(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943281
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】削孔内充填物サンプル採取装置
(51)【国際特許分類】
E02D 1/04 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
E02D1/04
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-191085(P2012-191085)
(22)【出願日】2012年8月31日
(65)【公開番号】特開2014-47532(P2014-47532A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229667
【氏名又は名称】日本ヒューム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390018717
【氏名又は名称】旭化成建材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000177416
【氏名又は名称】三和機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089886
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 雅雄
(72)【発明者】
【氏名】野本禎久
(72)【発明者】
【氏名】太田慎司
(72)【発明者】
【氏名】新川照雄
(72)【発明者】
【氏名】中川靖文
(72)【発明者】
【氏名】重松秀和
(72)【発明者】
【氏名】田中敏男
(72)【発明者】
【氏名】鹿島和博
【審査官】
石井 哲
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−144914(JP,A)
【文献】
特開昭58−069994(JP,A)
【文献】
特開2011−080350(JP,A)
【文献】
特開2002−054382(JP,A)
【文献】
特開2002−161693(JP,A)
【文献】
特開2012−082617(JP,A)
【文献】
特開2002−054129(JP,A)
【文献】
特開2007−255137(JP,A)
【文献】
特開2010−261175(JP,A)
【文献】
特開2011−012534(JP,A)
【文献】
特開平07−180131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/04
E02D 1/06
E21D 49/00 − 49/10
G01N 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に作業用ロッドが着脱自在なジョイントを有する円筒状の外筒と、該外筒内に備えたアクチュエータと、該アクチュエータによって、該外筒の下端部内外にかけて上下移動可能なサンプリングブロックとを備え、
前記サンプリングブロックは、その上下両端部外周に、前記外筒の内周面との間を気密にシールする弾性シール材が備えられているとともに、軸方向の中間部位置に、中心側に窪ませた形状のサンプル収容部を有し、
該サンプリングブロックは、前記アクチュエータにより、前記サンプル収容部が全長に亘って前記外筒内に引き込まれて該サンプル収容部の外周が気密状態に閉鎖される位置と、前記サンプル収容部の下端部が前記外筒下端下に到ることによりサンプル導入部が開口される位置との間をスライド動作されるようにし、
且つ、前記外筒には、前記サンプル導入部が開放された位置にあるときに前記サンプル収容部の上端に連通される排気窓を備え、
前記サンプリングブロックには、該サンプリングブロックが外筒内に引き込まれてサンプル導入部が閉じられた状態の時に前記排気窓を閉鎖し、同サンプリングブロックの下端が前記外筒下端より押し出されて前記サンプル導入部が開かれたときに前記排気窓を開く排気窓開閉部を備えてなる削孔内充填物サンプル採取装置。
【請求項2】
前記外筒下端部周壁には、前記サンプリングブロックが該外筒内に最も引き込まれた位置での前記サンプル収容部下端部に連通するサンプル排出口を開閉蓋により開閉可能に備えてなる請求項1に記載の削孔内充填物サンプル採取装置。
【請求項3】
前記サンプリングプロックは、円柱状の上端閉鎖部と、同じく円柱状の下端閉鎖部と、該両閉鎖部の中心部間に介在させた軸部とをもって構成され、該軸部の周囲をサンプル収容部としてなる請求項1又は2に記載の削孔内充填物サンプル採取装置。
【請求項4】
前記外筒は、杭挿入穴形成用の掘削ヘッドの中心軸を構成している請求項1〜3の何れか1に記載の削孔内充填物サンプル採取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてプレボーリング工法や中堀工法によるプレキャストコンクリート杭の地中埋設に際し、プレキャストコンクリート杭建て込み用の削孔内に充填されたソイルセメント等の充填物のサンプルを採取するための削孔内充填物サンプル採取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プレキャストコンクリート杭の地中埋設方法としてプレボーリング工法がある。これは、地中にプレキャストコンクリート杭建て込み用の縦穴を削孔し、その中に、ソイルセメントからなる充填物を充填した状態でプレキャストコンクリート杭を挿入し、建て込むものである。
【0003】
また、プレキャストコンクリート杭埋設方法として、中堀工法があり、これは、中空筒状のプレキャストコンクリート杭の先端側を、該プレキャストコンクリート杭内を通して先行させる杭挿入穴形成用の掘削ヘッドにより削孔しつつプレキャストコンクリート杭地中に挿入するものである。
【0004】
近年、これらの工法のいずれにおいても、プレキャストコンクリート杭の支持力を高めるために、プレキャストコンクリート杭下端に該プレキャストコンクリート杭より径の大きい拡大球根をソイルセメントにより形成し、その中にプレキャストコンクリート杭の下端を埋設する拡大根固め球根杭が開発されている。
【0005】
上記の何れの工法においても、孔内に水を注入しつつ削孔し、その水と削孔内に残した土砂にセメントミルクを注入して撹拌したソイルセメントを充填し、その中にプレキャストコンクリート杭を挿入して地盤と一体化させるようにしている。
【0006】
この時のソイルセメントの品質の程度によって、施工後の杭の支持力が大きく左右されるものであり、特にセメントミルクの注入による場所打ち根固め拡大球根を用いた杭においては、大荷重に耐え得るように施工するものであるため、ソイルセメントの品質を一定以上に保つことが重要であり、また、施工後の状況を記録しておくためにも、ソイルセメントのサンプルを採取し、品質の確認、記録が必要となっている。
【0007】
この種の削孔内充填物のサンプルを採取する装置として、従来、スクリュー羽付の掘削ヘッドの周囲に、回転方向側に向けて内管と外管とからなる採取容器を取り付け、内管を油圧シリンダーで移動させることによって内管に設けた開口が開閉されるようにした装置(例えば特許文献1)や、有底筒状の容器と、その開口部を閉鎖するフランジを容器内外に位置させて固定した作動軸を備え、軸のソイルセメント内への押し込み操作又は引き抜き操作によって、開口部が前記フランジによって開閉されることによりサンプルを採取するようにした装置(例えば特許文献2)、更には、試料採取ロッドに上下に間隔を隔てた開口部を備え、試料採取ロッドを回転させつつスライド板を移動させて開口部を開くことにより試料を採取するようにした装置(例えば特許文献3)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−12534号公報
【特許文献2】特開2010−261175号公報
【特許文献3】特開平7−180131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような従来の削孔内充填物サンプル採取装置においては、例えば、中堀工法におけるプレキャストコンクリート杭の建て込みのように、下端下の根固め部分には高品質のソイルセメントが充填され、上部のプレキャストコンクリート杭の空洞内の充填物とは品質が異なるような場合において、サンプルを採取するための開口部、即ち採取容器のサンプル流入部外に、予定したサンプル採取位置以外の位置の土砂が付着していると、これが必要採取位置のサンプルに混入して採取されるという問題があった。
【0010】
また、従来の削孔内充填物サンプル採取装置は、採取容器の開閉構造が複雑であり、特許文献1に示されているように掘削ヘッドの外周に突設する構造のものは、掘削のための機能が損なわれ、掘削抵抗が大きくなるという問題がある。
【0011】
本発明はこのような従来の問題に鑑み、予定したサンプル採取位置のみの充填物が採取されるとともに、地上での取り出し時に他の土砂等の混入の可能性をなくし、更に、サンプル採取装置単独としてもその構造が従来の装置に比べて、シンプルであり、更に、杭挿入穴形成用の掘削ヘッドに装備することが容易であり、その場合の掘削抵抗も大きくなることがなく、且つ採取サンプルの導入が装置の少ない移動量によって確実になされる削孔内充填物サンプル採取装置の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に記載の削孔内充填物サンプル採取装置の特徴は、上端に作業用ロッドが着脱自在なジョイントを有する円筒状の外筒と、該外筒内に備えたアクチュエータと、該アクチュエータによって、該外筒の下端部内外にかけて上下移動可能なサンプリングブロックとを備え、
前記サンプリングブロックは、その上下両端部外周に、前記外筒の内周面との間を気密にシールする弾性シール材が備えられているとともに、軸方向の中間部位置に、中心側に窪ませた形状のサンプル収容部を有し、
該サンプリングブロックは、前記アクチュエータにより、前記サンプル収容部が全長に亘って前記外筒内に引き込まれて該サンプル収容部の外周が気密状態に閉鎖される位置と、前記サンプル収容部の下端部が前記外筒下端下に到ることによりサンプル導入部が開口される位置との間をスライド動作されるようにし、
且つ、前記外筒には、前記サンプル導入部が開放された位置にあるときに前記サンプル収容部の上端に連通される排気窓を備え、
前記サンプリングブロックには、該サンプリングブロックが外筒内に引き込まれてサンプル導入部が閉じられた状態の時に前記排気窓を閉鎖し、同サンプリングブロックの下端が前記外筒下端より押し出されて前記サンプル導入部が開かれたときに前記排気窓を開く排気窓開閉部を備えたことにある。
【0013】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記外筒下端部周壁には、前記サンプリングブロックが該外筒内に最も引き込まれた位置での前記サンプル収容部下端部に連通するサンプル排出口を開閉蓋により開閉可能に備えたことにある。
【0014】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記サンプリングプロックは、円柱状の上端閉鎖部と、同じく円柱状の下端閉鎖部と、該両閉鎖部の中心部間に介在させた軸部とをもって構成され、該軸部の周囲をサンプル収容部としたことにある。
【0015】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1〜3の何れか1の構成に加え、前記外筒は、杭挿入穴形成用の掘削ヘッドの中心軸を構成していることにある。
【発明の効果】
【0016】
本発明の削孔内充填物サンプル採取装置は、請求項1に記載のように、円筒状の外筒と、該外筒内に備えたアクチュエータと、該アクチュエータによって、該外筒の下端部内外にかけて上下移動可能なサンプリングブロックとを備え、前記サンプリングブロックは、その上下両端部外周に、前記外筒の内周面との間を気密にシールする弾性シール材が備えられているとともに、軸方向の中間部位置に、中心側に窪ませた形状のサンプル収容部を有し、該サンプリングブロックは、前記アクチュエータにより、前記サンプル収容部が全長に亘って前記外筒内に引き込まれて該サンプル収容部の外周が気密状態に閉鎖される位置と、前記サンプル収容部の下端部が前記外筒下端下に到ることによりサンプル導入部が開口される位置との間をスライド動作されるようにしたことにより、外径が油圧シリンダー等のアクチュエータ及び円柱状をしたサンプリングブロックが収容できる太さがあれば良く、しかもサンプリングブロックの出入動作を行わせるのみで、所望の位置の充填材サンプルの採取が、異物を含むことなく、的確になされる。
また、前記外筒には、前記サンプル導入部が開放された位置にあるときに前記サンプル収容部の上端に連通される排気窓を備え、前記サンプリングブロックには、該サンプリングブロックが外筒内に引き込まれてサンプル導入部が閉じられた状態の時に前記排気窓を閉鎖し、同サンプリングブロックの下端が前記外筒下端より押し出されて前記サンプル導入部が開かれたときに前記排気窓を開く排気窓開閉部を備えた構造としていることにより、サンプル収容部内には空気が充填された状態で所望のサンプル採取深さまで挿入され、その位置でサンプリングブロックを外筒下側に動作させることによってサンプル導入部と排気窓が同時に開き、サンプル収容部内の空気が浮力によって上昇する際にサンプル導入部にサンプル吸引力が作用されることとなり、サンプル収容部内へのサンプルの導入が強制的になされることとなり、確実なサンプル採取がなされる。
更に、サンプル収容部の上下に位置するサンプル導入部と排気窓が同時に開くようにしていることにより、サンプリングブロックの移動量が少なくて済み、使用するアクチュエータもストロークの小さい小型のものを使用でき、小型化とコストの削減化が達成される。
【0017】
更に、全体の外径が単なる円柱状となるため、これを掘削ヘッドの中心軸に置き換えて設計することにより、掘削ヘッドの形状を従来と略同じ大きさとし、しかもサンプル採取機能を持たせることができることとなり、掘削ヘッドへの装備が容易となる。
【0018】
本発明においては、請求項2に記載のように、前記外筒下端部周壁には、前記サンプリングブロックが該外筒内に最も引き込まれた位置での前記サンプル収容部下端部に連通するサンプル排出口を開閉蓋により開閉可能に備えたことにより、地上でのサンプルの取り出しが容易となる。
【0019】
本発明においては、請求項3に記載のように、前記サンプリングプロックは、円柱状の上端閉鎖部と、同じく円柱状の下端閉鎖部と、該両閉鎖部の中心部間に介在させた軸部とをもって構成され、該軸部の周囲をサンプル収容部としたことにより、サンプリングブロックの形状がシンプルであり加工が容易となり、コストを低減できる。
【0020】
本発明においては、請求項4に記載のように、前記外筒は、杭挿入穴形成用の掘削ヘッドの中心軸を構成させることにより、掘削ヘッドへの装備が容易となり、この装備によって掘削ヘッドの掘削抵抗の増大を来たさない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る削孔内充填物サンプル採取装置の一例の要部を示す縦断面図である。
【
図2】同上のサンプル採取動作を示す縦断面図である。
【
図4】
図1〜
図3に示した削孔内充填物サンプル採取装置を装備した掘削ヘッドの一例の正面図である。
【
図7】
図3に示す掘削ヘッドの使用状態を示す縦断面図である。
【
図8】
図7に示す使用状態におけるサンプル導入状態を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に本発明の実施の態様を図面に示した実施例に基づいて説明する。
【0023】
図に示す実施例は、本発明に係る削孔内充填物サンプル採取装置を、プレキャストコンクリート杭挿入穴形成用の掘削ヘッドA内に設置した場合を示している。
【0024】
図において1は、掘削ヘッドAの中心軸部を構成する円筒状の外筒であり、この外筒1の外周には、
図4〜
図6に示すように、リボン型のスクリュー翼40が固着されており、その下端には複数の掘削ビット41が突設されている。外筒1の上端には、後述する作業用ロッド42の下端に備えたジョンイント43に対して着脱自在掘削操作軸に連結するためのジョイント3を一体に備えている。
【0025】
このジョイント3には、
図1、
図2に示すように、後述するアクチュエータを構成している油圧シリンダー4にオイルを供給するための油圧流路5及び掘削の際の給水及び掘削後のセメントミルク注入のための給液流路6が開口されており、両ジョイント3,43を互いに連結することによって、これらの各流路5,6が作業用ロッド42のジョイント43の下端に形成したそれぞれに対応する流路(図示せず)に連通されるようになっている。
【0026】
油圧シリンダー4は、シリンダー部10にその内部を上下に仕切る配置にピストン11が軸方向に摺動自在に挿入され、該ピストン11は中空筒状の動作軸12の下端に固定されている。動作軸12は、シリンダー部10の上端側を貫通し、ジョイント3下の外筒1上端内に固定されている。ピストン11によって上下に仕切られている油圧室13a,13bの何れかに油圧を導入することにより、シリンダー部10が、上又は下に移動されるようになっている。
【0027】
シリンダー部10の下端にはサンプリングブロック20の上端が固定されており、シリンダー部10の上下動作により、外筒1に対して相対的に上下動作されるようになっている。
【0028】
サンプリングブロック20は、その上下両端部外周に、前記外筒の内周面との間を気密にシールする弾性シール材21,21が備えられているとともに、軸方向の中間部位置に、中心側に窪ませた形状のサンプル収容部22を有している。
【0029】
更に具体的には、この例のサンプリングプロック20は、円柱状の上端閉鎖部23と、同じく円柱状の下端閉鎖部24と、該両閉鎖部の中心部間に介在させた軸部25とをもって構成され、軸部25の周囲をサンプル収容部22としている。
【0030】
サンプリングブロック20は、油圧シリンダー4により、
図1に示すようにサンプル収容部22が全長に亘って外筒1内に引き込まれ、サンプル収容部22の外周が気密状態に閉鎖される位置と、
図2に示すように、サンプル収容部22の下端部が外筒1の下端下に到ることによりサンプル導入部22aが開口される位置との間をスライド動作されるようになっている。
また、外筒1には、サンプル導入部22aが開放された位置にあるときにサンプル収容部の上端に連通される排気窓22bを備えているとともに、サンプリングブロック20には、外筒内に引き込まれてサンプル導入部22aが閉じられた状態の時に排気窓を閉鎖し、同サンプリングブロック20の下端が外筒1の下端より押し出されてサンプル導入部22aが開かれたときに排気窓22bを開く排気窓開閉部28を備えている。
排気窓開閉部28は、外筒1の内周面に摺動する円筒状に形成されており、
図3に示すように、軸部25に対し、放射状の対軸部間連結部28aによって連結されている。これによってサンプル収容部22は、排気窓開閉部28内を通じて上下が連通した構造となっている。
排気窓開閉部28には、その上下の外周面に外筒1との間を気密にシールするパッキン29,29が装着され、これによって、排気窓開閉部28が、排気窓22bを閉鎖する位置にあるとき、排気窓22bとサンプル収容部22内とは気密にシールされるようになっている。
【0031】
外筒1の下端部周壁には、サンプリングブロック20が外筒1内に最も引き込まれた位置でのサンプル収容部22の下端部内に連通するサンプル排出口26が備えられ、ねじ込み式の開閉蓋27により開閉可能としている。
【0032】
サンプリングブロック20の中心には軸輪方向に向けた貫通孔30が形成されており、この貫通孔30内に、液材供給管31が挿入されている。この液材供給管31は、上端が油圧シリンダー部10の動作軸12と同軸配置となるようにピストン11に固定されており、シリンダー部10の下端側閉鎖部10bを貫通してサンプリングブロック20の貫通孔30内に挿通されており、サンプリングブロック20が、
図1に示すように外筒1内に引き込まれた状態で、液材供給管31の下端が、下端閉鎖部24の下面中央に露出して開口されるようになっている。
【0033】
この液材供給管31は、杭挿入穴掘削のための掘削水や掘削作業後におけるセメントミルク等の液状材を吐出させるためのものである。
【0034】
外筒1の下端外周と、サンプリングブロック20の下端外周には、それら相互の円周方向側の角度を規制するガイド35が備えられている。このガイド35は、外筒1の下端外周面に固定した一対のガイド溝構成片36a,36aと、サンプリングブロック20の下端外周に上向きに突設したガイド突起構成片37とからなり、
図1に示すようにサンプリングブロック20が外筒1内に最も引き込まれた状態の時に、ガイド突起構成片37が、外筒1のガイド溝構成片36a,36a間のガイド溝36内に挿入されるようになっている。
【0035】
次に、このように構成される削孔内充填物サンプル採取装置の使用について説明する。例えばプレボーリング工法において使用する場合には、
図6に示すように、一般に使用されている縦穴掘削用の削孔機の作業用ロッド42の下端に掘削ヘッドAを連結し、サンプリングブロック20を外筒1の下端内に引き込んだ状態で穿孔作業用を行い、形成されたプレキャストコンクリート杭建て込み用の縦穴C内に、掘削ヘッド下端の液材供給管を通してセメントミルク注入し、縦穴C内の泥土にセメントミルクを混合させてソイルセメントからなる充填物Bとする。
【0036】
この充填物Bの充填作業が完了した後、必要高さ位置の充填物Bのサンプルを掘削ヘッドAに備えたサンプル採取装置により採取する。採取に際しては、掘削ヘッドAの下端を所望のサンプル採取高さに位置させ、油圧シリンダー4に外筒1の下端からサンプリングブロック20を、
図2に示すようにサンプル収容部22の下端が露出してサンプル導入部22aが開かれる位置まで押し出す。
【0037】
これと同時に排気窓22bが開かれ、
図8に示すように、サンプル収容部22内に存在していた空気aが浮力によって該排気窓22bから上方に上昇する。このサンプル収容部22内の排気によってサンプル収容部22内が減圧され、その際の負圧によりサンプル導入部22aから充填物Bが吸引され、サンプル収容部22内は充填物Bのサンプルbで満たされる。然る後、
図1に示すように、油圧シリンダー4をサンプリングブロック20を外筒内に引き込む側に作動させることにより、サンプル収容部22内に充填物Bのサンプルbを収容した状態で、サンプル導入部22a及び排気窓22bが閉じられ、サンプル収容部22内が密閉される。
【0038】
この状態で掘削ヘッドAを地上まで引き上げ、地上においてサンプル排出口26下に容器を置いてサンプル排出口26を開き、内部のサンプルを流下させて容器内に取り出し、サンプルの性状検査、テストピースの作成などの各種の検査に供する。
【0039】
尚、上述した実施例では、外周にスクリュー翼を固定し、その下端に掘削ビットを固定した掘削ヘッドの中心軸に本発明の削孔内充填物サンプル採取装置を装備した場合を示しているが、この掘削ヘッドは、外周の回転半径を可変にした拡大掘削刃を有する拡大球根付杭の掘削ヘッドの中心軸に装備してもよく、更に、外筒の外周に撹拌翼のみを突設し、セメントミルクを注入して撹拌するソイルセメント充填装置の中心軸に装備したものであってもよい。
【0040】
更に上述の他、外筒の外周には何も付属させない状態の削孔内充填物サンプル採取装置の機能のみを持たせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0041】
A 掘削ヘッド
B 充填物
a 空気
b サンプル
C プレキャストコンクリート杭建て込み用の縦穴
1 外筒
3 ジョイント
4 油圧シリンダー
5 油圧流路
6 給液流路
10 シリンダー部
10b 下端側閉鎖部
11 ピストン
12 動作軸
13a,13b 油圧室
20 サンプリングブロック
21 弾性シール材
22 サンプル収容部
22a サンプル導入部
22b 排気窓
23 上端閉鎖部
24 下端閉鎖部
25 軸部
26 サンプル排出口
27 開閉蓋
28 排気窓開閉部
28a 対軸部間連結部
29 パッキン
30 貫通孔
31 液材供給管
35 ガイド
36 ガイド溝
36a ガイド溝構成片
37 ガイド突起構成片
40 スクリュー翼
41 掘削ビット
42 作業用ロッド
43 ジョンイント