特許第5943507号(P5943507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5943507R−T−B−M−A系希土類永久磁石及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943507
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】R−T−B−M−A系希土類永久磁石及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/057 20060101AFI20160621BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20160621BHJP
   B22F 9/04 20060101ALI20160621BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20160621BHJP
   H01F 1/08 20060101ALI20160621BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   H01F1/04 H
   B22F1/00 Y
   B22F9/04 E
   C22C38/00 303D
   H01F1/08 B
   H01F41/02 G
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-531281(P2011-531281)
(86)(22)【出願日】2010年12月17日
(86)【国際出願番号】JP2010072782
(87)【国際公開番号】WO2011125262
(87)【国際公開日】20111013
【審査請求日】2013年12月9日
【審判番号】不服2015-15491(P2015-15491/J1)
【審判請求日】2015年8月20日
(31)【優先権主張番号】201010142507.2
(32)【優先日】2010年4月2日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(73)【特許権者】
【識別番号】310005618
【氏名又は名称】煙台首鋼磁性材料株式有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100139033
【弁理士】
【氏名又は名称】日高 賢治
(72)【発明者】
【氏名】林 喜峰
(72)【発明者】
【氏名】丁 開鴻
(72)【発明者】
【氏名】呂 思晶
(72)【発明者】
【氏名】王 国海
(72)【発明者】
【氏名】于 京春
(72)【発明者】
【氏名】李 忠華
(72)【発明者】
【氏名】王 永杰
(72)【発明者】
【氏名】宮本恭祐
【合議体】
【審判長】 森川 幸俊
【審判官】 酒井 朋広
【審判官】 井上 信一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−197533(JP,A)
【文献】 特開昭62−30846(JP,A)
【文献】 特開2006−274304(JP,A)
【文献】 特開2006−299402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F1/053
H01F1/08
H01F41/02
B22F1/00
B22F9/04
C22C38/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
14B型化合物を主要構成としたR−T−B−M−A系希土類永久磁石であって、
Rは希土類元素のうち少なくとも一種、Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種、Bは硼素、MはTi、Mn、Ni、Cu、Zn、Al、Si、P、Sからなる群から選択された少なくとも一種、Aは微量元素であり、
Rが24質量%〜34質量%、
Tが63質量%〜74質量%、
Bが0.5質量%〜1.5質量%、
残りがMおよびAで構成され、
前記Aは
Oの含有量が1300ppm〜2000ppm、
Hの含有量が2ppm〜10ppm、
Nの含有量が150ppm以下、
Cの含有量が1100ppm〜2000ppm、
であり、
保磁力が1680kA/m以上である、
ことを特徴とするR−T−B−M−A系希土類永久磁石。
【請求項2】
請求項1に記載のR14B型化合物を主要構成としたR−T−B−M−A系希土類永久磁石の製造方法であって、
R、T、B、Mからなる合金をストリップキャスティング法により作成し、
前記合金を、水素化処理により粗粉砕した後、水素炉を真空状態にしての含有量2ppm〜10ppmの範囲内となるよう脱水素処理した後、アルゴンガス又はヘリウムガス雰囲気下において、平均粒径が2〜5μmの範囲内となるよう粉砕し、
前記粉砕工程において、Oの含有量を1300ppm〜2000ppm、Nの含有量を150ppm以下に制御し、
その後、潤滑剤の添加工程においてCの含有量を1100ppm〜2000ppmに制御し、成型、焼結工程、時効処理を行う、
ことを特徴とするR−T−B−M−A系希土類永久磁石の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は永久磁石の分野に関する。具体的にはR−T−B−M−A系希土類永久磁石及びその製造方法であって、磁石の残留磁束密度Brを低下させずに、焼結体の保磁力を大きく向上させる高性能な希土類永久磁石及びその製造方法に関する。
【0002】
新エネルギー産業の発展と技術の進歩により、高性能なR−T−B系希土類永久磁石(Rは希土類元素のうち少なくとも一種、Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種、Bは硼素)の応用分野は世界的に広がりつつある。従来の電子通信機器の領域であるハードディスクドライブのボイスコイルモータ(VCM)、CD/DVDのPick−Up、携帯電話、核磁気共鳴断層撮影装置(MRI)のような医療機器から、さらには高効率、省エネルギの電機領域である風力発電機、エアコンや冷蔵庫のコンプレッサー用モータ、そしてハイブリッド・カー(HybridCar)用モータや発電機などの新エネルギ源領域へと拡大しつつある。そのゆえ、高性能なR−T−B系永久磁石材料の需要量はますます増大しており、特に使用温度が高い状況下においても、残留磁束密度が高く、保磁力の高い希土類永久磁石材料に対する要求が高まっている。
【0003】
R−T−B系永久磁石材料における磁気特性の主な技術指標は、残留磁束密度と保磁力である。残留磁束密度は主に1.順方向疇の体積比率、2.主相(R14B)または磁性相の体積比率、3.磁性晶粒の配向度、4.焼結磁石の実際密度と理論密度の比、などの要素で決定される。
【0004】
残留磁束密度Brは、以下の式で表される。
Br=A(1−β)(d/d)cosθ.Js
A:順方向疇の体積比率、1−β:主相の体積比率、d: 焼結磁石の実際密度
: 焼結磁石の理論密度 cosθ:晶粒の配向度 Js:R14B単晶体飽和磁化強度
【0005】
また保磁力は、主として結晶磁気異方性(Ha)、焼結磁石のマイクロな組織(たとえば晶粒度のサイズ、形状など)、Rリッチ相の数量と分布、及び逆磁区での逆磁因数等に影響される。
【0006】
保磁力Hcjは、以下の式で表される。
Hcj=cHa−NeffMs
Ha:結晶磁気異方性パラメータ、Ms:飽和磁化強度 c:マイクロ組織パラメータ Neff:逆磁因数
【0007】
現在、重希土類元素であるDyとTbを含まないR−T−B系焼結永久磁石材料は、残留磁束密度Brは高いが(通常は1.4T)、保磁力が低く960kA/m程度しかない。このため、使用温度の低い及び安定的な使用環境でしか使えず、永久磁石材料の適用領域が大きく制約されている。そして、R−T−B系焼結磁石の保磁力を向上させ使用温度の範囲を拡大するため、成分調整及び晶粒を小さくするなど、さまざまな改善の工夫が実施されている。
【0008】
従来技術の主たる改善方法としては、異方性がより高い重希土類元素であるDyまたはTbによってNdの一部を置換し、保磁力と使用温度を向上させている。例えば5質量%のDyによってNdの一部を置換する方法である。これによれば、保磁力は1680(kA/m)まで向上できるが、残留磁束密度Brは1.28(T)まで低下してしまう。
【0009】
その上、重希土類であるDy及びTbは希少資源であるため値段が高く、この方法では大量生産に適さない。特に新エネルギ領域の一つである1 MW永磁直接駆動の風力発電機では、1台に使用される永久磁石の質量は平均値で1000kg以上もあり、コスト面から大きな制約要因となる。また、Ga、Nb、Moなど希少金属元素を多量に添加することにより、結晶粒度を小さくして結晶粒界を改良し、保磁力を向上させる方法もあるが、これもコスト高となってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した従来の希土類磁石成分配分比においては、使用温度条件の厳しい(使用環境温度が高い)用途、例えば電気自動車用電動機およびハイブリッド自動車用電動機、発電機に必要とされる保磁力性能まで引き上げることができなかった。電気自動車やハイブリッド自動車における磁石温度は、電気自動車であれば150℃、ハイブリッド自動車であれば200℃に耐えるものが必要であり、磁石保磁力で言えば、1680(KA/m)以上のもの、また残留磁束密度では、1.28(T)以上が要求される。
【0011】
重希土類元素であるDy又はTbを添加物として加えれば、保磁力性能Hcjは向上できるが、残留磁束密度Brを低下させることになり、これは、電動機、および発電機の効率を低下させる結果になる。
【0012】
また、残留磁束密度を低下させないためにGa、Nb、Moなどの希少金属元素を添加する必要があるが、高価な金属元素を添加物として多量に使用するため、コストが高くなり、需要の大きい電気自動車用電動機およびハイブリッド自動車用電動機、発電機用に適用することは、経済面からその実現性は困難であった。
【0013】
本発明は、これらの欠点を解決し、コストアップ要因となる高価な希少金属材料を大幅に削減しながら、電動機、発電機の効率に影響を及ぼす残留磁束密度Brと磁力性能Hcjを向上させ、低コストの豊富な材料を利用して、高性能な希土類磁石を提供するものである。
【0014】
また本発明によれば、高価な重希土類元素であるDy又はTbの使用量も減らすことも可能となりに、コスト削減が可能となる。本発明による製品は、サーボモータ、リニアモータ、エレベータモータなど多方面に使用することができる。
【0015】
電気自動車用電動機およびハイブリッド自動車用電動機、発電機用に適用した場合での具体的な効果の説明を以下に述べる。
【0016】
電気自動車用電動機または、ハイブリッド自動車用電動機の電動機出力特性は、図1に示すように、基底回転速度から以上は、速度上昇に伴い、トルクが低下していく定出力特性を必要としている。これらの電動機には、前記希土類磁石を電動機のロータコアに、周方向に等ピッチで埋め込んだ内磁型永久磁石同期電動機(Interior Permanent Magnet type Synchronous Motor:以降IPMSMと略す。)が主に用いられる(図2参照)。
【0017】
このIPMSMのトルク特性は、図3に示すように、横軸を磁石磁束軸(d軸)を基準に取った場合の電流位相角θ、縦軸をトルクTに取った場合、磁石トルク:Tmとリラクタンストルク:Trの合成したものになる。
各トルク式は、下記に示すとおりである。
T=Tm+Tr
Tm=τm・cos θ (τm:磁石トルクTmの最大値)
Tr=τr・sin(2θ) (τr:磁石トルクTrの最大値)
このモータの特徴は、モータの定出力特性領域を、前記磁石が持つ磁気エネルギである発生磁束を、電機子磁束で弱めることで実現させている。
【0018】
図2のIPMSMの構造から、前記希土類磁石の配置は、磁石磁束軸(d軸)上にあり、R−T−Bを主成分とする希土類磁石は、比透磁率μr≒1.05であり、ほぼ空気と同じ透磁率である。したがって、電機子から見た場合のd軸インダクタンスは、これと直交する軸(q軸)のq軸インダクタンスと比較して、
Ld<Lq
の関係にある。
【0019】
電動機の出力制御において、磁石磁束を弱め、速度上昇に伴い増加するモータの端子間電圧を一定値に抑える制御を行うには、このd軸インダクタンスが大きいほうが好ましい。つまりロータコア内部に配置される磁石の厚みLmが小さいほうがよいということになる。
【0020】
電動機設計上、この磁石厚みLmは使用する磁石の使用温度tm(使用環境温度)時の保磁力性能Hcj、そして電機子の弱め界磁エネルギAtaから決まる。弱め界磁エネルギAtaは、電動機の出力仕様から決定されるため、如何にして磁石使用温度tm(使用環境温度)において保磁力性能Hcjの高い磁石を使うかにある。つまり保磁力性能Hcjが低ければ、電機子の弱め界磁エネルギAtaに耐えるようにするには(減磁しないようにするためには)磁石厚みLmを厚くする必要がある。
【0021】
しかし、前述したように、磁石厚みLmが厚くなると、前述したd軸インダクタンスLdが小さくなり、規定出力特性を得るためには、多くの無効電流を電機子に流す必要があり、これは、電動機の定出力域での効率特性を著しく損なうことになる。つまり保磁力性能Hcjが高い本発明の磁石を用いることで、従来の磁石の場合より磁石厚みLmを薄くできるため、前記無効電流を電機子を低減、そして定出力領域の効率を向上させ、省エネルギ効果をだすことができるという大きな効果が得られる。
【0022】
本発明は、従来技術に対して、保磁力性能Hcjを約25%向上させることができ、磁石厚みを25%薄くできる。その結果、前記無効電流の約25%を低減することで、電機子巻線に生じるジュール損Wjを約35%低減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、R−T−B−M−A系希土類永久磁石材料において、微量元素であるAの成分範囲を最適に定めることを特徴としている。
【0024】
本発明は前記希少金属を添加せず、粉砕工程で粉の粒度を細かくすることに加え、微量元素Aの成分を最適な範囲に設定することで、磁石の保磁力を向上させるものである。
【0025】
まず、酸素“O”の影響と規定範囲の必然性について述べる。
磁粉は、粉の粒度が非常に細かく制御されるため、焼結過程で磁石結晶粒の異常成長が発生しやすくなる。そのゆえ、粉砕工程で磁石中の酸素“O”含有量を厳しく制御して、粉の表面に酸化膜を形成させ、結晶粒の異常成長を防止している。そのため、酸化膜形成のためだけの酸素“O”含有量が重要となり、ある成分規定範囲を決める必要がある。酸素の量を入れ過ぎると、Rリッチ相は酸化され、保磁力が低下してしまう。
【0026】
水素“H”の影響と規定範囲の必然性について述べる。
磁石中に水素“H”が残留すれば、焼結工程でガス脱する時にHDDR(Hydrogen− Disproportionation−Desorption−Recombination)反応が起き、ナノレベルの結晶粒が生じ、焼結工程で結晶粒異常成長の原因となる。それを防止するため、水素“H”が規定値以上に残留しないように、水素処理工程で水素脱した後の真空度を厳しく制御しなければならない。
【0027】
次に、窒素“N”の影響と規定範囲の必然性について述べる。
磁粉は、粉の粒度が非常に細かくされると、粉の活性も強くなる。通常の窒素ガスを保護雰囲気として粉作りすれば、温度が上がる時に、窒素は希土類元素と反応するので、粒界相の濡れ性に悪影響して、保磁力を低下させてしまう。よって、まず、窒素“N”を規定値以下にするため、不活性ガスを、窒素”N”からアルゴンやヘリウムに変更した雰囲気で粉作り実施、磁石の保磁力を向上させる必要が有る。
【0028】
次に、炭素“C”の影響と規定範囲の必然性について述べる。
磁粉は、粉の粒度が非常に細かくされると、粉が寄り集まりやすく、粉の配向も難しくなる。このような問題を解決するため、大量の潤滑剤を添加して、粉を分散する必要があるが、潤滑剤は酢酸メチル、カプリル酸メチル、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム中の一種で、全ての潤滑剤が炭素“C”含有の有機物である。そのため磁石中の炭素“C”含有量を増加させる恐れがある。
炭素“C”が増加すれば、ある値より残留磁束密度Brは低減し、保磁力も急激に低減する。従って炭素“C”は、ある規定範囲にする必要がある。
【0029】
本発明は R14B型化合物を主要構成としたR−T−B−M−A系希土類永久磁石であって、Rは希土類元素のうち少なくとも一種、Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種、Bは硼素、MはTi、Mn、Ni、Cu、Zn、Al、Si、P、Sからなる群から選択された少なくとも一種、Aは微量元素であり、
Rが24質量%〜34質量%で、
Tが63質量%〜74質量%、
Bが0.5質量%〜1.5質量%、
残りがMおよびAで構成され、
Aは
Cの含有量が1100ppm〜2000ppm、
Hの含有量が2ppm〜10ppm、
Oの含有量が1300ppm〜2000ppm、
Nの含有量が150ppm以下、
であり、
保磁力が1680kA/m以上である、
ことを特徴とするものである。
また本発明は、上記した永久磁石の製造方法であって、
R、T、B、Mからなる合金をストリップキャスティング法により作成し、
前記合金を、水素化処理により粗粉砕した後、水素炉を真空状態にしての含有量2ppm〜10ppmの範囲内となるよう脱水素処理した後、アルゴンガス又はヘリウムガス雰囲気下において、平均粒径が2〜5μmの範囲内となるよう粉砕し、
前記粉砕工程において、Oの含有量を1300ppm〜2000ppm、Nの含有量を150ppm以下に制御し、
その後、潤滑剤の添加工程においてCの含有量を1100ppm〜2000ppmに制御し、成型、焼結工程、時効処理を経る、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、材料コストを上げることなく、また電動機、発電機の効率に影響を及ぼす残留磁束密度Brを低下させることなく、保磁力性能Hcjを向上させた希土類磁石、及びその製造方法を提供することができる。
【0031】
また本発明は、微量元素Aを規定範囲にすることで、Ga、Nb、Moなどの希少金属元素を少量として、希少希土類元素の投入量を極力低減させ、磁石の安定供給とコストダウンを大幅に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】電気自動車用電動機または、ハイブリッド自動車用電動機の電動機出力特性
図2】内磁型永久磁石同期電動機(Interior Permanent Magnet type Synchronous Motor)の構造概念図
図3】上記IPMSMのトルク特性
図4】N含有量と残留磁束密度との相関図
図5】N含有量と保磁力との相関図
図6】粉砕粒径と残留磁束密度との相関図
図7】粉砕粒径保磁力との相関図
図8】O含有量と残留磁束密度との相関図
図9】O含有量と保磁力との相関図
図10】C含有量と残留磁束密度との相関図
図11】C含有量と保磁力との相関図
図12】H含有量と残留磁束密度との相関図
図13】H含有量と保磁力との相関図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、実施例にもとづいて説明する。
なお、以下の実施例における重量表記は質量%で表され、各元素の物質中の重量比率を示すものである。また平均粒径とは、メディアン径であるD50(50%粒子径)として表し、各数値はレーザー回折式粒度分布測定装置による測定値である。
【実施例1】
【0034】
合金の作製
アルゴンガス雰囲気中で金属または合金原材料を溶かして精錬する。当該合金は、焼結体R−T−B−M−Aの構成体の中で、
Rは、
Nd:22.5質量%、
Dy:3.5質量%、
Pr:5.0質量%、からなり、
Tは、
Fe:66.6質量%
Co:1.0質量% からなり、
Bは、
B:1.0質量% であり、
Mは、
Al:0.3質量%、
Cu:0.1質量%、
からなる合金である。合金溶湯を、ストリップキャスティング(SC)法により、ロールで冷却凝固させ、薄片合金を得た。
【0035】
粉砕
前記合金を、水素化処理を通して粗粉砕した後、水素炉を真空状態にして脱水素処置を行う。その後、高圧アルゴンガスを用い、ジェットミール機内で前記粗粉砕された合金を平均粒径が5.0μm程度の粉に微粉砕する。結晶粒の異常成長を防ぐため、粉砕過程中、ジェットミール粉砕用不活性ガスに一定量の酸素を入れる。その後、粉を不活性ガス中に保存する。
【0036】
潤滑剤の添加
粉の配向性を向上するため、粉混合機に一定量の潤滑剤を添加する。潤滑剤を混入する過程は、アルゴンガス保護雰囲気下とする。
【0037】
成形
前記方法で作製された微細粉を用いて、不活性ガス雰囲気下で磁場成形を行う。次に前記方法で成形された成形体を、400℃以上の温度環境に一定時間、温度保持し、その後、焼結工程により焼結を行って焼結体R−T−B−M−Aを得る。
【0038】
時効処理
焼結処理が完了した後、磁石に対して時効処理を行う。その後、機械加工を通して直径10mm、高さ10mmサイズの、実施例1の試料を作製した。
【実施例2】
【0039】
同時的に実施例2の試料も作製した。実施例2が実施例1と異なる点は、粉砕、潤滑剤の添加及び成形工程でヘリウムガスを保護雰囲気として使用した点である。
【比較例1〜3】
【0040】
また、実施例1及び2の効果を実証するため、比較例1、比較例2及び比較例3の合金も作製した。
【0041】
比較例の合金作製方法
窒素ガス雰囲気中で金属または合金原材料を溶かして精錬する。当該合金は、焼結体R−T−B−M−Aの構成体の中で、
Rは、
Nd:21質量%、
Dy:5.0質量%
Pr:5.0質量%、からなり、
Tは、
Fe:66.6質量%
Co:1.0質量% からなり、
Bは、
B:1.0質量% であり、
Mは、
Al:0.3質量%、
Cu:0.1質量%、
からなる合金である。合金溶湯を、ストリップキャスティング法により、ロールで冷却凝固させ、薄片合金を得た。
【0042】
粉砕
前記合金を、水素化処理を通して粗粉砕した後、水素炉を真空状態として脱水素処置を行う。その後、高圧窒素ガスを用い、ジェットミール機内で前記粗粉砕された合金を平均粒径が5.0μm程度の粉に微粉砕する。結晶粒の異常成長を防ぐため、粉砕過程中、ジェットミール粉砕用窒素ガスに一定量の酸素を入れる。その後、粉を窒素ガス中に保存する。
【0043】
潤滑剤の添加
粉の配向性を向上するため、粉混合機に一定量の潤滑剤を添加する。潤滑剤を混入する過程は、窒素ガスを保護雰囲気下とする。
【0044】
成形
前記方法で作製された微細粉を用いて、窒素ガス雰囲気下で磁場成形を行う。次に前記方法で成形された成形体を、まず、400℃以上の温度環境に一定時間温度保持し、その後、焼結工程により焼結を行って焼結体R−T−B−M−Aを得る。
【0045】
時効処理
焼結処理が完了後、磁石に対して時効処理を行う。その後、機械加工を通して直径10mm、高さ10mmサイズの、比較例1、比較例2及び比較例3の合金を作製した。
比較例1から3は、窒素Nの量が保磁力の性能低下に及ぼす影響を明確にするもので、比較例1は、“A”の窒素N=160ppm、比較例2は、窒素N=200ppm、そして比較例3は、窒素N=400ppmである。
【0046】
実施例1、2と比較例1〜3の分析結果
磁気特性の測定結果及び成分分析の結果対比を下記の表1および図4図5(グラフ)に示す。
図4は、横軸を窒素N含有量、縦軸を残留磁束密度として、両者の関係を示す。図5は、横軸を窒素N含有量、縦軸を保磁力として、両者の関係を示す。これらの図から高性能な永久磁石として要求される保磁力1680kA/m以上となるように、窒素Nを150ppm以下にする必要があり、このとき、残留磁束密度は、1.28T以上になっていることが確認できる。
表1:
【0047】
表1により明らかなとおり、本願発明の実施例1は、比較例1と比べて希少希土類金属Dyの添加量を30%削減したにも関わらず、残留磁束密度は基本的に変化がなく、保磁力にも大差が無い。即ち、本願発明によれば高価な希少希土類Dyを30%削減することができる。
【実施例3】
【0048】
合金作製
実施例1と同様な製造工程で合金を作製する。
【0049】
粉砕
前記合金を、水素化処理を通して粗粉砕し、水素炉を真空状態にして脱水素処置を行う。その後、高圧アルゴンガスを用い、ジェットミール機内で前記粗粉砕された合金を平均粒径が4.0μm程度までに粉砕する。
結晶粒の異常成長を防ぐため、粉作り過程中、ジェットミール粉砕用ガスに一定量の酸素を入れ、その後、粉をアルゴンガス中に保存する。
【実施例4】
【0050】
実施例3と同様な製造工程で合金を作製するが、ジェットミール機内で前記粗粉砕された合金を平均粒径が3.0μm程度までに粉砕する。
結晶粒の異常成長を防ぐため、粉作り過程中、ジェットミール粉砕用ガスに一定量の酸素を入れ、その後、粉をアルゴンガス中に保存する。
【実施例5】
【0051】
実施例3と同様な製造工程で合金を作製するが、ジェットミール機内で前記粗粉砕された合金を平均粒径が2.5μm程度までに粉砕する。
結晶粒の異常成長を防ぐため、粉作り過程中、ジェットミール粉砕用ガスに一定量の酸素を入れ、その後、粉をアルゴンガス中に保存する。
【0052】
上記実施例3〜5は、以下の工程を同じにするため、共通にして説明する。
潤滑剤の添加
粉の配向性を向上するため、粉混合機に一定量の潤滑剤を添加する。潤滑剤を混入する過程は、アルゴンガス保護雰囲気下とする。成形、焼結、時効処理は実施例1と同様にして試料を作製した。
【比較例4、5】
【0053】
同時的に比較例4及び比較例5の試料も作製した。比較例4及び比較例5が実施例3−5と異なる点は粉の平均粒径である。平均粒径が6.0μmのものを比較例4、同1.5μmのものを比較例5とした。
【0054】
磁気特性の測定結果及び成分分析の結果対比を下記の表2および図6図7(グラフ)に纏めた。
図6は、横軸を平均粒径、縦軸を残留磁束密度として、両者の関係を示す。図7は、横軸を平均粒径、縦軸を保磁力として、両者の関係を示す。これらの図から高性能な永久磁石として要求される保磁力1680kA/m以上となるように、平均粒径を2〜5μmにする必要があり、このとき、残留磁束密度は、1.28T以上になっていることが確認できる。
表2:
【0055】
表2から明らかなように、実施例3〜5は、比較例4、5に比べて保磁力は明らかに向上している。
【実施例6】
【0056】
合金作製
実施例1と同様な製造工程で合金を作製する。
【0057】
粉砕
前記合金を、水素化処理を通して粗粉砕し、水素炉を真空状態として脱水素処置を行う。その後、高圧不活性ガスを用い、ジェットミール機内で前記粗粉砕された合金を平均粒径が4.0μm程度までに粉砕する。結晶粒の異常成長を防ぐため、粉作り過程中、ジェットミール粉砕用ガスに一定量の酸素を入れ、その後、粉を不活性ガス中に保存する。
【0058】
潤滑剤添加
粉の配向性を向上するため、粉混合機に一定量の潤滑剤を添加する。潤滑剤を混入する過程は不活性ガス保護雰囲気下とする。
【0059】
成形、焼結、時効処理
実施例1と同様にして試料を作製するが、実施例1との相違は、粉作り過程中、ジェットミール粉砕用ガスに一定量の酸素を入れ、その後、粉を不活性ガス中に保存して酸素量を調整した点である。
酸素Oを1300ppmとしたものを実施例6とする。
【実施例7】
【0060】
実施例7は、上記6と同様の工程により作成するが、酸素Oを1600ppmとしたものを実施例6とする。
【実施例8】
【0061】
実施例8は、上記6と同様の工程により作成するが、酸素Oを2000ppmとしたものを実施例6とする。
【比較例6〜8】
【0062】
比較例6、7、8が実施例6、7、8と異なる点は、粉砕工程における酸素量を下限と上限にコントロールした点である。
【0063】
磁気特性の測定結果及び成分分析の結果対比を下記の表3および図8図9(グラフ)に示す。
図8は、横軸を酸素O含有量、縦軸を残留磁束密度として、両者の関係を示す。図9は、横軸を酸素O含有量、縦軸を保磁力として、両者の関係を示す。これらの図から高性能な永久磁石として要求される保磁力1680kA/m以上となるように、酸素Oを1300ppm以上、2000ppm以下にする必要があり、このとき、残留磁束密度は、1.28T以上になっていることが確認できる。
表3:
【0064】
表3から明らかなように、実施例6、実施例7、実施例8の磁石角形性は、比較例6,7に比べて優れている。また、実施例6、実施例7、実施例8の磁石保磁力は、比較例6〜8と比べて、10%〜20%優れることが明らかになっている。
【実施例9】
【0065】
合金作製
実施例1と同様な製造工程で合金を作製した。
【0066】
粉砕
前記合金を、水素化処理を通して粗粉砕した後、水素炉を真空状態にして脱水素処置を行う。その後、高圧アルゴンガスを用い、ジェットミール機内で前記粗粉砕された合金を平均粒径が3.0μm程度までに粉砕する。結晶粒の異常成長を防ぐため、粉砕過程中、ジェットミール粉砕用ガスに一定量の酸素を入れ、その後、粉を不活性ガス中に保存する。
【0067】
潤滑剤の添加
粉の配向性を向上するため、粉混合機に一定量の潤滑剤を添加する。潤滑剤を混入する過程はアルゴンガス保護雰囲気下とする。
【0068】
成形、焼結、時効処理
実施例1と同様、機械加工を通して直径10mm、高さ10mmサイズの試料を作製した。
【比較例9〜11】
【0069】
同時に比較例9、比較例10及び比較例11の試料も作製した。比較例9、10、11が実施例9と異なる点は、潤滑剤の添加量である。潤滑剤としては、酢酸メチル、カプリル酸メチル、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム中の一種から選択されるが、これらの潤滑剤は炭素“C”含有の有機物である。よってこの潤滑剤の量を、焼結体の中でコントロールし、炭素Cの含有量をそれぞれ異ならせているのが比較例9,10,11である。
【0070】
磁気特性の測定結果及び成分分析の結果対比を下記の表4および図10図11(グラフ)に纏めた。
図10は、横軸を炭素C含有量、縦軸を残留磁束密度とし、両者の関係を示す。図11は、横軸を炭素C含有量、縦軸を保磁力とし、両者の関係を示す。これらの図から、高性能な永久磁石として要求される保磁力1680kA/m以上となるように、炭素Cを1100ppm以上、2000ppm以下にする必要があり、このとき、残留磁束密度は、1.28T以上になっていることが確認できる。
表4:
【0071】
表4より明らかなとおり、実施例9は、比較例9、10と比べて磁石残留磁束密度Brがそれぞれ0.08T、0.07T 高い。また、比較例11と比べて磁石保磁力が249KA/m高い。
【実施例10】
【0072】
合金作製
実施例1と同様な製造工程で合金を作製する。
【0073】
粉砕
前記合金を、水素化処理を通して粗粉砕してから、水素炉を真空状態で脱水素処置を行う。その後、高圧アルゴンガスを用い、ジェットミール機内で前記粗粉砕された合金を平均粒径が5.0μm程度までに粉砕する。結晶粒の異常成長を防ぐため、粉作り過程中、ジェットミール粉砕用ガスに一定する量の酸素を入れ、その後、粉をアルゴンガス中に保存する。実施例10は、水素の含有量を2ppmとした。これは脱水素後の真空度を調整することで達成される。
【0074】
潤滑剤添加
粉の配向性を向上するため、材料混合機に一定量の潤滑剤を添加する。潤滑剤を混入する過程はアルゴンガス保護雰囲気とする。
【0075】
成形、焼結、時効処理
実施1と同じく、通常工程にて試料を作製する。
【実施例11】
【0076】
実施例11は、実施例10と同様の工程で作成するが、水素の含有量を5ppmとした。
【実施例12】
【0077】
実施例12は、実施例10と同様の工程で作成するが、水素の含有量を9ppmとした。
【比較例12】
【0078】
比較例12の試料は実施例10と同様にして作成されるが、その異なる点は水素の含有量であり、これは脱水素後の真空度を調整することで達成される。
【0079】
磁気特性の測定結果及び成分分析の結果対比を下記の表5および図12図13(グラフ)に纏めた。
図12は、横軸を水素H含有量、縦軸を残留磁束密度とし、両者の関係を示す。図13は、横軸を水素H含有量、縦軸を保磁力とし、両者の関係を示す。これらの図から、高性能な永久磁石として要求される保磁力1680kA/m以上となるように、水素Hを10ppm以下にする必要があり、このとき、残留磁束密度は、1.28T以上になっていることが確認できる。
表5:
【0080】
表5より明らかなとおり、実施例10、11、12に示すように水素H含有量を少なくするに従い保磁力は比較例12に対し、それぞれ112KA/m、88KA/m、84KA/mと向上している。
【実施例13】
【0081】
合金作製
実施例1と同様な製造工程で合金を作製する。
【0082】
粉砕
前記合金を、水素化処理を通して粗粉砕し、水素炉を真空状態にして脱水素処置を行う。その後、高圧アルゴンガスを用い、ジェットミール機内で前記粗粉砕された合金を平均粒径が3.5μm程度まで粉砕する。結晶粒の異常成長を防ぐため、粉作り過程中、ジェットミール粉砕用ガスに一定量の酸素を入れ、その後、粉をアルゴンガス中に保存する。
【0083】
潤滑剤添加
粉の配向性を向上するため、材料混合機に一定量の潤滑剤を添加する。潤滑剤を混入する過程はアルゴンガス保護雰囲気下とする。
【0084】
成形、焼結、時効処理
実施例1と同じく、機械加工を通して直径10mm、高さ10mmサイズの試料を作製する。
【比較例13、14】
【0085】
同時に比較例13及び比較例14の試料も作製する。
比較例13の合金作製方法
真空或いは不活性ガス(アルゴンガス最適)雰囲気中で金属または合金原材料を溶かして精錬する。当該合金は、焼結体R−T−B−M−Aの構成体の中で、
Rは、
Nd:22.5質量%、
Dy:3.5質量%、
Pr: 5.0質量%、からなり、
Tは、
Fe: 66.35質量%
Co:1.0質量%、からなり、
Bは、
B: 1.0質量% であり、
Mは、
Al:0.3質量%、
Cu:0.1質量% からなり、
その他として、
Ga: 0.15質量%、
Nb: 0.05質量%、
Mo: 0.05質量%
からなる合金である。合金溶湯を、ストリップキャスティング法により、ロールで冷却凝固させ、薄片合金を得る。
【0086】
粉砕
前記合金を、水素化処理を通して粗粉砕した後、水素炉を真空状態にして脱水素処置を行う。その後、高圧窒素ガスを用い、ジェットミール機内で前記粗粉砕された合金を平均粒径が6.0μm程度の粉に微粉砕する。結晶粒の異常成長を防ぐため、粉砕過程中、ジェットミール粉砕用不活性ガスに一定量の酸素を入れる。その後、粉を窒素ガス中に保存する。
【0087】
潤滑剤の添加
粉の配向性を向上するため、粉混合機に一定量の潤滑剤を添加する。潤滑剤を混入する過程はアルゴンガス保護雰囲気下とする。
【0088】
成形、焼結、時効処理
比較例1と同じく機械加工を通して直径10mm、高さ10mmサイズの試料を作製する。
【0089】
比較例14の合金作製方法
真空或いは不活性ガス(アルゴンガス最適)雰囲気中で金属または合金原材料を溶かして精錬する。当該合金は、焼結体R−T−B−M−Aの構成体の中で、
Rは、
Nd:21.5質量%、
Dy:4.5質量%、
Pr: 5.0質量% からなり、
Tは、
Fe: 66.45質量%
Co:1.0質量% からなり、
Bは、
B: 1.0質量% であり、
Mは、
Al:0.3質量%、
Cu:0.1質量%、からなり、
その他として、
Ga: 0.05質量%、
Nb: 0.05質量%、
Mo: 0.05質量%
からなる合金である。合金溶湯を、ストリップキャスティング法により、ロールで冷却凝固させ、薄片合金を得る。
【0090】
粉砕
前記合金を、水素化処理を通して粗粉砕した後、水素炉を真空状態として脱水素処置を行う。その後、高圧窒素ガスを用い、ジェットミール機内で前記粗粉砕された合金を平均粒径が8.0μm程度の粉に微粉砕する。結晶粒の異常成長を防ぐため、粉砕過程中、ジェットミール粉砕用不活性ガスに一定量の酸素を入れる。その後、粉を窒素ガス中に保存する。
【0091】
潤滑剤の添加
粉の配向性を向上するため、粉混合機に一定量の潤滑剤を添加する。潤滑剤を混入する過程はアルゴンガス保護雰囲気下とする。
【0092】
成形、焼結、時効処理
比較例1と同じく、機械加工を通して直径10mm、高さ10mmサイズの試料を作製する。
【0093】
磁気特性の測定結果及び成分分析の結果対比を下記の表6に纏めた。
表6:
【0094】
表6より明らかなとおり、平均粒径を小さくすることは、Ga、Nb、Moを少量とし、且つ金属Dyの使用量も減少させる効果がある。
実施例13の場合、希少金属であるGa, Nbを大幅に低減しながらも、磁石保磁力は、比較例13及び比較例14と比べて、それぞれ126KA/m、88KA/m高く、残留磁束密度は、0.01T、0.02T高くなっている。
本発明の効果を表7に整理する。
表7
表7に示すように、本実施例の効果は、
希少金属元素(Ga,Nb,Mo)に関し、Gaは、比較例に対して、1/40〜1/150以下に低減でき、Nbは、1/50以下、そしてMoは、1/5以下に低減できるメリットがある。
高価希土類元素Dyに関しては、20%程度の低減効果がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13