(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の無線システムに属する第1の無線装置が運用する周波数スペクトルに関する情報を管理する諸元データベースと接続され、使用するチャネル群が前記第1の無線システムと重複し該重複したチャネル群を使用する優先順位が前記第1の無線システムよりも低い第2の無線システムに属する第2の無線装置に対して利用可能チャネルおよび該チャネルにおける許容送信電力を割当てるスペクトル割当装置であって、
前記第2の無線装置の位置情報に基づいて、前記諸元データベースから混信判定すべき前記第1の無線装置の通信エリアを対象エリアとして選択するエリア特定部と、
前記対象エリアに属する前記第1の無線装置の通信エリアの境界線と該境界線に対応する第1の無線装置および前記第2の無線装置を結ぶ直線との交点の位置情報を生成する臨界点算出部と、
前記交点の位置情報それぞれと前記第2の無線装置の位置情報とに基づいて、前記第2の無線装置から前記交点それぞれまでの第1の伝搬損失を前記交点毎に計算する損失演算部と、
前記対象エリアに属する第1の無線装置の使用チャネルおよび前記交点それぞれにおけるチャネル毎の所要信号電力レベルと、前記交点それぞれにおける前記第1の伝搬損失とに基づいて、前記第2の無線装置が利用可能なチャネルおよび許容送信電力を算出する電力演算部とを具備し、
前記電力演算部は、前記第2の無線装置が利用可能なチャネル群の中から、連続する3つのチャネルそれぞれにおける許容送信電力の差が所定の値範囲内であり、かつ、前記3つのチャネルの中心のチャネルにおける許容送信電力が最も大きい関係となる前記中心のチャネルおよび対応する許容送信電力を算出すること
を特徴とするスペクトル割当装置。
前記電力演算部は、前記第2の無線装置が隣接チャネルを利用した場合における、前記第1の無線装置の前記隣接チャネルにおける所要電力レベル、および、前記第1の無線装置の利用チャネルに対する前記第2の無線装置からの漏洩電力レベルの少なくとも一方を用いて前記許容送信電力を算出することを特徴とする請求項1記載のスペクトル割当装置。
前記損失演算部は、前記交点の位置情報それぞれと、使用するチャネル群が前記第1の無線システムと重複し該重複したチャネル群を使用する優先順位が前記第1の無線システムよりも低い第3の無線システムに属し、前記対象エリア内に位置する第3の無線装置の位置情報とに基づいて、前記第3の無線装置から前記交点それぞれまでの第2の伝搬損失を前記交点毎にさらに計算し、
前記電力演算部は、さらに、前記対象エリアに属する第1の無線装置の使用チャネルおよび前記交点それぞれにおけるチャネル毎の所要信号電力レベルと、前記交点それぞれにおける前記第2の伝搬損失とに基づいて、前記第2の無線装置が利用可能なチャネルおよび許容送信電力を算出すること
を特徴とする請求項1または2に記載のスペクトル割当装置。
【背景技術】
【0002】
アナログテレビからデジタルテレビへの進化は、電波産業界に膨大な周波数スペクトル資源をもたらしている。しかし、新しいアプリケーションやサービスに対する周波数の分配は、既に周波数が割り当てられた既存サービスで混雑しているため、困難な現状にある。一方、電波監理当局により割当てられた周波数は一見混雑しているものの、実際には使用されていない帯域が広大に存在している。
【0003】
2002年、米連邦通信委員会(Federal Communication Commission:FCC)は、スペクトル政策タスクフォース(Spectrum Policy Task Force: SPTF)による文書を発表した。この文書は、実際には未使用状態にある周波数帯域を用いた免許不要の無線サービスを認めることで、無線スペクトルを効率的に利用するという観点で作成されたものである。また、FCCは、TVホワイトスペース(TV White Space:TVWS)として知られる、TVの周波数帯における免許を要しない利用についての規制に関する文書を発表した。
【0004】
コグニティブ無線は、このようなシナリオで実行される発展可能な技術として検討されてきた。コグニティブ無線システムでは、二次ユーザ(二次システム)は、ライセンスされた一次ユーザ(一次システム)に割当てられている周波数スペクトルについて、実際には使用されていない周波数スペクトルを一時的に特定する。そして、二次ユーザは、当該特定された周波数スペクトルを用いて通信を開始する。このようなコグニティブ無線システムを提供することは、産業界にとって大きな市場可能性を生み出すものである。
【0005】
コグニティブ無線システムでは、運用に先立って、利用可能な周波数スペクトルを特定することが必要である。これは、スペクトルセンシングやデータベースへのアクセスによって実現できる。データベースのアクセスによるアプローチは、一次ユーザに対して信頼できる保護を与えうる方法として検討されてきた。
【0006】
米国におけるFCCや英国におけるOFCOMなどの規制当局は、ネットワークを開始しようとするコグニティブ無線システムの二次ユーザに対して、利用可能な周波数スペクトルに関する情報を取得するためデータベースへのアクセスを要求する。他の国や地域の当局も、同様のアプローチをとることが予想される。
【0007】
OFCOMは、特定の場所において当該二次ユーザが利用可能な周波数スペクトルを決定するための手順を示しており、利用可能な周波数スペクトルは、開始周波数、終了周波数および最大許容送信電力によって特定される。許容送信電力は、デジタルテレビ受像機やマイク受信機等、一次ユーザの同一・隣接チャネル混信許容範囲に基づいて計算することとしている。
【0008】
この計算では、対象チャネルの下側9チャネルと上側9チャネルについて考慮に入れることになっており、一次ユーザの全ての取り得るチャネルについて計算する必要がある。従って、利用可能な周波数スペクトルの特定に多大な時間を要する問題がある。また、この計算では、二次ユーザの存在を考慮していないことから、一次ユーザに不測の混信を与えるおそれがある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態の構成)
図1および2を参照して、実施形態のスペクトル割当システムの構成について説明する。以下の説明において、プライマリシステムは、電波監理当局により特定の周波数帯において免許された無線システムであり、例えば地上波TV放送システムなどである。セカンダリシステムは、プライマリシステムと重複する周波数帯を利用するもののプライマリシステムに対して混信を与えてはならない立場にあるシステムであり、例えば無線LANのアクセスポイントなどである。実施形態のスペクトル割当システムは、セカンダリシステムからの要求に応じて、当該セカンダリシステムが利用可能な周波数スペクトルを算出する。以下の説明において、「周波数スペクトル」の語は、周波数帯(チャネル)の概念に加えて送信電力レベルをも含む意味として用いている。
【0015】
図1に示すように、プライマリシステム(PS1,PS2,PS3)は、特定のチャネル(例えばそれぞれチャネル1〜3)で運用するシステムであり、それぞれ自己のサービスエリア(SA1,SA2,SA3)を有している。セカンダリシステム(AP1,AP2)は、プライマリシステム(PS1,PS2,PS3)が利用する周波数帯と重複する周波数帯を利用するシステムである。セカンダリシステムAP1は、プライマリシステムPS1と結ぶ直線上でサービスエリアSA1の境界と交わる点(臨界点CP1)から、距離d11の位置にある。また、セカンダリシステムAP1は、プライマリシステムPS2と結ぶ直線上でサービスエリアSA2の境界と交わる点(臨界点CP2)から距離d12の位置にあり、プライマリシステムPS3と結ぶ直線上でサービスエリアSA3の境界と交わる点(同CP3)から距離d13の位置にある。セカンダリシステムAP2も同様であり、それぞれ臨界点から距離d21,d22,d23の位置にある。
【0016】
図2に示すように、セカンダリシステムAP1(およびAP2)は、インターネットなどのネットワークNWを介してスペクトル割当システム10と接続されている。実施形態のスペクトル割当システム10は、セカンダリシステムAP1(およびAP2)が利用可能な周波数スペクトルを決定する機能を有しており、セカンダリシステムAP1(およびAP2)は、スペクトル割当システム10が決定した周波数スペクトルにより運用する。
【0017】
スペクトル割当システム10は、ネットワークNWを介して位置データベース15(位置-DB)および諸元データベース16(諸元-DB)と接続されている。位置データベース15および諸元データベース16は、スペクトル割当システム10内に配設されていてもよい。スペクトル割当システム10は、通信制御部11、コンタ演算部12、電力演算部13および隣接チャネル演算部14(隣接Ch演算部)を有している。
【0018】
通信制御部11は、ネットワークNWの通信インタフェースであり、位置データベース15や諸元データベース16、セカンダリシステムAP1などとの通信を実現する。コンタ演算部12は、位置データベース15に格納された情報を用いて、プライマリシステムのサービスエリアや臨界点の位置などを算出する。電力演算部13は、諸元データベース16に格納された情報を用いて、対象となるセカンダリシステムAP1に許容される送信電力等を算出する。隣接チャネル演算部14は、プライマリシステムとセカンダリシステムとが隣接チャネルを利用する場合に生ずる混信計算等を実現する。
【0019】
位置データベース15は、プライマリシステムのコンタ図情報を格納している。コンタ図情報は、プライマリシステムの受信機が、最低限所要信号電力を達成することのできる領域の境界線情報を含んでいる。プライマリシステムがテレビ放送であれば、いわゆる放送エリアと対応させてもよい(すなわち、
図1のSA1〜SA3としてもよい)。位置データベース15は、プライマリシステムの運用者が作成したコンタ図情報を格納している。位置データベース15は、対象となる周波数帯を用いるプライマリシステム全てを網羅するため、公的機関や認可された事業者などにより運営されてもよい。
【0020】
諸元データベース16は、対象となる周波数帯を用いるプライマリシステムと、当該プライマリシステムと利用周波数帯が重複するセカンダリシステムとが、通信に用いる電波型式や送信電力など無線通信のための諸元情報を格納している。プライマリシステムの諸元情報は、実際にプライマリシステムが運用している周波数帯(チャネル)や送信電力、アンテナゲインなどを含んでいる。セカンダリシステムの諸元情報は、当該セカンダリシステムが規格上用いることのできる周波数帯(チャネル)や送信電力、アンテナゲインなどのうち取り得る組み合わせ全てを含んでいる。
【0021】
セカンダリシステムAP1は、アンテナ21、受信部22、送信部23、インタフェース部24(I/F部)、位置管理部25、通信設定部26および記憶部27などを有している。
図2に示す例では、セカンダリシステムAP1は、アクセスポイントとして機能する無線装置である。
【0022】
アンテナ21は、セカンダリシステムAP1の通信相手たるクライアント装置28(CL28)と無線通信するアンテナである。受信部22は、クライアント装置28から送られる無線信号を復号する。送信部23は、クライアント装置28へ送信する無線信号を生成する。インタフェース部24は、ネットワークNWを介してスペクトル割当システム10と通信するインタフェースである。
【0023】
位置管理部25は、セカンダリシステムAP1の位置情報を取得する。位置情報は、緯度や経度などからなりセカンダリシステムの現在地を示す情報である。位置管理部25は、例えばGPSデバイスを内蔵することで自ら自己の位置情報を取得することができる。あるいは、番地情報から緯度や経度などからなる地理的位置情報へ変換する変換サーバを用いることもできる。この場合、位置管理部25は、ユーザが与えた番地情報などを用いて、ネットワークNW上に備えられた変換サーバ(図示せず)から位置情報を取得することができる。位置管理部25は、所定のタイミングで自己の位置情報を取得して記憶部27に記憶させる。
【0024】
通信設定部26は、受信部22の受信周波数や送信部23の送信周波数、通信に用いる電波型式や送信電力など無線通信のための諸元情報を設定する。通信設定部26は、インタフェース部24を介してスペクトル割当システム10から利用可能な周波数スペクトル情報を取得して、セカンダリシステムAP1が通信に用いる諸元情報を生成して記憶部27に記憶させる。併せて、通信設定部26は、記憶部27に記憶された諸元情報に基づいて受信部22および送信部23の設定を制御する。記憶部27は、例えばメモリなどの記憶媒体であり、位置管理部25が取得した位置情報や、通信設定部26が取得した周波数スペクトル情報、同じく設定した諸元情報などを記憶する。
【0025】
(実施形態の動作)
続いて、
図1ないし3を参照して、実施形態のスペクトル割当システムの動作を説明する。通信ネットワークを確立するに当たって、セカンダリシステムAP1は、ネットワークNWを介して自己の位置情報をスペクトル割当システム10に送信し、スペクトル割当システム10から利用可能な周波数スペクトル情報を取得する。
【0026】
セカンダリシステムAP1の位置管理部25は、自己の位置情報を取得して記憶部27に記憶させる。通信設定部26は、インタフェース部24を介して、記憶部27に記憶された自己の位置情報をスペクトル割当システム10に送信する。スペクトル割当システム10の通信制御部11は、セカンダリシステムAP1から受け取った位置情報をコンタ演算部12に送る(ステップ31。以下「S31」のように称する。)。
【0027】
コンタ演算部12は、位置データベース15にアクセスし、受け取った位置情報に基づいて考慮すべきサービスエリア(対象エリア)を特定する。すなわち、位置データベース15に格納されたコンタ図情報のうち、セカンダリシステムAP1の位置関係から明らかに検討が不要なプライマリシステムに対応するコンタ図情報を、検討対象から除外して、検討すべき対象エリアを特定する(S32)。
【0028】
コンタ演算部12は、対象エリアを特定する際に伝搬損失を考慮する。例えば、セカンダリシステムAP1の既定の最大送信電力をPt
SSmax、位置データベース15に登録されたコンタ図情報に示されるプライマリシステムの最小所要信号電力(通信エリアの境界線における所要信号レベル)をPt
PSminとし、プライマリシステムの同一チャネル所要搬送波対干渉比(Carrier to Interference Ratio:CIR)をCIR
COとすると、プライマリシステムに混信を生ずるか否かはPt
SSmax-Pt
PSmin+CIR
COの値で判別できる。従って、伝搬損失モデルを適用すれば、セカンダリシステムAP1から混信を生じ得ないプライマリシステムやそのコンタ図情報を特定することができる。コンタ演算部12は、こうした手法により対象エリアを絞り込み検討対象のプライマリシステムを特定する。
【0029】
続いて、コンタ演算部12は、絞り込まれた対象エリアに存在するプライマリシステム(例えばPS1〜PS3)について、
図1に示す臨界点(例えばCP1〜CP3)の位置情報を算出する(S33)。臨界点CP1〜CP3は、プライマリシステムPS1〜PS3それぞれのサービスエリアSA1〜SA3を囲うコンタ図上(境界線上)に存在し、対象となるセカンダリシステムAP1に最も近い地点に位置する。臨界点は、プライマリシステムとの関係でセカンダリシステムが利用可能な周波数スペクトルを算出する際の基準点となるものである。コンタ演算部12は、対象エリア全てのプライマリシステムについて臨界点の位置を算出する。
図1に示す例では、臨界点は3つとなる。
【0030】
次に、電力演算部13は、コンタ演算部12が算出した各臨界点それぞれにおける所要信号電力レベルを取得する(S34)。プライマリシステムの所要信号電力レベルは、プライマリシステムのサービスを提供する事業者により伝搬モデルなどを用いて予め算出され、コンタ図上に電力レベルとして示されている。例えば、デジタル地上波放送(Digital Terrestrial Television: DTT)の所要信号電力レベルは、コンタ図上(通信エリアの境界線上)においてPt
PSmin=-73dBmであり、臨界点における所要信号電力レベルはこの値となる。なお、所要信号電力レベルは、プライマリシステムを運用する事業者の意向によるサービスエリアに基づいて決定されてもよい。例えば、プライマリシステムの事業者は、特定の町を越えたサービス提供を望むことがあり、この場合は所要信号電力レベルが任意に決定される。電力演算部13は、ネットワークNWを介して諸元データベース16にアクセスし、対象となるプライマリシステムの所要信号レベルを取得する。表1に臨界点におけるプライマリシステムの信号強度の例を示す。
【表1】
表1に示す例では、検討対象のチャネル数(プライマリシステムの数、臨界点の数)は8であり、例えばチャネル2のプライマリシステムは、チャネル2において-70dBm、隣接するチャネル1および3において-95dBmの信号レベルが必要であることがわかる。
【0031】
続いて、電力演算部13は、セカンダリシステムAP1の位置情報、臨界点の位置情報、セカンダリシステムAP1のアンテナ利得などを用いて、セカンダリシステムAP1から臨界点までの経路損失(伝搬損失)を算出する(S35)。
図1に示す例では、セカンダリシステムAP1について距離d11,d12,d13の伝搬損失が計算される。
【0032】
プライマリシステムの臨界点における所要信号電力レベル、セカンダリシステムAP1から臨界点までの経路損失を算出すると、電力演算部13は、チャネル毎(臨界点毎)の演算処理を開始する(S36)。
【0033】
電力演算部13は、チャネルNにプライマリシステムの信号が存在するかを判定する(S37)。このとき判定対象となるプライマリシステムの母集団は、ステップ32にて対象が絞られたものとなる。
【0034】
チャネルNにプライマリシステムが存在する場合(S37のYes)、電力演算部13は、諸元データベース16にアクセスして、既存のセカンダリシステム(例えばセカンダリシステムAP2)の諸元情報(例えば位置情報、送信電力、スペクトルマスクなど)が利用可能であるかチェックする(S38)。すなわち、電力演算部13は、スペクトル割当を検討するセカンダリシステム以外のセカンダリシステムの有無を確認する。
【0035】
既存のセカンダリシステムが存在しない場合(S38のNo)、電力演算部13は、セカンダリシステムAP1の許容送信電力を設定する(S39)。セカンダリシステムAP1に許容される電力P
SS(N)は、
P
SS(N)=P
PSmin-CIR+PL
SS
にて与えられる。ここで、P
PSminはプライマリシステムの最小所要信号電力レベル、CIRはプライマリシステムの所要搬送波対混信比、PL
SSは臨界点までの伝搬損失である。
【0036】
既存のセカンダリシステムが存在する場合(S38のYes)、電力演算部13は、既存のセカンダリシステムについて臨界点における信号電力レベルの和P’(=Σ(P’
SS―PL’
SS))を計算する(S40)。
【0037】
続いて、電力演算部13は、セカンダリシステムAP1の許容送信電力P
SS(N)(=10*Log
10[10^{(P
PS-CIR)/10}-10^(P’/10)]+PL
SS)を算出する(S41)。
【0038】
ステップ37においてチャネルNにプライマリシステムが存在しない場合(S37のNo)、セカンダリシステムAP1にはデフォルトの最大電力が許容送信電力として仮に与えられる(S42)。
【0039】
電力演算部13は、全ての取り得るチャネルについて計算が終了したか確認する(S43)。全てのチャネルについて計算が終了していない場合(S43のNo)、ステップ37から処理を繰り返す(S44,37〜43)。すなわち、関係する全てのプライマリシステム(あるいはチャネル・臨界点)について処理を繰り返す。
【0040】
全チャネルの計算が終了すると(S43のYes)、電力演算部13は、ステップ36〜44の演算処理で仮に設定した許容送信電力のうち、電力レベルが最大となるチャネルおよび許容送信電力レベルを、セカンダリシステムAP1の利用可能チャネルおよび許容送信電力として決定する(S45)。具体的には、電力演算部13は、3つの連続したチャネルを1つのセットとして考え、選択されたセットの3つのチャネルの許容送信電力の相違が所定の範囲内に収まっており、かつ、当該セットの3つのチャネルの中心チャネルにおける許容送信電力が最大となるものを選択する。3つのチャネルの許容送信電力の相違は、チャネルをN−1,N,N+1とすると、(P
SS(N-1)
2+P
SS(N)
2+P
SS(N+1)
2)/3-{(P
SS(N-1)+P
SS(N)+P
SS(N+1))/3}
2にて与えられる。
【0041】
隣接チャネル演算部14は、以上により決定されたセカンダリシステムAP1の許容送信電力が同一チャネルおよび隣接チャネル干渉制約を満足するか否か確認する(S46)。確認の結果、隣接チャネルとの関係で混信を生ずる場合は、当該決定された許容送信電力をさらに低減する。通信制御部11は、最終的に確定したチャネルおよび許容送信電力を、位置情報を送信したセカンダリシステムAP1に送信する。通信制御部11は、最終的に確定したチャネルおよび許容送信電力を諸元データベース16に送って登録させてもよい。セカンダリシステムAP1の通信設定部26は、インタフェース部24を介して受け取ったチャネルおよび許容送信電力に基づいて諸元情報を生成し、受信部22および送信部23を設定する。
【0042】
ここで、
図4Aないし4Cを参照して、ステップ45の許容送信電力決定について詳細に説明する。
図4Aないし4Cは、チャネル毎に仮設定された許容送信電力を図示した例を示している。セカンダリシステムAP1と各プライマリシステムの臨界点との距離は様々であり、各臨界点におけるプライマリシステムの所要信号電力レベルもそれぞれ異なることから、
図4Aないし4Cに示すように、セカンダリシステムAP1の許容送信電力はチャネル毎に異なった値となる。
【0043】
図4Aに示すように、電力演算部13は、まず3つの連続したチャネルのセットとしてチャネル1〜3を選択し、その中心チャネルであるチャネル2の電力レベルを保持する。次いで、電力演算部13は、チャネル2〜4、チャネル3〜5を順に選択し、各々の中心チャネルの電力レベルを保持していく。最終的に、電力演算部13は、セカンダリシステムAP1が利用可能なチャネル群の中から、連続する3つのチャネルそれぞれにおける許容送信電力レベルの差が所定の値範囲内であり、かつ、3つのチャネルの中心のチャネルにおける許容送信電力レベルが最も大きいチャネルのセットを選択する。電力演算部13は、選択したセットの中心のチャネルおよび対応する許容送信電力をセカンダリシステムAP1に許容するチャネルおよび送信電力レベルと決定する。
【0044】
図4Bに示す例では、チャネル6〜8のセットは、中心チャネル7の許容送信電力レベルが最も大きいが、一方でチャネル6〜8それぞれの許容送信電力レベルの相違も大きい。この場合、チャネル7の許容送信電力をセカンダリシステムAP1に使用させてしまうと、セカンダリシステムAP1のチャネル6への漏洩電力レベルがチャネル6の許容送信電力レベルを超えてしまう。これは、隣接チャネルとの関係で混信を生ずることを意味する。これを防ぐには、セカンダリシステムAP1のチャネル7での送信電力を大幅に低減しなければならない(
図4B中矢印)。
【0045】
図4Cに示す例では、チャネル2〜4のセットは、中心チャネル3の許容送信電力レベルがチャネル7よりも低いが、チャネル2〜4それぞれの相違も小さい。すなわち、隣接チャネルの許容送信電力も大きいから、中心チャネル3の許容送信電力レベルをセカンダリシステムAP1に使用させたとしても、隣接チャネルへの影響が小さくなる。従って、電力演算部13は、
図4Cのようなセットを選択する。
【0046】
(隣接チャネルを考慮した電力設定)
ここで、
図5ないし7を参照して、
図3のステップ46に示す同一チャネルおよび隣接チャネル干渉制約の確認動作について説明する。ステップ46の動作は、ステップ45および
図4A〜4Cが示すコンセプトにより決定したチャネルおよび許容送信電力レベルを確認するものである。
【0047】
一般に、無線装置が電波を発射すると、送信電波の周波数スペクトルは、当該無線装置の通信チャネルだけでなくその両隣のチャネルにも拡がってしまう。また、無線装置の受信部は、通信に用いるチャネルだけでなく、隣接チャネルの周波数スペクトルも併せて受信している。仮に、セカンダリシステムが、プライマリシステムの使用していないチャネルで電波を発射したとしても、その隣接チャネルをプライマリシステムが使用していた場合、プライマリシステムの受信装置はセカンダリシステムからの電波も受信してしまう。また、プライマリシステムの受信装置は、セカンダリシステムから隣接チャネルに漏洩する電波も受信してしまう。従って、セカンダリシステムAP1の電力レベルによっては混信を生じる可能性がある。隣接チャネル演算部14は、隣接チャネルへの漏れ電波が与える影響を考慮した混信確認を行う。
【0048】
隣接チャネル演算部14は、諸元データベース16に記録されたプライマリシステムの諸元情報に基づき、チャネルN−1に存在するプライマリシステムからチャネルNに漏洩する電力レベルP
PS(N-1,N)を算出する(S51)。これは
図6の斜線部のスペクトルである。
【0049】
続いて、隣接チャネル演算部14は、Δ
1=P
PS(N-1,N)-P
SS(N)-CIR
adjを演算する(S52)。ここで、P
SS(N)はチャネルNにおけるセカンダリシステムAP1の送信電力レベル、CIR
adjはプライマリシステムの隣接チャネル所要搬送波対混信比である。Δ
1は、チャネルN−1のプライマリシステムの受信機がチャネルNのセカンダリシステムAP1から混信を受ける指標であり、Δ
1が正であればプライマリシステムは隣接チャネルのセカンダリシステムAP1から混信を受けることはない(S53のYes)。
【0050】
Δ
1が0未満である場合(S53のNo)、許容送信電力レベルにΔ
1を加算する(S54)。
【0051】
続いて、隣接チャネル演算部14は、諸元データベース16に記録されたプライマリシステムの諸元情報に基づき、チャネルN+1に存在するプライマリシステムからチャネルNに漏洩する電力レベルP
PS(N+1,N)を算出する(S55)。これは、ステップ51における電力レベルの逆側のチャネルに相当する。
【0052】
隣接チャネル演算部14は、Δ
2=P
PS(N+1,N)-P
SS(N)-CIR
adjを演算する(S56)。ここで、P
SS(N)はチャネルNにおけるセカンダリシステムAP1の送信電力レベル、CIR
adjはプライマリシステムの隣接チャネル所要搬送波対混信比である。Δ
2は、チャネルN+1のプライマリシステムの受信機がチャネルNのセカンダリシステムAP1から混信を受ける指標であり、Δ
2が正であればプライマリシステムは隣接チャネルのセカンダリシステムAP1から混信を受けることはない(S57のYes)。
【0053】
Δ
2が0未満である場合(S57のNo)、許容送信電力レベルにΔ
2を加算する(S58)。
【0054】
ステップ51から58までの処理は、隣接チャネルを受信してしまうプライマリシステムが当該隣接チャネルにセカンダリシステムが存在した場合に受ける影響を計算するものである。
【0055】
続いて、隣接チャネル演算部14は、諸元データベース16に記録されたセカンダリシステムの諸元情報に基づき、チャネルNに存在するセカンダリシステムAP1からチャネルN−1に漏洩する電力レベルP
SS(N,N-1)(=P
SS(N)-ACLR)を演算する(S59)。ここで、ACLRは、セカンダリシステムAP1の隣接チャネル漏洩信号比(Adjacent Channel Leakage Ratio)であり、
図7の斜線部のスペクトルである。
【0056】
隣接チャネル演算部14は、Δ
3=P
PS(N-1)-P
SS(N,N-1)-CIR
adjを演算する(S60)。ここで、P
PS(N-1)はチャネルN−1におけるプライマリシステムの送信電力レベル、CIR
adjはプライマリシステムの隣接チャネル所要搬送波対混信比である。Δ
3は、チャネルN−1のプライマリシステムの受信機がチャネルNのセカンダリシステムAP1から混信を受ける指標であり、Δ
3が正であればプライマリシステムは隣接チャネルのセカンダリシステムAP1から混信を受けることはない(S61のYes)。
【0057】
Δ
3が0未満である場合(S61のNo)、許容送信電力レベルにΔ
3を加算する(S62)。
【0058】
続いて、隣接チャネル演算部14は、諸元データベース16に記録されたセカンダリシステムの諸元情報に基づき、チャネルNに存在するセカンダリシステムAP1からチャネルN+1に漏洩する電力レベルP
SS(N,N+1)(=P
SS(N)-ACLR)を演算する(S63)。ここで、ACLRは、セカンダリシステムAP1の隣接チャネル漏洩信号比(Adjacent Channel Leakage Ratio)である。これは、ステップ59における電力レベルの逆側のチャネルに相当する。
【0059】
隣接チャネル演算部14は、Δ
4=P
PS(N+1)-P
SS(N,N+1)-CIR
adjを演算する(S64)。ここで、P
PS(N+1)はチャネルN+1におけるプライマリシステムの送信電力レベル、CIR
adjはプライマリシステムの隣接チャネル所要搬送波対混信比である。Δ
4は、チャネルN+1のプライマリシステムの受信機がチャネルNのセカンダリシステムAP1から混信を受ける指標であり、Δ
4が正であればプライマリシステムは隣接チャネルのセカンダリシステムAP1から混信を受けることはない(S65のYes)。
【0060】
Δ
4が0未満である場合(S65のNo)、許容送信電力レベルにΔ
4を加算する(S66)。
【0061】
ステップ59から66までの処理は、セカンダリシステムから隣接チャネルに漏洩する信号を受信してしまうプライマリシステムが受ける影響を計算するものである。
【0062】
ステップ66までの演算処理の結果、許容送信電力レベルが、Δ
1〜Δ
4の加算処理により規定の最大送信電力よりも大きくなっている場合、隣接チャネルへの混信を生ずる可能性があることを示しているから、許容送信電力レベルを当該最大送信電力以下となるように低減させる(S67)。
【0063】
すなわち、ステップ51〜67の演算処理は、
図4Bのチャネル6における影響を検討していることになる。ステップ67における許容送信電力レベルの低減処理は、
図4Bの矢印に示す低減を行っていることになる。
【0064】
このように、実施形態のスペクトル割当システムは、検討すべきプライマリシステムを、臨界点の位置関係に基づいて絞り込むので、スペクトル割当てに要する演算時間を短縮することができる。また、実施形態のスペクトル割当システムでは、既存の他のセカンダリシステムの存在を考慮するので、プライマリシステムへ与える不測の混信を抑えることができる。さらに、実施形態のスペクトル割当システムでは、同一チャネルによる混信に加えて隣接チャネルによる混信をも考慮するので、プライマリシステムへの不測の混信をより確実に抑えることができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。