(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943270
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】カーテンの取付け構造
(51)【国際特許分類】
E06B 9/52 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
E06B9/52 G
E06B9/52 P
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-280649(P2011-280649)
(22)【出願日】2011年12月22日
(65)【公開番号】特開2013-130018(P2013-130018A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220929
【氏名又は名称】東工シャッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】清水 和幸
(72)【発明者】
【氏名】森松 巧
(72)【発明者】
【氏名】窪田 健市
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 修二
(72)【発明者】
【氏名】明城 充
【審査官】
川島 陵司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平9−291777(JP,A)
【文献】
実開昭49−71225(JP,U)
【文献】
特開平8−4451(JP,A)
【文献】
特開2010−13614(JP,A)
【文献】
特開2005−188148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間口を開閉する為に取付けた引戸又は折戸などの開閉装置の内側に装着されて、網戸としての機能を兼ね備えたカーテンの取付け構造において、上記カーテンは上端に沿って複数の上カギを取付けると共に下端に沿って複数の下カギを取付けた形態とし、上カギは上レールにスライド可能に遊嵌している上スライダーに連結すると共に下カギは下レールにスライド可能に遊嵌している下スライダーに連結した構造とし、またカーテンの下端部には帯状の補助カーテン生地を縫付けて二股に分岐すると共に分岐した内側生地片と外側生地片によって下レールを挟み込んで被覆した形態とし、上記上レールには内側にカーテンの上端部がめくれないように拘束する為の折り返し片を下方へ延ばし、さらに、上レール及び下レールの両端にはカーテンの側端部を収容することが出来るように断面を概略コ形とした縦枠を起立したことを特徴とするカーテンの取付け構造。
【請求項2】
上記上カギ及び下カギをリングなどの連結具を介して上スライダー及び下スライダーと連結した請求項1記載のカーテンの取付け構造。
【請求項3】
上記下レールには外側へ虫返しフィンを斜め下方へ延ばし、先端を垂直下方へ突出した請求項1、又は請求項2記載のカーテンの取付け構造。
【請求項4】
大きな間口に複数枚のカーテンを吊設した場合、一方のカーテンの縁には2枚の挟持片を設け、他方のカーテンの縁には被挟持片を形成し、上記両挟持片にて被挟持片を挟み込むと共に、離れないように止着手段を設けた請求項1、請求項2、又は請求項3記載のカーテンの取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は引戸や折戸(折畳みドア)などの開閉装置に併設して、網戸としての機能を備えたカーテンの取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーテンは部屋の内装の1つとして装着されるが、外からの太陽光線を遮る目的を備えている。一般的なカーテンは引戸や折戸などの開閉装置の内側に配置され、上レールに遊嵌したスライダーに吊設され、該スライダーの移動と共に開け閉めすることが出来る。カーテンは上レールに吊設されるだけで、下端はフリーな状態と成っている為に、引戸又は折戸などを開くならば外から吹き込む風によってカーテン下部部は舞い上がる。
【0003】
一方、引戸と共に装着される網戸の場合には、外から風を取り入れることが出来、その用途及び構造は上記カーテンとは全く異にしている。カーテンは部屋の内装を主たる目的としている為に、網戸と共に併用される場合も多い。すなわち、夏場では蚊やその他の虫の侵入を防止する為に、カーテンの他に網戸が装着されている。
【0004】
このように、外からの光を遮り、外から風を入れ、しかし虫の侵入を防止する為には、カーテンの他に網戸を装着しなくてはならない。カーテンは開くことで片隅に収容されるが、網戸を開いても引戸と重なり合って間口を全開することは出来ない。
【0005】
実開昭62−118896号に係る「網戸兼用カーテン」は、窓と戸外との仕切、或いはマンションのベランダなどにおいて、ベランダ端の上下にわたって設ける網戸兼用カーテンである。
すなわち、鴨居又は長押と敷居などの如き上下の位置に固定されるべきカーテンレールは、ピン穴を有する適宜数の摺動駒を有し、該上下の摺動駒間に環体を介して張設されたカーテン地の左右両側辺及び時にはこれらと中央などに短冊型をした磁石付補強片が上下にわたって添装され、左右の柱又は壁などには磁石を吸引できる金属片又は磁石付の短冊型をした吸着板体が設けられている。
【特許文献1】実開昭62−118896号に係る「網戸兼用カーテン」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来の網戸及びカーテンには上記のごとき問題がある。また上記実開昭62−118896号に係る「網戸兼用カーテン」はその構造が余りに複雑であり、製作コストも高くなる。本発明が解決しようとする課題はこれら問題点であって、より簡単な構造にて構成し、網戸としての機能を備えたカーテンの取付け構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来の一般的なカーテンは、その上端に複数個の上カギを等間隔で取付け、これら上カギは上レールに遊嵌してスライドする上スライダーに係止して吊設されているが、本発明では上レールの他に下側には下レールを敷設している。そして、下レールにも同じように下スライダーが遊嵌し、カーテンの下端に等間隔で取付けられた下カギは上記下スライダーに係止している。従って、カーテンを開閉する場合、上スライダーと同時に下スライダーも下レールに沿ってスライドすることが出来る。
【0008】
そして、上レールには折り返し片を沿設している。該折り返し片は下方へ延びてカーテンの上端部が捲れないように拘束している。また、下レールには外側へ虫返しフィンを沿設しているが、この下レールの虫返しフィンは外方向へ延びている。また、カーテンの下端には帯状の補助カーテン生地を縫付けし、その為にカーテン下端部を2重構造(二股に分岐した形態)とし、下レールが収容される。さらに、上レールと下レールの先端には概略コ形断面の縦枠が起立し、カーテンの両側端を収容して拘束している。
【発明の効果】
【0009】
本発明では下側に下レールを沿設し、カーテンは上レールに遊嵌した上スライダーと下レールに遊嵌した下スライダーに連結している。従って、カーテンを開閉する場合、上下スライダーが共にスライドすることが出来、カーテンの下端側が下スライダーと連結していることで、風が吹いても捲れ上ることはなく、網戸と同じように機能することが出来、隙間が発生しない。勿論、カーテン下端の下カギを下スライダーから分離するならば、従来の一般的なカーテンとなる。
【0010】
そして、上レールには下方へ延びる折り返し片を沿設していることで、カーテンの上端部は上折り返し片によって拘束されて捲れることはない。また、下レールには虫返しフィンを形成していることで、外からの虫の侵入が防止される。さらに、両側には断面を概略コ形とした縦枠が起立している為に、カーテンの側端は縦枠に嵌って拘束されて隙間を生じないようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るカーテンの取付け構造を示す正面図。
【
図3】上レールに上スライダーが遊嵌している状態。
【
図4】下レールに下スライダーが遊嵌している状態。
【
図6】縦枠にカーテンの側端部が収容されている場合。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は部屋の間口にカーテンを装着した場合の正面図を示しているが、同図の1はカーテン、2は上レール、3は下レール、4は縦枠をそれぞれ表している。上レール2は下側が開口した一定断面の長尺材であり、この上レール2には複数の上スライダー5,5・・・がスライド可能に遊嵌している。同じく下レール3は上側を開口した一定断面の長尺材であって、該下レール3には複数の下スライダー6,6・・・がスライド出来るように遊嵌している。
【0013】
カーテン1の上端には上カギ7,7・・・が等間隔で取付けられ、これら上カギ7,7・・・は上スライダー5,5・・・に係止して連結している。また、カーテン1の下端には下カギ8,8・・・が等間隔で取付けられ、これら下カギ8,8・・・は下スライダー6,6・・・に係止して連結している。そして、間口の両側であって、上レール2及び下レール3の両端側には縦枠4,4が起立している。
【0014】
ところで、カーテン1は開閉することが出来るが、この場合、上レール2に遊嵌している上スライダー5,5・・・は上レール2に沿ってスライドし、下レール3に遊嵌している下スライダー6,6・・・は下レール3に沿ってスライドすることが出来る。カーテン1は上レール2に吊設されていると共に、下端は下レール3に拘束され、風が吹いてもカーテン1の下端部が捲れ上がることはない。
【0015】
図2は本発明に係るカーテン1の取付け構造の縦断面を示す実施例である。カーテン1の上端には上カギ7が取付けられ、カーテン1の下端には下カギ8が取付けられている。上カギ7及び下カギ8はカーテン生地に係止して取付けられるが、上カギ7及び下カギ8の具体的な形態及び材質は限定しないことにする。そして、上カギ7は上レール2に遊嵌しているスライダー5に連結している。
【0016】
同図に示すスライダー5は両側にローラ9,9を備え、該ローラ9,9は上レール2の上レール片10,10に載って回転することで、スライダー5は移動することが出来る。下レール3には同図に示すように下スライダー6が遊嵌し、該下スライダー6に下カギ8が連結している。そして、下スライダー6には同じくローラ11,11が取付けられ、下レール片12,12に接して転動することが出来る。従って、カーテン1は上スライダー5,5・・・と下スライダー6,6・・・とに引張られて、ダブ付くことなく張設されている。すなわち、伸縮する網戸のように動作する。
【0017】
ところで、
図2ではカーテン1を上レール2に遊嵌した上スライダー5,5,5・・・及び下レール3に遊嵌した下スライダー6,6・・・に上カギ7,7・・・及び下カギ8,8・・・を連結することで装着している縦断面を示しているが、該カーテン1の外側(室外側)には引戸又は折戸(折畳みドア)などの開閉装置が取付けられている。同図においては、この開閉装置を省略した場合を示している。
【0018】
図3は上レール2に遊嵌している上スライダー5の拡大図を示しているが、カーテン1の上端に取付けた上カギ7は上スライダー5の下端に設けた上リング13に係止している。勿論、上リング13を用いることなく、上カギ7を直接上スライダー5の下端に連結してもよい。そして、上レール2の内側(室内側)には折り返し片14が下方へ延び、その為にカーテン1の上端部15は該折り返し片14に当って拘束され、めくれないように成っている。
【0019】
図4は下レール3に遊嵌している下スライダー6の拡大図を示しているが、カーテン1の下端に取付けた下カギ8は下スライダー6の上端に設けた下リング16に係止している。勿論、下リング16を用いることなく、下カギ8を下スライダー6の上端に直接連結することも可能である。そして、下レール3の外側(室外側)には虫返しフィン17が下レール片12から斜め下方へ延び、外から虫が侵入することを阻止することが出来る。
【0020】
本発明では、カーテン1の下端部に帯状の補助カーテン生地21を縫付けており、その為にカーテン1の下端部は二股に分岐している。同図において、上記補助カーテン生地21は外観を損なわない為にカーテン1の外面側に縫付けているが、内面側に縫い付けることも可能である。下端部を二股に分岐することで形成される内側生地片22と外側生地片23とで下レール3を挟み込んで被覆している。
【0021】
従って、カーテン1を閉じるならば下レール3は外に露出せず、外観上は下レール3を備えない従来の一般的なカーテンのように見える。しかし、カーテン下端は下レール3に拘束されることで、外から吹き込む風によって該カーテン1が捲れ上ることはなく網戸として機能する。しかし、網戸とは異なりカーテン1を開くならば片方の縦枠側へ収容されて間口は全開する。
【0022】
図5は下スライダー6が遊嵌していない状態の下レール3の断面を示している。下レール3には上記虫返しフィン17が斜め下方へ延びている為に、虫が部屋に侵入することは出来ない。同図の点線は虫が移動するであろう軌跡を表しているが、虫は下レール3の側片18に沿って上昇し、側片18の上端に達した虫は虫返しフィン17に沿って移動する。そして、虫返しフィン17の先端は垂直下方へ延びている為に、虫は落下してしまう。
【0023】
図6は縦枠4にカーテン1の側端部が収容されている横断面を示している。該縦枠4は断面を概略コ形とし、外側片19と内側片20を有し、外側片19は内側片20より大きく延びている。同図の○印はカーテン1の側端に取付けた上スライダー5の位置を示し、同図に示すようにカーテン側端部は縦枠4に収容されて、縦枠4にほぼ隙間なく密着することが出来る。
【0024】
図7は大きな間口に2枚のカーテン1a,1bを吊設した場合の接続構造を示している。すなわち、複数枚のカーテン1a,1b・・・を上レール2に吊設しただけでは、隣合うカーテン1a,1b・・・間に隙間が発生するが、この隙間の発生を防止する為に同図に示す接続構造としている。同図の右側カーテン1bの縁には挟持片24a,24bを有し、両挟持片24a,24bによって左側カーテン1aの縁の被挟持片25を挟み込むことが出来る。
【0025】
そして、挟み込んだ状態で離れないように挟持片24a,24bと被挟持片25との間には面ファスナー26又はボタンなどの止着手段を備えている。例えば、両挟持片24a,24bの内面に面ファスナーを取付け、同じく被挟持片25の両面にも面ファスナー26を取付けるならば、該面ファスナー26を介して接続することが出来る。
【符号の説明】
【0026】
1 カーテン
2 上レール
3 下レール
4 縦枠
5 上スライダー
6 下スライダー
7 上カギ
8 下カギ
9 ローラ
10 上レール片
11 ローラ
12 下レール片
13 上リング
14 折り返し片
15 上端部
16 下リング
17 虫返しフィン
18 側片
19 外側片
20 内側片
21 補助カーテン生地
22 内側生地
23 外側生地
24 挟持片
25 被挟持片
26 面ファスナー