(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5943266
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】被介護人用自力多目的移乗車
(51)【国際特許分類】
A61G 5/00 20060101AFI20160621BHJP
A61G 5/08 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
A61G5/00 504
A61G5/02 503
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-160707(P2015-160707)
(22)【出願日】2015年7月31日
【審査請求日】2015年9月29日
(31)【優先権主張番号】特願2015-79589(P2015-79589)
(32)【優先日】2015年3月24日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593040900
【氏名又は名称】河崎 務
(72)【発明者】
【氏名】河崎 務
【審査官】
今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3196042(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3195788(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3117468(JP,U)
【文献】
特開2003−038576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 5/00
A61G 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足腰の不自由な被介護人を自力でベットやトイレや食堂,浴室,車いす等に移動出来る軽量動作で軽量コンパクトで省スペース的で安全にまとめられた被介護人用自力多目的移乗車であって、該移乗車は、キャスタを有する左右のベースフレームと、左右の該ベースフレームを補強すべくその略中間位置に介設され全体としてH型のベース体を形成するためのクロスフレームと、該クロスフレームと併設されるベース板の左右端に基端部を連結し前記ベースフレームに基端部側を枢支されて立ち上るガイド柱体と、該ガイド柱体に摺動自在に案内されて立ち上る摺動柱体と、左右の該摺動柱体の頂部に介設される頂部クロスフレームと、該頂部クロスフレームと前記ベース板との間に介設され前記摺動柱体を上下動させるための上下動機構部と、前記摺動柱体と移動可能に固定される突出ピンを有する上部支持材及び下部支持材と、該上部支持材及び下部支持材の前記突出ピンにその基端部を挿脱され前記基端部側から伸延する上部フレームと下部フレームとこの伸延端に両端を固定するクロス材とからなる座接用サイドフレームと、該座接用サイドフレームの前記下部フレームにその基端側を挿脱回動可能に連結され中央側に向かって下り傾斜して伸延して片持ち支持される座接用クッション板とからなり、前記クロスフレームと前記ベース板との下面側には手動で水平位置から立上り位置(正確には後部にやや傾斜した位置)まで前記座接用サイドフレームや座接用クッション板を取り外して回動する前記ガイド柱体等(ガイド柱と摺動柱体と上下動機構部)を前記立上り位置において安定固定保持すべく配設される回動安定保持機構部が設けられ、該回動安定保持機構部は手動により前記ガイド柱等を安定固定保持すると共にその保持を開放する機構部を形成するものからなる事を特徴とする被介護人用自力多目的移乗車。
【請求項2】
前記回動安定保持機構部は、下面に1つの突起部を有すると共に左右側に突出ピンを有する移動レバー体と、前記突起部の係着する第1の溝と第2の溝とを上面に形成する前記クロスフレームの下面側に配設され前記移動レバー体を摺動自在に保持するガイド板と、前記クロスフレームの下面側に配設されその略中間部を枢支されその先端部を前記突出ピンに当接可能な位置に配置され前記枢支用の枢支ピンから前記ベースフレーム側に伸びる形状からなる細長回動レバー体と、立上り状態にある前記ガイド柱体の下部にスプリングの力により押圧されるローラとこれを枢着すると共にその中間部を前記ベースフレームに枢支されるローラ保持プレートと、該ローラ保持プレートと前記細長回動レバー体の先端側との間に介設され前記細長回動レバー体による接触押圧力により前記ローラ保持プレートを回動して前記ローラの前記ガイド柱体等への押圧を解除するためのロッド部材とからなり、前記移動レバー体を持ち上げて移動させてその前記突出ピンを前記第1の溝から開放して前記第2の溝に係着させ前記細長回動レバー体を回動させて前記ロード部材を移動させて前記ローラ保持プレートを回動し、前記ローラによる前記ガイド柱体等への押圧を解除すべく作用する構造のものからなることを特徴とする請求項1に記載の被介護人用自力多目的移乗車。
【請求項3】
前記座接用クッション板は、前記座接用サイドフレームの前記下部フレームに装着される前方側のコーナー及び中央に向かって伸延する部分の後部側のコーナーに切り欠き部を形成するものからなることを特徴とする請求項1に記載の被介護人用自力多目的移乗車。
【請求項4】
前記左右の座接用クッション板はロック機構により着脱可能に連結されるものからなることを特徴とする請求項1に記載の被介護人用自力多目的移乗車。
【請求項5】
前記ガイド柱体とこれに支持される摺動柱体との間にはスプリングが介設され前記摺動柱体を弾性支持することを特徴とする請求項1に記載の被介護人用自力多目的移乗車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量,コンパクト,省スペースに安全にまとめられ足腰の不自由な被介護人が自力でベット,トイレ,食堂,浴室,車いす等で移動使用出来て、ワンタッチで折り畳みが可能で収納出来、他人の力や電気を必要とせず安全に使用出来る被介護人用自力多目的移乗車に関する。
【背景技術】
【0002】
足腰の不自由な人は自宅においてはベットや座椅子に坐っている状態が多く、トイレ等に行く場合はかなり難儀している。また、介護人が居る場合にはその助けを借りてトイレ等に行く場合が多い。しかしながら、足腰の不自由な人でもトイレ等には何とか自力で行って用をたしたいと思う。これ等の被介護人が自力で移動し、例えばトイレ等に行くための補助具は極めて高価なものを除き現在見当らない。
出願人の調査では自力ではないが他人の助けを借りてトイレ等に行ける道具として「特許文献1」,「非特許文献1」や「非特許文献2」等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実願2015−565号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】イデアライフケアに掲載の“乗助さんII”(添付の
図11参照)
【非特許文献2】女性セブンに掲載の“お助け口”(添付の
図12参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
「特許文献1」の「実願2015−565号」は同一出願人による“介護用座接移動型補助具”に関するもので被介護人を坐った状態でトイレ等の目的の場所に移動出来るものであり介護人を必要とはするがかなり自力で移動出来るものである。しかし、コンパクトで省スペース化や安全性や折り畳み性については不十分なものであり取り扱い性においてやや問題点があるものである。
また、「非特許文献1」の“乗助さんII”や「非特許文献2」の“お助け口”は他人の力を必要とするか又は電力を必要とするものであり、高価であると共に軽量化においては問題点があり、自力で簡単に目的地に移動出来用を果すことが出来るものではない。
【0006】
本発明は、以上の問題点を解決すべく発明されたものであり被介護人が希望する目的場所、例えばベット,トイレ,食堂,浴室,車いす等への自力による移動が出来、軽量でコンパクトで省スペースのため狭小部への出入も出来、各部の取り外しが出来て折り畳みが可能であり、取り扱い性もよく高さの調整も可能であり電力を必要としないで安全性の高い被介護人用自力多目的移乗車を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以上の目的を達成するために、請求項1の発明は、足腰の不自由な被介護人を自力でベットやトイレや食堂,浴室,車いす等に移動出来る軽量動作で軽量コンパクトで省スペース的で安全にまとめられた被介護人用自力多目的移乗車であって、該移乗車は、キャスタを有する左右のベースフレームと、左右の該ベースフレームを補強すべくその略中間位置に介設され全体としてH型のベース体を形成するためのクロスフレームと、該クロスフレームと併設されるベース板の左右端に基端部を連結し前記ベースフレームに基端部側を枢支されて立ち上るガイド柱体と、該ガイド柱体に摺動自在に案内されて立ち上る摺動柱体と、左右の該摺動柱体の頂部に介設される頂部クロスフレームと、該頂部クロスフレームと前記ベース板との間に介設され前記摺動柱体を上下動させるための上下動機構部と、前記摺動柱体と移動可能に固定される突出ピンを有する上部支持材及び下部支持材と、該上部支持材及び下部支持材の前記突出ピンにその基端部を挿脱され前記基端部側から伸延する上部フレームと下部フレームとこの伸延端に両端を固定するクロス材とからなる座接用サイドフレームと、該座接用サイドフレームの前記下部フレームにその基端側を挿脱回動可能に連結され中央側に向かって下り傾斜して伸延して片持ち支持される座接用クッション板とからなり、前記クロスフレームと前記ベース板との下面側には手動で水平位置から立上り位置(正確には後部にやや傾斜した位置)まで前記座接用サイドフレームや座接用クッション板を取り外して回動する前記ガイド柱体等(ガイド柱と摺動柱体と上下動機構部)を前記立上り位置において安定固定保持すべく配設される回動安定保持機構部が設けられ、該回動安定保持機構部は手動により前記ガイド柱等を安定固定保持すると共にその保持を開放する機構部を形成するものからなる事を特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明は、前記回動安定保持機構部は、下面に1つの突起部を有すると共に左右側に突出ピンを有する移動レバー体と、前記突起部の係着する第1の溝と第2の溝とを上面に形成する前記クロスフレームの下面側に配設され前記移動レバー体を摺動自在に保持するガイド板と、前記クロスフレームの下面側に配設されその略中間部を枢支されその先端部を前記突出ピンに当接可能な位置に配置され前記枢支用の枢支ピンから前記ベースフレーム側に伸びる形状からなる細長回動レバー体と、立上り状態にある前記ガイド柱体の下部にスプリングの力により押圧されるローラとこれを枢着すると共にその中間部を前記ベースフレームに枢支されるローラ保持プレートと、該ローラ保持プレートと前記細長回動レバー体の先端側との間に介設され前記細長回動レバー体による接触押圧力により前記ローラ保持プレートを回動して前記ローラの前記ガイド柱体等への押圧を解除するためのロッド部材とからなり、前記移動レバー体を持ち上げて移動させてその前記突出ピンを前記第1の溝から開放して前記第2の溝に係着させ前記細長回動レバー体を回動させて前記ロード部材を移動させて前記ローラ保持プレートを回動し、前記ローラによる前記ガイド柱体等への押圧を解除すべく作用する構造のものからなることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の発明は、前記座接用クッション板が、前記座接用サイドフレームの前記下部フレームに装着される前方側のコーナー及び中央に向かって伸延する部分の後部側のコーナーに切り欠き部を形成するものからなることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4の発明は、前記左右の座接用クッション板はロック機構により着脱可能に連結されるものからなることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5の発明は、前記ガイド柱体とこれに支持される摺動柱体との間にはスプリングが介設され前記摺動柱体を弾性支持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1の被介護人用自力多目的移乗車によれば、前記ベース体がH型のため被介護人は前後どちらか任意の形で座接用クッション板に坐ることが出来、足裏で床面を軽く蹴ることで自力で目的地に移動出来る。また、摺動柱体は上下動機構部により任意の高さ(例えば380mm〜460mm)に無段階調整が出来、座接用サイドフレームは左右に簡単に回動出来、かつ取り外しも容易に出来ると共に、回動安定保持機構部のワンタッチ動作によって全体を立上り位置から水平位置に回動することが出来、収納ケース等に全体を収納して持ち運びすることが出来る。また、座接用クッション体が中央に向いて下り傾斜しているため被介護人の尻部の出入が容易に出来る。
【0013】
また、請求項2の被介護人用自力多目的移乗車によれば、回動安定保持機構部の詳細構造を説明するものであり、移動レバー体のワンタッチ動作によって各部が動作し、折り畳みが簡単に出来ると共に使用状態ではローラによる押圧力や移動レバー体の突出ピンの第2の溝への係着等により立上り位置において安全性を確保する事が出来る。
【0014】
また、請求項3の被介護人用自力多目的移乗車によれば、座接用クッション体はそのコーナーの一部が切り欠かれているためその回動角度が小さくても被介護人の尻部は座接用クッション体から開放されると共に座接用サイドフレームの小型化が可能となる。
【0015】
また、請求項4の被介護人用自力多目的移乗車によれば、左右の座接用クッション板はロック機構により使用状態において安定的に連結され、被介護人の尻部の安定保持が出来る。
【0016】
また、請求項5の被介護人用自力多目的移乗車によれば、スプリンングの存在により高重量の人のクッション板への作用力の低減と上下移動の容易化を確保することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】被介護人用自力多目的移乗車の全体構造を示す写真。
【
図3】被介護人用自力多目的移乗車における座接用サイドフレームの基端部の支持構造を示す写真。
【
図4】被介護人用自力多目的移乗車における主としてその回動安定保持機構部の全体構造を示す背面図及びその一部の部材の構造を示す断面図(a)及びその一部の部材の平面図(b)とそのA矢視の底面図(c)。
【
図5】回動安定保持機構部の移動レバー体とこれに当接する細長回動レバー体の一部の概要構造を示す部分斜視図。
【
図6】回動安定保持機構部におけるロッド部材,スプリング及びこれ等が連結されるローラ保持プレート及びその回動動作を示す部分側面図(a)及び(a)の背面図(b)。
【
図7】主として座接用クッション板の構造を説明するための上面図(a)と側面図(b)と背面図(c)。
【
図8】座接用クッション板の構造を示す平面図(a)とこのロック機構を示す平面図(b)。
【
図9】座接用クッション板の詳細構造を示す展開図(a)とその支持構造を説明するための部分的斜視図(b)。
【
図10】頂部クロスフレームに取り付けられた把持体を示す写真。
【
図11】ガイド柱体と摺動柱体内に介設されるスプリングの保持状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の被介護人用自力多目的移乗車100の実施の形態を図面を参照して詳述する。
【0019】
被介護人用自力多目的移乗車100は
図1,
図2,
図3に示すように主として次のものからなる。即ち、ベース体200とガイド柱体300と摺動柱体400と上下動機構部500と座接用サイドフレーム600と座接用クッション板700と回動安定保持機構部800等とからなる。以下これ等の詳細構造を説明する。
【0020】
ベース体200は
図1及び
図2に示すように端部にキャスタを有する細長な左右のベースフレーム1,1とこの左右のベースフレーム1,1間に介設されるクロスフレーム2からなり全体としてH型の構造からなる。
【0021】
ガイド柱体300はベースフレーム1,1間に介設されクロスフレーム2の近傍に併設されるベース板3の左右端に立設して配置されベースフレーム1,1にピン4(
図6)により枢支されるものからなる。
【0022】
摺動柱体400はガイド柱体300に摺動自在に案内されて保持される柱体からなり本実施例では断面が4面体からなり、縦方向に2本の溝5を凹設するものからなる。この保持構造については説明を省略するがガイド柱体300に安定保持される構造からなる。
また、左右の摺動柱体400,400間の頂部には頂部クロスフレーム6が介設され、この頂部クロスフレーム6とベース板3との間には上下動機構部500が介設され摺動柱体400を上下動させる。この高さ調整は無段階でその範囲は80mm程度である。なお、上下動機構部500の詳細構造は省略するがハンドル7を回動することにより上下動が容易に出来る構造からなる。
【0023】
座接用サイドフレーム600は上部フレーム8と下部フレーム9とその間に介設されるクロス材10とから枠体状のものからなる。この座接用サイドフレーム600はその基端側を
図3に特に明示されているように上部支持材11と下部支持材12とこれらに基端側を固定されて立設するピン13に回動可能に、かつ取り外し可能に支持されるものからなる。なお、上部支持材11と下部支持材12は摺動柱体400の溝5に摺動可能の構造で固定されるものからなる。この座接用サイドフレーム600の取り外しは
図3に示す手廻しハンドル14を押し込むことにより容易に行われる。
【0024】
座接用クッション板700その基端側を座接用サイドフレーム600の下部フレーム9に取り外し可能に片持ち支持されて中央側に向かって伸延するクッション体8aからなり、図示(
図7の(c)に示されている)のように中央に向かって下り傾斜して配設される。
この詳細構造は後に説明する。
【0025】
「
図11」はガイド柱体300とこれに支持される摺動柱体400との間に介設されるスプリング31を示すものである。このスプリング31はガイド柱体300の上部にその下端を挿設されて立上りその上面は摺動柱体400に着脱可能に固定される蓋体32により保持される。
【0026】
回動安定保持機構部800は
図4乃至
図6等に示すもので被介護人用自力多目的移乗車100の主要構造体である。
この回動安定保持機構部800はガイド柱体300や摺動柱体400や上下動機構部500や座接用サイドフレーム600や座接用クッション板700等を使用状態における立設(傾斜)状態に安定保持して被介護人が座接して目的場所に行けるようにするためのものであると共に収納時にはこれ等を収納状態にするため立設状態から水平状態にするためのものである。勿論、水平状態に折り畳む場合には座接用サイドフレーム600や座接用クッション板700は予め取り外しておく事は言うまでもない。
【0027】
この構造としてはまず、クロスフレーム2に固定されガイド板15と、これに摺動自在に保持されている移動レバー体16と、細長回動レバー体17と、ベースフレーム1に回動可能に枢支されガイド柱体400の下側面に使用時には押圧されるローラ保持プレート18と、細長回動レバー体17の動きによってローラ保持プレート18を回動させてガイド柱体400への圧接を開放するためのロッド部材25とローラ保持プレート18に押圧力を与えるスプリング20等とからなる。
【0028】
ガイド板15は
図4や
図4の(a)や
図6(a),(b)に示すように移動レバー体16を摺動可能に支持するものからなり移動レバー体16の下方の突起部21はクロスフレーム2側のガイド板15の第1の溝23と第2の溝22に係着するものからなる。移動レバー体16を持ち上げて第1の溝23から移動レバー体16の突起部21を開放しこれを移動させて第2の溝22に移動レバー体16の突起部21を係着保持する構造からなる。この動作により細長回動レバー体17はロッド部材25の押圧を開放しローラ19はガイド柱体300の背後に押圧される。また、逆動により細長回動レバー体17はロッド部材25を押圧し、ローラ19はガイド柱体300から離れる。
また、移動レバー体16には
図5に示すように左右に突出する突出ピン24,24が設けられておりガイド板15に設けられている図略の長溝に沿って摺動可能の構造のものからなる。
【0029】
細長回動レバー体17はクロスフレーム2に回動可能に枢支される細長のレバー状のものからなり、その先端部は突出ピン24の近傍に配置され他端は枢支位置からベースフレーム1の近傍まで伸びている形状のものからなる。従って、移動レバー体16を持ち上げて移動することにより細長回動レバー体17は回動する。
【0030】
この細長回動レバー体17の回動により
図6に示すようにロッド部材25(
図6に示す)が押圧されそのピン部25aによりローラ保持プレート18を回動しローラ19のガイド柱体300への圧接を開放する。これによりスプリング20は伸延されバネ力を保持することになる。また、これによりガイド柱体300のローラ19の押圧が解除され、ガイド柱体300等が立上り位置から水平方向に回動可能となる。
【0031】
以上のように回動安定保持機構部800はワンタッチの動作によってガイド柱体300や摺動柱体400や上下動機構部500等を立上り位置から水平状態に簡単に回動出来、別に取り外された座接用サイドフレーム600や座接用クッション板700と共に小型の収納箱内に収納する事が出来る。
一方、前記のようにガイド柱体300等は立設(傾斜)時の使用時にはローラ保持プレート18の押圧力により立上り位置に安定的に保持されることになる。
【0032】
図7は被介護人用自力多目的移乗車100の使用時における全体構造を示すものではあるが、この図は主に座接用サイドフレーム600と座接用クッション板700を特に示すためのものである。座接用サイドフレーム600や座接用クッション板900は図示のように使用位置から回動して被介護人の例えばトイレ等における座位(用便)を出来るように構成されている(a)また(c)に示すように座接用クッション板700は中央側に向かってやや下り傾斜して配置されている。なお、使用時にはガイド柱体300や摺動柱体400はやや傾斜して配置され使用時における便利性を確保するようにしている。
【0033】
図8(a)は座接用クッション板700の形状を示すものである。図示のように座接用クッション板700はその基端側を座接用サイドフレーム600の下部フレーム9に着脱可能(この構造説明はここではされていない)に連結するものからなり、下部フレーム9側の先方側のコーナーには切り欠き部26が形成されその分だけ下部フレーム9の長さを短縮することが出来る。また、この切り欠き部26と対向する位置にある後方の中央側のコーナーにも切り欠き部27が形成されている。この切り欠き部27により
図7(a)に示すように座接用クッション板700は大きく回動しなくても被介護人の尻部を座接用クッション板700との当接から開放される。即ち、座接用クッション板700を大きく外側に向かって回動しなくてもトイレにおける用便が可能となり狭隘のトイレにおいても十分に使用することが出来る。
【0034】
また、
図8(a),(b)に示すように座接用クッション板700の中央寄りの部分には左右の座接用クッション板700,700を連結固定するロック機構28が設けられている。これにより被介護人の座接状態において座接用クッション板700が互いに離れることはなく安全性が確保される。
【0035】
図9は座接用クッション板700が袋体のものからなることを示すものであり、皮製のものからなることを示すものであり、皮製のものからなるその形状・材質等は特に限定するものではない。また、座接用クッション板700を下り傾斜に配設する構造として
図9(b)の如き傾斜付丸棒29が使用されているが勿論これに限定するものではない。
【0036】
図10は把持手段30を示すものであるこの把持手段30は安全用のもので頂部クロスフレーム6に着脱可能に装着されている。勿論この形状に限定するものではない。
【0037】
本発明の被介護人用自力多目的移乗車100は
図1等に示した構造のものからなり、被介護人はこの被介護人用自力多目的移乗車100の座接用クッション板700上に容易に座位することが出来、ベース体200がH型をしているため足の向きを前後いずれの方向にも置く事が出来る。更に、頂部クロスフレーム6や
図1における図略の把持手段30等や座接用サイドフレーム600の上部フレーム8を把持(上部フレーム8にはクッション体8aが図示されている)することにより床に沿ってずり足で自力で任意の所に移動して目的を達することが容易に出来る。また、使用時には回転安全保持機構部800の作用によって立設状態を安定保持することが出来る。また、前記したように収納時にはワンタッチ動作にて折り畳みが容易に出来、関連する各部材も簡単に取り外しすることが出来る。これにより、ケース状の収納箱に入れて持ち運びすることも可能である。
【0038】
以上により、本発明の被介護人用自力多目的移乗車100の説明は終了するがその内容は以上の説明に限定するものではなく、同一技術的範疇のものが適用されることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の被介護人用自力多目的移乗車100は足腰の弱って来た全ての人々に対して適用され、介護人を必要とする人達に対しても勿論適用される。その利用範囲は極めて広い。
【符号の説明】
【0040】
1 ベースフレーム
2 クロスフレーム
3 ベース板
4 ピン
5 溝
6 頂部クロスフレーム
7 ハンドル
8 上部フレーム
8a クッション体
9 下部フレーム
10 クロス材
11 上部支持材
12 下部支持材
13 ピン
14 手廻しハンドル
15 ガイド板
16 移動レバー体
17 細長回動レバー体
18 ローラ保持プレート
19 ローラ
20 スプリング
21 突起部
22 第2の溝
23 第1の溝
24 突出ピン
25 ロッド部材
25a ピン部
26 切り欠き部
27 切り欠き部
28 ロック機構
29 傾斜付丸棒
30 把持手段
31 スプリング
32 蓋体
100 被介護人用自力多目的移乗車
200 ベース体
300 ガイド柱体
400 摺動柱体
500 上下動機構部
600 座接用サイドフレーム
700 座接用クッション板
800 回動安定保持機構部
【要約】
【課題】足腰の不自由な被介護人が自力でベット,トイレ,食堂,車いす等に移動出来、軽量でコンパクトで省スペース的にまとめられ、電気を必要とせず各部の着脱や折り畳みが容易に出来、安全性の高い被介護人用自力多目的移乗車を提供する。
【解決手段】H型のベース体200にガイド柱体300や摺動柱体400や上下動機構部500や座接用サイドフレーム600や座接用クッション板700が夫々装着されると共に、回動安定保持機構部800により使用時における安定保持が確保されると共にワンタッチ動作にて収納時において折り畳みすることが出来、電気は使用せず狭隘の場所にも使用出来るものからなる。また、安価で軽量である。
【選択図】
図1