特許第5943504号(P5943504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5943504-吸収性物品 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943504
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/534 20060101AFI20160621BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20160621BHJP
   A61F 13/537 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   A61F13/534 110
   A61F13/53 300
   A61F13/537 220
   A61F13/537 310
   A61F13/537 400
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-237906(P2011-237906)
(22)【出願日】2011年10月28日
(65)【公開番号】特開2013-94296(P2013-94296A)
(43)【公開日】2013年5月20日
【審査請求日】2014年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 浩二
(72)【発明者】
【氏名】林 伸匡
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−275225(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/043256(WO,A1)
【文献】 実開平05−048923(JP,U)
【文献】 特開2004−033236(JP,A)
【文献】 特開2010−075462(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0069367(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性シートからなるトップシートと液不透過性シートからなるバックシートの間に、前記トップシート側から順に吸水シートと吸水性繊維層とを備えた吸収体を具備する吸収性物品であって、
厚さが4mm以下であり、
前記吸水シートは、前記トップシート側から順に、上部親水性不織布と、吸水性樹脂Aと接着剤を含有する1次吸水層と、中間親水性不織布と、吸水性樹脂Bと前記接着剤を含有する2次吸水層と、下部親水性不織布と、からなり、
前記吸水シートにおける前記吸水性樹脂A及び前記吸水性樹脂Bの全含有量が100〜1000g/mであり、
前記吸水性繊維層は、木材パルプベースのエアレイド不織布のみからなることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記吸水性繊維層は、5g/g以上の吸水量を有することを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
繰り返し吸収速度の3回の合計が、120秒以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
長手方向両側部に一対のサイド防漏部を備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記トップシートと前記吸収体の間に、液拡散性シートをさらに備え、当該液拡散性シートは、0.5mm以上の厚さを有し、25g/m以上の目付けを有する親水性不織布であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸水シートを構成する前記1次吸水層に含まれる前記吸水性樹脂Aの吸収速度がVortex法吸収速度で30〜70秒であり、
前記吸水シートを構成する前記2次吸水層に含まれる前記吸水性樹脂Bの吸収速度がVortex法吸収速度で1〜30秒であって、
両者の差が少なくとも10秒以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超薄型で吸収性に優れる吸収性物品に関する。さらに詳しくは、尿などの排泄物を吸収、保持する使い捨ての軽失禁製品、パンツ型紙おむつ、尿とりパッド、およびテープ止め紙おむつ等に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ての吸収性物品の吸収体には、吸水性樹脂とフラッフパルプ(以下、「パルプ」という。)の混合物が使用されている。この混合物はパルプのマットの中に吸水性樹脂を均一、または特定部分に埋設することにより、尿の拡散とその保持を行うもので、所定の吸収性能を得るには、ある程度の吸水性樹脂とパルプの量が必要とされる。
【0003】
吸水性樹脂に対してパルプが多い場合、製品の厚さも厚くなり、着用者にとってフィット感を阻害したり、違和感を感じさせたり、衣服の上から着用が目立つなどの不都合が発生する。その改善のためにパルプを減量したり、吸収体マットをプレス、およびエンボスを施すなどの手段がとられるが、その場合は、吸収体マットが堅くなったり、吸収速度が遅くなるなどの問題がある。
【0004】
また、パルプに対して吸水性樹脂が多い場合は、吸収キャパシテイは増加するが、尿の拡散、および吸収速度が悪くなり、漏れの原因となる。すなわち、最初の排尿に対する吸収速度はパルプが多い場合と比較して大差ないが、2回目、3回目の排尿に対する吸収速度は、最初の排尿の吸収で膨潤した吸水性樹脂が尿の拡散を阻害するために、極端に遅くなる。さらに、前記パルプリッチと吸水性樹脂リッチの場合に共通して、吸水性樹脂とパルプのマットが使用中によれたりしやすくなる。
【0005】
吸水性樹脂とパルプの混合物の吸収体では、以上のように一長一短があり、それらを解決するための薄型の吸収体が提案されている。
【0006】
吸水後の吸収体の保型性を向上させ、吸収体の薄型化を目的として、不織布状以外のパルプ繊維を含まず、2枚の不織布間にホットメルト網状体により吸水性樹脂が付着した吸収用積層体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、吸収速度、及び高吸収性ポリマーのゲルブロッキングの防止を目的として、繊維材料中に特定の粒度分布を持った高吸収性ポリマーの粒子が、ある空隙をもった厚み方向に分散配置された吸収性シートが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−106554号公報
【特許文献2】特開2007−61171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のいずれの提案も、吸収量、吸収速度、吸収後のさらさら感(液戻り減少)などのすべての吸収性能において、優れているとは言い難い。実際にユーザーにとって、薄型であっても、保型性がよく、吸収性能に優れた安心感のある製品が望まれている。
【0009】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、超薄型で、やわらかくて動きやすい上に、さらに十分な吸収性能を有し、使用に際して安心感のある吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的は、下記(1)〜(8)の本発明によって達成される。
【0011】
(1)液透過性シートからなるトップシートと液不透過性シートからなるバックシートの間に、トップシート側から順に吸水シートと吸水性繊維層とを備えた吸収体を具備する吸収性物品であって、吸水シートは、トップシート側から順に、上部親水性不織布と、吸水性樹脂Aと接着剤を含有する1次吸水層と、中間親水性不織布と、吸水性樹脂Bと接着剤を含有する2次吸水層と、下部親水性不織布と、からなり、吸水シートにおける吸水性樹脂A及び吸水性樹脂Bの全含有量が100〜1000g/mであることを特徴とする吸収性物品。
【0012】
(2)吸水性繊維層は、5g/g以上の吸水量を有する、パルプエアレイド層、またはフラッフパルプ層であることを特徴とする(1)に記載の吸収性物品。
【0013】
(3)吸水性繊維層が、50質量%以下の吸水性樹脂を含むことを特徴とする(1)又は(2)に記載の吸収性物品。
【0014】
(4)吸水シートが、上部親水性不織布から下部親水性不織布までエンボスにより一体化された部分を有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の吸収性物品。
【0015】
(5)繰り返し吸収速度の3回の合計が、120秒以下であり、厚さが5mm以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の吸収性物品。
【0016】
(6)長手方向両側部に一対のサイド防漏部を備えたことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の吸収性物品。
【0017】
(7)トップシートと吸収体の間に、液拡散性シートをさらに備え、その液拡散性シートは、0.5mm以上の厚さを有し、25g/m以上の目付けを有する親水性不織布であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の吸収性物品。
【0018】
(8)吸水シートを構成する1次吸水層に含まれる吸水性樹脂Aの吸収速度がVortex法吸収速度で30〜70秒であり、吸収シートを構成する2次吸水層に含まれる吸水性樹脂Bの吸収速度がVortex法吸収速度で1〜30秒であって、両者の差が少なくとも10秒以上であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の吸収性物品。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、超薄型で、やわらかくて動きやすい上に、さらに十分な吸収性能を有し、使用に際して安心感のある吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る吸収用物品の断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る軽失禁パッドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)について詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る吸収性物品の断面図である。
【0023】
吸収性物品1は、液体の拡散、保持を主とした吸水シート4とその下に吸水性繊維5を設けた複合シートを吸収体6として、その吸収体6の上側に、液拡散性シート7、及び液透過性のトップシート2を配し、吸収体6の下側に液不透過性の防漏性のバックシート3を設けたものである。
【0024】
吸水シート4は、上部親水性不織布41、1次吸水層42、中間親水性不織布43、2次吸水層44、及び下部親水性不織布45から構成される。
【0025】
1次吸水層42及び2次吸水層44は、吸水性樹脂と接着剤を含み、この接着剤によって、上記上部親水性不織布41、1次吸水層42、中間親水性不織布43、2次吸水層44、及び下部親水性不織布45は、相互に接着される。
【0026】
吸水性樹脂の吸収速度の指標として、Vortex法による生理食塩水の吸収速度がある。これは、回転子を入れた100mlのビーカーに、生理食塩水を50ml加え、マグネチックスターラーを使用して600rpmで撹拌し、吸水性樹脂2.000gを精秤して渦中に投入し、投入後からストップウォッチにて時間計測を開始し、マグネチックスターラーの回転子が止まるまでの時間を計測するものである。数値が小さいほど吸収速度が速いことを表す。
【0027】
1次吸水層42に用いられる吸水性樹脂AのVortex法による生理食塩水の吸収速度は、吸水シート4の液の吸収速度を速め、1次吸収層における液の滞留を回避し、液を前後左右、下部にすばやく拡散する観点から、30〜70秒が好ましく、より好ましくは35〜60秒であり、さらに好ましくは35〜55秒である。
【0028】
2次吸水層44に含有される吸水性樹脂は、1次吸水層で吸収しきれなかった液体をすばやく吸収し、保持する役目を持つ。そのためには、吸収速度の速い吸水性樹脂を使用することが好ましい。
【0029】
2次吸収層44に含有される吸水性樹脂BのVortex法による生理食塩水の吸収速度は、1〜30秒が好ましく、より好ましくは2〜25秒であり、さらに好ましくは3〜20秒である。
【0030】
1次吸収層42に用いられる吸水性樹脂Aの吸収速度と、2次吸収層44に含まれる吸水性樹脂Bの吸収速度との間には、正の値の差があることが好ましい。かかる差が大きいほど、1次吸収層42における液の滞留を回避し、かつ2次吸収層における液の保持が効率よく発揮される。具体的には、両者の差が10秒以上であることが好ましく、15秒以上であることがより好ましく、20秒以上であることがさらに好ましい。
【0031】
本発明に使用される吸水性樹脂の中位粒子径は、1次吸収層、2次吸収層であるかにかかわらず、100〜600μmが好ましく、200〜500μmがより好ましい。粉体としての流動性が悪い微粉末の仕様を避け、吸収シート4の基本性能を高める観点から、吸水性樹脂の中位粒子径は100μm以上が好ましく、吸収シート4が堅くなるのを防ぎ、またゴツゴツする感触を低減して、触感を改善する観点から、吸水性樹脂の中位粒子径は600μm以下であることが好ましい。
【0032】
吸収シート4に含有する吸水性樹脂A、吸水性樹脂Bの全含有量は、要求される吸収性能によって100〜1000g/mの範囲が好ましく、より好ましくは200〜800g/mであり、よりさらに好ましくは250〜600g/mである。吸収シート4として十分な吸収性能を発揮させ、吸収後のさらさら感を保つ観点から、当該全含有量は100g/m以上であることが好ましく、超薄型で、やわらかくて動きやすさを保つ観点から、当該全含有量は1000g/m以下であることが好ましい。
【0033】
また、1次吸水層42における吸水性樹脂Aと2次吸水層44における吸水性樹脂Bの含有比率は、(1次吸水層42における吸水性樹脂A)/(2次吸水層44における吸水性樹脂B)=98/2〜50/50であることが好ましい。2次吸収層44の吸収性を充分に発揮する観点から、1次吸収層42の比率は98以下であることが好ましく、1次吸収層の液戻りを少なくする観点から、1次吸収層の比率は50以上であることが好ましい。
【0034】
1次吸水層42、2次吸水層44における接着剤の含有割合は、吸水性樹脂の固定化のために、吸水性樹脂A又は吸水樹脂Bの含有量(質量基準)に対して0.05〜2.0倍であることが好ましい。0.05倍未満だと吸水性樹脂の固定が不十分であり、2.0倍を超えると吸水性樹脂の吸水性を阻害したり、シートが硬くなる。より好ましくは0.1〜1.5倍の範囲である。
【0035】
吸収性樹脂A及び吸収性樹脂Bの組成としては、公知のものが使用でき、ポリアクリル酸系、でんぷん系、セルロース系などがある。
【0036】
接着剤としては、融点が100〜180℃程度で、スチレンーブタジエン−スチレン系共重合体、スチレンーイソプレン−スチレン系共重合体などの合成ゴム系、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系のホットメルト接着剤が使用される。ホットメルト接着剤の塗布方法には、ノズルから溶融状態の接着剤を非接触で塗布するカーテンコート法やスパイラル法があり、また接触式ではスロット法など、公知の方法が利用できる。
【0037】
さらに、上部親水性不織布41、1次吸水層42、中間親水性不織布43、2次吸水層44、及び下部親水性不織布45を接着剤によって一体化した吸水シート4全体に熱エンボスを施すことによって、吸水シート4全体への液体の拡散を効率よくすることができ、さらに吸水性樹脂の固定が強化できる。そのエンボスパターンは、直線、曲線、ドット状など特に限定せず、またパターン形状も格子状、波状、エイコンパターン(どんぐりの連続形状)など、液体の拡散を効率よくするためのものが適宜選択される。
【0038】
また、吸収量の多いものを得るためには、上記構成の吸水シート4を複数枚重ねて多段吸水シートとすることも可能である。
【0039】
吸水シート4を構成する中間親水性不織布43、上部親水性不織布41、及び下部親水性不織布45は、20g/m以上のものであれば使用できるが、少なくとも1枚はスパンレース不織布であることが好ましい。さらに、それが下部親水性不織布45であればなお好ましい。スパンレース不織布は、親水性が高く、それ自身が保水して一時的に液体を保持することができるからである。スパンレース不織布はレーヨンやコットンのセルロース系、及び合成繊維系などが使用できる。その目付けは適宜選択できるが20g/m以上のものが好ましい。スパンレース不織布以外としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなどの合成繊維系からなるエアースルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布が使用できる。本発明においては、特に液戻りの防止に優れるエアースルー不織布が好適である。
【0040】
吸水シート4と防漏性のバックシート3の間に、吸水性繊維層5を設け、吸水シート4中の2次吸水層44で吸収し切れなかった液をこの吸水性繊維層5で最終的に吸収し、上部への液戻りを防止する。吸水性繊維層5は、木材パルプベースのエアレイド不織布、またはフラッフパルプを積層したもので、5g/g以上の吸水量をもつものである。また、フラッフパルプを積層したものに50質量%以下の吸水性樹脂を含ませたものは吸水性能の点でより優れたものとなる。吸水性繊維層5は、単独で積層するほか、その上下を不織布やパルプシートで挟んだり、ラップすることも可能である。
【0041】
吸水シート4とトップシート2の間に、液拡散性シート7を設ける。液体は、まずトップシート2を通って、吸水シート4、吸水性繊維5へ順次拡散、吸収するが、できるだけ吸収後すばやく前後左右に拡散していくのが好ましい。そのために、トップシート2の下に液拡散性シート7を設けて拡散を促し、液体を広く吸水シート4に移動させることができ、効率よく吸収させることができる。
【0042】
液拡散性シート7は、0.5mm以上の厚さで、25g/m以上の目付けのポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなどの合成繊維系からなるエアースルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布が使用できる。本発明においては、特に液戻りの防止に優れるエアースルー不織布が好適である。
【0043】
上記の構成のほかに、消臭機能を持った消臭剤を吸水性樹脂とともに添加したり、消臭剤を不織布やパルプシート中に塗布、担持したシートを上記構成の中に適宜積層することができる。
【0044】
また、着用時の横漏れを防止するために、長手方向両側縁部に一対のサイド防漏部8を設けることができる。サイド防漏部は撥水性の不織布を用い、吸収体6の長手方向側縁部に接着剤等によって接着することにより吸収体6の横方向からのしみ出しを防止するように形成される。サイド防漏部8は吸収性物品1の上方に立体的に立ち上がる、所謂立体ギャザーとすることも可能である。
【0045】
図2は、本発明の吸収性物品1の応用製品である軽失禁パッド11の外観を示したものである。トップシート12、バックシート13、サイド防漏部18が見える。
【0046】
以上の構成により、吸収性物品1としての厚さが5mm以下(測定方法は後述)で、3回繰り返し吸収速度の合計が120秒以下で、さらに液戻りの少ない性能を実現できるものである。なお、吸収性物品1としての厚さは、4mm以下がより好ましく、3mm以下がさらに好ましい。吸収速度の合計は、100秒以下がより好ましく、80秒以下がさらに好ましい。
【実施例】
【0047】
実施例1〜4及び参考例は、トップシート2として目付け20g/mのエアースルー不織布、液拡散性シート7として目付け30g/mのエアースルー不織布、バックシート3として目付け32g/mの通気性ポリエチレンフィルムを共通部材として用い、吸水シート4の構成、及び吸水性繊維層5が異なったものである。
【0048】
(実施例1)
吸水シート4の上部親水性不織布41に目付け20g/mのエアースルー不織布、中間親水性不織布43に目付け20g/mのエアースルー不織布、下部親水性不織布45に目付け35g/mのレーヨンベースのスパンレース不織布、吸水シート4の吸水性樹脂A及び吸水性樹脂Bの全含有量を290g/m、1次吸水層42の吸水性樹脂Aは、吸収速度42秒、中位粒子径380μm、2次吸水層44の吸水性樹脂Bは、吸収速度20秒、中位粒子径310μm、1次吸水層42の吸水性樹脂Aと2次吸水層44の吸水性樹脂Bの質量比を50/50とし、吸水性繊維層5に木材パルプベースの目付け75g/mエアレイド不織布を用いて吸収性物品1を作製した。
【0049】
(実施例2)
吸水シート4中の2次吸水層44の吸水性樹脂Bとして、吸収速度5秒、中位粒子径250μm、吸水性樹脂A及び吸水性樹脂Bの全含有量を375g/m、1次吸水層42の吸水性樹脂Aと2次吸水層44の吸水性樹脂Bの質量比を60/40としたこと以外は実施例1と同じ構成の吸収性物品1を作製した。
【0050】
(実施例3)
実施例3では、吸水シート4中の1次吸水層42の吸水性樹脂Aと2次吸水層44の吸水性樹脂Bの質量比を80/20としたこと以外は実施例2と同じ構成の吸収性物品1を作製した。
【0051】
参考例
参考例では、吸水性繊維層5として、フラッフパルプ6.0gと吸水性樹脂2.0gの混合体を用いたこと以外は実施例1と同じ構成の吸収性物品1を作製した。
【0052】
(実施例
吸水シート4の1次吸水層42の吸水性樹脂Aは、吸収速度20秒、中位粒子径310μm、2次吸水層44の吸水性樹脂Bは、吸収速度42秒、中位粒子径380μmのものを用いたこと以外は実施例1と同条件、同じものを使用して吸収性物品1を作製した。
【0053】
(比較例1)
実施例1〜4で使用した吸水シート4の代わりに、2層のフラッフパルプと吸水性樹脂の混合体を使用し、吸水性繊維層5は使用せず、トップシート2と液拡散性シート7は実施例1〜4と同じものを使用して吸収性物品1を作製した。
【0054】
(比較例2)
吸水シートとして、上部親水性不織布に35g/mのレーヨンベースのスパンレース不織布、下部親水性不織布に20g/mのエアースルー不織布、その間に吸収速度53秒、中位粒子径420μmの吸水性樹脂からなる吸水層を使用し、その吸水シートの上側に吸水性繊維層である木材パルプベースの目付け75g/mエアレイド不織布を積層した吸収性物品を作製した。
実施例1〜4、参考例、比較例1、2で作製した吸収性物品について、下記のような試験法により、ぞれぞれの物性を測定し、比較した。
【0055】
(測定方法)
(厚さ)
尾崎製作所製ピーコックダイヤルゲージを用いて、3432Paの加重がかかるようにダイヤルゲージに錘を乗せ、吸収性物品の長手方向、かつ幅方向の中央部の厚さを測定した。
【0056】
(吸収速度3回法)
底面積16.8cmの円柱の中央に内径19mmの穴が開いており、重さを755.6gとした測定冶具を、吸収性物品の長手方向、かつ幅方向の中央部の上に置き、上部の穴から生理食塩水20mlを投下し、生理食塩水が吸水性物品に接触した時点から治具中央円内の円周に液体が完全に吸い込まれるところを終点として時間を計測する(1回目)。そして3分経過後に再度20mlの生理食塩水を注入し、同様に吸収するまでの時間を計測する(2回目)、同様に3回目を計測する。
【0057】
(液戻り)
吸収性物品の長手方向、かつ幅方向中央部に、生理食塩水120mlを注入し、10分経過後に、あらかじめ重量を測定したろ紙(ADVANTEC社製No.2ろ紙、直径55mm)を注入場所中心におき、その上に687gの錘をのせる(35g/cm)。錘を乗せてから1分経過後、ろ紙の重量を測り、ろ紙の重量差を液戻り量とする。
【0058】
(総吸収量)
あらかじめ重量を測定した吸収性物品を、生理食塩水に完全に浸かるように5分間浸漬させる。5分後、吸収性物品のトップシートを下にして金網の上において30秒水切りをして、吸収後の重量を測定し、吸収前後の重量差を総吸収量とする。 総吸収量も、吸収性能の一つで、もれやドライ感に影響を及ぼすが、求められる性能によって適宜設定することができる。
【0059】
表1−1は実施例1〜4、参考例で、表1−2は比較例1、2で作製した吸収性物品に関する測定結果を示したものである。
【0060】
(表1−1)実施例1〜4、参考例
【0061】
(表1−2)比較例1、2

【0062】
表1に示した結果から、以下のことが明らかとなった。
(イ)厚さは装着時の着用感を示す指標である。実施例1〜は、いずれも厚さ5mm以下で、明らかに比較例1より薄く、比較例2は、実施例1〜とほぼ同レベルであった。
(ロ)吸収速度は、吸収性能のひとつで、着用時の漏れに影響を及ぼす。1回目〜3回目までの吸収速度の合計値では、実施例1〜はいずれも120秒以下で、比較例2に比べて大幅に優れていた。また実施例1〜は比較例1とはほぼ同レベルであった。
(ハ)液戻りは、吸収性能のひとつで、着用時のドライ感をあらわし、快適さとかぶれに影響を及ぼす。生理食塩水120ml注入後10分後の液戻り量は、1.0g以下であることが好ましい。さらに0.2g以下であることがより好ましい。実施例1〜は0.2g以下であった。
【0063】
以上から、実施例1〜4では、フラッフと吸水性樹脂による従来の吸収体と同等以上の吸収速度、液戻り、及び総吸収量等を薄型で達成できており、さらに実施例1〜4の吸収体はもれや吸水後のドライ感に優れたものであることが明らかとなった。
【0064】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが、当業者には明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0065】
1 吸収性物品
11 軽失禁パッド
12 トップシート
13 バックシート
18 サイド防漏部
2 トップシート
3 バックシート
4 吸水シート
41 上部親水性不織布
42 1次吸水層
43 中間親水性不織布
44 2次吸水層
45 下部親水性不織布
5 吸水性繊維層
6 吸収体
7 液拡散性シート
8 サイド防漏部
図1
図2