、モータ151の潤滑油の劣化に起因する冷却ファン15の性能低下を回避することができる。
【0043】
筐体20の空気取り入れ部24の空気吸入口242を介して取り入れられた冷却用空気は、回路基板27が配置される空間に流入する。それによって、空気取り入れ部24に配置された回路基板27は効率的に常に放熱される。そのため回路部品等の高温化に起因した劣化及び誤作動を防止することができる。
【0044】
冷却ファン15によって生成された冷却用空気流は、スペーサ18の貫通孔186を経由して、ヒートシンク32の貫通孔33に導かれる。冷却用空気がヒートシンク32に接触すると熱交換が行われる。冷却用空気はヒートシンク32より熱を奪い、その温度が高くなる。この冷却後の比較的温度が高い空気は、貫通孔33を通ってカバー41のトップ側端部に設けられた空気排出孔42より排出される。
【0045】
ヒートシンク32の貫通孔33に導かれた冷却用空気の一部は、LED基板31の長孔315及び隙間31A(図3)を経由して、カバー41とLED基板31の間の空間43に流入し、LED基板31のトップ側端部を超えて空気排出孔42より排出される。従って、カバー41とLED基板31の間の空間43の空気は、常に、新しい冷却用空気によって置換される。空間43に流入した冷却用空気によって、配線基板311及びLED素子312が冷却される。
【0046】
本実施形態によると、冷却用空気が通る空間は、筐体20の空気取り入れ部24の空気吸入口242とカバー41の空気排出孔42とを除いて密閉空間を形成している。従って、外部空間から導入された冷却用空気は全て効率的に、ヒートシンク32の貫通孔33及び空間43内を通過し、ヒートシンク32及びLED基板31の冷却に使用される。従って、ヒートシンク32及びそれに面接触しているLED基板31を効率的に冷却することができる。こうして、ヒートシンク32及びLED基板31が高温化されることが防止される。
【0047】
図5を参照して本実施形態のLEDユニット30におけるヒートシンク32の取付け構造の例を詳細に説明する。上述のように、本実施形態では、LED基板31は、1枚の板状の長方形のLED基板を7つの折り曲げ部319に沿って順に折り曲げて筒状に成形することにより形成される。従って、筒状のLED基板の両縁の間に、隙間31Aが形成される。LED基板31は、7つの折り曲げ部319に沿って細い長孔315を有する。LED基板31の8つの面の中央部には、それぞれ孔313が形成されている。
【0048】
ヒートシンク32の構造を説明する。本実施形態のヒートシンク32は、平坦な装着面を備えた装着部321と、装着部321より垂直に延びる複数の細い板状の放熱用のフィン322とを有し、隣接するフィン322の間に凹部324が形成されている。装着部321の中央付近には孔323が形成されている。ヒートシンク32はLED基板31の8つの面毎に、合計8個、設けられる。ここで、ヒートシンク32は、LED基板31の長孔315を塞がないように配置される。8個のヒートシンクを用いる代わりに、8個のヒートシンク32を一体化した1個の一体型のヒートシンクを用いてもよい。一体型のヒートシンクを用いる場合には、それを7か所にて順に折り曲げて筒状に成形する。一体型のヒートシンクは、7か所の折り曲げ部319に沿って、LED基板31の長孔315と同様な長孔を有してもよい。ヒートシンク32の構造及び製造方法の詳細は後に説明する。
【0049】
LED基板31とヒートシンク32は、トップ側端部(図5では上側端部)にてクリップ35によって固定される。クリップ35は、LED基板31とヒートシンク32の縁を挟んで固定することができれば、どのような構造又は形状であってもよい。クリップ35はLED基板31とヒートシンク32をばね力によって挟んで固定する。ばね力は板ばね又は線ばねによって生成される。クリップ35の詳細は後に説明する。LED基板31とヒートシンク32は、軸線方向の略中央の位置にてリベット37によって固定される。リベット37は、LED基板31の孔313とヒートシンク32の孔323を貫通している。クリップ35及びリベット37は、正八面体の各面毎に、合計8箇所にて設けられている。
【0050】
以上、本実施形態に係るLEDランプについて説明したが、これらは例示であって、本発明の範囲を制限するものではない。当業者が、本実施形態に対して容易になしえる追加・削除・変更・改良等は、本発明の範囲内である。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の記載によって定められる。
【符号の説明】
【0051】
10…LEDランプ、13…口金、14…防振部材、15…冷却ファン、18…スペーサ、19…連結部材、20…筐体、21…円筒部、23…ファン収納部、23A…円筒部、23B…底面部、24…空気取り入れ部、27…回路基板、30…LEDユニット、31…LED基板、31A…隙間、32…ヒートシンク、33…貫通孔、35…クリップ、37…リベット、41…カバー、42…空気排出孔、151…モータ、153…円筒状部材、155…支持部材、156…貫通孔、181…中心部材、181A…円形部材、181B…円筒部材、183…環状部材、183A…トップ側端面、183B…円筒状内面、185…支持部材、186…貫通孔、187…係合部材、231…空気吸入孔、241…支持部材、242…空気吸入口、311…配線基板、312…LED素子、313…孔、315…長孔、317…スリット、319…折り曲げ部、319A…V溝、321…装着部、322…フィン、323…孔、324…凹部、351…背中部、352、353…爪部
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5