特許第5943254号(P5943254)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943254
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】壁面の切削粉受け具
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20160621BHJP
   B65F 1/14 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   B23Q11/00 K
   B65F1/14 A
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-264972(P2012-264972)
(22)【出願日】2012年12月4日
(65)【公開番号】特開2014-108499(P2014-108499A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】397016448
【氏名又は名称】ジェフコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072213
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】島 啓介
【審査官】 五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−082333(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3165262(JP,U)
【文献】 英国特許出願公開第02495794(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00
B65F 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削粉を受ける袋体(A)の開口部を取り付けると共に、略水平方向に突出する袋取付アーム(1)の後部上方向に、上辺部(2a)を壁面(W)に当接可能とした当接面体(2)を設け、この当接面体(2)の下方向に、前記袋体(A)内へ入り込む垂れ体(3)を連設したことを特徴とする壁面の切削粉受け具。
【請求項2】
前記袋取付アーム(1)に袋体(A)の開口部を着脱自在に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の壁面の切削粉受け具。
【請求項3】
前記袋取付アーム(1)に袋体(A)の開口部を着脱自在に取り付けるためのクリップ体(5)を備えたことを特徴とする請求項2記載の壁面の切削粉受け具。
【請求項4】
前記当接面体(2)の上辺部(2a)を粘着テープ(T)によって壁面(W)に当接可能としたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の壁面の切削粉受け具。
【請求項5】
前記当接面体(2)の上辺部(2a)を押しピンによって壁面(W)に当接可能としたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の壁面の切削粉受け具。
【請求項6】
前記当接面体(2)は、前記袋取付アーム(1)の後部を差し込むための挿入空間(S)が形成され、この挿入空間(S)に差し込まれた袋取付アーム(1)が、前記挿入空間(S)に対向するようにして取り付けられた結合部材(4)どうしの結合により、前記挿入空間(S)内で袋取付アーム(1)の移動が制限され、この挿入空間(S)から抜けないようにしたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の壁面の切削粉受け具。
【請求項7】
前記結合部材(4)を面接着ファスナーとしたことを特徴とする請求項6記載の壁面の切削粉受け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建材ボードなどからなる壁面に孔開け作業を行う場合などに、その孔開け作業によって発生する切削粉の受け具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、石膏ボードのような建材ボードなどからなる壁面に、コンセントボックスの取付孔などの孔開け作業を行う場合には、手動の引き回し鋸、電動ドリルや電動鋸などの孔開け工具を用いているが、その孔開け作業によって切削粉が発生し、その切削粉が床面に落下するので、床面を瞬くままに粉だらけにして汚してしまう。
【0003】
そのため、壁面への孔開け作業の前に、作業シート、養生シートなどの建築用シートを床面に敷いて、そのシートの上に、孔開け作業によって発生した切削粉を落下させ、その切削粉を回収していた。
【0004】
また、集塵袋を備えた電動工具等を用いて壁面への孔開け作業を行い、その電動工具等の集塵袋に、孔開け作業によって発生した切削粉を回収していた。このような電動工具等としては、例えば次に示すような電動ドリルや電動丸鋸が存在する。
【0005】
前記電動ドリルとしては、例えば図6に示したように、ドリル本体11の先端に突出させたビット12を包囲するようにした蛇腹状の集塵ブーツ13を設け、前記ビット12の元側の端部にファン14を結合固定し、このファン14を収容するケーシング15の前端部15aを前記集塵ブーツ13の元側の端部に連結させ、前記ケーシング15の後端下部15bに集塵袋16の開口部16aを、着脱自在に連結させたものとしている(特許文献1)。
【0006】
このようにした電動ドリルは、ビット12と連動してファン14が回転するので、集塵ブーツ13内のエアは集塵袋16側に吸引され、孔開け作業によって発生した切削粉は集塵ブーツ13から、集塵袋16に送られ、この集塵袋16に集塵されるとしている。
【0007】
前記電動丸鋸としては、例えば図7に示したように、回転刃21と、この回転刃21により切断されて排出された粉塵を誘導するケーシング22の壁22aと、粉塵をケーシング22の外部に排出する粉塵排出口22bと、粉塵排出口22bに装着した集塵袋23とからなり、集塵袋23は、粉塵侵入口23aに集塵袋23の中央付近あるいは奥まで達する長さを有するホース24を嵌着したものとしている(特許文献2)。
【0008】
このようにした電動丸鋸は、集塵袋23を立てて配設すれば、ホース24の開口部24aの位置まで粉塵が溜まるまで、粉塵侵入口23aに向かって粉塵が落ち込むことがなく粉塵を集塵袋23に集塵することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開平1−138711号公報
【特許文献2】特開2000−326292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の建築用シートを床面に敷いて切削粉を回収するに場合には、その床面に敷く建築用シートは、大きすぎると折り畳むなどして適当な大きさにしなければならず、小さすぎると落下した切削粉が床面に飛び散ってしまって役に立たなくなることがあり、取り扱い易く、適当な大きさのものを選択しなければならず、しかも床面への設置作業が面倒であるという課題を有していた。
【0011】
さらに、上記従来の建築用シートを床面に敷いて切削粉を回収するに場合には、壁面に設ける孔の位置が低いときは切削粉が建築用シートの上に落下するまでにそれほど散らばってしまうことはないが、壁面に設ける孔の位置が高いときは切削粉が建築用シートの上に落下するまでに散らばってしまい、散らばった切削粉を集めて回収するのが大変であるという課題を有していた。
【0012】
また、集塵袋を備えた電動工具等を用いて壁面への孔開け作業を行った場合には、孔開け作業によって発生した切削粉は散らばることなく、備え付けの集塵袋に回収されるが、その集塵袋が切削粉で一杯になると、電動工具等から外して別の廃棄用の袋など入れ変え、空になった集塵袋を再び電動工具等に装着しなければならないため、非常に面倒であるという課題を有していた。
【0013】
さらに、集塵袋を備えた電動工具等を用いて壁面への孔開け作業を行った場合には、孔開け作業によって発生した切削粉が集塵袋に回収されるにしたがい、徐々に重量が増して行くので、その電動工具等が取り扱い難くなり、孔開け作業に支障をきたすことがあるという課題を有していた。
【0014】
そこで、この発明は、上記従来の問題点を解決することをその課題としており、設置作業が簡単で素早く行うことができ、孔開け作業によって発生した切削粉が床面に散らばることなく完全に受けることができ、また集塵袋を備えた電動工具等を用いなくてもよくなり、しかも構造が簡単で安価に製造できる壁面の切削粉受け具を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明の壁面の切削粉受け具は、切削粉を受ける袋体Aの開口部を取り付けると共に、略水平方向に突出する袋取付アーム1の後部上方向に、上辺部2aを壁面Wに当接可能とした当接面体2を設け、この当接面体2の下方向に、前記袋体A内へ入り込む垂れ体3を連設したものとしている。
【0016】
この発明の壁面の切削粉受け具は、前記袋取付アーム1に袋体Aの開口部を着脱自在に取り付けたものとしている。
【0017】
この発明の壁面の切削粉受け具は、前記袋取付アーム1に袋体Aの開口部を着脱自在に取り付けるためのクリップ体5を備えたものとしている。
【0018】
この発明の壁面の切削粉受け具は、前記当接面体2の上辺部2aを粘着テープTによって壁面Wに当接可能としている。
【0019】
この発明の壁面の切削粉受け具は、前記当接面体2の上辺部2aを押しピンによって壁面Wに当接可能としている。
【0020】
さらに、この発明の壁面の切削粉受け具において、前記当接面体2は、前記袋取付アーム1の後部を差し込むための挿入空間Sが形成され、この挿入空間Sに差し込まれた袋取付アーム1が、前記挿入空間Sに対向するようにして取り付けられた結合部材4どうしの結合により、前記挿入空間S内で袋取付アーム1の移動が制限され、この挿入空間Sから抜けないようにしている。
【0021】
そして、この発明の壁面の切削粉受け具では、前記結合部材4を面接着ファスナーとしている。
【発明の効果】
【0022】
この発明の壁面の切削粉受け具は、以上に述べたように構成されており、その設置作業が簡単で素早く行うことができ、孔開け作業によって発生した切削粉が床面に散らばることなく完全に受けることができ、また集塵袋を備えた電動工具等を用いなくてもよくなるので、面倒な集塵袋の装着作業をする必要もなく、工具が取り扱い難くなって孔開け作業に支障をきたすことがないものとなり、しかも構造が簡単であるので、安価に製造することができ、嵩も低くなって取り扱い易いものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の壁面の切削粉受け具の一実施形態を示す斜視図である。
図2】この発明の壁面の切削粉受け具の他実施形態を示す斜視図である。
図3図1に示すこの発明の壁面の切削粉受け具を、孔開け作業を行う壁に設置した状態を示す斜視図である。
図4図1に示すこの発明の壁面の切削粉受け具を、孔開け作業を行う壁に設置した状態を示す断面図である。
図5】この発明の壁面の切削粉受け具の使用状態を示す説明図である。
図6】集塵袋を備えた従来の電動ドリルの要部断面図である。
図7】集塵袋を備えた従来の電動丸鋸の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の壁面の切削粉受け具を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1〜3に示したように、この発明の壁面の切削粉受け具は、袋体Aの開口部を取り付けると共に、略水平方向に突出する袋取付アーム1の後部上方向に、上辺部2aを壁面Wに当接可能とした当接面体2を設け、この当接面体2の下方向に、前記袋体A内へ入り込む垂れ体3を連設したものとしている。
【0026】
前記袋体Aは、壁面Wの孔開け作業によって発生した切削粉を受けて回収できるようなものであればどのようなものでもよいが、開口部を前記袋取付アーム1に着脱自在に取り付けるようにし、切削粉を回収した後に使い捨てにできるものにするのが好ましい。前記袋体Aの材質としては、ポリエチレンやポリ塩化ビニルなどの合成樹脂製であるのが強度性や柔軟性に優れているので好ましいが、合成樹脂製に限らず紙製や布製などであってもよい。前記袋体Aは、あらかじめ備え付けられているが、コンビニやスーパーの使い古しのレジ袋などを利用することもできる。
【0027】
前記袋取付アーム1は、金属や合成樹脂の棒、パイプ、細長板などからなり、平行に配した二本の突体としたり、平面略コ字状枠体としたり、平面略U字状枠体としたり、平面略四角状枠体などとすることができ、この袋取付アーム1の後部上方向には前記当接面体2を設けたものとしている。なお、前記袋取付アーム1は、図1に示したように、平面略四角枠状にしたものの後部を上方向に折り曲げて側面略L字状にしたものとしたり、図2に示したように、平面略コ字状枠体にしたものの後部を上方向に折り曲げて側面略L字状にしたものとして、この折り曲げた部分を後に述べるように当接面体2に差し込んで抜けないようにすることにより、この袋取付アーム1の後部上方向に当接面体2を設けたものとしている。
【0028】
前記当接面体2は、厚手の生地や合成樹脂製シート、合成樹脂板、金属板、木板などからなり、前記袋取付アーム1の後部を差し込むための挿入空間Sが形成されている。この挿入空間Sに差し込まれた袋取付アーム1は、前記挿入空間Sに対向するようにして取り付けられた結合部材4どうしの結合により、挿入空間S内で袋取付アーム1の移動が制限され、この挿入空間Sから抜けないようにしている。なお、前記結合部材4は、図示したものでは面接着ファスナーとしたが、ホック、ボタン、マグネットなどとすることができる。
【0029】
前記垂れ体3は、厚手の生地や合成樹脂製シート、合成樹脂板、金属板、木板などからなり、前記当接面体2と一体として又は別体として連設したものとしており、前記袋取付アーム1の横幅より少し短い横幅としており、前記袋体A内へ入り込むようにしている。
【0030】
そして、この発明の壁面の切削粉受け具は、前記袋取付アーム1に袋体Aの開口部を着脱自在に取り付けるためのクリップ体5を備えたものとしている。このクリップ体5は、図示したものでは、当接面体2に紐6によって繋がれたものとしているが、このような紐6を用いることなく、袋取付アーム1に直接、挟んでおくこともできる。なお、前記クリップ体5は、最初から備えたものとしなくてもよい。この場合は、事務用のクリップや洗濯ばさみなどを用いて、前記袋取付アーム1に、袋体Aの開口部を取り付ければよい。
【0031】
さらに、この発明の壁面の切削粉受け具は、図3、4に示したように、前記当接面体2の上辺部2aを養生テープ、工事用ビニールテープ、布テープなどの粘着テープTによって壁面Wに当接可能としている。この粘着テープTは、壁面Wへの孔開け作業の終了後は、当接面体2の上辺部2a及び壁面Wから剥がして廃棄する。この場合、粘着テープTは、建材ボードの切削粉を受けた袋体A内に入れて廃棄したり、その袋体Aの開口部の周囲に巻き付けて開口部を塞ぎ、建材ボードの切削粉がその開口部から漏れないようにして、袋体Aと一纏めにして廃棄することができる。なお、前記当接面体2の上辺部2aを壁面Wに当接させるには、前記粘着テープTの他に、押しピン(図示せず)などを用いることもできる。
【0032】
以上のように構成したこの発明の壁面の切削粉受け具は、以下のようにして使用される。
【0033】
先ず、袋体Aの開口部を開いて、この開口部を袋取付アーム1にクリップ体5により取り付ける。
【0034】
次に、図3、4に示したように、コンセントボックス孔の取付孔などの孔を開けたい個所の真下の壁面Wに、当接面体2の上辺部2aを粘着テープTによって接着する。
【0035】
そして、図5に示したように手動の引き回し鋸Hを用いたり、図示していないが電動ドリルや電動鋸などの孔開け工具を用いて孔開け作業を行えば、その孔開け作業によって発生した建材ボードの切削粉は袋体A内に落下することになる。
【0036】
壁面Wへの孔開け作業の終了後は、粘着テープTを剥がし、さらにクリップ体5を外すことにより、袋取付アーム1から袋体Aを外して、この袋体Aごと建材ボードの切削粉を廃棄する。この場合、粘着テープTは、建材ボードの切削粉を受けた袋体A内に入れて廃棄したり、その袋体Aの開口部の周囲に巻き付けて開口部を塞ぎ、建材ボードの切削粉が開口部から漏れないようにして、袋体Aと一纏めにして廃棄することができる。
【0037】
以上に述べたように、この発明の壁面の切削粉受け具は、当接面体2の上辺部2aを粘着テープTによって壁面Wに接着するだけで、その設置作業が簡単で素早く行うことができるものとなる。
【0038】
さらに、この発明の壁面の切削粉受け具は、孔開け作業によって発生した建材ボードの切削粉は袋体A内に落下することになるので、切削粉が床面に散らばることなく完全に受けることができるものとなる。
【0039】
また、この発明の壁面の切削粉受け具は、集塵袋を備えた電動工具等を用いなくてもよくなり、面倒な集塵袋の装着作業をする必要もなく、工具が取り扱い難くなって孔開け作業に支障をきたすことがないものとなる。
【0040】
しかも、この発明の壁面の切削粉受け具は、構造が簡単となり安価に製造することができ、嵩も低くなって取り扱い易いものとなる。
【符号の説明】
【0041】
1 袋取付アーム
2 当接面体
2a 上辺部
3 垂れ体
4 結合部材
5 クリップ体
A 袋体
S 挿入空間
T 粘着テープ
W 壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7