(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943300
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】サーメット棒切断装置
(51)【国際特許分類】
B24B 41/06 20120101AFI20160621BHJP
H01J 9/28 20060101ALI20160621BHJP
B28D 1/24 20060101ALI20160621BHJP
B28D 7/04 20060101ALI20160621BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
B24B41/06 Z
H01J9/28 B
B28D1/24
B28D7/04
B24B27/06 J
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-188023(P2012-188023)
(22)【出願日】2012年8月28日
(65)【公開番号】特開2014-42975(P2014-42975A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135965
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 要泰
(72)【発明者】
【氏名】生熊 晋
(72)【発明者】
【氏名】大室 正
【審査官】
須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−212730(JP,A)
【文献】
特開2011−051087(JP,A)
【文献】
実開昭60−134555(JP,U)
【文献】
実開昭63−156710(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B27/06
B24B41/06
B26D7/02
B28D1/24
B28D7/04
H01J9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーメット棒を固定するためのサーメット棒固定装置と、該サーメット棒固定装置に固定されたサーメット棒を切断するための複数の回転刃を備えた回転カッターと、を有するサーメット棒切断装置において、
前記サーメット棒固定装置は、互いに平行に並んで形成された複数のサーメット棒用溝を備えた固定板と、該固定板のサーメット棒用溝に配置されたサーメット棒を支持するために前記固定板に装着可能な第1の押さえ部材と、前記固定板のサーメット棒用溝に配置されたサーメット棒を支持するための第2の押さえ部材と、を有し、
前記第1の押さえ部材は、前記複数の回転刃のピッチと同一のピッチの複数のカッター用スリットを有し、前記回転カッターによって前記固定板のサーメット棒用溝に配置されたサーメット棒を切断するとき、前記複数の回転刃は、前記第1の押さえ部材のカッター用スリットに挿入するように構成され、
前記第2の押さえ部材は、前記第1の押さえ部材の両側にて前記第1の押さえ部材より所定の隙間を設けて前記固定板に装着可能であり、前記回転カッターによって前記固定板のサーメット棒用溝に配置されたサーメット棒を切断するとき、前記複数の回転刃は、前記第1の押さえ部材のカッター用スリットと、前記第1の押さえ部材と前記第2の押さえ部材の間に形成された隙間に挿入するように構成されていることを特徴とするサーメット棒切断装置。
【請求項2】
請求項1記載のサーメット棒切断装置において、
前記第2の押さえ部材は、前記固定板のサーメット棒用溝に配置されたサーメット棒に接触する部分に弾性部材を備えていることを特徴とするサーメット棒切断装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のサーメット棒切断装置において、
前記固定板は、前記複数の回転刃のピッチと同一のピッチの複数のカッター用溝を有し、前記回転カッターによって前記固定板のサーメット棒用溝に配置されたサーメット棒を切断するとき、前記複数の回転刃は、前記固定板の複数のカッター用溝に挿入するように構成されていることを特徴とするサーメット棒切断装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載のサーメット棒切断装置において、
前記サーメット棒用溝のピッチは前記サーメット棒の外径より大きく、前記サーメット棒用溝に配置された複数のサーメット棒は互いに接触しないように構成されていることを特徴とするサーメット棒切断装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載のサーメット棒切断装置において、
前記第1の押さえ部材は矩形断面の板材に凹部を形成することによって形成され、該凹部は前記固定板に係合することができるように構成されていることを特徴とするサーメット棒切断装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載のサーメット棒切断装置において、
前記第1の押さえ部材は、前記固定板のサーメット棒用溝に配置されたサーメット棒に接触する部分に弾性部材を備えていることを特徴とするサーメット棒切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーメット棒を切断するための切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックメタルハライドランプの発光管には1対の電極アセンブリが設けられている。電極アセンブリでは、電極を封着するための封着性導電部材として導電性サーメット棒が用いられる。この導電性サーメット棒の直径は通常1mm以下であり、例えば、0.50〜0.95mmである。また、その長さは、5〜7mmであるが、10〜20mmのものもある。
【0003】
導電性サーメットは、金属材料とセラミック材料との混合物を焼結した焼結体である。金属材料としては、耐ハロゲン性のある材料が好ましく、例えばタングステン(W)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、ロジウム(Rh)等が挙げられる。また、セラミック材料としては、例えばアルミナ(Al
2O
3)、イットリア(Y
2O
3)、シリカ(SiO
2)、およびジルコニア(ZrO
2)等の酸化物系や、窒化アルミニウム(AlN)等の窒化物系がある。
【0004】
導電性サーメットの製造方法を簡単に説明する。先ず、平均粒径1〜5μmの金属微粉末と、平均粒径1μmのセラミック顆粒または擬集粒子とを1:1の比率で混合し、金属粒子にセラミック顆粒がほぼ均等に被覆された粉末を作製する。次に、この粉末を押出し成形後に真空中1600℃で加熱し、焼結処理を行う。それによって、金属粒子が部分的に網状構造をなし、導電性のサーメット棒が得られる。こうして得られた導電性サーメット棒の長さ寸法は80〜100mm程度である。これをダイヤモンドカッタ等によって切断して、電極アセンブリで用いられる導電性サーメット棒を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−177092号公報
【特許文献2】特開2005−011745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
サーメット棒は細く且つ極めて硬いので、従来、効率的にサーメット棒を切断する方法が無かった。例えば、サーメット棒を1本づつ1枚のカッターで切断する方法が採用されていた。この方法は、非効率的である。そこで固定板に複数のサーメット棒を固定し、1枚のカッターで同時に切断する方法が用いられる。しかしながら、この場合には、固定板に並べたサーメット棒が、切断中に暴れてカッターが破損することがある。
【0007】
本発明の目的は、サーメット棒を効率的に且つ容易に切断することができる切断技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、サーメット棒を固定するためのサーメット棒固定装置と、該サーメット棒固定装置に固定されたサーメット棒を切断するための複数の回転刃を備えた回転カッターと、を有するサーメット棒切断装置において、前記サーメット棒固定装置は、互いに平行に並んで形成された複数のサーメット棒用溝を備えた固定板と、該固定板のサーメット棒用溝に配置されたサーメット棒を支持するために前記固定板に装着可能な第1の押さえ部材と、を有し、前記第1の押さえ部材は、前記複数の回転刃のピッチと同一のピッチの複数のカッター用スリットを有し、前記回転カッターによって前記固定板のサーメット棒用溝に配置されたサーメット棒を切断するとき、前記複数の回転刃は、前記第1の押さえ部材のカッター用スリットに挿入するように構成されている。
【0009】
本実施形態によると、サーメット棒切断装置において、前記サーメット棒固定装置は、前記固定板のサーメット棒用溝に配置されたサーメット棒を支持するための第2の押さえ部材、を有し、該第2の押さえ部材は、前記第1の押さえ部材の両側にて前記第1の押さえ部材より所定の隙間を設けて前記固定板に装着可能であり、前記回転カッターによって前記固定板のサーメット棒用溝に配置されたサーメット棒を切断するとき、前記複数の回転刃は、前記第1の押さえ部材のカッター用スリットと、前記第1の押さえ部材と前記第2の押さえ部材の間に形成された隙間に挿入するように構成されてよい。
【0010】
本実施形態によると、サーメット棒切断装置において、前記固定板は、前記複数の回転刃のピッチと同一のピッチの複数のカッター用溝を有し、前記回転カッターによって前記固定板のサーメット棒用溝に配置されたサーメット棒を切断するとき、前記複数の回転刃は、前記固定板の複数のカッター用溝に挿入するように構成されてよい。
【0011】
本実施形態によると、サーメット棒切断装置において、前記サーメット棒用溝のピッチは前記サーメット棒の外径より大きく、前記サーメット棒用溝に配置された複数のサーメット棒は互いに接触しないように構成されてよい。
【0012】
本実施形態によると、サーメット棒切断装置において、前記固定板は、サーメット棒支持部と該サーメット棒支持部の両側の取付部を有し、前記サーメット棒支持部に前記サーメット棒用溝が設けられ、前記サーメット棒支持部における前記固定板の厚さは、前記取付部における前記固定板の厚さより大きく、前記サーメット棒支持部の上面と前記取付部の上面の境界に段差が形成されてよい。
【0013】
本実施形態によると、サーメット棒切断装置において、前記第1の押さえ部材は矩形断面の板材に凹部を形成することによって形成され、該凹部は前記固定板に係合することができるように構成されてよい。
【0014】
本実施形態によると、サーメット棒切断装置において、前記第1の押さえ部材は、前記固定板のサーメット棒用溝に配置されたサーメット棒に接触する部分に弾性部材を備えてよい。
【0015】
本実施形態によると、サーメット棒切断装置において、前記第2の押さえ部材は、前記固定板のサーメット棒用溝に配置されたサーメット棒に接触する部分に弾性部材を備えてよい。
【0016】
本発明によると、複数の回転刃を備えた回転カッターによって切断するサーメット棒を固定するためのサーメット棒固定装置において、互いに平行に並んで形成された複数のサーメット棒用溝を備えた固定板と、該固定板のサーメット棒用溝に配置されたサーメット棒を支持するために前記固定板に装着可能な第1の押さえ部材と第2の押さえ部材を有し、前記第1の押さえ部材は、前記複数の回転刃のピッチと同一のピッチの複数のカッター用スリットを有し、前記第2の押さえ部材は、前記第1の押さえ部材の両側にて前記第1の押さえ部材より所定の隙間を設けて前記固定板に装着可能であり、前記回転カッターによって前記固定板のサーメット棒用溝に配置されたサーメット棒を切断するとき、前記複数の回転刃は、前記第1の押さえ部材のカッター用スリットと、前記第1の押さえ部材と前記第2の押さえ部材との間に形成された隙間に挿入するように構成されている。
【0017】
本実施形態によると、サーメット棒固定装置において、前記固定板は、前記複数の回転刃のピッチと同一のピッチの複数のカッター用溝を有し、前記回転カッターによって前記固定板のサーメット棒用溝に配置されたサーメット棒を切断するとき、前記複数の回転刃は、前記固定板の複数のカッター用溝に挿入するように構成されてよい。
【0018】
本実施形態によると、サーメット棒固定装置において、前記固定板は、矩形の板材によって形成され、サーメット棒支持部と該サーメット棒支持部の両側の取付部を有し、前記サーメット棒支持部に前記サーメット棒用溝が設けられ、前記サーメット棒支持部における前記固定板の厚さは、前記取付部における前記固定板の厚さより大きく、前記サーメット棒支持部の上面と前記取付部の上面の境界に段差が形成されてよい。
【0019】
本実施形態によると、サーメット棒固定装置において、前記第1の押さえ部材は矩形断面の板材に凹部を形成することによって形成され、該凹部は前記固定板に係合することができるように構成されてよい。
【0020】
本実施形態によると、サーメット棒固定装置において、前記第1の押さえ部材と前記第2の押さえ部材は、前記固定板のサーメット棒用溝に配置されたサーメット棒に接触する部分に弾性部材を備えてよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、サーメット棒を効率的に且つ容易に切断することができる切断技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本実施態様によるサーメット棒切断装置の外観を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態によるサーメット棒固定装置の構造及び組立方法を説明する図である。
【
図3】
図3は、本実施形態によるサーメット棒固定装置の固定板の上にサーメット棒を配置する方法を説明する図である。
【
図4】
図4は、本実施形態によるサーメット棒固定装置の固定板のサーメット棒支持部のサーメット棒用溝に、サーメット棒を配置する方法を説明する図である。
【
図5】
図5は、本実施形態によるサーメット棒固定装置の固定板のサーメット棒支持部の上に配置されたサーメット棒の支持状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るサーメット棒切断装置及びサーメット棒固定装置の実施形態に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中、同じ要素に対しては同じ参照符号を付して、重複した説明を省略する。
【0024】
図1を参照して本発明の実施態様によるサーメット棒切断装置を説明する。本実施形態のサーメット棒切断装置は、回転カッター3とサーメット棒固定装置1を有する。回転カッター3は、回転軸30とその周りに装着された複数の円形の回転刃を備えており、図示の例では、互いに平行に所定の間隔にて配置された9枚の回転刃31〜39を備える。
【0025】
サーメット棒固定装置1は、固定板10と、第1の押さえ部材20と、第2の押さえ部材22、24を有する。固定板、第1及び第2の押さえ部材は、例えば、ステンレス鋼によって形成されてよい。
【0026】
固定板10及び第1及び第2の押さえ部材20、22、24の構造及び組立方法は後に詳細に説明するが、ここでは、
図1の説明上必要な概略のみを説明する。固定板10の上面には、固定板10の長手方向に沿って、平行に並んだ複数の溝、即ちサーメット棒用溝が形成され、そこにサーメット棒を配置することができる。サーメット棒用溝に配置されたサーメット棒は、それぞれ隣接するサーメット棒に接触しないように、互いに離れて配置されている。その上から第1及び第2の押さえ部材20、22、24を配置する。ボルト27によって第1及び第2の押さえ部材20、22、24を固定板10の上に固定する。第1及び第2の押さえ部材20、22、24がサーメット棒と接触する面には弾性部材が装着されている。こうして、複数のサーメット棒は、それぞれ隣接するサーメット棒に接触しないように、サーメット棒固定装置1に固定される。
【0027】
第1の押さえ部材20には複数の切り込み、即ち、カッター用スリット201が形成されている。図示の例では、7列のカッター用スリット201が形成されている。第1の押さえ部材20と第2の押さえ部材22、24の間に隙間202、203が、それぞれ、形成されている。
【0028】
サーメット棒を切断する方法を説明する。サーメット棒を、回転カッター3の回転軸30に平行になるように、サーメット棒固定装置1に装着する。回転カッター3をサーメット棒固定装置1に対して相対的に近付く方向へ移動させる。回転カッター3は、サーメット棒固定装置1の一方の側部に沿って配置される。9枚の回転刃のうち、両側の回転刃31、39は、第1の押さえ部材20と第2の押さえ部材22、24の間の隙間202、203に、それぞれ挿入され、中央の7枚の回転刃32〜38は、第1の押さえ部材20のカッター用スリット201に挿入される。このとき、回転刃の先端は、サーメット棒の列の外側に配置され、サーメット棒に接触していない。次に、回転カッター3を、固定板10に平行な面に沿って移動させる。回転刃31〜39は、隙間202、203及びカッター用スリット201に挿入された状態で固定板10に平行な面に沿って移動する。
【0029】
回転カッター3が、サーメット棒固定装置1の一方の側部から他方の側部へ、固定板10に平行な面に沿って移動すると、複数のサーメット棒は順に切断される。次に、回転カッター3を、サーメット棒固定装置1に対して相対的に遠ざかる方向へ移動させる。
【0030】
次に、切断されたサーメット棒を取り出す。先ず、ボルト27を外して、両側の第2の押さえ部材22、24を外す。第2の押さえ部材22、24の下には、サーメット棒の両側の切り取り部分が保持されている。従って、第2の押さえ部材22、24を外すと、不要な切り取り部分を除去することができる。次に、ボルト27を外して、第1の押さえ部材20を外す。第1の押さえ部材20の下に、所定の寸法に切断されたサーメット棒が保持されている。第1の押さえ部材20を外すと、所定の寸法のサーメット棒を取り出すことができる。本実施形態では、押さえ部材は、第1の押さえ部材20と第2の押さえ部材22、24に分離されており、それぞれ別個に固定板10より外すことができる。従って、サーメット棒を切断した後に、不要な切り取り部分と所定の寸法のサーメット棒を分離して取り出すことができる。そのため、所定の寸法のサーメット棒と不要な切り取り部分を分別する作業が不要となる。
【0031】
図2を参照して本実施形態によるサーメット棒固定装置1の構造及び組立方法を詳細に説明する。サーメット棒固定装置1は、固定板10と、第1の押さえ部材20と、第2の押さえ部材22、24を有する。
【0032】
固定板10は、矩形の板材によって形成されてよい。固定板10は中央部分のサーメット棒支持部10Aとその両側の取付部10B、10Cを有する。両側の取付部10B、10Cは、サーメット棒切断装置に設けられた図示しない固定部に取り付けられる。固定板10の長手方向の寸法をL、幅方向の寸法をBとする。サーメット棒支持部10Aの長手方向の寸法をL1、取付部10B、10Cの長手方向の寸法を、それぞれL2、L3とする。L=L1+L2+L3である。サーメット棒支持部10Aにおける固定板の厚さは、取付部10B、10Cにおける固定板の厚さより大きい。従って、サーメット棒支持部10Aの上面と取付部10B、10Cの上面の境界に段差10b、10cが形成されている。
【0033】
サーメット棒支持部10Aの上面には、固定板10の幅方向に沿って、複数のカッター用溝101が平行に並んで形成されている。図示の例では、9列のカッター用溝101が形成されている。即ち、回転カッター3の回転刃と同数のカッター用溝101が形成されている。隣接する2つのカッター用溝101の間の間隔、即ち、溝ピッチは、回転カッター3の隣接する2つの回転刃の間隔、即ち、回転刃ピッチに等しい。
【0034】
カッター用溝101の断面形状は矩形であってよい。サーメット棒支持部10Aの上面は、9列のカッター用溝101によって、10列の帯状部分に区分されている。
【0035】
サーメット棒支持部10Aの上面には、固定板10の長手方向に沿って、複数のサーメット棒用溝102が平行に並んで形成されている。即ち、カッター用溝101とサーメット棒用溝102は互いに直交するように形成されている。図示の例では、サーメット棒用溝102の断面形状はV字形であるが、他の形状、例えば、半円形等であってもよい。また、サーメット棒用溝102の個数は任意であるが、例えば、30列であってよい。カッター用溝101の深さは、サーメット棒用溝102の底部の深さより大きいか、又は、等しい。従って、サーメット棒用溝102は、カッター用溝101の部分では途切れている。
【0036】
第1の押さえ部材20は矩形断面の板材に軸線方向に延びる凹部20Aを形成することによって製造される。凹部20Aの幅方向の寸法は、固定板10の幅方向の寸法Bに対応している。従って、第1の押さえ部材20の凹部20Aは固定板10に係合することができる。凹部20Aの内面には弾性部材21が装着されている。弾性部材21は、例えば、ニトリルゴム、シリコンゴム等の合成ゴムによって形成されてよい。
【0037】
第1の押さえ部材20の上面には、幅方向に沿って、複数のカッター用スリット201が平行に並んで形成されている。図示の例では、7列のカッター用スリット201が形成されている。即ち、回転カッター3の回転刃の数より2個だけ少ないカッター用スリット201が形成されている。隣接する2つのカッター用スリット201の間の間隔、即ち、スリットピッチは、回転カッター3の隣接する2つの回転刃の間隔、即ち、回転刃ピッチに等しい。
【0038】
カッター用スリット201は、第1の押さえ部材20の凹部20Aの内面まで達している。凹部20Aに装着された弾性部材21にも、カッター用スリット201に対応して、且つ、カッター用スリット201に通ずる複数のスリットが形成されている。
【0039】
第2の押さえ部材22、24は細長い矩形部材によって形成されている。第2の押さえ部材22、24の長手方向の寸法は、固定板10の幅方向の寸法Bに対応している。一方、第2の押さえ部材22、24の幅方向の寸法は、固定板10のサーメット棒支持部10Aの両側の2列の帯状部分の幅に対応している。第2の押さえ部材22、24の下面には弾性部材23、25が、それぞれ装着されている。弾性部材23、25は、例えば、ニトリルゴム、シリコンゴム等の合成ゴムによって形成されてよい。
【0040】
固定板10のサーメット棒支持部10Aにはネジ穴107が形成されている。第1の押さえ部材20には、孔207が形成されている。第2の押さえ部材22、24には、孔227、247が、それぞれ形成されている。固定板10のネジ穴107の位置は、第1及び第2の押さえ部材22、24の孔207、227、247の位置に対応している。
【0041】
次に本実施形態のサーメット棒固定装置1の組立方法を説明する。先ず、固定板10のサーメット棒支持部10Aのサーメット棒用溝102に、複数のサーメット棒をそれぞれ配置する。サーメット棒用溝102に配置されたサーメット棒は、それぞれ隣接するサーメット棒に接触しないように、互いに離れて配置される。サーメット棒用溝102が30列であるとして、30本サーメット棒を用意する。本例では、9個の回転刃を備えた回転カッター3を用いる。サーメット棒の両端を切り落とし、残りの部分を7か所で切断する。従って、1本のサーメット棒から、8個の導電性サーメットが得られる。30本のサーメット棒から240本の導電性サーメットが得られる。
【0042】
サーメット棒の長さ寸法は、少なくとも両端が、第1の押さえ部材20の両側より突出し、第2の押さえ部材22、24によって押さえつけられることができるために十分な大きさである。
【0043】
次に、第1の押さえ部材20を固定板10の上に被せるように配置する。第1の押さえ部材20の凹部20Aを固定板10のサーメット棒支持部10Aに係合させる。それによって第1の押さえ部材20の凹部20Aの弾性部材21は、サーメット棒に接触する。次に、ボルト27を第1の押さえ部材20の孔207に挿通し、固定板10のネジ穴107に係合させる。こうして、第1の押さえ部材20を固定板10に装着することによって、サーメット棒は、第1の押さえ部材20の凹部20Aの弾性部材21によって押圧され、固定される。
【0044】
次に、第2の押さえ部材22、24を第1の押さえ部材20の両側から、固定板10の上に被せるように配置する。同様に、ボルト27を第2の押さえ部材22、24の孔227、247に挿通し、固定板10のネジ穴107に係合させる。こうして、第2の押さえ部材22、24を固定板10に装着することによって、サーメット棒の両端は、第2の押さえ部材22、24の弾性部材23、25によって押圧され、固定される。
【0045】
図3を参照して、固定板の上にサーメット棒を配置する方法を詳細に説明する。固定板10は中央部分のサーメット棒支持部10Aとその両側の取付部10B、10Cを有する。サーメット棒支持部10Aにおける固定板の厚さは、取付部10B、10Cにおける固定板の厚さより大きい。従って、サーメット棒支持部10Aの上面と取付部10B、10Cの上面の境界に段差10b、10cが形成されている。サーメット棒支持部10Aの上面には、固定板10の幅方向に沿って、9列のカッター用溝101が平行に並んで形成されている。サーメット棒支持部10Aの上面は、9列のカッター用溝101によって、10列の帯状部分に区分されている。帯状部分の幅は、回転カッター3の回転刃ピッチに等しい。
【0046】
サーメット棒支持部10Aの上面には、固定板10の長手方向に沿って、複数のサーメット棒用溝102が平行に並んで形成されている。サーメット棒用溝102は、カッター用溝101の部分では途切れている。
【0047】
図3に示した例では、固定板10のサーメット棒支持部10Aのサーメット棒用溝102に、4本のサーメット棒5が配置されている。サーメット棒5の両端は、固定板10のサーメット棒支持部10Aの10列の帯状部分のうち、両側の2つの帯状部分に配置されている。本実施例では、サーメット棒の長さ寸法は、少なくとも両端が、第1の押さえ部材20の両側より突出し、第2の押さえ部材22、24によって押さえつけられることができるために十分な大きさであることが好ましい。しかしながら、本実施形態によればサーメット棒の長さ寸法は、それより長くてもよいし短くてもよいことに留意されたい。
【0048】
図4を参照して、固定板10のサーメット棒支持部10Aのサーメット棒用溝102に、サーメット棒5を配置する方法を説明する。
図4は、固定板10のサーメット棒支持部10Aの端部の形状を示す拡大図である。図示のように、サーメット棒支持部10Aの端部には段差10bが形成されている。段差10bの厚さ方向の寸法をhとする。
【0049】
サーメット棒支持部10Aには、カッター用溝101とサーメット棒用溝102が互いに直交する方向に延びている。カッター用溝101の深さは、サーメット棒用溝102の底部の深さに等しいか又はそれより大きいから、サーメット棒用溝102は、カッター用溝101の部分では途切れている。カッター用溝101の深さは、段差10bの厚さ方向の寸法hに等しくてもよい。
【0050】
図示の例では、サーメット棒用溝102の断面形状はV字形である。一方、サーメット棒5は円形断面を有する。サーメット棒用溝102にサーメット棒5を配置すると、サーメット棒5の上側は、サーメット棒用溝102より露出する。サーメット棒5の上側は、固定板10のサーメット棒支持部10Aの上面10aより突出する。従って、第1の押さえ部材20を固定板10に装着すると、第1の押さえ部材20の凹部20Aの弾性部材21は、サーメット棒5に接触する。第2の押さえ部材22、24を固定板10に装着すると、第2の押さえ部材22、24の弾性部材23、25はサーメット棒5に接触する。
【0051】
図示の例では、サーメット棒5の端部5Aは、サーメット棒支持部10Aの端の帯状部分に配置され、サーメット棒支持部10Aの端部の段差10bより突出していない。しかしながら、サーメット棒5の端部5Aは、サーメット棒支持部10Aの端部の段差10bより突出してもよい。
【0052】
図5を参照して、固定板10のサーメット棒支持部10Aの上に配置されたサーメット棒5の支持状態を説明する。固定板10のサーメット棒支持部10Aの上面には複数列のサーメット棒用溝102が形成され、そこに円形断面のサーメット棒5が配置されている。サーメット棒5の上側は、サーメット棒用溝102より突出している。第1の押さえ部材20の凹部20Aの弾性部材21は、サーメット棒用溝102より突出したサーメット棒5の上面に接触している。第1の押さえ部材20からの押し付け力によって、弾性部材21は収縮し、弾性力を生成する。この弾性力によって、サーメット棒5は、サーメット棒用溝102に押し付けられる。サーメット棒5の外径はサーメット棒用溝102のピッチより小さい。従って、互いに隣接する2つのサーメット棒5の間には隙間が形成され、両者は接触しない。従って、互いに隣接する2つのサーメット棒5が接触して破損することはない。
【0053】
以上、本実施形態に係るサーメット棒切断装置について説明したが、これらは例示であって、本発明の範囲を制限するものではない。当業者が、本実施形態に対して容易になしえる追加・削除・変更・改良等は、本発明の範囲内である。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の記載によって定められる。
【符号の説明】
【0054】
1…サーメット棒固定装置、3…回転カッター、5…サーメット棒、5A…端部、10…固定板、10A…サーメット棒支持部、10B、10C…取付部、10a…上面、10b、10c…段差、20…第1の押さえ部材、20A…凹部、21…弾性部材、22、24…第2の押さえ部材、23、25…弾性部材、27…ボルト、30…回転軸、31〜39…回転刃、101…カッター用溝、102…サーメット棒用溝、107…ネジ穴、201…カッター用スリット、202、203…隙間、207…孔、227、247…孔