(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光線発生モジュールは、光線を前記設置面に垂直な面内において第1の角度範囲で拡散させて出射するとともに前記設置面に平行な面内において第2の角度範囲で拡散させて出射し、
前記第1の角度範囲は、前記第2の角度範囲よりも大きく設定される、請求項1記載の立体ディスプレイ。
前記複数の光線発生モジュールの各々は、光を発生する発光素子と、前記発光素子により発生された光の方向を変化させることにより一定時間内で異なる方向の複数の光を出射する方向変更手段とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の立体ディスプレイ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2に記載されている立体ディスプレイによれば、テーブルの周囲にいる数人程度の観察者に立体画像を提示することができる。近年では、より多数の観察者に立体画像を提示可能な立体ディスプレイを開発することが望まれている。しかしながら、例えばスポーツの競技場、野球場またはコンサート会場のような広大な会場において、上記の立体ディスプレイを用いて多数の観客に立体画像を提示することは現実的には困難である。
【0006】
本発明の目的は、広い空間で多数の観察者に立体画像を提示可能な立体ディスプレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る立体ディスプレイは、立体形状データに基づいて
地面または床面からなる設置面を全体的または部分的に取り囲む観客席から観察者が観察可能な立体画像を提示するための立体ディスプレイであって、予め定められた設置面に配置され、複数の光線発生モジュールからなる光線発生モジュール群と、複数の光線発生モジュールを制御する制御手段とを備え、設置面に対して斜め外方の
観客席の位置に視域が予め定義され、複数の光線発生モジュールの各々は、視域
の任意の位置で観察者が両眼視差を知覚可能な角度間隔で複数の光線からなる光線群を
上下方向の軸を中心として全方位に出射するとともに、視域の任意の位置で観察者が出射された光線群の少なくとも一つの光線を視認可能なように構成され、
複数の光線発生モジュールは、それぞれ独立に設置面に設置可能でかつ取り除き可能に並べられ、制御手段は、立体形状データに基づいて、複数の光線発生モジュールにより出射される複数の光線により視域の任意の位置から視認可能な立体画像の各画素が構成されるように複数の光線発生モジュールを制御するものである。
【0008】
この立体ディスプレイにおいては、
地面または床面からなる設置面が全体的または部分的に観客席により取り囲まれる。観客席の位置に視域が定義される。複数の光線発生モジュールが設置面に配置される。
視域の任意の位置で観察者が両眼視差を知覚可能な角度間隔で複数の光線からなる光線群が、複数の光線発生モジュールの各々により
上下方向の軸を中心として全方位に出射される。各光線発生モジュールにより出射された光線群の少なくとも一つの光線が視域の任意の位置で観察者により視認される。立体形状データに基づいて、複数の光線発生モジュールにより出射される複数の光線により視域の任意の位置から視認可能な立体画像の各画素が構成されるように、複数の光線発生モジュールが制御手段により制御される。
【0009】
この場合、観察者は、
観客席における視域の任意の位置から立体画像の各画素を視認することにより立体画像を観察することができる。ここで、
複数の光線発生モジュールは、それぞれ独立に設置面に設置可能でかつ取り除き可能であるので、設置面の大きさに応じて光線発生モジュールの数を増加させることにより、視域を拡張することができる。これにより、広い空間で多数の観察者に立体画像を提示することが可能になる。
【0010】
(2)光線発生モジュールは、光線を設置面に垂直な面内において第1の角度範囲で拡散させて出射するとともに設置面に平行な面内において第2の角度範囲で拡散させて出射し、第1の角度範囲は、第2の角度範囲よりも大きく設定されてもよい。
【0011】
この場合、設置面に垂直な方向に視域を拡張することができる。
【0014】
(
3)複数の光線発生モジュールの各々は、視域に異なる方向の複数の光線をそれぞれ出射する複数の光線発生器を含んでもよい。
【0015】
この場合、複数の光線発生モジュールの各々は、視域に異なる方向の複数の光線をそれぞれ容易に出射することができる。
【0016】
(
4)複数の光線発生モジュールの各々は、光を発生する発光素子と、発光素子により発生された光の方向を変化させることにより一定時間内で異なる方向の複数の光を出射する方向変更手段とを含んでもよい。
【0017】
この場合、複数の光線発生モジュールの各々は、少数の発光素子により視域に異なる方向の複数の光線をそれぞれ出射することができる。これにより、光線発生モジュールのコストを低減することができる。
【0018】
(5)各光線発生モジュールの複数の光線発生器は、上下方向の軸を中心とする円周上に内方を向くように配置されてもよい。
(6)
各光線発生モジュールの複数の光線発生器は、上下方向の軸を中心とする円周上に外方を向くように配置されてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、広い空間で多数の観察者に立体画像を提示することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(1)立体ディスプレイの構成
以下、本発明の一実施の形態に係る立体ディスプレイについて図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る立体ディスプレイの外観斜視図である。
図2は、
図1の立体ディスプレイの平面図である。
図1および
図2に示すように、立体ディスプレイ100は、複数の光線発生モジュール10からなる光線発生モジュール群20を含む。
【0022】
光線発生モジュール群20は、設置面110に設置される。
図1および
図2では、一部の光線発生モジュール10のみが図示されている。本実施の形態では、各光線発生モジュール10は独立に構成される。そのため、設置面110に配置される光線発生モジュール10の数を容易に調整することができる。本例において、設置面110は、例えば野球場のグラウンドである。設置面110に対して斜め外方の位置で光線発生モジュール群20を取り囲むように環状の観客席120が設けられる。観客席120は、設置面110よりも上方に位置する。観客席120上の中段の高さに環状の視域500が定義される。
【0023】
図3は、
図1および
図2の光線発生モジュール10の構成を示す図である。
図3(a)は光線発生モジュール10の平面図を示し、
図3(b)は光線発生モジュール10の斜視図を示す。
図3に示すように、各光線発生モジュール10は、複数(
図3の例ではn個(nは2以上の整数))の光線発生器1および取り付け部材2を含む。
【0024】
図3(a)に示すように、取り付け部材2は、鉛直方向の軸を中心とする回転対称な半球面形状を有する。また、
図3(b)に示すように、取り付け部材2の下面は下方に凸となるように湾曲している。
図3(a),(b)に矢印で示すように、複数の光線発生器1は、取り付け部材2の内方を通って外方に向けて斜め上方にそれぞれ光を出射可能に、取り付け部材2の内周部に並ぶように等間隔に取り付けられる。
【0025】
各光線発生モジュール10の複数の光線発生器1は、環状の視域500に異なる方向の複数の光線L1〜Lnからなる光線群を出射する。光線L1〜Lnは、それぞれ任意の色に設定される。観客席120上の視域500の任意の位置において、観察者である観客は、複数の光線発生モジュール10の各々により出射された光線群の少なくとも一つの光線を視認することができる。本例においては、観客は、観客席120上の視域500の任意の位置において、各光線発生モジュール10から発生された光線L1〜Lnのうちの一本を視認することができる。後述するように、設置面110の上方に立体画像300が提示される。
【0026】
図4は、
図3の取り付け部材2に取り付けられる一の光線発生器1の断面図である。
図4に示すように、光線発生器1は、発光素子11および筒状の遮光部材12により構成される。発光素子11は、例えば赤色光、緑色光および青色光を発生する3つのLED(発光ダイオード)を含む。各LEDの輝度を制御することにより、発光素子11から種々の色の光を発生することができる。
【0027】
発光素子11により発生される光は、遮光部材12により観客席120上の視域500の特定の位置に光線として導かれる。これにより、観客は、観客席120上の視域500の任意の位置で各光線発生モジュール10から発生された光線L1〜Lnのうちの一本を視認することができる。また、光線発生器1から発生された光線L1〜Lnは、進行するように一定の角度範囲で拡散する。これにより、観客席120上の観客は、一本の光線を視域500を中心とする一定範囲内の位置から視認することができる。
【0028】
図5〜
図7は、
図1の立体ディスプレイ100の模式的断面図である。ここでは、設置面110の中心部の上方に立体画像300の中心部が位置するものとする。
図5および
図6に示すように、設置面110の中心部から観客席120上の視域500までの最短距離はDである。観客席120上の視域500は、設置面110から高さhだけ上方に設定される。各光線発生モジュール10の典型的な寸法(本例では直径)はxである。
【0029】
この場合、設置面110の中心部と観客席120上の視域500とを結ぶ直線が設置面110に対してなす角度θはtan
−1(h/D)で与えられる。
図3の複数の光線発生器1は、
図3の取り付け部材2の外方に向けて角度θで光線L1〜Lnを出射可能に取り付け部材2に取り付けられる。
【0030】
また、標準視力(例えば視力1.0)を有する観客の視覚の分解能は例えば1分(1/60度)である。この場合、視域500から設置面110の中心部に存在する光線発生モジュール10を見た場合の視線の広がり角φ(
図6参照)が1分以下である場合、標準視力を有する観客が各光線発生モジュール10を識別することは困難である。視域500から設置面110の中心部に存在する寸法xの光線発生モジュール10を見た場合の視線の広がり角φはx/Dで与えられる。したがって、光線発生モジュール10の寸法xは、(D×1分)以上である。
【0031】
上述したように、本例において、設置面110は、例えば野球場のグラウンドである。この場合、設置面110の中心部から観客席120上の視域500までの典型的な最短距離Dは、例えば100mである。また、設置面110からの観客席120の視域500の典型的な高さhは、例えば20mである。したがって、複数の光線発生器1は、取り付け部材2の外方に向けて10度の角度θで光線L1〜Lnを出射可能に取り付け部材2に取り付けられることが好ましい。また、光線発生モジュール10の寸法xは、3cm以上であることが好ましい。
【0032】
図7に示すように、視域500から最も近くにある光線発生モジュール10までの距離をDnとし、視域500から最も遠くにある光線発生モジュール10までの距離をDfとする。また、視域500から最も近くにある光線発生モジュール10と視域500から距離yだけ上方にずれた位置とを結ぶ直線が光線の出射方向に対してなす角度をα1とする。同様に、視域500から最も遠くにある光線発生モジュール10と視域500から距離yだけ下方にずれた位置とを結ぶ直線が光線の出射方向に対してなす角度をα2とする。
【0033】
上述のように、各光線発生モジュール10は、取り付け部材2の外方に向けて設置面110に対して角度θをなす方向に光線を出射する。また、各光線発生モジュール10の各光線発生器1は、出射する光線を上方に角度α1の範囲で拡散させかつ下方に角度α2の範囲で拡散させるように構成される。
【0034】
これにより、観客は、視域500から距離yだけ上方にずれた位置と視域500から距離yだけ下方にずれた位置との間の範囲において、複数の光線発生モジュール10により出射される光線を確実に視認することができる。その結果、視域500が実質的に上下方向に拡張される。
【0035】
図4の筒型の遮光部材12は、断面楕円形状または長円形状を有する。遮光部材12は、楕円形状または長円形状の長軸が設置面110に垂直な面内にあるように取り付け部材2に取り付けられる。この場合、光線発生器1は、遮光部材12を通って視域500に導かれる光線が上方に角度α1の範囲で拡散するとともに下方に角度α2の範囲で拡散する構成される。遮光部材12を通った光線が設置面110に垂直な面内において拡散する角度範囲は、設置面110に平行な面内において拡散する角度範囲よりも大きい。
【0036】
筒型の遮光部材12は、断面長方形またはその他の断面多角形を有してもよい。この場合、遮光部材12は、断面多角形の最大径の方向が設置面110に垂直な面内にあるように取り付け部材2に取り付けられる。
【0037】
光線発生器1の遮光部材12の長さまたは開口の大きさを調整することにより、光線の拡散角(α1+α2)を適切に設定することができる。遮光部材12が長い場合または開口が小さい場合には拡散角は小さくなり、遮光部材12が短い場合または開口が大きい場合には拡散角は大きくなる。
【0038】
角度α1,α2のうち大きい方の角度をαとした場合、各光線発生モジュール10の各光線発生器1は、出射する光線を上方に角度αの範囲で拡散させるとともに、下方に角度αの範囲で拡散させるように構成されてもよい。この場合、光線の拡散角を容易に調整することができる。
【0039】
(2)立体画像の提示方法
図8は、
図1および
図2の立体ディスプレイの構成を示すブロック図である。
図8に示すように、立体ディスプレイ100は、光線発生モジュール群20に加えて、記憶装置30および制御装置40をさらに含む。
【0040】
記憶装置30は、例えばハードディスク等の記憶装置を含む。記憶装置30には、
図1および
図2の立体画像300を提示するための立体形状データが記憶される。制御装置40は、例えばパーソナルコンピュータからなる。制御装置40は、記憶装置30に記憶される立体形状データに基づいて、複数の光線発生モジュール10の複数の光線発生器1を制御する。それにより、設置面110の上方に立体画像300が提示される。
【0041】
各光線発生モジュール10は、制御装置40と同様の機能を有する制御装置を含んでもよい。この場合、複数の光線発生モジュール10の複数の制御装置は、互いに有線で通信してもよいし、無線で通信してもよい。また、各光線発生モジュール10が制御装置を含む場合、立体ディスプレイ100には制御装置40を含まなくてもよい。
【0042】
図9は、立体画像300の提示方法を説明するための模式的平面図である。
図9においては、3個の光線発生モジュール10A,10B,10Cが示される。
【0043】
例えば、設置面110の上方の位置PRに赤色の画素を提示する場合には、光線発生モジュール10Aの一の光線発生器1により位置PRを通る方向に赤色の光線LA0が発生される。また、光線発生モジュール10Bの一の光線発生器1により位置PRを通る方向に赤色の光線LB0が発生される。さらに、光線発生モジュール10Cの一の光線発生器1により位置PRを通る方向に赤色の光線LC0
が発生される。
【0044】
それにより、赤色の光線LA0,LB0,LC0の交点に点光源となる赤色の画素が提示される。この場合、観客の眼が位置IA0にある場合、位置IB0にある場合および位置IC0にある場合に、位置PRに赤色の画素が見える。
【0045】
同様にして、設置面110の上方の位置PGに緑色の画素を提示する場合には、光線発生モジュール10Aの他の光線発生器1により位置PGを通る方向に緑色の光線LA1が発生される。また、光線発生モジュール10Bの他の光線発生器1により位置PGを通る方向に緑色の光線LB1が発生される。さらに、光線発生モジュール10Cの他の光線発生器1により位置PGを通る方向に緑色の光線LC1が発生される。
【0046】
それにより、緑色の光線LA1,LB1,LC1の交点に点光源となる緑色の画素が提示される。この場合、観客の眼が位置IA1にある場合、位置IB1にある場合および位置IC1にある場合に、位置PGに緑色の画素が見える。
【0047】
このようにして、複数の光線発生モジュール10A,10B,10Cの各々から立体画像300の各位置を通る方向に提示すべき色の光線が出射される。
【0048】
図9の例においては、光線発生モジュール10A,10B,10Cを含む複数の光線発生モジュール10が設置面110に密に並べられる。これらの複数の光線発生モジュール10から照射される光線群により設置面110の上方の空間が十分に密に交点群で満たされている場合、観客席120上のいずれの位置から設置面110の上方を観察しても位置PR,PGを通過する適切な光線が観客の眼に入射する。これにより、人の眼はそこに点光源があるように認識する。
【0049】
実物体の表面にて反射または拡散した照明光を人は物体として認識するので、物体の表面は点光源の集合とみなすことができる。すなわち、物体の表面としたいある位置PR,PGの色を複数の光線発生モジュール10A,10B,10Cより飛来する光線によって適切に再現することにより、立体画像300を提示することができる。
【0050】
このようにして、立体画像300を設置面110の上方の空間に提示することができる。この場合、多数の観客は、観客席120上における異なる位置で同一の立体画像300をそれぞれ異なる方向から視認することができる。
【0051】
図3の複数の光線発生モジュール10の複数の光線発生器1により発生される光線群の各光線L1〜Lnの色は、記憶装置30に記憶される立体形状データに基づいて制御装置40により算出される。具体的には、制御装置40は、立体形状データとして予め定義される三次元の立体形状の面と各光線との交点を求め、光線に与えるべき適切な色を算出する。
【0052】
制御装置40は、算出した光線群の各光線の色に基づいて複数の光線発生モジュール10の複数の光線発生器1を制御する。それにより、設置面110の上方に立体画像300が提示されるように、各光線発生モジュール10の複数の光線発生器1から設定された色をそれぞれ有する光線群が出射される。
【0053】
上記のようにして、本実施の形態に係る立体ディスプレイ100によれば、立体画像300の指向性表示が可能となる。
【0054】
(3)両眼視差の発生原理
ここで、本実施の形態に係る立体ディスプレイ100における両眼視差の発生原理について説明する。
図10は、本発明の一実施の形態に係る立体ディスプレイ100における両眼視差の発生原理を説明するための模式的平面図である。
図10において、右眼130Rに光線発生モジュール10の一の光線発生器1aにより発生された光線Laが入射し、左眼130Lに光線発生モジュール10の他の光線発生器1bから発生された光線Lbが入射する。光線La,Lbの色は、互いに等しい。したがって、右眼130Rにより視認される光線Laの色と左眼130Lにより視認される光線Lbの色は等しい。
【0055】
光線Laと光線Lbとの交点に立体画像300を構成する一つの点300Pが作られる。点300Pは、仮想的な点光源とみなすことができる。この場合、右眼130Rで点300Pを見る方向と左眼130Lで点300Pを見る方向とが異なる。すなわち、右眼130Rの視線方向と左眼130Lの視線方向との間に輻輳角がある。これにより、光線群により形成される画像の立体視が可能となる。
【0056】
一の光線発生モジュール10により発生される光線群により上記の両眼視差が発生するためには、光線発生モジュール10の一の光線発生器1aにより発生された光線Laが右眼130Rに入射し、他の光線発生器1bにより発生された光線Lbが左眼130Lに入射する必要がある。そのため、各光線発生モジュール10は、視域500の任意の位置で標準視力を有する観客が両眼視差を知覚可能な角度ずつ異なる複数の光線を出射するように構成される。
【0057】
右眼130Rと左眼130Lとの間隔をeとし、設置面110の中心部から観客席120上の視域500までの最短距離をDとする場合、設置面110の中心部に位置する光線発生モジュール10からの光線La,Lbのなす角度cはe/Dで与えられる。複数の光線発生器1を角度c以下の間隔で光線発生モジュール10に配置することにより、両眼視差を確実に発生させることができる。
【0058】
設置面110の中心部から観客席120上の視域500までの典型的な最短距離Dは、例えば100mである。また、観客席120の右眼130Rと左眼130Lとの間の典型的な間隔eは、例えば6cmである。したがって、複数の光線発生器1は、0.03度以下の角度間隔で取り付け部材2に取り付けられることが好ましい。
【0059】
複数の光線発生器1を角度c度以下の間隔で取り付け部材2に取り付けることが困難である場合には、複数の同心円上に複数の光線発生器1が並ぶように取り付け部材2に取り付けてもよい。この場合、一の同心円上の複数の光線発生器1は、他の同心円状の複数の光線発生器1と周方向にc度より小さい角度だけずれるように取り付けられる。それにより、複数の光線発生器1間の角度間隔を実質的に小さくすることができる。
【0060】
(4)光線発生モジュールの第1の変形例
図11は、第1の変形例における光線発生モジュール10の構成を示す図である。
図11(a)は光線発生モジュール10の平面図を示し、
図11(b)は光線発生モジュール10の斜視図を示す。
図3の各光線発生モジュール10と同様に、
図11の第1の変形例における各光線発生モジュール10は、複数(
図11の例ではn個(nは2以上の整数))の光線発生器1および取り付け部材2を含む。
【0061】
図11(a)に示すように、取り付け部材2は、鉛直方向の軸を中心とする回転対称な半球面形状を有する。また、
図11(b)に示すように、取り付け部材2の上面は上方に凸となるように湾曲している。
図11(a),(b)に矢印で示すように、複数の光線発生器1は、取り付け部材2の外方に向けて斜め上方にそれぞれ光を出射可能に、取り付け部材2の外周部に並ぶように等間隔に取り付けられる。これにより、任意の色に設定された光が光線L1〜Lnとして光線発生モジュール10の斜め外方に出射される。
【0062】
(5)光線発生モジュールの第2の変形例
図12は、第2の変形例における光線発生モジュール10の構成を示す図である。
図12に示すように、第2の変形例における各光線発生モジュール10は、複数(
図12の例ではn個(nは2以上の整数))の光線発生器1を含む。複数の光線発生器1は、円環状に並ぶように配置される。
【0063】
各光線発生器1は、発光素子11a、レンズ13およびプリズム14を含む。本例において、発光素子11aは、例えばLCD(液晶ディスプレイ)の画素からなる。LCDの各画素は、例えば赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ発生する3つの副画素により構成される。
【0064】
各光線発生器1の複数のレンズ13および複数のプリズム14は、発光素子11aの上方に配置される。各発光素子11aは、任意の色の光を発生する。各発光素子11aにより発生された光は、対応するレンズ13を通った後、対応するプリズム14に入射する。各プリズム14は、入射した光の進行方向を変更させる。それにより、光線が光線発生モジュール10の外方に向けて斜め上方に進行する。これにより、任意の色に設定された光線L1〜Lnが光線発生モジュール10の斜め外方に出射される。
【0065】
第2の変形例における光線発生モジュール10の各光線発生器1は、プリズム14に代えてミラーを含んでもよい。この場合、各発光素子11aにより発生された光は、対応するレンズ13を通った後、対応するミラーにより反射される。それにより、光線が光線発生モジュール10の外方に向けて斜め上方に進行する。これにより、任意の色に設定された光線L1〜Lnが光線発生モジュール10の斜め外方に出射される。
【0066】
(6)光線発生モジュールの第3の変形例
図13は、第3の変形例における光線発生モジュール10の構成を示す図である。
図13に示すように、第3の変形例における各光線発生モジュール10は、1つの光線発生器1を含む。光線発生器1は、発光素子11b、レンズ15および回転プリズム16を含む。発光素子11bは、例えば赤色光、緑色光および青色光を発生する3つのLEDを含む。レンズ15は、発光素子11bの上方に配置される。回転プリズム16は、レンズ15の上方において鉛直軸を中心に回転可能に配置される。
【0067】
発光素子11bは、回転プリズム16の回転角度に対応して任意の色に設定された光を上方に発生する。発光素子11bにより発生された光は、レンズ15を通った後、発光素子11bの上方で回転する回転プリズム16に入射する。回転プリズム16は、入射した光の進行方向を変更させる。それにより、回転プリズム16の回転角度に応じて光線が光線発生モジュール10の外方に向けて斜め上方に進行する。
【0068】
図8の制御装置40は、一定時間内で異なる方向の複数の光が発生されるように回転プリズム16を回転させるとともに、回転プリズム16の回転角度に対応して発光素子11bにより発生される光の色を制御する。これにより、回転プリズム16が発光素子11b上で回転することにより、任意の色に設定された光線L1〜Lnが時分割で光線発生モジュール10の斜め外方に出射される。
【0069】
第3の変形例における光線発生モジュール10の光線発生器1は、回転プリズム16に代えてレンズ15の上方において鉛直軸を中心に回転可能な回転ミラーを含んでもよい。この場合、発光素子11bにより発生された光は、レンズ15を通った後、回転ミラーにより反射されることにより、回転ミラーの回転角度に応じて光線発生モジュール10の外方に向けて斜め上方に進行する。
【0070】
図8の制御装置40は、一定時間内で異なる方向の複数の光が発生されるように回転ミラーを回転させるとともに、回転ミラーの回転角度に対応して発光素子11bにより発生される光の色を制御する。これにより、回転ミラーが発光素子11b上で回転することにより、任意の色に設定された光線L1〜Lnが時分割で光線発生モジュール10の斜め外方に出射される。
【0071】
(7)光線発生モジュールの第4の変形例
図3の光線発生モジュール10において、複数の光線発生器1は、1つの円周上に並ぶように取り付け部材2の内周部に取り付けられるが、これに限定されない。
図14は、第4の変形例における光線発生モジュール10の構成を示す図である。
図14に示すように、複数の光線発生器1は、上下方向の位置が異なる複数(
図14の例では2つ)の円周上に並ぶように取り付け部材2の内周部に取り付けられる。
【0072】
上の円周上に配置される各光線発生器1による光線が設置面110に対してなす角度と、下の円周上に配置される各光線発生器1による光線が設置面110に対してなす角度とは異なる。この場合、観客席120上の観客は、光線発生器1により発生された光線を上下方向の任意の位置から容易に視認することができる。これにより、観客席120上の視域500が上下方向に確実に拡張される。
【0073】
(8)実施の形態の効果
本実施の形態に係る立体ディスプレイ100によれば、観客は、視域500の任意の位置から立体画像300の各画素を視認することにより立体画像300を観察することができる。各光線発生モジュール10は独立に構成される。そのため、設置面110に配置される光線発生モジュール10の数を容易に調整することができる。したがって、設置面110の大きさに応じて光線発生モジュール10の数を増加させることにより、視域500を拡張することができる。これにより、広い空間で多数の観客に立体画像300を提示することが可能になる。
【0074】
(9)他の実施の形態
(a)上記実施の形態において、光線発生モジュール群20は、水平な設置面110に配置されるが、これに限定されない。光線発生モジュール群20は、水平面に対して傾斜した設置面上または鉛直面上に配置されてもよい。例えば、設置面が建造物の壁面であってもよく、建造物の屋根の上面であってもよい。
【0075】
これらの場合、光線発生器1は、設置面の斜め外方に加えて、設置面の垂直な方向にも光線を出射可能に構成されてもよい。これにより、光線発生モジュール群20の全方位を取り囲むように空間に視域500が設定される。
【0076】
(b)上記実施の形態においては、光線発生モジュール群20を全体的に取り囲むように環状の視域500が定義されるがこれに限定されない。設置面110が例えばコンサート会場の床面である場合には、光線発生モジュール群20を部分的に取り囲むように視域500が定義されてもよい。
【0077】
(c)上記実施の形態において、出射された光線L1〜Lnを透過させるように、光線発生モジュール10の上部に異方性拡散部材または微小等方性拡散部材が設けられていてもよい。例えば、円錐状、逆円錐状、円筒状もしくは平板状の異方性拡散部材または微小等方性拡散部材が、
図3の取り付け部材2上に設けられてもよい。あるいは、シート状の異方性拡散部材または微小等方性拡散部材が、
図4の遮光部材12の開口に設けられてもよい。あるいは、シート状の異方性拡散部材または微小等方性拡散部材が、
図12のプリズム14または
図13の回転プリズム16の光の透過面に貼り付けられてもよい。
【0078】
異方性拡散部材は、光線発生モジュール10により出射された光線L1〜Lnを周方向において拡散させずに透過させるとともに垂直方向において拡散させて透過させる。この場合、観客席120上の観客は、各光線L1〜Lnを上下方向の一定範囲の位置から視認することができる。これにより、観客席120上の視域500を上下方向に拡張することができる。
【0079】
微小等方性拡散部材は、光線発生モジュール10により出射された光線L1〜Lnを周方向において微小に拡散させて透過させるとともに垂直方向において微小に拡散させて透過させる。この場合、光線発生モジュール10に異方性拡散部材を設けた場合と同様に、観客席120上の観客は、各光線L1〜Lnを上下方向の一定範囲の位置から視認することができる。また、出射される複数の光線発生器1間の間隔を密にする必要がない。これにより、より少数の光線発生器1により
図3、
図11または
図12の光線発生モジュール10を構成することができる。
【0080】
(10)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0081】
立体画像300が立体画像の例であり、立体ディスプレイ100が立体ディスプレイの例であり、設置面110が設置面の例であり、光線発生モジュール10が光線発生モジュールの例であり、光線発生モジュール群20が光線発生モジュール群の例である。制御装置40が制御手段の例であり、視域500が視域の例であり、光線L1〜Lnが光線の例であり、光線発生器1が光線発生器の例であり、発光素子11bが発光素子の例であり、回転プリズム16が方向変更手段の例である。
【0082】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
(11)参考形態
(11−1)参考形態に係る立体ディスプレイは、立体形状データに基づいて観察可能な立体画像を提示するための立体ディスプレイであって、予め定められた設置面に配置され、複数の光線発生モジュールからなる光線発生モジュール群と、複数の光線発生モジュールを制御する制御手段とを備え、設置面に対して斜め外方の位置に視域が予め定義され、複数の光線発生モジュールの各々は、視域に異なる方向の複数の光線からなる光線群を出射するとともに、視域の任意の位置で観察者が出射された光線群の少なくとも一つの光線を視認可能なように構成され、制御手段は、立体形状データに基づいて、複数の光線発生モジュールにより出射される複数の光線により視域の任意の位置から視認可能な立体画像の各画素が構成されるように複数の光線発生モジュールを制御するものである。
この立体ディスプレイにおいては、複数の光線発生モジュールが設置面に配置される。異なる方向の複数の光線からなる光線群が、複数の光線発生モジュールの各々により設置面に対して斜め外方の位置の視域に出射される。各光線発生モジュールにより出射された光線群の少なくとも一つの光線が視域の任意の位置で観察者により視認される。立体形状データに基づいて、複数の光線発生モジュールにより出射される複数の光線により視域の任意の位置から視認可能な立体画像の各画素が構成されるように、複数の光線発生モジュールが制御手段により制御される。
この場合、観察者は、視域の任意の位置から立体画像の各画素を視認することにより立体画像を観察することができる。ここで、設置面の大きさに応じて光線発生モジュールの数を増加させることにより、視域を拡張することができる。これにより、広い空間で多数の観察者に立体画像を提示することが可能になる。
(11−2)光線発生モジュールは、光線を設置面に垂直な面内において第1の角度範囲で拡散させて出射するとともに設置面に平行な面内において第2の角度範囲で拡散させて出射し、第1の角度範囲は、第2の角度範囲よりも大きく設定されてもよい。
この場合、設置面に垂直な方向に視域を拡張することができる。
(11−3)視域は、光線発生モジュール群を全体的または部分的に取り囲むように定義されてもよい。
この場合、視域を容易に拡張することができる。これにより、より多数の観察者が立体画像を観察することが可能になる。
(11−4)複数の光線発生モジュールの各々は、視域に異なる方向の複数の光線をそれぞれ出射する複数の光線発生器を含んでもよい。
この場合、複数の光線発生モジュールの各々は、視域に異なる方向の複数の光線をそれぞれ容易に出射することができる。
(11−5)複数の光線発生モジュールの各々は、光を発生する発光素子と、発光素子により発生された光の方向を変化させることにより一定時間内で異なる方向の複数の光を出射する方向変更手段とを含んでもよい。
この場合、複数の光線発生モジュールの各々は、少数の発光素子により視域に異なる方向の複数の光線をそれぞれ出射することができる。これにより、光線発生モジュールのコストを低減することができる。
(11−6)複数の光線発生モジュールの各々は、視域の任意の位置で予め定められた標準視力を有する観察者が両眼視差を知覚可能な角度ずつ異なる複数の光線を出射するように構成されてもよい。この場合、観察者は立体画像を確実に立体視することができる。