(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
分光感度特性が異なる5種類以上のカラーフィルタを有し、前記5種類以上のカラーフィルタの中で少なくとも2種類のカラーフィルタを注目カラーフィルタとして、前記注目カラーフィルタから第1の方向に沿った両側に第1の間隔で配置される2つの前記カラーフィルタは同じ種類であり、且つ前記第1の方向と異なる第2の方向に沿った両側に第2の間隔で配置される2つの前記カラーフィルタの種類は同じ種類となるように前記5種類以上のカラーフィルタを2次元状に配置したカラーフィルタアレイと、
前記カラーフィルタアレイにおけるいずれかの種類の前記カラーフィルタによって覆われ、受光量に応じた画素信号を生成する複数の画素を有する撮像素子と、
前記注目カラーフィルタとして前記カラーフィルタアレイ上に配置された種類のカラーフィルタに覆われた画素を1画素ずつ順次注目画素に指定し、前記注目画素から前記第1の方向に沿った両側に前記第1の間隔で配置される2つの前記画素が生成する前記画素信号に基づいて第1の微分情報を算出し、前記注目画素から前記第2の方向に沿った両側に前記第2の間隔で配置される2つの前記画素が生成する前記画素信号に基づいて第2の微分情報を算出する微分情報取得部とを備える
ことを特徴とする撮像装置。
請求項1から請求項3のいずれかに記載の撮像装置であって、前記カラーフィルタはマトリックス状に配置され、前記第1の方向は行方向と一致し、前記第2の方向は列方向と一致することを特徴とする撮像装置。
請求項1から請求項3のいずれかに記載の撮像装置であって、前記カラーフィルタはマトリックス状に配置され、前記5種類以上のカラーフィルタの中の第1のカラーフィルタは市松状に配置されることを特徴とする撮像装置。
請求項1から請求項8のいずれかに記載の撮像装置であって、前記5種類以上のカラーフィルタ中の特定の種類以外のカラーフィルタが同じ割合となるように配置されることを特徴とする撮像装置。
請求項1から請求項9のいずれかに記載の撮像装置であって、前記注目カラーフィルタから前記第1の方向に沿って両側に前記第1の間隔で配置される同じ種類の2つのカラーフィルタの分光感度特性のピーク波長は、前記注目カラーフィルタから前記第2の方向に沿って両側に前記第2の間隔で配置される同じ種類の2つのカラーフィルタの分光感度特性のピーク波長に隣接することを特徴とする撮像装置。
請求項1から請求項9のいずれかに記載の撮像装置であって、前記注目カラーフィルタから前記第1の方向に沿って両側に前記第1の間隔で配置される同じ種類の2つのカラーフィルタの分光感度特性のピーク波長は、注目カラーフィルタの分光感度特性のピーク波長に隣接することを特徴とする撮像装置。
請求項1から請求項11のいずれかに記載の撮像装置であって、前記微分情報取得部は、前記第1の間隔及び前記第2の間隔が1画素分の間隔である画素が生成する画素信号のみを用いて前記第1の微分情報及び前記第2の微分情報を算出することを特徴とする撮像装置。
請求項1から請求項13のいずれかに記載の撮像装置であって、前記画像処理部は、少なくとも、複数の前記画素信号によって構成される画像信号にエッジ強調処理を施すエッジ強調部、前記画像信号における全体または局所のコントラストを算出するコントラスト処理部、前記画像信号に相当する画像の特徴量を抽出する特徴量抽出部、及び前記画素を覆う前記カラーフィルタと異なるすべての種類のカラーフィルタの色信号成分に相当する前記画素信号を補間する補間処理部の何れか一つを含むことを特徴とする撮像装置。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るカラーフィルタアレイが設けられた撮像素子を有するデジタルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】CFAにおけるカラーフィルタの配置を示す配列図である。
【
図3】
図2のカラーフィルタの分光感度特性である。
【
図4】第1の画素ブロックの構成を説明するための画素の配列図である。
【
図5】第1の画素ブロックの中心の画素のカラーフィルタの種類を第1の画素ブロックのカラーフィルタの種類とみなすことによる第1の画素ブロックのカラーフィルタの配列図である。
【
図6】第2の画素ブロックの構成を説明するための画素の配列図である。
【
図7】第2の画素ブロックの中心の画素のカラーフィルタの種類を第1の画素ブロックのカラーフィルタの種類とみなすことによる第2の画素ブロックのカラーフィルタの配列図である。
【
図8】第3の画素ブロックの構成を説明するための画素の配列図である。
【
図9】第3の画素ブロックの中心の画素のカラーフィルタの種類を第3の画素ブロックのカラーフィルタの種類とみなすことによる第3の画素ブロックのカラーフィルタの配列図である。
【
図10】画像信号処理部の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図11】G、Cy、Or、B、R原画像信号成分の構造を説明するための概念図である。
【
図12】MBデモザイク処理部によって実行されるデモザイク処理を説明するための概念図である。
【
図13】MBデモザイク処理部の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図14】5バンドのカラーフィルタを有する第1の変形例のカラーフィルタアレイを示す配列図である。
【
図15】5バンドのカラーフィルタを有する第2の変形例のカラーフィルタアレイの構成を示す配列図である。
【
図16】
図15のカラーフィルタ配列において第1の画素ブロックの構成を説明するための画素の配列図である。
【
図17】
図15のカラーフィルタ配列において第2の画素ブロックの構成を説明するための画素の配列図である。
【
図18】5バンドのカラーフィルタを有する第3の変形例のカラーフィルタアレイの構成を示す配列図である。
【
図19】5バンドのカラーフィルタを有する第4の変形例のカラーフィルタアレイの構成を示す配列図である。
【
図20】5バンドのカラーフィルタを有する第5の変形例のカラーフィルタアレイの構成を示す配列図である。
【
図21】5バンドのカラーフィルタを有する第6の変形例のカラーフィルタアレイの構成を示す配列図である。
【
図22】6バンドのカラーフィルタを有する第7の変形例のカラーフィルタアレイの構成を示す配列図である。
【
図23】6バンドのカラーフィルタを有する第8の変形例のカラーフィルタアレイの構成を示す配列図である。
【
図24】6バンドのカラーフィルタを有する第9の変形例のカラーフィルタアレイの構成を示す配列図である。
【
図25】7バンドである第10の変形例のカラーフィルタアレイにおけるカラーフィルタの分光感度特性である。
【
図26】7バンドのカラーフィルタを有する第10の変形例のカラーフィルタアレイの構成を示す配列図である。
【
図27】7バンドである第11の変形例のカラーフィルタアレイにおけるカラーフィルタの分光感度特性である。
【
図28】7バンドである第12の変形例のカラーフィルタアレイにおけるカラーフィルタの分光感度特性である。
【
図29】7バンドである第13の変形例のカラーフィルタアレイにおけるカラーフィルタの分光感度特性である。
【
図30】7バンドのカラーフィルタを有する第11の変形例のカラーフィルタアレイの構成を示す配列図である。
【
図31】7バンドのカラーフィルタを有する第12の変形例のカラーフィルタアレイの構成を示す配列図である。
【
図32】7バンドのカラーフィルタを有する第13の変形例のカラーフィルタアレイの構成を示す配列図である。
【
図33】8バンドである第14の変形例のカラーフィルタアレイにおけるカラーフィルタの分光感度特性である。
【
図34】8バンドのカラーフィルタを有する第14の変形例のカラーフィルタアレイの構成を示す配列図である。
【
図35】8バンドである第15の変形例のカラーフィルタアレイにおけるカラーフィルタの分光感度特性である。
【
図36】8バンドのカラーフィルタを有する第15の変形例のカラーフィルタアレイの構成を示す配列図である。
【
図37】9バンドである第16の変形例のカラーフィルタアレイにおけるカラーフィルタの分光感度特性である。
【
図38】9バンドのカラーフィルタを有する第16の変形例のカラーフィルタアレイの構成を示す配列図である。
【
図39】10バンドである第17の変形例のカラーフィルタアレイにおけるカラーフィルタの分光感度特性である。
【
図40】10バンドである第18の変形例のカラーフィルタアレイにおけるカラーフィルタの分光感度特性である。
【
図41】10バンドのカラーフィルタを有する第17の変形例のカラーフィルタアレイの構成を示す配列図である。
【
図42】10バンドのカラーフィルタを有する第18の変形例のカラーフィルタアレイの構成を示す配列図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るカラーフィルタアレイを有する撮像素子が設けられたデジタルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【0012】
デジタルカメラ10は、撮影光学系11、撮像素子20、センサ駆動部12、システムバス13、画像信号処理部30、バッファメモリ14、システムコントローラ15、画像表示部16、画像記録部17、及び操作部18などによって構成される。
【0013】
撮影光学系11は、光軸が撮像素子20の受光部21の中心を通るように垂直に配置され、撮像素子20に結合される。撮影光学系11は複数のレンズ(図示せず)によって構成され、被写体の光学像を受光部21に結像させる。なお、撮影光学系11は、デジタルカメラ10に固定されていてもよいし、着脱可能な交換式であってもよい。
【0014】
撮像素子20は、例えばCMOSエリアセンサであり、受光部21、垂直走査回路22、水平読出回路23、及びA/Dコンバータ24によって構成される。前述のように、撮影光学系11により被写体の光学像が受光部21に形成される。
【0015】
受光部21には、マトリックス状に複数の画素(図示せず)が配置される。また、受光部21上において、OB(オプティカルブラック)領域21bと有効撮影領域21eとが定められる。OB領域21bに配置されるOB画素は受光面が遮光されており、黒色の基準となる暗電流をOB画素信号として出力する。また、有効撮影領域21eはCFA(
図1において図示せず)によって覆われており、各画素は5バンドのカラーフィルタのいずれかによって覆われる。
【0016】
図2に示すように、CFA21aにはG(グリーン)カラーフィルタ、Cy(シアン)カラーフィルタ、Or(オレンジ)カラーフィルタ、B(ブルー)カラーフィルタ、及びR(レッド)カラーフィルタの5バンドのカラーフィルタが設けられる。したがって、各画素では、対応するカラーフィルタの透過バンドの光の受光量に応じた画素信号が生成される。なお、
図3に示すように、G、Cy、Or、B、Rカラーフィルタは、異なる分光感度特性を有する。なお、本実施形態において分光感度特性が異なるとは、ピーク波長の値、または半値幅の中心値が異なることを意味する。
【0017】
CFA21aでは、4行4列のカラーフィルタ繰返し単位21uが行方向及び列方向に繰返し配置される。
図2に示すように、カラーフィルタ繰返し単位21u内には、8個のGカラーフィルタ、2個のCyカラーフィルタ、2個のOrカラーフィルタ、2個のBカラーフィルタ、及び2個のRカラーフィルタが配置される。
【0018】
CFA21aでは、Cyカラーフィルタ、Orカラーフィルタ、Bカラーフィルタ、及びRカラーフィルタのいずれかと、Gカラーフィルタとが市松模様状に配置される。すなわち、Gカラーフィルタは全行全列において、1画素おきに繰返し配置される。例えば、
図2における左上を基準として、1、3行目には2、4列目にGカラーフィルタが配置される。また、2、4行目には、1、3列目にGカラーフィルタが配置される。
【0019】
また、Gカラーフィルタ、Bカラーフィルタ、及びCyカラーフィルタが並ぶ行及び列が、列方向及び行方向に1画素おきに繰返し配置される。例えば、
図2において、1行1列目及び3行3列目にBカラーフィルタが配置され、1行3列目及び3行1列目にCyカラーフィルタが配置される。
【0020】
また、Gカラーフィルタ、Rカラーフィルタ、及びOrカラーフィルタが並ぶ行及び列が、行方向及び列方向に1画素おきに繰返し配置される。例えば、
図2において、2行4列目及び4行2列目にRカラーフィルタが配置され、2行2列目及び3行3列目にOrカラーフィルタが配置される。
【0021】
上述のようなカラーフィルタ繰返し単位では、Gカラーフィルタの割合が最大であり全体の50%を占めている。また、任意の位置の画素において、斜め方向に隣接する画素に対応するカラーフィルタのバンドは等しい。
【0022】
例えば、
図2に示すように、いずれのGカラーフィルタにおいても、斜方に隣接するカラーフィルタはすべてGカラーフィルタである。したがって、任意のGカラーフィルタの右斜め上及び左斜め下にはGカラーフィルタが配置され、互いに同じバンドのカラーフィルタである。また、右斜め下及び左斜め上にはGカラーフィタが配置され、互いに同じバンドのカラーフィルタである。
【0023】
また、いずれのCyカラーフィルタにおいても、斜方に沿ってRカラーフィルタまたはOrカラーフィルタによって挟まれる。詳細に説明すると、任意のCyカラーフィルタの右斜め上及び左斜め下にはOrカラーフィルタが配置され、互いに同じバンドのカラーフィルタである。また、右斜め下及び左斜め上にはRカラーフィルタが配置され、互いに同じバンドのカラーフィルタである。
【0024】
Orカラーフィルタ、Bカラーフィルタ、及びRカラーフィルタにおいても、同様であって、斜め方向に隣接するカラーフィルタ同士は同じバンドのカラーフィルタとなる。
【0025】
上述のようなCFA21aが設けられた画素において、透過したバンドの光の受光量に応じた画素信号が生成される。垂直走査回路22により画素信号を出力させる画素の行が選択され、水平読出回路23により画素信号を出力させる画素の列が選択される(
図1参照)。
【0026】
垂直走査回路22及び水平読出回路23はセンサ駆動部12に駆動される。デジタルカメラ10には、通常読出しモードと、第1〜第3の間引き読出しモードが設けられる。それぞれのモードにおいて、読出す全画素から1画素ずつ画素信号が出力されるように、垂直走査回路22及び水平読出回路23は制御される。出力された画素信号はA/Dコンバータ24によりデジタル信号に変換される。受光部21に配置されるすべての画素の画素信号が1フレームのRAWデータが原画像信号に定められる。
【0027】
なお、静止画を撮影するとき等のように高い解像度が求められる場合に、通常読出しモードで撮像素子20は駆動され、全画素から画素信号が生成される。また、撮影待機中における調光及び合焦動作のための情報の検出時や、動画像の撮影時等のように高い動解像度が求められる場合に第1〜第3の間引き読出しモードで撮像素子20は駆動される。
【0028】
第1の間引き読出しモードでは、
図4に示すように、3行3列に並ぶ画素pxによって構成される第1の画素ブロックpb1毎に、第1の画素ブロックpb1の中心の画素pxのみから画素信号が出力される。
【0029】
なお、第1の画素ブロックpb1が出力する画素信号の色信号成分を第1の画素ブロックpb1のカラーフィルタの種類とみなすと、
図5に示すように、第1の画素ブロックpb1のカラーフィルタの配列は、CFA21aにおけるカラーフィルタの配列と同じである。したがって、第1の間引き読出しモードで出力させた原画像信号は、画像信号処理部30において通常読出しモードで出力させた原画像信号と同じ画像処理を施すことが可能である。
【0030】
第2の間引き読出しモードでは、
図6に示すように、5行5列に並ぶ画素pxによって構成される第2の画素ブロックpb2毎に、第2の画素ブロックpb2の中心の画素pxのみから画素信号が出力される。
【0031】
なお、第2の画素ブロックpb2が出力する画素信号の色信号成分を第2の画素ブロックpb2のカラーフィルタの種類とみなすと、
図7に示すように、第2の画素ブロックpb2のカラーフィルタの配列は、CFA21aにおけるカラーフィルタの配列と同じである。したがって、第2の間引き読出しモードで出力させた原画像信号は、画像信号処理部30において通常読出しモードで出力させた原画像信号と同じ画像処理を施すことが可能である。
【0032】
第3の間引き読出しモードでは、
図8に示すように、7行7列に並ぶ画素pxによって構成される第3の画素ブロックpb3毎に、第3の画素ブロックpb3の中心の画素pxのみから画素信号が出力される。
【0033】
なお、第3の画素ブロックpb3が出力する画素信号の色信号成分を第3の画素ブロックpb3のカラーフィルタの種類とみなすと、
図9に示すように、第3の画素ブロックpb3のカラーフィルタの配列は、CFA21aにおけるカラーフィルタの配列と同じである。したがって、第3の間引き読出しモードで出力させた原画像信号は、画像信号処理部30において通常読出しモードで出力させた原画像信号と同じ画像処理を施すことが可能である。
【0034】
なお、画素ブロックが大きくなるほど、すなわち画素ブロックに含まれる画素の数が多くなると、読出し速度は速くなる一方で解像度は低下する。それゆえ、要求される読出し速度または解像度に応じて第1〜第3の間引き読出しモードは選択される。
【0035】
撮像素子20、バッファメモリ14、画像信号処理部30、システムコントローラ15、画像表示部16、画像記録部17、操作部18、及びセンサ駆動部12は、システムバス13を介して電気的に接続される(
図1参照)。システムバス13に接続されるこれらの部位は、システムバス13を介して互いに様々な信号やデータを送受信することが可能である。
【0036】
撮像素子20から出力される原画像信号はバッファメモリ14に送信され、格納される。バッファメモリ14はSDRAM等であって、比較的高速なアクセス速度を有し、画像信号処理部30のワークエリアとして用いられる。また、バッファメモリ14は、システムコントローラ15がデジタルカメラ10の各部位を制御するためのプログラムを実行する際のワークエリアとしても用いられる。
【0037】
画像信号処理部30は、後に詳細に説明するデモザイキング処理を原画像信号に施し、補間画像信号を生成する。さらに、画像信号処理部30は、補間画像信号に対して所定の画像処理を施す。なお、補間画像信号は必要に応じて、RGB画像信号に変換される。
【0038】
所定の画像処理の施された補間画像信号およびRGB画像信号は、画像表示部16に送信される。画像表示部16は多原色モニタ(
図1において図示せず)及びRGBモニタ(
図1において図示せず)を有している。多原色モニタ及びRGBモニタはカラー液晶表示素子(図示せず)やバックライト装置(図示せず)を備え、補間画像信号及びRGB画像信号に相当する画像が表示される。
【0039】
なお、画像表示部16は、デジタルカメラ10の背面や側面に設けられる。また、画像表示部16は、比較的小型の表示素子(図示せず)と拡大光学系(図示せず)とで構成されるEVF(電子ビューファインダ)であってもよい。さらには両方の形態を有し、使用状況に応じて切替え可能に構成されてもよい。また、画像表示部16は、有機EL表示素子等であってもよい。
【0040】
画像信号処理部30から出力される補間画像信号及びRGB画像信号は、画像記録部17にも送信され、格納される。なお、画像記録部17は、内蔵式或いはコネクタ(図示せず)を介して接続可能なフラッシュメモリである。
【0041】
デジタルカメラ10の各部位は、システムコントローラ15によって制御される。各部位を制御するための制御信号がシステムコントローラ15からシステムバス13を介して各部位に入力される。
【0042】
なお、画像信号処理部30及びシステムコントローラ15は、CPU(中央処理装置)等の任意の好適なプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして構成したり、処理ごとに特化した専用のプロセッサによって構成したりすることもできる。
【0043】
システムコントローラ15は、パワーボタン(図示せず)、レリーズボタン(図示せず)、及びダイヤル(図示せず)などの入力機構を有する入力部18に接続される。使用者によるデジタルカメラ10の様々な操作入力が入力部18に検知される。入力部18に検知される操作入力に応じて、システムコントローラ15はデジタルカメラ10の各部位を制御する。
【0044】
次に、画像信号処理部30の構成について
図10を用いて説明する。画像信号処理部30は、OB減算処理部31、マルチバンド(MB)デモザイク処理部40(画像処理システム)、NR処理部32、MB−RGB変換部33、色変換処理部34、及び色ガンマ補正処理部35によって構成される。
【0045】
バッファメモリ14から出力される原画像信号は、OB減算処理部31に送信される。OB減算処理部31では、OB画素に生成されたOB画素信号によって各画素信号を減じることによって各画素信号の黒レベルの調整を行う。
【0046】
OB減算処理部31から出力される画素信号はMBデモザイク処理部40に送信される。前述のように、原画像信号を構成する画素信号は5バンドの中のいずれか一つの色信号成分のみを有する。すなわち、原画像信号は、
図11に示すように、G原画像信号成分((a)参照)、Cy原画像信号成分((b)参照)、Or原画像信号成分((c)参照)、B原画像信号成分((d)参照)、R原画像信号成分((e)参照)によって構成される。後述するようにMBデモザイク処理部40におけるデモザイク処理により、全色信号成分が補間される。すなわち、全画素信号は5つの色信号成分を有するように、補間される。
【0047】
デモザイク処理の施された原画像信号は、補間画像信号としてNR処理部32に送信される(
図10参照)。NR処理部32においてコアリング処理やメディアンフィルタ処理等のノイズ低減化処理が実行され、補間画像信号からノイズが除去される。ノイズの除去された補間画像信号は、一時的にバッファメモリ14に格納される。
【0048】
デジタルカメラ10が補間画像信号を記録する記録モードに設定されている場合には、バッファメモリ14に格納された補間画像信号に、必要に応じて圧縮処理が施され、所定のフォーマットに応じて生成された補間画像ファイルとして画像記録部17に格納される。
【0049】
なお、補間画像ファイル中には、後に画像を再生するときに参照される色再現情報がタグ情報として付加される。なお、色再現情報としては、撮影光学系11の分光透過率、撮像素子20の分光感度、撮影時に被写体に照射した光の分光放射輝度、被写体の分光反射率を推定する処理のために参照される被写体固有の統計情報などが含まれる。
【0050】
デジタルカメラ10の動作モードがマルチバンドの画像を再生する画像再生モードに設定されている場合、NR処理部32によりノイズの除去された補間画像信号は色変換処理部34に送信される。
【0051】
色変換処理部34は、多原色モニタ16mbのモニタプロファイル等に関する情報(モニタプロファイル情報)を予め取得する。また、色変換処理部34は、デジタルカメラ10の周囲の照明光の分光放射輝度に関する情報(観察照明分光分布情報)を多原色モニタ16mbの近傍に設けられた光センサ(図示せず)から取得する。色変換処理部34は、モニタプロファイル情報及び観察照明分光分布情報を用いて補間画像信号に色変換処理を施す。色変換処理の施された補間画像信号は、多原色モニタ16mbに送信される。
【0052】
上述の色変換処理により、被写体がデジタルカメラ10の周囲の照明光で照射されているような色合いで、多原色モニタ16mbに表示される。それゆえ、使用者は再現性を向上させた画像を観察可能である。
【0053】
デジタルカメラ10では、従来のRGBのみを色信号成分として有するRGB画像信号を格納及び表示可能である。デジタルカメラ10がRGB画像信号を記録する記録モードに設定されている場合には、ノイズの除去された補間画像信号がMB−RGB変換処理部33に送信される。
【0054】
MB−RGB変換処理部33では、補間画像信号に対してRGB変換処理が施される。5バンドの色信号成分によって構成される補間画像信号が、RGBの3バンドの色信号成分によって構成されるRGB画像信号に変換される。RGB画像信号は、一時的にバッファメモリ14に格納され、必要に応じて圧縮処理が施され、所定のフォーマットに応じて生成されたRGB画像ファイルとして画像記録部17に格納される。
【0055】
デジタルカメラ10がRGBの3バンドの画像を再生する画像再生モードに設定されている場合には、RGB画像信号は色・ガンマ補正処理部35に送信される。色・ガンマ補正処理部35は、RGBモニタ16rgbのモニタプロファイルを予め取得する。色・ガンマ補正処理部35では、取得したモニタプロファイルを用いてRGB画像信号に対して色補正処理及びガンマ補正処理を施す。これらの補正処理が施されたRGB画像信号はRGBモニタ16rgbに送信され、RGB画像信号に相当する画像が表示される。
【0056】
次に、デモザイク処理について
図12を用いて説明する。
図12は、MBデモザイク処理部40によって実行されるデモザイク処理を説明するための概念図である。
【0057】
前述のように、原画像信号OISは各画素信号が5バンドのいずれかの色信号成分のみを有している。原画像信号OISは、G原画像信号成分gOIS、Cy原画像信号成分cyOIS、Or原画像信号成分orOIS、B原画像信号成分bOIS、及びR原画像信号成分rOISに分割される。
【0058】
また、原画像信号OISの全画素信号を用いて全画素に対して適応的カーネル関数が算出される(
図12における“aK”参照)。適応的カーネル関数と、G原画像信号成分gOISとを用いて適応的ガウシアン補間法によりG原画像信号成分gOISにおける欠落した画素信号が補間され、参照画像信号RIS(一次参照画像)が生成される(
図12における“aGU”参照)。
【0059】
適応的カーネル関数、参照画像信号RIS、及びG原画像信号成分gOISを用いて適応的ジョイントバイラテラル補間法(
図12における“aJBU”参照)によりG原画像信号成分gOISにおける欠落した画素信号が補間され、G補間画像信号成分gIISが生成される。
【0060】
G原画像信号成分gOISの代わりに、Cy原画像信号成分cyOISを用いて同様の処理を施すことによりCy補間画像信号成分cyIISが生成される。同様にして、Or補間画像信号成分orIIS、B補間画像信号成分bIIS、及びR補間画像信号成分rIISが生成される。全色信号成分を有する画素信号を全画素に対して生成することにより補間画像信号IISが生成される。
【0061】
次に、このようなデモザイク処理を実行するMBデモザイク処理部40の構成及び機能を、
図13を用いて説明する。MBデモザイク処理部40は、分配部41、微分値算出部42、適応的カーネル算出部43、参照画像作成部44、及び補間画像作成部45によって構成される。
【0062】
MBデモザイク処理部40に受信される原画像信号は、分配部41に入力される。分配部41では、微分値算出部42、参照画像作成部44、及び補間画像作成部45に、必要に応じた色信号成分が分配される。
【0063】
微分値算出部42には、原画像信号を構成する全画素信号が送信される。微分値算出部42では、画素毎に2方向の微分値(微分情報)が算出される。微分値の算出のために、全画素が順番に注目画素に指定される。指定された注目画素の右斜め上及び左斜め下に隣接する画素の画素信号の差と、右斜め下及び左斜め上に隣接する画素の画素信号の差とが微分値として算出される。
【0064】
なお、前述のように、いずれの画素を注目画素とする場合でも、右斜め上及び左斜め下の画素では同じ色信号成分の画素信号が生成され、右斜め下及び左斜め上の画素では同じ色信号成分の画素信号が生成される。それゆえ、上述の微分値は、注目画素を中心とする局所的な画像における両斜め方向の勾配を示している。全画素に対して算出された微分値は、適応的カーネル算出部43に送信される。
【0065】
なお、全画素に対して算出された微分値は、適応的カーネル算出部43だけでなく、NR処理部32、MB−RGB変換処理部33、色変換処理部34、及び色・ガンマ補正処理部35にも送信される。微分値は、それぞれの部位における処理に用いられる。
【0066】
適応的カーネル算出部43では、微分値に基づいて、画素毎に適応的カーネル関数が算出される。適応的カーネル関数の算出のために、すべての画素が順番に注目画素に指定される。また、注目画素を中心とする注目画素の周囲の7行7列に配置される画素が周囲画素に指定される。注目画素及び周囲画素の指定を終えると、注目画素に対する共分散行列Cxの逆行列が算出される。
【0067】
逆行列は、(1)式に注目画素及び周囲画素の微分値を代入することにより算出される。
【0069】
なお、(1)式において、N
xは周囲画素の画素位置集合であり、|N
x|は画素位置集合の画素数である。また、Z
u(x
j)は、周囲画素x
jのu方向の微分値であり、Z
v(x
j)は周囲画素x
jのv方向の微分値である。なお、
図2に示すように、u方向とは右斜め下から左斜め上に向かう方向であり、v方向とは左斜め下から右斜め上に向かう方向である。
【0070】
注目画素の共分散行列が算出されると、次に注目画素に対するカーネル関数の大きさを表すパラメータμ
xが算出される。パラメータμ
xの算出のために、共分散行列C
xの固有値λ
1、λ
2が算出される。固有値の積λ
1×λ
2が閾値Sと比較される。固有値の積λ
1×λ
2が閾値S以上である場合には、パラメータμ
xは1と計算される。一方、固有値の積λ
1×λ
2が閾値Sより小さい場合には、(S/(λ
1×λ
2))の四乗根がパラメータμ
xとして計算される。
【0071】
パラメータμ
xの算出後、注目画素に対する適当的カーネル関数が算出される。適応的カーネル関数k
x(x
j−x)は(2)式により算出される。
【0073】
(2)式において、x
jは周囲画素の座標であり、xは注目画素の座標であり、Rは45°の回転行列であり、hは所定の設計パラメータであり、例えば1に定められる。
【0074】
全画素に対して算出された適応的カーネル関数k
x(x
j−x)は、参照画像作成部44及び補間画像作成部45に送信される。参照画像作成部44では、原画像信号中に最も要素数の多いG色信号成分(第1の色信号成分)が分配部41から送信される。参照画像作成部44では、適応的ガウシアン補間法により全体の1/2の画素に対してのみ存在するG色信号成分の補間が行われ、参照画像信号が生成される。
【0075】
適応的ガウシアン補間法を用いたG原画像信号成分における欠落した画素信号の補間について説明する。G原画像信号成分において補間される画素、すなわち原画像信号においてG色信号成分を有さない画素が順番に注目画素に指定される。注目画素を中心とする注目画素の周囲の7行7列の画素が周囲画素に指定される。
【0076】
注目画素の画素信号は、周囲画素のG色信号成分及び適応的カーネル関数に基づいて(3)式により算出される。
【0078】
なお、ω
xは(4)式により算出される。M
xiはバイナリマスクであり、周囲画素がG色信号成分を有するときに1であり、周囲画素がG色信号成分を有さないときには0である。S
xiは周囲画素のG色信号成分である。
【0080】
注目画素に指定された全画素に対して補間されたG色信号成分と、G原画像信号成分とにより構成される参照画像信号は、補間画像作成部45に送信される。補間画像作成部45には、前述のように適応的カーネル関数k
x(x
i−x)、及び参照画像信号が適応的カーネル算出部43及び参照画像作成部44から送信される。また、前述のように、補間画像作成部45には、分配部41からG原画像信号成分、Cy原画像信号成分、Or原画像信号成分、B原画像信号成分、及びR原画像信号成分が順番に送信される。
【0081】
補間画像作成部45では、適応的ジョイントバイラテラレル補間法により、生成されていない色信号成分が全画素に対して補間される。例えば、全体の1/2の画素に対してのみ存在するG色信号成分を用いて、他の画素のG色信号成分が補間される。
【0082】
同様に、それぞれ1/8の画素に対してのみ存在するCy色信号成分、Or色信号成分、B色信号成分、及びR色信号成分を用いて、他の画素のCy色信号成分、Or色信号成分、B色信号成分、及びR色信号成分が補間される。全色信号成分の補間により、全色信号成分を有する全画素信号によって構成される補間画像信号が生成される。なお、G色信号成分に関しては参照画像の作成において補間されているが、参照画像を用いた補間が別に行われる。
【0083】
適応的ジョイントバイラテラル補間法を用いた各色信号成分の補間について、G色信号成分を例にして説明する。G色信号成分の補間が行われるべき画素、すなわち原画像信号においてG色信号成分を有さない画素が順番に注目画素に指定される。注目画素を中心とする注目画素の周囲の7行7列の画素が周囲画素に指定される。
【0084】
注目画素の色信号成分は、周囲画素のG色信号成分、適応的カーネル関数、及び参照画像信号に基づいて(5)式により算出される。
【0086】
なお、(5)式において、I
xiは参照画像における周囲画素の画素値、I
xは参照画像における注目画素の画素値である。r(I
xi−I
x)は、注目画素と周囲画素との画素値の差分に応じた重み付けである。
【0087】
注目画素に対するG色信号成分の補間により、G補間画像信号成分が生成される。以後、同様にCy色信号成分、Or色信号成分、B色信号成分、及びR色信号成分もG色信号成分と同様に補間が行われ、Cy補間画像信号成分、Or補間画像信号成分、B補間画像信号成分、及びR補間画像信号成分が生成される。このように全色信号成分の補間により補間画像信号が生成される。
【0088】
以上のような構成の第1の実施形態のCFAによれば、5バンド以上のカラーフィルタを有しながら、色補間を行う前に全画素に対する共通の2方向の微分値、即ち勾配情報を取得することが可能である。
【0089】
一般的に自然画像では、高周波成分においてバンド間の相関が強いことが知られている。したがって、各バンドの画像は同じエッジ構造を有する。そこで、すべてのバンドの勾配情報は等しいと仮定される。それゆえ、何れの色信号成分の微分値であっても、後の画像処理などに用いるのに十分な精度が得られる。本実施形態のように微分値を取得する2色同士の相関が高い場合には、より高精度な情報を取得可能である。
【0090】
さらに、全画素で共通の方向の微分値を取得することにより、画素毎に異なる方向の微分値を取得する場合に比べて、処理の簡素化が可能である。また、勾配情報の方向を合わせるための変換による高周波成分の情報欠落を低減化した高精度の勾配情報を取得可能である。
【0091】
精度の高い勾配情報を用いれば、上述のように欠落する色信号成分の補間に用いることによって偽色の発生を低減化する補間が可能である。さらに、精度の高い勾配情報を用いることにより、精度の高いノイズ除去処理、マルチバンドからRGBへの変換処理、色変換処理、及び色・ガンマ補正処理を実行することが可能である。
【0092】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0093】
例えば、上記の実施形態において、5バンドのカラーフィルタ配置が定められているが、任意の画素を挟む2画素のカラーフィルタが同じとなるようなカラーフィルタの配置であれば、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0094】
例えば、
図14に示すようにG、Cy、Or、B、Rカラーフィルタを配置したCFA2100aであっても、本実施形態と同様の効果が得られる。CFA2100aでは、何れの画素を注目画素としても微分値の算出に用いる画素に必ず相関の高い色が含まれる。すなわち、Orカラーフィルタの斜方には必ずRカラーフィルタが配置されている。微分値を算出する際に相関の高い色が必ず含まれることにより、高精度の微分値を算出可能である。
【0095】
また、
図15に示すように、G、Cy、Or、B、Rカラーフィルタを配置したCFA2101aであっても、すべての画素において右斜め上と左斜め下の画素のカラーフィルタのバンドは同じであり、左斜め上と右斜め下の画素pxのカラーフィルタのバンドも同じである。したがって、本実施形態のように、原画像信号から直接微分値を算出することが可能である。
【0096】
また、CFA2101aにおいても、本実施形態のように間引き読出しも可能である。例えば、
図16に示すように、3行3列に並ぶ画素pxによって構成される第1の画素ブロックpb1毎に画素信号を読出すことも可能である。本実施形態と同様に、第1の画素ブロックpb1の中心の画素pxのカラーフィルタの種類を第1の画素ブロックpb1のカラーフィルタの種類とみなして、第1の画素ブロックpb1のカラーフィルタの配列は、CFA21aの配列と同じとなる。
【0097】
さらには、例えば、
図17に示すように、5行5列に並ぶ画素pxによって構成される第2の画素ブロックpb2毎に画素信号を読出すことも可能である。本実施形態と同様に、第2の画素ブロックpb2の中心の画素pxのカラーフィルタの種類を第2の画素ブロックpb2のカラーフィルタの種類とみなして、第2の画素ブロックpb2のカラーフィルタの配列は、CFA21aの配列と同じである。
【0098】
また、本実施形態においては、注目画素の微分値の算出に用いる2画素は注目画素に隣接する構成であるが、注目画素から等間隔であれば隣接しなくてもよい。例えば、注目画素から2画素分右で2画素分上の画素と、2画素分左で2画素分下の画素との差分を算出することにより微分値を算出してもよい。
【0099】
注目画素に隣接する画素から、全画素に対して共通の方向の微分値を取得可能なカラーフィルタの種類は5〜8種類に限定される。一方で、注目画素から等間隔の画素から微分値を取得するカラーフィルタの種類は5〜8種類に限定されず、9種類以上のカラーフィルタを用いて構成することも可能である。
【0100】
したがって、注目画素に隣接する2画素のカラーフィルタの種類が異なっていても、注目画素から等間隔だけ離れた2画素のカラーフィルタの種類が同じとなるようなカラーフィルタの配列であれば、本実施形態と同様の効果を得ることは可能である。
【0101】
例えば、
図18及び
図19に示すカラーフィルタアレイ2102a、2103aを用いても、本実施形態と同様の効果を得ることが可能である。すなわち、CFA2102a、2103aにおいて、いずれの画素pxを注目画素としても、注目画素から2画素分右で2画素分上の画素と、2画素分左で2画素分下の画素とのカラーフィルタの種類は同じになる。また、注目画素から2画素分左で2画素分上の画素と、2画素分右で2画素分下の画素とのカラーフィルタの種類は同じになる。
【0102】
また、本実施形態においては、u方向及びv方向ともに微分値算出に用いる画素は注目画素から1画素分の間隔を有する構成であるが、u方向とv方向とで間隔が異なっていてもよい。間隔に応じた長さで除すことにより微分値を算出可能である。
【0103】
また、本実施形態においては、注目画素のu方向及びv方向に対して微分値が算出される構成であるが、算出される微分値の方向はu方向及びv方向に限定されない。異なる2方向の微分値が算出可能なカラーフィルタ配列であって、その配列に応じて画素信号を読出し微分値を算出すれば本実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0104】
例えば、本実施形態におけるCFA21aでは、何れの画素を注目画素としても、注目画素から行方向に沿った両側に2画素分離れた2画素のカラーフィルタの種類は同じであり、注目画素から列方向に沿った両側に2画素分はなれた2画素のカラーフィルタの種類も同じである。したがって、CFA21aから出力される原画像信号において、注目画素から行方向に2画素分離れた2画素の画素信号に基づいて微分値を算出し、列方向に2画素分離れた2画素の画素信号に基づいて微分値を算出する構成であれば、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0105】
また、本実施形態においては、微分値を取得する方向は2方向であるが、微分値を取得する方向は2方向に限定されない。何れの画素においても少なくとも2つの共通の方向の微分値を算出可能なカラーフィルタ配列であって、その配列に応じて画素信号を読出し、微分値を算出すれば、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0106】
例えば、本実施形態におけるCFA21aでは、何れの画素を注目画素としても、注目画素から行方向に沿った両側に2画素分離れた2画素のカラーフィルタの種類は同じであり、注目画素から列方向に沿った両側に2画素分離れた2画素のカラーフィルタの種類は同じであり、注目画素からu方向に沿った両側に2画素分離れた2画素のカラーフィルタの種類は同じであり、注目画素からv方向に沿った両側に2画素分離れた2画素のカラーフィルタの種類も同じである。したがって、4方向それぞれ2画素分離れた2画素の画素信号に基づいて微分値を算出する構成であれば、本実施形態と同様の効果が得られる。微分値を取得する方向を増加させることにより、より精度の高い勾配情報を取得可能である。
【0107】
また、画素毎に、微分値を算出する画素の間隔が異なっていてもよい。例えば、CFA21aでは、Gカラーフィルタでは注目画素から行方向および列方向に沿った両側に2画素分離れた2画素のカラーフィルタの種類は同じである。さらに、Gカラーフィルタ以外の4種類のカラーフィルタでは注目画素から行方向および列方向に沿った両側に1画素分離れた2画素のカラーフィルタの種類は同じである。したがって、CFA21aから出力される原画像信号において、画素の種類に応じて異なる画素間隔である微分値を算出する構成であれば、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0108】
また、
図20に示すようなハニカム構造の撮像素子に対しても、第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
図20に示すCFA2104aにおいては、何れの画素を注目画素としても、行方向から60°方向に沿った両側に2画素分離れた2画素のカラーフィルタの種類は同じであり、列方向から30°方向に沿った両側に2画素分離れた2画素のカラーフィルタの種類も同じである。
【0109】
また、
図21に示すように、行列状に配列された画素を45°傾けた構成の撮像素子に対しても、第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
図21に示すCFA2105aにおいては、何れの画素を注目画素としても、注目画素から行方向及び列方向に沿った両側に離れた2画素のカラーフィルタの種類は同じである。
【0110】
また、本実施形態では5バンドのカラーフィルタがCFA21aに設けられる構成であるが、6バンド以上のカラーフィルタが設けられてもよい。
【0111】
例えば、
図22に示すようにC1〜C6カラーフィルタの6バンドのカラーフィルタが配置されたCFA2106aによっても、何れの画素pxにおいてもu方向及びv方向に微分値を算出可能である。また、CFA2106aによれば、本実施形態と同様に、5行5列に並ぶ画素pxによって構成される第2の画素ブロックの中心に配置された単一の画素pxの画素信号のみを出力して画素ブロック毎の微分値を算出することも可能である。
【0112】
また、
図23、
図24に示すようにC1〜C6カラーフィルタの6バンドのカラーフィルタが配置されたCFA2107a、2108aによっても、何れの画素pxにおいてもu方向及びv方向に2画素分の間隔で離れた画素pxを用いて微分値を算出可能である。
【0113】
また、例えば、
図25に示す分光感度を有するC1〜C7カラーフィルタを用いた、
図26に示すCFA2109aであっても、本実施形態と同様の効果が得られる。また、CFA2109aによれば、本実施形態と同様に、5行5列に並ぶ画素pxによって構成される第2の画素ブロックの中心に配置された単一の画素の画素信号のみを出力して画素ブロック毎の微分値を算出することも可能である。
【0114】
また、
図27〜
図29に示す分光感度を有するC1〜C7カラーフィルタをそれぞれ用いた、
図30〜32に示すCFA2110a、2111a、2112aによっても、何れの画素pxにおいてもu方向及びv方向に2画素分の間隔で離れた画素を用いて微分値を算出可能である。
【0115】
また、例えば、
図33に示す分高感度を有するC1〜C8カラーフィルタを用いた、
図34に示すCFA2113aによっても、何れの画素pxにおいてもu方向及びv方向に微分値を算出可能である。また、CFA2113aによれば、本実施形態と同様に、3行3列、5行5列、及び7行7列に並ぶ画素pxによってそれぞれ構成される第1、第2、第3の画素ブロックの中心に配置された単一の画素pxの画素信号のみを出力して画素ブロック毎の微分値を算出することも可能である。
【0116】
また、
図35に示す分光感度を有するC1〜C8カラーフィルタを用いた、
図36に示すCFA2114aによっても、何れの画素pxにおいてもu方向及びv方向に2画素分の間隔で離れた画素pxを用いて微分値を算出可能である。
【0117】
また、例えば、
図37に示す分光感度を有するC1〜C9カラーフィルタを用いた、
図38に示すCFA2115aによっても、何れの画素pxにおいてもu方向及びv方向に2画素分の間隔で離れた画素pxを用いて微分値を算出可能である。また、CFA2115aによれば、本実施形態と同様に、5行5列に並ぶ画素pxによって構成される第2の画素ブロックの中心に配置された単一の画素pxの画素信号のみを出力して画素ブロック毎の微分値を算出することも可能である。
【0118】
また、例えば、
図39、40に示す分光感度を有するC1〜C10カラーフィルタをそれぞれ用いた、
図41、42に示すCFA2116a、2117aによっても、何れの画素pxにおいてもu方向及びv方向に2画素分の間隔で離れた画素pxを用いて微分値を算出可能である。なお、CFA2116a、2117aは、8行8列に並ぶ画素によりカラーフィルタ繰返し単位が構成される。また、CFA2116a、2117aによれば、本実施形態と同様に、3行3列に並ぶ画素pxによって構成される第1の画素ブロックの中心に配置された単一の画素pxの画素信号のみを出力して画素ブロック毎の微分値を算出することも可能である。
【0119】
また、本実施形態では、通常読出しモードにおいて、全画素信号を用いて微分値を算出する構成であるが、微分値を算出する画素は全画素でなくてもよい。
【0120】
例えば、
図30に示すCFA2110aにおいては、C1、C2、C4、C6、C7カラーフィルタについてのみ微分値を算出してもよい。CFA2110aにおいては、いずれの画素を注目画素としても、u方向、v方向、行方向、および列方向にそれぞれ注目画素から両側に2画素分離れた2画素のカラーフィルタの種類は同じであり、微分値を算出可能である。しかし、上述の種類のカラーフィルタ(C1、C2、C4、C6、C7)を有する画素を注目画素とする場合には、u方向およびv方向にそれぞれ注目画素から両側に1画素分離れた2画素のカラーフィルタの種類が同じであり、微分値を算出可能である。
【0121】
また、CFA2110aにおけるC4カラーフィルタのようにサンプル密度が最大である画素の画素信号のみを用いて、微分値を算出してもよい。特に、本実施形態のように、ベイヤー配列のGカラーフィルタと同様に、全体の50%の割合で1種類のカラーフィルタが設けられる構成であれば、全画素から算出した微分値に比べて精度が低下するものの、当該1種類のカラーフィルタの画素信号のみから微分値を算出し、後の信号処理に利用可能である。
【0122】
微分値の最適な算出方法は、CFAによって異なっている。
図2に示すCFA21aの場合には、いずれの画素を注目画素としても、注目画素に隣接する画素からu方向およびv方向の微分値を算出可能である。さらに、CFA21aの場合には、いずれの画素を注目画素としても、注目画素から行方向および列方向に沿って2画素分離れた2画素から微分値を算出可能である。このように任意のCFAにおいても、複数の方法により微分値を算出可能な場合がある。このようなCFAに対しては、算出された微分値を用いた後の信号処理および処理速度などの観点から最適な微分値算出方法を選択可能である。ただし、注目画素から2画素分離れた画素から算出された微分値よりも、注目画素に隣接する画素から算出された微分値の方が高精度である。さらに、微分値を算出しない画素が存在するよりも全画素位置において微分値が算出される構成の方が好ましい。
【0123】
また、本実施形態では、フレームレートの高速化のために、間引き読出し可能な構成であるが、間引きによる偽像の発生を低下させるために、画素加算して読出してもよい。
【0124】
例えば、本実施形態における第1の間引き読出しモードにおいては、第1の画素ブロックpb1(
図3参照)の中心から右上と左下に配置される2画素pxは同じ種類のカラーフィルタを有する。そこで、2画素pxの画素信号を加算させて、第1の画素ブロックpb1の画素信号として出力される。出力される画素信号の色信号成分を第1の画素ブロックpb1のカラーフィルタのバンドとすると、第1の画素ブロックpb1のカラーフィルタの配列は、CFA21aにおけるカラーフィルタの配列と同じである。
【0125】
また、本実施形態における第2の間引き読出しモードにおいては、第2の画素ブロックpb2(
図5参照)の中心と4隅とに配置される5画素は同じ種類のカラーフィルタを有する。そこで、5画素の画素信号を加算させて、第2の画素ブロックpb2の画素信号として出力される。出力される画素信号の色信号成分を第2の画素ブロックpb2のカラーフィルタのバンドとすると、第2の画素ブロックpb2のカラーフィルタの配列は、CFA21aにおけるカラーフィルタの配列と同じである。
【0126】
また、本実施形態では、間引き読出しモードでは、3行3列、5行5列、または7行7列に並ぶ画素を画素ブロックとして、間引き読出しをする構成であるが、4行4列の画素によって構成されるカラーフィルタ繰り返し単位に対しては、(2k+3)行(2k+3)列の画素(kは0以上の整数)によって構成される画素ブロック中の所定の位置の単一の画素から画素信号を読出してもよい。このような構成の画素ブロックであれば、CFA21aにおけるカラーフィルタの配列と画素ブロックのカラーフィルタの配列は同じになる。
【0127】
また、本実施形態では、間引き読出しをするときには、画素ブロックの中心の画素から画素信号を出力させる構成であるが、画素ブロック内の何れの位置の画素から画素信号を出力させてもよい。
【0128】
また、本実施形態では、算出した微分値を適応的カーネル算出部43、NR処理部32、MB−RGB変換処理部33、色変換処理部34、及び色・ガンマ補正処理部35に送信する構成であるが少なくともいずれか一つに送信する構成であってもよいし、微分値に基づいたいかなる処理に用いられてもよい。例えば、エッジ強調処理、局所のコントラスト算出処理、特徴量抽出処理等に用いることも可能である。