(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一定方向に回転する磁気記録媒体を加熱するとともに、前記磁気記録媒体に対して記録磁界を与えることで磁化反転を生じさせ、情報を記録させる近接場光ヘッドであって、
前記磁気記録媒体の表面に対向配置されたスライダと、
前記スライダの先端側に配置され、前記記録磁界を発生させる磁極を有する記録素子と、
前記他端側を前記磁気記録媒体側に向けた状態で前記記録素子に隣接して固定された、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の近接場光発生素子と、
前記スライダに固定され、前記一端側から前記コア内に前記光束を導入させる光束導入手段と、を備えていることを特徴とする近接場光ヘッド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、記録媒体のさらなる高密度化を図るためには、近接場光のスポットサイズを縮小して、磁気記録媒体の磁気記録層をより局所的に加熱し、上述した熱揺らぎ現象等の影響を抑制する必要がある。近接場光のスポットサイズを縮小するためには、金属膜の幅(レーザ光の伝播方向から見てコアとの界面の幅)を縮小することが考えられる。
【0009】
この場合、従来では金属膜の幅に合わせてコアを形成しているため、金属膜の縮小に伴ってコアの幅(レーザ光の伝播方向から見て金属膜との接触面の幅)が縮小される。
しかしながら、コアの幅を縮小すると、コア内を伝播するレーザ光の損失が大きくなり、十分な光量を得られないという問題がある。すなわち、近接場光のスポットサイズは縮小できるものの、光量が低下してしまう。
【0010】
そこで、本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、光量を確保した上で、近接場光のスポットサイズを縮小できる近接場光発生素子、及び近接場光発生素子の製造方法、近接場光ヘッド、近接場光ヘッドの製造方法並びに情報記録再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係る近接場光発生素子は、一端側に導入された光束を他端側に向けて集光しながら伝播するとともに、近接場光に生成した後に外部に発する近接場光発生素子であって、前記他端側に向けて前記光束を伝播させるコアと、前記コアにおける前記一端側から前記他端側に向かう前記光束の伝播方向に沿って配置され、前記コアとの界面に沿って前記光束を伝播させて、前記光束から前記近接場光を発生させる近接場光発生部と、
前記コアの他端面を外部に露出させた状態で、前記コアを覆うクラッドと、を有し、前記コアは、第1コアと、前記第1コアを間に挟んで前記近接場光発生部の反対側から前記第1コアを覆う第2コアと、を備え、前記伝播方向から見て、前記第2コアの外側端部は、前記近接場光発生部の外側端部よりも外側に位置し
、前記第1コア、前記第2コア、及び前記クラッドは、前記クラッド、前記第2コア、前記第1コアの順で屈折率が大きくなるように構成されていることを特徴としている。
【0012】
この構成によれば、第2コアにおける外側端部が、近接場光発生部の外側端部よりも外側に位置することで、伝播方向から見て近接場光発生部の幅が、コア全体における近接場光発生部との界面の幅に比べて狭く形成されることになる。そのため、コア全体における近接場光発生部との界面の幅よりも小さいスポットサイズの近接場光を発生させることができるとともに、スポットサイズの縮小に伴う光束の伝播効率の低下を抑制できる。これにより、光量を確保した上で、近接場光のスポットサイズを縮小できる。
また、第2コアとクラッドとの界面で全反射する光束を、徐々に中心(第1コア)に向けて集光できるので、光束の伝播効率を向上できる。
【0015】
また、前記コアの他端面は、前記伝播方向から見て三角形状、または台形状に形成されていることを特徴としている。
この構成によれば、コア内を伝播した光束を、近接場光発生部に向けて効果的に反射させることができる。
【0016】
また、前記第2コアを間に挟んで前記第1コアの反対側から前記第2コアを覆うように遮光膜が形成されていることを特徴としている。
この構成では、第2コアを覆うように遮光膜を形成することで、コアに入射した光束は、外部に漏れることなく、遮光膜と第2コアとの界面で反射されながら他端側に向けて伝播する。これにより、光束を効率的に近接場光発生部に入射させることができ、近接場光の発生効率を向上できる。
【0017】
また、前記第1コアは、前記伝播方向に沿って延在する複数の側面を有し、前記複数の側面は、前記近接場光発生
部が配置された第1側面と、前記伝播方向から見て前記第1側面の両側で、前記第1側面の面方向に交差する方向に沿って配置された第2側面と、を有し、前記伝播方向から見て、前記第1コアの前記第2側面と同一面上に前記近接場光発生部の外側端部が配置されていることを特徴としている。
この構成によれば、伝播方向に直交する方向から見て第1コアと近接場光発生部とが重なり合うように配置されるため、コアの他端側まで伝播した光束を漏れなく近接場光発生部に入射させることができる。よって、近接場光の発生効率を向上させることができる。
【0018】
また、本発明に係る近接場光発生素子の製造方法は、一端側に導入された光束を他端側に向けて集光しながら伝播するとともに、近接場光に生成した後に外部に発する近接場光発生素子の製造方法であって、前記他端側に向けて前記光束を伝播させるコアと、前記コアにおける前記一端側から前記他端側に向かう前記光束の伝播方向に沿って配置され、前記コアとの界面に沿って前記光束を伝播させて、前記光束から前記近接場光を発生させる近接場光発生部と、を有し、前記近接場光発生部の母材を形成する近接場光発生部形成工程と、前記近接場光発生部を覆うように前記コアのうち、第1コアの母材を形成する第1コア形成工程と、前記第1コアの母材、及び前記近接場光発生部の母材を一括してパターニングするパターニング工程と、前記第1コアを間に挟んで前記近接場光発生部の反対側から前記第1コアを覆うように、前記コアのうち、第2コアを形成する第2コア形成工程と、を有していることを特徴としている。
【0019】
この構成によれば、第1コアの母材と近接場光発生部の母材とを同一のパターニング工程で一括してパターニングすることで、近接場光発生部と第1コアとの界面の幅を同等に形成することができる。そして、パターニング工程の後、第1コアを覆うように第2コアを形成することで、伝播方向から見て近接場光発生部の幅が、コア全体における近接場光発生部との界面の幅に比べて狭い近接場光発生部を簡単に形成できる。しかも、例えば、第1コアと近接場光発生部とをそれぞれ別工程でパターニングする場合と異なり、近接場光発生部と第1コアとを精度良く位置決めすることができる。
【0020】
また、本発明に係る近接場光ヘッドの製造方法は、上記本発明の近接場光発生素子の製造方法を使用して、一定方向に回転する磁気記録媒体を加熱するとともに、前記磁気記録媒体に対して記録磁界を与えることで磁化反転を生じさせ、情報を記録させる近接場光ヘッドの製造方法であって、前記近接場光発生部形成工程の前段に、記録磁界を発生させる磁極の母材を形成する磁極形成工程を有し、前記パターニング工程では、前記第1コアの母材、及び前記近接場光発生部の母材とともに、前記磁極の母材を同一工程で一括してパターニングすることを特徴としている。
この構成によれば、第1コア、及び近接場光発生部の母材とともに磁極の母材を同一のパターニング工程で一括してパターニングすることで、伝播方向から見て第1コア、近接場光発生部の、及び磁極の外側端部が同一面上に配置されることになる。これにより、例えば、第1コア、近接場光発生部、及び磁極をそれぞれ別工程でパターニングする場合と異なり、近接場光発生部、コア、及び磁極を精度良く位置決めすることができる。さらに、高価な位置合わせ装置を用いることなく、コア、近接場光発生部、及び磁極を位置決めすることができるので、装置コストを低減できる。
この場合、磁極が、近接場光発生素子を間に挟んで第1コアの反対側から近接場光発生部を覆うように形成される。そのため、近接場光の発生位置と、磁極からの磁場の発生位置とを高精度に位置決めでき、近接場光ヘッド自体の書き込みの信頼性を高め、高品質化を図ることができる。
また、仮に近接場光発生部でプラズモン共鳴を起こさずに、光束が近接場光発生部を透過してしまった場合であっても、光束を磁極で反射させてコア内に戻すことで、再び近接場光発生部に光束を入射させることができる。これにより、近接場光の発生効率をより向上できる。さらに、光束が近接場光発生部でプラズモン共鳴を起こさずに外部に漏れるのを抑制できるので、コアの近傍のみに極めて小さい近接場光のスポットを生成させることができる。
【0021】
また、本発明に係る近接場光ヘッドは、一定方向に回転する磁気記録媒体を加熱するとともに、前記磁気記録媒体に対して記録磁界を与えることで磁化反転を生じさせ、情報を記録させる近接場光ヘッドであって、前記磁気記録媒体の表面に対向配置されたスライダと、前記スライダの先端側に配置され、前記記録磁界を発生させる磁極を有する記録素子と、前記他端側を前記磁気記録媒体側に向けた状態で前記記録素子に隣接して固定された、請求項1記載の近接場光発生素子と、前記スライダに固定され、前記一端側から前記コア内に前記光束を導入させる光束導入手段と、を備えていることを特徴としている。
この構成によれば、上記本発明の近接場光発生素子を備えているので、上述した熱揺らぎ現象等の影響を抑制して、安定した記録を行うことができる。よって、近接場光ヘッド自体の書き込みの信頼性を高めることができ、高品質化を図ることができる。
【0022】
また、前記第1コアは、前記伝播方向に沿って延在する複数の側面を有し、前記複数の側面は、前記近接場光発生
部が配置された第1側面と、前記伝播方向から見て前記第1側面の両側で、前記第1側面の面方向に交差する方向に沿って配置された第2側面と、を有し、前記磁極は、前記近接場光発生部を間に挟んで前記第1コアの前記第1側面に対向配置されるとともに、前記伝播方向から見て、前記第1コアの前記第2側面と同一面上に前記磁極の外側端部が配置されていることを特徴としている。
この構成によれば、磁極が、近接場光発生素子を間に挟んでコアの反対側から近接場光発生部を覆うように形成されるため、近接場光の発生位置と、磁場の発生位置とを高精度に位置決めでき、近接場光ヘッド自体の書き込みの信頼性を高め、高品質化を図ることができる。
また、仮に近接場光発生部でプラズモン共鳴を起こさずに、光束が近接場光発生部を透過してしまった場合であっても、光束を磁極で反射させてコア内に戻すことで、再び近接場光発生部に光束を入射させることができる。これにより、近接場光の発生効率をより向上できる。さらに、光束が近接場光発生部でプラズモン共鳴を起こさずに外部に漏れるのを抑制できるので、コアの近傍のみに極めて小さい近接場光のスポットを生成させることができる。
【0023】
また、前記近接場光発生部と前記磁極との間には、前記近接場光発生部と前記磁極との間を画成する離間膜が形成されていることを特徴としている。
この構成によれば、近接場光発生部と磁極とが導電性を有する金属材料からなる場合に、近接場光発生部と磁極とを電気的に絶縁できるとともに、近接場光発生部の合金化を抑制できるので、近接場光発生部での自由電子の運動に悪影響が及ぶことがない。そのため、近接場光の発生効率をより向上できる。
【0024】
また、本発明に係る情報記録再生装置は、上記本発明の近接場光ヘッドと、前記磁気記録媒体の表面に平行な方向に移動可能とされ、前記磁気記録媒体の表面に平行で且つ互いに直交する2軸回りに回動自在な状態で前記近接場光ヘッドを先端側で支持するビームと、前記光束伝播素子に対して前記光束を入射させる光源と、前記ビームの基端側を支持するとともに、前記ビームを前記磁気記録媒体の表面に平行な方向に向けて移動させるアクチュエータと、前記磁気記録媒体を前記一定方向に回転させる回転駆動部と、前記記録素子及び前記光源の作動を制御する制御部と、を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、上記本発明の近接場光ヘッドを備えているので、書き込みの信頼性を高めることができ、高品質化を図ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る近接場光発生素子、及びその製造方法によれば、光量を確保した上で、近接場光のスポットサイズを縮小できる。
本発明に係る近接場光ヘッド及び情報記録再生装置によれば、上述した熱揺らぎ現象等の影響を抑制して、安定した記録を行うことができる。よって、書き込みの信頼性が高く、高密度記録化に対応することができ、高品質化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態の情報記録再生装置1は、垂直記録層d2を有するディスク(磁気記録媒体)Dに対して、近接場光Rと記録磁界とを協働させたハイブリッド磁気記録方式によりディスクDに記録再生を行う装置である(
図2参照)。
【0028】
(第1実施形態)
(情報記録再生装置)
図1は情報記録再生装置の構成図である。
本実施形態の情報記録再生装置1は、
図1に示すように、記録再生ヘッド(近接場光ヘッド)2と、記録再生ヘッド2を支持するビーム3と、記録再生ヘッド2にレーザ光(光束)L(
図2参照)を入射させる光束入射機構4と、ビーム3を移動させるアクチュエータ5と、ディスクDを一定方向に回転させるスピンドルモータ(回転駆動部)6と、上述した各構成品を総合的に制御する制御部8と、各構成品を内部に収容するハウジング9と、を備えている。
【0029】
ハウジング9は、アルミニウム等の金属材料により、上面視四角形状に形成されているとともに、内側に各構成品を収容する凹部9aが形成されている。また、このハウジング9には、凹部9aの開口を塞ぐように図示しない蓋が着脱可能に固定されるようになっている。凹部9aの略中心には、スピンドルモータ6が取り付けられており、スピンドルモータ6に中心孔を嵌め込むことでディスクDが着脱自在に固定される。なお、本実施形態では、3枚のディスクDがスピンドルモータ6に固定されている場合を例に挙げて説明している。但し、ディスクDの数は3枚に限定されるものではない。
【0030】
凹部9aの隅角部には、アクチュエータ5が取り付けられている。このアクチュエータ5には、軸受10を介してキャリッジ11が取り付けられている。キャリッジ11は、例えば金属材を切削加工によって形成されたものであり、軸受10を介してアクチュエータ5に固定される基端部11aから先端に向かう部分が3枚のディスクDの上面に配置されるように3層構造となっている。つまり、キャリッジ11を側面から見た時に、E型になるように形成されている。そして、3層に分かれたキャリッジ11の各先端には、ビーム3の基端側が固定されている。よって、アクチュエータ5は、キャリッジ11を介してビーム3の基端側を支持しており、ビーム3をディスク面(磁気記録媒体の表面)D1(
図2参照)に平行なXY方向に向けてスキャン移動させることができるようになっている。
【0031】
ビーム3は、上述したようにアクチュエータ5によってキャリッジ11とともにXY方向に移動可能とされているとともに、ディスク面D1に平行で且つ互いに直交する2軸(X軸、Y軸)回りに回動自在な状態で記録再生ヘッド2を先端側で支持している。なお、ビーム3及びキャリッジ11は、ディスクDの回転停止時にアクチュエータ5の駆動によって、ディスクD上から退避するようになっている。
【0032】
(記録再生ヘッド)
図2は記録再生ヘッドの拡大断面図であり、
図3は記録再生ヘッドの流出端側の側面を拡大した断面図である。
記録再生ヘッド2は、
図2,
図3に示すように、レーザ光Lから生成した近接場光Rを利用して回転するディスクDに各種の情報を記録再生するヘッドである。記録再生ヘッド2は、ディスク面D1から所定距離Hだけ浮上した状態でディスクDに対向配置されたスライダ20と、ディスクDに情報を記録する記録素子21と、ディスクDに記録されている情報を再生する再生素子22と、導入されたレーザ光Lを集光しながら伝播するとともに、近接場光Rに生成した後に外部に発する近接場光発生素子26と、を備えている。
【0033】
スライダ20は、石英ガラス等の光透過性材料や、AlTiC(アルチック)等のセラミック等によって直方体状に形成されている。このスライダ20は、ディスクDに対向する対向面20aを有しており、ジンバル部30(
図2参照)を介してビーム3の先端にぶら下がるように支持されている。このジンバル部30は、X軸回り及びY軸回りにのみ変位するように動きが規制された部品である。これによりスライダ20は、上述したようにディスク面D1に平行で且つ互いに直交する2軸(X軸、Y軸)回りに回動自在とされている。
【0034】
また対向面20aには、回転するディスクDによって生じた空気流の粘性から、浮上するための圧力を発生させる凸条部20bが形成されている。この凸条部20bは、長手方向(X方向)に沿って延びるように形成されており、レール状に並ぶように間隔を空けて左右(Y方向)に2つ形成されている。但し、凸条部20bはこの場合に限定されるものではなく、スライダ20をディスク面D1から離そうとする正圧と、スライダ20をディスク面D1に引き付けようとする負圧と、を調整して、スライダ20を最適な状態で浮上させるように設計されていれば、どのような凹凸形状でも構わない。なお、この凸条部20bの表面はABS(AIR BEARING SURFACE)20cと呼ばれている。
【0035】
そしてスライダ20は、この2つの凸条部20bによってディスク面D1から浮上する力を受けている。一方、ビーム3はディスク面D1に垂直なZ方向に撓むようになっており、スライダ20の浮上力を吸収している。つまり、スライダ20は、浮上した際にビーム3によってディスク面D1側に押さえ付けられる力を受けている。よってスライダ20は、この両者の力のバランスによって、上述したようにディスク面D1から所定距離H離間した状態で浮上するようになっている。しかもスライダ20は、ジンバル部30によってX軸回り及びY軸回りに回動するようになっているので、常に姿勢が安定した状態で浮上するようになっている。
なお、ディスクDの回転に伴って生じる空気流は、スライダ20の流入端側(ビーム3のX方向基端側)から流入した後、ABS20cに沿って流れ、スライダ20の流出端側(ビーム3のX方向先端側)から抜けている。
【0036】
記録素子21は、
図3に示すように、ディスクDに記録磁界を作用させて情報を記録する素子であって、スライダ20の流出端側の側面(先端面)に固定された補助磁極31と、磁気回路32を介して補助磁極31に接続され、ディスクDに対して垂直な記録磁界を補助磁極31との間で発生させる主磁極33と、磁気回路32を中心として磁気回路32の周囲を螺旋状に巻回するコイル34と、を備えている。つまり、スライダ20の流出端側から順に、補助磁極31、磁気回路32、コイル34、主磁極33が並んだ状態で配置されている。
【0037】
両磁極31,33及び磁気回路32は、磁束密度が高い高飽和磁束密度(Bs)材料(例えば、CoNiFe合金、CoFe合金等)により形成されている。また、コイル34は、ショートしないように、隣り合うコイル線間、磁気回路32との間、両磁極31,33との間に隙間が空くように配置されており、この状態で絶縁体35によってモールドされている。そして、コイル34は、情報に応じて変調された電流が制御部8から供給されるようになっている。すなわち、磁気回路32及びコイル34は、全体として電磁石を構成している。なお、主磁極33及び補助磁極31は、ディスクDに対向する端面(Z方向端面)がスライダ20のABS20cと面一となるように設計されている。また、主磁極33の先端部分33a(レーザ光Lの出射側)は、絶縁体35から再生素子22側に向けて突出しており、後述する第1クラッド24a内に埋設されている。なお、主磁極33における先端部分33aを、基端部分と異なる材料(飽和磁束密度が高い材料)で構成しても構わない。
【0038】
図4は
図3のA矢視図であり、
図5は
図3のB矢視図である。
図3から
図5に示すように、光束伝播素子25は、レーザ光Lの入射側(Z方向一端側)がスライダ20の上方を向くとともに、出射側(Z方向他端側)がディスクD側を向いた状態で、記録素子21の主磁極33のX方向側に隣接して固定されている。この光束伝播素子25は、一端側から導入されたレーザ光LをディスクDに対向する他端側に伝播させるコア23と、コア23に密着するクラッド24とから構成されており、全体として略板状に形成されている。
【0039】
コア23は、一端側から他端側にかけて漸次絞り成形されており、レーザ光Lを内部で徐々に集光させながら伝播させることができるようになっている。具体的に、コア23は一端側から反射面23aと、光束集光部23bと、近接場光生成部23cと、を有し、レーザ光Lの伝播方向(Z方向)から見て三角形状に形成されている。
【0040】
反射面23aは、後述する光導波路42から導入されたレーザ光Lを導入方向とは異なる方向に反射させるものである。本実施形態では、レーザ光Lの向きが略90度変わるように反射させている。この反射面23aによって光導波路42から導入されたレーザ光Lは、コア23内で全反射を繰り返しながら他端側に向けて伝播される。
光束集光部23bは、一端側から他端側に向かうZ方向に直交する断面積(XY方向の断面積)が漸次減少するように絞り成形された部分であり、導入されたレーザ光Lを集光させながら他端側に向けて伝播させている。つまり、光束集光部23bに導入されたレーザ光Lのスポットサイズを、徐々に小さいサイズに絞ることができるようになっている。
【0041】
近接場光生成部23cは、光束集光部23bの端部から他端側に向けてさらに絞り成形された部分である。具体的には、コア23の他端側の近傍において、内部を伝播するレーザ光Lの光軸(Z方向)に対して傾斜した状態で再生素子22に対向するように形成された傾斜面23hによって絞り成形されている。この傾斜面23hによって、コア23は他端側が尖形した状態となっている。
【0042】
なお、本実施形態では、光束集光部23b及び近接場光生成部23cがZ方向に沿う3つの側面を有するように形成されており、そのうちの1つの側面23gが主磁極33に対向配置されるようになっている。この場合、側面23gの両端(Y方向両端)からは、再生素子22に向かって側面23gのY方向(面方向)に交差する方向に沿って延在する一対の側面23dが形成され、これによりコア23はZ方向から見てX方向に向かって先細る三角形状に形成されている。そのため、
図5に示すように、近接場光生成部23cの他端側で外部に露出する端面23eが三角形状に形成されている。また、この端面23eはスライダ20のABS20cと面一となるように設計されている。
【0043】
図6は、
図3のC部拡大図である。
ここで、
図5,
図6に示すように、本実施形態のコア23の他端側は、2層構造に構成されている。具体的に、コア23の他端側は、Z方向から見て三角形状の第1コア54と、第1コア54を覆うように形成された第2コア55と、で構成されている。この場合、第1コア54は、Z方向において、スライダ20の側面(流出端側の側面)の全域に形成され、コア23の全体(上述した反射面23aから近接場光生成部23c)を構成している。一方、第2コア55は、Z方向において、第1コア54の他端側を覆うように形成され、光束集光部23bの他端側から近接場光生成部23cを構成している。なお、第2コア55の形成領域は、上述した範囲に限られず、第1コア54全体を覆うように形成しても構わない。また、
図5では、第2コア55のY方向両端部には、第1クラッド24a上をY方向に沿って延在する裾野部55aが形成されているが、少なくとも第1コア23を覆っていれば、裾野部55aは除去しても構わない。なお、以下の説明では、第1コア54及び第2コア55の側面を、コア23の側面23d、23gと同様の符号を用いて説明する。
【0044】
クラッド24は、
図3から
図5に示すように、コア23よりも屈折率が低い材料で形成されており、コア23の一端側と他端側の端面23eとを外部に露出させた状態でコア23の側面23d,23gに密着して、コア23を内部に封止している。具体的に、クラッド24は、コア23と記録素子21(主磁極33)との間でコア23の側面23g側を覆うように形成された第1クラッド24aと、コア23と再生素子22との間で側面23d側を覆うように形成された第2クラッド24bとを備えている。このように、第1クラッド24a及び第2クラッド24bがコア23の側面23d,23gに密着しているので、コア23とクラッド24との間に隙間が生じないようになっている。なお、第1クラッド24aの他端側におけるスライダ20の幅方向(Y方向)中央部には、上述した主磁極33の先端部分33aが埋設されるとともに、先端部分33aは第1クラッド24aからコア23側に露出している。
【0045】
なお、クラッド24及びコア23として使用される材料の組み合わせの一例を記載すると、例えば、石英(SiO
2)でコア23(第1コア54及び第2コア55)を形成し、フッ素をドープした石英でクラッド24を形成する組み合わせが考えられる。この場合には、レーザ光Lの波長が400nmのときに、コア23の屈折率が1.47となり、クラッド24の屈折率が1.47未満となるので好ましい組み合わせである。
また、ゲルマニウムをドープした石英でコア23(第1コア54及び第2コア55)を形成し、石英(SiO
2)でクラッド24を形成する組み合わせも考えられる。この場合には、レーザ光Lの波長が400nmのときに、コア23の屈折率が1.47より大きくなり、クラッド24の屈折率が1.47となるのでやはり好ましい組み合わせである。
【0046】
特に、コア23とクラッド24との屈折率差が大きいほど、コア23内にレーザ光Lを閉じ込める力が大きくなるので、コア23(第1コア54及び第2コア55)に酸化タンタル(Ta
2O
5:波長が550nmのときに屈折率が2.16)を用い、クラッド24に石英やアルミナ(Al
2O
3)等を用いて、両者の屈折率差を大きくすることがより好ましい。また、赤外領域のレーザ光Lを利用する場合には、赤外光に対して透明な材料であるシリコン(Si:屈折率が約4)でコア23(第1コア54及び第2コア55)を形成することも有効である。なお、本実施形態においては、第1コア54及び第2コア55を同一材料により形成しているが、これに限らず、第1コア54及び第2コア55を異種材料により構成しても構わない。この場合の材料の組み合わせとしては、クラッド24から第2コア55、第1コア54にかけて段々と屈折率が大きくなるような(クラッド24、第2コア55、第1コア54の順で屈折率が大きくなるような)組み合わせが好ましい。この構成によれば、第2コア55とクラッド24との界面で全反射するレーザ光Lを、徐々に中心(第1コア54)に向けて集光できるので、レーザ光Lの伝播効率を向上できる。
【0047】
ここで、コア23(第1コア54)と第1クラッド24aとの間(第1コア54を間に挟んで第2コア55の反対側)には、金属膜(近接場光発生部)51が形成されている。金属膜51は、コア23内を伝播してきたレーザ光Lから近接場光Rを発生させ、近接場光Rを光束伝播素子25の他端側とディスクDとの間に局在化させるものであり、例えば金(Au)や白金(Pt)等により構成されている。金属膜51は、コア23(第1コア54)における近接場光生成部23cの側面23g上に配置され、第1クラッド24a及び第1クラッド24aから露出する主磁極33の先端部分33aに接している。また、金属膜51は、Z方向において、一端側が近接場光生成部23cと光束集光部23bとの境界部分に位置するとともに、他端側がコア23の端面23eと面一になるように形成されている。
【0048】
また、金属膜51は、Z方向から見て再生素子22に向けて先細る等脚台形状に形成されている。このとき、金属膜51の上底(コア23との界面)51aのY方向における幅W1は、第1コア54の側面(第1側面)23gのY方向における幅W2と同等に形成されている。これにより、金属膜51の幅W1は、コア23(第2コア55)の側面23gの幅W3(裾野部55aを除く幅)に比べて狭く形成されている。すなわち、Z方向から見て、第2コア55の外側端部は、金属膜51の斜面(外側端部)51bよりも外側に位置している。さらに、金属膜51の斜面51bは、第1コア54の側面(第2側面)23dと同一面上に配置されている。すなわち、第1コア54及び金属膜51の積層体は、Z方向から見てコア23の相似形状に形成されている(
図5参照)。
【0049】
また、コア23(第2コア55)と第2クラッド24bとの間には、遮光膜52が形成されている。遮光膜52は、アルミニウム(Al)等の高反射率の材料からなり、近接場光生成部23cの第2コア55における側面23dを覆うように形成されている。すなわち、近接場光生成部23cは、側面23gが金属膜51に覆われ、側面23dが遮光膜52に覆われている。遮光膜52は、Z方向において、金属膜51よりも広範囲に亘って形成されている。具体的に、遮光膜52は、一端側が光束集光部23bの他端側に位置するとともに、他端側はコア23の端面23eと面一になるように形成されている。なお、遮光膜52は、Z方向において金属膜51と同等以上の範囲で形成されていれば構わない。また、遮光膜52のY方向両端部は、第2コア55の裾野部55aを完全に覆うように形成しても構わない。
【0050】
ところで、
図3に示すように、スライダ20の上面(Z方向一端側)には光導波路42が固定されている。この光導波路42は、コア42aと、コア42aを覆うように形成されたクラッド42bと、からなり、コア42a内をレーザ光Lが伝播するようになっている。光導波路42の先端は、光束伝播素子25のコア23の一端側に接続されており、レーザ光Lを反射面23aに向けて出射させている。なお、コア42a及びクラッド42bは、上述したコア23及びクラッド24と同様の材料により構成されている。
【0051】
一方、光導波路42の基端側は、
図1に示すように、ビーム3及びキャリッジ11に沿って引き出された後、レーザ光源43に接続されている。このレーザ光源43は、
図1及び
図7に示すように、キャリッジ11の基端部11aの側面に取り付けられた制御基板44上に図示しないICチップ等の各種電子部品とともに実装されている。特にレーザ光源43は、レーザ光Lを直線偏光の状態で出射するようになっている。すなわち、レーザ光源43及び光導波路42は、記録再生ヘッド2にレーザ光Lを直線偏光の状態で入射させる光束入射機構4として機能する。なお、
図7はレーザ光源の周辺を拡大した図である。
【0052】
レーザ光源43が実装されている制御基板44は、可撓性のフラットケーブル(フレキシブル基板)45によって制御部8に接続されている。これにより制御部8は、各構成品に電気的な信号を送って総合的な制御を行っている。特にレーザ光源43は、レーザ光Lを出射するタイミングが制御部8によって制御されている。
【0053】
再生素子22は、ディスクDの垂直記録層d2(
図2参照)から漏れ出ている磁界の大きさに応じて電気抵抗が変換する磁気抵抗効果膜であり、光束伝播素子25を間に挟んで記録素子21とは反対側のクラッド24(第2クラッド24b)の表面に形成されている。この再生素子22には、図示しないリード膜等を介して制御部8からバイアス電流が供給されている。これにより制御部8は、ディスクDから漏れ出た磁界の変化を電圧の変化として検出することでき、この電圧の変化から信号の再生を行うことができるようになっている。
【0054】
なお、本実施形態のディスクDは、
図2に示すように、ディスク面D1に垂直な方向に磁化容易軸を有する垂直記録層d2と、高透磁率材料からなる軟磁性層d3との少なくとも2層で構成される垂直2層膜ディスクDを使用する。このようなディスクDとしては、例えば、基板d1上に、軟磁性層d3と、中間層d4と、垂直記録層d2と、保護層d5と、潤滑層d6とを順に成膜したものを使用する。
基板d1としては、例えば、アルミ基板やガラス基板等である。軟磁性層d3は、高透磁率層である。中間層d4は、垂直記録層d2の結晶制御層である。垂直記録層d2は、垂直異方性磁性層となっており、例えばCoCrPt系合金が使用される。保護層d5は、垂直記録層d2を保護するためのもので、例えばDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)膜が使用される。潤滑層d6は、例えば、フッ素系の液体潤滑材が使用される。
【0055】
(情報記録再生方法)
次に、このように構成された情報記録再生装置1により、ディスクDに各種の情報を記録再生する場合について以下に説明する。
まず、
図1に示すように、スピンドルモータ6を駆動させてディスクDを一定方向に回転させる。次いで、アクチュエータ5を作動させて、キャリッジ11を介してビーム3をXY方向にスキャンさせる。これにより、ディスクD上の所望する位置に記録再生ヘッド2を位置させることができる。この際、記録再生ヘッド2は、スライダ20の対向面20aに形成された2つの凸条部20bによって浮上する力を受けるとともに、ビーム3等によってディスクD側に所定の力で押さえ付けられる。記録再生ヘッド2は、この両者の力のバランスによって、
図2に示すようにディスクD上から所定距離H離間した位置に浮上する。
【0056】
また、記録再生ヘッド2は、ディスクDのうねりに起因して発生する風圧を受けたとしても、ビーム3によってZ方向の変位が吸収されるとともに、ジンバル部30によってXY軸回りに変位することができるようになっているので、うねりに起因する風圧を吸収することができる。そのため、記録再生ヘッド2を安定した状態で浮上させることができる。
【0057】
図8は情報記録再生装置により情報を記録再生する際の説明図であって、
図3に相当する拡大断面図であり、
図9は
図5に相当する図である。
ここで、
図8に示すように、情報の記録を行う場合、制御部8はレーザ光源43を作動させて直線偏光のレーザ光Lを出射させるとともに、情報に応じて変調した電流をコイル34に供給して記録素子21を作動させる。
まず、レーザ光源43からレーザ光Lを光導波路42に入射させて、レーザ光Lをスライダ20側に導く。レーザ光源43から出射されたレーザ光Lは、光導波路42のコア42a内を先端(流出端)側に向かって進み、光束伝播素子25のコア23内に伝播する。コア23内に伝播したレーザ光Lは、反射面23aで略90度反射された後、光束集光部23b内を伝播する。光束集光部23bを伝播するレーザ光Lは、ディスクD側に位置する他端側に向かってコア23とクラッド24との間で全反射を繰り返しながら伝播する。特に、コア23の側面23d,23gにはクラッド24が密着しているので、コア23の外部に光が漏れることはない。よって、導入されたレーザ光Lを無駄にすることなく絞りながら他端側に伝播させて、近接場光生成部23cに入射させることができる。
この際、コア23は、Z方向に直交する断面積が漸次減少するように絞り成形されている。そのため、レーザ光Lは光束集光部23b内を伝播するにしたがって徐々に絞り込まれてスポットサイズが小さくなる。
【0058】
図8,
図9に示すように、スポットサイズが小さくなったレーザ光Lは、続いて、近接場光生成部23cに入射する。この近接場光生成部23cは、他端側に向けてさらに絞り成形されており、端面23eが光の波長以下のサイズとされている。この場合、近接場光生成部23cの2つの側面23dは、遮光膜52によって遮光されている。よって、近接場光生成部23cに入射したレーザ光Lは、第2クラッド24b側に漏れることなく、遮光膜52と近接場光生成部23cとの界面で反射されながら伝播する。そして、近接場光生成部23cを伝播するレーザ光Lが金属膜51に入射すると、金属膜51には表面プラズモンが励起される。励起された表面プラズモンは、共鳴効果によって増強されながら金属膜51とコア23(近接場光生成部23c)との界面に沿いながら、コア23の他端側に向かって伝播する。そして、他端側に達した時点で、光強度の強い近接場光Rとなって外部に漏れ出す。つまり、光束伝播素子25の他端側とディスクDとの間に近接場光Rを局在化させることができる。するとディスクDは、この近接場光Rによって局所的に加熱されて一時的に保磁力が低下する。
【0059】
一方、制御部8によってコイル34に電流が供給されると、電磁石の原理により電流磁界が磁気回路32内に磁界を発生させるので、主磁極33と補助磁極31との間にディスクDに対して垂直方向の記録磁界を発生させることができる。すると、主磁極33側から発生した磁束が、ディスクDの垂直記録層d2を真直ぐ通り抜けて軟磁性層d3に達する。これによって、垂直記録層d2の磁化をディスク面D1に対して垂直に向けた状態で記録を行うことができる。また、軟磁性層d3に達した磁束は、軟磁性層d3を経由して補助磁極31に戻る。この際、補助磁極31に戻るときには磁化の方向に影響を与えることはない。これは、ディスク面D1に対向する補助磁極31の面積が、主磁極33よりも大きいので磁束密度が大きく磁化を反転させるほどの力が生じないためである。つまり、主磁極33側でのみ記録を行うことができる。
【0060】
その結果、近接場光Rと両磁極31,33で発生した記録磁界とを協働させたハイブリッド磁気記録方式により情報の記録を行うことができる。しかも垂直記録方式で記録を行うので、熱揺らぎ現象等の影響を受け難く、安定した記録を行うことができる。よって、書き込みの信頼性を高めることができる。
【0061】
また、ディスクDに記録された情報を再生する場合には、ディスクDの保磁力が一時的に低下している時に、再生素子22がディスクDの垂直記録層d2から漏れ出ている磁界を受けて、その大きさに応じて電気抵抗が変化する。よって、再生素子22の電圧が変化する。これにより制御部8は、ディスクDから漏れ出た磁界の変化を電圧の変化として検出することができる。そして制御部8は、この電圧の変化から信号の再生を行うことで、ディスクDに記録されている情報の再生を行うことができる。
【0062】
(記録再生ヘッドの製造方法)
次に、上述した近接場光発生素子26を有する記録再生ヘッド2の製造方法について説明する。
図10,
図11は
図5に相当する図であって、近接場光発生素子の製造方法を説明するための工程図である。なお、以下の説明では、記録再生ヘッド2の製造工程のうち、主として近接場光発生素子の製造工程について具体的に説明する。
本実施形態では、複数のスライダ20形成領域がY方向及びZ方向に沿って連なってなる基板120(例えば、AlTiC(アルチック)等)を用意し、この基板120におけるスライダ20の各形成領域上に記録素子21、近接場光発生素子26、及び再生素子22を順に形成して、Y方向及びZ方向に沿って連なる複数の記録再生ヘッド2とした後、記録再生ヘッド2の形成領域毎にダイシングすることで、記録再生ヘッド2を製造する。
【0063】
まず
図10(a)に示すように、基板120上に記録素子21を形成し、絶縁体35でモールドする。その後、絶縁体35上に光束伝播素子25及び金属膜51の母材を成膜する(第1クラッド形成工程、近接場光発生部形成工程、及び第1コア形成工程)。具体的には、基板120(絶縁体35)上に第1クラッド24a、金属膜51(例えば、20nm程度)、第1コア54(数μm程度)の順で母材(第1クラッド母材124a、金属膜母材151、及び第1コア母材154)を成膜する。なお、各母材124a,151,154の成膜後には、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等でそれぞれの表面を研磨して、平坦面とする。
【0064】
なお、金属膜母材151は、第1クラッド母材124a上の全面に成膜した後、所定の領域のみ残存するように予めパターニングしておくことが好ましい。本実施形態では、少なくともZ方向において、コア母材123における近接場光生成部23c(
図3参照)に相当する領域に残存するように(反射面23a及び光束集光部23b(
図3参照)に相当する領域の金属膜母材151を除去するように)金属膜母材151をパターニングしている。この場合、近接場光生成部23cに相当する領域では、第1コア母材154と第1クラッド母材124aとの間に金属膜母材151が挟持され、それ以外の領域では、第1コア母材154と第1クラッド母材124aとが密着することになる。これにより、第1コア母材154と第1クラッド母材124aとの密着性を向上させることができるので、製造途中における膜剥がれを抑制できる。
【0065】
また、上述した近接場光発生素子26(
図2,3参照)では、Z方向においてコア23の光束集光部23bにも金属膜51が形成されていると、光束集光部23bを伝播するレーザ光Lが金属膜51で吸収されて損失となり、レーザ光Lの伝播効率が低下する虞がある。これに対して、近接場光生成部23cに相当する領域にのみ金属膜51を形成することで、近接場光生成部23cまではコア23とクラッド24との間でレーザ光Lを全反射条件で伝播させることができる。そのため、より多くのレーザ光Lを近接場光生成部23cまで導くことができ、レーザ光Lの伝播効率を向上できる。
【0066】
続いて、
図10(b)に示すように、第1コア母材154上にフォトリソグラフィ技術を用いて第1コア母材154を除去すべき領域が開口したマスクパターン(不図示)を形成し、このマスクパターンを介して反応性イオンエッチング(RIE)を行う(第1パターニング工程)。これにより、マスクパターンが開口した領域の第1コア母材154がエッチングされ、Z方向から見て矩形状の第1コア母材154が形成される。また、第1コア母材154は、X方向から見て一端側から他端側にかけて先細る台形状に形成される。なお、第1パターニング工程においては、マスクパターンが開口した領域の第1コア母材154は、完全に除去せず僅かに残存させることが好ましい(
図10(b)中残存部60参照)。
【0067】
次に、
図10(c)に示すように、アルゴン(Ar)等のプラズマ中で第1コア母材154及び金属膜母材151をスパッタエッチングする(第2パターニング工程)。第2パターニング工程において、断面矩形状の第1コア母材154をスパッタエッチングすると、第1コア母材154のY方向両側の角部が選択的にエッチングされて斜面61が形成される。そして、この状態でさらにエッチングを続けると、斜面61が底面(
図5中側面23gに相当)に対して一定の角度を保ちながらエッチングされることで、
図10(d)に示すような第1コア母材154が形成される。
【0068】
その後、さらにエッチングを続けると、
図11(a)に示すように、第1コア母材154は相似形を保ちながら幅(Y方向における幅)、及び高さ(X方向における高さ)が縮小するとともに、残存部60が除去される。その結果、3つの側面を有する断面三角形状の第1コア54が形成される。このように、第1パターニング工程で矩形状に形成した第1コア母材154に対してスパッタエッチングを行うことで、Z方向から見て任意の幅や高さに第1コア54を形成することができる。
【0069】
ここで、残存部60を除去した後、さらにエッチングを続けると、第1コア54は相似形を保ったままエッチングされるとともに、金属膜母材151がエッチングされる。この場合、
図11(b)に示すように、金属膜母材151のY方向における端部(
図5における斜面51bに相当)は、コア23の側面23dと側面23gとのなす角度と同一の角度にエッチングされる。
以上により、上底51aが第1コア54の側面23gと同一の幅を有するとともに、斜面51bが第1コア54の側面23dと同一面上に配置された金属膜51が形成される。なお、第1コア54以外の領域の金属膜母材151を完全に除去するためには、第1クラッド母材124aも僅かにエッチングされる。この場合、上述した第1パターニング工程において、第1コア母材154に残存部60を形成しておくことで、第2パターニング工程で第1クラッド母材124aがオーバーエッチングされるのを防止できる。
【0070】
次に、
図11(c)に示すように、第1コア54及び金属膜51を覆うように第2コア55を形成する(第2コア形成工程)。具体的には、第1コア54全体を覆うように第2コア母材(不図示)を成膜し、その後第1コア54の他端側のみに第2コア母材が残存するようにパターニングする。なお、第2コア母材は、パターニングせずに、第1コア54、及び第1クラッド24aの全面に亘って形成しても構わない。これにより、製造工程を削減して、製造効率の向上を図ることができる。
【0071】
次に、
図11(d)に示すように、コア23(第1コア54及び第2コア55)及び金属膜51を覆うように遮光膜52を形成する(遮光膜形成工程)。具体的には、コア23の側面23dにおける近接場光生成部23cに相当する領域に、遮光膜52が残存するようにパターニングする。
そして、
図10(e)に示すように、コア23(第1コア54及び第2コア55)及び遮光膜52を覆うように、第2クラッド24bを形成する(第2クラッド形成工程)。その後、CMP等で第2クラッド24bの表面を研磨して、平坦面に形成する。そして、第2クラッド24b上に再生素子22を形成する。これにより、基板120上に記録素子21、近接場光発生素子26、及び再生素子22が形成される。
【0072】
続いて、基板120を、Z方向に沿って各スライダ20ごとに間隔をあけた状態でY方向に沿ってダイシングして、一方向(Y方向)に沿って複数のスライダ20が連なった状態のバー(不図示)を形成する。その後、ダイシングしたバーの側面(切断面)を研磨する(研磨工程)。この研磨工程では、ELG(electro lapping guide)を用い、バーの側面の位置だしを行う。ELGとは、ELG素子の抵抗値を確認しながら研磨を行って研磨量を制御するものである。本実施形態では、例えばバーのELGエリア(後述するスライダ工程におけるダイシング代)に、ELG素子と、ELG素子の両端に接続された一対のパッドと、を形成し、パッドを介してELG素子に通電しながら研磨する。すると、バーの側面とともにELG素子も研磨され、ELG素子のZ方向における幅が減少し、電気抵抗が増加する。そこで、ELG素子の電気抵抗と研磨量との相関を予め求めておき、ELG素子の抵抗値をモニタしながら研磨して、抵抗値が所定の値に達した時点で所望の研磨量が得られたと判断して研磨を終了する。なお、ELG素子やパッドは研磨時に電気抵抗の変化を検出するのが基本的な機能であるため、極端な微細構造とする必要はない。
【0073】
その後、各スライダ20ごとの大きさになるようにバーをZ方向に沿って切断する(スライダ工程)。
以上により、上述した近接場光発生素子26を有する記録再生ヘッド2が完成する。
【0074】
このように、本実施形態では、金属膜51の幅W1をコア23(第1コア54及び第2コア55)の側面23gの幅W3に比べて狭く形成する構成とした。
この構成によれば、コア23に対して金属膜51を小さくすることで、コア23内を伝播するレーザ光Lの伝播効率の低下を抑制した上で、近接場光Rのスポットサイズの縮小化を図ることができる。これにより、光量を確保した上で、近接場光Rのスポットサイズを縮小できるので、ディスクDをより局所的に加熱することができる。
また、第1コア54と第2コア55とを同一材料により構成することで、第1コア54と第2コア55との界面におけるレーザ光Lの反射や吸収等を防止して、コア23の一端側から他端側に向けて効果的にレーザ光Lを伝播することができる。
【0075】
また、本実施形態では、コア23の側面23dを覆うように遮光膜52を形成することで、近接場光生成部23cに入射したレーザ光Lは、第2クラッド24b側に漏れることなく、遮光膜52と近接場光生成部23cとの界面で反射されながら、端面23eに向けて伝播する。これにより、レーザ光Lを効率的に金属膜51に入射させることができ、近接場光Rの発生効率を向上できる。
【0076】
しかも、本実施形態では、第2パターニング工程において、第1コア母材154及び金属膜母材151のエッチングを一括して行った後、第1コア54を覆うように第2コア55を形成する構成とした。
この構成によれば、第1コア母材154と金属膜母材151とを同一のパターニング工程で一括してパターニングすることで、金属膜51の上底51aの幅W1を第1コア54の側面23gの幅W2と同等に形成することができる。そして、第2コア55により第1コア54を覆うことで、コア23(第1コア54及び第2コア55)の側面23gの幅W3に比べて幅の狭い金属膜51を簡単に形成できる。
この場合、例えば、第1コア54と金属膜51とをそれぞれ別工程でパターニングする場合と異なり、金属膜51と第1コア54とを精度良く位置決めすることができる。
【0077】
そして、本発明の情報記録再生装置1(記録再生ヘッド2)は、上述した近接場光発生素子26を備えているので、上述した熱揺らぎ現象等の影響を抑制して、安定した記録を行うことができる。よって、情報の記録再生を正確且つ高密度に行うことができ、高品質化を図ることができる。
【0078】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図12は、第2実施形態における記録再生ヘッドの流出端側の側面を拡大した断面図であり、
図13は
図11のD部拡大図である。また、
図14は、記録再生ヘッドの流出端側の断面図であり、(a)は
図12のE−E線に沿う断面図、(b)はF−F線に沿う断面図、(c)はG−G線に沿う断面図である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
図12〜
図14に示すように、本実施形態の記録再生ヘッド2は、スライダ20の流出端側の側面上にX方向に沿って近接場光発生素子26、記録素子21、及び再生素子22が順に配置されている。
【0079】
この場合、記録素子21は、第2クラッド124b内にモールドされるとともに、主磁極33の先端部分33aは、コア23の側面23dを覆うように配置されている。すなわち、本実施形態の主磁極33の先端部分33aは、上述した遮光膜52(
図5参照)と同様の役割も兼ねている。
【0080】
この構成によれば、スライダ20の側面上において、ディスクDの回転方向に沿って近接場光発生素子26、記録素子21、及び再生素子22が配置されることになる。この場合、ディスクDは、先に近接場光発生素子26から発生した近接場光Rにより加熱された後、保持力が確実に低下した状態で、記録素子21の下方を通過するため、ディスクDへの記録をスムーズ、かつ高精度に行うことができる。
【0081】
なお、上述した実施形態では、Z方向から見て三角形状のコア23について説明したが、これに限らず、
図15に示すように、コア23の他端側(近接場光生成部23c)をZ方向から見て台形状に形成しても構わない。この場合も上述した第1実施形態の近接場光発生素子26と同様の方法により、コア23を製造することができる。すなわち、第2パターニング工程において、Y方向両側の角部に加えてZ方向他端側の角部をスパッタエッチングすることで、他端側が台形状のコア23を製造できる。なお、
図15は、
図14に相当する断面図である。
このように、コア23をZ方向から見て三角形状または台形状に形成することで、コア23内を伝播したレーザ光を、金属膜51に向けて効果的に反射させることができる。なお、コア23のZ方向から見た断面形状は三角形状や台形状に限らず、五角形状等の多角形状に適宜設計変更が可能である。
【0082】
また、上述した実施形態では、光束伝播素子25のコア23(光束集光部23b)が一端側から他端側に向けて漸次絞り成形されている場合を例に挙げたが、この場合に限られず、
図16に示すように、ストレートに形成されていても構わない。
【0083】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図17は、第3実施形態における記録再生ヘッドの流出端側の側面を拡大した断面図であり、
図18は
図17のH矢視図である。
図17,18に示すように、本実施形態の記録再生ヘッド2は、記録素子21におけるコイル34と主磁極33との間に近接場光発生素子26が配置されている。本実施形態における記録素子21は、第1クラッド24a内にモールドされた補助磁極31及びコイル34と、第2クラッド24b内にモールドされた主磁極33と、補助磁極31及び主磁極33の間に配置されたヨーク135と、を備えている。
【0084】
補助磁極31は、再生素子22上に配置されるとともに、X方向に沿って延在するヨーク135の一端側が接続されている。コイル34は、ヨーク135を中心としてヨーク135の周囲に螺旋状に形成されている。また、ヨーク135には、Z方向に貫通する貫通孔135aが形成され、この貫通孔135a内を貫通するようにコア23が配置されている。そして、ヨーク135の他端(コア23を間に挟んで補助磁極31の反対側)には、主磁極33が接続されている。
【0085】
ところで、上述したようにディスクDの回転時において、記録再生ヘッド2が凸条部20bによって浮上する力を受けると、ディスクD上から所定距離H離間した位置に浮上する(
図2参照)。このとき、浮上時のスライダ20の姿勢についてより詳細に説明すると、スライダ20はディスク面D1に対して水平ではなく、僅かに傾いている。具体的には、スライダ20の流出端側がディスクDに最も接近した状態で、ディスク面D1とスライダ20のABS20cとのなす角度が微小角度を保つように傾いている。
【0086】
そこで、本実施形態によれば、スライダ20における最も流出端側に、近接場光発生素子26と主磁極33とを配置できるので、近接場光発生素子26による近接場光Rと、主磁極33による磁界をディスクDに最も接近した状態で発生させることができる。これにより、ディスクDへの記録をスムーズ、かつ高精度に行うことができる。
【0087】
なお、上述した第3実施形態では、補助磁極31、コイル34、及び主磁極33をX方向から見て近接場光発生素子26と重なるように配置し、コア23がヨーク135内を貫通するように形成したが、これに限られない。例えば、
図19に示すように、補助磁極31及び主磁極33の一端側を屈曲させ、X方向から見てコイル34及びヨーク135を近接場光発生素子26からオフセットさせても構わない。
この構成によれば、上述した第3実施形態のようにヨーク135内にコア23を貫通させる等の加工が必要ないので、製造効率の向上を図ることができる。
【0088】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図20は、
図5に相当する図であって、第4実施形態における記録再生ヘッドを示す図である。本実施形態では、第1コア54の側面23d、及び金属膜51の斜面51bとともに主磁極33の先端部分33a(後述する突出部211の斜面211b)の外側端部を同一面上に配置する点で、上述した実施形態と相違している。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図20に示すように、本実施形態の記録再生ヘッド202における主磁極33の先端部分33aは、第1クラッド24a内に埋設されたベース部210と、ベース部210からコア23側に向けてX方向に沿って突出する突出部211と、を有している。
【0089】
突出部211は、Z方向から見てコア23側に向けて先細る等脚台形状に形成されている。具体的に、突出部211の上底211aのY方向における幅は、金属膜51の下底51cと同一の幅に形成されている。さらに、突出部211の斜面211bは、第1コア54の側面23d、及び金属膜51の斜面51bと同一面上に配置されている。すなわち、第1コア54、金属膜51、及び突出部211の積層体は、Z方向から見て第1コア54の相似形状に形成されている。なお、本実施形態において、第2コア55は、第1コア54の側面23dから主磁極33の突出部211の斜面211b、及びベース部210に亘って、これら第1コア54、及び主磁極33を覆うように形成されている。
【0090】
本実施形態の記録再生ヘッド202は、上述した第1実施形態の記録再生ヘッド2の製造方法とほぼ同等の工程を経ることで製造することができる。
図21は、
図10に相当する図であって、記録再生ヘッドの製造方法を説明するための工程図である。
まず、
図21(a)に示すように、第1クラッド母材124aにおいて、主磁極33の先端部分33aの形成領域に開口部124bが形成されるようにパターニングし、この開口部124bを埋めるように、第1クラッド母材124a上に主磁極33の先端部分33aの母材(以下、磁極母材220という)を成膜する(磁極形成工程)。なお、第1クラッド124aの開口部124bは、絶縁体35、及び絶縁体35内にモールドされた主磁極33の基端部分が露出する深さまで形成する。これにより、図示しないが磁極母材220は、絶縁体35内で主磁極33の基端部分と接続される。
【0091】
次に、
図21(b)に示すように、上述した第1実施形態と同様に金属膜母材151、及び第1コア母材154を成膜した後、上述した第1パターニング工程と同様の方法により、第1コア母材154に対してマスクパターン(不図示)を介して反応性イオンエッチング(RIE)を行う。この場合、Z方向から見て、第1コア母材154における矩形状に残存した部分のY方向における幅が、磁極母材220における第1クラッド124aの開口部124b内に埋設された部分の幅(Y方向の沿う開口部124bの幅)よりも狭くなるように、第1コア母材154をパターニングする。
その後、上述した第2パターニング工程と同様の方法により、スパッタエッチングを行い、第1コア母材154、金属膜母材151、及び磁極母材220を一括してエッチングする。その後は、上述した第1実施形態の工程と同様の工程を経ることで、上述した
図10に示す記録再生ヘッド202を製造できる。
【0092】
このように、本実施形態では、第1コア54、及び金属膜51とともに主磁極33の先端部分33aの母材を同一のパターニング工程で一括してパターニングすることで、Z方向から見て第1コア54の側面23d、金属膜51の斜面51b、及び主磁極33の突出部211における斜面211bが同一面上に配置されることになる。これにより、例えば、第1コア54、金属膜51、及び主磁極33をそれぞれ別工程でパターニングする場合と異なり、第1コア54、金属膜51、及び主磁極33を精度良く位置決めすることができる。さらに、高価な位置合わせ装置を用いることなく、第1コア54、金属膜51、及び主磁極33を精度良く位置決めすることができるので、装置コストを低減できる。
【0093】
この場合、主磁極33の先端部分33aが、金属膜51を間に挟んで第1コア54の反対側から金属膜51を覆うように形成される。そのため、近接場光Rの発生位置と、主磁極33からの磁場の発生位置とを高精度に位置決めでき、記録再生ヘッド202自体の書き込みの信頼性を高め、高品質化を図ることができる。
【0094】
また、仮に金属膜51でプラズモン共鳴を起こさずに、光束が金属膜51を透過してしまった場合であっても、光束を突出部211の上底211aで反射させてコア23内に戻すことで、再び金属膜51に光束を入射させることができる。これにより、近接場光Rの発生効率をより向上できる。さらに、光束が金属膜51でプラズモン共鳴を起こさずに外部に漏れるのを抑制できるので、コア23の近傍のみに極めて小さい近接場光Rのスポットを生成することができる。
【0095】
(第5実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図22は、
図5に相当する図であって、第5実施形態における記録再生ヘッドを示す図である。
図22に示すように、本実施形態の記録再生ヘッド302では、主磁極33の先端部分303が第1クラッド24aと金属膜51との間に配置されている。主磁極33の先端部分303は、Z方向に沿う一端側が絶縁体35内にモールドされた主磁極33の基端部分に接続される一方、他端側がコア23の端面23eと面一となるように形成されている。また、先端部分303は、Z方向から見てコア23側に向けて先細る等脚台形状に形成されている。具体的に、先端部分303の上底303aのY方向における幅は、金属膜51の下底51cと同一の幅に形成されている。さらに、先端部分303の斜面303bは、第1コア54の側面23d、及び金属膜51の斜面51bと同一面上に配置されている。すなわち、第1コア54、金属膜51、及び先端部分303の積層体は、Z方向から見て第1コア54の相似形状に形成されるとともに、上述した積層体の各側面(及び斜面)全体が第2コア55、及び遮光膜52により覆われている。
【0096】
図23は、
図22に相当する図であって、記録再生ヘッドの製造方法を説明するための工程図である。
図23(a)に示すように、本実施形態の記録再生ヘッドは302を製造するためには、まず第1クラッド24a上に磁極母材304を成膜する(磁極形成工程)。なお、図示しないが、磁極母材304は、第1クラッド24a、及び絶縁体35を通して主磁極33の基端部分と接続されている。
次に、
図23(b)に示すように、上述した第1実施形態と同様に金属膜母材151、及び第1コア母材154を成膜した後、上述した第1パターニング工程と同様の方法により、第1コア母材154に対してマスクパターン(不図示)を介して反応性イオンエッチング(RIE)を行う。本実施形態の第1パターニング工程では、第1コア母材154、金属膜母材151、及び磁極母材304をX方向に沿って一括してエッチングすることで、Z方向から見て第1コア母材154、金属膜母材151、及び磁極母材304の積層体が矩形状に残存する。
【0097】
次に、
図23(c)に示すように、上述した第2パターニング工程と同様の方法により、スパッタエッチングを行い、第1コア母材154、金属膜母材151、及び磁極母材304を一括してエッチングする。この際、第1クラッド24aの表面が僅かに除去されるまでエッチングを行うことで、磁極母材304の角部、及び側面が全て除去され、第1コア54の側面23d、及び金属膜51の斜面51bと同一面(斜面303b)を有する先端部分303が形成される。
【0098】
その後は、上述した第1実施形態の工程と同様の工程を経ることで、上述した
図22に示す記録再生ヘッド302を製造できる。
【0099】
このように、本実施形態によれば、上述した第4実施形態と同様の効果を奏するとともに、金属膜51から発生する近接場光Rと、主磁極33の先端部分303から発生する磁場とをより縮小させ、高密度記録化に対応することができる。なお、上述した第3実施形態では、第2パターニング工程において、磁極母材304の角部、及び側面を全て除去する構成について説明したが、これに限らず、
図24に示すように、磁極母材304の側面を残存させた状態でエッチングを終了しても構わない。
【0100】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
図25は、
図5に相当する図であって、第6実施形態における記録再生ヘッドを示す図である。
図25に示すように、本実施形態の記録再生ヘッド402では、金属膜51と主磁極33の先端部分303との間に両者をX方向で画成する離間膜401が形成されている。この離間膜401は、絶縁材料により構成されていることが好ましく、本実施形態では上述したコア23(第1コア54、及び第2コア55)と同材料により形成されている。なお、第1コア54と第2コア55とを異なる材料で形成した場合には、離間膜401は第2コア55と同材料により形成することが好ましい。
本実施形態によれば、金属膜51と主磁極33の先端部分303とを電気的に絶縁できるとともに、金属膜51の合金化を抑制できるので、金属膜51での自由電子の運動に悪影響が及ぶことがない。そのため、近接場光Rの発生効率をより向上できる。
【0101】
なお、本発明の技術範囲は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、上述した実施形態で挙げた構成等はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上述の実施形態では、記録再生ヘッドを浮上させた空気浮上タイプの情報記録再生装置を例に挙げて説明したが、この場合に限られず、ディスク面に対向配置されていればディスクと記録再生ヘッドとが接触していても構わない。つまり、本発明の記録再生ヘッドは、コンタクトスライダタイプの記録再生ヘッドであっても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏することができる。
また、各実施形態を適宜組み合わせても構わない。
【0102】
また、コア23とクラッド24とをそれぞれ異なる材料で一体的に形成した光束伝播素子25を例に挙げたが、中空状に形成しても構わない。この場合には、中空となった空気部分がコアとなり、その周囲を囲んでいる部分がクラッドとなる。このように構成された光束伝播素子であっても、レーザ光Lを伝播させて近接場光発生素子26に入射させることができる。
また、上述した実施形態では、本発明の記録再生ヘッド2をディスクDに対して垂直な記録磁界を与える垂直磁気記録方式に採用する場合について説明したが、これに限らず、ディスクDに対して水平な記録磁界を与える面内記録方式に採用しても構わない。
【0103】
また、上述した第1パターニング工程において、コア23の残存部60を形成する方法について説明したが、残存部60を残さずにコア23の形成領域以外のコア23を全て除去しても構わない。
【0104】
さらに、金属膜51と第1クラッドとの間にも遮光膜52を形成しても構わない。すなわち、コア23の全周に亘って遮光膜52を形成しても構わない。この場合には、金属膜51でプラズモン共鳴を起こさずに、金属膜51を透過してしまったレーザ光を反射させてコア23内に戻すことで、再び金属膜51に入射させることができる。これにより、近接場光Rの発生効率をより向上できる。
【0105】
また、上述した実施形態では、第1コア54及び第2コア55の2層によりコア23を構成したが、これに限らず3層以上で構成しても構わない。
さらに、上述した実施形態では、金属膜51の幅W1を第1コア54の幅W2と同等に形成した場合について説明したが、これに限らず、第2コア55の幅よりも狭ければ構わない。すなわち、金属膜51を第1コア54よりも狭く形成しても構わない。
また、スライダ20の背面(対向面20aとは反対側の面)側にレーザ43を搭載し、光導波路42を介さずに直接、光束伝播素子25にレーザ光Lを導入する構成にしても構わない。