(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943289
(24)【登録日】2016年6月3日
    
      
        (45)【発行日】2016年7月5日
      
    (54)【発明の名称】垂直離着陸飛行体
(51)【国際特許分類】
   B64C  27/26        20060101AFI20160621BHJP        
   B64D  27/24        20060101ALI20160621BHJP        
   B64C   3/38        20060101ALI20160621BHJP        
   B64D  47/08        20060101ALI20160621BHJP        
   B64D  41/00        20060101ALI20160621BHJP        
   B64C  37/00        20060101ALI20160621BHJP        
   B60F   5/02        20060101ALI20160621BHJP        
【FI】
   B64C27/26
   B64D27/24
   B64C3/38
   B64D47/08
   B64D41/00
   B64C37/00
   B60F5/02
【請求項の数】18
【全頁数】22
      (21)【出願番号】特願2015-511830(P2015-511830)
(86)(22)【出願日】2014年10月29日
    
      (86)【国際出願番号】JP2014079382
    
      (87)【国際公開番号】WO2015064767
(87)【国際公開日】20150507
    【審査請求日】2015年4月22日
      (31)【優先権主張番号】特願2013-237370(P2013-237370)
(32)【優先日】2013年10月30日
(33)【優先権主張国】JP
    【早期審査対象出願】
      
        
          (73)【特許権者】
【識別番号】500111806
【氏名又は名称】荒井  優章
        
      
      
        (72)【発明者】
          【氏名】荒井  優章
              
            
        
      
    
      【審査官】
        志水  裕司
      
    (56)【参考文献】
      
        【文献】
          欧州特許出願公開第00356541(EP,A1)    
        
        【文献】
          中国特許出願公開第101844619(CN,A)      
        
        【文献】
          国際公開第2007/108794(WO,A1)    
        
        【文献】
          米国特許出願公開第2007/0069065(US,A1)    
        
        【文献】
          特表2003−530268(JP,A)      
        
        【文献】
          国際公開第2011/144696(WO,A1)    
        
        【文献】
          特許第5162714(JP,B1)    
        
        【文献】
          特開2014−037219(JP,A)      
        
      
      
        【文献】
          MURAOKA, Koji,Quad Tilt Wing VTOL UAV: Aerodynamic Characteristics and Prototype Flight Test,AIAA Infotech@Aerospace Conference,米国,American Institute of Aeronautics and Astronautics,2009年  4月  7日,p. 1-10,AIAA 2009-1834
        
      
    (58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C    27/22        −  27/30
B60F      5/02        
B64C      3/38        −    3/56
B64C    37/00        −  37/02
B64D    27/24        
B64D    41/00        
B64D    47/08        
(57)【特許請求の範囲】
                        【請求項1】
                              複数の翼で構成され機体上部に取り付けられる各翼の平面部が水平から垂直方向に可動な可動式翼を有する垂直離着陸飛行体であって、
  前記複数の翼には、噴射風を発生させる噴射風発生装置が配設され、
  各噴射風発生装置の直後近傍には、前記機体の進行方向を制御する方向舵と前記機体の上昇・下降・方向を制御するフラップが配設され、
  前記それぞれの可動式翼には、前記機体の方向・上昇・下降・回転・位置・機体姿勢・速度・高度・障害物との距離を検出する各センサーが配設され、
  前記機体には、前記各センサーからの検出情報により姿勢制御を行う制御部が配設されていることを特徴とする垂直離着陸飛行体。
                        
                        【請求項2】
                              前記噴射風発生装置は、前記機体と前記複数の翼の先端との中間部に配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の垂直離着陸飛行体。
                        
                        【請求項3】
                              前記噴射風発生装置は、ハイブリット式レシプロエンジン又はターボプロップジェットエンジンであることを特徴とする請求項1に記載の垂直離着陸飛行体。
                        
                        【請求項4】
                              前記噴射風発生装置は、前記各エンジンとモータを併用したハイブリッドで構成されることを特徴とする請求項3に記載の垂直離着陸飛行体。
                        
                        【請求項5】
                              前記ハイブリッドの方式は、短時間モータだけの作動が可能なパラレル方式であることを特徴とする請求項4に記載の垂直離着陸飛行体。
                        
                        【請求項6】
                              前記複数の翼は、他の翼とは非連動で翼ごとに作動することを特徴とする請求項1に記載の垂直離着陸飛行体。
                        
                        【請求項7】
                              前記複数の翼に配設される噴射風発生装置は、他の翼とは非連動して翼ごとに作動することを特徴とする請求項1に記載の垂直離着陸飛行体。
                        
                        【請求項8】
                              前記複数の翼は、いずれも機体水平方向から垂直方向にかけて100度以内の角度で作動可能であることを特徴とする請求項1に記載の垂直離着陸飛行体。
                        
                        【請求項9】
                              前記複数の翼は、いずれの角度も個別の角度に作動可能であることを特徴とする請求項1に記載の垂直離着陸飛行体。
                        
                        【請求項10】
                            
前記位置・機体姿勢・速度・高度・障害物との距離を検出する各センサーは、GPS・ジャイロセンサー・近接センサー・高度センサー・速度センサーであることを特徴とする請求項1に記載の垂直離着陸飛行体。
                        
                        【請求項11】
                              前記機体には、機体全方向の映像を瞬間的に把握可能にした撮像装置が搭載されていることを特徴とする請求項1に記載の垂直離着陸飛行体。
                        
                        【請求項12】
                              前記各エンジンは、飛行機用の高回転エンジンであることを特徴とする請求項3に記載の垂直離着陸飛行体飛行体。
                        
                        【請求項13】
                              前記機体は、バッテリーを備え、該バッテリーの充電は、前記各エンジンに取り付けた発電機で充電を行う発電機充電方式、または、着陸時にプラグインで充電するプラグイン充電方式が併用されていることを特徴とする請求項3,4または12のいずれかに記載の垂直離着陸飛行体。
                        
                        【請求項14】
                              前記翼を設ける枚数は、二枚を最小限とし、最大限で三枚〜五枚までであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の垂直離着陸飛行体。
                        
                        【請求項15】
                              前記翼は、三枚以上の配設時は、機体中央に配設された翼は機体前後に1m〜2m移動することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の垂直離着陸式飛行体。
                        
                        【請求項16】
                              小型の垂直尾翼式方向舵及び/又は小型のテールローターを前記機体の最前部の翼と最後部の翼の噴射風発生装置の後方に配設したことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の垂直離着陸式飛行体。
                        
                        【請求項17】
                              機体姿勢、進行方向及び移動速度の制御は、前記翼と複数の噴射風発生装置の推進力をコントロールして行うことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の垂直離着陸式飛行体。
                        
                        【請求項18】
                          バス又は自動車の側面に格納式の翼を配設したことを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の垂直離着陸飛行体。
                    
                    【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、機体上部に取り付けた角度可動式の複数翼に風噴射装置を設けた垂直離着陸飛行体に関するものであり、特に、小型機から大型機まで10,000m以上の高空巡航、高空でのホバリング、水面離着陸、地上10m等の極低空高速飛行、ジグザグ飛行、垂直離着陸および空中停止状態等のいかなる飛行状態や下降気流等の乱気流でも安全な姿勢制御を獲得でき、エンジン騒音の小さいハイブリッド式を採用した垂直離着陸飛行体に関する。
 
【背景技術】
【0002】
  従来の垂直離着陸が可能な飛行体としては、5000m以上の高空飛行や時速600km以上の高速飛行は出来ないが、垂直離着陸やホバリングあるいは低速飛行や低空飛行が出来るオスプレイが公知である。
  このオスプレイは、タンデムローター式のヘリコプター、例えば、「CH−46」と比べて、航続距離で4倍以上飛行することができ、2倍の速度で飛行することができ、搭載量も3倍は積載できるなど、CH−46と比べるとほとんどの面で優れているとされている。また、オスプレイは空中給油もできるため、行動範囲が1100キロにも広がり長距離飛行も可能である。
  ところで、このオスプレイのような左右の二基のエンジンが水平から垂直に稼働する飛行体は、垂直方向にエンジンの向きを可動させることにより垂直離着陸することができ、また、水平方向にエンジンの向きを可動させることにより水平飛行が可能となる。
  この垂直離着陸飛行体は、水平飛行しながら機体後方の方向舵の角度を変更することで、機体の方向を制御することが可能であり、更に、翼に配設された風噴射装置とフラップの作動により上昇と下降が可能となる。
  例えば、水平飛行ではエンジンが進行方向に向き、機体後方に風は噴射される。この時、気流は機体および翼に並行して機体後方に流れて、翼に取り付けられているフラップの作用が十二分に発揮されるので、一定速度の水平飛行では安定した飛行姿勢の制御が実現できる。
  また、機体に大型推進機を配設し、一枚又は二枚の翼平面固定式翼を水平に固定し、垂直尾翼または水平尾翼及び又はテールローター式の方向舵を配設した飛行体も知られている。
 
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
  しかしながら、このような垂直離着陸飛行体によれば、以下のような問題があった。
(1)水平飛行状態からホバリング状態又は下降状態、または、垂直離陸上昇又はホバリング状態から水平飛行およびジグザグ飛行等に移行するまでの間、エンジンの角度が翼に並行になるまでの飛行状態において、エンジンからの噴射風は下方に強く噴射し翼に叩き付けられる状態になるので、推力は打ち消され、翼の下方に乱気流を発生させ、様々な方向からの風に影響されやすく、不安定姿勢を誘発するという問題がある。
(2)方向舵は翼の外側最先端にエンジンが取り付けられた位置から最も離れた機体最後部に備えられ、更に、翼の左右両端のエンジン取り付け部直後方から外れた機体後方中央部に備えられているため、ホバリングや水平飛行等の各飛行状態でプロペラから発する噴射気流から外れているために、速度の遅い水平飛行やホバリング状態では、噴射気流が機体後方に流れるよりも、機体の下方に流れ、方向舵には全く届かずに方向制御が難しいという問題がある。
(3)翼の外側最先端の位置に重量の重いエンジン取り付けたことにより、機体の重心は機体中心から左右に拡散され、飛行中に左右の翼先端の上下動により一層の重力を加えてしまい、様々な方向からの気流やジグザグ飛行などでは特に翼の上下動の制御が難しくなるという問題がある。例えば、右側のエンジン部分に下降気流が吹き付けた場合、機体は右下方に傾くが、この時、重量が重く半径の大きなブレードでは即座に反対側の左の翼を引き上げて機体の左右のバランス回復調整出来ないという問題がある。また、機体の中心軸が存在しないので、前後左右上下方向とそれらの各斜め方向からの様々な方向から受ける乱気流に対して安定した姿勢を維持できないという問題がある。
(4)また、エンジン音が大きな騒音を発生させるため、住宅地や商業地では離着陸や低空飛行や夜間又は24時間の離着陸が出来ないという問題がある。
(5)また、回転半径の大きな大型ブレードのプロペラを採用しているので、ブレードからの空気の噴射速度がジェットエンジン又は飛行機用の高速回転ターボプロップと比較して弱く遅く、そのため、高度10m以下で時速30kmの低速飛行ができなかったり、高空(例えば、高度5,000m以上)まで上昇でなかったり、また、空気密度の低い高空においてホバリングあるいは時速700km以上の高速での巡航飛行が出来ないという問題がある。
(6)また、ホバリング状態で自在に機体の姿勢制御が出来ないという問題がある。例えば、ホバリング状態の水平姿勢の機体を、水平以外の姿勢、例えば、着陸地点が傾斜地で機体の前方部分を45度上方に持ち上げた姿勢で斜面に設置し続けさせたり、ホバリング状態の水平姿勢の機体から、水平以外の姿勢、例えば高層ビルの壁面に機体を張り付けるようにして垂直に固定したりすることが出来ないという問題がある。
(7)機体を10,000mの高度で巡航すること、ホバリング(空中停止)することができないという問題がある。
(8)翼の数とその平面の面積が小さく、エンジンが故障の場合、代替推進機構を働かせられず、また、滑空飛行出来ない課題がある。
(9)大量の人員や物資の空輸が不可能であった。例えば、沿岸漁場から、都市魚市場に短時間大量空輸が不可能だった。また、広大な農地から収穫物を倉庫や集積地に短時間空輸が不可能だった。また、市街地から直接観光地の上空観光や、観光地の湖面又は海面に又は宿泊施設等に直接離着陸の大型機観光が不可能だった。
(10)また、一枚翼又は二枚翼の垂直尾翼又は水平尾翼及び又はテールローターを配設した平面固定式垂直離着陸飛行体によれば、横風又はダウンフォース乱気流に吹かれて機体は意図しない不安定な姿勢を発生させるという課題があった。
(11)また、一枚翼又は二枚翼の垂直尾翼又は水平尾翼及び又はテールローターを配設した平面固定式垂直離着陸飛行体によれば、通常の飛行姿勢は様々な風に影響される垂直尾翼や水平尾翼やテールローター等の方向舵による制御で行われ、方向舵に故障等の不具合が生じると姿勢制御は不能となる課題があった。
(12)また、一枚翼又は二枚翼の垂直尾翼又は水平尾翼及び又はテールローターを配設した平面固定式垂直離着陸飛行体によれば、単独又は二基の推進部で飛行姿勢を制御する方法はなく、安定した飛行制御は難しいという課題があった。
(13)また、従来の機体に配設された複数のエンジンは、個別に推進力を作動させる機能は無く、また機体に取り付けた平面固定式翼はホバリング時に推進部から吹き降ろす気流や自然のダウンフォース(吹き降ろし気流)が翼平面に打ち付ける為、翼側面から裏側における範囲で乱気流が発生し、機体姿勢は不安定化し、また、大型の方向舵が機体最後尾に備えられており、大型故に横風による機体姿勢が不安定化したり、推進部(エンジン又は及プロペラ)が一基又は二基ではそれぞれの推進力を変化させても様々な姿勢制御を行なったりするのは難しいという課題がある。
発明の目的
  従って、本発明の目的は、いかなる飛行状態や下降気流等の乱気流でも安全な姿勢制御を獲得でき、離着陸に際して騒音を発せず、低空での低速飛行・高速飛行・ホバリングおよび高空での低速飛行・高速飛行・ホバリングが可能な垂直離着陸飛行体を提供することにある。
  また、本発明の目的は、テールローターや方向舵が小さく又は方向舵が無くても繊細な機体制御を可能にする複数の推進部を配設し、平面可動式翼を二枚以上の複数枚配設し、各翼に配設する推進機は2基以上とすることによって、各推進機はそれぞれ推進力に差異を持たせることを可能にし、大型の垂直尾翼や水平尾翼などを廃止し、横風や乱気流や繊細な姿勢制御を可能にした垂直離着陸飛行体を提供するものである。
 
【課題を解決するための手段】
【0004】
  本発明は、上記の目的を達成するため、複数の翼で構成され機体上部に取り付けられる各翼の平面部が水平から垂直方向に可動な可動式翼を有する垂直離着陸飛行体であって、前記複数の翼には、噴射風を発生させる噴射風発生装置が配設され、各噴射風発生装置の直後近傍には、前記機体の進行方向を制御する方向舵と前記機体の上昇・下降・方向を制御するフラップが配設され、前記それぞれの可動式翼には、前記機体の方向・上昇・下降・回転・位置・機体姿勢・速度・高度・障害物との距離を検出する各センサーが配設され、前記機体には、前記各センサーからの検出情報により姿勢制御を行う制御部が配設されていることを特徴とする垂直離着陸飛行体を提供する。
  前記噴射風発生装置は、前記機体と前記複数の翼の先端との中間部に配設されていることを特徴とする。
  また、前記噴射風発生装置は、ハイブリット式レシプロエンジン又はターボプロップジェットエンジンであることを特徴とする。
  また、前記噴射風発生装置は、前記各エンジンとモータを併用したハイブリッドで構成されることを特徴とする。
  また、前記ハイブリッドの方式は、短時間モータだけの作動が可能なパラレル方式であることを特徴とする。
  また、前記複数の翼は、他の翼とは非連動で翼ごとに作動することを特徴とする。
  また、前記複数の翼に配設される噴射風発生装置は、他の翼とは非連動して翼ごとに作動することを特徴とする。
  また、前記複数の翼は、いずれも機体水平方向から垂直方向にかけて100度以内の角度で作動可能であることを特徴とする。
  また、前記複数の翼は、いずれの角度も個別の角度に作動可能である。
  また、前記センサーは、GPS・ジャイロセンサー・近接センサー・高度センサー・速度センサーであることを特徴とする。
  また、前記機体には、機体全方向の映像を瞬間的に把握可能にした撮像装置が搭載されていることを特徴とする。
  また、前記各エンジンは、飛行機用の高回転エンジンであることを特徴とする。
  また、前記機体は、バッテリーを備え、該バッテリーの充電は、前記各エンジンに取り付けた発電機で充電を行う発電機充電方式、または、着陸時にプラグインで充電するプラグイン充電方式が併用されていることを特徴とする。
  また、前記翼を設ける枚数は、一枚又は二枚を最小限とし、最大限で三枚〜五枚までであることを特徴とする。
  また、前記翼は、三枚以上の配設時は、機体中央に配設された翼は機体前後に1m〜2m移動することを特徴とする。
  また、小型の垂直尾翼式方向舵及び/又は小型のテールローターを前記機体の最前部の翼と最後部の翼の噴射風発生装置の後方に配設したことを特徴とする。
  また、機体姿勢、進行方向及び移動速度の制御は、前記翼と複数の噴射風発生装置の推進力をコントロールして行うことを特徴とする。
  また、バスや自動車などの移動車両の側面に格納式の翼を配設したことを特徴とする。
 
【発明の効果】
【0005】
  本発明によれば、複数の翼で構成され機体上部に取り付けられる各翼の平面部が水平から垂直方向に可動な可動式翼を有する垂直離着陸飛行体であって、前記複数の翼には、噴射風を発生させる噴射風発生装置が配設され、各噴射風発生装置の直後近傍には、前記機体の進行方向を制御する方向舵と前記機体の上昇・下降・方向を制御するフラップが配設され、前記それぞれの可動式翼には、前記機体の方向・上昇・下降・回転・位置・機体姿勢・速度・高度・障害物との距離を検出する各センサーが配設され、前記機体には、前記各センサーからの検出情報により姿勢制御を行う制御部が配設されているので、いかなる飛行状態や下降気流等の乱気流でも安全な姿勢制御を獲得できる。
  また、前記噴射風発生装置を、ハイブリット式レシプロエンジン又はターボプロップジェットエンジンとし、それとモータを併用したハイブリッドで構成するようにしたので、離着陸に際して騒音を発せず、低空での低速飛行・高速飛行・ホバリングおよび高空での低速飛行・高速飛行・ホバリングが可能となる。
  また、本発明によるハイブリッドと各種センサーと多数のエンジン・翼・方向舵・フラップにより大型化と性能及び制御能力が格段に向上し、莫大なインフラ投資の高速鉄道が不要な可能性が有り、近未来の移動体としての安全な飛行体を図ることが出来る。
  また、水上から上昇する場合、機体が水平状態であれば、機体胴体と水面とは最大限の接触面積を有しており、そのまま胴体が水平姿勢上昇する場合は、水の表面張力は最大限となり、胴体が水面から離れるのは大きなエネルギーを必要とするが、複数枚翼採用で機体胴体前方を20度又は30度又は45度と持ち上げることで、機体胴体と水面との接触面積は小さくなり、同時に機体胴体と水面との間に存在する表面張力作用は減少し、水面から上昇しやすくなる。
  また、ホバリング状態の機体は水平を維持しているが、この機体を垂直方向に姿勢変更し、ビルの壁面に張りつけ、高層ビルの災害救助や急斜面の山岳等の救助活動に必要な機体胴体を垂直又は傾斜姿勢で救助やその他の作業を行うことが出来る。
  また、各翼にエンジンを配設した複数枚翼飛行体では、通常の巡航飛行中のダウンフォースと言われる突然の乱気流に対して、一枚翼の飛行体による危険回避性能より、三枚翼飛行体による各翼の制御により、危険回避性能は各段に向上することは常識的な理論である。
  また、各翼にエンジンを配設した複数枚翼飛行体(たとえば三枚翼の実験例)では、飛行中に全エンジンを停止させた場合の滑空飛行が可能であることを縮尺モデルで確認した。
  また、各翼にエンジンを配設した複数枚翼飛行体で高い浮力を確保することが目的の一つに有るが、この高い浮力により水面から5m又は10mや陸上であれば樹木の間隙や田畑の10mなど極僅か低空を高速飛行することが出来る。
  また、各翼にエンジンを配設した複数枚翼飛行体では、一枚翼の二基エンジン飛行体よりも二枚翼の四基エンジン搭載飛行体の方が当然推力は強く、高速飛行を可能にし、更に三枚翼によれば二枚翼の速度よりも高速飛行や機体の姿勢作動を可能に出来る。
  また、本発明によれば、以上のように構成されるので、垂直尾翼式方向舵や水平尾翼及び又はテールローターを小型化及び又は廃止としたことで、機体は滑走離着陸や垂直離着陸の時に横風や下降気流や上昇気流などの乱気流に邪魔にされず最良の姿勢制御を得ることができる。
  更に複数の推進機を配設したことで推進機による安定的な姿勢制御を実現することができる。
 
 
【図面の簡単な説明】
【0006】
  図1は、第一の実施形態に係る一枚翼飛行体全体の構成を示した模式図である。
  
図2は、第一の実施形態に係る一枚翼飛行体を機体前方から見た模式図である。
  
図3は、第一の実施形態に係る一枚翼飛行体の翼の角度を可動させてホバリングさせた状態を示した模式図である。
  
図4は、第一の実施形態に係る一枚翼飛行体の翼の平面を可動させた場合と機体後方に方向舵と水平尾翼を配設した構成を示した側面図である。
  
図5は、第一の実施形態に係る一枚翼飛行体の翼の方向舵とフラップの位置の構成を示した側面図である。
  
図6は、第二の実施形態に係る二枚翼飛行体全体の構成を示した図である。
  
図7は、第二の実施形態に係る二枚翼飛行体の翼の取り付け位置を示した側面図である。
  
図8は、第二の実施形態に係る二枚翼飛行体の水平飛行状態を示した正面図である。
  
図9は、第二の実施形態に係る二枚翼飛行体の翼の角度を可働させてホバリングさせた状態を示した側面図である。
  
図10は、第二の実施形態に係る二枚翼飛行体のエンジンの取り付け角度を機体に対して僅かに角度を付けた状態を示した図である。
  
図11は、第二の実施形態に係る二枚翼飛行体のホバリング時の前後の翼の取り付け位置を示した図である。
  
図12は、第二の実施形態に係る二枚翼飛行体の前後の翼の位置を可動とした状態を示した図である。
  
図13は、第三の実施形態に係る三枚翼飛行体全体の構成を示した平面図である。
  
図14は、第三の実施形態に係る三枚翼飛行体の水平飛行状態を示した側面図である。
  
図15は、第三の実施形態に係る三枚翼飛行体のホバリング状態を示した側面図である。
  
図16は、第三の実施形態に係る三枚翼飛行体が垂直ホバリングした状態を示した側面図である。
  
図17は、第三の実施形態に係る三枚翼飛行体が傾斜地への着地をし、滑落を防ぐ体勢をしている状態を示した図である。
  
図18は、第三の実施形態に係る三枚翼飛行体が、翼を機体の前後に可動している模式図である。
  
図19は、機体上部に配設した主翼を平面から垂直に可動させる可動装置を示す図である。
  
図20は、溝に挿通される翼の台部を示す斜視図である。
  
図21は、溝に挿通される翼の台部を示す側面図である。
  
図22は、翼支持部に嵌挿される翼取付部と、この翼取付部に設けられるギア付きモータと、このモータとかみ合って翼の角度を変更するためのギア付きのモータと、翼の位置を前後に移動させるためのギア付きのモータの位置関係を示す図である。
  
図23は、
図22に示した翼取付部と各モータの側面図である。
  
図24は、各モータを可動装置に取り付けた状態を示す側面図である。
  
図25は、可動装置と各モータの取り付け状態を示す斜視図である。
  
図26は、可動装置に翼が取り付けられて作用する状態を示す図である。
  
図27は、機体を水平から垂直まで任意の角度に変換する場合の各翼の挙動を示す図である。
  
図28は、ジェット噴射式を示す図である。
  
図29は、4枚翼採用のホバリング時の平面模式図である。
  
図30は、4枚翼採用の水平飛行時の平面模式図である。
  
図31は、4枚翼採用の水平飛行時の側面模式図である。
  
図32は、4枚翼採用のホバリング時の平面模式図である。
  
図33は、5枚翼採用の水平飛行時の側面模式図である。
  
図34は、5枚翼機の水上離着陸及びホバリング姿勢の側面模式図である。
  
図35は、3枚翼及び機体最前部翼と最後部翼に小型方向舵を採用の機体がホバリング時に機体中心軸を中心に水平回転する状態を示す模式図である。
  
図36は、3枚翼及び機体最前部翼と最後部翼に小型方向舵を採用のホバリング時に機体最前部を軸として水平回転することを示す模式図である。
  
図37は、3枚翼及び機体最前部翼と最後部翼に小型方向舵を採用の機体が直進する場合に機体姿勢を変える事無く進行軌跡を変えるときの平行移動の時の模式図である。
  
図38は、可動式翼の機体が水平姿勢を維持しながら高度を上げる場合の平行上昇のときの模式図である。
  
図39は、複数の可動式の翼から垂直尾翼と方向舵を取り除いた機体を側面から見た模式図である。
  
図40は、複数の可動式の翼からは小型方向舵を機体最前部翼と機体最後部翼に配設した機体を側面から見た模式図である。
  
図41は、複数の可変式可動式の複葉翼に推進部を配設した変形例を正面から見た模式図である。
  
図42は、複数の可変式可動式の複葉翼のエンジン直後に小型の方向舵を配設した変形例を機体側面から見た模式図である。
  
図43は、複数の平面可動式複葉翼に推進部を配設した変形例のホバリング状態を機体上部から見た模式図である。
  
図44は、バスに可変式可動式翼を折りたたみ式として配設した変形例の翼を開いた状態を側面から見た模式図である。
  
図45は、バスに可変式可動式翼を折りたたみ式として配設した変形例を正面から見た模式図である。
  
図46は、バスに可変式可動式翼を折りたたみ式として配設した変形例の正面から見た模式図である。
  
図47は、バスに可変式可動式翼を折りたたみ式として配設した変形例の正面から見た模式図である。
  
図48は、乗用車に可変式可動式翼を格納式として配設した変形例の正面から見た模式図である。
  
図49は、乗用車に可変式翼を格納式として配設した変形例の正面から見た模式図である。
  
図50は、乗用車に可変式翼を格納式として配設した変形例の正面から見た模式図である。
  
図51は、乗用車に可変式可動式翼を格納式として配設した変形例の格納したときの正面から見た模式図である。
  
図52は、飛行艇に可変式翼を格納式として配設した変形例の斜め正面から見た模式図である。
 
【0007】
  以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。
<第一の実施の形態>
  
図1は、一枚翼の飛行装置(以下、「飛行体」という)の構成を示した模式図である。
  
図1に示すように、この飛行体は、機体100の上部に配設される一枚の主翼200と、主翼200の左右の各翼の中心部付近に固定されたプロペラ式のエンジン300,310と、エンジン300,310直後の翼に配設されその作用により機体100の上昇・下降を制御するフラップ211,221と、エンジン300,310直後の翼に配設されその作用により機体100の進行方向を制御する方向舵210,220と、機体100後部に配設される方向舵230と、フラップ500,501が配設される水平尾翼400と、からなる。
  以上の構成において、エンジン300,310の中心軸は、機体100の中心軸に対して3度以内の角度で外側に向けてそれぞれ配設固定されている。また、主翼200は、水平方向から垂直方向に100度の角度で枢動する。
  また、主翼200の左右の各翼の中心部付近にエンジン300,310を設けている。これは、翼の取り付け位置が端部に比べて重心が機体中心部に集中され、左右の翼の上下動バランスがとり易いからである。また、機体最後部にフラップ500,501が配設される水平尾翼400と方向舵230を設けて、姿勢制御を更に向上させるようにしている。
  なお、エンジン300,310は、プロペラ式エンジンを例として説明しているが、これに限るものではなく、例えば、ジェット噴射式エンジンであっても良い。
  
図2は、この飛行体を正面(機体前方)から見た模式図である。
  図に示すように、一枚の主翼200に配設されたエンジン300,310の直後方に方向舵210,220とフラップ211,221とが配設されている。このように、エンジン300,310の直後方に方向舵210,220とフラップ211,221とを配設することにより、エンジン300,310の噴射風が方向舵210,220とフラップ211,221に当たり、方向舵210,220とフラップ211,221が効率的に作用することになる。この場合、機体100後部に配設される方向舵230と水平尾翼400に設けられたフラップ500,501は方向舵210,220とフラップ211,221の補助的な作用を行うこととなる。
  
図3は、この飛行体100の主翼200の角度を垂直方向に可動させてホバリングさせた状態を示した模式図である。
  図に示すように、飛行体100に取り付けた主翼200にはプロペラ式のエンジン300,310が配設され、このエンジン300,310の中心軸は機体100の中心軸に対して内側へ傾斜するように配設されている。そして、主翼200が垂直方向に枢動すると、主翼200に固定された方向舵210,211とエンジン300,310も主翼200と同じ方向に移動する。主翼200のフラップ220,221は噴射風と並行に有り、風の抵抗は最小限となる。方向舵210,211は、常にエンジン300,310の直後に存在し、エンジン300,310から噴き出される推進風の中心部に配設されている。このため、傾斜を付けられた噴射風は機体の外方下方に噴射される状態となる。
  
図4は、
図3の飛行体100を側面側から見た模式図である。
  図に示すように、エンジン310(300)と、方向舵210(220)と、フラップ211(221)は、主翼200の角度と共に一体で連動して垂直方向および水平方向に可動する。
  
図5は、
図1の飛行体100が水平飛行している場合の模式図である。図に示すように、プロペラ式のエンジン310(300)の噴射風直後方に方向舵210(220)とフラップ211(221)が配設されているので、噴射風がロスなくこれらに吹き付けるため、進行方向の制御や上昇・下降の制御が容易となる。
  このように、機体上部に固定した左右の翼中央部付近にエンジンを配設し、エンジンの向きと翼とを連動させて可動式とし、機体左右の可動式翼にエンジンと方向舵とフラップを取り付け、飛行状態に対応してエンジンと翼と方向舵とフラップが連動するので、常に噴射風が姿勢制御・方向制御に作用することとなる。
  また、エンジンを取り付けた翼の近傍にフラップを取り付け、翼に固定されたエンジンの直後方翼に方向舵が配設されるので、いかなる姿勢の場合にも噴射風の中心には方向舵が位置することとなる。また、翼は滑走離着陸や垂直離着陸や上昇滑空や下降滑空や空中停止などのいかなる状態でも、エンジンから噴き出された噴射風と翼が平行になる。エンジンとフラップが連動するので、翼が常に最も風抵抗の少ない状態を保ち、かつ、フラップが最も作用しやすい場所に噴射風が流れるようになる。
  従来の垂直離着陸飛行体は、機体がホバリング状態(空中停止時又はそれに近い飛行状態)の時に、エンジンから吹き出す気流方向は、飛行体の下方に真っ直ぐ噴射されるが、これでは飛行体が空中停止状態ではわずかな横風に吹かれても踏ん張り制御力が無い。また、翼先端に重量物のエンジンが取り付けられているので更に姿勢を乱される。これに対して、本実施の形態に係る垂直離着陸飛行体は、エンジンの吹き出し口角度が3度以内の角度で外側に向けてそれぞれ配設固定されているので、ホバリング状態ではエンジンの吹き出し口からは機体の右外側斜下方および左外側斜下方に風を噴射させることとなり、機体が横風に影響されにくい安定姿勢の確保が出来る。
  これらにより水平回転や、回転や前後左右の移動など様々な状態で安定して飛行できることができ、水平飛行状態では飛行機並みの高速性と、離着陸には飛行機又はヘリコプターのどちらか最適な滑走離陸又は垂直離着陸の選択を可能にし、且つ、安全な飛行体を提供することができる。
<第二の実施の形態>
  
図6〜
図11は、第二の実施の形態に係る二枚翼の飛行体の例を示す図であり、
図6はその平面模式図、
図7は側面模式図、
図8は正面模式図、
図9はホバリング状態の側面模式図、
図10はホバリング状態の正面模式図、
図11はホバリング状態の平面模式図である。
  
図1〜
図5と同一の内容には同一の符号を付したので重複する説明は省略するが、本実施の形態に係る飛行体は、二枚翼である点において、第一の実施の形態の飛行体と異なる。飛行体の積載量の大小で、二枚の翼としたほうが望ましい場合があるためである。
  
図6〜
図11に示すように、本実施の形態による飛行体は、機体100の前部であってこの機体100の上部に取り付けられた左翼および右翼からなる第一の主翼200と、機体100の後部であってこの機体の上部に取り付けられた左翼および右翼からなる第二の主翼500と、第一の主翼200および第二の主翼500のそれぞれの左翼および右翼の長さ方向に対して略中心位置に配置されるエンジン300,310,320,330と、エンジン300,310,320,330の後方にそれぞれ設けられその作用により機体100の上昇・下降を制御するフラップ211,221,231,241と、エンジン300,310,320,330の後方にそれぞれ設けられその作用により機体100の進行方向を制御する方向舵210,220,230,240と、から構成されている。
  以上の構成において、第一の主翼200および第二の主翼500は、第一の実施の形態と同じく、エンジン300,310,320,330、フラップ211,221,231,241および方向舵210,220,230,240とともに一体的に垂直方向又は水平方向に枢動する。なお、第一の主翼200は、機体100の三分の一よりも前に配設され、第二の主翼500は、機体100の三分の二よりも後方に配設されている。
  また、
図7に示すように、第一の主翼200と第二の主翼500は、取り付け位置(高さ)が異なっており、第二の主翼500は第一の主翼200の高さより高い位置に設けられている。同一高さにすると、第一の主翼200のエンジン300,310の噴射風が第二の主翼500のエンジン320,330に当って、第一の主翼200のエンジン300,310から噴射される噴射風を打ち消してしまうからである。
  また、これらの図に示すように、二枚翼の場合には水平尾翼と尾翼方向舵が設けられていない。第二の主翼500が水平尾翼として機能し、それぞれの方向舵210,220,230,240が舵として機能するからである。
  
図12は、第二の実施の形態に係る二枚翼の飛行体の変形例を示す図である。
  図に示すように、第一の主翼200と第二の主翼500の位置は、機体前後に1mほどの移動を可能としている(符号200の位置と200Bの位置間の移動、または、符号500の位置と500Bの位置間の移動)。これにより、低速飛行やホバリング状態や積載重量バランスにも効果的に安定した姿勢が確保できる。
<第三の実施の形態>
  
図13〜
図19は、第三の実施の形態に係る三枚主翼の飛行体の例を示す図であり、
図13はその平面模式図、
図14は水平飛行状態の側面模式図、
図15はホバリング状態の側面模式図であり、
図16は、機体が直立姿勢でホバリングを示す側面図で、
図17は機体が急斜面に着陸又は斜面に並行に待機できることを示す図である。
図18は三枚の翼が機体の前後に移動できることを示した図である。
  
図1〜
図12と同一の内容には同一の符号を付したので重複する説明は省略するが、本実施の形態に係る飛行体は、三枚翼である点において、第一と第二の実施の形態の飛行体と異なる。三枚翼としたのは、一枚又は二枚翼の場合は、機体の各方向からの風や重量バランスなどの影響により機体の前後が上下動しやすいからであり、また、フラップもエンジンから離れて備えられており、ホバリング等の空中停止状態では、機体の左右に取り付けられた風噴射装置からは風は垂直に下方に噴射するために、各方向からの風に影響され易いからである。また、飛行体の積載量の大小や旅客輸送や救助活動や軍事用で三枚の翼としたほうが望ましい場合があるためである。更に、第一と第二の実施形態の飛行体と異なる飛行姿勢等のバランスと揚力と動作の正確さを獲得するために三枚翼とするのが望ましい場合があるためである。
  
図13〜
図18に示すように、本実施の形態による飛行体は、機体100の前部であってこの機体100の上部に取り付けられた左翼および右翼からなる第一の主翼200と、機体100の中心部にあってこの機体の上部に取り付けられた左翼および右翼からなる第三の主翼500と、機体100の後部であって、この機体の上部に取り付けられた左翼および右翼からなる第二の主翼600と、第一の主翼200および第三の主翼500および第二の主翼600のそれぞれの左翼および右翼の長さ方向に対して略中心位置に配置されるエンジン300,310,320,330、350,360とエンジン300,310,320,330,350,360の後方にそれぞれ設けられその作用により機体100の上昇・下降を制御するフラップ211,221,231,241,251、261と、エンジン300,310,320,330,350.360の後方にそれぞれ設けられその作用により機体100の進行方向を制御する方向舵210,220,230,240,250,260と、から構成されている。
  以上の構成において、第一の主翼200および第三の主翼500および第二の主翼600は、第一及び第二の実施の形態と同じく、エンジン300,310,320,330、350,360、フラップ211,221,231,241,251,261および方向舵210,220,230,240,250,260とともに一体的に垂直方向又は水平方向に枢動する。なお、第一の主翼200は、機体100の三分の一よりも前に配設され、第三の主翼500は、機体100の中心部付近に配設され、第二の主翼600は機体100の三分の二よりも後方に配設されている。
  また、
図14に示すように、第一の主翼200と第三の主翼500と第二の翼600は、取り付け位置(高さ)が異なっており、第三の主翼500と第二の主翼600は第一の主翼200の高さより高い位置に設けられ、第二の主翼600は第三の主翼500の高さより高い位置に設けられている。同一高さにすると、第一の主翼200のエンジン300,310の噴射風が第三の主翼500のエンジン320,330に、第三の主翼500のエンジン320,330の噴射風が第二の主翼600のエンジン350,360に乱気流として噴射されてしまうからである。
  また、これらの図に示すように、二枚主翼および三枚主翼の場合には水平尾翼と尾翼方向舵が設けられていない。第三の主翼500と第二の主翼600が水平尾翼として機能し、それぞれの方向舵210,220,230,240、250,260が舵として機能するからである。
  
図16は、機体100は垂直方向でホバリング又は上昇することを示す側面図である。三枚翼に6基の風噴射装置を配設し、これにより、推力は大幅に向上し、直立の飛行姿勢をも可能にし、六枚の翼の作動と六か所のフラップと六ケ所の方向舵の作動により、直立姿勢のホバリング状態から、垂直姿勢のままで水平回転又は水平移動又は前後左右にも効果的に安定した姿勢が確保でき、
図17のように急傾斜地に着陸待機又は傾斜地に並行に飛行することを可能にする。
  
図18は、第三の実施の形態に係る三枚翼の飛行体の変形例を示す図である。
  図に示すように、第三の主翼500を挟んで、第一の主翼200と第二の主翼600の位置は、機体前後に1mほどの移動を可能としている(符号200の位置と200Bの位置間の移動、または、符号600の位置と600Bの位置間の移動)。これにより、低速飛行やホバリング状態や正確な動作や積載重量バランスにも効果的に安定した姿勢が確保できる。
  
図19は、機体上部に配設した主翼を平面から垂直に可動させる可動装置を示す図である。図に示すように、この可動装置10には、断面逆T字形の溝11と、ギア溝14と、ガイドレール15が設けられている。
  
図20および
図21は、この溝11に挿通される翼の台部20を示す図であり、
図20はその斜視図、
図21はその側面図である。
図20に示すように、この台部20は、溝11に挿通嵌合される台座部21と、翼を支持する翼支持部22とからなる。翼支持部22は、
図21に示すように、長さ方向に対しい空洞が貫通している。この部分を利用して翼を軸支するようにしている。
  
図22は、この翼支持部22に嵌挿される翼取付部80と、この翼取付部80に設けられるギア付きモータ32と、このモータ32とかみ合って翼の角度を変更するためのギア付きのモータ30と、翼の位置を前後に移動させるためのギア付きのモータ40の位置関係を示す図であり、
図23はその側面図である。
  
図24は、これらの各モータを可動装置10に取り付けた状態を示す側面図である。図に示すように。ギア付きモータ40がギア溝14に噛み合って回転することにより前後に移動するようになっている。
図25は、可動装置10とモータ30,32,40の取り付け状態を示す斜視図である。
  
図26は、これに翼200,600,500が取り付けられて作用する状態を示す図である。図に示すように、モータ30と32によって翼200,600,500の角度が変わり、図示しないが、モータ40によって翼200,600,500の位置が前後に移動可能になる。
<第三の実施の形態>
  
図27〜
図34は第3の実施の形態に係る垂直離着陸飛行体を示す図である。
図27は、機体を水平から垂直まで任意の角度に変換する場合の各翼の挙動を示す図。
図28は、ジェット噴射式を示す図。
図29は、4枚翼採用のホバリング時の平面模式図。
図30は、4枚翼採用の水平飛行時の平面模式図。
図31は、4枚翼採用の水平飛行時の側面模式図。
図32は、4枚翼採用のホバリング時の平面模式図。
図33は、5枚翼採用の水平飛行時の側面模式図。
図34は、5枚翼機の水上離着陸及びホバリング姿勢の側面模式図。である。
  第三の実施の形態では、本発明は、上記の目的を達成するため、機体上部に取り付けられる3枚以上5枚以内の複数の翼で構成され、各翼の平面部が水平から垂直方向に可動式とし、各翼には機体と翼先端の中間部にはハイブリット式レシプロエンジン又はターボプロップジェットエンジンが配設され、各エンジン直後近傍には方向舵とフラップがエンジンを取り付けた同じ翼に配設され、前記それぞれの可動式翼に配設された各部のその作用により前記機体の方向、上昇、下降、回転等の各センサーを配設し、センサー情報により姿勢制御する電子制御部を備え、各制御部が枢動することを特徴とする垂直離着陸飛行体を提供するものである。
  また、機体の上部に取り付けられた左翼および右翼からなる第一、第二、第三の翼及び、第四、第五の各翼の機体接合部から翼の先端部の長さ方向に対して略中心位置に配置される各エンジンと、前記各エンジンの直後方近傍にそれぞれ設けられその作用により前記機体の上昇・下降・方向を制御するフラップと、前記エンジンの直後方近傍にそれぞれ設けられその作用により前記機体の進行方向を制御する方向舵を備え、前記第一、第二、第三翼及び、第四、第五の翼は、前記エンジン、前記フラップおよび前記方向舵とともに一体的に垂直方向又は水平方向に枢動することを特徴とする垂直離着陸飛行体を提供するものである。
  また、機体上部に取り付けられる機体胴体の両側に張り出す翼を、機体の前部から後部の最適な位置に三枚以上の複数枚翼とし、これらを可動式翼として、更なる浮力の増加と機体中心部に設けた翼が機体重心のバランスの軸として作用する優れた安定性を確保した垂直離着陸飛行体を提供するものである。
  また、各機種の翼には全て噴射風発生装置が配設されることを特徴とする垂直離着陸飛行体を提供するものである。
  また、二枚以上の複数の翼採用のとき、それぞれの翼は他の翼とは非連動して作動することも可能とすることを特徴とする垂直離着陸飛行体を提供するものである。
  また、二枚以上の複数の翼採用のとき、それぞれの翼に配設されているエンジン出力は他の翼とは非連動して翼ごとに作動することも可能とすることを特徴とする垂直離着陸飛行体を提供するものである。
  また、ブレードはヘリコプターの様に飛行中にブレード角度を変えて推力又は浮力を増減出来ることを特徴とする垂直離着陸飛行体を提供するものである。
  また、いずれの翼も機体の両側に広げていて、複数の翼には全て機体右側翼の中央部と機体左側の翼の中央部にもエンジンが配設されていることを特徴とする垂直離着陸飛行体を提供するものである。
  いずれの翼も、機体水平方向方垂直方向に100度以内で角度を稼働することが可能であることを特徴とする垂直離着陸飛行体を提供するものである。
  いずれの翼の角度も個別の角度に作動することが出来ることを特徴とする垂直離着陸飛行体を提供するものである。
  本発明はモータ併用のハイブリッド推進部とすることで、大きなトルクを獲得し、離着までの数分間と離陸後数分間をモータだけも推進力を使用する飛行体を提供するものである。
  双発エンジンを取り付けた翼を機体の前部・中間部・後部と三枚以上備え、機体中心部に機体前後の重心を確保させた飛行体を提供するものである。
  ハイブリッド構造の方式は、パラレル方式又はスプリット方式が有るが、短時間でもモータだけの静かな作動させるにはパラレル式が望ましい。
  双発エンジン付きの翼を三枚以上五枚までの範囲で設け、機体前後の重心を確保し、機体の大重量を積載可能にする飛行体を提供するものである。
  GPS・ジャイロセンサー・近接センサー・高度センサー・速度センサー・カメラ等の各情報収集に機体の胴体部及び翼部などに各センサーを複数配設する飛行体を提供するものである。
  GPS・ジャイロセンサー・近接センサー・高度センサー・速度センサー・カメラ等の各情報をコンピューターで制御し、各操縦機器を簡素化し、位置・機体姿勢・速度・高度・障害物との距離・機体全方向の映像等を瞬間的に把握対応で人間の能力では不可能な大量の処理能力を瞬時に正確に行う飛行体を提供するものである。
  エンジンは複数搭載するので、小型で軽く高回転エンジンの飛行体を提供するものである。
  エンジンは、高空を飛行する為に、飛行機用高回転エンジンを搭載した飛行体を提供するものである。
  バッテリー充電方式は、エンジンに取り付けた発電機の他、着陸時にプラグイン充電方式併用の飛行体を提供するものである。
  全ての翼にはエンジンを配設し、翼は第一・第二枚までを最小限とし、第三、第四、第五と複数設けることを特徴とする。
  飛行体の胴体の形状を抵抗の少ない流線形にする。
  本発明によれば、機体に二枚以上の可動式翼を配設し、左右の各翼の中心部付近にターボプロップエンジン又はレシプロエンジンを配設し、エンジン採用機にはモータと連動するハイブリッド式とし、エンジンには発電機が配設され、機体にはリチウム等の高性能大容量蓄電池が備えられるので、エンジンの出力を軽減又はモータだけの推進力による騒音の出ない又は静かな離着陸飛行体を可能にし、静音効果により市街地又は住宅地ヘリポートでの離着陸を可能にし、双発エンジン付き翼を三枚以上備え、機体前後の中心部に軸となる釣り上げ効果の翼を機体中心部に配置し、機体姿勢の安定化を獲得でき、機体の速度は飛行機並みの時速700kmや、高度も飛行機並みの10,000m以上を獲得し、更に高度10,000mでホバリングが可能な性能を獲得し、三枚以上の翼の採用で滑空飛行を獲得し、多数のエンジンとモータの出力により、大型化を可能にし、高度10mでのホバリングから時速700kmまでの何れの飛行速度を低空でも高空でも可能にし、ハイブリッドと高速化により長距離飛行を可能にし、双発エンジン付き翼を三枚以上の採用により、高出力が必要な水上離着陸を可能にし、更にあらゆる方向からの乱気流に対応を可能にし、各種のセンサーにより無人飛行を図ることができる。
  また、本発明によるハイブリッドと各種センサーと多数のエンジン・翼・方向舵・フラップにより大型化と性能及び制御能力が格段に向上し、莫大なインフラ投資の高速鉄道が不要な可能性が有り、近未来の移動体としての安全な飛行体を図ることが出来る。
  また、水上から上昇する場合、機体が水平状態であれば、機体胴体と水面とは最大限の接触面積を有しており、そのまま胴体が水平姿勢上昇する場合は、水の表面張力は最大限となり、胴体が水面から離れるのは大きなエネルギーを必要とするが、複数枚翼採用で機体胴体前方を20度又は30度又は45度と持ち上げることで、機体胴体と水面との接触面積は小さくなり、同時に機体胴体と水面との間に存在する表面張力作用は減少し、水面から上昇しやすくなる。
  また、ホバリング状態の機体は水平を維持しているが、この機体を垂直方向に姿勢変更し、ビルの壁面に張りつけ、高層ビルの災害救助や急斜面の山岳等の救助活動に必要な機体胴体を垂直又は傾斜姿勢で救助やその他の作業を行うことが出来る。
  また、各翼にエンジンを配設した複数枚翼飛行体では、通常の巡航飛行中のダウンフォースと言われる突然の乱気流に対して、一枚翼の飛行体による危険回避性能より、三枚翼飛行体による各翼の制御により、危険回避性能は各段に向上することは常識的な理論である。
  また、各翼にエンジンを配設した複数枚翼飛行体(たとえば三枚翼の実験例)では、飛行中に全エンジンを停止させた場合の滑空飛行が可能であることを縮尺モデルで確認した。
  また、各翼にエンジンを配設した複数枚翼飛行体で高い浮力を確保することが目的の一つに有るが、この高い浮力により水面から5m又は10mや陸上であれば樹木の間隙や田畑の10mなど極僅か低空を高速飛行することが出来る。
  また、各翼にエンジンを配設した複数枚翼飛行体では、一枚翼の二基エンジン飛行体よりも二枚翼の四基エンジン搭載飛行体の方が当然推力は強く、高速飛行を可能にし、更に三枚翼によれば二枚翼の速度よりも高速飛行や機体の姿勢作動を可能に出来る。
<その他の変形例>
  
図35と
図36は、機体が水平回転する状態を示す模式図であり、
図35は、機体中心軸を中心に水平回転する状態を示す模式図、
図36は、ホバリング時に機体最前部を軸として水平回転することを示す模式図である。
  
図35に示すように、3枚翼であって機体最前部の翼と最後部の翼に小型方向舵を採用すると、この方向舵の動作により、機体中心軸800を中心に機体がホバリング時に矢印方向に水平に回転させることができる。また、
図36に示すように、この小型方向舵の動作によっては、機体最前部を軸としてホバリング時に矢印方向に水平に回転させることもできる。
  
図37は、機体姿勢を変えることなく進行軌跡を変えるときの平行移動の時の模式図であり、
図38は、機体が水平姿勢を維持しながら高度を上げる場合の平行上昇のときの模式図である。また、
図39は、複数の可動式の翼から垂直尾翼と方向舵を取り除いた機体を側面から見た模式図であり、
図40は、複数の可動式の翼から小型方向舵312,362を機体最前部翼311と機体最後部翼361に配設した機体を側面から見た模式図である。図において、符号311は第1翼、符号330は第2翼、符号361は第3翼を示し、符号310,330,360はその第1翼〜第3翼のエンジンを示し、符号221,261はフラップを示す。
  
図37に示すように、3枚翼であって機体最前部翼と最後部翼に小型方向舵を採用すると、方向舵とフラップの動作により、機体が直進する場合に機体姿勢を変えることなく進行軌跡を平行移動に変えることができる。また、
図38に示すように、可動式翼と方向舵とフラップの動作により、機体が水平姿勢を維持しながら高度を上げることもできる。また、
図39や
図40に示すように、垂直尾翼式方向舵や水平尾翼又はテールローターを小型化又は廃止としたことで、機体は滑走離着陸や垂直離着陸の時に横風や下降気流や上昇気流などの乱気流に邪魔にされず最良の姿勢制御を得ることができる。
  
図41は、複数の可変式可動式の複葉翼にエンジン310,360を配設した例を正面から見た模式図であり、
図42は、この複数の可変式可動式の複葉翼のエンジン310,360の直後に小型の方向舵312,362を配設した例を機体側面から見た模式図である。
  
図43は、複数の平面可動式複葉翼(L1〜L3、R1〜R3)に噴射風発生装置を配設したホバリング状態の機体100を上部から見た模式図である。
  
図44〜
図47は、バスに可変式可動式翼を折りたたみ式として配設した変形例を示す図であり、
図44は、翼を開いた状態を側面から見た模式図であり、
図45は、バスに可変式可動式翼を折りたたみ式として配設した変形例の翼を開いた状態を正面から見た模式図であり、
図46は、バスに可変式可動式翼を折りたたみ式として配設した変形例の翼を開いた状態を平面から見た模式図であり、
図47は、バスに可変式可動式翼を折りたたみ式として配設した変形例の翼を開いた状態を正面から見た模式図である。
  
図48〜
図51は、乗用車に可変式可動式翼を格納式として配設した変形例を示す模式図であり、
図48は、これを側面から見た模式図である。
図49は、乗用車に可変式翼を格納式として配設した変形例の正面から見た模式図である。
図50は、乗用車に可変式翼を格納式として配設した変形例の平面から見た模式図である。
図51は、乗用車に可変式可動式翼を格納式として配設した変形例の格納したときの正面から見た模式図である。
  
図52は、飛行艇に可変式翼を格納式として配設した変形例の斜め正面から見た模式図である。
<本実施の形態のまとめ>
1.本発明によれば、第一の主翼および第二の主翼および第三の主翼を選択して設け、機体左右の翼中心付近に重量物のエンジンを機体の重心付近に集中させ、方向舵とフラップを同じ翼のエンジン近傍後方に配設し、翼の角度と位置を可動式として機体に設けたことで、機体は滑走離着陸や垂直離着陸の時に翼角度と翼の位置の可動により、エンジンの噴射風は翼に邪魔にされず最良の風作用を得られる。また、機体の重量バランスに対応できる。これにより、低速でも高速でもアクロバット飛行でもあらゆる飛行状態にも安定できることを可能にし、安全飛行と大型化が出来る効果がある。
2.本発明の三枚翼採用機によれば、機体前部の翼は、機体の三分の一よりも前に配設し、機体中央部に配設された翼と、機体後部翼は機体の三分の二よりも後方に配設し、更に翼の位置は機体前後に1mほどの移動を可能にすることで、低速飛行やホバリング状態や積載重量バランスにも効果的に安定した姿勢が確保できる効果がある。
3.本発明の三枚翼採用機によれば、機体中央部の翼は、機体の全長の中間付近に配設し、更に翼の位置は機体前後に1mほどの移動を可能にすることで、低速飛行やホバリング状態や積載重量バランスにも機体前部の翼と連動したり、機体後部の翼と連動したり等と効果的に安定した姿勢が確保できる効果がある。
4.本発明によれば、エンジンを翼の先端から内側に固定して取り付けた翼は、水平方向から垂直方向に、翼とエンジンと方向舵とフラップが一体的に100度可動にしたことで、垂直上昇の時にも水平飛行状態と同様に、エンジンの向きが翼の向きと連動するために、風向きに対して翼の最小抵抗面が得られるので、空気抵抗が大幅に低減されることと、揚力減衰防止効果と、翼平面に打ち付ける乱気流防止効果により、安全な姿勢制御の確保が可能である。
5.本発明によれば、翼は、機体の上部に取り付けられたことにより、例えば、プロペラ式のエンジン推進機とした場合は、地面との間隔を確保可能となり、プロペラの半径を大きくすることが出来るメリットや、飛行艇などには離着陸の時に水面から間隔が得られること等の効果がある。
6.本発明によれば、エンジン取り付け部付近の可動式翼にフラップを配設した場合は、エンジンからの風の流れが常に利用できるメリットが有り、各種の飛行状態に応じた姿勢制御に利用できる効果がある。例えば、空中停止状態で二基又は四基又は六基のフラップを作動させることで、機体はそのまま前後に移動できるし、機体の左右のどれか一つのフラップを作動させることで、緩やかな水平回転が得られる。
7.本発明によれば、各エンジン直後方に配設した方向舵は、どんな姿勢の飛行状態でもエンジンからの風の吹き出し流の中心に常に位置し、最適な姿勢制御を可能に出来る効果がある。例えば、空中停止状態で二基または四基又は六基の方向舵を作動させることで、機体はそのまま左右に移動できるし、機体の左右のどれか一つの方向舵を作動させることで、緩やかな水平回転が得られる。
8.本発明によれば、機体前後に取り付けられた一枚または二枚又は三枚の主翼は、前後に1m位の移動が可能な可動式とし、積み荷のバランスや速度や乱気流等時の姿勢制御に合わせた最適なバランスを飛行中にもコンピューター制御で可能とし、従来にない安全性を確保することが出来る。即ち、三枚の主翼が水平から垂直方向に可動するだけでなく、更に、機体に固定ではなく、前後可動も可能にすることにより、飛行バランスを確保することが可能となる。
9.本発明によれば、三枚翼又は四枚翼と複数枚設けたうちの、機体前部に設けた翼と、機体中心部に設けた翼と、機体後部に設けた翼の各翼に取り付けたエンジン出力を翼毎に可変し、更に翼の角度を可変すると、得ようとする機体の姿勢が確保でき、機体の速度を下げたい場合は最後方に設けた翼のエンジン出力を切るなどや垂直離着陸機で有りながらプロペラ飛行機並みの高速巡航やプロペラ飛行機以上の高度飛行を可能にし、世界には300mを超す超高層ビルが出現しているが、これらの緊急救助方法が得られるなどの効果が有るが、当然として軍事目的には従来にない10,000m以上の高空でのホバリングや、ミサイルを20基や30基搭載の無人ミサイル搭載機等や地上50m等の極低空高速飛行爆撃機等や、様々な救助活動が可能となる。
10.また、未来的には200人乗りの垂直離着陸機が巡航速度800kmで、航続距離1,000kmを可能にすると、トンネルや線路用地買収など高額なインフラ整備や高額なメンテナンス費用や、それらのコストによる高額な輸送費などが課題となるが、現在では格安航空(CCL)が出現し、市街地から離れた不便な空港までの移動や、高額高速鉄道の未来は明るくないが、各都市間の主要駅(駅ビルヘリポート)まではこの新しい名称のヘリプレーンと言う飛行体で行き、その主要駅からはローカル線電車で旅を楽しむことも可能となる。飛行場まで不便な飛行機や高額な高速鉄道が不要になる等22世紀に向けた移動体の変革に向けた飛行体である。
11.また、本発明によれば、垂直尾翼式方向舵や水平尾翼又はテールローターを小型化又は廃止としたことで、機体は滑走離着陸や垂直離着陸の時に横風や下降気流や上昇気流などの乱気流に邪魔にされず最良の姿勢制御を得ることができる。
12.更に複数の推進機を配設したことで推進機による安定的な姿勢制御を実現することができる。