(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の植物生長調節剤は、上記式(1)〜(4)で表される化合物(以下、場合によりそれぞれ「化合物(1)」、「化合物(2)」、「化合物(3)」、「化合物(4)」と称する。)からなる群から選択される少なくとも一種を含む。
【0011】
<化合物(1)>
化合物(1)は、ジフラノース誘導体であり、式(1)中、R
1はH又はC1〜C6のアルキル基を表し、R
2はH、C1〜C6のアルキル基又はC1〜C6のアルキルカルボニル基を表し、R
3はC1〜C6のアルキルカルボニル基を表す。
【0012】
R
1は、水素原子又はC1〜C6のアルキル基である。C1〜C6のアルキル基とは、炭素数1〜6の、直鎖状、分枝鎖状、環状、及びそれらの組み合わせのいずれでもよいアルキル基のことを指し、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、シクロプロピルメチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、又は4−メチルペンチル基などを挙げることができる。
【0013】
R
2は水素原子、C1〜C6のアルキル基又はC1〜C6のアルキルカルボニル基である。C1〜C6のアルキル基としては、上記R
1として挙げたものを同様に挙げることができる。
【0014】
R
2として記載されるC1〜C6のアルキルカルボニル基とは、炭素数1〜6の、直鎖状、分枝鎖状、環状、及びそれらの組み合わせのいずれでもよいアルキル基がついたカルボニル基を指し、具体的には、メチルカルボニル基(アセチル基)、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、シクロプロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、sec−ブチルカルボニル基、tert−ブチルカルボニル基、シクロブチルカルボニル基、シクロプロピルメチルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、イソペンチルカルボニル基、ネオペンチルカルボニル基、tert−ペンチルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、3,3−ジメチルブチルカルボニル基、2−エチルブチルカルボニル基、2−メチルペンチルカルボニル基、3−メチルペンチルカルボニル基、又は4−メチルペンチルカルボニル基などを挙げることができる。
【0015】
R
3はC1〜C6のアルキルカルボニル基である。C1〜C6のアルキルカルボニル基としては、上記R
2として挙げたものを同様に挙げることができる。なお、式(1)中、R
1とR
2とR
3とはそれぞれ独立である。
【0016】
植物生長調節作用が高いことから、R
1としては水素原子、メチル基が好ましく、R
2としては水素原子、メチル基、イソブチルカルボニル基が好ましく、R
3としてはアセチル基が好ましい。
【0017】
化合物(1)は、具体的には、植物生長調節作用が特に高いことから、下記式(5)に表される2−アセトアミド−3,6−アンヒドロ−2−デオキシ−D−マンノフラノース(2−acetamido−3,6−anhydro−2−deoxy−D−mannofuranose、以下、場合により「AMNAc」と称する。)、又は下記式(6)に表されるフラノディクチンB(furanodictine B)であることが好ましく、AMNAcであることがより好ましい。
【0018】
【化5】
(式(5)中、Acはアセチル基を表す。)
【0019】
【化6】
(式(6)中、Acはアセチル基を表す。)
【0020】
AMNAc及びフラノディクチンBは、特開2011−11985号公報に記載の方法により得ることができる。具体的には、AMNAcは、N−アセチルグルコサミン又はN−アセチルマンノサミンを、ホウ酸イオン又は金属イオンを含有するpHを調整した水溶液中で加熱し、得られた化合物を精製することにより簡便に得ることができる。また、フラノディクチンBは、AMNAcをアシル化することにより得ることができる。また、化合物(1)は、公知の方法により、AMNAcをアルキル化、アシル化或いは脱アシル化及び再アシル化等することにより、簡便に得ることができる。AMNAcの2つの水酸基及びアセトアミド基の反応性がすべて異なるため、当業者は保護基等を利用して反応を制御することが可能である。
【0021】
<化合物(2)>
化合物(2)は、ジフラノース誘導体であり、式(2)中、R
4はH又はC1〜C6のアルキル基を表し、R
5はH、C1〜C6のアルキル基又はC1〜C6のアルキルカルボニル基を表し、R
6はC1〜C6のアルキルカルボニル基を表す。
【0022】
R
4は、水素原子又はC1〜C6のアルキル基である。C1〜C6のアルキル基としては、上記R
1として挙げたものを同様に挙げることができる。
【0023】
R
5は水素原子、C1〜C6のアルキル基又はC1〜C6のアルキルカルボニル基である。R
5として記載されるC1〜C6のアルキル基としては、上記R
1として挙げたものを同様に挙げることができ、R
5として記載されるC1〜C6のアルキルカルボニル基としては、上記R
2として挙げたものを同様に挙げることができる。
【0024】
R
6はC1〜C6のアルキルカルボニル基である。C1〜C6のアルキルカルボニル基としては、上記R
2として挙げたものを同様に挙げることができる。なお、式(2)中、R
4とR
5とR
6とはそれぞれ独立である。
【0025】
植物生長調節作用が高いことから、R
4としては水素原子、メチル基が好ましく、R
5としては水素原子、メチル基、イソブチルカルボニル基が好ましく、R
6としてはアセチル基が好ましい。
【0026】
化合物(2)は、具体的には、植物生長調節作用が特に高いことから、下記式(7)に表される2−アセトアミド−3,6−アンヒドロ−2−デオキシ−D−グルコフラノース(2−acetamido−3,6−anhydro−2−deoxy−D−glucofuranose、以下、場合により「AGNAc」と称する。)、又は下記式(8)に表されるフラノディクチンA(furanodictine A)であることが好ましく、AGNAcであることがより好ましい。
【0027】
【化7】
(式(7)中、Acはアセチル基を表す。)
【0028】
【化8】
(式(8)中、Acはアセチル基を表す。)
【0029】
AGNAc及びフラノディクチンAは、特開2011−11985号公報に記載の方法により得ることができる。具体的には、AGNAcは、N−アセチルグルコサミン又はN−アセチルマンノサミンをホウ酸イオン又は金属イオンを含有するpHを調整した水溶液中で加熱し、得られた化合物を精製することにより簡便に得ることができる。また、フラノディクチンAは、AGNAcをアシル化することにより得ることができる。また、化合物(2)は、公知の方法により、AGNAcをアルキル化、アシル化或いは脱アシル化及び再アシル化等することにより、簡便に得ることができる。AGNAcの2つの水酸基及びアセトアミド基の反応性がすべて異なるため、当業者は保護基等を利用して反応を制御することが可能である。
【0030】
<化合物(3)>
化合物(3)はヘキソフラノース誘導体であり、式(3)中、R
7はC1〜C6のアルキルカルボニル基を表す。C1〜C6のアルキルカルボニル基としては、上記R
2として挙げたものを同様に挙げることができる。植物生長調節作用が高いことから、R
7としてはアセチル基が好ましい。
【0031】
化合物(3)は、具体的には、植物生長調節作用が特に高いことから、下記式(9)に表されるクロモゲンI(Chromogen I)である。クロモゲンIは、特開2011−11985号公報に記載の方法により得ることができる。具体的には、クロモゲンIは、N−アセチルグルコサミン又はN−アセチルマンノサミンをホウ酸イオン又は金属イオンを含有するpHを調整した水溶液中で加熱し、得られた化合物を精製することにより簡便に得ることができる。また、化合物(3)は、公知の方法により、クロモゲンIを脱アシル化及び再アシル化等することにより、簡便に得ることができる。
【0032】
【化9】
(式(9)中、Acはアセチル基を表す。)
【0033】
<化合物(4)>
化合物(4)はヘキソフラノース誘導体であり、式(4)中、R
8はC1〜C6のアルキルカルボニル基を表す。C1〜C6のアルキルカルボニル基としては、上記R
2として挙げたものを同様に挙げることができる。植物生長調節作用が高いことから、R
8としてはアセチル基が好ましい。
【0034】
化合物(4)は、具体的には、植物生長調節作用が特に高いことから、下記式(10)に表されるレプトスフェリン(Leptosphaerin)である。レプトスフェリンは、特開2011−11985号公報に記載の方法により得ることができる。具体的には、レプトスフェリンは、N−アセチルグルコサミン又はN−アセチルマンノサミンをホウ酸イオン又は金属イオンを含有するpHを調整した水溶液中で加熱し、得られた化合物を精製することにより簡便に得ることができる。また、化合物(4)は、公知の方法により、レプトスフェリンを脱アシル化及び再アシル化等することにより、簡便に得ることができる。
【0035】
【化10】
(式(10)中、Acはアセチル基を表す。)
【0036】
これら化合物(1)〜(4)は、上述のように、N−アセチルグルコサミン又はN−アセチルマンノサミンを出発物質として簡便な方法で得ることができる。しかもN−アセチルグルコサミンやN−アセチルマンノサミンは食品素材として市場に流通し、安全性が十分に確かめられていることから、これらを異性化して得られる化合物(1)〜(4)も安全性が高い。すなわち、化合物(1)〜(4)を含む本発明の植物生長調節剤は、簡便に製造することができ、しかも、安全性が高い。
【0037】
植物生長調節剤は、化合物(1)〜(4)の中でも、化合物(1)又は(2)を含むことが好ましい。特に化合物(1)及び(2)は、植物生長調節作用が強いからである。一方、化合物(3)及び(4)も、化合物(1)又は(2)と構造が類似しており、類似の合成経路により得られる化合物であることから、強力な植物生長調節作用を有する。
【0038】
植物生長調節剤には、化合物(1)〜(4)の他に、殺菌剤、防黴剤、殺虫剤、又は化合物(1)〜(4)以外の植物生長調節作用を有する化合物を含有していてもよい。さらに、公知の製剤用添加剤を含有していてもよい。このような製剤用添加剤としては、特に限定されないが、例えば、賦形剤、乳化剤、湿潤剤を使用することができる。また、植物生長調節剤の剤型は特に限定されないが、例えば、乳剤、水和剤、水溶剤、液剤、粒剤、粉剤、マイクロカプセル、燻蒸剤、燻煙剤、エアゾール、フロアブル剤、ペースト剤、錠剤、塗布剤、微量散布用剤、油剤、複合肥料とすることができ、対象となる植物、その器官及び目的等に応じて、使用者が適宜選択することができる。このような剤型の植物生長調節剤は、公知の方法により製造することができる。
【0039】
本発明の植物生長調節剤によれば、種々の植物の生長を強力に調節することが可能となる。本発明における植物の生長には、植物細胞の通常の分化又は増殖を伴う現象であれば特に限定されず、植物体を構成する器官の伸張又は拡大のみならず、発芽、花芽形成、開花、結実なども含まれる。植物生長調節剤は、対象となる植物の種類、植物に施用する植物生長調節剤中の化合物(1)〜(4)の濃度及び量、植物生長調節剤を施用した植物部位によって、植物の生長を促進又は抑制することができる。したがって、植物生長調節剤を、対象植物と目的に応じて、植物の種々の器官の生長促進剤として又は生長抑制剤として用いることが可能である。
【0040】
対象となる植物としては、特に限定されず、種子植物、シダ植物、又はコケ植物でもよく、種子植物としては裸子植物又は被子植物でもよく、被子植物としては単子葉植物でも双子葉植物でもよい。
【0041】
このような植物として、例えば、アブラナ科、アカザ科、マメ科、イネ科、ナス科、セリ科、キク科、ユリ科、ウリ科、バラ科等、あらゆる植物を挙げることができる。これらの中でも、化合物(1)〜(4)の化合物による生長調節作用を受けやすい点から、アブラナ科、アカザ科、マメ科、ナス科、イネ科の植物が特に好ましい。
前記アブラナ科の植物としては、例えば、アブラナ属、シロイヌナズナ属、ワサビ属、セイヨウワサビ属、ナズナ属、キバナスズシロ属、ダイコン属、グンバイナズナ属等を挙げることができ、この中でもアブラナ属、ダイコン属が好ましい。
前記アカザ科の植物としては、例えば、ホウレンソウ属、フダンソウ属等を挙げることができる。
前記マメ科の植物としては、例えば、インゲン属、エンドウ属、ソラマメ属、ナタマメ属、ダイズ属、クズ属、ササゲ属、デイゴ属、フジマメ属、キマメ属、ラッカセイ属、ヒヨコマメ属、シタン属、ハギ属、ゲンゲ属、カンゾウ属、エニシダ属、クアスタマメ属、ミヤコグサ属、ルピナス属、フジ属等を挙げることができ、この中でもインゲン属、エンドウ属、ダイズ属が好ましい。
前記ナス科植物としては、ナス属、トウガラシ属、タバコ属、チョウセンアサガオ属、ホオズキ属、ペチュニア属等を挙げることができ、この中でもナス属、トウガラシ属が好ましい。
前記イネ科植物としては、例えば、マダケ属、オオムギ属、コムギ属、イネ属、コヌカグサ属、シバ属、サトウキビ属、トウモロコシ属等を挙げることができ、この中でもイネ属が好ましい。
【0042】
植物生長調節剤により生長を調節する植物器官としては、特に限定されず、根、茎、葉、花芽、生殖器官、果実、種子のいずれでもよい。
【0043】
植物生長調節剤の植物への施用方法としては、対象とする植物の種類、その器官及び目的等に応じて選択することができる。例えば、植物生長調節剤を潅水により植物体に与えたり、根、茎、葉、花芽、生殖器官、果実、種子等の植物器官に直接塗布したりすることができる。また、植物生長調節剤を溶解させた培養液で水耕栽培することもできる。施用時期も、対象とする植物の種類、その器官及び目的等に応じて適宜選択することができる。
【0044】
植物生長調節剤における化合物(1)〜(4)の濃度や植物に施用される化合物(1)〜(4)の量は、対象とする植物の種類、その器官、目的とする生長調節作用、植物への施用方法、施用時期等に応じて適宜設定することができる。
【0045】
例えば、植物生長調節剤に含まれる化合物が化合物(1)であり、対象植物をコマツナとし、対象器官を葉とし、葉の大きさを肥大成長させることを目的とし、植物生長調節剤を潅水することにより施用する場合、植物生長調節剤における化合物(1)の濃度は、1〜10000ppmであることが好ましく、10〜5000ppmであることがより好ましく、100〜1000ppmであることがさらに好ましい。また、植物体あたりに施用される化合物(1)の総量が0.05〜500mgであることが好ましく、0.5〜250mgであることがより好ましく、5〜50mgであることがさらに好ましい。
【0046】
また、例えば、植物生長調節剤に含まれる化合物が化合物(1)であり、対象植物をホウレンソウとし、対象器官を葉とし、葉の大きさを肥大成長させることを目的とし、植物生長調節剤を潅水することにより施用する場合、植物生長調節剤における化合物(1)の濃度は、0.1〜10000ppmであることが好ましく、1〜5000ppmであることがより好ましく、10〜100ppmであることがさらに好ましい。また、植物体あたりに施用される化合物(1)の総量が0.005〜500mgであることが好ましく、0.05〜250mgであることがより好ましく、0.5〜5mgであることがさらに好ましい。
【0047】
また、例えば、植物生長調節剤に含まれる化合物が化合物(1)であり、対象植物をインゲンとし、対象器官を種子とし、種子の量を増加させることを目的とし、植物生長調節剤を潅水することにより施用する場合、植物生長調節剤における化合物(1)の濃度は、0.1〜10000ppmであることが好ましく、1〜5000ppmであることがより好ましく、10〜100ppmであることがさらに好ましい。また、植物体あたりに施用される化合物(1)の総量が0.02〜2000mgであることが好ましく、0.2〜1000mgであることがより好ましく、2〜20mgであることがさらに好ましい。
【0048】
また、植物生長調節剤における化合物(2)の濃度は、0.1〜10000ppmであることが好ましく、1〜5000ppmであることがより好ましく、10〜100ppmであることがさらに好ましい。また、植物体あたりに施用される化合物(2)の総量が0.005〜500mgであることが好ましく、0.05〜250mgであることがより好ましく、0.5〜5mgであることがさらに好ましい。
【0049】
また、植物生長調節剤における化合物(3)の濃度は、0.1〜10000ppmであることが好ましく、1〜5000ppmであることがより好ましく、10〜100ppmであることがさらに好ましい。また、植物体あたりに施用される化合物(3)の総量が0.005〜500mgであることが好ましく、0.05〜250mgであることがより好ましく、0.5〜5mgであることがさらに好ましい。
【0050】
また、植物生長調節剤における化合物(4)の濃度は、0.1〜10000ppmであることが好ましく、1〜5000ppmであることがより好ましく、10〜100ppmであることがさらに好ましい。また、植物体あたりに施用される化合物(4)の総量が0.005〜500mgであることが好ましく、0.05〜250mgであることがより好ましく、0.5〜5mgであることがさらに好ましい。
【0051】
なお、植物生長調節剤は、植物に施用するに際して、適宜濃縮又は希釈等することができる。さらに施用回数を調整する等して、1回あたりの施用量を調整することができる。
【実施例】
【0052】
<実施例1.ジフラノース誘導体のコマツナへの施用>
プラスチックポットに、培養土を入れ、コマツナを播種し、適宜潅水して、温室内で23日間栽培した。この播種後23日目の植物をAGNAc施用区、AMNAc施用区、水施用区の3つに分けた。AGNAc施用区とAMNAc施用区には、それぞれ1000ppmのAGNAcとAMNAcを、それぞれ25mlずつ潅水した。水施用区には同量の水を潅水した。潅水方法は、じょうろにて、植物体の地上部や根元にかかるように与えた。さらに、播種後32日目に、再度、それぞれ前回と同量同濃度のAGNAc、AMNAc、水を、前回と同じ方法で潅水した。播種後41日目に栽培を完了し、植物体を収穫して、植物体全体、地上部、地下部の新鮮重量を測定した。
図1に植物個体あたりの新鮮重量を示す。
その結果、AGNAc施用区、AMNAc施用区共に、植物体の全体、地上部、地下部すべてにおいて、水施用区に対して新鮮重量が高かった。AMNAcの方がAGNAcよりも増加効果が高かった。
【0053】
<実施例2.AMNAcのホウレンソウへの施用>
3個のプラスチックポットに培養土を入れ、ホウレンソウを播種し、適宜潅水して、温室内で14日間栽培した。この播種後14日目の植物を、0ppm区、10ppm区、100ppm区の3つのポットに分け、ポットあたり3個体の植物となるようにし、0ppm、10ppm、100ppmのAMNAcを、それぞれ、植物1個体あたり5mlとなるように潅水した。潅水方法は、じょうろにて、植物体の地上部や根元にかかるように与えた。さらに、播種後28日目に、再度、それぞれ前回と同濃度のAMNAcを、同じ方法で潅水した。ただし、潅水量は25mlとした。播種後35日目に栽培を完了し、植物体を収穫して、地上部、地下部、植物体全体の新鮮重量を測定した。
その結果、10ppm区で、地上部の新鮮重量が、0ppm区の2.2倍に増加した(
図2)。100ppm区でも10ppm区と同等の顕著な効果が見られた(
図2)。地下部の新鮮重量も、0ppm区と比較して、10ppm区及び100ppm区は高く、100ppm区では0ppm区の4.5倍に増加した(
図3)。
【0054】
<実施例3.AMNAcのインゲンへの施用>
プラスチックポットを9個用意し、それぞれに土を入れて、インゲン(ツルなし品種)を播種した。芽生え後、ポットあたり1個体の植物となるようにし、適宜潅水及び施肥して、温室内で播種後16日間栽培した。播種後16日目に、9個のプラスチックポットを3個ずつ3つの区に分け、それぞれ0ppm区、10ppm区、100ppm区とし、それぞれ0ppm、10ppm、100ppmのAMNAcを、ポットあたり5mlとなるように植物に潅水した。潅水方法は、スポイトにて、植物体の地上部や根元にかかるように滴下した。栽培を継続し、播種後29日目に、0ppm、10ppm、100ppmのAMNAcを、それぞれポットあたり50mlとなるように潅水した。潅水方法は、じょうろにて、植物体の地上部や根元にかかるように潅水した。栽培を継続し、播種後43日目に、0ppm、10ppm、100ppmのAMNAcを、それぞれ、ポットあたり50mlとなるように潅水した。潅水方法は、じょうろにて、植物体の地上部や根元にかかるように与えた。播種後49日目に栽培を完了し、植物体を収穫して、地上部の新鮮重量、地下部の新鮮重量、サヤの数、サヤの新鮮重量を測定した。
その結果、地上部の新鮮重量は、10ppm区、100ppm区ともに、0ppm区と比較して高く、100ppm区では0ppm区に対して新鮮重量が1.8倍に増加した(
図4)。地下部の新鮮重量については、10ppm区で、0ppm区に対して新鮮重量が増加した(
図5)。サヤの収穫量もまた顕著に増加し、10ppm区及び100ppm区では、0ppm区と比較して、収穫された個体あたりのサヤの数は1.6倍となった(
図6)。
図7には、それぞれの区で最も収穫量の多かった植物体について、収穫された各サヤの新鮮重量を示す。0ppm区のサヤは、最も多く収穫できた植物体でも14個しかなかったのに対し、10ppm区、100ppm区ではともに23個も収穫できた。また、0ppm区のサヤの新鮮重量の最高値は約4gであったのに対し、10ppm、100ppm区のサヤの新鮮重量の最高値は、約8.5gであった(
図7)。