(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記研磨体が、研磨粒子比(APp:APagg)を3:1〜1:3の範囲内で備え、APpは研磨体に存在する非凝集研磨粒子の量(体積%)を表し、APaggは、前記研磨体に存在する研磨剤凝集体の量(体積%)を表す、請求項5に記載の研磨物。
前記研磨剤凝集体が、ガラス質バインダーを含み、前記ガラス質バインダーが、前記ガラス質バインダーの全質量に対して少なくとも52質量%であり58質量%より多くない量のシリカ(SiO2)、前記ガラス質バインダーの全質量に対して少なくとも12質量%であり14質量%より多くない量のアルミナ(Al2O3)、前記ガラス質バインダーの全質量に対して少なくとも7.5質量%であり10質量%より多くない量の酸化ナトリウム(Na2O)、及び、前記ガラス質バインダーの全質量に対して少なくとも2質量%であり3質量%より多くない量の酸化リチウム(Li2O)を含む、請求項1に記載の研磨物。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下は、被加工品の研削および成形に適切であり得る接着研磨物に関する説明である。特に、ここでの実施形態の接着研磨物は、接着材料中に研磨粒子を取り入れることができる。ここでの実施形態の接着研磨物の使用に適切な用途としては、例えば、心無し研削、円筒研削、クランク軸研削、各種表面研削操作、ベアリングおよび歯車研削操作、クリープフィード研削、および各種工具室用途を含む研削操作を含む。
【0008】
実施形態によると、実施形態の接着研磨物を形成する方法は、適切な化合物および成分の混合物を形成して、接着材料を形成することによって開始され得る。接着は、酸化物化合物等の無機材料の化合物で形成できる。例えば、一つの適切な酸化物材料は、酸化ケイ素(SiO
2)を含むことができる。実施形態に従い、接着材料は、接着材料の全重量に対して約62重量%以下の酸化ケイ素から形成され得る。別の実施形態では、酸化ケイ素の含有量はさらに少なく、例えば最大約60重量%、最大約59重量%、あるいは、最大約58重量%であってもよい。なお、特定の実施形態では、接着材料は、接着材料の全重量に対して、酸化ケイ素が少なくとも約45重量%、少なくとも約47重量%程度、少なくとも約48重量%、または少なくとも約49重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約52重量%で形成されてもよい。酸化ケイ素の量が、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内とすることができることが理解されよう。
【0009】
また、接着材料は、酸化アルミニウム(Al
2O
3)を一定の含有量で取り入れることができる。例えば、接着材料は、接着材料の全重量に対して少なくとも約9重量%の酸化アルミニウムを含むことができる。別の実施形態では、酸化アルミニウムの量は、少なくとも約10重量%、少なくとも約11重量%または約12重量%であり得る。一定の場合において、接着材料は、接着材料の全重量に対して約20重量%以下、約18重量%以下、約16重量%以下、またはさらに約15重量%以下の量の酸化アルミニウムを含んでもよい。酸化アルミニウムの量は、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内とすることができることが理解されよう。
【0010】
一定の場合において、接着材料は、重量パーセントで測定した酸化ケイ素の量対重量パーセントで測定した酸化アルミニウムの量の特定の比で、形成することができる。例えば、シリカ対アルミナの比は、接着材料中の酸化ケイ素の重量パーセントを酸化アルミニウムの重量パーセントで除することによって記述することができる。実施形態に従い、酸化ケイ素対酸化アルミニウムの比が、約5以下であってもよい。他の場合では、接着材料中の酸化ケイ素対酸化アルミニウムの比が、約4.8以下、約4.6以下、約4.5以下であってもよい。なお、接着材料は、酸化ケイ素の重量パーセント対酸化アルミニウムの重量パーセントの比が少なくとも約1.8、例えば少なくとも約2、例えば少なくとも約2.2、または少なくとも約2.5となるように形成され得る。酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素の合計量は、上で言及したいずれかの最小値と最大値の間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0011】
一実施形態に従い、接着材料は、酸化ホウ素(B
2O
3)の一定の含有量から形成することができる。例えば、接着材料は、接着材料の全重量に対して、酸化ホウ素約20重量%以下を取り入れることができる。他の場合では、酸化ホウ素の量はこれより少なくしてもよく、例えば約19重量%以下、約18重量%以下、約17重量%以下、またはさらに約16重量%以下であってもよい。なお、接着材料は、接着材料の全重量の少なくとも約10重量%、例えば少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、さらに少なくとも約14重量%の、酸化ホウ素から形成され得る。酸化ホウ素の量は、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0012】
一実施形態に従い、接着材料中の酸化ホウ素の重量パーセントおよび酸化ケイ素の重量パーセントの全含有率(すなわち和)が、接着材料の全重量に対して約80重量%以下となり得るように、接着材料を形成してもよい。他の場合では、酸化ケイ素および酸化ホウ素の全含有率が、約78重量%以下、例えば約76重量%以下、またはさらに約74重量%以下としてもよい。一つの特定の実施形態に従い、酸化ケイ素および酸化ホウ素の全重量パーセント含有率は、接着材料の全重量に対して、少なくとも約60重量%、例えば少なくとも約66重量%、少なくとも約68重量%、またはさらに少なくとも約70重量%としてもよい。接着材料中の酸化ケイ素および酸化ホウ素の全重量パーセントは、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0013】
さらに、特定の場合において、重量パーセントで測定した酸化ケイ素の量は、接着材料中の酸化ホウ素の量より大きくなってもよい。特に、酸化ケイ素の量は、酸化ホウ素の量に比べて、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2.0倍、または少なくとも約2.5倍、多くしてもよい。なお、一実施形態では、接着材料は、酸化ホウ素の量の約5倍以下、例えば約4.5倍以下、または、約4倍以下の、酸化ケイ素の量を含むことができる。酸化ホウ素の量と比べた酸化ケイ素の量の差は、上で言及したいずれかの最小値と最大値の間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0014】
実施形態に従って、接着材料は、少なくとも1つのアルカリ酸化物(R
2O)から形成され得、Rは、元素周期表のIA族元素から選択される金属を表す。例えば、接着材料は、酸化リチウム(Li
2O)、酸化ナトリウム(Na
2O)、酸化カリウム(K
2O)および酸化セシウム(Cs
2O)およびこれらの組合せを含む化合物の群からのアルカリ酸化物(R
2O)で形成することができる。
【0015】
一実施形態に従い、接着材料は、その全含有量が接着材料全重量の約20重量%以下のアルカリ酸化物から形成することができる。ここで実施形態に従った他の接着研磨物について、アルカリ酸化物の全含有量が、約19重量%以下、約18重量%以下、約17重量%以下、約16重量%以下、またはさらには約15重量%以下としてもよい。なお、一実施形態では、接着材料中のアルカリ酸化物の全含有量は、少なくとも約5重量%、例えば少なくとも約7重量%、少なくとも約9重量%、少なくとも約11重量%、またはさらに少なくとも約12重量%であってもよい。接着材料は、アルカリ酸化物を、その全含有量が上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内で含むことができることが理解されよう。
【0016】
一つの特定の実施形態に従い、上述のように接着材料は、約4つ以下のアルカリ酸化物(R
2O)から形成することができる。実際、ある種の接着材料は、接着材料中に約3つ以下のアルカリ酸化物を取り入れてもよい。一つの特定の実施形態では、接着材料は、少なくとも2つのアルカリ酸化物から形成することができる。
【0017】
一つの特定の実施形態に従って、酸化ナトリウムの量は、酸化リチウムまたは酸化カリウムの含有量(重量パーセント)より大きくしてもよい。さらに特定の場合では、重量パーセントで測定した酸化ナトリウムの全含有量は、重量パーセントで測定した酸化リチウムと酸化カリウムの含有量の和より多くしてもよい。さらに、一実施形態では、酸化リチウムの量を、酸化カリウムの含有量より多くしてもよい。
【0018】
一実施形態に従い、接着材料を形成するアルカリ酸化物の、重量パーセントで測定した全体量を、接着材料中の酸化ホウ素の量(重量パーセントで測定)より少なくしてもよい。実際、一定の場合では、接着材料中の酸化ホウ素の全重量パーセントに対するアルカリ酸化物の全重量パーセント(R
2O/B
2O
3)は、約0.7〜約1.5の範囲内にあってもよく、例えば約0.7〜約1.3の範囲内にあってもよく、また、約0.7〜約1.1の範囲内にあってもよい。
【0019】
接着材料は、一定量のアルカリ土類化合物(RO)から形成され得、Rは元素周期表のIIA族の元素を表す。例えば、接着材料は、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化バリウム(BaO)または酸化ストロンチウム(SrO)等のアルカリ土類酸化物を取り入れることができる。
【0020】
一実施形態に従い、接着材料は、接着材料の全重量の約3重量%以下のアルカリ土類酸化物で形成してもよい。さらに他の場合、接着材料は、より少ない量のアルカリ土類酸化物から形成されてもよく、例えば約2.8重量%以下、約2.2重量%以下、約2重量%以下、約1.8重量%以下、約1.3重量%以下、または約1重量%以下の範囲であってもよい。なお、一実施形態によると、接着材料は、接着材料の全重量に対して少なくとも約0.2重量%、例えば少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、または少なくとも約0.6重量%の含有率で、一つ以上のアルカリ土類酸化物を含んでもよい。接着材料中のアルカリ土類酸化物の量は、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内としてもよいことが理解されよう。
【0021】
一実施形態に従い、接着材料は、約3つ以下の異なるアルカリ土類酸化物から形成してもよい。実際、接着材料は、2つ以下の異なるアルカリ土類酸化物を含んでもよく、または、約1つ以下のアルカリ土類酸化物を含んでもよい。
【0022】
一実施形態では、接着材料は、酸化マグネシウムの量より多い量の酸化カルシウムを含んでいてもよい。さらに、接着材料中の酸化カルシウムの量は、接着材料中に存在する他のアルカリ土類酸化物のいずれかの含有量よりも多くすることができる。
【0023】
接着材料は、合計含有量が接着材料の全重量に対して約20重量%以下となるよう、アルカリ酸化物(R
2O)およびアルカリ土類酸化物(RO)の組合せから形成してもよい。別の実施形態では、接着材料中のアルカリ酸化物およびアルカリ土類酸化物の合計含有量が、約19重量%以下であってもよく、例えば約18重量%以下、またはさらに約17重量%以下であってもよい。しかしながら、特定の実施形態では、接着材料中に存在するアルカリ酸化物およびアルカリ土類化合物の合計含有量が、少なくとも約7重量%であってもよく、例えば少なくとも約8重量%、例えば少なくとも約10重量%、少なくとも約11重量%、またはさらに少なくとも約12重量%であってもよい。接着材料において、アルカリ酸化物およびアルカリ土類化合物の合計含有量が、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内となるようにできることが理解されよう。
【0024】
一実施形態に従い、接着材料中に存在するアルカリ酸化物の合計含有量は、アルカリ土類酸化物の合計含有量より大きくなるように、接着材料を形成することができる。一つの特定の実施形態において、アルカリ酸化物の合計含有量(重量パーセントにおける)のアルカリ土類酸化物の全重量パーセントに対する比(R
2O:RO)が、約5:1〜約18:1の範囲内となるよう、接着材料を形成してもよい。別の実施形態では、接着材料中に存在するアルカリ酸化物の全重量パーセントのアルカリ土類酸化物の全重量パーセントに対する比は、約6:1〜約17:1の範囲内にあってもよく、例えば約7:1〜約17:1の範囲内、またはさらに約8:1〜約17:1の範囲であってもよい。
【0025】
一実施形態に従い、接着材料は、接着材料の全重量に対して約3重量%以下の酸化リンで形成され得る。他の特定の場合、接着材料は、酸化リンを、接着材料の全重量に対して、約2.5重量%以下含んでもよく、例えば約2重量%以下、約1.5重量%以下、約1重量%以下、約0.8重量%以下、約0.5重量%以下、またはさらに約0.2重量%以下含んでもよい。実際、一定の場合に、接着材料は、実質的に酸化リン不含有であってもよい。酸化リンを適切な含有量で含むことで、ここで説明するように、ある種の特徴および研削性能特性を容易にすることができる。
【0026】
一実施形態に従い、接着材料は、一定の酸化化合物を約1重量%以下含む組成物で形成することができ、例えば、MnO
2、ZrSiO
2、CoAl
2O
4およびMgOなどの酸化化合物を挙げることができる。実際、特定の実施形態では、接着材料は、MnO
2、ZrSiO
2、CoAl
2O
4およびMgOを含むあらゆる酸化化合物を実質的に含まないようにすることができる。
【0027】
混合物中に含まれる接着材料に加えて、接着研磨物を形成するプロセスは、更に、ある種の研磨粒子材料の組込みを行ってもよい。一定の場合に、研磨物を形成するために用いる混合物は、例えば非凝集研磨粒子および研磨剤凝集体の組合せを含む、異なるタイプの研磨粒子材料の組合せを含むことができる。非凝集研磨粒子は、研磨剤凝集体とは異なる別個の粒子材料であってもよい。非凝集研磨粒子は、結晶材料または多結晶材料を決定する個々の研磨粒子であってもよい。研磨剤凝集体は、バインダー中に含まれる、互いに結合し合う研磨粒子の凝集体であってもよい。
【0028】
非凝集研磨粒子は、酸化物、カーバイド、窒化物、ホウ化物およびこれらの組合せを含んでいてもよい。研磨粒子は、超研磨材料であってもよい。非凝集研磨粒子での使用に適した例示的な酸化物材料の一つに、アルミナを挙げることができる。特定の実施形態によると、非凝集研磨粒子は、本質的にアルミナから成っていてもよく、特に、本質的に微晶質アルミナから成っていてもよい。非凝集研磨粒子は、研磨剤凝集体に含まれる研磨粒子と同一の材料を含んでもよい。
【0029】
非凝集研磨粒子は、平均粒径が約1050ミクロン以下であってもよい。別の実施形態では、非凝集研磨粒子の平均粒径は、これより小さくてもよく、例えば800ミクロン以下、約600ミクロン以下、約400ミクロン以下、約250ミクロン以下、約225ミクロン以下、約200ミクロン以下、約175ミクロン以下、約150ミクロン以下、またはさらに約100ミクロン以下の程度であってもよい。なお、非凝集研磨粒子の平均粒径は、少なくとも約1ミクロンであってもよく、例えば少なくとも5ミクロン、少なくとも約10ミクロン、少なくとも約20ミクロン、少なくとも約30ミクロン、またはさらに少なくとも約50ミクロン、少なくとも約60ミクロン、少なくとも約70ミクロン、またはさらに少なくとも約80ミクロンであってもよい。非凝集研磨粒子の平均粒径が、上で言及したいずれかの最小値と最大値の間の範囲であってもよいことが理解されよう。
【0030】
さらに微晶質アルミナを利用する非凝集研磨粒子に関しては、微晶質アルミナは、サブミクロンサイズの平均粒径を有する粒子(すなわちクリスタライト)で形成してもよいことが理解されよう。実際、微晶質アルミナの平均粒径は、約1ミクロン以下であってもよく、例えば約0.5ミクロン以下、約0.2ミクロン以下、約0.1ミクロン以下、またはさらに約0.08ミクロン以下であってもよい。なお、一つの場合では、平均粒径は、少なくとも約0.01ミクロンであり得る。
【0031】
研磨剤凝集体に関しては、非凝集研磨粒子を研磨剤凝集体と組み合わせて、研磨物を形成してもよい。研磨剤凝集体は、バインダーに含まれる研磨粒子を含む。研磨剤凝集体の研磨粒子は、酸化物、カーバイド、窒化物、ホウ化物およびこれらの組合せであってもよい。研磨剤凝集体の研磨粒子は、超研磨材料であってもよい。一つの場合では、研磨剤凝集体の研磨粒子は、アルミナを含んでもよく、本質的にアルミナから成ってもよく、特に、本質的に微晶質アルミナから成ってもよい。
【0032】
特定の一実施形態によると、研磨剤凝集体は、バインダー材料および研磨粒子を含む混合物を形成することにより生成してもよい。バインダー材料によっては、混合物を処理して、研磨剤凝集体を形成することもできる。例えば、酸化物ベースの材料(例えばガラス質材料)等の無機材料を含むバインダー材料について、さらなる混合物の処理には、熱処理を含むことができ、特に、ロータリーキルンにおける処理で研磨剤凝集体を形成することを含んでいてもよい。処理後に、必要に応じて、得られた材料を粉砕して、研磨剤凝集体の特定のサイズおよび形状を実現することができる。
【0033】
例示的かつ非限定的な実施形態では、研磨剤凝集体は、研磨剤凝集体の合計体積に対して約80体積%以下の研磨粒子を含むことができる。他の場合では、研磨剤凝集体を、研磨剤凝集体の合計体積に対して約70体積%以下、約65体積%以下、約60体積%以下、約55体積%以下、またはさらに約50体積%以下の研磨粒子を含むように形成してもよい。なお、特定の場合に、研磨剤凝集体は、研磨粒子を、研磨剤凝集体の合計体積に対して少なくとも約10体積%、例えば少なくとも約20体積%、少なくとも約25体積%、またはさらに少なくとも約30体積%を含むように、形成することができる。研磨剤凝集体中の研磨粒子の含有量を、上で言及したいずれかの最小値と最大値の間の範囲内としてもよいことが理解されよう。
【0034】
さらに、一実施形態では、研磨剤凝集体の研磨粒子の平均粒径は、少なくとも約10ミクロンとすることができる。この実施形態のさらに他の凝集体では、研磨粒子の平均粒径は、少なくとも約20ミクロン、例えば少なくとも約50ミクロンであってもよい。なお、研磨粒子は、約250ミクロン以下、約200ミクロン以下、またはさらに約180ミクロン以下であってもよい。研磨剤凝集体中の研磨粒子の平均粒径は、上で言及したいずれかの最小値と最大値の間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0035】
研磨剤凝集体の研磨粒子は、この実施形態で記載される平均粒径を有することができる微晶質アルミナを含んでいてもよい。
【0036】
研磨剤凝集体は、特定のサイズを有していてもよい。例えば、研磨剤凝集体は、凝集体の最長寸法の基準である平均凝集体サイズが、少なくとも約50ミクロンであってもよく、例えば少なくとも約80ミクロン、少なくとも約100ミクロン、少なくとも約150ミクロン、少なくとも約200ミクロン、少なくとも約250ミクロン、少なくとも約500ミクロン、または少なくとも約600ミクロンであってもよい。なお、特定の一実施形態によると、研磨剤凝集体の平均凝集体サイズは、約2mm以下であってもよく、例えば約1mm以下、またはさらに約0.8mm以下であってもよい。平均凝集体サイズは、上で言及したいずれかの最小値と最大値の間の範囲内とすることができることが理解されよう。
【0037】
ここに述べたように、研磨剤凝集体は、バインダーに含まれる研磨粒子を有していてもよい。一つの非限定的な実施形態によると、バインダーは、無機材料、有機材料およびこれらの組合せであってもよい。例示的な幾つかのバインダーは、ビトリファイド材料、有機材料、結晶性材料およびこれらの組合せを含む。ある特定の場合では、バインダーは、この実施形態による研磨物の成形を容易にする特定の組成を有する酸化物ベースのビトリファイド材料であってもよい。
【0038】
一実施形態によると、バインダーは、酸化ケイ素(SiO
2)で形成してもよく、特に、バインダーの全重量の約62重量%以下の酸化ケイ素を含んでもよい。別の実施形態では、バインダーは、酸化ケイ素約60重量%以下の含有量で形成され得、約59重量%以下、またはさらに約58重量%以下であってもよい。なお、特定の実施形態では、バインダーは、酸化ケイ素がバインダーの全重量に対して少なくとも約45重量%で形成されてもよく、例えば少なくとも約50重量%、またはさらに少なくとも約52重量%であってもよい。酸化ケイ素の量は、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0039】
バインダーは、また、酸化アルミニウム(Al
2O
3)の一定の含有量を取り入れることができ、バインダーの全重量に対して例えば少なくとも約9重量%、少なくとも約10重量%、またはさらに約12重量%であってもよい。一定の場合、バインダーは、約20重量%以下の量の酸化アルミニウムを含んでもよく、約16重量%以下、またはさらに約14重量%以下の酸化アルミニウムを含んでもよい。酸化アルミニウムの量は、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0040】
一定の場合、バインダーは、重量パーセントで測定した酸化ケイ素の量対重量パーセントで測定した酸化アルミニウムの量の特定の比で形成してもよい。例えば、シリカ対アルミナの比は、接着材料中の酸化ケイ素の重量パーセントを酸化アルミニウムの重量パーセントで除することによって記述することができる。一実施形態に従い、酸化ケイ素対酸化アルミニウムの比が、5以下であってもよく、または4.5以下であってもよい。なお、バインダーは、酸化ケイ素の重量パーセント対酸化アルミニウムの重量パーセントの比が少なくとも約1.8、例えば少なくとも約2.2、または少なくとも約2.5となるように形成することができる。酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素の全体量は、上で言及したいずれかの最小値と最大値の間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0041】
一実施形態に従い、バインダーは、一定の含有量の酸化ホウ素(B
2O
3)で形成してもよい。例えば、バインダーは、バインダーの全重量に対して約20重量%以下の酸化ホウ素で形成してもよく、例えば約18重量%以下であってもよい。なお、バインダーは、バインダーの全重量に対して少なくとも約10重量%、またはさらに少なくとも約12重量%の酸化ホウ素で形成してもよい。酸化ホウ素の量は、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0042】
一実施形態に従い、接着材料中の酸化ホウ素の重量パーセントおよび酸化ケイ素の重量パーセントの合計含有量(すなわち和)が、バインダーの全重量に対して約80重量%以下とできるよう、バインダーを形成することができる。他の場合では、酸化ケイ素および酸化ホウ素の合計含有量が、約78重量%以下としてもよく、例えば約76重量%以下であってもよい。特定の一実施形態に従い、酸化ケイ素および酸化ホウ素の重量パーセント含有量の合計が、バインダーの全重量に対して少なくとも約55重量%であってもよく、例えば少なくとも約58重量%、またはさらに少なくとも約62重量%であってもよい。バインダー中の酸化ケイ素および酸化ホウ素の重量パーセントの合計が、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0043】
さらに、特定の場合、重量パーセントで測定した酸化ケイ素の量を、バインダー中の酸化ホウ素の量より多くしてもよい。特に、酸化ケイ素の量は、酸化ホウ素の量の少なくとも約1.5倍多くすることができ、少なくとも約1.7倍多く、少なくとも約1.8倍多く、またはさらに少なくとも約2.5倍多くすることができる。なお、一実施形態では、バインダーに含むことができる酸化ケイ素の量は、酸化ホウ素の量の約5倍未満であってもよく、例えば約4.5倍以下、またはさらに約4倍以下であってもよい。酸化ケイ素の量の酸化ホウ素の量との差は、上で言及したいずれかの最小値と最大値の間の範囲内としてもよいことが理解されよう。
【0044】
一実施形態に従い、バインダーは、少なくとも1つのアルカリ酸化物(R
2O)で形成してもよく、Rは、元素周期表のIA族元素から選択される金属を表す。例えば、バインダーは、酸化リチウム(Li
2O)、酸化ナトリウム(Na
2O)、酸化カリウム(K
2O)および酸化セシウム(Cs
2O)およびこれらの組合せを含む化合物の群からのアルカリ酸化物(R
2O)で形成することができる。
【0045】
一実施形態に従い、バインダーは、その全含有量がバインダー全重量の約20重量%以下のアルカリ酸化物から形成してもよい。この実施形態による他の凝集体について、アルカリ酸化物の全含有量が、約19重量%以下、約18重量%以下、約17重量%以下、約16重量%以下、または約15重量%以下としてもよい。なお、一実施形態では、凝集体のバインダー中におけるアルカリ酸化物の合計含有量は、少なくとも約5重量%であってもよく、例えば少なくとも約7重量%、またはさらに少なくとも約9重量%であってもよい。バインダーが含むアルカリ酸化物の合計含有量を、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内とすることができることが理解されよう。
【0046】
特定の一実施形態に従い、バインダーは約4つ以下の上記アルカリ酸化物(R
2O)で形成してもよい。実際、ある種のバインダーは、約3つ以下のアルカリ酸化物を用いてもよく、例えば2つのアルカリ酸化物を用いてもよい。
【0047】
一つの特定の実施形態に従って、凝集体のバインダーに存在する酸化ナトリウムの量は、酸化リチウムまたは酸化カリウムの含有量(重量パーセント)より多くしてもよい。さらに特定の場合では、重量パーセントで測定した酸化ナトリウムの全含有量は、重量パーセントで測定した酸化リチウムと酸化カリウムの含有量の和より多くしてもよい。さらに、一実施形態では、酸化リチウムの量を、酸化カリウムの含有量より多くしてもよい。
【0048】
一実施形態に従い、バインダーを形成するアルカリ酸化物の、重量パーセントで測定した全体量を、バインダー中の酸化ホウ素の量(重量パーセントで測定)より少なくしてもよい。実際、一定の場合では、バインダー中の酸化ホウ素の全重量パーセントに対するアルカリ酸化物の全重量パーセント(R
2O/B
2O
3)は、約0.7〜約1.5の範囲内にあってもよく、例えば約0.7〜約1.3の範囲内にあってもよく、また、約0.7〜約1.1の範囲内にあってもよい。
【0049】
研磨剤凝集体のバインダーは、一定量のアルカリ土類化合物(RO)から形成され得、Rは元素周期表のIIA族の元素を表す。例えば、バインダーは、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化バリウム(BaO)または酸化ストロンチウム(SrO)等のアルカリ土類酸化物を取り入れることができる。
【0050】
一実施形態に従い、バインダーは、バインダーの全重量の約3重量%以下のアルカリ土類酸化物で形成してもよい。さらに他の場合、バインダーは、より少ない量のアルカリ土類酸化物から形成されてもよく、例えば約2.8重量%以下、約2.2重量%以下、約2重量%以下、約1.8重量%以下、約1.3重量%以下、または約1重量%以下の程度であってもよい。なお、実施形態によると、バインダーは、一つ以上のアルカリ土類酸化物を、合計含有量がバインダーの全重量に対して少なくとも約0.2重量%、またはさらに少なくとも約0.6重量%で含んでいてもよい。バインダー中のアルカリ土類酸化物の量を、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内とすることができることが、理解されよう。
【0051】
一実施形態に従い、研磨剤凝集体のバインダーは、約3つ以下の異なるアルカリ土類酸化物で形成してもよく、例えば2つ以下の異なるアルカリ土類酸化物、またはさらに1つ以下のアルカリ土類酸化物で形成していてもよい。
【0052】
一実施形態では、バインダーは、酸化マグネシウムの量より多い量の酸化カルシウムを含むことができる。さらに、接着材料中の酸化カルシウムの量を、バインダー中に存在する他のアルカリ土類酸化物のいずれかの含有量より多くしてもよい。
【0053】
バインダーは、アルカリ酸化物(R
2O)およびアルカリ土類酸化物(RO)の組合せにより、それらの合計含有量がバインダーの全重量に対して約20重量%以下となるよう、形成してもよい。別の実施形態では、バインダー中のアルカリ酸化物およびアルカリ土類酸化物の合計含有量を、約19重量%以下としてもよく、例えば約18重量%以下、またはさらに約17重量%以下としてもよい。しかしながら、特定の実施形態では、接着材料中に存在するアルカリ酸化物およびアルカリ土類化合物の合計含有量は、少なくとも約7重量%であってもよく、例えば少なくとも約8重量%、例えば少なくとも約9重量%、またはさらに少なくとも約10重量%であってもよい。接着材料が含んでいるアルカリ酸化物およびアルカリ土類化合物の合計含有量が、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内としてもよいことが理解されよう。
【0054】
一実施形態に従い、接着材料中に存在するアルカリ酸化物の合計含有量が、アルカリ土類酸化物の合計含有量より多くなるよう、研磨剤凝集体のバインダーを形成することができる。一つの特定の実施形態において、アルカリ酸化物の合計含有量(重量パーセントにおける)のアルカリ土類酸化物の全重量パーセントに対する比(R
2O:RO)が、約5:1〜約25:1の範囲内となるよう、バインダーを形成してもよい。別の実施形態では、バインダー中に存在するアルカリ酸化物の全重量パーセントのアルカリ土類酸化物の全重量パーセントに対する比は、約6:1〜約23:1の範囲内にあってもよく、例えば約7:1〜約22:1の範囲内、またはさらに約8:1〜約20:1の範囲であってもよい。
【0055】
一実施形態に従い、バインダーは、バインダーの全重量に対して約3重量%以下の酸化リンから形成され得る。他の特定の場合、バインダーは、酸化リンを、バインダーの全重量に対して、約2.5重量%以下含んでもよく、例えば約2重量%以下、約1.5重量%以下、約1重量%以下、約0.8重量%以下、約0.5重量%以下、またはさらに約0.2重量%以下含んでもよい。実際、一定の場合に、バインダーは、実質的に酸化リン不含有であってもよい。酸化リンを適切な含有量で含むことで、ここで説明するように、ある種の特徴および研削性能特性を容易にすることができる。
【0056】
研磨剤凝集体は、特定の量のバインダーを含むことにより、この実施形態による接着研磨体の成形を容易にすることができる。例えば、バインダーの量は、研磨剤凝集体の全体積に対して、約20体積%以下であってもよい。さらに他の場合、バインダーの量は、約18体積%以下、約15体積%以下、約12体積%以下、約10体積%以下、約8体積%以下、約5体積%以下、約4体積%以下、またはさらに約3体積%以下であってもよい。なお、一つの特定の実施形態によれば、研磨剤凝集体は、バインダーを、研磨剤凝集体の全体積に対して少なくとも約0.5体積%、少なくとも約0.8体積%、少なくとも約1体積%、またはさらに少なくとも約1.3体積%含むように形成され得る。研磨剤凝集体中のバインダーの量を、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内とすることができる事が理解されよう。
【0057】
研磨剤凝集体は、特定量の多孔性を含むことにより、この実施形態による接着研磨体の成形を容易にすることができる。例えば、研磨剤凝集体中の多孔性の量は、研磨剤凝集体の全体積に対して、少なくとも約15体積%としてもよい。別の実施形態では、多孔率は、少なくとも約18体積%、少なくとも約20体積%、少なくとも約25体積%、少なくとも約30体積%、少なくとも約40体積%、少なくとも約45体積%、少なくとも約50体積%、少なくとも約55体積%、またはさらに少なくとも約57体積%としてもよい。なお、特定の実施形態によると、研磨剤凝集体の多孔率は、研磨剤凝集体の全体積に対して、約85体積%以下、約80体積%以下、約75体積%以下、またはさらに約70体積%以下であってもよい。
【0058】
研磨剤凝集体は、特定の形状を有するように形成されてもよい。例えば、ある種の研磨剤凝集体は、長さ(すなわち最も長い寸法)対、幅(長さに垂直に測定される最も短い寸法)の指標であるアスペクト比が、約3:1以下となるようにすることができる。他の場合では、研磨剤凝集体のアスペクト比は、約2:1以下、約1.7:1以下、約1.5:1以下、またはさらに約1.3:1以下とすることができる。特定の一実施形態では、研磨物は、略等軸粒子である研磨剤凝集体を含む。
【0059】
さらに、接着研磨体は、例えば酸化物をはじめとする、例えば一つ以上の無機材料を含む添加剤を有する混合物で形成されてもよく、特に、ジルコニア、シリカ、チタニアおよびこれらの組合せの結晶または非晶相を含んでもよい。
【0060】
一定の場合、添加剤は、一つ以上の増孔剤を含んでもよい。適切な増孔剤は、有機材料、天然材料、ポリマー材料、無機材料およびこれらの組合せを含んでいてもよい。一実施形態によると、研磨体は、一つ以上の増孔剤で形成してもよく、増孔剤には例えば、発泡アルミナ、発泡ムライト、空洞ガラス球、中空セラミック球、中空ポリマー球、ポリマー、有機化合物、繊維状物質、ナフタレン、パラジクロロベンゼン(PDB)、殻、木材、およびこれらの組合せが含まれる。さらに特定の場合、接着研磨体は、少なくとも約2つの異なる増孔剤の組合せで形成してもよく、研磨体は、発泡材料および有機ベースの増孔剤の組合せで形成される。有機ベースの増孔剤は、クルミ殻であってもよい。
【0061】
特定の実施形態では、接着研磨体は、混合物の全重量に対して少なくとも約1重量%の量の増孔剤で形成してもよい。他の場合では、接着研磨体を形成するための混合物を作る増孔剤の含有量は、少なくとも約2重量%としてもよく、例えば少なくとも約3重量%、少なくとも約4重量%、またはさらに少なくとも約5重量%としてもよい。なお、接着研磨体を形成するために用いられる増孔剤の全含有量は、混合物の全重量に対して約15重量%以下、約12重量%以下、約10重量%以下、約9重量%以下とすることができる。上記の量は、接着研磨体を形成するために用いられる混合物中の発泡アルミナの量を表してもよいことが理解されよう。接着研磨体を形成する増孔剤の混合物中の全含有量は、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内であってもよいことが、更に理解されよう。
【0062】
混合物が適切に形成された後、混合物は賦形され得る。適切な賦形プロセスは、注型、成型、プレス、押出しおよびこれらの組合せを含むことができる。特定の場合では、賦形は、プレス操作および/または成型操作およびこれらの組合せを含む。例えば、一実施形態では、型内に混合物をコールドプレスすることにより、混合物を賦形して素地を形成することができる。
【0063】
素地を適切に形成した後、素地を特定の温度で焼成して、適切な接着材料を有する研磨物の形成を促進することができる。特に、ガラス相接着材料を利用する実施形態について、焼成操作は、約1000℃未満の焼成温度で行われてもよい。特定の実施形態では、焼成温度は、約980℃未満であってもよく、例えば約950℃未満、特に約800℃〜950℃の範囲であってもよい。過度に高い温度を回避して、成形過程の間における研磨粒子の分解を制限するよう、特に低い焼成温度が上記の接着成分で利用されてもよいことが理解されよう。
【0064】
特定の一実施形態によると、接着研磨体は、ガラス相材料を有する接着材料を含む。特定の場合に、接着材料は、単一相のガラス質材料であってもよい。
【0065】
最終的に形成された接着研磨体は、性能向上を促進し得る特定含有量の接着材料、研磨粒子、および多孔率を有することができる。例えば、接着研磨物の本体の多孔率は、接着研磨体の全体積に対して少なくとも約42体積%であってもよい。別の実施形態では、多孔率は、もっと大きくてもよく、例えば接着研磨体の全体積に対して少なくとも約43体積%であってもよく、例えば少なくとも約44体積%、少なくとも約45体積%、少なくとも約46体積%、少なくとも約48体積%、少なくとも約50体積%、またはさらに少なくとも約52体積%であってもよい。一実施形態に従い、接着研磨体の多孔率は、接着研磨体の全体積に対して約70体積%以下、例えば約65体積%以下、約63体積%以下、約60体積%以下、約58体積%以下であってもよい。接着研磨体の多孔率は、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内であり得ることが理解されよう。
【0066】
さらに、特定の場合、接着研磨体は、相互接続多孔性である多孔性の一部分を有していてもよく、この相互接続多孔性は、本体を貫通して接着研磨体の外面に抜ける小管の相互接続ネットワークとして定義される。一実施形態によると、多孔性の全体積の少なくとも約5%は、相互接続多孔性である。他の場合では、相互接続多孔性の含有率をより多くすることもでき、例えば全多孔性の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、またはさらに少なくとも約50%とすることができる。なお、特定の実施形態では、相互接続多孔性の量を多孔性の全体積の約95%以下、例えば約90%以下、あるいは約85%以下としてもよい。接着研磨体における相互接続多孔性の含有率を、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内としてもよいことが理解されよう。
【0067】
一実施形態では、接着研磨体は、多孔性および研磨粒子の含有率と比較して、少ない含有率(体積%)で接着材料を含むことができる。例えば、接着研磨体は、接着研磨体の全体積に対して約15体積%以下の割合で接着材料を有することができる。他の場合では、接着材料を、接着研磨体の全体積に対して約12体積%以下、約10体積%以下、またはさらに約9体積%以下、約8体積%以下、約7体積%以下、またはさらに約6.5体積%以下含むように、接着研磨体を形成することができる。一つの特定の場合、接着研磨体は、接着研磨体の全体積に対して少なくとも約1体積%の接着材料を有していてもよく、例えば少なくとも約2体積%、少なくとも約3体積%程度、またはさらに少なくとも約4体積%であってもよい。接着研磨体における接着材料の含有量は、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0068】
接着研磨体は、性能向上を促進し得る特定含有量の研磨粒子材料を含むことができる。研磨粒子材料は、非凝集研磨粒子、研磨剤凝集体および副研磨材料および充填剤を含むことができる。
【0069】
一実施形態に従い、接着研磨体が有する研磨粒子材料の全含有量は、接着研磨体の全体積に対して少なくとも約35体積%であってもよい。他の場合、研磨粒子材料の全含有量をさらに多くしてもよく、例えば少なくとも約37体積%、少なくとも約39体積%、少なくとも約40体積%、少なくとも約42体積%、またはさらに少なくとも約44体積%としてもよい。特定の別の実施形態に従えば、接着研磨体の全体積に対して研磨粒子材料が約55体積%以下となるよう、接着研磨体を形成することができ、これは約54体積%以下、約52体積%以下、約50体積%以下、約48体積%以下、またはさらに約46体積%以下であってもよい。接着研磨体中の研磨粒子材料の含有量を、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内とすることができることが理解されよう。
【0070】
一つの特定の場合、研磨剤凝集体の含有量(体積%)を、非凝集研磨粒子の含有量(体積%)よりも多くすることができる。例えば、研磨体は、研磨剤凝集体で完全に形成され、また、非凝集研磨粒子を含まないようにしてもよい。あるいは、研磨剤凝集体の量(体積%)を、非凝集研磨粒子の含有量(体積%)より少なくすることもできる。なお、特定の別の実施形態では、研磨剤凝集体の量(体積%)を、非凝集研磨粒子の含有量(体積%)と略等しく(5%内に)することができる。
【0071】
例示的な接着研磨体では、研磨剤凝集体および非凝集研磨粒子の量を、3:1〜約1:3の範囲内の研磨粒子比(AP
p:AP
agg)によって表すことができ、AP
pは研磨体に存在する研磨粒子の量(体積%)を表し、AP
aggは、研磨体に存在する研磨剤凝集体の量(体積%)を表す。他の場合では、研磨粒子比(AP
p:AP
agg)は、約2.8:1〜約1:2.8の範囲内、例えば約2.6:1〜約1:2.6の範囲内、約2.4:1〜約1:2.4の範囲内、約2.2:1〜約1:2.2の範囲内、約2:1〜1:2の範囲内、約1.8:1〜約1:1.8の範囲内、約1.6:1〜約1:1.6の範囲内、またはさらに約1.4:1〜約1:1.4の範囲内としてもよい。
【0072】
特定の実施形態によると、研磨体における研磨剤凝集体の含有量は、研磨体の全体積に対して少なくとも約10体積%としてもよい。なお、研磨剤凝集体の含有量は、これより多くてもよく、例えば研磨体の全体積に対して少なくとも約15体積%、少なくとも約20体積%、少なくとも約25体積%、少なくとも約30体積%、またはさらに少なくとも約32体積%であってもよい。しかしながら、一つの特定の場合では、研磨剤凝集体は、約80体積%以下の量で存在することができ、例えば約70体積%以下、約65体積%以下、約60体積%以下、約55体積%以下、約50体積%以下、約45体積%以下、または、約42体積%以下で存在していてもよい。接着研磨体中の研磨剤凝集体の含有量を、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内とすることができることが理解されよう。
【0073】
一実施形態では、研磨体は、研磨体の全体積に対して少なくとも約10体積%の含有量で、非凝集研磨粒子を有することができる。なお、非凝集研磨粒子の含有量をこれより多くしてもよく、例えば研磨体の全体積に対して少なくとも約15体積%、少なくとも約20体積%、少なくとも約25体積%、少なくとも約30体積%、またはさらに少なくとも約32体積%としてもよい。しかしながら、一つの特定の場合では、非凝集研磨粒子は、約80体積%以下の量で存在していてもよく、例えば約70体積%以下、約65体積%以下、約60体積%以下、約55体積%以下、約50体積%以下、約45体積%以下、または、約42体積%以下で存在していてもよい。接着研磨体中の非凝集研磨粒子の含有量が、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内にあってもよいことが理解されよう。
【0074】
接着研磨体の成分相(例えば研磨粒子材料、多孔性、接着剤、充填剤、その他)の全含有量が、合計100%となり、かつ、これを超えないことが、合理的に理解されるだろう。
【0075】
一般に、従来からの接着研磨物の相含有量は制限され、典型的には、最大多孔性が約40体積%〜51体積%の範囲内であり、研磨粒子含有量が約42体積%〜50体積%であり、接着剤含有量が約10〜20体積%である。従来の接着研磨物の最大多孔性含有量は、典型的には、50体積%以下であり、これは、研磨用途では、高速研削の間に遭遇する過多な力を扱うために十分な強度を有する接着研磨体が必要となり、多孔性の高い接着研磨体は、かつては、前記力に耐えることができなかったからである。
【0076】
高速研削用途は典型的には、60m/秒以上の作業速度で行われると考えられる。ここで用いられる超高速材料除去(UHMRR)研削操作とは、被加工品への損傷(例えば焼け)の形跡なしに、少なくとも約1.6in
3/分/in[17.3mm
3/秒/mm]の材料除去速度で行われる研削操作である。UHMRR研削操作において用いられる他の研削パラメータは、この開示に基づき明白である。
【0077】
この実施形態の接着研磨体は、従来の高速接着研磨物とは異なる特定の特徴を有することができる。特に、この接着研磨物は、とりわけUHMRR研削操作の分野で、性能向上を促進する相の特定の組合せを有していてもよい。
【0078】
ここでの接着研磨体の研磨能力については、例えば心無し研削、円筒研削、クランク軸研削、各種表面研削操作、ベアリングおよび歯車研削操作、クリープフィード研削および各種工具室研削過程等の、研削操作に関連していてもよい。さらに、研削操作に適切な被加工品は、無機または有機材料を含むことができる。特定の場合に、被加工品は、金属、金属合金、プラスチックまたは天然材料を含むことができる。一実施形態では、被加工品は、鉄金属、非鉄金属、金属合金、金属超合金およびこれらの組合せを含むことができる。別の実施形態では、被加工品は、例えばポリマー材料等をはじめとする有機材料を含むことができる。さらに他の場合では、被加工品は、例えば木材等をはじめとする天然材料であってもよい。
【0079】
特定の場合に、接着研磨体は、超高速材料除去速度での被加工品研削が出来ることが注目された。例えば、一実施形態では、接着研磨体は、少なくとも約1.60in
3/分/in[17.3mm
3/秒/mm]の材料除去速度で研削操作を行うことができ、例えば1.7in
3/分/in[18.4mm
3/秒/mm]、少なくとも約1.8in
3/分/in[19.4mm
3/秒/mm]、少なくとも約1.9in
3/分/in[20.5mm
3/秒/mm]、またはさらに少なくとも2.0in
3/分/in[21.6mm
3/秒/mm]で行うことができる。なお、一定の接着研磨体についての材料除去速度は、超高速材料除去速度(UHMRR)研削操作中、約5.0in
3/分/in[54mm
3/秒/mm]以下、例えば約4.5in
3/分/in[48.6mm
3/秒/mm]以下としてもよい。本出願の接着研磨体は、上で言及したいずれかの最小値と最大値の間の範囲内の材料除去速度で被加工品を研削することができることが理解されよう。
【0080】
接着研磨体は、超高速材料除去速度でかつ摩耗を抑制して、被加工品研削を行うことができることが注目された。例えば、一実施形態では、接着研磨体は、約90%以下の相対摩耗率を有していてもよく、ここで相対摩耗率は、一実施形態によるUHMRR研削操作を行った後の、ホイール半径の変化として計算される。別の実施形態では、接着研磨体の相対摩耗率を減らすことができ、UHMRR研削操作の間、例えば約85%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、または約40%以下としてもよい。なお、一つの特定の場合、この接着研磨体の相対摩耗率は、UHMRR研削操作の間少なくとも約5%、またはさらに少なくとも約10%としてもよい。本出願の接着研磨体は、上で言及したいずれかの最小パーセンテージと最大パーセンテージの間の範囲内の摩耗率を有していてもよいことが理解されよう。
【0081】
さらに、接着研磨体は、超高速材料除去速度で、かつ比研削エネルギーで、被加工品を研削することができる。例えば、一実施形態では、接着研磨体は、比研削エネルギーを有することができ、これは、材料除去速度対電力の曲線の勾配として測定され、超高速材料除去速度(UHMRR)での研削操作中は、約11Hp/in
3分(30J/mm
3)以下である。さらに他の場合、この実施形態の接着研磨物の比研削エネルギーは、超高速材料除去速度(UHMRR)での研削操作中に、約10.9Hp/in
3分(29.4J/mm
3)以下、約10.8Hp/in
3分(29.1J/mm
3)以下、またはさらに約10.7Hp/in
3分(28.8J/mm
3)以下であってもよい。なお、一実施形態によると、比研削エネルギーは、超高速材料除去速度(UHMRR)での研削操作中は、少なくとも約5Hp/in
3分(13.5J/mm
3)、またはさらに少なくとも約7Hp/in
3分(18.9J/mm
3)であってもよい。本出願の接着研磨体の比研削エネルギーは、UHMRR研削操作中において、上で言及したいずれかの最小値と最大値の間の範囲内としてもよいことが、理解されよう。
【0082】
さらに、接着研磨体は、効率の向上した超高速材料除去速度研削操作を行うように構成することができる。例えば、一実施形態では、接着研磨体は、比閾値電力を有することができ、これは、材料除去速度0のときに利用される電力の指標(または外挿)であり、電力対材料除去速度のプロットの曲線の勾配に基づき取得される。一実施形態によると、比閾値電力は、約1.2HP/in以下であってもよく、例えば約1.1HP/in以下、約1.0HP/in以下、またはさらに約0.9Hp/in以下であってもよい。なお、一実施形態によると、比閾値電力は、少なくとも約0.1HP/inであってもよく、またはさらに約0.3HP/in以下であってもよい。本出願の接着研磨体の比閾値電力は、上で言及したいずれかの最小値と最大値の間の範囲であることが理解されよう。
【0083】
一定の研削操作の間、本出願の接着研磨体は、特定の平均切削寸法(DOC)でのUHMRR研削操作を行うことができることが注目されている。例えば、接着研磨体によって実現される切削寸法は、少なくとも約0.003インチ(0.0762mm)であってもよい。他の場合では、接着研磨体は、高速研削操作中に、少なくとも約0.007インチ(0.117mm)の切削寸法を実現することででき、例えば少なくとも約0.01インチ(0.254mm)、またはさらに少なくとも約0.015インチ(0.381mm)の切削寸法を実現することでできる。なお、この接着研磨体を利用したある一定のUHMRR研削操作についての平均切削寸法は、約0.05インチ(1.27mm)以下であってもよく、あるいは約0.03インチ(0.762mm)であってもよい。平均切削寸法は、上で言及したいずれかの最小値と最大値の間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0084】
別の実施形態では、UHMRR研削操作の間、約10Hp(7.5kW)を超えない最大出力で、接着研磨体は、被加工品を研削することができることが注目されている。別の実施形態では、高速研削操作の間の最大出力は、約9Hp(6.8kW)以下であってもよく例えば約8Hp(6.0kW)以下、またはさらに約7.5Hp(5.6kW)以下であってもよい。
【0085】
本実施形態の接着研磨体は、55m/秒以下の速度で、UHMRR研削操作に用いることができる。他の場合では、UHMRR研削操作の間の接着研磨体の操作速度をもっと高くしてもよく、例えば約50m/秒以下、約45m/秒以下、または約40m/秒以下であってもよい。一定の場合、接着研磨体は、UHMRR研削操作において、少なくとも約5m/秒の速度で被加工品を研削することができ、例えば少なくとも約10m/秒、少なくとも約20m/秒、またはさらに少なくとも約30m/秒であってもよい。ここでの実施形態の接着研磨体は、上で言及したいずれかの最小値と最大値の間の範囲内の速度で被加工品に対しUHMRR研削操作を行うことができることが理解されよう。
【0086】
ここでの実施形態の接着研磨体は、あるG比で、UHMRR研削操作を行うよう構成することができるものであり、このG比は、被加工品から除去された材料を被加工品から失われた材料の体積で除した尺度であり、少なくとも約0.1、例えば少なくとも約0.13、少なくとも約0.16、またはさらに少なくとも約0.2である。
【0087】
ここでの接着研磨体の研削能力については、例えば心無し研削、円筒研削、クランク軸研削、各種表面研削操作、ベアリングおよび歯車研削操作、クリープフィード研削および各種工具室研削過程等の、研削操作に関連しているものであり得る。さらに、研削操作のための適切な被加工品は、無機または有機材料を含んでいてもよい。特定の場合、被加工品は、金属、金属合金、プラスチックまたは天然材料を含むことができる。一実施形態では、被加工品は、鉄金属、非鉄金属、金属合金、金属超合金およびこれらの組合せを含んでいてもよい。別の実施形態では、被加工品は、例えばポリマー材料をはじめとする有機材料を含むことができる。さらに他の場合には、被加工品は、例えば木材をはじめとする天然材料であってもよい。
【0088】
多種多様な非凝集研磨粒子を、本実施形態で利用してもよいことは言うまでもない。例えば、接着研磨体は、カーバイド、酸化物、窒化物、ホウ化物、オキシカーバイド、酸窒化物およびこれらの組合せをはじめとする研磨材料を含む非凝集研磨粒子を含んでいてもよい。一つの特定の場合、接着研磨体は、炭化ケイ素を含む非凝集研磨粒子を含んでいてもよい。非凝集研磨粒子は、超研磨材料、例えば立方窒化ホウ素またはダイヤモンド等であってもよい。
【0089】
別の実施形態によると、非凝集研磨粒子は、賦形された研磨粒子であってもよい。賦形された研磨粒子は、端部および側部の、明確かつ規則的な(すなわちランダムではない)構成を有することができるので、識別可能な形状を画定する。例えば、賦形研磨粒子は、長さ、幅および高さから2つ選んだ寸法で画定された平面で見られる多角形の形状を有してもよい。例示的な多角形の形状としては、三角形、四辺形(例えば長方形、正方形、台形、平行四辺形)、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形等を挙げることができる。さらに、賦形研磨粒子は、例えばプリズム形状等の多面体形状で画定される三次元形状を有していてもよい。更に、賦形研磨粒子は、曲がった端部および/または表面を有することで、賦形研磨粒子が、凸状、凹状、楕円体状の形状を有することができる。
【0090】
賦形研磨粒子は、例えば、1、2、3等、A、B、C等、あらゆる英数字の形をとることもできる。さらに、賦形研磨粒子は、ギリシャ語アルファベット、現代ラテン語アルファベット、古代ラテン語アルファベット、ロシア語アルファベット、その他のアルファベット(例えば漢字)、およびこれらの任意の組合せから選択される文字の形をとってもよい。
【0091】
賦形研磨粒子は、長さ(l)、高さ(h)および幅(w)を画定する本体を有していてもよく、長さは高さ以上であってもよく、高さは幅以上であってもよい。さらに、特定の態様では、研磨体は、長さ:高さの比で画定する主アスペクト比を含んでもよく、これは少なくとも約1:1であり得る。また、研磨体は、少なくとも約50%の垂直方向確率を含んでもよい。別の態様では、賦形研磨粒子は、長さ(l)、高さ(h)および幅(w)を有する本体を有していてもよく、長さ、幅および高さは順に、縦軸、横軸および垂直軸にそれぞれ対応し得、また、縦軸、横軸および垂直軸は、垂直に交わる3つの平面を画定することができる。この態様において、研磨体は、直交する3つの平面のいずれかに関して、非対称形状寸法を含んでもよい。
【0092】
また別の態様では、賦形研磨粒子は、縦軸、横軸および垂直軸によって画定された直交する3つの平面内に3倍の対称性を含む複合三次元の形状寸法を有する本体を含んでもよい。さらに、本体は、縦軸、横軸または垂直軸のうちの一つに沿って、本体の全体の内部を貫通する開口を有していてもよい。
【0093】
さらに別の態様において、賦形研磨粒子は、長さ(l)、幅(w)および高さ(h)によって画定される複合三次元の形状寸法を有する本体を含んでもよい。また、本体は、質量中心および幾何学的中点を含んでもよい。質量中心は、高さを画定する本体の垂直軸に沿って少なくとも約0.05(h)の距離(Dh)だけ、幾何学的中点から離れてもよい。
【0094】
別の態様では、賦形研磨粒子は、長さ(l)、幅(w)および高さ(h)を画定する本体を含んでもよい。本体は、基底面および上側面を含んでもよい。さらに、基底面は、上側面の断面形状とは異なる断面形状を備える。
【0095】
さらに別の態様では、賦形研磨粒子は、ほぼ平坦な底面と、およびほぼ平坦な底面から延在するドーム型上面とを有する本体を含んでもよい。
【0096】
別の態様では、賦形研磨粒子は、長さ(l)、幅(w)および高さ(h)を備える本体を含んでもよい。長さ、幅および高さは順に、縦軸、横軸および垂直軸にそれぞれ対応し得る。さらに、本体は、本体の長さを画定する縦軸に沿って捻りを含むことにより、基底面が上側面に対して回転してねじり角を与えるようにすることができる。
【0097】
また別の態様では、賦形研磨粒子は、第1の端面および第2の端面、第1の端面と第2の端面の間に延在する少なくとも3つの隣接側面、および隣接側面の各対の間に形成された端部構造とを有する本体を含み得る。
【0098】
別の態様では、賦形研磨粒子は、中心部および中心部の全長に沿って中心部から外に向かって延在する少なくとも3つの径方向アームを有する本体を含んでもよい。
【実施例】
【0099】
実施例1
接着研磨本体の4つのサンプルを得る。サンプルS1は、ここでの実施形態に従って形成され、多孔性は約52体積%〜約58体積%、研磨粒子材料含有量は34体積%〜40体積%の範囲内とし、そのうち、研磨剤凝集体の含有量が34体積%〜40体積%、微晶質アルミナの非凝集研磨粒子の含有量が約0体積%〜約5体積%とする。研磨剤凝集体は、およそ70体積%〜90体積%のアルミナの研磨粒子と、1体積%〜4体積%のバインダーを含み、残りは多孔体である。研磨剤凝集体のガラス質バインダー組成を、下の表1に示す。サンプルS1の接着研磨体は、約3体積%〜8体積%の含有量でガラス質の接着材料を有する。接着材料の組成を、下の表2に示す。サンプルS1はさらに、約4体積%〜6体積%の範囲内の含有量で発泡アルミナを含んでいる。
【0100】
サンプルS1は、混合物から形成されるが、この混合物を最初にコールドプレスして、ホイールを形成し、約900℃〜1250℃の温度で焼成する。ガラス質の接着材料を有している。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
2つの慣用的サンプルCS1およびCS2は、Saint−Gobain Abrasives,Inc.より得られ、Vortex Bonded Abrasive Wheelsとして市販されている[それぞれ構造D28,D29]。サンプルCS1およびCS2は、サンプルS1と同一の構成を有し、多孔性が約52体積%〜約58体積%、研磨剤凝集体を34体積%〜40体積%の含有量、およびガラス質接着剤を約3体積%〜8体積%の含有量で含んでいる。研磨剤凝集体は、研磨粒子としてアルミナを約70体積%〜90体積%、バインダーを1体積%〜4体積%含み、残りは多孔性である。研磨剤凝集体のガラス質バインダー組成を、下記の表3に示す。接着材料の組成を、下記の表4に示す。サンプルCS1およびCS2は、発泡アルミナ材料も非凝集研磨粒子も有していない。
【0104】
【表3】
【0105】
【表4】
【0106】
サンプルの各々を、以下のパラメータによるUHMRRクリープフィード研削テストで用いる。テーブル速度を、100、300、500、700、900、1200、1600、2000、2400、2800、3200および3600mm/分の間で変更した。平均切削寸法は、0.5mmであり、固定した切削寸法について、テーブル速度を漸次増加させた。形成されるスロットの幅は、10mmに固定した。材料除去速度を、Inconelの被加工品に対し0.83〜30mm
3/秒/mmの間で変化させた。ホイール速度は、約35m/秒であった。また、エマルション3%の冷却剤(Oel−Held)を用いた。
【0107】
研磨本体のドレッシングは、次の条件によって行われた。
ドレッシング条件:
タイプ:ロータリードレッサー
ロール規格:Norton RPC 1312−2 #11
ドレッシングセットアップ:非連続ドレッシング
径(インチ):3.5
ドレッシング圧(μin/pass):20.0
ドレッサー速度比:0.8。
【0108】
図1は、平均電力(kW)対材料除去速度(mm
3/秒/mm)のプロットを含む。図示されるように、サンプル(S1、CS1およびCS2)の各々のために引き出される電力は、相対的に同じである。
【0109】
図2は、G比(除去材料の体積/ホイール摩耗の体積)対材料除去速度(mm
3/秒/mm)のプロットである。とりわけ、高い材料除去速度、特に20mm
3/秒/mmを超える速度では、サンプルS1は、従来のサンプルと比較して向上したG比を示す。実際、例えば約23mm
3/秒/mmの材料除去速度では、サンプルCS1およびCS2のG比は、約0.1であり、一方、サンプルS1のG比は、約0.28である。サンプルS1と、従来のサンプルCS1およびCS2との間のG比におけるパーセンテージ差は、100%差を超えている。サンプルS1のG比は、従来のサンプル(CS1およびCS2)に比べて少なくとも2倍良くなり、高い材料除去速度では、ほぼ3倍より良くなっている。
【0110】
図3は、径方向ホイール摩耗(Δrs、単位mm)対、材料除去速度(mm
3/秒/mm)のプロットである。とりわけ、高い材料除去速度、特に20mm
3/秒/mmを超える速度では、サンプルS1は、最新型のホイールCS1およびCS2と比較して著しく制限されたホイール摩耗を示す。とりわけ、図示されるように、約23mm
3/秒/mmの材料除去速度では、サンプルCS1およびCS2は、サンプルS1の摩耗のほぼ3倍の摩耗を示している。約27mm
3/秒/mmの材料除去速度では、サンプルCS1およびCS2は、サンプルS1の摩耗のほぼ3倍の摩耗を示している。そして、約30mm
3/秒/mmの材料除去速度では、サンプルCS1およびCS2の摩耗率は、サンプルS1の摩耗ほぼ3倍であった。サンプルS1は、従来のサンプル(CS1およびCS2)と比較して、超高速材料除去速度で摩耗制限されていたことを示している。
【0111】
図4は、端部半径(mm)対、材料除去速度(mm
3/秒/mm)のプロットである。端部半径は研削ホイールの端部の丸みの尺度であり、光学コンパレータを介して計測される。とりわけ、高い材料除去速度、特に20mm
3/秒/mmを超える速度では、サンプルS1は、ホイールCS1およびCS2と比較して予想外に低い隅部丸み(小さな端部半径)を示す。とりわけ、
図4に示されるように、約23mm
3/秒/mmの材料除去速度では、サンプルCS1およびCS2の端部半径は、サンプルS1の半径のほぼ2倍である。さらに、約27mm
3/秒/mmおよび30mm
3/秒/mmといったさらに高い材料除去速度では、サンプルCS1およびCS2の隅部のスムージングは劇的に向上し、サンプルS1の隅部の丸みは制限され、全ての場合でサンプルCS1およびCS2の測定半径の半分未満である。サンプルS1は、超高速材料除去速度で、従来のサンプル(CS1およびCS2)と比較して向上した隅部の保持を示す。
【0112】
図5および6は、従来のサンプルを代表するサンプルCS1またはCS2と、サンプルS1が代表する本実施形態によるサンプルとの間での形状の喪失を例示する。明示されるように、先例と同様の条件に従ったUHMRR研削処置を行った後においては、ここでの実施形態(S1)を代表するサンプルは、摩耗が限られている(
図6参照)。しかしながら、
図5に示される従来のサンプルは、大きく掘り開かれ、形状の顕著な喪失を示す。
【0113】
図7は、サンプルS1、CS1およびCS2についての実際の材料除去速度、対、理論上の材料除去速度のプロットを含む。図示されるように、サンプルS1が示す実際の材料除去速度は、従来のサンプルCS1およびCS2の実際の材料除去速度能力よりも遙かに高い。
【0114】
図8は、サンプルの各々の表面粗さ(Ra)対材料除去速度のプロットを含む。図示されるように、サンプルS1が被加工品を適切な表面粗さに研削する能力は、従来のサンプルCS1およびCS2に対して等しいかまたはより良いことを示した。
【0115】
実施例2
ここでの実施形態の接着研磨物の高い材料除去速度研削能力を、従来の研削用接着研磨物と比較するため、更なる比較研削試験が行われた。
【0116】
接着研磨体のサンプルを5つ得る。サンプルS3、S4およびS5は、ここでの実施形態に従って形成され、上記の実施例1のサンプルS1の構造を有している。
【0117】
2つの従来のサンプルCS3およびCS4が、Saint−Gobain Abrasives,Inc.から得られる。サンプルCS3は、Vortex Bonded Abrasive Wheelとして市販され、実施例1のサンプルCS1と同じである。
【0118】
サンプルCS4は、Quantum Creepfeed Productとして市販され、多孔性が約40体積%〜約50体積%、微晶質アルミナ研磨粒子の含有量が約3体積%〜15体積%、ガラス質接着剤の含有量が4体積%〜7体積%の構成を有する。接着材料の組成を、下記の表5に示す。サンプルCS4は、発泡アルミナ材料を1〜5体積%で含み、研磨剤凝集体は含まない。
【0119】
【表5】
【0120】
上記の実施例1で詳述されるように、サンプルの各々を同様のUHMRR研削試験条件に従って試験する。
【0121】
図9は、被加工品が焼成を示す前の、サンプルの各々についての最大材料除去速度(in
3/分/in)を示す図である。図示されるように、CS4およびCS3は、被加工品を傷つける前に著しく低い最大材料除去速度を示す。実際、サンプルS3は、サンプルCS3に対し最大材料除去速度の10%の改善を示し、サンプルCS4と比較して最大材料除去速度で20%を超える改善を示している。さらに、サンプルS4は、サンプルCS3に対し最大材料除去速度のほぼ20%の改善を示し、サンプルCS4と比較して最大材料除去速度で35%を超える改善を示している。サンプルS5は、サンプルCS3に対し最大材料除去速度の30%を超える改善を示し、サンプルCS4と比較して最大材料除去速度で40%を超える改善を示している。サンプルS3〜S5は、従来のサンプル(CS3およびCS4)と比較して超高速材料除去速度で操作の向上を示す。
【0122】
図10は、サンプルの各々についての平均単位電力(Hp/in)、対、材料除去速度(in
3/分/in)のプロットを含む。明示されるように、サンプルS3、S4およびS5は、サンプルCS3およびCS4と比較して、材料除去速度の各々において引き出される電力は低い。さらに、サンプルS3〜S5は、それぞれのプロット線の勾配の尺度である比研削エネルギーについて、サンプルCS3およびCS4と比較して低い。さらに、再び立証されるように、サンプルS3〜S5は、CS3およびCS4と比較して、研削操作を止める前に、より高い材料除去速度で研削できた。
【0123】
【0124】
前述の各実施形態は、研磨製品、特に接着研磨製品に関するものであり、それは、最新の技術水準から新たに発展させたものである。ここでの各実施形態の接着研磨製品は、向上する研削性能を促進する特徴の組合せを利用するものである。本出願において述べたように、ここでの実施形態の接着研磨体は、非限定的な特徴の組合せを利用しており、それには、研磨剤凝集体および非凝集研磨剤を含む、特定の量およびタイプの研磨粒子材料、特定の量およびタイプの接着材料、特定タイプのバインダー材料、一定の材料および特徴を有している特定タイプの凝集体、一定の孔形成体、および特定の量の多孔性が含まれる。この製品のグレードおよび構造に関して従来の研磨製品の既知の分野の外にあるにもかかわらず、上記製品を効果的に形成することができたという発見に加えて、ここに示す製品は、研削性能を向上させていることが発見された。とりわけ、本実施形態の接着研磨剤によれば、超高速材料除去速度で効率的な研削操作を行うことができることが発見された。実際、非常に驚くべきことに、ここでの実施形態の接着研磨体は、超高速材料除去速度での研削能力を示す一方、最新型の高速研削ホイールと比較して、摩耗性が改善し、研削エネルギーが向上し、適切な表面仕上げを得ることができた。
【0125】
前述において、特定の実施形態への言及および一定の成分の結びつきは例示的なものである。結合または関連付けされている成分への言及は、前記各成分間への直接的な関連付け、またはここに検討される方法を遂行するために予想される一つ以上の介在成分を介した間接的な関連付けのいずれかを開示することを意図するものであることは言うまでもない。このように、上記の開示された内容は、例示的かつ非限定的であると考えられ、添付の請求項は、本発明の真の範囲内に入る全ての変更、改良、および他の実施形態を包含するものと意図される。したがって、法が許す最大程度に、本発明の範囲は、以下の請求項およびそれらの同等物の最も広い解釈により決定されるべきであり、前記に詳述された説明によって限定ないし制限されるものではない。
【0126】
要約書は、特許法に対応するために提供されるものであり、請求項の範囲または意味を解釈または制限することに用いてはならないという理解で提出するものである。更に、前述の発明の詳細な説明においては、開示を合理化する目的で、各種特徴は、纏められてもよく、あるいは一つの実施形態で述べてもよい。請求項に関連する実施形態が各請求項において文言記載したよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして、この開示を解釈してはならない。むしろ、以下の請求項の反映として、発明の構成要件が、実施形態で開示するもののいずれかの全て特徴よりも少なくなるようにしてもよい。したがって、以下の請求項は発明の詳細な説明に包含されるものであり、各請求項はそれ自体で独立であり、請求項の構成要件を別個に定義しているものである。