(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5943402
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】鋳造欠陥を定量化するための測定装置、方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
B22D 17/00 20060101AFI20160621BHJP
B22D 46/00 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
B22D17/00 Z
B22D46/00
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-55068(P2015-55068)
(22)【出願日】2015年3月18日
【審査請求日】2015年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(73)【特許権者】
【識別番号】591099337
【氏名又は名称】美濃工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100133639
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】吉田 誠
(72)【発明者】
【氏名】深澤 恵太
(72)【発明者】
【氏名】柴田 悠矢
(72)【発明者】
【氏名】大池 俊光
(72)【発明者】
【氏名】野中 直樹
(72)【発明者】
【氏名】小池 貴之
(72)【発明者】
【氏名】北岡 山治
【審査官】
酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/128500(WO,A1)
【文献】
特開2007−111728(JP,A)
【文献】
特開2005−249426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/00,45/00,46/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイカストの内部に発生した鋳造欠陥を定量化するための測定装置であって、
前記ダイカストの製品部または方案部の一部を切断または破断した断面の画像を入力する画像入力部と、
入力された前記画像を格納するバッファ部と、
前記バッファ部に格納された前記画像から前記鋳造欠陥を検出してその各々を識別する鋳造欠陥検出部と、
検出された前記鋳造欠陥の混入状態を求めるように構成されている処理システム部とを備え、
前記処理システム部は、前記鋳造欠陥の各々の長さを表す第1欠陥サイズを2乗または3乗して第2欠陥サイズを算出し、全ての前記第2欠陥サイズを足し合わせて全体鋳造欠陥量を算出し、前記全体欠陥量を前記断面の断面積で除算し、任意の定数を乗算するように構成されている
ことを特徴とする鋳造欠陥を定量化するための測定装置。
【請求項2】
前記第1欠陥サイズが前記鋳造欠陥上の任意の2点を結ぶ線の長さDであり、前記第1欠陥サイズをべき乗する際のべき数αが
2または3であり、前記断面内の前記鋳造欠陥の個数がn個であり、前記断面の断面積がAであり、前記任意の定数がCであるときに、前記鋳造欠陥の混入状態を下記の式(1)で算出することを特徴とする請求項1に記載の鋳造欠陥を定量化するための測定装置。
【数1】
【請求項3】
前記鋳造欠陥上の任意の2点を結ぶ線の長さDが最大の長さDmaxとなるように前記任意の2点をとり、前記最大の長さDmaxの値またはそれよりも大きな値を前記第1欠陥サイズとすることを特徴とする請求項2に記載の鋳造欠陥を定量化するための測定装置。
【請求項4】
ダイカストの内部に発生した鋳造欠陥を定量化するための方法であって、
前記ダイカストの製品部または方案部の一部を切断または破断するステップと、
切断または破断した断面の前記鋳造欠陥の各々の長さを表す第1欠陥サイズを求めるステップと、
前記第1欠陥サイズを2乗または3乗して第2欠陥サイズを算出し、全ての前記第2欠陥サイズを足し合わせて全体欠陥量を算出し、前記全体欠陥量を前記断面の断面積で除算し、任意の定数を乗算するステップとを備える
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記第1欠陥サイズが前記鋳造欠陥上の任意の2点を結ぶ線の長さDであり、前記第1欠陥サイズをべき乗する際のべき数αが
2または3であり、前記断面内の前記鋳造欠陥の個数がn個であり、前記断面の断面積がAであり、前記任意の定数がCであるときに、前記鋳造欠陥の混入状態を下記の式(2)で算出することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【数2】
【請求項6】
前記鋳造欠陥上の任意の2点を結ぶ線の長さDが最大の長さDmaxとなるように前記任意の2点をとり、前記最大の長さDmaxの値またはそれよりも大きな値を前記第1欠陥サイズとすることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ダイカストの内部に発生した鋳造欠陥を定量化するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに、
前記ダイカストの製品部または方案部の一部を切断または破断した断面の前記鋳造欠陥の各々の長さを表す第1欠陥サイズを2乗または3乗して第2欠陥サイズを算出し、全ての前記第2欠陥サイズを足し合わせて全体欠陥量を算出し、前記全体欠陥量を前記断面の断面積で除算し、任意の定数を乗算するステップを実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記第1欠陥サイズが前記鋳造欠陥上の任意の2点を結ぶ線の長さDであり、前記第1欠陥サイズをべき乗する際のべき数αが
2または3であり、前記断面内の前記鋳造欠陥の個数がn個であり、前記断面の断面積がAであり、前記任意の定数がCであるときに、前記鋳造欠陥の混入状態を下記の式(3)で算出することを特徴とする請求項7に記載のコンピュータプログラム。
【数3】
【請求項9】
前記鋳造欠陥上の任意の2点を結ぶ線の長さDが最大の長さDmaxとなるように前記任意の2点をとり、前記最大の長さDmaxの値またはそれよりも大きな値を前記第1欠陥サイズとすることを特徴とする請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造欠陥を定量化するための測定装置に関する。さらに詳しくは、ダイカストの内部に発生した鋳造欠陥を評価または検査する際に、該鋳造欠陥を定量化するための測定装置、方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイカスト法では、鋳造の際に、ダイカストの内部に破断チル層、鋳巣、ガス巣、介在物および湯境等の鋳造欠陥が発生することが多い。特にアルミニウムダイカストでは、アルミニウム溶湯がスリーブに注湯された際、溶湯がスリーブとの温度差で急速に凝固し、凝固層が形成される。その凝固層がプランジャチップの駆動によりスリーブ内壁から剥離され、破断チル層としてダイカストの製品部内部に混入する。この破断チル層の影響による製品の実体強度の低下が問題となっている。
【0003】
従来、破断チル層の混入状態の評価には、製品部の一部を切断したり、試験片を作製して引張試験を行ったりして、切断面や破断面に確認できる破断チル層から求められる投影面積率が使用されてきた。
【0004】
例えば、非特許文献1では、製品部から引張試験片を切り出し、破断面に現れた破断チル層を投影面積率で評価することで、破断チル層により製品部の機械的特性が低下することが報告されている。また、この報告では、投影面積率の増加にほぼ比例して引張強さが低下するとされている。
【0005】
特許文献1では、ランナー内の凝固部から検査片を切り出し、露出した破断チル層の面積を検査面の面積で割った面積率と、所定の基準値とを比較することにより、ダイカストが不良品となる程度の量の破断チル層がダイカスト中に含まれているか否かを判断している。
【0006】
特許文献2および3では、超音波探傷やX線CT測定によって製品部の破断チル層を測定する非破壊検査方法が提案されている。
【0007】
特許文献4では、製品部または方案部に連続する試験片を注湯時に同時に鋳込み、溶湯の凝固後に試験片を採取し、切破して破面検査を行っている。
【0008】
また、溶湯中に存在する酸化物や酸化皮膜、その他の介在物を検出し、鋳造欠陥等の不良の発生を防止するKモールド試験法が知られている。Kモールド試験法は、溶湯を鋳型に鋳込み、鋳込まれた試料を検査することで、良否の判定を行うものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】岩堀弘昭、戸沢勝利、山本善章:軽金属、Vol.34、No.9、1984、Pages 525-530、「アルミニウムダイカスト鋳物に存在する破断チル層の性状」
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−111728号公報
【特許文献2】特開2013−88310号公報
【特許文献3】特開2005−91288号公報
【特許文献4】特開平3−42172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、破断チル層は、混入位置および混入方向がランダムであり、切断面や破断面で確認できる破断チル層の面積だけで、そのサイズを正確に評価することは困難である。
図16は引張試験片の破断面を真上(上面)から見た写真である。実線で囲まれた光沢のある部位が破断チル層である。この破断チル層の投影面積率を算出すると約8%である。
図17は、破断させた引張試験片を側面から見た写真である。上面から見た写真と比較して、破断チル層の占める割合が大きくなっている。このように、破断チル層は面欠陥であることから、例えば
図16および17のように破断チル層が破断面に対して垂直方向に混入した場合、非特許文献1や特許文献1に開示されるように
図16の面の破断チル層の投影面積率を算出すると、実際のサイズよりも過小評価となるおそれがある。さらに、製品部から引張試験片を切り出すためには放電加工等の加工が必要となることから、評価または検査に掛かるコストや時間が増加してしまう。
【0012】
特許文献2および3のように超音波探傷やX線CT測定を行うためには、特別な装置を使用する必要があることから、初期投資やメンテナンス等の維持費が必要になる。
【0013】
特許文献4では、試験片の金型部を別途設計して設ける必要があるので、設計の手間が増えてしまう。また、試験片の分の余計な材料が増えてしまうので、コストや環境資源の面からも好ましくない。
【0014】
Kモールド試験法は、溶湯の品質を判断するものである。すなわち、溶けた金属中の介在物等を検出するものであり、凝固した物を対象にするものではない。したがって、鋳造プロセスでの欠陥を検出できるものではなく、製品部内の破断チル層を見つけることはできない。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、破断チル層等の鋳造欠陥の立体的な要素を考慮することにより、鋳造欠陥の混入位置および混入方向に影響を受けにくく、且つ、特別な装置を使用することなく簡便な方法で、ダイカストの内部に発生した鋳造欠陥を定量化するための測定装置、方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1記載の発明は、ダイカストの内部に発生した鋳造欠陥を定量化するための測定装置であって、前記ダイカストの製品部または方案部の一部を切断または破断した断面の画像を入力する画像入力部と、入力された前記画像を格納するバッファ部と、前記バッファ部に格納された前記画像から前記鋳造欠陥を検出してその各々を識別する鋳造欠陥検出部と、検出された前記鋳造欠陥の混入状態を求めるように構成されている処理システム部とを備え、前記処理システム部は、前記鋳造欠陥の各々の長さを表す第1欠陥サイズを
2乗または3乗して第2欠陥サイズを算出し、全ての前記第2欠陥サイズを足し合わせて全体鋳造欠陥量を算出し、前記全体欠陥量を前記断面の断面積で除算し、任意の定数を乗算するように構成されていることを特徴とする装置である。
【0017】
請求項2記載の発明は、前記第1欠陥サイズが前記鋳造欠陥上の任意の2点を結ぶ線の長さDであり、前記第1欠陥サイズをべき乗する際のべき数αが
2または3であり、前記断面内の前記鋳造欠陥の個数がn個であり、前記断面の断面積がAであり、前記任意の定数がCであるときに、前記鋳造欠陥の混入状態を下記の式(1)で算出することを特徴とする装置である。
【0018】
【数1】
【0019】
請求項3記載の発明は、前記鋳造欠陥上の任意の2点を結ぶ線の長さDが最大の長さD
maxとなるように前記任意の2点をとり、前記最大の長さD
maxの値またはそれよりも大きな値を前記第1欠陥サイズとすることを特徴とする装置である。
【0020】
請求項4記載の発明は、ダイカストの内部に発生した鋳造欠陥を定量化するための方法であって、前記ダイカストの製品部または方案部の一部を切断または破断するステップと、切断または破断した断面の前記鋳造欠陥の各々の長さを表す第1欠陥サイズを求めるステップと、前記第1欠陥サイズを
2乗または3乗して第2欠陥サイズを算出し、全ての前記第2欠陥サイズを足し合わせて全体欠陥量を算出し、前記全体欠陥量を前記断面の断面積で除算し、任意の定数を乗算するステップとを備えることを特徴とする方法である。
【0021】
請求項5記載の発明は、前記第1欠陥サイズが前記鋳造欠陥上の任意の2点を結ぶ線の長さDであり、前記第1欠陥サイズをべき乗する際のべき数αが
2または3であり、前記断面内の前記鋳造欠陥の個数がn個であり、前記断面の断面積がAであり、前記任意の定数がCであるときに、前記鋳造欠陥の混入状態を下記の式(2)で算出することを特徴とする方法である。
【0022】
【数2】
【0023】
請求項6記載の発明は、前記鋳造欠陥上の任意の2点を結ぶ線の長さDが最大の長さD
maxとなるように前記任意の2点をとり、前記最大の長さD
maxの値またはそれよりも大きな値を前記第1欠陥サイズとすることを特徴とする方法である。
【0024】
請求項7記載の発明は、ダイカストの内部に発生した鋳造欠陥を定量化するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに、前記ダイカストの製品部または方案部の一部を切断または破断した断面の前記鋳造欠陥の各々の長さを表す第1欠陥サイズを
2乗または3乗して第2欠陥サイズを算出し、全ての前記第2欠陥サイズを足し合わせて全体欠陥量を算出し、前記全体欠陥量を前記断面の断面積で除算し、任意の定数を乗算するステップを実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0025】
請求項8記載の発明は、前記第1欠陥サイズが前記鋳造欠陥上の任意の2点を結ぶ線の長さDであり、前記第1欠陥サイズをべき乗する際のべき数αが
2または3あり、前記断面内の前記鋳造欠陥の個数がn個であり、前記断面の断面積がAであり、前記任意の定数がCであるときに、前記鋳造欠陥の混入状態を下記の式(3)で算出することを特徴とするコンピュータプログラムである。
【0026】
【数3】
【0027】
請求項9記載の発明は、前記鋳造欠陥上の任意の2点を結ぶ線の長さDが最大の長さD
maxとなるように前記任意の2点をとり、前記最大の長さD
maxの値またはそれよりも大きな値を前記第1欠陥サイズとすることを特徴とするコンピュータプログラムである。
【0028】
請求項10記載の発明は、上記のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0029】
請求項1記載の装置、請求項4記載の方法、請求項7のコンピュータプログラム、および、請求項10のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、破断チル層等の鋳造欠陥の立体的な要素を考慮した計算により鋳造欠陥の混入状態を求めることで、鋳造欠陥の混入位置および混入方向に影響を受けにくく、且つ、特別な装置を使用することなく簡便な方法で、ダイカストの内部に発生した鋳造欠陥を定量化するための測定装置、方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することができる。さらに、当該方法は初期投資をほとんど必要とせずに実施可能であり、特別な装置も必要ないので、インラインでの検査に効果的に導入されることができる。
【0030】
請求項2記載の装置、請求項5記載の方法、請求項8のコンピュータプログラム、および、請求項10のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、第1欠陥サイズを鋳造欠陥上の任意の2点を結ぶ線の長さとすることで、より簡便で正確に第1欠陥サイズを決定することができる。
【0031】
請求項3記載の装置、請求項6記載の方法、請求項9のコンピュータプログラム、および、請求項10のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、鋳造欠陥上の任意の2点を結ぶ線の長さDが最大の長さD
maxとなるように任意の2点をとり、最大の長さD
maxの値またはそれよりも大きな値を第1欠陥サイズとすることで、第1欠陥サイズを用いて求められる鋳造欠陥の混入状態を過小評価するおそれが減少し、より安定した評価を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の実施形態に係る測定装置のハードウェア構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図3】同上、鋳造欠陥上の任意の2点を結ぶ線の長さの一例を示す概念図である。
【
図4】同上、鋳造欠陥の外接円の直径の大きさの一例を示す概念図である。
【
図5】同上、曲げ破断したランナー部の破断面を示す写真である。
【
図6】同上、定量化方法の流れを示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施例1に係るランナー部の破断された断面に確認できる破断チル層のCFIと、製品部の引張試験片の破断チル層のCFIとを比較して示す棒グラフである。
【
図8】同上、比較例として、ランナー部の破断された断面に確認できる破断チル層の投影面積率と、製品部の引張試験片の破断チル層の投影面積率とを比較して示す棒グラフである。
【
図9】本発明の実施例2において、水溶性潤滑剤を使用した場合、粉体潤滑剤を使用した場合、および断熱スリーブを使用した場合のランナー部の破断された断面に確認できる破断チル層のCFIを示す棒グラフである。
【
図10】本発明の実施例3において、CFIで評価した破断チル層の混入状態に対する引張強さの変化を表したグラフである。
【
図11】同上、比較例として、投影面積率で評価した破断チル層の混入状態に対する引張強さの変化を表したグラフである。
【
図12】同上、CFIで評価した破断チル層の混入状態に対する伸びの変化を表したグラフである。
【
図13】同上、比較例として、投影面積率で評価した破断チル層の混入状態に対する伸びの変化を表したグラフである。
【
図14】本発明の実施例4において、スリーブの潤滑剤を変化させたときのCFIで評価した破断チル層の混入状態に対する引張強さの変化を表したグラフである。
【
図15】同上、比較例として、スリーブの潤滑剤を変化させたときの投影面積率で評価した破断チル層の混入状態に対する伸びの変化を表したグラフである。
【
図16】参考例として、引張試験片の破断面を真上から見た写真である。
【
図17】同上、破断させた引張試験片を側面から見た写真である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係るダイカストの内部に混入した鋳造欠陥を定量化するための測定装置、方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体について説明する。
図1は、当該測定システム1のハードウェア構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【0034】
図1の測定システム1が有している測定装置2は、
図2に示すダイカスト3の製品部5または方案部6の一部を切断または破断した断面7(
図5を参照)の画像を入力する画像入力部8と、入力された画像を格納するバッファ部9と、バッファ部9に格納された画像から鋳造欠陥4(
図5を参照)を検出してその各々を識別する鋳造欠陥検出部10と、検出された鋳造欠陥4の混入状態を求めるように構成されている処理システム部11とを備える。ここで鋳造欠陥4は、破断チル層、鋳巣、ガス巣、介在物および湯境等を含むものである。
【0035】
図2はダイカスト装置20の概略断面図である。ダイカスト装置20は、互いに組み合わされることで金型27を形成する固定型31および可動型32を備える。金型27に連通するように円筒形のスリーブ21が接続される。アルミダイカストの場合、溶けたアルミニウムをスリーブ21の開口部26から流し込む。それをプランジャチップ33で高速、高圧で金型27内に押し込む。溶湯が凝固した後、可動型32を開き、イジェクトピン34により製品を押し出す。方案部6は、製品部5に連結されたビスケット部22、ランナー部23、ゲート部24およびオーバーフロー部25を含む。ここで、ビスケット部22、ランナー部23、ゲート部24およびオーバーフロー部25は、金型27内のビスケット、ランナー、ゲートおよびオーバーフローのそれぞれにおいて凝固した溶湯を指すものとする。方案部6は、鋳造時のみに必要なもので、最終製品には不要な部品である。したがって、製品部5から方案部6を切り離してダイカスト製品の完成となる。
【0036】
図1に戻り、本発明の測定システム1について説明する。測定装置2は、例えばCPU(中央演算装置)13を有するコンピュータにおいて、例えばHDD(ハードディスク駆動装置)からなる記憶装置14に、コンピュータプログラムからなるソフトウェア15をインストールすることによって実現される。測定装置2の機能は、コンピュータのハードウェア資源とソフトウェア15(コンピュータプログラム)とが協働して実現される。
【0037】
CPU13は、ソフトウェア15に基づき様々な演算処理を実行する。ソフトウェア15は、例えばFD(フレキシブルディスク)やCD−ROM、その他の可搬性記録媒体から記憶装置14に取り込まれてもよく、LAN(Local Area Network)やインターネットといったコンピュータネットワークから記憶装置14に取り込まれてもよい。CPU13と記憶装置14とは例えばバス18で相互に接続される。バス18には、さらに画像入力部8、バッファ部9およびインターフェース17が接続される。
【0038】
画像入力部8は、画像を測定装置2に入力する一種のインターフェースとして機能するものであり、画像取得装置または外部メモリ12に接続される。画像取得装置は、例えばデジタルカメラであり、ダイカスト3の製品部5または方案部6の一部を切断または破断した断面7を直接撮影してもよいし、実体顕微鏡や光学顕微鏡を介して撮影してもよい。外部メモリは、例えばCFカードやSDカード、スマートメディア、USBメモリ等である。
【0039】
バッファ部9は例えばRAMにより構成され、画像入力部8から入力された画像を格納する。格納された画像は、バス18を介してバッファ部9と接続された記憶装置14内の後述する構造欠陥検出部10での処理に使用される。
【0040】
インターフェース17は、例えばディスプレイ等の出力装置16に接続される。このインターフェース17を介して、測定装置2に取り込まれた画像や、ソフトウェア15による演算結果等が、出力装置16に表示される。
【0041】
尚、
図1では、画像取得装置または外部メモリ12および出力装置16を、測定装置2の外部に配置しているが、これらを測定装置2に含め、一体として設けるようにしてもよい。すなわち、測定システム1を1つの測定装置として構成するようにしてもよい。
【0042】
構造欠陥検出部10は、記憶装置14内に配置され、例えばソフトウェア15に基づく演算処理により、バッファ部9に格納された画像から鋳造欠陥4を検出してその各々を識別する。鋳造欠陥4の検出および識別は、輪郭抽出やパターン認識といった周知の画像認識技術を利用して行うことができる。さらに、構造欠陥検出部10は検出および識別された鋳造欠陥4の各々の第1欠陥サイズFSを決定する。第1欠陥サイズFSは、ソフトウェア15に基づく演算処理により自動で求めてもよいし、断面7の画像を出力装置16に表示し、ソフトウェア15のGUIを介して、マウス等の入力装置(図示せず)を用いて手動で求めたり、あるいは自動で求めたものを、画像を見ながら手動で修正したりするようにしてもよい。
【0043】
処理システム部11は、記憶装置14内に配置され、例えばソフトウェア15に基づく演算処理により、鋳造欠陥4の混入状態を定量的に示すためのCFI(Cold Flake Index)を求めるように構成される。処理システム部では、構造欠陥検出部10で求められた各々の第1欠陥サイズFSをべき乗して第2欠陥サイズSSを算出し、全ての第2欠陥サイズSSを足し合わせて全体欠陥量ASを算出し、全体欠陥量ASを断面7の断面積Aで除算し、任意の定数Cを乗算するように構成されている。
【0044】
第1欠陥サイズFSは、鋳造欠陥4の長さを表すものである。その第1欠陥サイズFSを決定する方法は、
図3に示すように鋳造欠陥4上の任意の2点P1、P2を結ぶ線の長さDを用いる方法が有用である。特に、鋳造欠陥4上の任意の2点P1、P2を結ぶ線の長さDが最大の長さD
maxとなるように任意の2点P1、P2をとり、その最大の長さD
maxの値またはそれよりも大きな値を第1欠陥サイズFSとすることが、第1欠陥サイズFSを用いて求められる鋳造欠陥4の混入状態を定量的に示すためのCFIの値が過小評価となるおそれを低減できるので好ましい。任意の2点P1、P2を結ぶ線の長さDまたはその最大値D
maxを用いることで、より簡便で正確に第1欠陥サイズFSを決定することができる。また、
図4に示すように鋳造欠陥4の外接円CCをとれる場合には、その外接円CCの直径の大きさRを用いる方法が有用である。外接円CCを用いる際には、特に最大外接円をとると、その直径の大きさRは鋳造欠陥4上の任意の2点P1、P2を結ぶ線の長さDの最大の長さD
maxと同等かそれよりも大きな値となるので好ましい。すなわち、鋳造欠陥4上の任意の2点P1、P2を結ぶ線は、外接円CCの中心点CPを通る場合は外接円CCの直径の大きさRと同等となり、中心点CPを通らない場合には直径の大きさRよりも短くなる。外接円CCの直径の大きさRを用いることで、上記と同様にCFIを過小評価するおそれが減少し、より安定した評価を実現することができる。任意の2点P1、P2を結ぶ線の長さDを用いる場合の数式を数4に、外接円CCの直径の大きさRを用いる場合の数式を数5に示す。ここで、αは第1欠陥サイズFS(D、R)をべき乗する際のべき数であり、nは断面7内の鋳造欠陥4の個数であり、Aは断面7の断面積であり、Cは任意の定数である。べき数αは製品部5および方案部6の形状や寸法等により決定される。尚、べき数αの値は、1より大きく10以下の実数であることが好ましく、1.5以上3.0以下の実数であることがさらに好ましい。
【0047】
図5の写真を用いて計算例を説明する。
図5は曲げ破断したランナー部23の破断面を示している。断面7には、最大外接円CCの直径の大きさRが約2mmの破断チル層および約3mmの2個の破断チル層が確認できる。断面7の断面積Aは70.5mm
2であり、べき数αを2とし、任意の定数Cを100とすると、CFIは数6により求められる。
【0049】
この算出式では、断面7に露出している破断チル層をすべて正方形の面欠陥とみなし、その面積を求めている。この方法は、特に断面7に対して垂直に混入した破断チル層を定量化するのに適している。
【0050】
図6に本発明の定量化方法の流れをフローチャートで示す。まず、ステップS1で、ダイカスト3の製品部5または方案部6の一部を切断または破断する。次に、ステップS2で、断面7上の各々の鋳造欠陥4の長さを表す第1欠陥サイズFSを求める。次に、ステップS3で、第1欠陥サイズFSをべき乗して第2欠陥サイズSSを算出し、全ての第2欠陥サイズSSを足し合わせて全体欠陥量ASを算出し、全体欠陥量ASを断面積で除算し、任意の定数を乗算する。
【0051】
上記方法は、前述の測定装置2でも実現できるが、測定装置2を必ずしも使う必要はない。すなわち、ステップS1でダイカスト3の製品部5または方案部6の一部を切断または破断した後、ステップS2で目視により断面7上の鋳造欠陥4を確認し、その長さを表す第1欠陥サイズを測定する。そして、測定した第1欠陥サイズFSを用いてステップS3の計算を行えばよい。このように、本発明は非常に簡便な方法であるから、インラインでの検査に効果的に活用されることができる。
【0052】
また、上記方法は、測定装置2等のハードウェアが行う構成として実現する他に、コンピュータに処理を実行させるコンピュータプログラム(図示せず)として実現することもできる。さらに、このコンピュータプログラムのソースコードを、コンピュータで読み取り可能な記録媒体(図示せず)に記録する構成とすることもできる。これにより、上記方法を用いて鋳造欠陥4を定量化するためのコンピュータプログラムを記録した持ち運び自在な記録媒体を提供することができる。尚、記録媒体としては、例えば、磁気テープ、または、FDやHDD等の磁気ディスク、CD−ROMやMO、DVD等の光ディスク、USBメモリ等の半導体メモリを用いた記録媒体等が挙げられる。
【0053】
尚、CFIの算出に使用する部位は、製品部5でもよいし、方案部6を構成するビスケット部22、ランナー部23、ゲート部24およびオーバーフロー部25のいずれでもよい。後述するように、製品部5を使用した場合と方案部6を使用した場合とでは定量的な相関性がある。したがって、インラインでの検査を行う場合には、方案部6を使用することで、製品部5を破断させることなく製品部5の定量的な予測評価が可能となるので、方案部6のいずれかの部品を使用することが好ましい。
【0054】
また、製品部5および方案部6の破断チル層等の鋳造欠陥4の混入状態は、ゲートやランナーの形状や寸法等に影響される。したがって、方案部6のCFIにより製品部5のCFIを定量的に予測評価するためには、各ダイカストの金型27において個別に相関性を求めることが好ましい。
【実施例1】
【0055】
本実施例では、ランナー部23の一部を破断させて試験片を作製し、その破断された断面7を観察することでCFIを求めた。破断させる方法や位置は特に限られない。例えば、製品部5をトリミングした状態のビスケット部22を万力などで固定し、曲げ破断させる方法が簡便である。
【0056】
まず、ランナー部23を上述の方法で曲げ破断させ、破断された断面7に確認できる破断チル層を、数5により算出して定量化した。ここで、任意の定数Cは100とした。
【0057】
また、製品部5の定量的な評価として、製品部5から引張試験片を作製して、引張試験を行い、その破断面の破断チル層を数5により算出した。
【0058】
図7は、ランナー部23の破断された断面7に確認できる破断チル層のCFIと、製品部5の引張試験片の破断チル層のCFIとを比較して示す棒グラフである。Alloy Aはダイカスト用アルミニウム合金JIS ADC3であり、Alloy BはAlloy AにTiBを添加した合金である。2つ並んだ棒グラフの内、左側の粗い斜線がランナー部23のCFIであり、右側の細かい斜線が製品部5の引張試験片のCFIである。両者を比較すると、ほぼ同程度であり、定量的な相関関係が確認できる。
【0059】
一方、
図8は、比較例として、ランナー部23の破断された断面7に確認できる破断チル層の投影面積率と、製品部5の引張試験片の破断チル層の投影面積率とを比較して示す棒グラフである。Alloy AおよびAlloy Bのいずれにおいても、ランナー部23の投影面積率は、製品部5の引張試験片の投影面積率の半分以下となっており、差異が非常に大きくなっている。ランナー部23においては、破断された断面7に対して垂直方向に破断チル層が混入し、鋳造欠陥の立体的な要素を考慮しない投影面積率では、過小評価される結果となったものと考えられる。
【実施例2】
【0060】
スリーブ21内に塗布する潤滑剤やスリーブ材質を変化させた場合の破断チル層の混入状態をCFIにより定量化した。本実施例では、水溶性潤滑剤と、断熱性の高い粉体潤滑剤を使用した。また、スリーブとして、SKD61材およびTiサーメット材の断熱スリーブを使用した。
【0061】
図9は、水溶性潤滑剤を使用した場合、粉体潤滑剤を使用した場合、および断熱スリーブを使用した場合において、ランナー部23の破断された断面7に確認できる破断チル層のCFIを示す棒グラフである。粗い斜線がAlloy A(JIS ADC3)であり、細かい斜線がAlloy B(Alloy AにTiBを添加した合金)である。断熱スリーブに関しては、Alloy Bのみの評価結果を示す。
【0062】
水溶性潤滑剤に関しては、Alloy BのCFIがAlloy AのCFIの5割程度となっており、TiBを添加した効果を適切に評価できている。また、粉体潤滑剤においてはTiBの添加の有無に関わらず、また断熱スリーブにおいても、CFIの値は0.62〜2.02と大幅に減少している。これは、スリーブ21の内壁を断熱することで、溶湯の温度変化を低減できるので、破断チル層の生成が抑制されるためである。CFIによる評価結果は、粉体潤滑剤および断熱スリーブの効果も適切に評価できている。
【実施例3】
【0063】
図10はCFIで評価した破断チル層の混入状態に対する引張強さの変化を表したグラフであり、
図11は投影面積率で評価した破断チル層の混入状態に対する引張強さの変化を表したグラフである。Alloy Aはダイカスト用アルミニウム合金JIS ADC3であり、Alloy BはAlloy AにTiBを添加した合金である。スリーブ21には水溶性潤滑剤を塗布している。前述したように、破断チル層により製品部の機械的特性が低下し、投影面積率の増加にほぼ比例して引張強さが低下することが知られている。このことは、
図11の投影面積率による評価においても確認できる。これに対し、
図10のCFIによる評価においても、CFIが大きくなるにつれて引張強さが低下しており、CFIにより引張強さとの相関性も適切に評価できている。
【0064】
また、
図12はCFIで評価した破断チル層の混入状態に対する伸びの変化を表したグラフであり、
図13は投影面積率で評価した破断チル層の混入状態に対する伸びの変化を表したグラフである。
図13の投影面積率による評価においても、
図12のCFIによる評価においても、破断チル層の混入が増加すると伸びが小さくなる傾向を示しており、CFIにより伸びとの相関性も適切に評価できている。
【0065】
以上の結果より、CFIで破断チル層の定量化を行うことで、ダイカスト製品の機械的性質への影響を評価することができることが分かる。
【実施例4】
【0066】
図14はスリーブ21の潤滑剤を変化させたときのCFIで評価した破断チル層の混入状態に対する引張強さの変化を表したグラフであり、
図15はスリーブ21の潤滑剤を変化させたときの投影面積率で評価した破断チル層の混入状態に対する伸びの変化を表したグラフである。Alloy Aはダイカスト用アルミニウム合金JIS ADC3であり、Alloy BはAlloy AにTiBを添加した合金である。潤滑剤は水溶性潤滑剤および粉体潤滑剤を使用した。
図14の引張強さおよび
図15の伸びの両方において、粉体潤滑材を使用した場合に、CFIの値が小さく、引張強さおよび伸びが大きい領域に値が集中している。このことから、粉体潤滑剤を使用した場合に、破断チル層が低減されるものと評価することができる。
【0067】
上記に説明したように、本発明の装置、方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、破断チル層等の鋳造欠陥4の立体的な要素を考慮した計算により鋳造欠陥4の混入状態を求めることで、鋳造欠陥4の混入位置および混入方向に影響を受けにくく、且つ、特別な装置を使用することなく簡便な方法で、ダイカスト3の内部に発生した鋳造欠陥4を定量化して評価することができる。さらに、当該方法は初期投資をほとんど必要とせずに実施可能であり、特別な装置も必要ないので、インラインでの検査に効果的に導入されることができる。
【0068】
また、第1欠陥サイズFSを鋳造欠陥4上の任意の2点P1、P2を結ぶ線の長さDとすることで、より簡便で正確に第1欠陥サイズFSを決定することができる。
【0069】
さらに、鋳造欠陥4上の任意の2点P1、P2を結ぶ線の長さDが最大の長さD
maxとなるように任意の2点P1、P2をとり、最大の長さD
maxの値またはそれよりも大きな値を第1欠陥サイズFSとすることで、第1欠陥サイズFSを用いて求められる鋳造欠陥4の混入状態を定量的に示すためのCFIを過小評価するおそれが減少し、より安定した評価を実現することができる。
【0070】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は種々の変形実施をすることができる。例えば、実施例では破断された断面7で確認できる鋳造欠陥4を用いて評価を行っているが、鋳造欠陥4を確認できる面であれば、その面の鋳造欠陥4からCFIを求めることで、鋳造欠陥4の混入状態を評価することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、ダイカスト、特にアルミニウムダイカストにおいて発生する破断チル層等の鋳造欠陥を定量的に評価することが可能であり、測定および評価プロセスの簡略化にも有用である。したがって、本発明は、従来の金属工業、及びダイカストを部材として使用する自動車関連産業のみならず、近年の金型技術の発達を背景に通信機器、建築材料、産業機械産業の発達に大きく寄与する。
【符号の説明】
【0072】
2 測定装置
3 ダイカスト
4 鋳造欠陥
5 製品部
6 方案部
7 断面
8 画像入力部
9 バッファ部
10 鋳造欠陥検出部
11 処理システム部
FS 第1欠陥サイズ
SS 第2欠陥サイズ
AS 全体欠陥量
D 任意の2点を結ぶ線の長さ
D
max 任意の2点を結ぶ線の長さDの最大の長さ
P1、P2 任意の点
α べき数
n 鋳造欠陥の個数
A 断面の断面積
C 任意の定数
【要約】
【課題】鋳造欠陥の混入位置および混入方向に影響を受けにくく、且つ、特別な装置を使用することなく簡便な方法で、ダイカストの内部に発生した鋳造欠陥を定量化するための測定装置、方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【解決手段】ダイカスト3の製品部5または方案部6の一部を切断または破断した断面7の鋳造欠陥4の各々の長さを表す第1欠陥サイズFSをべき乗して第2欠陥サイズSSを算出し、全ての第2欠陥サイズSSを足し合わせて全体欠陥量ASを算出し、全体欠陥量ASを断面7の断面積Aで除算し、任意の定数Cを乗算して、鋳造欠陥4の混入状態を定量的に評価するためのCFI(Cold Flake Index)を求める構成とした。
【選択図】
図1