(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
使用期限が記憶された使用期限記憶手段と、前記使用期限に達したときに駆動部の動作を制限する動作制限手段と、前記使用期限を延長する使用期限延長手段と、前記使用期限の延長を許可する許可信号を予め設定された作業機の保管場所である無線通信エリアに入ったときにのみ受信可能な無線端末を備え、
前記使用期限記憶手段、前記動作制限手段及び前記使用期限延長手段は、前記使用期限に達していないときには前記駆動部の動作を制限しない制御装置に設けられ、
前記使用期限延長手段は、前記無線端末が前記無線通信エリア内で前記許可信号を受信したときに使用期限の延長を行うことを特徴とする作業機。
請求項1又は2に記載の作業機の代金の支払いを管理する管理サーバを備えており、前記管理サーバは、作業機代金の支払い毎に前記無線端末に向けて前記許可信号を出力する許可出力手段とを備えていることを特徴とする作業機の代金支払い管理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、代金の支払いが行われなかったときに稼働停止手段によって作業機の稼働を停止させることができる。ところで、通常、支払期日までに作業機の代金の支払いが行われないケースは非常に少なく、支払期日までに作業機の代金の支払いが行われるケースが多いのが実情であり、支払期日までに支払いが行われたケースも想定したうえで代金支払い管理システムを構築することが望ましい。
【0006】
しかしながら、特許文献1は、支払期日までに作業機の代金の支払いが行われなかったときに作業機の稼働を停止することのみを主眼としていて、支払いが行われた場合の処理などについては開示されておらず、このような作業機の代金支払い管理システムで作業機を管理することは、事実上困難である。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、例えば、作業機の代金支払い実行などによる使用の延長が簡単にでき、場合によっては、使用の制限も行うことができる作業機及び作業機の作業機の代金支払い管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、請求項1に係る作業機は、使用期限が記憶された使用期限記憶手段と、前記使用期限に達したときに駆動部の動作を制限する動作制限手段と、前記使用期限を延長する使用期限延長手段と、前記使用期限の延長を許可する許可信号を予め設定された作業機の保管場所である無線通信エリアに入ったときに
のみ受信可能な無線端末を備え、前記使用期限記憶手段、前記動作制限手段及び前記使用期限延長手段は、前記使用期限に達していな
いときには前記駆動部の動作を制限しない制御装置に設けられ、前記使用期限延長手段は、前記無線端末が前記無線通信エリア内で前記許可信号を受信したときに使用期限の延長を行うことを特徴とすることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る作業機は、前記使用期限は、支払い期日とされ、前記使用期限延長手段は、前記無線端末が許可信号を受信したときに次の
支払い期日に延長するように構成されていることを特徴とする。
請求項3に係る作業機の代金支払い管理システムは、作業機
の代金の支払いを管理する管理サーバを備えており、前記管理サーバは、作業機代金の支払い毎に前記無線端末に向けて前記許可信号を出力する許可出力手段とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1によれば、作業機の使用の延長が簡単にでき、場合によっては、使用の制限も行うことができる。
請求項2によれば、作業機の代金支払い実行などによる作業機の使用の延長を簡単に行うことができる。
請求項3によれば、支払い管理サーバによって作業機代金の支払い毎に作業機の使用の延長ができ、もし、仮に支払いが滞ったときは作業機の動作を制限することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、作業機の代金支払い管理システムの全体図を示している。
作業機の代金支払い管理システム1は、作業機2の代金支払い状況を管理する支払い管理サーバ3と、作業機2に設けられた無線端末4と、作業機2に設けられた制御装置5とを備えている。
【0012】
この作業機の代金支払い管理システム1では、作業機2の代金支払いが行われると支払い管理サーバ3からネットワークNを介して支払いを行った信号(許可信号)Sを作業機2の無線端末4に送信し、無線端末4が許可信号Sを受信したときに作業機2の使用を延長する、一方で、作業機2の代金支払いが行われなかったときは許可信号Sを作業機2に送信せず、作業機2の使用は延長されないものである。
【0013】
まず、作業機2について詳しく説明する。
図8は、作業機2の一例であるトラクタを示したものである。
図8に示すように、トラクタ2は、前後に車輪を有する走行車体10に、エンジン(例えば、ディーゼルエンジン)11、変速装置12等が搭載されて構成されている。この走行車体10の後部には、3点リンク機構16が昇降可能に設けられている。この3点リンク機構16には、各種の作業装置(図例は耕耘装置)13が着脱自在となっている。この作業装置13には、PTO軸を介してエンジン11からの動力が伝達されるようになっている。また、エンジン11の後方には、独立搭載型のキャビン14が設けられており、キャビン14内に運転席15が設けられている。このトラクタ22は、走行や作業装置13による作業が行えるようになっている。
【0014】
図2は、制御装置5を示したものである。この制御装置5は、トラクタ2において走行系の制御や作業系の制御を行うものであって、CPU等から構成されている。トラクタ2において走行系の制御や作業系の制御は、複数(例えば、2つ)の制御装置5(5A、5B)によって行うものとなっている。なお、この実施形態では、複数の制御装置5A、5Bによってトラクタ2の制御を行うものとなっているが、制御装置5は1つでも複数でもよく、以下に示すものに限定されない。
【0015】
第1制御装置5Aは、トラクタ2の全体を制御するものであって、他の制御装置5B、即ち、第2制御装置5Bと相互通信が行えるようになっている。
この第1制御装置5Aには、アクセルペダルを操作したときのアクセルペダルの操作量、変速用のシフトレバーを操作したときのシフトレバー位置などが入力されるようになっている。
【0016】
第1制御装置5Aは、アクセルペダルの操作量に基づいてエンジン11が所定の回転数になるように第2制御装置5Bに制御指令を出力すると共に、シフトレバー位置に基づいて変速装置12を制御(変速制御)することができるようになっている。その他、第1制御装置5Aには、エンジン回転上限値、アクセルレバー量、エンジン回転数などが入力されるようになっている。エンジン回転上限値は、運転席15の近傍に設けられたボリュームにより設定できるようになっており、アクセルレバー量は運転席15の近傍に設けられたアクセルレバーにより設定できるようになっている。
【0017】
エンジン回転上限値が入力されている場合、第1制御装置5Aは、エンジン11の回転数がエンジン回転上限値を超えないように第2制御装置5Bに制御指令を出力する。また、アクセルレバー量が入力されている場合、第1制御装置5Aは、アクセルペダルの操作量がアクセルレバー量以上となれば、アクセルペダルの操作量に応じた制御指令を第2制御装置5Bにするものの、アクセルペダルの操作量がアクセルレバー量未満であるときにはアクセルペダルの操作量に応じた制御指令を行わず、アクセルペダルの操作量に応じたエンジン11の回転数の制御は行わないようになっている。
【0018】
また、第1制御装置5Aは、エンジン回転数、変速段、油温など、トラクタ2の様々な情報を表示する表示装置24を制御すると共に操作部材からの入力に基づいて3点リンク機構16の昇降を制御する(3P昇降制御)。
第2制御装置5B(エンジンコンピュータユニット)は、主にエンジン11を制御するものであって、第1制御装置5Aを介して出力されたアクセルペダルの操作量、クランク位置、カム位置等の入力に基づいて、インジェクタ27、コモンレール28、サプライポンプ29等を制御するものである。第2制御装置5Bには、イグニッションスイッチ30のオン又はオフを示す信号が入力されるようになっている。エンジン始動キーを介してイグニッションスイッチ30のオン信号が入力されると、第2制御装置5Bのエンジン制御が行えるようになり、イグニッションスイッチ30のオフ信号が入力されると第2制御装置5Bのエンジン制御が行えない(停止)するようになっている。また、イグニッションスイッチ30のオン信号が入力されることによって第1制御装置5Aの制御も行えるようになっており、イグニッションスイッチ30のオフ信号によって第1制御装置5Aの制御が行えないようになっている。なお、第2制御装置5Bにおけるエンジン制御は、一般的なディーゼルエンジン制御と同じものであり、例えば、インジェクタ27の制御では燃料噴射量、噴射時期、燃料噴射率が設定され、サプライポンプ29やコモンレール28の制御では燃料噴射圧が設定される。
【0019】
上述した第1制御装置5A、第2制御装置5Bによって、トラクタ2の走行系及び作業系の制御を行うことができる。なお、トラクタ2の走行系及び作業系の制御は、上述したものに限定されない。
第1制御装置5Aには無線端末4が接続されている。この無線端末4は、外部から様々な情報を受信すると共にトラクタ2の情報を外部に送信することができるものである。無線端末4は、例えば、外部から許可信号Sを受信したり、トラクタ2を特定するための固有情報を外部に送信する。なお、無線端末4は、予め定められた無線通信エリア7内では、作業機2と外部(ネットワークN)との情報がやり取りが行えるものであればよく、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、zigbee(登録商標)など、例えば、通信距離が数十m〜数百mの一般的な無線通信装置である。
【0020】
トラクタ2では、予め定められた使用期限内では走行系や作業系の制御を制限せずに通常通り行う一方で、使用期限を越えてしまうと走行系や作業系の制御を制限するものとなっている。これらの制御は、第1制御装置5Aや第2制御装置5Bによって行う。以下、第1制御装置5Aを例にとり説明する。
第1制御装置5Aは、使用期限記憶手段40と、動作制限手段41と、使用期限延長手段42とを備えている。
【0021】
使用期限記憶手段40は、トラクタ2の使用する期限、即ち、通常通り使用できる期限(使用期限)を記憶するものであって、第1制御装置5Aに設けられた記憶部(不揮発性のメモリ)等で構成されている。
使用期限は、例えば、使用することができる残りの時間(残り時間)や使用することができるまでの期日(日付)とされている。使用期限が残り時間である場合は、第1制御装置5Aなどの内部タイマーによって残り時間はカウントダウンされることとなり、カウントダウンした残り時間は記憶部40内で更新される。なお、残り時間は、時、分で表される数値であっても、残りの日数で表される数値であってもよい。
【0022】
また、使用期限が期日である場合は、記憶部40には期日が保持されるようになっている。なお、使用期限はトラクタ2に搭載した搭載装置(例えば、表示装置)を用いて設定して記憶部40に記憶するようにしてもよし、トラクタ2とは別に外部装置を用いて設定して記憶部40に記憶するようにしてもよい。
動作制限手段41は、使用期限に達したときに駆動部の動作を制限するものであり、第1制御装置5Aに格納された格納されたプログラム等から構成されている。
【0023】
動作制限手段41は、
図3(a)に示すように使用期限が残り時間である場合は時間の経過につれて減少している残り時間が零になったとき、又は、
図3(b)に示すように使用期限が期日である場合は期日までに当該期日に対応する許可信号Sが入力されていないとき、例えば、アクセルペダルの操作量が入力されてもアクセルペダルの操作量を零(操作していない)として、第2制御装置5Bへの通常制御を制限する。つまり、動作制限手段41が働くと、第2制御装置5Bはアクセルペダルに対応した通常制御が行えなくなり、エンジン11の動作に制限が掛かりトラクタ2の走行を停止することができる。
【0024】
動作制限手段41による動作部の通常制御の停止(制限)は、上述したものに限定されない。例えば、第1制御装置5Aは、シフトレバー位置に基づいて変速装置(動作部)12を制御するようになっているが、動作制限手段41によって、シフトレバー位置に基づく変速装置12の通常制御を行わないようにしたり、3点リンク機構(動作部)16の通常制御を行わないようにしてもよい。
【0025】
なお、動作制限手段41を第1制御装置5Aに設ける代わりに第2制御装置5に設けて、動作制限手段41を働かせた場合に、第2制御装置5Bによるエンジン11の通常制御を行えないようにしてエンジン11を完全に停止するようにしてもよい。通常制御とは、第1制御装置5Aや第2制御装置5Bが制限無く行うことができる全ての制御動作のことである。
【0026】
このように動作制限手段41は、使用期限に達したときに、第1制御装置5Aや第2制御装置5Bなどの制御装置5の通常制御を制限し、これにより、エンジン11、変速装置12、3点リンク機構16などの駆動部の動作を制限する。なお、動作制限手段41によって動作部の動作を制限するとしているが、ここでの制限は、一部の動作を停止するだけでなく、完全に動作を停止してしまうことも含んでいる。
【0027】
使用期限延長手段42は、トラクタ2が無線通信エリア7内に入ることによって無線端末4が許可信号Sを受信したときに使用期限の延長を行うものであって、第1制御装置5Aに格納された格納されたプログラム等から構成されている。
具体的には、使用期限延長手段42は、トラクタ2に対応する許可信号Sを無線端末4が受信し、無線端末4を介して第1制御装置5Aに許可信号Sが入力されると、
図4(a)に示すように、記憶部40に記憶されている使用期限が残り時間である場合は、記憶部40に記憶されている残り時間を長くし、
図4(b)に示すように、記憶部40に記憶されている使用期限が期日である場合は、その期日を現在よりも先の期日である新しい期日に更新する。なお、使用期限として予め複数の期日が記憶部40に保存されている場合は、許可信号Sが入力される毎に、次に動作制限をするために使用する期日を現在よりも新しいものにする。
図4(c)に示すように、3つの期日があり、許可信号Sが入力される毎に使用期限延長手段42は動作を制限するための期日を新しい期日にスライドする。例えば、使用期限延長手段42は、動作を制限するための期日を、2011年4月20日から新しい期日である2011年5月20日に変更する。
【0028】
さて、使用期限延長手段42は、外部から許可信号Sを無線端末4が受信したとき、当該受信した許可信号Sが自己のトラクタ2に対する信号であるか否かを照合し、照合が成立したときに許可信号Sを受け付けて、使用期限を延長してもよい。
詳しくは、使用期限延長手段42は、外部から許可信号Sと共に送信された固有情報と第1制御装置5Aの記憶部40に記憶された自己の固有情報とを照合する照合部45と、照合部45によって照合が成立したときに許可信号Sによる使用期限の延長を行い且つ照合部45によって照合不成立のときに許可信号Sによる使用期限の延長を行わない延長許可部46を備えている。
【0029】
このように、照合部45及び延長許可部46を設けることによって、より確実に使用期限の延長を行うことができる。
次に、本発明の作業機の代金支払い管理システム1について、上述した作業機2の動作と共に詳しく説明する。
図1に示すように、許可信号Sを受信するため無線端末4の無線通信エリア7は、購入したトラクタ2を保管する保管場所と略同じ大きさに設定されている。つまり、作業機の代金支払い管理システム1では、トラクタ2が保管場所内にあるときには許可信号Sを無線端末4にて受信することができ、トラクタ2が保管場所から離れていて離脱しているときは許可信号Sを無線端末4にて受信することができないようになっている。これにより、トラクタ2の購入者が購入したトラクタ2を、保管場所に入れない限り許可信号Sを受信することはできず、保管場所外では使用期限の延長を行えないようになっている。なお、保管場所(無線通信エリア7)は、購入者によって異なり、例えば、農業をしているユーザが購入者である場合には農家の倉庫などが保管場所となり、レンタル業をしているレンタル会社が購入者である場合はレンタルするトラクタ2を一時的に保管する保管する場所が保管場所となる。なお、無線端末4の無線通信エリア7の大きさの設定は、購入者等が適宜設定できるようにすればよい。例えば、無線端末4と無線通信を行ってネットワークNとの通信を行うことができるようにする送受信機8を保管場所に設置し、送受信機8と無線端末4との設定によって、無線通信エリア7の設定を行うことが好ましい。
【0030】
支払い管理サーバ3は、購入者に代わってトラクタ2の購入代金を一括してディーラや製造会社などの販売者に支払う金融会社(ファイナンス会社)に設置されている。
図5に示すように、支払い管理サーバ3には、購入者が購入したトラクタ2を特定するための固有情報と、購入者を特定するための購入者情報と、購入者の代金支払い状況(支払い情報)とが関連付けして格納されている。
【0031】
支払い管理サーバ3に格納された固有情報は、例えば、製造会社で製造したトラクタ2の製造番号、機種、トラクタ2の保管場所である。なお、固有情報はトラクタ2を特定することができる情報であれば、どのようなものであってもよい。購入者情報は、購入者の住所、電話番号等である。購入者情報も、購入者を特定することができる情報であればどのようなものであってもよい。
【0032】
購入者の支払い情報は、支払い期日、支払い期日までに支払っているか否かの情報、支払い金額等であり、購入者の現在又は過去の支払いの有無などが分かるものである。
支払い管理サーバ3は、使用期限出力手段50と、許可出力手段51とを備えている。使用期限出力手段50、許可出力手段51は支払い管理サーバ3に格納されたプログラム等から構成されている。
【0033】
使用期限出力手段50及び許可出力手段51について詳しく説明する。
金融会社が購入者に代わって一括してトラクタ2の購入代金を販売者に支払う場合、金融会社による購入代金の一括払いに先立ち、
図6(a)に示すように、購入者が金融会社に対して分割払いを行うための支払い計画表52が作成されることになる。この支払い計画表52では、購入者が金融会社に対して分割支払いを行う回数、支払い期日、支払い金額などの代金支払い情報が示され、このような代金支払い情報は、支払い管理サーバ3に格納される。
【0034】
そして、使用期限出力手段50は、金融会社が購入者に代わって、例えばトラクタの製造会社に対してトラクタ2の購入代金の一括払いが完了したとき、予め支払い計画表52で決められた支払い期日を、ネットワークNを介して支払い決済が完了したトラクタ2の無線端末4に出力する。このとき、トラクタ2の固有情報を支払い期日と共に無線端末4に出力(送信)することによって、簡単にトラクタ2に支払い期日を知らせることができる。
【0035】
図6(b)に示すように、例えば、固有情報が「製造番号10012、機種M115A」であるトラクタ2について、支払い計画表52によって6回分の支払い期日が定められているとき、使用期限出力手段50は、6回分の各支払い期日を固有情報(製造番号10012、機種M115A)と共にネットワークNに送信する。固有情報が「製造番号10012、機種M115A」であるトラクタ2は、使用期限出力手段50から送信された6回分の各支払い期日を無線端末4で受信すると、それぞれの支払い期日を使用期限記憶手段40(記憶部40)に記憶する。
【0036】
購入者はトラクタ2の代金を一括して支払った金融会社に対して支払い期日までに所定の支払い金額を支払うことになる。購入者から支払い期日までに支払いが行われると、支払いが支払い管理サーバ3に通知され、支払い管理サーバ3の購入者の代金支払い情報は自動的に更新される。
図7(a)に示すように、例えば、固有情報が「製造番号10012、機種M115A」であるトラクタ2について、3回目の支払い期日(支払い期限)が2011年4月20日であったとする。
図7(b)に示すように、購入者が2011年4月10日に3回目の支払いを完了すると3回目の支払いが有りとなり、支払い管理サーバ3において、3回目の支払いに対応する支払いの無が有り(支払い有り)に更新される。
図7(c)に示すように、許可出力手段51は3回目の支払いが有りに更新された時点で、固有情報が「製造番号10012、機種M115A」に対する許可信号SをネットワークNに送信する。なお、もし、購入者が2011年4月20日までに3回目の支払いが完了していない場合は、許可出力手段51は許可信号Sを送信しない。
【0037】
固有情報が「製造番号10012、機種M115A」であるトラクタ2は、3回目の支払いにおける許可信号Sを無線端末4で受信すると、使用期限延長手段42は4回目の支払い期日(2011年5月20日)を、動作を制限するための期日とする。
このように、支払い管理サーバ3側では、使用期限(支払い期日)をトラクタ2に無線などの通信手段を通じて知らせると共に、支払い期日までに所定の金額が支払われると許可信号Sを通信手段を通じて出力し、トラクタ2の使用期限を延長できるようにしている。一方、支払い期日までに所定の金額が支払われない場合は許可信号Sを出力しないので、トラクタ2の動作に制限を加えて停止させることもできる(支払い期日を過ぎると、トラクタ2の動作に制限が加わる)。そして、支払い管理サーバ3は、支払いが完了する毎に許可信号Sを送信する。最後の支払い日が完了したときには、許可信号Sに最後の支払いが完了したことを示す信号を付加し、トラクタ2側では最後の支払い完了の許可信号Sを受信すると、使用期限を無期限(使用期限無し)、トラクタ2を長期間に亘って使用できるようにする。トラクタ2側(第1制御装置5A)では最後の支払い完了の許可信号Sを受信したときに、動作制限手段41を有効から無効に切り換え、無効を保持する。
【0038】
以上、本発明によれば、作業機2が使用期限記憶手段40と、動作制限手段41と、使用期限延長手段42と、無線端末4とを備えているので、使用期限になる前に許可信号Sを受信することによって作業機2の使用を延長することができ、使用期限を繰り返し延長することによって作業機2を長期に亘って繰り返し使用することができる。一方で、仮に使用期限が来た場合には作業機2の使用を制限することもできる。
【0039】
特に、使用期限を作業機2の代金の支払い期日にした場合には、作業機2の購入者は支払い期日までに代金を支払うことによって作業機2を使い続けることができる一方で、仮に支払い期日までに代金を支払うことができない場合には作業機2の動作に制限を掛けることにより作業機2を通常通り使用できなくすることもできる。購入者に代わって作業機2の代金を一括して支払う金融会社からすれば、代金の支払いが滞ったときに作業機2の動作を制限して停止することもでき、場合によっては、作業機2を回収することが可能となる。そのため、作業機2の購入時における与信力の向上を図ることができる。
【0040】
さて、購入後の作業機2は、保管場所から離脱したり復帰したりしながら(往来しながら)使用するのが一般的であり、通常、保管場所に長期に亘って戻ってこないようなことはない。本発明では、使用期限を延長するための許可信号Sを購入者などが定めた保管場所(無線通信エリア7)のみで受信することができるようにしているため、上述したような通常の使用形態のみでの使用の延長を行うことができ、その結果、作業機2の購入後の悪用を防止することが可能となる。例えば、購入者が支払い期間中に資金難に陥って代金の支払いができなくなり、購入者が強制的に作業機2を転売するというような計画を立てたとしても、作業機2が保管場所に戻って来ない限り作業機2の使用の延長ができなくなる構成であるため、このような事情による作業機2の転売を抑止することができる。
【0041】
また、購入者が支払い期間中に作業機2を保管場所から離れた場所に持ち逃げしようと計画を立てたとしても、転売と同様に保管場所に戻って来ない限り作業機2の使用の延長ができなくなる構成であるため、このような事情による作業機2の持ち逃げを抑止することができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0042】
使用期限記憶手段40と、動作制限手段41と、使用期限延長手段42などは、上述した制御装置5に設けられるのに限定されず、トラクタ2(作業機2)1に搭載された制御装置5であれば、どのようなものに設けても良い。上述したように、作業機2は、トラクタ2に限定されず、バックホー、コンバイン、移植機であってもよい。
上述したように、使用期限出力手段50は、支払い計画表52で決められた支払い期日を使用期限として無線端末4に送信していたが、使用期限は支払い期日と同日でなくてもよく、例えば、支払い期日に猶与日数(例えば、1週間)を加えた期日を使用期限としてもよい。また、使用期限出力手段50によって出力される使用期限は日付を指定とした期日としていたが日数であってもよい。代金支払い管理システム1において、使用期限を日数とした場合は、前の支払日から次の支払日までの日数であってもよし、この日数に猶与日数を加えたものであってもよい。