【実施例1】
【0010】
[折畳式コンテナ]
本実施例の折畳式コンテナ1は、
図1から
図4、および
図8に示すように、方形状の底板2と、該底板2と略同じ大きさに形成された方形枠状の上部フレーム5と、該上部フレーム5の対向する二辺を形成する揺動側上部フレーム5Aにコンテナ内方側に傾倒可能に上部が連結された一対の揺動側板3と、高さ方向の中途位置でコンテナ内方側に屈曲可能であって前記揺動側上部フレーム5Aと隣接して対向する二辺を形成する屈曲側上部フレーム5Bと底板2とに上下両端を連結した一対の屈曲側板4とからなる上面が開口した箱型に形成されている。
【0011】
[底板]
前記底板2は、図示例の場合、長方形からなっており、前記揺動側板3の起立時に揺動側板3のコンテナ内方側の揺動を規制するストッパが設けられている。
該ストッパは、図示例の場合、底板側掛止部10と揺動側掛止部20との一対構造からなっている。
【0012】
[底板側掛止部と揺動側掛止部]
前記底板2には、揺動側板3が配置される外端側に、揺動側板3の下端を拘束して起立姿勢を維持する鉤状の底板側掛止部10が形成されている。
一方、揺動側板3の下端には、揺動側板3が底面2上に起立した際に、前記底板側掛止部10に着脱可能に係合する鉤状の揺動側掛止部20が形成されている(
図3参照)。
底板側掛止部10と揺動側掛止部20とは、上記実施例に限定されず、一対になって係脱する公知の掛止ないし係止構造を用いることができる。
【0013】
前記底板2,揺動側板3,屈曲側板4を構成する素材は、ポリプロピレン製のプラスチック製中空体シートからなっている。
このプラスチック製中空体シートは、一回の押し出しで一体として吐出・成型されたもの、又は2枚の段ボールライナーの間に中芯を有するものなど、公知のプラスチック製中空体シートを用いることができる。また、ポリプロピレン以外の素材からなる中空体シートや発泡シートでもよい。
【0014】
[上部フレーム]
上部フレーム5は、底板2と略同じ大きさの長方形状の合成樹脂製の枠体からなっており、断面チャンネル状に形成されており、各側板の上部が嵌合して固定されている。
本実施例で上部フレーム5は、下面が開口する断面チャンネル状の合成樹脂板からなっており、対向する一対の揺動側上部フレーム5Aと、これと隣接し直交する一対の屈曲側上部フレーム5Bと、コンテナのコーナー部を覆うコーナー補強具7とからなっている。
【0015】
図示例の場合、隣接する揺動側板3と屈曲側板4との角部上部を覆って固定される平面視L字のコーナー補強具7の間に、揺動側板3の上端に固定される揺動側上部フレーム5A(5A’)と、屈曲側板4の上端に固定される屈曲側上部フレーム5Bとが配置されて枠形状となっている。
なお、本実施例では、揺動側上部フレーム5Aは、
図8に示すように、揺動側板3の上端全長に亘って嵌合するチャンネル状のフレームからなっている。
また揺動側板3の両端に外嵌・固定される一対の補強具7間には、前記揺動側上部フレーム5Aに外嵌するチャンネル状からなって、前記補強具7の段部となる水平面と同一面上になるように上端面を設定し、下端に内向き爪部を設けて前記揺動側上部フレーム5Aに外嵌し係止されるカバーフレーム5A’が設けられて二重構造となっているが、この発明では上記構造に特に限定しなくてもよい。
また、この発明では、コーナー補強具を設けずに、揺動側上部フレーム5Aと屈曲側上部フレーム5Bだけで枠体を構成してもよいし、その枠体の角部にコーナー補強具7を外嵌する構成でもよい。
【0016】
[揺動側板]
該上部フレーム5の、図示例では短手方向の一対の辺となる揺動側上部フレーム5Aと、短手方向の辺の両隅に固定されたコーナー補強具7とに、揺動側板3の上端がそれぞれ固定されている。
揺動側板3には、その上端から収納スペースSの深さに対応した所定長さの離間位置で、水平に揺動側板3を横断して揺動側板3をコンテナ内方側に傾動させる第1ヒンジ部H1が形成されている。
【0017】
[揺動側規制片部]
前記揺動側板3の左右の縁部には、上端がコーナー補強具7に固定されて、後述の第1ヒンジ部H1を超えて下方に延びる左右一対の揺動側規制片部8が形成されており、第1ヒンジ部H1の外折れを規制している。
揺動側規制片部8は、合成樹脂板からなっており、揺動側板3の横幅に沿って一連に形成されず、左右両側で部分的に第1ヒンジ部H1を覆うので、材料が少なく、軽量且つ廉価に制作することができる。
前記揺動側規制片部8は、コーナー補強具7の下端、または揺動側上部フレーム5Aの下部を延出して形成してもよい。
【0018】
揺動側規制片部8は、図示例の場合、
前記揺動側板3の左右の縁部の外側を覆う表面側の片と、内側を覆う内面側の片を有する断面コ字状のチャンネル形状からなっており、第1ヒンジ部H1の外側を覆う表面側の
片の横幅を広くして外折れを広範囲で防止し、内側を覆う内面側の
片の横幅を狭く設定して、後述の切欠部15の横幅を狭くして揺動側板3の強度が弱くならないようにしている(
図6、
図7参
【0019】
[揺動側支持片部]
前記第1ヒンジ部H1を超えた位置で、揺動側板3の左右の縁部には、それぞれ揺動側板3の下方まで延びる揺動側支持片部9が固着されている。
該揺動側支持片部9は、前記揺動側規制片部8と同じ幅の溝を有し同じ肉厚に設定され
て、前記揺動側板3の左右の縁部の外側を覆う表面側の片と、内側を覆う内面側の片を有するチャンネル形状の合成樹脂板からなっており、前記溝に揺動側板3の左右の縁部が嵌合して固定されている。
【0020】
揺動側規制片部8は、コンテナ組立時に、揺動側板3が展開し底板2上に起立すると、揺動側規制片部8の下端面と揺動側支持片部9の上端面とが略隙間無く面接触するように長さが設定されている。
図示例では、揺動側支持片部9は表面側と内面側の横幅は同じに設定されており、揺動側規制片部8の表面側の横幅より狭く、内面側の横幅より僅かに長く形成されているが、揺動側規制片部8の下端面と揺動側支持片部9の上端面とが所定以上の衝合面積となれば、横幅の長さは特に限定されるものではない。
このように組み立てられたコンテナは、それぞれ揺動側板3の左右の縁部に沿った4個所で、揺動側規制片部8と揺動側支持片部9とが上下に一連に重なり合うので、これらをコンテナの支柱構造として機能させることができ、耐圧強度の増加を図ることができる。
【0021】
[第1ヒンジ部]
前記第1ヒンジ部H1は、熱罫線により形成された断面V字又はU字状の溝が揺動側板3のコンテナ内方で開口し、揺動側板3のコンテナ外方寄りに薄肉部11が形成されている。
従って、第1ヒンジ部H1の薄肉部11を屈曲点として揺動側板3はコンテナ内方に枢動させ、垂直姿勢からほぼ水平姿勢に折り曲げることができる。
上記第1ヒンジ部H1は、プラスチック製中空体シートの目(中芯の延出方向)に対して直交する方向に形成することが強度上好ましい。
【0022】
上記構成は、第1ヒンジ部H1に限らず、後述の第2ヒンジ部H2から第4ヒンジ部H4の全部又は一部に適用することができる。
熱罫線によりヒンジ部を形成することで、ヒンジ部の破損(裂け、割れ等)を低減でき、ヒンジ部の折曲げ又は展開時の反発を低減でき、ケースに対する変形(膨らみ、開き等)が少なくなり、更に、屈曲側板に対するヒンジ部の加工が同一方向から行える。また、総加工の工数が削減できる。
【0023】
前記屈曲側板4は、その上端が屈曲側上部フレーム5Bの溝内に嵌合して固定されており、該屈曲側板4の下部は底板2に連設されている。
本実施例では、長尺のプラスチック製中空体シートを、中央の2個所で折り曲げて横倒コ字状とし、中央を底板2とし、その両側に延びる一対の片を屈曲側板4としており、屈曲側板4の折畳乃至展開を一体に連動して行えるようにしている。
【0024】
[屈曲側板]
該屈曲側板4は、揺動側板3と同じ素材からなっており、その上部が左右のコーナー補強具7と屈曲側上部フレーム5Bによって固定されており、前記揺動側板3の第1ヒンジ部H1より少なくとも前記揺動側板3の厚み分より下方位置に第2ヒンジ部H2が形成されている。
該第2ヒンジ部H2は、第1ヒンジ部H2と同様に熱罫線による断面V字又はU字状の溝がコンテナ外方側で開口し、屈曲側板4のコンテナ外方側に薄肉部12が形成されている。
【0025】
[第2ヒンジ部〜第4ヒンジ部]
また、屈曲側板4の中途位置には、前記第2ヒンジ部H2と平行に第3ヒンジ部H3が形成されている。
更に、屈曲側板4の下部には、前記第2ヒンジ部H2、第3ヒンジ部H3と平行に第4ヒンジ部H4が形成されている。
これら第3ヒンジ部H3及び第4ヒンジ部H4は、第2ヒンジ部H2と同様に、熱罫線による断面V字又はU字状の溝が屈曲側板4のコンテナ内方側で開口し、屈曲側板4のコンテナ外方側に薄肉部13、14が形成されている。
【0026】
従って、屈曲側板4は、第2ヒンジ部H2〜第4ヒンジ部H4によってコンテナ内方へ向かって横倒V字状に折れ曲がり、第2ヒンジ部H2から第3ヒンジ部H3までの上半部分4Aと、第3ヒンジ部H3から第4ヒンジ部H4までの下半部分4Bとが上下に水平に重なる折畳姿勢に傾動させることができる。
【0027】
[屈曲側規制片部]
前記屈曲側板4の外側には、その外側に屈曲側板4と略同じ横幅に設定された屈曲側規制片部6が重ねて配置されており、前記屈曲側板4と共に前記一対のコーナー補強具7と屈曲側上部フレーム5Bによって固定されている。
この屈曲側規制片部6は、本実施例では屈曲側板4と同じくポリプロピレン製のプラスチック製中空体シートからなっており、屈曲側板4の第2ヒンジ部H2を超えて下方に延びている。また、中空体シートはポリプロピレン以外の素材からなる中空体シート、もしくは発泡シートであっても良い。
【0028】
この屈曲側規制片部6の長さは、第2ヒンジ部H2を覆って屈曲側規制片部6が外折れしない長さであって、折畳時のコンテナの全高よりも短く設定されていればよい。
また、前記揺動側規制片部8と同様に硬質の合成樹脂板で屈曲側板4の左右両側だけを覆う一対の構造であってもよい。
本実施例では、中央に設けた底板2の両側に直角に折り曲げて固定する熱溶着の部分が形成され、その外側には、同じ向きにV又はU字状の溝からなる第2ヒンジ部H2から第4ヒンジ部H4が形成されるので、上記ヒンジ部の加工をすべて同一面側で行うことができる。
【0029】
[側板掛止具]
組み立てられたコンテナで起立した揺動側板3と屈曲側板4とを掛止めるために、屈曲側板4にはヒンジ部の近傍に側板掛止具17が固定されている。
側板掛止具17は、屈曲側板4の左右の端部側に差し込まれて固定されるチャンネル状の基部17aと、該基部17aから外方へ延びて直角に折れ曲がり屈曲側板4の側方端面を横切って内向きに折り返される鉤部17bとからなっている
図8、
図11参照)。
【0030】
一方、揺動側支持片部9の表面側には、外端寄りで、上下に延びる掛止溝16が形成されている。
そして、屈曲側板4の起立時に、折畳姿勢から起立する揺動側板3の前記掛止溝16に側板掛止具17の鉤部17bの先端が係脱可能に掛止められる。
これにより、起立した屈曲側板4と揺動側板3とは、側板掛止具17を介して起立姿勢を保持することができる。
【0031】
前記側板掛止具17をヒンジ部H2〜H4のいずれかの近傍に配置することでヒンジ部が不意に屈曲することもない。
掛止溝16を上下に長く延ばすことで、側板掛止具17を任意の位置に取り付けることができる。
あるいは、掛止溝16は、側板掛止具17の鉤部17bの先端が嵌合する範囲に対応した長さであってもよい。
【0032】
本実施例では、底板2を屈曲側板3と一連に形成した場合を例示したが、底板2の代わりに同じ形状の連結補助板とし、該連結補助板を別体の底板2の上に一体に固着する構造としてもよい(図示せず)。
【0033】
[使用方法]
図1のように展開されて箱型に組立られたコンテナ1を折畳む場合は、揺動側板3をコンテナ内方に枢動させる。
その際に、起立した揺動側板3は第1ヒンジ部H1が揺動側規制片部8によりコンテナ外側への動きが規制されており、更に下端が底板側掛止部10と揺動側掛止部20によって直立姿勢で掛け止められ、揺動側板3と屈曲側板4とは側板掛止具17で掛け止められている。
そこで、揺動側板3の下側にコンテナ内方へ向かって一定以上の力を加えると、揺動側板3が第1ヒンジ部H1を支点にしてコンテナ内方へ向かって上向きに枢動する。
【0034】
そして、揺動側板3は水平姿勢まで折畳むことができる。
図示例では一対の揺動側板3は同一面上に揃って折り畳まれている場合を例示したが、上下に平行に重なるようにコンテナの長さを設定してもよい。
一方、屈曲側板4は揺動側板3の傾倒で支えを失なうため、上部フレーム5の重さにより横倒V字状に折れ曲がり、屈曲側板4の上半部分4Aと下半部分4Bとが上下に揃って水平に重なり合う位置まで枢動する。
【0035】
この際、第2ヒンジ部H2は屈曲側規制片部6によりコンテナ外方への動きが規制されているので屈曲側板4をコンテナ内方へ押し込むことで容易に横倒V字状に折れ曲がり、第3ヒンジ部H3を介して上半部分4Aと下半部分4Bとが水平姿勢で上下に重なって折畳まれる。
これにより、揺動側板3と二つ折りされた屈曲側板4はいずれも水平姿勢にコンパクトに折畳むことができ、上部フレーム5から第1ヒンジ部H1までの上部の空間が内装品等の収納スペースSとなる。
【0036】
前記コンテナには、把持用の把手部19を設けることが好ましい。
把手部19は、揺動側板3の第1ヒンジ部H1の上方で揺動側上部フレーム5A(5A’)との間に配置すれば、コンテナを搬送する際に便利である(
図9参照)。
揺動側板3の第1ヒンジ部H1に近接した下方に把手部19を設ければ、折畳時には把手部19は内側に隠れるが、該把手部19を持って外向きに広げることで、一気に折畳まれたコンテナを箱状に展開することができる(
図8、
図10参照)。
【0037】
また、図示例では、全部のヒンジ部の溝の開口がコンテナ内方を向くように形成したが、一部又は全部の開口がコンテナ外側を向くように形成してもよい。
またコンテナは、上面を開口した箱型としたが、図示しない公知の蓋を用いて上面を塞ぐようにしてもよい。
この発明は上記実施例に限定されるものではなく、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。