(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ツインレーキの入力軸から、左右のロータの駆動シャフトに動力を分配する動力分配機構(a)を、入力軸の後端側に設けたベベルギヤと左右の駆動シャフトの各内端部に設けたベベルギヤとの3枚のベベルギヤにより構成し、前記左右の駆動シャフトの外端側と左右のロータの回転軸との間に設ける減速伝導ギヤ機構(b)を、ロータの回転軸に対し組み付ける大径の平歯車とこれに噛み合う小径の平歯車との一対の平歯車と、前記小径の平歯車の回転軸に組み付ける小径のベベルギヤとこれに噛み合わせて駆動シャフトの外端側に設ける小径のベベルギヤとの一対のベベルギヤと、により構成し、かつ、その減速伝導ギヤ機構(b)は、左右のロータの一方のロータに組み込む減速伝導ギヤ機構(b)にあっては、小径の平歯車の回転軸に設ける小径のベベルギヤを、上向きの姿勢として組み付け、これに、駆動シャフト側に設ける小径のベベルギヤを、上面側から当接させて噛み合わせ、他方のロータに組み込む減速伝導ギヤ機構(b)にあっては、小径の平歯車の回転軸に設ける小径のベベルギヤを、下向きの姿勢として組み付け、これに、駆動シャフト側に設ける小径のベベルギヤを下面側から当接させて噛み合わせたことを特徴とするツインレーキにおける動力伝導装置。
【背景技術】
【0002】
圃場に刈り倒されて放置してある牧草・稲藁を条列状に集めるように用いられるツインレーキは、牧草や稲藁を収集して成形処理するロールベーラや、ハーベスタなどの収穫機の作業能率を向上させるために、収穫機による作業の前作業として用いられる作業機であり、通常、
図1の平面図、
図2の側面図にあるよう、前端側に装備せしめたトラクタTの連結ヒッチtに対して組み付ける組付機枠10と、その組付機枠10から後方に向け長く延出するメインフレーム11と、そのメインフレーム11の後端に設けた走行輪12の支持機枠13と、によって、平面視において、略前後に長い略T字状の本体機枠1を構成し、この本体機枠1のメインフレーム11の前後の中間部における左右の両側部位に、それぞれ左右に突出するロータの支持フレーム2を側枝状に組み付け、それらロータの支持フレーム2の各突出端部に、ロータの中心機枠30を取り付け、この中心機枠30にロータ3を軸架することでツインレーキAの全体を構成している。
【0003】
左右のロータの支持フレーム2の各外端に軸架するロータ3は、円盤状の筺体に形成してある中心機枠30の下面に、
図3、
図4にあるように、縦の回転軸で旋回する回転板31を軸支し、この回転板31の周縁部に、放射方向に突出する複数のアーム32を設け、それらアーム32の各先端部に、牧草・稲藁を掻き寄せるフォーク状の歯杆33を、ロータ下部に設けたカムとアーム32の根元部に設けた偏芯したベアリングとによりアーム32を規制して、アーム32から垂下する姿勢と水平な姿勢とに変化するように取り付けて構成している。
【0004】
そして、このツインレーキAは、前述の
図1にあるよう組付機枠10をトラクタTの連結ヒッチtに連結し、メインフレーム11の下面側に装備せる入力軸14の前端を、
図5、
図6にあるようトラクタTの出力軸(PTO軸)15に、ユニバーサルジョイント軸16を介して接続連繋し、そのPTO軸15からの回転動力を、メインフレーム11の中間部位に組み込んだ動力分配機構aを経て、左右のロータの支持フレーム2内にそれぞれ収蔵せるロータの駆動シャフト3aに伝え、その駆動シャフト3aの先端を、ロータの中心機枠30内に収蔵せる減速機構を兼ねた伝導ギヤ機構bを介し減速させてロータの回転軸に伝えてロータ3を減速回転させ、この状態での、トラクタTによる牽引走行により、圃場に刈り倒されて放置されている牧草等を列状に集草していくように使用される。
【0005】
この集草作業の際、回転する左右のロータ3・3は、回転するそれぞれのロータ3に設けられたフォーク状の歯杆33により掻き寄せる牧草を、それぞれ左右に略対称に配設された左右のロータ3・3の対向側となる内側に向けて寄せ、左右のロータ3・3の中間部位に1本の条列状に集草していくようにするため、それぞれのロータ3・3の回転方向は、
図5において2重線の矢印に示している如く、各ロータ3の前縁側が対向側となる内側を経て後縁側に向けて回動するよう互いに逆向きとなって対向回転するように設定している。
【0006】
このことから、入力軸14から左右のロータ3に回転動力を伝える動力伝導機構は、メインフレーム11の中間部に設ける動力分配機構aを、
図7にあるように、入力軸14には、左右のロータ3の各駆動シャフト3aを各別に駆動し得るよう一方の駆動シャフト3aを駆動するための伝導ギヤg1と他方の駆動シャフト3aを駆動するための伝導ギヤg2との2枚の伝導ギヤを組み付け、各駆動シャフト3aには、それらの各内端側に、前記2枚の伝導ギヤg1・g2に各別に噛み合う伝導ギヤg3・g4をそれぞれ設けて4枚の伝導ギヤを組み合わせた構成として、左右の駆動シャフト3a・3aをそれぞれ逆方向に回転させるようにし、また、左右の駆動シャフト3aからの回転動力を左右のロータ3に伝えるよう、各ロータ3の中心機枠30内に収蔵せる減速機構を兼ねる伝導ギヤ機構bは、
図7の上部及び下部に記載したように、ロータ3の回転軸に組み付けられる大径のベベルギヤよりなる伝導ギヤg5と、駆動シャフト3aの外端側に組み付けられて前記大径の伝導ギヤg5に噛み合わす小径のベベル状の伝導ギヤg6と、の2枚のギヤの組み合わせで構成したものを、左右において対称するように組み込み、これにより、左右のロータ3を、それぞれ作用側が内側に回転させるようにしている。
【0007】
ツインレーキAの、左右のロータ3・3に対し回転動力を伝達する動力伝導手段には、上述の
図1〜
図7で示した手段の他に、
図8〜
図13により示している手段がある。
【0008】
この手段は、左右のロータ3・3は、メインフレーム11の前後の中間部位に組み付けた左右に突出するロータの支持フレーム2の各外端にロータ3の中心機枠30を支架せしめて、この中心機枠30にロータ3の回転軸を上下方向として軸支し、この回転軸に、ロータ3を組み付けることで軸架することについては、前述した
図1に示しているツインレーキと同様であるが、この左右のロータ3に対し、入力軸14から回転動力を分配して伝達するための動力分配機構aは、メインフレーム11に組み付けた前述のロータの支持フレーム2から引き離して、メインフレーム11の前端側に寄せた位置に装設し、この動力分配機構aから左右のロータ3・3に回転動力を伝える駆動シャフト3aは、左右のロータの支持フレーム2の下面側から引き外し、むき出しの状態として、動力分配機構aとロータの支持フレーム2先端のロータの中心機枠30との間に、斜めに渡架するように軸架し、この駆動シャフト3aの内端側を動力分配機構aの伝導ギヤに連繋し、外端側をロータの中心機枠30内に組み込む伝導ギヤ機構bに連繋して、入力軸14の回転によりこの斜めの駆動シャフト3aを駆動し、左右のロータ3を対向回転させるようにしている。
【0009】
そして、この例では、動力分配機構aは、
図8の右方の拡大図にあるように、入力軸14の後端側にベベルギヤに形成した伝導ギヤg1を組み付け、これに、動力分配機構aの機枠a’に、入力軸14に対し平面視で斜めの姿勢として軸架した一方の駆動シャフト(図において右方の駆動シャフト)3aの内端側に組み付けたベベルギヤに形成せる伝導ギヤg3を組み付けて前記入力軸14に設けた伝導ギヤg1に噛み合わせ、この一方の駆動シャフト3aには、前記機枠a’内において前述の伝導ギヤg3と対向する部位に、ベベルギヤに形成した伝導ギヤg2を前記伝導ギヤg3と対称させて組み付け、この一方の駆動シャフト3aに組み付けた伝導ギヤg2を、前記機枠a’に内端側を軸架せる他方の駆動シャフト3aの内端部に組み付けたベベルギヤよりなる伝導ギヤg4に噛み合わせることで構成してあり、これにより入力軸14よりの回転動力を、斜めに渡架した左右の駆動シャフト3aに分配して伝達し、それぞれ逆向きに回転させるようにしている。
【0010】
また、左右の駆動シャフト3aから左右のロータ3へ回転動力を伝導する伝導ギヤ機構bは、
図10の右方の拡大図にあるように、各駆動シャフト3aの外端部に設けた小径のベベルギヤg5を、各ロータ3の中心機枠30内に組み込んである大径のベベルギヤよりなる伝導ギヤg6に噛み合わせることで構成し、これを、左右のロータ3の中心機枠30に、左右において対称するように配置して組み込み、これによりロータ3を減速回転させるようにしている。
【0011】
このように構成されるツインレーキの動力伝導機構には、左右のロータ3を、対向側がそれぞれ前方から後方に回転するようにするため、動力分配機構aを介し駆動する左右の駆動シャフト3aをそれぞれ逆方向に回転させる構成のものとすることで、動力分配機構aに要するギヤの枚数及び部品点数が多くなり、また、駆動シャフト3aから左右のロータ3に減速させて回転動力を伝導する減速伝導ギヤ機構bに、別種のギヤを要することで、伝導ギヤのギヤ種が数種類と多くなり、動力伝導機構のコストが高くなる問題がある。
【0012】
レーキには、
図12、
図13にあるよう、トラクタTの連結ヒッチtに連結する組付機枠10から後方に直杆状に延出するメインフレーム11の後端部に、ロータ3の中心機枠30を連結的に組み付けて、これにロータ3を回転自在に軸架し、このロータ3に、トラクタTのPTO軸15からユニバーサルジョイント16を経て、メインフレーム11の下面側に装架せる入力軸14に伝えられる回転動力を、その入力軸14の後端から、ロータ3の中心機枠30内に組み込んだ減速機構を兼ねる伝導ギヤ機構bに伝導して、ロータ3を回転させ、圃場に刈り倒されて放置してある牧草等を、ロータ3の左右の一側に片寄せ集草していくロータを1個としたタイプのものがある。
【0013】
このタイプにおける動力伝導機構は、ロータが単一であることで動力分配機構aを要しないことと、ロータ3を減速回転させるための減速伝導ギヤ機構bに、安価な平歯車を組み合わせて構成したものを用いていることで、安価なコストのものとなっている。
【0014】
この平歯車を用いて、構成せる減速伝導ギヤ機構bは、
図14、
図15に示しているように、ロータ3の回転軸yに組み付けた大径の平歯車G1とこれに噛み合わせてロータ3の中心機枠30に軸支した小径の平歯車G2との一対の平歯車と、前記小径の平歯車G2の回転軸zに組み付けた小径のベベルギヤG3とこれに噛み合わせて入力軸14の後端に組み付けた小径のベベルギヤG4との一対の小径のベベルギヤとにより構成してあり、構成の主体部を安価に作れる一対の平歯車としたものである。しかし、この平歯車を用いた減速伝導ギヤ機構bは、ツインレーキの動力伝導機構には用いられていない。
【0015】
ツインレーキの動力伝導機構のコストを安価にするため、動力分配機構aを、入力軸に組み付けた伝導ギヤに、左右の駆動シャフトの各内端に組み付けた伝導ギヤをそれぞれ直接噛み合わせる3枚のギヤの組み合わせで構成して、ギヤの枚数を減少させる手段が考えられる。しかし、この手段は、入力軸14に組み付けたギヤに対して噛み合う左右の駆動シャフト3aにそれぞれ組み付けたギヤの回転方向が、それぞれ同方向となることで、左右の駆動シャフト3aが互いに同方向に回転するようになることから、減速伝導ギヤ機構bを介して回転させる左右のロータ3を、対向回転させることができなくなる問題がある。
【0016】
また、ツインレーキAには、
図20、
図21に示しているようにツインレーキAの本体機枠1の後方に、ロールベーラなどの収穫機Bを連結装着して、ツインレーキAで集草した牧草などを連結した収穫機Bで収穫していけるようにして、集草と収穫とが同時に行えるようにしたコンビレーキと称する形態のものがある。
【0017】
このコンビレーキと称する形態のツインレーキAは、牽引するトラクタTのPTO軸15から出力される回転動力で、左右のロータ3の回転作動と、連結したロールベーラB等の収穫機の作動とを行わすことから、
図22、
図23に示すようツインレーキAの本体機枠1には、入力軸14に導した回転動力を、左右のロータ3に伝えるための動力伝導機構と、本体機枠1の後方に連結したロールベーラBの入力軸に伝えるための動力伝導機構とが装備される。
【0018】
図示する例について具体的にいえば、
図22、
図23において、ツインレーキAの本体機枠1のメインフレーム11の下面側には、前端側が入力軸14に対して本体機枠1の前端寄りの部位に設けた伝導機構Dを介し接続するロータ駆動軸s1と、メインフレーム11の前後の中間部に設けられて、前記ロータ駆動軸s1の後端側と接続する動力分配機構aと、その動力分配機構aから左右に分枝するように突出する左右のロータ3の駆動シャフト3aと、それら左右の駆動シャフト3aの各外端から左右のロータ3に回転動力を減速して伝導するよう、左右のロータ3の中心機枠30にそれぞれ組み込まれる減速伝導ギヤ機構bと、からなる動力伝導機構が、通常のツインレーキと同様に装架される。
【0019】
そして、この左右のロータ3を駆動するための動力伝導機構とは別に、後方に連結せるロールベーラBの入力軸B’に回転動力を伝導するため、前端側が、前記伝導機構Dに接続して、後端側が本体機枠1の後端部に軸支されるベーラ駆動軸s2と、そのベーラ駆動軸s2の、本体機枠1の後部から後方に突出する部位に設けられる軸継手jと、からなる動力伝導機構が、さらに装架される。
【0020】
このコンビレーキと称呼される形態のツインレーキには、通常のツインレーキに装備されるコストの高い動力伝導機構を装備する外に、ロータ駆動軸s1とベール駆動軸s2との2本の駆動軸を装備することで、動力伝導機構を著しくコストの高いものとする問題がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】同上ツインレーキのロータの中心部分の拡大平面図である。
【
図4】同上ツインレーキの同上中心部分の拡大側面図である。
【
図5】同上ツインレーキの、動力伝導機構を現した平面図である。
【
図6】同上ツインレーキの、動力伝導機構を現した側面図である。
【
図7】同上の動力伝導機構の、左右のロータ駆動シャフトに対する動力の分配機構部分及び、ロータ駆動シャフトの外端からロータを減速回転させる減速伝導ギヤ機構部分の概要を現した平面図である。
【
図8】従前のツインレーキで、動力分配機構を、左右のロータの支持フレームから引き離した位置に設けている形態のツインレーキの平面図で、動力分配機構の拡大図を付加している平面図である。
【
図10】同上形態のツインレーキの平面図で、左右の駆動シャフトの外端部とロータの中心機枠との間に設けられる減速伝導ギヤ機構部の拡大図を付加している説明図である。
【
図12】レーキの本体機枠に軸架するロータを1個としたシングル形態のレーキの平面図である。
【
図14】同上形態のレーキに装備される動力伝導機構のうちの、ロータの中心機枠に組み込まれる減速伝導ギヤ機構部の平面図である。
【
図16】本発明による動力伝導機構を実施せるツインレーキの平面図である。
【
図18】同上ツインレーキの右側(図において上部側)のロータの中心機枠に組み込まれる減速伝導ギヤ機構の、平面図及び側面図である。
【
図19】同上ツインレーキの左側(図において下部側)のロータの中心機枠に組み込まれる減速伝導ギヤ機構の、平面図及び側面図である。
【
図20】ツインレーキの本体機枠の後方にロールベーラを連結装着して構成せるコンビレーキの平面図である。
【
図22】同上のコンビレーキの、動力伝導機構を現した状態の平面図である。
【
図23】同上コンビレーキの同上状態の側面図である。
【
図24】本発明による動力伝導機構を実施せるコンビレーキの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に本発明の実施の態様を実施例につき図面に従い詳述する。
【実施例1】
【0027】
図16は、本発明による動力伝導機構を実施せるツインレーキの平面図、
図17は同上のツインレーキの側面図で、これら、
図16、
図17において、1はツインレーキAの本体機枠で、前端側に設けた上下方向の座板状の組付機枠10と、この組付機枠10の後面側の上部に前端部を組み付けて後方に向け長く延出させたメインフレーム11と、このメインフレーム11の後端部に直交して左右に突出するように組み付けた走行輪12の支持機枠13と、により、平面視において、略前後に長いT字状に組み立てられている。
【0028】
2・2は、この本体機枠1のメインフレーム11の前後の中間部に、左右に側板状に突出するように組み付けたロータの支持フレームで、左右のロータ3・3は、これら支持フレーム2の各外端に、中心機枠30を支架し、その中心機枠30に旋回自在にロータ3をそれぞれ軸支することで、メインフレーム11の左右の両側にそれぞれ位置する状態として軸架してあり、これにより、ツインレーキAを構成している。
【0029】
Wは、このツインレーキAを、本体機枠1の前端側に設けた組付機枠10とトラクタTの車体の後部に設けられている連結ヒッチtとの接続により、トラクタTに連結して、トラクタTの走行により牽引させて、集草作業を行うときに、左右のロータ3・3を、牽引するトラクタTのPTO軸15から導く回転動力により駆動させるための動力伝導機構で、トラクタTのPTO軸15から、ユニバーサルジョイント軸16を介して回転動力を入力する入力軸14と、その入力軸14から左右のロータ3・3の各駆動シャフト3aに回転動力を分配して伝導する動力分配機構aと、各駆動シャフト3aの外端から左右のロータ3・3に減速して伝える減速伝導ギヤ機構bとからなる。
【0030】
前記入力軸14は、前後方向に長い軸杆状に形成してあって、本体機枠1のメインフレーム11の下方に、そのメインフレーム11に沿わせて配設してあり、前端側を、メインフレーム11の前端寄りの部位に設けた軸支部材に軸支し、中間部を、メインフレーム11の中間部位に組み付けた動力分配機構aの機枠a’に軸支し、これにより、本体機枠1に対し軸架してあって、後端側は、前記動力分配機構aの機枠a’から後方に延出させてある。この入力軸14の本体機枠1に対する軸架手段は、上述の例に限らず任意に行ってよい。
【0031】
入力軸14の前端部には、軸継手jが設けられ、この軸継手jとトラクタTのPTO軸15とをユニバーサルジョイント軸16を介し接続連繋することで、トラクタT側から回転動力を入力するようにしている。この入力軸14とトラクタTのPTO軸15との接続手段も任意であり、他の適宜の手段で接続してよい。
【0032】
動力分配機構aは、入力軸14から左右のロータ3を駆動する左右の駆動シャフト3a・3aに、回転動力を分配して伝導する機構であり、ロータ3を駆動する駆動シャフト3aが、通常、本体機枠1のメインフレーム11から左右に突出するロータの支持フレーム2の下面に沿い設けられることで、メインフレーム11の、ロータの支持フレーム2が接続する前後の中間部位に組み付けられるが、この例においては、ロータの支持フレーム2の接続位置から前方に離したメインフレーム11の前端寄りの部位に組み付け装架している。
【0033】
そして、左右の駆動シャフト3aは、この動力分配機構aの機枠a’と、左右のロータ3の中心機枠30との間に、平面視において斜めに渡架して、前記機枠a’と中心機枠30とに軸架している。この駆動シャフト3aは、ケースまたはカバーで覆うことなく、むき出しの状態としている。
【0034】
動力分配機構aの、入力軸14から左右の駆動シャフト3aへの回転動力の分配は、入力軸14に組み付ける駆動側のギヤと駆動シャフト3aを組み付ける受動側のギヤとの組み合わせで行う通常のものである。
【0035】
このギヤの組み合わせで構成する分配機構は、従前のツインレーキAにおいては、左右のロータ3を対向回転させるために、分配して駆動する駆動シャフト3aを同方向に回転させ、駆動シャフト3aの外端とロータ3の中心機枠30との間に組み込む減速伝導ギヤ機構bを、左右において対称する形態に組み込み、左右のロータ3が対向回転するようにすることから、通常、前述した
図7にあるよう、入力軸14には、2枚のベベルギヤg1・g2を並列対称させて組み付け、これらギヤg1・g2に噛み合わさるよう、各駆動シャフト3aの内端側に組み付けるベベルギヤg3・g4との、4枚のベベルギヤを用いて、構成するようにしている。
【0036】
しかし、この本発明の実施例では、動力分配機構aは
図16の上部に示している如く、入力軸14の分配機構aの機枠a’に軸架している部位に組み付けたベベルギヤg1と、機枠a’に軸架している各駆動シャフト3aの外端部にそれぞれ組み付けて前記入力軸14に組み付けたベベルギヤg1に噛み合わすベベルギヤg2・g3との3枚のベベルギヤで構成してあって、これにより、左右の駆動シャフト3aはそれぞれ同方向に回転するが、使用するギヤの枚数が、前述の
図7で示している従前の分配機構のものに比して1枚少なく、従ってコストを安価なものとしている。
【0037】
減速伝導ギヤ機構bは、左右の駆動シャフト3aの各外端から左右のロータ3に、回転動力をそれぞれ減速して伝えるためのものであり、この実施例においては、製作コストを安くするため、前述したロータ3が1個のシングルレーキ(
図12)に装備されている安価な平歯車を組み合わせて構成したものを用いている。
【0038】
図18は、この平歯車を組み合わせて構成せる減速伝導ギヤ機構bの上面視と側面視の各状態を示し、同図において、30は、メインフレーム11に対し左右に突出するように組み付けたロータの支持フレーム2の外端に支架せる中心機枠、3はこの中心機枠30の下面側に、縦方向の回転軸yにより旋回自在に軸架せるロータである。
【0039】
G1は中心機枠30内において、前記ロータ3の回転軸yに組み付けた大径の平歯車、G2は、この大径の平歯車G1と組み合わせて減速機構を構成するよう、その大径の平歯車G1に噛み合わせて、中心機枠30に軸支した小径の平歯車、G3は、上記一対の平歯車で構成する減速機構を作動さすよう、前記小径の平歯車G2の回転軸zに一体的に組み付けた小径のベベルギヤ、G4は、上記小径ベベルギヤG3を、駆動シャフト3aの回転作動により回転さすよう、その駆動シャフト3aの外端に組み付けて、前記小径のベベルギヤG3に噛み合わせたベベルギヤである。減速伝導ギヤ機構bは、このように、一対の平歯車G1・G2と、これを作動さす一対の小径のベベルギヤG3・G4で構成している。
【0040】
しかして、このように構成される平歯車を用いた減速伝導ギヤ機構bについて、本発明手段においては、さらに、構成を付加している。
【0041】
左右のロータ3の中心機枠30内に組み込むとき、例えば、
図16において、上方に位置する右側のロータ3に対し組み込むときは、
図18に示している構成態様のままで組み込むが、下方に位置する左側のロータ3に組み込む減速伝導ギヤ機構bにあっては、
図19に示しているように、小径の平歯車G2の軸zに組み付ける小径のベベルギヤG3とこれに噛み合わせる駆動シャフト3aに組み付ける小径のベベルギヤG4との一対のベベルギヤの組み合わせを、小径の平歯車G1の軸zを長く上方に突出させて、その軸zの上端側に小径のベベルギヤG3を、歯面が下方に向かう下向きの姿勢として組み付け、これに、駆動シャフト3aの外端に設ける小径のベベルギヤG4を、下方から当接させて噛み合わせ、これにより、駆動シャフト3aから一対の小径のベベルギヤG3・G4を経て小径の平歯車G2に伝えられる回転動力の回転方向が、上方のロータ3に組み込まれる減速伝導ギヤ機構bにおける一対の小径のベベルギヤG3・G4により小径の平歯車G2に伝えられる、回転動力の回転方向と逆方向になるように構成している。
【0042】
そして、これにより、この実施例のツインレーキAにおける動力伝導装置は、動力分配機構aに、使用するギヤの枚数が少ないことでコストを安価にできるが、左右の出力軸である左右の駆動シャフト3a・3aの2軸が同一方向となる3枚のギヤの組み合わせよりなる構成のものを用いながら、この動力分配機構aから平歯車を組み合わせて構成した減速伝導ギヤ機構bを経て駆動する左右のロータ3を、作用側が内側へ回転する対向回転の状態とする。
【0043】
従って、ツインレーキの動力伝導装置のコストを、動力分配機構aをコストの安い3枚ギヤの構成としたことと、減速伝導ギヤ機構bを安価な平歯車の組み合わせで構成したこととで、安価なものとする。
【実施例2】
【0044】
図24、
図25は、別の実施例を示している。
この実施例は、本発明によるツインレーキにおける動力伝導手段を、コンビレーキと称される形態のツインレーキに実施した例である。
【0045】
コンビレーキは、ツインレーキの機体の後部に、ベーラ、ハーベスタ等の収穫機を連結装着して、ツインレーキで条列状に集草した牧草などを、後続する収穫機で収穫処理していくようにした形態のツインレーキである。
【0046】
前記
図24、
図25において、Tはトラクタ、AはトラクタTの車体後部の連結ヒッチtに本体機枠1の前端部を連結したツインレーキ、Bは前記ツインレーキAの本体機枠1の後部に、連結装着した収穫機であり、その収穫機は、この例においては、ロールベーラである。
【0047】
ツインレーキAは、本体機枠1のメインシャフト11の左右の両側に、2個のロータ3を左右に対称するように配して、メインシャフト11から左右に突出するように設けた支持フレーム2の各外端に軸架し、これら左右のロータ3に対し、牽引するトラクタTのPTO軸15から取り出す回転動力を、本体機枠1の下面側に装備せる動力伝導機構を介し伝導して、これら左右のロータ3を対向回転させるようにしている通常の形態のツインレーキである。
【0048】
ツインレーキAの本体機枠1の後部に連結装着したロールベーラBは、機体の前面側の下部に設けたピックアップ装置pの作動で、牧草などを拾い上げて、機体の内部の成形室に送り込み、その成形室内に設けてあるベール成形装置で、ロールベールRに成形し、成形したロールベールRを機体の後方に放出する通常のロールベーラであり、ピックアップ装置p及びベール成形装置らの作動部の駆動を、機体の前面側に設けた入力軸B’から入力する外部からの回転動力で行わす被牽引形のロールベーラである。
【0049】
このコンビレーキの形態のツインレーキにおける動力伝導手段は、以下に記述する構成態様としてある。ツインレーキAの本体機枠1のメインシャフト11の下面側には、トラクタTのPTO軸15とユニバーサルジョイント軸16を介して接続する入力軸14を、前後に長く形成して、軸支部材により回転自在に軸架する。
【0050】
この入力軸14の前端寄りの部位には、
図24において下方に記載した拡大図に示しているように、入力軸14に組み付けた伝導ギヤg1と一方(図において上方)のロータの駆動シャフト3aの内端部に組み付けた伝導ギヤg2と、他方(図において下方)のロータの駆動シャフト3aの内端部に組み付けた伝導ギヤg3との、3枚のギヤを組み合わせた構成の動力分配装置aを組み込む。
【0051】
メインシャフト11から左右に突出する支持フレーム2の各外端に軸架せる左右のロータ3の中心機枠30内には、前記動力分配装置aを経て左右の駆動シャフト3aに伝えられる回転動力を、ロータ3の回転軸yに減速して伝えるための減速伝導ギヤ機構bを組み込むが、その減速伝導ギヤ機構bは、前述の実施例1において用いた減速伝導ギヤ機構bと同様に安価な平歯車の組み合わせにより構成し、かつ、一方(
図24において上方)のロータ3の中心機枠30に組み込む減速伝導ギヤ機構と他方(
図24において下方)のロータ3の中心機枠30に組み込む減速伝導ギヤ機構とは、実施例1において、
図18と
図19により説明しているよう、小径の平歯車G2を作動させる一対のベベルギヤG3・G4の組み合わせを、歯面の噛み合いが表・裏に逆になるようにして、左右のロータ3が互いに逆方向に回転するように構成して組み込んでいる。
【0052】
しかして、入力軸14は、上述した如く、途中に組み付けた動力分配装置aを越した後方に長く延長させてあって、その延長部の後端部は、ツインレーキAの本体機枠1の後部の後面側の後方に突出させてあり、その入力軸14の後端部には、軸継手jが装備せしめてある。
【0053】
そして、この軸継手jを設けた入力軸14の延長端部を、ツインレーキAの本体機枠1の後部に連結装着した収穫機Bの入力軸B’に対し、ユニバーサルジョイント軸16を介し接続伝導させることで、入力軸14の延長部分が、収穫機Bの入力軸に回転動力を伝える駆動軸となって、収穫機Bを駆動するようにしている。入力軸14の延長端部に設ける軸継手jは、伝導軸が組み付けられるようになっていればよく、任意に構成してよい。
【0054】
この実施例のコンビレーキにおける動力伝導手段は、連結装着した収穫機を駆動させるための駆動軸が、ツインレーキの左右のロータに回転動力を伝えるための入力軸を延長することで構成されるので、従前、入力軸と別に、ロータ駆動軸とベール駆動軸との2本の駆動軸を要していたのに対し、コストを著しく安価にする。
【0055】
また、図示している例の如く、左右のロータに回転動力を分配して伝える動力分配装置aに、3枚ギヤの組み合わせで構成したものを用い、左右のロータのそれぞれに、回転動力を減速して伝える減速伝導ギヤ機構bに、安価な平歯車を組み合わせて構成したものを用いたときは、これによるコストを安価にする利益が併せて得られる。