特許第5943482号(P5943482)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5943482ナビゲーション装置およびナビゲーション方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943482
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置およびナビゲーション方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20160621BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20160621BHJP
【FI】
   G01C21/34
   G07B15/00 510
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-25115(P2013-25115)
(22)【出願日】2013年2月13日
(65)【公開番号】特開2014-153289(P2014-153289A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平野 信之
【審査官】 白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−2950(JP,A)
【文献】 特開2006−39928(JP,A)
【文献】 特開2009−149194(JP,A)
【文献】 特開2009−121876(JP,A)
【文献】 特開2006−178570(JP,A)
【文献】 特開2008−117143(JP,A)
【文献】 特開2008−70204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置周辺の地図画像を表示するナビゲーション装置であって、
ETC専用のインターチェンジであるスマートインターチェンジの位置と、少なくとも有料道路または一般道路から前記スマートインターチェンジに進入するための専用道路及び前記専用道路から分岐され、前記スマートインターチェンジのETCゲートへの進入を回避する回避道路を含む道路ネットワークとを含む地図データを記憶する地図データ記憶部と、
前記車両が前記専用道路に進入したか否かを判定する進入判定部と、
前記ETCゲートを通行不可能な状態であるか否かを判定するETC判定部と、
前記進入判定部により前記専用道路に進入したと判定され、かつ、前記ETC判定部によりETCゲートを通行不可能な状態であると判定されると、前記地図データに基づいて、前記回避道路を通過する回避経路を探索する経路探索部と、
前記経路探索部により探索された回避経路を前記地図画像に重畳表示する表示部と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経路探索部により前記回避経路が探索されたとき、前記回避道路を通過することをユーザに案内通知する通知部を更に備える、
ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記経路探索部は、前記進入判定部が前記有料道路から前記専用道路に進入したと判定した場合、前記有料道路に復帰する前記回避道路を通過する経路を探索する、
ことを特徴とする請求項1または2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記経路探索部は、前記進入判定部が前記一般道路から前記専用道路に進入したと判定した場合、前記一般道路に復帰する前記回避道路を通過する経路を探索する、
ことを特徴とする請求項1または2記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記ETC判定部は、前記車両が有料道路の入口にて前記ETCゲートを通過せず、前記有料道路に進入した場合に、有料道路出口のETCゲートを通行不可能な状態であると判定する、
ことを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記ETC判定部は、ETC車載機と通信エラーが発生した場合、もしくは、ETCカードが前記ETC車載機に挿入されていない場合、ETCカードの有効期限がきれている場合のいずれかにおいて、前記ETCゲートを通行不可能な状態であると判定する、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
車両の現在位置周辺の地図画像を表示するナビゲーション方法であって、
ETC専用のインターチェンジであるスマートインターチェンジの位置と、少なくとも有料道路または一般道路から前記スマートインターチェンジに進入するための専用道路及び前記専用道路から分岐され、前記スマートインターチェンジのETCゲートへの進入を回避する回避道路を含む道路ネットワークとで構成される地図データを予め記憶しておき、
前記車両が前記専用道路に進入したか否かを判定するステップと、
前記ETCゲートを通行不可能な状態であるか否かを判定するステップと、
前記進入判定部により前記専用道路に進入したと判定され、かつ、前記ETC判定部によりETCゲートを通行不可能な状態であると判定されると、前記地図データに基づいて、前記回避道路を通過する経路を探索するステップと、
前記経路探索部により探索された経路を前記地図画像に重畳表示するステップと、
を備えることを特徴とするナビゲーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の現在位置を特定し、特定した現在位置周辺の地図画像を表示するナビゲーション装置およびナビゲーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートインターチェンジ(以下、スマートIC)と呼ばれるETC(登録商標)(Electronic Toll Collection)専用のインターチェンジが普及してきている。このスマートICは、有料道路本線やサービスエリア、パーキングエリアなどから乗り降りすることができるインターチェンジであり、係員のいる料金所ゲートがなくETCゲートのみが設置されているため、ETCを利用可能な車両のみが利用できる。
そのスマートICに、ETC車載機を搭載していない車両や、ETC車載機を搭載していても、ETCカードの未挿入である車両や挿入しているETCカードの有効期限が切れている車両等、ETCを利用できない車両が誤って進入してしまう場合がある。
そこで、上記のようなETCを利用できない車両が、スマートICのETCゲートに誤って進入をしないように防止する技術が開示されている。(特許文献1、2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−079580号 公報
【特許文献2】特開2008−102878号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ETCゲート前に設置されたアンテナとETC車載機と通信を行い、ETCによる料金徴収が可能か否かを判定し、ETCによる料金徴収が不可能な車両を、路側機により再度有料道路出入口手前へ戻るルート又は一般車用出入口へ誘導することで、ETCレーンへの誤進入を防止している。
また、特許文献2では、ETC専用レーンに進入する進入レーンの所定位置に設置したアンテナ装置により非ETC車両または異常ETC車両であることを事前に検知し、当該車両に対しETC専用レーン進入前に路肩に設置された案内表示装置で回避出口通路への進行を誘導する案内情報を表示することで、非ETC車両および異常ETC車両のETC専用レーンへの誤進入を防止している。
【0005】
特許文献1、2は、ETCゲート付近に設置されている表示装置によりETC専用レーンへの進入を回避するように誘導を行うものであり、ETCを利用できない車両が誤って、ETCゲート付近まで進入していった場合に、大変有効である。
しかし、運転手の中には、スマートICを利用するための専用道路(以下、スマートIC専用道路)に誤って進入した際、すぐに、誤進入しまったことに気付く人もおり、その場合、本線に戻ろうと急な車線変更や後進等危険な運転を行ってしまい、事故を起こす可能性がある。
【0006】
以上のことから、本発明の目的は、スマートIC専用道路に誤進入した車両に対し、スマートIC専用道路に進入した時点で、ETCゲートを通過せず、安全に本線に戻ることが可能であることを案内するナビゲーション装置およびナビゲーション方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るナビゲーション装置は、車両の現在位置周辺の地図画像を表示するナビゲーション装置であって、ETC専用のインターチェンジであるスマートインターチェンジの位置と、少なくとも有料道路または一般道路から前記スマートインターチェンジに進入するための専用道路及び前記専用道路から分岐され、前記スマートインターチェンジのETCゲートへの進入を回避する回避道路を含む道路ネットワークとを含む地図データを記憶する地図データ記憶部と、前記車両が前記専用道路に進入したか否かを判定する進入判定部と、前記ETCゲートを通行不可能な状態であるか否かを判定するETC判定部と、前記進入判定部により前記専用道路に進入したと判定され、かつ、前記ETC判定部によりETCゲートを通行不可能な状態であると判定されると、前記地図データに基づいて、前記回避道路を通過する回避経路を探索する経路探索部と、前記経路探索部により探索された回避経路を前記地図画像に重畳表示する表示部と、を備える。
【0008】
好ましくは、前記経路探索部により前記回避経路が探索されたとき、前記回避道路を通過することをユーザに案内通知する通知部をさらに備えている。
【0009】
なお、前記経路探索部は、前記進入判定部が前記有料道路から前記専用道路に進入したと判定した場合、前記有料道路に復帰する前記回避道路を通過する経路を探索し、前記進入判定部が、前記一般道路から前記専用道路に進入したと判定した場合、前記一般道路に復帰する前記回避経路を通過する経路探索する。
【0010】
ここで、前記ETC判定部は、前記車両が有料道路の入口にて前記ETCゲートを通過せず、前記有料道路に進入した場合に、有料道路出口のETCゲートを通行不可能な状態であると判定し、また、前記ETC判定部は、ETC車載機と通信エラーが発生した場合、もしくは、ETCカードが前記ETC車載機に挿入されていない場合、ETCカードの有効期限が切れている場合のいずれかにおいて、前記ETCゲートを通行不可能な状態であると判定する。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明のナビゲーション装置のナビゲーション方法は、ETC専用のインターチェンジであるスマートインターチェンジの位置と、少なくとも有料道路または一般道路から前記スマートインターチェンジに進入するための専用道路及び前記専用道路から分岐され、前記スマートインターチェンジのETCゲートへの進入を回避する回避道路を含む道路ネットワークとで構成される地図データを予め記憶しておき、前記車両が前記専用道路に進入したか否かを判定するステップと、前記ETCゲートを通行不可能な状態であるか否かを判定するステップと、前記進入判定部により前記専用道路に進入したと判定され、かつ、前記ETC判定部によりETCゲートを通行不可能な状態であると判定されると、前記地図データに基づいて、前記回避道路を通過する経路を探索するステップと、前記経路探索部により探索された経路を前記地図画像に重畳表示するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ETCを利用できない車両が、スマートIC専用道路に進入したことを検出した時点で、当該スマートICのETCゲートを利用しないで、有料道路本線や一般道路に復帰する回避経路を表示するようにしたため、誤進入してしまった車両が行う可能性の高い急な車線変更や後進などの危険な運転を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る車載ナビゲーション装置の構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態の地図データ記憶部に記憶される地図データの構造を示す図である。
図3】ETCを利用できない場合の例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るスマートICのノードとリンクの関係を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る車載ナビゲーション装置の回避経路探索処理のフローチャートである。
図6】有料道路からスマートICへ進入した時の画面表示例を示す図である。
図7】一般道路からスマートICへ進入した時の画面表示例を示す図である。
図8】警告メッセージの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した一実施形態に係るナビゲーション装置およびナビゲーション方法について図面を参照しながら説明する。好ましい実施形態として、車両に搭載される車載ナビゲーション装置を例に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る車載ナビゲーション装置1の構成を示す図である。
操作部11は、車載ナビゲーション装置1における各種指示操作を受け付けるためのものであり、各種ボタンや表示部42に取り付けられたタッチパネル等により構成され、入力された指示操作をナビ制御部20に出力する。
【0016】
GPS受信機12は、GPS衛星から配信されるGPS情報(時刻や軌道に関する情報)を受信し、受信したGPS情報を、ナビ制御部20に出力する。
自律航法センサ13は、回転角度を検出するジャイロなどの角度センサや、一定走行距離毎にパルスを発生する距離センサ等からなり、車両の車速、加速度(角速度)および自車方位等の情報を検出し、検出結果を、ナビ制御部20に出力する。
【0017】
VICS(登録商標)受信機14は、交通情報の送信元(提供者)から送信された交通情報を受信し、ナビ制御部20に出力する。この交通情報は、現在の混雑具合(渋滞具合)や、工事による通行禁止情報、交通事故情報などの情報であり、渋滞情報の表示や、経路探索時に利用される。
外部インターフェース(外部IF)15は、外部装置と有線または近距離無線による相互通信を行い、例えば、ETC車載機を接続することで、後述するナビ制御部20とデータ通信を行う。
【0018】
地図データ記憶部16は、ハードディスクやフラッシュメモリ等により構成され、地図データが記憶されている。地図データは、図2(a)に示すように、道路ネットワーク情報である道路データ、地図を描画するための背景データ、経路探索を行うための経路計算コスト情報からなる経路計算データ、POI(Point Of Interest)の情報である施設データにより構成されている。
【0019】
上記道路データは、交差点等の道路の連結点を表すノードと、ノード間を連結するリンクの集合として道路ネットワークを定義しており、ノート毎に設けられたノードデータを含むノートテーブルと、リンク毎に設けられたリンクデータを含むリンクテーブルとにより構成されている。また、各ノードデータには、対応するノードの識別子であるノードIDと、対応するノードの各種属性を表すノード属性と、対応するノード位置を表すノード座標と、対応するノードに接続するリンクを示す接続リンク情報と、が少なくとも格納されている。また、各リンクデータには、対応するリンクの識別子であるリンクID、対応するリンクの各種属性を表すリンク属性、対応するリンクの属する路線を表す所属路線情報、対応するリンクの視点となるノードのノード番号を表す始点ノードと、対応するリンクの終点となるノードのノード番号を表す終点ノードとが少なくとも格納されている。また、リンク属性には、対応するリンクの種別情報が格納されており、このリンクの種別としては、有料道路を構成するリンクである有料道路リンク、一般道路を構成するリンクである一般道路リンク、スマートICを構成するリンクであるスマートIC専用道路リンク、専用道路から分岐されスマートICのETCゲートへの進入を回避するリンクである回避道路リンクがある(図2(b))。
【0020】
また、上記施設データは、POI毎に設けられたPOIデータを含むPOIテーブルにより構成されている。POIデータには、対応するPOIの識別子であるPOI IDと、対応するPOI位置を表すPOI座標と、対応するPOIのジャンル等を表すPOI属性と、対応するPOIの名称を表すPOI名称と、が格納されている(図2(c))。例えば、スマートICのETCゲートは、この施設データのPOIデータの一つとして記憶されている。
【0021】
これら地図データは、所定の地理的区域毎に図葉と呼ばれる矩形単位で管理されており、各図葉は地図の詳細度に応じた複数のレベル、例えば、最も詳細な地図を示す最下位レベル(レベル0)から最も簡易な地図を示す最上位レベル(例えば、レベル2)に亘る複数のレベルごとに階層化された状態で管理されている。
【0022】
ナビ制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を用いて構成され、CPUは、ROMに格納されている各種プログラムを、RAMをワークエリアとして使用して、入力される各種情報やコマンドに基づいて、車載ナビゲーション装置1の各種処理を実行する。処理としては、(1)車両の自車位置の検出やマップマッチング等の自車位置特定制御、(2)必要な地図データを読み出す読出制御、(3)スマートIC専用道路に進入したかを判定する進入判定制御、(4)ETCを利用可能か不可能か判定するETC判定制御、(5)目的地を設定する目的地設定制御、(6)経路を探索する経路探索制御、を実行する。
【0023】
自車位置特定部21は、GPS受信機12および自律航法センサ13から入力される情報を基に、自車位置(座標)を特定する。この時、必要に応じて、マップマッチング等の位置補正を行う。そして、自車位置特定部21は、特定した自車位置を、地図読出制御部22、進入判定部23、経路探索部26、経路案内部34の各部に出力する。自車位置特定部21は上記の自車位置の特定を所定時間毎や自車位置が変化する度に行う。
【0024】
地図読出制御部22は、自車位置特定部21から自車位置が入力されると、入力された自車位置周辺の地図データを地図データ記憶部16から読み出し、後述する地図描画部31に出力する。
【0025】
進入判定部23は、自車位置特定部21が特定した自車位置が、スマートIC専用道路に進入したか否かを判定する。具体的な判定方法としては、自車位置特定部21から入力される自車位置から車両が存在する道路リンクを特定し、地図データから当該リンクのリンク属性がスマートIC専用道路であるか否かを確認することで、スマートIC専用道路に進入したか否かを判定する。
【0026】
ETC判定部24は、車載ナビゲーション装置1と図示しないETC車載機との接続状態やETC車載機が正常に動作する状態であるか否かを監視することで、車両がスマートICのETCゲートを通行可能か不可能か判定する。
具体的には、ETC判定部24は、第1に車載ナビゲーション装置1とETC車載機とが外部IF15を介して接続されているか否かを判定し、接続されていると判定した場合には、続いてETC車載機にETCカードが未挿入であるか(図3(a))、挿入されているETCカードが有効期限切れであるか(図3(b))、ETC車載機との通信にエラーが発生しているか(図3(c))のいずれかの状態であるか否かを判定する。このとき、前記状態のいずれか1つでも満たす場合は、スマートICのETCゲートを通行不可能と判定し、前記状態の1つも満たさない場合は、スマートICのETCゲートを通行可能と判定する。
【0027】
一方、ETC判定部24は、車載ナビゲーション装置1とETC車載機とが外部IF15を介して、接続されていないと判定した場合には、スマートICのETCゲートを通行不可能と判定する。ただし、ETC判定部24は、自車両が有料道路からスマートIC専用道路に進入し、かつ、一般道路から有料道路へ入る際にETCを利用していた場合は、車載ナビゲーション装置1とETC車載機が接続されていないが、車両にETC車載機が搭載されていてETCを利用可能と判断できるため、スマートICのETCゲートの通行を可能と判定する。ここで、ETC判定部24は、一般道路から有料道路へ入る際に、スマートICを利用したか、もしくは、通常のインターチェンジにおいてノンストップで料金所ゲートを通過したか、を記憶しておくことで、一般道路から有料道路へ入る際にETCを利用したと判定することができる。
【0028】
目的地設定部25は、ユーザ操作に応じて、目的地選択画面を生成し、ユーザが、その目的地選択画面から目的地として設定したい施設や地点をアドレス検索や、施設名称検索、ジャンル検索、電話番号検索により検索し、所望の施設や地点を選択すると、その選択された施設または地点を目的地として設定する。そして、目的地設定部25は、設定した目的地の情報を経路探索部26に出力する。
【0029】
経路探索部26は、自車位置特定部21から入力された自車位置から目的地設定部25から入力された目的地までの経路を、ダイクストラ法等の経路探索アルゴリズムを用いて、経路探索条件(例えば、所要時間が最短となる時間優先条件)に合致した経路を探索する。この時、経路探索部26は、VICS受信機14から入力される交通情報を考慮して探索する。そして、経路探索部26は、探索した探索条件を満たす誘導経路を後述する経路記憶部32に記憶する。
【0030】
また、経路探索部26は、進入判定部23により車両がスマートIC専用道路に進入したと判定され、かつETC判定部24によりETCゲートを通行不可能な状態であると判定された場合、車両の前方に、スマートICのETCゲートへの進入を回避する回避道路リンクが存在するかを判定し、存在する場合には、スマートICのETCゲートを通行せずに、前記回避道路リンクを利用し、有料道路または一般道路に戻る回避経路を探索する。そして、経路探索部26は、探索した回避経路を後述する経路記憶部32に記憶するとともに、経路探索が正常に探索されたことを示す回避経路探索完了情報を後述する通知部35に出力する。一方、回避道路リンクがなく、回避経路が探索できなかった場合、通知部35にその回避経路探索不可情報を出力する。
【0031】
具体的に、図4に示すスマートICを構成する道路ネットワークを例に説明する。図4において、L1〜L13、L21〜L23は道路リンク、N1〜N4はノード、Pは自車位置を示すマーク、GはETCゲートを示しており、L1〜L3のリンク属性は有料道路であり、L4〜L7およびL11〜L13のリンク属性はスマートIC専用道路であり、L8〜L10のリンク属性は回避道路であり、L21〜L23のリンク属性は一般道路である。
今、ETCを利用不可能な車両がリンクL1上を走行しており、その後、分岐点(ノードN1)でスマートIC専用道路(リンクL4)方向に進入したとする。この場合、進入判定部23によりスマートIC専用道路に進入したと判定され、かつETC判定部24によりETCゲートを通行不可能な状態であると判定されるため、経路探索部26は、ETCゲートの進入を回避する回避道路(道路リンクL8〜L10)を利用して有料道路に復帰する回避経路を探索する。
【0032】
従って、図4に示す道路ネットワークで構成されるスマートICでは、経路探索部26は、リンクL4→リンクL5→リンクL6→ノードN2→リンクL8→リンクL9→リンクL10→ノードN3→リンクL11→リンクL12→リンクL13→ノードN4→リンクL3を回避経路として探索する。
そして、経路探索部26は、この回避経路を経路記憶部32に記憶する。
【0033】
地図描画部31は、自車位置特定部21から入力される自車位置と地図読出制御部22から入力される自車位置周辺の地図データから自車位置周辺の地図を描画し、地図描画データとして、表示制御部41に出力する。自車位置周辺の地図を描画する際に用いられる自車位置を示す自車位置マークや地図画面上に表示される各種情報を表すアイコン等の画像データは、地図描画部31に記憶されている。
経路記憶部32は、経路探索部26により探索、設定された誘導経路や回避経路を構成するノードおよび道路リンクの情報を出発地点から目的地まで通行順に経路データとして記憶する。
【0034】
経路描画部33は、経路記憶部32に記憶された経路データに基づき、地図上に経路を強調表示するための経路描画データを生成し、表示制御部41に出力する。経路描画部33は、経路記憶部32に経路データが存在しない場合は、経路描画データを生成しない。
経路案内部34は、自車位置特定部21から入力される自車位置と経路記憶部32に記憶されている経路データを参照して案内交差点から所定距離の地点に自車位置が到達すると、当該案内交差点における交差点拡大図を生成し、表示制御部41に出力するとともに、当該案内交差点における音声案内メッセージ(例えば「この先、300m先左折です。ガソリンスタンドが目印です。」)を生成し、音声制御部51に出力する。これら交差点拡大図に用いる各種画像データや音声案内に用いる各種案内音声データは、経路案内部34に記憶されている。
【0035】
通知部35は、経路探索部26から回避経路探索完了情報が入力されると、正常に回避経路が探索されたことを表す確認メッセージを生成し、表示制御部41に出力する。また、通知部35は、経路探索部26から回避経路探索不可情報が入力されると、回避経路が探索できなかったことを表す警告メッセージを生成し、表示制御部41に出力する。
ここで、確認メッセージや警告メッセージを音声出力するために、それぞれに対応する音声メッセージを音声制御部51に出力するようにしてもよい。
【0036】
表示制御部41は、地図描画部31から入力される地図描画データと経路描画部33から入力される経路描画データを合成し、表示部42に表示する。また、表示制御部41は、経路案内部34から交差点拡大図が入力されると、当該交差点拡大図を表示部42に表示する。さらに、表示制御部41は、通知部35から入力される確認メッセージや警告メッセージを表示部42に表示する。
音声制御部51は、経路案内部34から入力される音声案内メッセージおよび通知部35から入力される音声メッセージに対して、復号処理やD/A変換処理等を行い、スピーカ52から音声出力する。
【0037】
次に、本発明の実施形態に係る車載ナビゲーション装置1の回避経路探索処理について、図5を用いて説明する。
自車位置特定部21は、GPS受信機12および自律航法センサ13からの情報を基に、自車位置を特定し、地図読出制御部22と進入判定部23に出力する。地図読出制御部22は、入力された自車位置周辺の地図データを地図データ記憶部16から読み出し、地図描画部31に出力する。そして、地図描画部31は、入力された地図データから生成した地図描画データを表示制御部41に出力する。進入判定部23は自車位置特定部21から入力される自車位置情報と地図データ記憶部16の地図データに基づき、スマートIC専用道路に進入したか否かの判定を行う(ステップS101)。ここで、進入判定部23が、車両がスマートIC専用道路に進入したと判定すると、次に、ETC判定部24は、ETC車載機が外部IF15を介して車載ナビゲーション装置1と接続されているか否かを判定する(ステップS103)。一方、進入判定部23により進入していないと判定されると、車両がスマートIC専用道路に進入するまで判定を続ける。
【0038】
ステップS103で、ETC判定部24によりETC車載機と車載ナビゲーション装置1が接続されていると判定されると、続いて、ETC判定部24は、スマートICのETCゲートを通行可能か判断する(ステップS105)。このとき、ETCゲートを通行可能か不可能かの判定には、ETCカードが挿入されており、かつ、挿入されているETCカードの有効期限が切れておらず、さらに、ETC車載機との通信に何らかのエラーが生じていなければ、スマートICのETCゲートを通行できると判定する。一方、上記の1つでも満たしていなければ、ETC判定部24は、ETCゲートを通行できないと判定する。
ステップS105で、ETC判定部24がETCゲートを通行可能と判定すると、ETCゲートへ進入しても問題ないため、当該回避経路探索処理を終了する。一方、ETC判定部24がETCゲートを通行不可能と判定すると、次に、経路探索部26がスマートICのETCゲートを回避する回避経路の探索を行う(ステップS107)。
【0039】
ステップS107で、経路探索部26が回避経路を探索した結果、回避道路が存在し、回避経路の探索に成功すると(ステップS109のYES)、経路探索部26は、探索した回避経路を経路記憶部32に記憶するとともに、回避経路探索完了情報を通知部35に出力する。そして、経路描画部33は、経路記憶部32に記憶された経路データから経路描画データを生成し、表示制御部41に出力する。表示制御部41は、地図描画部31から入力される地図描画データと経路描画部33から入力される経路描画データを合成し、表示部42に地図画面を表示する(ステップS111)。このとき、通知部35は、経路探索部26から入力される回避経路探索完了情報に基づき、確認メッセージを生成し、表示制御部41に出力することで、表示制御部41は、当該確認メッセージを表示部42に表示する(ステップS113)。
【0040】
一方、ステップS107で、経路探索部26が回避経路を探索した結果、回避道路が存在せず、回避経路の探索に失敗すると(ステップS109のNO)、経路探索部26は、回避経路探索不可情報を通知部35に出力する。そして、通知部35は、回避経路探索不可情報に基づき、警告メッセージを生成し、表示制御部41に出力することで、表示制御部41は、当該警告メッセージを表示部42に表示する(ステップS115)。
【0041】
ステップS103に戻り、ETC判定部24によりETC車載機と車載ナビゲーション装置1が接続されていないと判定されると、続いて、ETC判定部24は、自車両が有料道路からスマートIC専用道路に進入したかを判定する(ステップS117)。ここで、一般道路からスマートIC専用道路に進入したと判定すると、ETCゲートの通行が不可能と判断し、ステップS107の処理へ移行する。一方、ステップS117にて、自車両が有料道路からスマートIC専用道路に進入したと判定すると、続いて、ETC判定部24は、有料道路へ入る際、すなわち、現有料道路の入り口で、ETCを利用した有料道路へ進入したか否かを判定する(ステップS119)。ここで、ETC判定部24が、有料道路へ入る際、ETCを利用して有料道路の入り口を通過したと判定すると、有料道路の出口でもETCを利用することが可能であると判定し、回避経路探索処理を終了する。一方、ステップS119にてETC判定部24が、有料道路に入る際、ETCを利用していないと判定すると、有料道路の出口でもETCを利用できないと判定し、ステップS107の処理へ移行する。
以上に示す回避経路探索処理は、常時行われる。
【0042】
次に、ETCを利用できない車両が、有料道路を走行中に、誤ってスマートIC専用道路に進入してしまった際の回避経路探索処理における車載ナビゲーション装置1の画面表示例を、図6を用いて説明する。
図6(a)は、車両が有料道路上の図示する自車位置マークP1の位置を上り方向に走行している時に、車載ナビゲーション装置1の表示部42に表示されている自車位置周辺の地図画面である。その後、車両がさらに有料道路を上り方向に走行し、分岐点Dpに差し掛かり、誤ってスマートIC専用道路に進入したとする。つまり、車両が位置P1から分岐点Dpを左方向に進むと、進入判定部23はスマートIC専用道路へ進入したと判定し、続いて、ETC判定部24が、ETCゲートを通行不可能と判定する。経路探索部26は、これらの判定結果を受け、ETCゲート2を通過せず、本線に復帰する回避経路を探索する。当該スマートICには、ETCゲート2への進入を回避する回避道路が存在するので、経路探索部26は、その回避道路を通過して、本線に復帰する回避経路を探索する。そして、探索された回避経路が表示された地図画面(図6(b))が表示部42に表示される。この時、経路探索が正常に行えたため、図6(c)に示す確認メッセージMSG1が所定時間表示される。
【0043】
また、ETCを利用できない車両が、一般道路から有料道路に入る際に、誤ってスマートIC専用道路に進入してしまった際の回避経路探索処理における車載ナビゲーション装置1の画面表示例を、図7を用いて説明する。
図7(a)は、車両が一般道路上の図示する自車位置マークP3の位置を走行している時に、車載ナビゲーション装置1の表示部42に表示されている自車位置周辺の地図画面である。その後、車両がさらに走行し、交差点Cpに差し掛かり、誤ってスマートIC専用道路に進入したとする。つまり、車両が位置P3から交差点Cpで右折すると、進入判定部23はスマートIC専用道路へ進入したと判定し、続いて、ETC判定部24がETCゲートを通行不可能と判定する。経路探索部26は、これらの判定結果を受け、ETCゲート2を通過せず、一般道路に復帰する回避経路を探索する。当該スマートICには、ETCゲート2への進入を回避する回避道路が存在するので、経路探索部26は、その回避道路を通過して、一般道路に復帰する回避経路を探索する。そして、探索された回避経路が表示された地図画面(図7(b))が表示部42に表示される。この時、経路探索が正常に行えたため、図7(c)に示す確認メッセージMSG2が所定時間表示される。
【0044】
また、図6図7で示すスマートICでは、回避道路が存在するため、回避経路の探索が正常に行えた場合の例を示したが、回避道路が存在せず、回避経路の探索に失敗した場合は、図8に示す警告メッセージを地図画面上に重畳表示される。
【0045】
以上のように構成することで、ETCを利用できない車両がスマートIC専用道路に進入したことを検出した時点で、当該スマートICのETCゲートを利用しないで、有料道路本線や一般道路に復帰する回避経路を表示するようにしたため、誤進入誤進入してしまった車両が行う可能性の高い急な車線変更や後進などの危険な運転を防止することができる。
【符号の説明】
【0046】
1…車載ナビゲーション装置、11…操作部、12…GPS受信機、13…自律航法センサ、14…VICS受信機、15…外部IF、16…地図データ記憶部、
20…ナビ制御部、21…自車位置特定部、22…地図読出制御部、23…進入判定部、24…ETC判定部、25…目的地設定部、26…経路探索部、
31…地図描画部、32…経路記憶部、33…経路描画部、34…経路案内部、35…通知部、41…表示制御部、42…表示部、51…音声制御部、52…スピーカ
図1
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図8