(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943294
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】壁面設置型の操作装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
G09F9/00 302
G09F9/00 351
G09F9/00 350Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-82829(P2012-82829)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-213861(P2013-213861A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】横関 光久
(72)【発明者】
【氏名】山下 幸弘
【審査官】
請園 信博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−185294(JP,A)
【文献】
特開2005−266387(JP,A)
【文献】
特開昭62−187379(JP,A)
【文献】
特開2001−264732(JP,A)
【文献】
特開2004−343005(JP,A)
【文献】
特開2011−043312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
G02F 1/133 − 1/1334
1/1339− 1/1341
1/1347
A47K 3/02 − 3/20
3/28
3/32
4/00
F24H 1/00
1/18 − 1/20
H03J 9/00 − 9/06
H04Q 9/00 − 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面部にディスプレイを搭載した回路基板と、
前記ディスプレイの表示面よりも前側に位置する前壁部、およびこの前壁部の外周縁から後方に向けて突出した周側壁部を有し、かつ前記回路基板を内部に収容する背面開口状のケースと、
前記回路基板の後面部を覆う保護シートと、
前記ケースの周側壁部の周囲を覆う周側壁部を有し、かつ前記ケースにその前方から外嵌装着される化粧カバーと、
を備えており、
前記ケースの周側壁部には、この周側壁部の先端部から前記回路基板の前方領域に達する深さの切欠き部が設けられている、壁面設置型の操作装置であって、
前記保護シートは、前記ケースの周側壁部の背面側に位置して前記切欠き部の先端開口部を塞ぐ切欠き用閉塞部を有していることを特徴とする、壁面設置型の操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の壁面設置型の操作装置であって、
前記ケースの周側壁部には、前記切欠き部として、間隔を隔てて並んだ一対の切欠き部が設けられて、これら一対の切欠き部の相互間には、内側面に凸部を有し、かつ前記ケースの周側壁部の厚み方向に弾性変更可能な回路基板係止用の突起部が設けられており、
前記突起部は、前記回路基板と前記凸部との干渉を回避させて前記回路基板を前記ケース内にその後方から収容させることが可能に前記ケースの外方に弾性復元力を伴って撓み変形可能であり、かつ前記凸部は、前記突起部が前記撓み変形のない状態において前記回路基板の後退移動を規制するように前記回路基板の後面部に係止可能である、壁面設置型の操作装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の壁面設置型の操作装置であって、
前記保護シートの前記切欠き用閉塞部には、前記ケースの周側壁部と前記化粧カバーの周側壁部との間に位置して前記切欠き部の外面側を塞ぐ延設部が連設されている、壁面設置型の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば台所の壁面に設置されて使用される給湯器用操作装置などの壁面設置型の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の操作装置として、
図8に示すものがある。同図に示す操作装置Bは、液晶表示器などのディスプレイ60を搭載した回路基板6が、背面開口状の透明なケース7に収容された構成を有している。ケース7は、取付金具(図示略)を用いてたとえば台所の壁面90に取り付けられる。また、このケース7には、その前方側から化粧カバー8が外嵌装着される。ケース7の背面側は開口しているため、回路基板6を保護する必要がある。そこで、ケース7内には、樹脂製の保護シート4Aも収容されている。この保護シート4Aは、たとえば特許文献1に記載されたカバープレートと同様なものであり、回路基板6後面部を保護するのに役立つ。
このような構成によれば、回路基板6の保護などを適切に図りつつ、操作装置Bの各構成部品の構造を簡易にし、全体の製造コストを廉価にするのに好ましいものとなる。一方、操作装置Bの外観は、化粧カバー8を利用して体裁の良いものに仕上げることができ、高級感などをもたせることもできる。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、ディスプレイ60とケース7の前壁部70との間に形成された隙間c3に、ダスト類が進入する虞があった。
すなわち、操作装置Bが取り付けられる壁部9には、開口部91が形成されており、回路基板1の配線コードCは、この開口部91から壁部9,9A間の空間部に通される。一方、ケース7の周側壁部71には、切欠き部72が設けられる場合がある。この切欠き部72は、たとえば後述する本発明の実施形態の突起部23に相当する部位を形成することを目的として形成される。
このような条件下において、操作装置Bが設置されている台所の換気扇(図示略)が運転され、操作装置Bの周辺部が負圧になると、壁部9,9A間の空気が操作装置B内に流入し、化粧カバー8およびケース7に形成されている隙間83から操作装置Bの外部に流出する現象を生じる。隙間83は、たとえばスピーカ用の孔や、操作スイッチの形成部分のギャップなどである(図面では、化粧カバー8の隙間83のみを示しているが、ケース7の対応部分にも隙間が存在する)。前記した空気流れを生じると、壁部9,9A間に存在するダスト類(石膏ボードの粉、建材の切り屑の粉、その他の埃など)が操作装置B内に進入する虞がある。一方、前記した空気流れとしては、矢印Naで示すように、切欠き部72を通過し、回路基板6の背後からその前方領域に進行する空気流れもある。このような空気流れは、ディスプレイ60とケース7の前壁部70との隙間c3にも向かう。すると、この隙間c3には、ダスト類が進入する。
隙間c3にダスト類が進入したのでは、ディスプレイ60の表示面60aが汚れてしまい、表示画面の視認性が悪くなる。また、操作装置Bの全体の美観も損なわれる。したがって、このようなことが適切に防止されるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4734755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、ディスプレイの正面
にダスト類を含む空気が進行してディスプレイの表示面が汚れる不具合を、簡易な手段によって適切に防止することが可能な壁面設置型の操作装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明により提供される壁面設置型の操作装置は、前面部にディスプレイを搭載した回路基板と、前記ディスプレイの表示面よりも前側に位置する前壁部、およびこの前壁部の外周縁から後方に向けて突出した周側壁部を有し、かつ前記回路基板を内部に収容する背面開口状のケースと、前記回路基板の後面部を覆う保護シートと、前記ケースの周側壁部の周囲を覆う周側壁部を有し、かつ前記ケースにその前方から外嵌装着される化粧カバーと、を備えており、前記ケースの周側壁部には、この周側壁部の先端部から前記回路基板の前方領域に達する深さの切欠き部が設けられている、壁面設置型の操作装置であって、前記保護シートは、前記ケースの周側壁部の背面側に位置して前記切欠き部の先端開口部を塞ぐ切欠き用閉塞部を有していることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、ケースの周側壁部に形成されている切欠き部の先端開口部が、保護シートの切欠き用閉塞部によって塞がれているために、操作装置の外部周辺領域が負圧となって、操作装置の背面側から操作装置の内部に空気が流入する現象を生じたとしても、この空気が前記切欠き部を通過して回路基板の背面側から回路基板の前方領域に流れる現象を生じ難くすることができる。したがって、回路基板の前方領域に位置するディスプレイの表示面とケースの前壁部との隙間に、空気が流れ込む現象も生じ難くなる。その結果、ディスプレイの表示面を汚れ難くし、表示面の視認性を良好に保ち、また操作装置全体の外観体裁を良好な状態に維持することが可能となる。
【0009】
本発明において、好ましくは、前記ケースの周側壁部には、前記切欠き部として、間隔を隔てて並んだ一対の切欠き部が設けられて、これら一対の切欠き部の相互間には、内側面に凸部を有し、かつ前記ケースの周側壁部の厚み方向に弾性変更可能な回路基板係止用の突起部が設けられており、
前記突起部は、前記回路基板と前記凸部との干渉を回避させて前記回路基板を前記ケース内にその後方から収容させることが可能に前記ケースの外方に弾性復元力を伴って撓み変形可能であり、かつ前記凸部は、前記突起部が前記撓み変形のない状態において前記回路基板の後退移動を規制するように前記回路基板の後面部に係止可能である。
【0010】
このような構成によれば、ケースの周側壁部に一対の切欠き部を設けることによって、その相互間には、回路基板を係止させてその位置決めを好適に図るのに役立つ回路基板係止用の突起部が形成されている。したがって、部品点数の増加を抑制しつつ、回路基板の組み付け作業の容易化を図る上で、好ましいものとなる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記保護シートの前記切欠き用閉塞部には、前記ケースの周側壁部と前記化粧カバーの周側壁部との間に位置して前記切欠き部の外面側を塞ぐ延設部が連設されている。
【0012】
このような構成によれば、ケースの周側壁部に形成された切欠き部を空気が通過する現象を、より生じ難くすることができる。したがって、ディスプレイの表示面が汚れることを防止するのに一層好ましいものとなる。
【0013】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る壁面設置型の操作装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す壁面設置型の操作装置の分解斜視図である。
【
図5】
図1に示す壁面設置型の操作装置の一部の構成部品の斜視図である。
【
図6】
図1に示す壁面設置型の操作装置の一部の構成部品の平面断面図である。
【
図8】(a)は、従来技術の一例を示す断面図であり、(b)は、(a)の分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
図1〜
図6は、本発明に係る壁面設置型の操作装置の一例を示している。
本実施形態の壁面設置型の操作装置A(以下「操作装置A」と略称する)は、給湯器用のリモコンであり、
図1に示すように、たとえば台所の壁面90に取り付けられて使用される。操作装置Aの構成部品は、従来技術で述べた操作装置Bと共通しており、その構成部品としては、
図2〜
図4に示すように、回路基板1、回路基板1を収容するためのケース2、化粧カバー3、および保護シート4がある。
【0017】
回路基板1は、給湯器の運転のオン・オフや目標給湯温度の設定制御などを行なうためのデータ処理回路を構成する複数の電気・電子部品が基板本体1aに実装されたものである。この回路基板1の前部には、たとえば液晶表示器を用いたディスプレイ10、スピーカ11(
図2を参照)、および操作スイッチ用のコンタクトスイッチ機構部(図示略)が搭載されている。なお、本発明に係る操作装置は、操作スイッチ関係には格段の特徴はないため、図面においては、操作ボタンについては適宜示しているものの、それに関連する動作機構(前記したコンタクトスイッチ機構部など)は省略している。
【0018】
ケース2は、透明樹脂製であり、回路基板1の前方に位置する正面視矩形状の前壁部20と、この前壁部20の外周縁から後方に向けて突出した矩形枠状の周側壁部21とを有する背面開口状である。
図5によく表われているように、周側壁部21のうち、左右両側に位置する一対の壁部21aのそれぞれには、一対のスリット状の切欠き部22が上下に間隔を隔てて形成され、回路基板係止用の突起部23が形成されている。この突起部23は、
図6の矢印N11に示す方向、すなわち壁部21aの厚み方向(ケース2の左右幅方向)に弾性変形可能である。この突起部23の内側面には、凸部23aが設けられている。左右一対の突起部23を、ケース2の外側(
図6の矢印N10の方向)に開くように撓ませれば、各突起部23と回路基板1との干渉を回避し、回路基板1をケース2内にその後方側から進入させて収容することが可能である。突起部23を元通りの状態に弾性復帰させると、
図4に示すように、凸部23aが基板本体1aの後面部に係止し、回路基板1がケース2の後方に移動することが適切に防止される。
図4の部分拡大図に示すように、切欠き部22の深さL1は、周側壁部21の先端部21bから回路基板1の前方領域(厳密には、基板本体1aの前方領域)に達する深さである。切欠き部22の深さL1が浅いと、突起部23が短くなって十分に弾性変形しないものとなるが、本実施形態ではそのような不具合はない。
【0019】
化粧カバー3は、ケース2と同様な背面開口状であり、正面視矩形状の前壁部30、およびこの前壁部30の外周縁から後方に向けて突出した矩形枠状の周側壁部31を有している。この化粧カバー3は、ディスプレイ10の表示面10aを前方から目視することができるように、表示面10aの正面に相当する箇所は透明部32(開口窓でもよい)とさ
れ、これ以外の部分は不透明な樹脂製である。この化粧カバー3は、ケース2にその前方から外嵌装着され、この化粧カバー3の周側壁部31が、ケース2の周側壁部21の周囲を覆う格好とされる。
【0020】
保護シート4は、たとえば柔軟性(可撓性)を有する透明な樹脂製シートであり、ケース2内のうち、回路基板1の後方領域に収容される。この保護シート4は、回路基板1の後面部を覆い、回路基板1の保護(防水、防塵、絶縁など)を図るためのものである。ただし、この保護シート4の両側縁部には、一対の切欠き用閉塞部40が設けられている。この切欠き用閉塞部40は、ケース2の周側壁部21の背面側に重なり、切欠き部22の先端開口部(切欠き部22の後方側(たとえば
図4では右側))を塞ぐための部分である。保護シート4のうち、切欠き用閉塞部40以外の領域は、周側壁部21の内側に配される。切欠き用閉塞部40は、周側壁部21の内側には配されず、保護シート4の他の領域よりも適当な寸法L2だけ外側に部分的に突出している(
図2および
図5を参照)。切欠き用閉塞部40は、化粧カバー3の外側に不体裁にはみ出さない寸法とされている。
【0021】
保護シート4は、回路基板1に固定されている。この固定手段としては、
図5に示すように、たとえば保護シート4の複数箇所に孔部41を形成し、かつこの孔部41に挿通させたネジ体96を回路基板1のネジ孔17に螺合させて、保護シート4を回路基板1に押さえ付ける手段が用いられている。保護シート4は、ある程度の腰をもつために、保護シート4の一部をネジ体96によって回路基板1に押さえ付けたとしても、切欠き用閉塞部40を周側壁部21の背面側に重ねた状態を適切に維持することが可能である。保護シート4には、回路基板1に接続された配線コードCを通すための孔部(図示略)や、配線コードCを回路基板1に接続するのに利用されるネジ体97を挿通させるための孔部49なども設けられている。
【0022】
操作装置Aは、取付板5を利用して壁面90に取り付けられる。取付板5は、金属板にプレス加工などを施して構成されたものであり、ネジ体98を利用して壁面90に固定される。取付板5および壁面90には、配線コードCを通すための開口部50,91が形成されている。ケース2は、
図3に示すように、その下面部に設けられた下向き凸部29が取付板5の下部の側面視コ字状の受け部51に係入されることにより支持される。また、ケース2の上部の孔部28に挿通するネジ体99は、取付板5のネジ孔52に螺合される。このことにより、ケース2と取付板5との連結が図られている。このようなケース2の取り付けにより、操作装置Aの全体を壁面90に取り付けることができる。配線コードCは、壁部9,9Aの相互間の空間部を通過して給湯器に接続されている。
【0023】
次に、前記した操作装置Aの作用について説明する。
【0024】
まず、操作装置Aが設置されている台所の換気扇(図示略)が運転され、操作装置Aの周辺部が負圧になると、先に述べた従来技術と同様な原理に基づき、壁部9,9A間に存在する空気が操作装置A内に流入する現象を生じる場合がある。具体的には、
図4に示すように、壁部9,9A間に存在する空気は、開口部91を通過して操作装置A内に流入し、化粧カバー3のスピーカ用の孔38などを通過して操作装置Aの外部に流出する。これに対し、本実施形態では、切欠き部22の先端開口部が、保護シート4の切欠き用閉塞部40によって塞がれているために、
図4の部分拡大図の矢印N1で示すように、回路基板1の後方に存在する空気が、切欠き部22に直接流入することは抑制される。切欠き部22の外側に廻り込んで切欠き部22内に流入する空気は発生するものの、切欠き部22に向けて直接進行する空気流れを遮断すれば、切欠き部22を通過する空気の総量は、かなり少なくなる。このため、切欠き部22を通過して回路基板1の後方からその前方領域に流れ込む空気量も少なくなる。したがって、回路基板1の前方領域であって、ディスプレイ10とケース2の前壁部20との隙間c1に向けて進行する空気の量も少なくなる。そ
の結果、空気中に含まれているたとえば石膏ボードの粉、建材の切り屑の粉、あるいはその他のダスト類に起因して、ディスプレイ10の表示面10aが汚れる虞を少なくすることができる。
【0025】
本実施形態によれば、切欠き部22を通過する空気量を抑制する手段として、保護シート4を利用しているために、部品点数が増加するようなことはない。切欠き用閉塞部40は、保護シート4の一部を突出させることによって容易に形成することが可能である。したがって、従来と比較して、製造コストが高価となる不利は殆どない。なお、操作装置A内に流入した空気の一部は、ケース2および化粧カバー3の前壁部20,30の隙間c10にも進入し、この部分が汚れる場合がある。ただし、化粧カバー3は、ケース2から容易に抜き外すことができるために、前記した部分については容易に清掃することが可能であり、好適に対処することができる。
【0026】
本実施形態では、ケース2および化粧カバー3の周側壁部21,31間の隙間c2(たとえば、
図3,
図4を参照)が、保護シート4によって大きな面積割合で塞がれないようにされている。このような構成によれば、操作装置A内に流入した空気の多くが、前記した隙間c2を通過することとなり、切欠き部22を通過してディスプレイ10側に進行する空気の量をより少なくすることができる利点が得られる。ただし、本発明はこれに限定されない。本発明では、保護シート4の外周縁のうち、切欠き用閉塞部40以外の箇所についても、ケース2の周側壁部21の内側には収容されていない構成とし、周側壁部21の先端部に重なったり、あるいは周側壁部21の外方にはみ出した構成とすることもできる。むろん、保護シート4は、化粧カバー3の外側に不体裁にはみ出さないようにすることが好ましい。
【0027】
図7は、本発明の他の実施形態を示している。同図においては、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0028】
図7に示す操作装置A1においては、保護シート4の切欠き用閉塞部40に、延設部42が一体的に連設されている。この延設部42は、切欠き用閉塞部40に対して屈曲して繋がっており、ケース2および化粧カバー3の周側壁部21,31の相互間に介装されていることによって、切欠き部22の外面側を塞いでいる。
【0029】
本実施形態によれば、切欠き部22がより大きな面積で塞がれており、切欠き部22を通過して回路基板1の後方から前方に流れる空気の量をより少なくすることができる。したがって、ディスプレイ10の表示面10aの汚れを防止する上で、一層好ましいものとなる。もちろん、延設部42は、化粧カバー3の外側に不体裁な状態ではみ出しておらず、外観体裁が損なわれるようなこともない。
【0030】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る壁面設置型の操作装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0031】
本発明でいう保護シートは、回路基板を保護するようにその後面部を覆うシートであって、本発明が意図する切欠き用閉塞部が設けられたものであればよく、その具体的な形状、サイズ、材質などは問わない。保護シートは、1枚のシートで形成されたものに代えて、複数枚のシートを用いて構成することもできる。
【0032】
ケースの周側壁部に設けられる切欠き部は、必ずしも、回路基板係止用の突起部23を形成するためのものでなくてもよい。たとえば、ケース内において、回路基板の前方から後方に配線部材などを通過させるための切欠き部などであってもよい。したがって、本発
明でいう切欠き部は、細幅な一対のスリットとして形成されたものに限らない。本発明は、たとえば配線部材を通過させ得るような幅広な形状の切欠き部が1または複数箇所設けられているような場合にも適用することができる。
【0033】
ディスプレイは、液晶表示器に限らず、有機EL表示器などを利用したもの、あるいは、いわゆる7セグや8セグのLEDなどを利用したものでもよい。化粧カバーは、ケースの周側壁部の周囲を覆う周側壁部を有し、ケースに対してその前方から外嵌装着可能であればよい。本発明は、給湯器用のリモコンに限らず、壁面に取付けられる種々の操作装置に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
A,A1 壁面設置型の操作装置
c1 隙間(ディスプレイの表示面とケースの前壁部との隙間)
1 回路基板
2 ケース
3 化粧カバー
4 保護シート
10 ディスプレイ
10a 表示面(ディスプレイの)
20 前壁部(ケースの)
21 周側壁部(ケースの)
22 切欠き部
23 回路基板係止用の突起部
23a 凸部
30 前壁部(化粧カバーの)
31 周側壁部(化粧カバーの)
40 切欠き用閉塞部
42 延設部
90 壁面