(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
屋根の上に直接又は間接的に配置される横レール同士の間に太陽電池モジュールを設置し、モジュール固定用の部材で固定するようにした太陽電池モジュールの固定構造であって、
前記横レールは、
前記太陽電池モジュールの端面に対向する起立面を有する起立部と、
前記太陽電池モジュールを下側から支持する第1の下側支持部と、
前記起立部と前記第1の下側支持部の間に位置する溝であって、前記太陽電池モジュールの端面の下端が前記第1の下側支持部に載置され、前記第1の下側支持部に対し斜めにした状態で、前記第1の下側支持部の上をスライドさせながら前記起立部の方へ前進させた場合に、前記太陽電池モジュールの前記端面の下端を落とし込ませる第1の溝部と、を有し、
前記モジュール固定用の部材は、
側面視して、前記起立部から離れる方向に前記第1の下側支持部の手前側まで延出し、その先端側で前記太陽電池モジュールを上側から抑える第1の抑え部を有し、
前記第1の抑え部は、側面視して先端が下りになる勾配になっており、
前記第1の下側支持部と前記第1の抑え部との間にできる装着用の隙間に前記太陽電池モジュールを挟み込んで固定するように構成したこと
を特徴とする太陽電池モジュールの固定構造。
前記第1の抑え部の先端と前記第1の下側支持部との間にできる装着用の前記隙間は、当該隙間を斜め上から見下ろしたときには、前記太陽電池モジュールの厚さよりも広く、かつ、当該隙間を水平に見たときには、前記太陽電池モジュールの厚さと略同じか若干狭いこと
を特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの固定構造。
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの固定構造により設置された前記太陽電池モジュールを備えることを特徴とする太陽光発電システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明である太陽電池モジュールの固定構造(適宜「固定構造」という)を実施するための形態(適宜「実施形態」という)を詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの固定構造により、4つの太陽電池モジュールを横レールに装着して固定した後の状態を示す斜視図である。この
図1において、右上が屋根の棟(頂上)になり、左下が屋根の軒になる。
【0010】
図1の例では、太陽電池モジュールMは4枚である。太陽電池モジュールMの上面が、太陽光を受けて発電する太陽電池が敷き詰められた部分である。太陽電池モジュールMの周囲は、枠となっており、発電には寄与しない。ちなみに、太陽電池モジュールMの最上面は、ガラスになっており、その下に太陽電池が敷き詰められている。
【0011】
前記のとおり、大規模な太陽光発電設備を除いて、通常、屋根の上に太陽電池モジュールMが設置される。設置は、高所作業となるので、簡単な作業で済ませるようにすることが好ましい。また、太陽電池モジュールMを嵌め込む(装着する)作業は、屋根の軒側から棟側へと、つまり下から上へと作業を行えるようにし、一旦上に移動した後、下に戻ってまた上に移動するという戻り作業がないようにすることが好ましい。
【0012】
そのため、本実施形態では、複数の縦レール2(後記の
図2参照)を、それぞれ縦レール固定ボルトB2(後記の
図2参照)で屋根に固定し、固定した縦レール2に太陽電池モジュールMが収まる間隔をあけて複数の横レール3を架設し、架設した横レール3同士の間に、軒側から太陽電池モジュールMを嵌め込み固定し、その後、上側(棟側)に位置する横レール3同士の間に別の太陽電池モジュールMを嵌め込む。ちなみに、ここでの太陽電池モジュールMのサイズは、例えば、縦1m以上、横1m以上の長方形である。
【0013】
屋根への設置作業が終了した後が
図1の状態であるが、横レール3は、軒側に1つ、棟側に1つ、その中間に3つ存在している。そして、軒側の横レール3と中間の横レール3の間に太陽光モジュールMが2枚横に並べて設置されている。また、中間の横レール3と棟側の横レール3の間に太陽電池モジュールMが2枚横に並べて設置されている。太陽電池モジュールMは、符号5uで示されるモジュール固定金具上により横レール3同士の間から抜け出さないように固定されている。なお、モジュール固定金具上5uとペアになるモジュール固定金具下5d(
図5など参照)は後記する。
【0014】
ちなみに、本実施形態での横レール3は、太陽電池モジュールMを2枚並べた分の長さをしている。また、各太陽電池モジュールMは、その軒側を2つのモジュール固定金具上5uで横レール3に固定され、さらに、その棟側も2つのモジュール固定金具上5uで横レール3に固定されている。
【0015】
具体的には、この
図1の例においては、モジュール固定金具上5uは全部で12個ある。
このうち、(1)中間の4つのモジュール固定金具上5uは、中間の横レール3に固定され、軒側に位置する太陽電池モジュールMの棟側の端部と棟側に位置する別の太陽電池モジュールMの軒側の端部の両方を押さえ付けて、これらを横レール3に固定している。(2)また、軒側の4つのモジュール固定金具上5uは、軒側の横レール3に固定され、軒側に位置して外観を良くするためなどの役割を有する横レール軒側化粧カバーCの端部と納期側に位置する太陽電池モジュールMの軒側の端部の両方を押さえ付けて、これら(符号Cと符号3)を横レール3に固定している。さらに、棟側の4つのモジュール固定金具上5uは、棟側の横レール3に固定され棟側の太陽電池モジュールMの軒側の端部を押さえ付けて、横レール3に固定している。
【0016】
(縦レールと横レール固定金具)
図2は、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの固定構造における、縦レールと、横レール固定金具下の構成を示す斜視図である。
図2の左下側に示すように、縦レール2は、溝2dと内部空間2iとを有するCチャンネル形状の短尺の部材であり、縦レール固定ボルトB2により、屋根の勾配に沿って上り勾配となるように(逆にいえば下り勾配となるように)に屋根に固定される。ちなみに、
図2の縦レール2は、スレート葺の屋根に適用されるものである。和瓦用には、長さがもっとある長尺の縦レールが使用される。
【0017】
前記した
図1においては、縦レール2は太陽電池モジュールMの下方に位置するために図示されていないが、横レール3の一端側に1つ、他端側に1つというように、屋根に固定される。つまり、横レール3が縦レール2の上に架設される。ちなみに、
図1においては、縦レール2は、1つの横レール3に対して2つずつ、合計6つの縦レール2が使用されているものとする。
なお、横レール3が太陽電池モジュールMの1枚分の長さしかない場合は、短い横レール3同士を図示しない継手で連結して長くすると共に、連結部分の近傍の下に縦レール2を設置するものとする。この点は、例えば、
図1の横側に、さらに太陽電池モジュールMを並べる場合も同様である。ただし、これらの点は発明の本質ではないので、適宜、支障がないように実施されるものとする。
【0018】
図2の右上側に示すように、横レール固定金具下4dは、その本体に曲げ加工を施して、横断面(
図2中の矢印の方向に直交する方向の断面)がコ字状をした第1の部分4d1と、同じく横断面がコ字状をした第2の部分4d2とを設けている。第1の部分4d1は、縦レール2の内部空間2iに収容(内装)され、内部空間2i内をスライド自在とされる幅広部材である。第1の部分4d1のコ字状に折り曲げられた両端が、内部空間2iの底の方まで、かつ、内部空間2iの幅一杯まで伸びることで、安定したスライド(摺動)が実現される。また、後記するように、横レール3から入力される力に対して、縦レール2における横レール3との接続部分を補強する役割を有する。なお、符号4d3は、後記する横レール固定ボルトB4がねじ込まれる孔である。
【0019】
一方、横レール固定金具下4dの第2の部分4d2はコ字状の向きが第1の部分4d1とは逆であるが、後記する横レール3の第2の溝部に嵌合(収容)されて、縦レール2に対して横レール3を横方向に安定的にスライドさせる幅広部材である。
【0020】
つまり、第2の部分4d2のスライドにより、横レール3の横方向(左右方向)の位置の微妙な調整が可能となり、かつ、第2の部分4d2のスライドにより、横レール3の縦方向(上下方向)の位置の微妙な調整が可能となる。
なお、「金具」が金属製に限定されないのは自明である(以下同じ)。ちなみに、横レール固定金具下4dは、縦レール2を補強する役割を有するが、この目的をより確実に達成するため縦レール2よりも肉厚にされている。このようにすることで、縦レール2をより薄肉化することができる。
【0021】
図3に示すように、横レール固定金具上4uは、その本体に曲げ加工が施されてL字型をした部材であり、本体の下部に座部4u1が、本体の両側にリブ4u2が設けられている。また、座部4u1の中央には、横レール固定ボルトB4が挿通される孔4u3が設けられている。ちなみに、リブ4u2は、太陽電池モジュールMの装着作業に支障がない大きさとなっている。
【0022】
(横レール、モジュール固定金具)
図3に示すように、横レール3は、起立部31、第1の下側支持部32、第1の溝部33、第2の下側支持部34、第2の溝部35、長孔36を有した長尺の部材である。
図3と
図4を併せて参照して説明すると、起立部31と第1の下側支持部32との間に第1の溝部3が位置している。起立部31の軒側には第2の下側支持部34が位置している。第1の下側支持部32と第2の下側支持部34は頂部が平らな面とされており、その面の上に、それぞれ、太陽電池モジュールの端部を下側から支持する役割を有する。なお、各下側支持部32、34の頂部の高さ(縦レール2の上面を基準とした高さ)は同じとされている。また、第2の下側支持部34の下方には、第2の溝35が形成されている。
【0023】
詳細は後記するが、第1の溝部33は、太陽電池モジュールMを横レール3に斜め上から装着する際に、太陽電池モジュールMの端面Me(
図5など参照)の下辺の逃げ場所となり、太陽電池モジュールMの装着を容易にするという重要な役割を有する。また、第2の溝35は、横レール固定金具下4dの第2の部分4d2が入り込む部分であり、縦レール2に対する横レール3の位置を仮決めなどする際に、その作業を容易にする役割を有する。
【0024】
図5は、上下のモジュール固定金具(符号5u、5d)により、横レール3に太陽電池モジュールMを固定する状況を示した斜視図であり、
図6は、縦レール2に横レール3を固定し、その横レール3に太陽電池モジュールMを固定した状態を示す側面図である。
【0025】
図5や
図6に示すように、モジュール固定金具上5uは、太陽電池モジュールMを横レール3に固定する役割を有する部材であり、その下端(座部5u3)が横レール3の第1の溝部33に収納される。モジュール固定金具上5uは、その本体に曲げ加工を施して、上端に第1の抑え部5u1を2つと、その中間に第1の抑え部5u1とは反対側に曲げられた第2の抑え部5u2を設けると共に、下端に第1の抑え部5u1と同方向に曲げられた座部5u3を設けている。この座部5u3には、モジュール固定金具固定ボルトBMが挿通される孔5u4が設けられている。また、モジュール固定金具上5uの本体の両側には、リブ5u5が設けられている。リブ5u5には、その中央よりもやや下方に、後記する
図7(a)に示される突起Tが設けられている。
なお、
図7では突起Tは示しているがリブ5u5は省略している。ちなみに、リブ5u5は、前記したリブ4u2と同様、太陽電池モジュールMの装着作業に支障がない大きさとなっている。突起Tは、先端がとがっており、太陽電池モジュールMの端面Meに食い込んで、アースをする役割を有する。
【0026】
第1の抑え部5u1は、全体が水平若しくは先端に行くほど下りになる勾配になっており(後記の
図7参照)、又は、途中まで水平(上り勾配)で、途中から先が下り勾配にされており(ブリッジ構造)、その先端側が太陽電池モジュールMの上面を抑えるのに役立つようにされている。この点が非特許文献1と相違する。ちなみに、第1の抑え部5u1の先端側が上向きに捲れ上がった爪の構造になっていると、太陽電池モジュールMの装着作業は容易になる。しかし、屋根への飛来物が引っ掛かりやすく、例えば、重量物が引っ掛かった場合や風を大量にはらむ物が引っ掛かった場合、引っ掛かった物が爪(第1の抑え部5u1)を上に向けてしまい、爪の先端側ばかりでなく起端側までまったく固定に関与しないものとしてしまう。このため、第1の抑え部5u1は、その先端側が上方に向かないようにされている。
【0027】
また、
図6に示すように、第1の抑え部5u1の最先端は、第1の溝部33の途中までで終わっており、第1の下側支持部32に到達する(又は覆いかぶさる)ものではない。第1の抑え部5u1の起端から先端までの長さは、後記する
図7(d)に符号Wで示すような間隔ができるような寸法にされている。
これは、前記のとおり、第1の抑え部5u1の先端部が上方を向いていなことから、第1の抑え部5u1の先端部が第1の下側支持部32の上部に到達し又は覆いかぶさるような構成であると、太陽電池モジュールMの装着作業が困難になる。この解決策として第1の抑え部5u1の高さを高くすることも考えられるが、それでは、太陽電池モジュールMの上面Mtを確実に押さえ付けることができない。そこで、第1の抑え部5u1の長さを第1の溝の途中までで終わる寸法とし(換言すれば第1の溝部33の幅を広くし)、装着が容易であり、かつ、確実に固定できる構成とした。
【0028】
第2の抑え部5u2は、もう一方の側の太陽電池モジュールMの上面Mtを抑え込む役割を有する。ちなみに、詳細は後記するが、太陽電池モジュールMの棟側の固定に関して、仮止め(仮設置)されている横レール3の第2の下側支持部34の上に太陽電池モジュールMの棟側の端部を載置したうえで、横レール3の位置決めと固定を行い、その後、モジュール固定金具5uをセットして太陽電池モジュールMの棟側を固定するという手順である。このため、換言すると、第2の下側支持部34と第2の抑え部5u2の間の隙間に太陽電池モジュールM(その棟側)を嵌め込んで装着するという手順ではないので、第2の下側支持部34の上面と第2の抑え部5u2の先端の間の隙間のサイズは、あまり問題にはならない。
【0029】
図5に示すように、モジュール固定金具下5dは、モジュール固定金具上5uとともに、太陽電池モジュールMを横レール3に固定する役割を有する部材であり、横レール3の下側に置かれる。モジュール固定金具下5dは、その本体に曲げ加工を施してリブ5u5を設けているとともに、モジュール固定金具固定ボルトBMがねじ込まれる孔などが設けられている。
【0030】
(設置作業)
以下、前記説明した各部材を用いて太陽電池モジュールMを設置する作業の一例を説明する(適宜
図1〜
図6を参照)。設置後の太陽電池モジュールは、太陽光発電システムに適用され、安定的に発電できる。
【0031】
図1のように、4枚の太陽電池モジュールMを屋根に設置するとした場合、その設置作業としては、概略次の手順になる。
(s1)縦レール2の設置
(s2)軒側の横レール3の設置
(s3)中間の横レール3と棟側の横レール3の仮設
置
(s4)軒側の太陽電池モジュールMの設置
(s5)中間の横レール3の固定
(s6)棟側の太陽電池モジュールMの設置
(s7)棟側の横レール3の固定(棟側の太陽電池モジュールMの固定)
【0032】
(s1) 縦レール2の設置
図1の例では、屋根の6か所に、縦レール2を、縦レール固定ボルトB2を用いて固定する。設置場所は、軒側に縦レール2が平行になるように2つ、棟側も、その中間も同じである。縦レール2同士の幅は、横レール3が架設できる寸法とされる。
【0033】
(s2) 棟側の横レール3の設置
棟側に設置された2本の平行な縦レール2の上に、1本の横レール3を架設する。横レール3は軒に平行になるように、横レール固定金具上4uと同下4dにより固定される。固定の仕方については、まず、
図2に示されるように行縦レール2の内部空間2iに横レール固定金具下4dの第1の部分4d1を嵌め込む。このとき、第1の部分4d1は、溝2sがあるので、縦レール2の上面に露出している。つぎに、
図3に示すように、その上に横レール3を載置し、横レール固定金具上4uと横レール固定ボルトM4とで、横レール3を固定する。ちなみに、横レール固定ボルトB4を強く締め付けていない状態では、横レール3を、溝2sの範囲内で上下(軒側棟側)に移動させて、また、長孔36の範囲内で左右に移動させて、位置を調整することができる。
位置が決まれば、横レール固定ボルトB4を強く締めつけて軒側の縦レール2に軒側の横レール3を固定(架設)する。締め付けに際しては、横レール固定金具下4dの第1の部分4d1が縦レール2の内部空間2i内にあるので、横レール固定金具下4dが横レール固定ボルトB4と友廻りすることはない。
【0034】
(s3) 中間の横レール3と棟側の横レール3の仮設
置
次に、中間の横レール3と棟側の横レール3を、棟側の横レール3を設置したときと同様に仮設置する。ちなみに、仮設置(仮置き)であるので、目測や感に頼って作業することができる。ここで、仮設置する中間の横レール3と固定済みの軒側の横レール3との間は、太陽電池モジュールMが収まる程度の間隔である。また、中間の横レール3と棟側の横レール3との間も、太陽電池モジュールMが収まる程度の間隔である。
なお、中間と棟側の横レール3の固定に用いる横レール固定ボルトB4は、仮設置であるので、軽く締める程度で、強く締めつけないでおくのがよい。つまり、手で横レール3の上下左右の位置の調整ができ、自重では横レール3が動かない程度にしておくのがよい。
【0035】
(s4)軒側の太陽電池モジュールMの設置
続いて、軒側の太陽電池モジュールMを、固定済みの軒側の横レール3と仮設置の中間の横レール3の間に設置する。この作業においては、軒側の横レール3に、
図5や
図6に示すように、モジュール固定金具上5uを設置する。ちなみに、
図5と
図6は、中間の横レール3を示すものであり、軒側の横レール3の場合、軒側の太陽電池モジュールMは存在しない。
【0036】
なお、横レール3へのモジュール固定金具5uの設置は、横モジュール固定金具上4uと干渉しない位置を選んで行う。そのため、横レール3には、長孔36が横方向に並べて配置されている。モジュール固定金具上5uは、モジュール固定金具下5dとで、横レール3を挟み込むようにモジュール固定金具固定ボルトBMで締めつけられ、固定される。
図1の例では、モジュール固定金具5uは1本の横レール3に対して4つ設置される。
【0037】
軒側の横レール3にモジュール固定金具5uを設置したら、軒側の太陽電池モジュールMを設置する。この設置は、
図7に示すように行う。つまり、
図7(a)に示すように、太陽電池モジュールMの軒側となる端面Meを下側に傾けて行う。ちなみに、第1の抑え部5u1と第1の下側支持部32との間を正面から見た隙間は距離L1であるので、太陽電池モジュールMの厚さL2とほぼ同じか若干狭いので(L1≒L2)、真っすぐ差し込むことは困難である(換言すると装着後は確実に固定できる)。ちなみに、厚さL2よりも距離L1の方が若干小さいほうが、太陽電池モジュールMをしっかりと固定(弾性力で固定)できるので好ましい。なお、部材の弾性を考慮すれば、L0>L2であれば、L1<L2でもよい。
【0038】
一方、
図7(a)のように傾けた場合は、見通せる隙間は距離L0となるので(L0>L1≒L2)、その隙間に、太陽電池モジュールMの軒側の端面Meを差し込みやすくなる。
なお、
図7の各図では、第1の溝部33に存在しているモジュール固定金具固定ボルトBMの記載は省略している。また、
図5や
図6に示されるリブ5u5も省略している(一方、突起Tは省略していない)。
【0039】
太陽電池モジュールMを斜めにした状態で、
図7(b)のように、軒側の端面Meの下端Mmを第1の下側支持部32の上に載置する。そして、スライドさせるようにそのまま前進させると、下端Mmが第1の溝部33に落ち込む。落ち込んだところで、太陽電池モジュールMを寝かせるようにしつつ、さらに前進させる(
図7(d)参照)。ちなみに、
図4に示すように、横レール固定ボルトB4の上部にも、
図5に示すように、モジュール固定金具固定ボルトBMの上部にも第1の溝部33による隙間(空間)が存在するので、下端Mmが第1の溝部33に落ち込むことに関しての障害はない。
なお、特許文献1の場合、そのように下端Mmが落ち込む隙間(空間)は存在しない。この違いが、第1の抑え部5u1の先端側の形状の違いに現れている。
【0040】
次に、
図7(c)の状態で、さらに太陽電池モジュールMを前進させつつ寝かせる。最終的には、
図7(d)に示すように、アース用の突起Tが端面Meに食い込む。ちなみに、突起Tが上方に位置すると、太陽電池モジュールMの回転を阻害したり、太陽電池モジュールMの回転により端面Meに長さのある傷を作ったりする可能性があるので、突起Tは、太陽電池モジュールMの回転(寝かせる動作)に影響されにくい下方とされている。なお、前記のとおり、
図7の各図には、
図5や
図6に示されるリブ5u5は省略してある。
【0041】
図7(d)の状態では、太陽電池モジュールMの軒側は第1の下側支持部32と第1の抑え部5u1に挟み込まれて固定される。第1の抑え部5u1はその先端で太陽電池モジュールMの上面を押さえ付けている。
【0042】
なお、棟側、すなわち、太陽電池モジュールの棟側は、仮設置した中間の横レール3の第2の下側支持部34の上に載置された状態である。このとき、中間の横レール3には、モジュール固定金具上5uも金具下5dも設置されていない。
【0043】
(s5)中間の横レール3の固定
次に、仮設置状態にある中間の横レール3を固定する。前記s4が終わった状態では、前記のとおり、横レール3の第2の下側支持部34の上に太陽電池モジュールMの軒側の端部が載置されている。しかし、中間の横レール3は仮設置であるので、第2の下側支持部34の上に正しく載置されていない可能性がある。つまり、仮設置の中間の横レール3が斜めになっていたり、固定済みの軒側の横レール3との間の間隔が広すぎたり狭すぎたりする場合がある。このs5では、中間の横レール3を太陽電池モジュールMの棟側の端部に沿うように位置調整し、横レール固定ボルトB4を締め付けて中間の横レール3を固定する。
【0044】
すなわち(
図3参照)、前記のs3で説明したとおり、横レール固定ボルトB4は緩く締められているので、中間の横レール3は上下・左右方向にと移動可能である。これにより、位置調整をする。ちなみに、
図5において、横レール3は仮設置されており、横レール3の第2の下側支持部34に軒側の太陽電池モジュールが正しく載置されるように横レール3を上下左右に動かし、横レール固定ボルトB4を締め付けて中間の横レール3を固定する。
なお、前記のs3での中間の横レール3の仮設置は、
図5の例のように、太陽電池モジュールMから離れていてもよいが、横レール3の第2の下側支持部34の上に概ね正しく太陽電池モジュールMの棟側の端部が載置されるようにしておくのがよい。
【0045】
(s6)棟側の太陽電池モジュールMの設置
中間の横レール3の固定が終了すると、この横レール3にモジュール固定金具5uを設置する。この設置は、横モジュール固定金具上4uと干渉しない位置を選んで行う。この点は、軒側の横レール3に横モジュール固定金具上5uを設置したのと同じであるので、重複した説明を避けるが、中間の横レール3にモジュール固定金具上5uを設置すると、第2の抑え部5u2で、軒側の太陽電池モジュールMの棟側の上面が押さえ付けられて固定されることになる。
つまり、棟側に新たに設置しようとしている太陽電池モジュールMのために設置するモジュール固定金具5uが、軒側の太陽電池モジュールMを固定することになる。
【0046】
中間の横レールと棟側の横レールの間に固定される棟側の太陽電池モジュールMについては、既に説明した軒側の太陽電池モジュールMの固定と同じであるので説明を省略する。
【0047】
(s7)棟側の横レール3の固定(棟側の太陽電池モジュールMの固定)
棟側の横レール3の固定についても(併せて棟側の太陽電池モジュールMの固定)について、既に説明したのと同様であるので、説明を省略する。
【0048】
(実施形態での効果)
以上説明した本実施形態では、特にモジュール固定金具上5uの第1の抑え部5u1の先端が上方を向いていないので、屋根への飛来物などが引っ掛かって抑え機能を損なってしまう可能性が低い。さらに、第1の抑え部5u1の先端まで抑えるのに貢献するので、例えば、風雨や雪による位置ずれや地震による位置ずれなどに対しても、抑え機能が失われる可能性が低くなる。
しかも、第1の抑え部5u1の先端が上方を向いていないのに、容易に隙間に太陽電池モジュールMを嵌め込むことができる。
【0049】
また、
図2に示すように、縦レール2に横レール固定金具下4uを装着するので、縦レール2が補強される(換言すると縦レール2の薄肉化を図れる)。なお、横レール固定金具下4dは、縦レール2よりも肉厚の材料を用いることで、より補強することができる。例えば、1.5mの積雪などにも耐えることができる。
また、この固定構図は、あらゆるサイズの太陽電池モジュールMに適用することができる。
また、これらの固定構造により固定された太陽光発電システムにより、安定的に発電できる。
【0050】
(その他)
前記した実施形態では、
図7(a)に示すように、初期状態において太陽電池モジュールMを傾けて嵌め込むようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、初期状態において、第1の下側支持部32の上に太陽電池モジュールMの端部をほぼ水平にして載置し、その状態から太陽電池モジュールMを起立させてゆき、
図7(b)のような状態へとして、その後、
図7(c)の状態を経て、
図7(d)の状態にするようにしてもよい。
【0051】
また、例えば、
図4や
図5などにおいて、軒側と棟側を逆にするようにしてもよいし、棟側から作業するようにしてもよい。また、縦レール2は、スレート葺の屋根用の短尺のものを主に説明したが、和瓦の屋根用の長尺ものの縦レール2においても本発明を適用できる。また、和瓦やスレート以外で葺いた屋根にも適用できる。
【0052】
また、横レール固定金具下4dの第1の部分4d1が、縦レール2の内部空間2iに内装される例を示したが、縦レール2を外側から外装されて跨ぐような第1の部分4d1でもよい。この場合は、例えば、縦レール2の溝2sは不要であるが、縦レール2に横レールを固定する際に、第1の部分4d1を縦レール2に固定する何らかの固定手段を設ける。
【0053】
また、モジュール固定用の部材をモジュール固定金具5uとして、横レール3とは別部材とした例を説明したがこれに限られるものではない。例えば、横レール3の上方や頂部に、曲げ加工などにより第1の抑え部5u1を横レール3と一体として設けるようにしてもよい。また、溶接や接着により設けるようにしてもよい。また、各部材は、亜鉛メッキ鋼板などの金属材料を想定したが、炭素繊維強化樹脂や、それを炭化したC/Cコンポジット材などでもよい。