特許第5943674号(P5943674)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943674
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】宇宙機
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/50 20060101AFI20160621BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   B64G1/50 Z
   H05K7/20 B
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-74873(P2012-74873)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-203261(P2013-203261A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102864
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】松浦 真悟
(72)【発明者】
【氏名】中村 信乃夫
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−129300(JP,A)
【文献】 米国特許第03461954(US,A)
【文献】 特開平02−109800(JP,A)
【文献】 特開平01−195626(JP,A)
【文献】 特開昭62−103300(JP,A)
【文献】 実開昭62−185700(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/50
B64G 1/66
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミッションを実行する機器が搭載されるコンポーネントと、
前記コンポーネントを支持するための取り付け面が形成される宇宙機本体と、
前記宇宙機本体に前記コンポーネントから単位時間当たりに伝導する熱量が変化するように、前記コンポーネントのコンポーネント外殻が前記取り付け面に接触する接触面積を変化させる接触面積変更機構
とを具備し、
前記コンポーネント外殻は、容器を構成している
宇宙機。
【請求項2】
請求項1において、
前記機器が稼働する稼働状況に基づいて前記接触面積が変化するように、前記接触面積変更機構を制御する制御装置
をさらに具備する宇宙機。
【請求項3】
請求項2において、
前記機器を加熱するヒーターをさらに具備し、
前記制御装置は、前記機器が所定の温度範囲で保温されるように、前記ヒーターを制御する
宇宙機。
【請求項4】
請求項2〜請求項3のいずれか一項において、
前記接触面積変更機構は、前記宇宙機本体に対して前記コンポーネントを移動させることにより、前記接触面積を変更する
宇宙機。
【請求項5】
ミッションを実行する機器が搭載されるコンポーネントと、
前記コンポーネントを支持するための取り付け面が形成される宇宙機本体と、
前記宇宙機本体に前記コンポーネントから単位時間当たりに伝導する熱量が変化するように、前記コンポーネントのコンポーネント外殻が前記取り付け面に接触する接触面積を変化させる接触面積変更機構と、
前記機器が稼働する稼働状況に基づいて前記接触面積が変化するように、前記接触面積変更機構を制御する制御装置
とを具備し、
前記接触面積変更機構は、前記宇宙機本体に対して前記コンポーネントを移動させることにより、前記接触面積を変更し、
前記接触面積変更機構は、
前記コンポーネントが前記取り付け面に接近するように、前記コンポーネントに弾性力を印加する弾性体と、
前記コンポーネントに固定される回転軸を中心に回転可能に支持されるカムと、
前記回転軸を中心に前記カムを回転させるモータとを備え、
前記カムは、前記回転軸を中心に前記カムが回転することにより、前記取り付け面から前記コンポーネントまでの距離が変化するように、前記取り付け面を摺動する外周が形成される
宇宙機。
【請求項6】
請求項5において、
前記接触面積変更機構は、前記コンポーネントが前記取り付け面に接触しているときに、前記コンポーネントを前記取り付け面に固定するラッチをさらに備える
宇宙機。
【請求項7】
機器が搭載されるコンポーネント外殻と、
前記コンポーネント外殻を支持するための取り付け面が形成される宇宙機本体に前記コンポーネント外殻から単位時間当たりに伝導する熱量が変化するように、前記コンポーネント外殻が前記取り付け面に接触する接触面積を変化させる接触面積変更機構
とを具備し、
前記コンポーネント外殻は、容器を構成している
コンポーネント。
【請求項8】
機器が搭載されるコンポーネントと、
前記コンポーネントを支持するための取り付け面が形成される宇宙機本体と、
前記宇宙機本体に前記コンポーネントから単位時間当たりに伝導する熱量が変化するように、前記コンポーネントのコンポーネント外殻が前記取り付け面に接触する接触面積を変化させる接触面積変更機構
とを具備する宇宙機用いて前記機器を温度調節する温度調節方法であり、
前記機器が稼働する稼働状況を収集するステップと、
前記稼働状況に基づいて前記接触面積が変化するように、前記接触面積変更機構を制御するステップ
とを具備し、
前記コンポーネント外殻は、容器を構成している
温度調節方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宇宙機に関し、特に、温度調節が必要である機器を備える宇宙機に関する。
【背景技術】
【0002】
ミッションを実現するための機器を備え、宇宙空間を飛行する宇宙機が知られている。その機器は、所定の許容温度範囲に保持する必要があり、その許容温度範囲より低温となるときに、ヒーターにより加熱する必要があるものがある。その宇宙機は、消費エネルギーがより小さいことが望まれ、その機器を温度調節するためのエネルギーをより低減することが望まれている。
【0003】
特開平09−199882号公報には、温度制御の省電力化を図ることができる温度制御装置が開示されている。その温度制御装置は、作動時に発熱を伴う電子回路装置の温度制御を行うための温度制御装置であって、温度センサーとヒートシンク手段と第1の調整手段と制御手段とからなる。その温度センサーは、該電子回路装置に取り付けられている。そのヒートシンク手段は、前記電子回路装置から生じる発熱を放熱する。その第1の調整手段は、このヒートシンク手段と前記電子回路装置との伝熱接触面を可変することにより、伝熱量を調整する。その制御手段は、前記温度センサーからの出力信号に基づき、前記第1の調整手段を制御する。
【0004】
特開2006−86260号公報には、試料を載置した試料プレートを急冷することができる温度制御装置が開示されている。その温度制御装置は、加熱器を備えたヒートプレートに試料載置部を設け、前記試料載置部を加熱することができる温度制御装置において、前記試料載置部を冷却するコールドプレートを備え、前記コールドプレートと、前記ヒートプレートとの間の熱交換のレベルを切換えることができる切換手段を備えたことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−199882号公報
【特許文献2】特開2006−86260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、機器を温度調節するためのエネルギーをより低減する宇宙機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0008】
本発明による宇宙機(1)は、宇宙機本体(2)とコンポーネント(3)(21)(31)(51)(61)と接触面積変更機構(7)(22)(33)(63)とを備えている。コンポーネント(3)(21)(31)(51)(61)は、ミッションを実行する機器(71)が搭載されている。宇宙機本体(2)は、コンポーネント(3)(21)(31)(51)(61)を支持するための取り付け面(5)が形成されている。接触面積変更機構(7)(22)(33)(63)は、宇宙機本体(2)にコンポーネント(3)(21)(31)(51)(61)から単位時間当たりに伝導する熱量が変化するように、コンポーネント(3)(21)(31)(51)(61)のコンポーネント外殻(6)(35)(55−1〜55−n)(65)が取り付け面(5)に接触する接触面積を変化させる。このような宇宙機(1)は、接触面積変更機構(7)(22)(33)(63)を用いてその接触面積を変化させることにより、機器(71)を所定の温度範囲に保温するエネルギーを低減することができる。
【0009】
本発明による宇宙機(1)は、機器(71)が稼働する稼働状況に基づいてその接触面積が変化するように、接触面積変更機構(7)(22)(33)を制御する制御装置(75)をさらに備えている。このような宇宙機(1)は、機器(71)が稼働する稼働状況に基づいてその熱伝導率を変化させることにより、機器(71)をより効率よく温度調節することができる。
【0010】
本発明による宇宙機(1)は、機器(71)を加熱するヒーター(74)をさらに備えている。制御装置(75)は、機器(71)が所定の温度範囲で保温されるように、ヒーター(74)を制御する。このような宇宙機(1)は、その接触面積を小さくして機器(71)を加熱することにより、機器(71)を加熱するエネルギーを低減することができる。
【0011】
接触面積変更機構(7)(22)は、宇宙機本体(2)に対してコンポーネント(3)(21)を移動させることにより、その接触面積を変更する。ことが好ましい。
【0012】
接触面積変更機構(7)は、コンポーネント(3)が取り付け面(5)に接近するように、コンポーネント(3)に弾性力を印加する弾性体(11)と、コンポーネント(3)に固定される回転軸(16)を中心に回転可能に支持されるカム(12)と、回転軸(16)を中心にカム(12)を回転させるモータ(14)とを備えていることが好ましい。このとき、カム(12)は、回転軸(16)を中心にカム(12)が回転することにより、取り付け面(5)からコンポーネント(3)までの距離が変化するように、取り付け面(5)を摺動する外周(17)が形成されている。
【0013】
接触面積変更機構(7)は、コンポーネント(3)が取り付け面(5)に接触しているときに、コンポーネント(3)を取り付け面(5)に固定するラッチ(15)をさらに備えている。このような宇宙機(1)は、コンポーネント(3)が取り付け面(5)に接触しているときに、コンポーネント(3)が宇宙機本体(2)に対して振動することを防止することができる。
【0014】
本発明によるコンポーネント(3)(21)(31)(51)(61)は、コンポーネント外殻(6)(35)(55−1〜55−n)(65)と接触面積変更機構(7)(22)(33)(63)とを備えている。コンポーネント外殻(6)(35)(55−1〜55−n)(65)は、機器(71)が搭載されている。コンポーネント外殻(6)(35)(55−1〜55−n)(65)は、宇宙機本体(2)に形成される取り付け面(5)に支持されている。接触面積変更機構(7)(22)(33)(63)は、宇宙機本体(2)にコンポーネント外殻(6)(35)(55−1〜55−n)(65)から単位時間当たりに伝導する熱量が変化するように、コンポーネント外殻(6)(35)(55−1〜55−n)(65)が取り付け面(5)に接触する接触面積を変化させる。このようなコンポーネント(3)(21)(31)(51)(61)は、接触面積変更機構(7)(22)(33)(63)を用いてその接触面積を変化させることにより、機器(71)を所定の温度範囲に保温するエネルギーを低減することができる。
【0015】
本発明による温度調節方法は、宇宙機(1)を用いて実行される。宇宙機(1)は、宇宙機本体(2)とコンポーネント(3)(21)(31)(51)と接触面積変更機構(7)(22)(33)とを備えている。コンポーネント(3)(21)(31)(51)は、機器(71)が搭載されている。宇宙機本体(2)は、コンポーネント(3)(21)(31)(51)(61)を支持するための取り付け面(5)が形成されている。接触面積変更機構(7)(22)(33)は、宇宙機本体(2)にコンポーネント(3)(21)(31)(51)から単位時間当たりに伝導する熱量が変化するように、コンポーネント(3)(21)(31)(51)のコンポーネント外殻(6)(35)(55−1〜55−n)が取り付け面(5)に接触する接触面積を変化させる。本発明による温度調節方法は、機器(71)が稼働する稼働状況を収集するステップと、その稼働状況に基づいてその接触面積が変化するように、接触面積変更機構(7)(22)(33)を制御するステップとを備えている。このような温度調節方法によれば、宇宙機(1)は、機器(71)が稼働する稼働状況に基づいてその熱伝導率を変化させることにより、機器(71)をより効率よく温度調節することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明による宇宙機は、コンポーネントの外殻が宇宙機本体の取り付け面に接触する接触面の接触面積が変化することにより、そのコンポーネントを温度調節するためのエネルギーをより低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明による宇宙機を示す側面図である。
図2図2は、本発明による宇宙機を示すブロック図である。
図3図3は、宇宙機本体の取り付け面とコンポーネントの接触面とが離れているときの宇宙機を示す側面図である。
図4図4は、他のコンポーネントを示す側面図である。
図5図5は、宇宙機本体の取り付け面とコンポーネントの接触面とが離れているときの宇宙機を示す側面図である。
図6図6は、さらに他のコンポーネントを示す側面図である。
図7図7は、宇宙機本体の取り付け面とコンポーネントの接触面とが離れているときの宇宙機を示す側面図である。
図8図8は、さらに他のコンポーネントを示す側面図である。
図9図9は、宇宙機本体の取り付け面とコンポーネントの接触面とが離れているときの宇宙機を示す斜視図である。
図10図10は、さらに他のコンポーネントを示す側面図である。
図11図11は、宇宙機本体の取り付け面とコンポーネントの接触面とが離れているときの宇宙機を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、本発明による宇宙機の実施の形態を記載する。その宇宙機1は、図1に示されているように、宇宙機本体2とコンポーネント3とを備えている。宇宙機本体2は、平坦な取り付け面5が形成されている。宇宙機本体2は、宇宙空間を飛行し、地球に例示される惑星を周回する惑星周回軌道を飛行している。宇宙機本体2は、さらに、図示されていない太陽電池と電池とを備えている。その太陽電池は、太陽光が入射されることにより発電する。このため、その太陽電池は、宇宙機本体2がその惑星の陰に配置されているときに、発電しない。その電池は、宇宙機本体2がその惑星の陰に配置されているかどうかにかかわらずに、電力を生成し、その太陽電池が発電していないときに、宇宙機1に搭載される電気機器にその電力を供給する。
【0019】
コンポーネント3は、コンポーネント外殻6と接触面積変更機構7とを備えている。コンポーネント外殻6は、容器に形成されている。コンポーネント外殻6は、さらに、平坦である接触面8が形成されている。コンポーネント外殻6は、接触面8が取り付け面5に平行になるように、かつ、接触面8が取り付け面5に対向するように、配置されている。
【0020】
接触面積変更機構7は、コンポーネント外殻6を宇宙機本体2に支持している。接触面積変更機構7は、レール10とバネ11とカム12とモータ14とラッチ15とを備えている。レール10は、取り付け面5の法線方向に平行にコンポーネント外殻6が移動することができるように、宇宙機本体2にコンポーネント外殻6を支持している。バネ11は、弾性体から形成されている。バネ11は、一端が宇宙機本体2に接合され、他端がコンポーネント外殻6に接合されている。バネ11は、さらに、コンポーネント3の接触面8が取り付け面5に接近するように、すなわち、コンポーネント3のコンポーネント外殻6が宇宙機本体2に接近するように、宇宙機本体2とコンポーネント外殻6とに弾性力を印加している。
【0021】
カム12は、コンポーネント外殻6に固定されている回転軸16を中心に回転することができるように、コンポーネント外殻6に支持されている。カム12は、滑らかな外周17が形成されている。外周17は、カム12が回転することにより取り付け面5を摺動するように、かつ、外周17のうちの取り付け面5に接触する部位から回転軸16までの距離が変化するように、形成されている。このため、接触面8は、カム12が回転することにより、取り付け面5までの距離が変化し、取り付け面5に接触したり、取り付け面5から離れたりする。
【0022】
モータ14は、回転軸16を中心にカム12を回転させる。ラッチ15は、接触面8が取り付け面5に接しているときに、所定の角度にカム12が配置されることにより、コンポーネント外殻6を取り付け面5に固定する。ラッチ15は、カム12がその角度と異なる他の角度に配置されることにより、コンポーネント外殻6を取り付け面5に固定することを解除する。ラッチ15は、コンポーネント外殻6を取り付け面5に固定することにより、コンポーネント3が宇宙機本体2に対して振動することを防止する。
【0023】
接触面積変更機構7は、バネ11とカム12とモータ14とラッチ15とからなる組を複数備えている。なお、接触面積変更機構7は、その組の1つがコンポーネント3のコンポーネント外殻6を十分に確実に移動させることができるときに、その1つの組だけを備えることもできる。なお、ラッチ15は、バネ11の弾性力がコンポーネント3の振動を十分に防止することができるときに、省略されることもできる。
【0024】
コンポーネント3は、さらに、図2に示されているように、電子機器71と温度計72と宇宙機本体状況センサー73とヒーター74と制御装置75とを備えている。電子機器71は、所定のミッションを実行する。そのミッションとしては、通信、放送、観測が例示される。電子機器71は、所定の稼働時間に所定のミッションを実行し、所定の休止時間にそのミッションの実行を停止する。その稼働時間としては、宇宙機本体2の太陽電池に太陽光が照射される昼間が例示され、その休止時間としては、宇宙機本体2がその惑星の陰に配置される夜間が例示される。電子機器71は、さらに、制御装置75に稼働状況を間欠的に通知する。その稼働状況は、電子機器71がそのミッションを実行しているかどうかを示し、すなわち、稼働中または休止中の一方を示している。電子機器71は、そのミッションを実行するときに、発熱する。電子機器71は、電子機器71の温度が許容温度範囲に含まれるように、温度調節される必要がある。すなわち、電子機器71は、そのミッションが実行されているときに、電子機器71の温度がその許容温度範囲より高温にならないように冷却する必要がある場合があり、そのミッションが実行されていないときに、その許容温度範囲より低温にならないように加熱する必要がある場合がある。
【0025】
温度計72は、制御装置75に制御されることにより、電子機器71の温度を測定する。宇宙機本体状況センサー73は、制御装置75に制御されることにより、宇宙機本体2の状況を測定し、その状況を制御装置75に通知する。たとえば、その状況は、その太陽電池が発電しているかどうかを示し、取り付け面5の温度を示している。ヒーター74は、制御装置75に制御されることにより、電子機器71を加熱する。
【0026】
制御装置75は、コンピュータであり、図示されていないCPUと記憶装置とインターフェースとを備えている。そのCPUは、そのコンピュータにインストールされているコンピュータプログラムを実行することにより、その記憶装置とそのインターフェースとを制御する。その記憶装置は、そのコンピュータプログラムを記録し、そのCPUにより作成される情報を一時的に記録する。
【0027】
そのインターフェースは、そのコンピュータに接続されている外部機器により生成される情報をそのCPUに出力したり、そのCPUにより生成された情報をその外部機器に出力したりする。その外部機器は、接触面積変更機構7と電子機器71と温度計72と宇宙機本体状況センサー73とヒーター74とを含んでいる。
【0028】
制御装置75は、電子機器71から稼働状況を間欠的に受信する。制御装置75は、電子機器71の温度を間欠的に測定するように、温度計72を制御する。制御装置75は、さらに、宇宙機本体2の状況を間欠的に測定するように、宇宙機本体状況センサー73を制御する。制御装置75は、その稼働状況またはその温度またはその状況に基づいて、電子機器71が加熱または放冷されるようにヒーター74を制御し、接触面8が取り付け面5に接触または離脱するように接触面積変更機構7を制御する。
【0029】
本発明による温度調節方法の実施の形態は、制御装置75により実行され、電子機器71の稼働状況を判別する動作と、電子機器71を放冷する動作と、電子機器71を保温する動作とを備えている。電子機器71の稼働状況を判別する動作では、制御装置75は、電子機器71から稼働状況を間欠的に収集する。制御装置75は、その稼働状況に基づいて電子機器71がそのミッションを実行しているかどうかを判別する。
【0030】
電子機器71を放冷する動作は、電子機器71がそのミッションを実行しているときに実行される。制御装置75は、電子機器71から収集された稼働状況が稼働中を示しているときに、まず、ヒーター74を制御することにより、電子機器71を加熱することを停止する。制御装置75は、さらに、接触面積変更機構7を制御することにより、図1に示されているように、接触面8を取り付け面5に接触させる。すなわち、制御装置75は、モータ14を制御することにより、接触面8が取り付け面5に接触するように、かつ、ラッチ15がコンポーネント外殻6を取り付け面5に固定するように、カム12を回転させる。
【0031】
このとき、単位時間当たりに接触面8から取り付け面5に伝達される熱の熱量は、接触面8が取り付け面5に接触していることにより、接触面8が取り付け面5から離れているときに比較して、比較的大きい。このため、電子機器71により発熱された熱は、接触面8と取り付け面5とを介して宇宙機本体2に効率よく伝熱される。このため、電子機器71は、接触面8が取り付け面5から離れているときに比較して、比較的効率よく放熱され、その許容温度範囲より大きい温度に過熱されることがより防止される。
【0032】
電子機器71を保温する動作は、電子機器71がそのミッションを実行していないときに実行される。制御装置75は、電子機器71から収集された稼働状況が休止中を示しているときに、まず、接触面積変更機構7を制御することにより、図3に示されているように、接触面8を取り付け面5から離す。すなわち、制御装置75は、モータ14を制御することにより、接触面8が取り付け面5から離れるように、カム12を回転させる。制御装置75は、さらに、ヒーター74を制御することにより、電子機器71を加熱する。
【0033】
このとき、単位時間当たりに接触面8から取り付け面5に伝達される熱の熱量は、接触面8が取り付け面5に接触から離れていることにより、接触面8が取り付け面5に接触しているときに比較して、比較的小さい。このため、ヒーター74により生成された熱は、接触面8が取り付け面5から離れていることにより、宇宙機本体2に伝熱されにくく、電子機器71をより効果的に加熱する。その結果、ヒーター74は、接触面8が取り付け面5に接触しているときに比較して、電子機器71をより小さい電力で加熱することができる。
【0034】
このような温度調節方法によれば、宇宙機1は、単位時間当たりにコンポーネント3から宇宙機本体2に伝達される熱量を変化させることにより、電子機器71をより効果的に温度調節することができ、単位時間当たりにコンポーネント3から宇宙機本体2に伝達される熱量が変化しない他の宇宙機に比較して、電子機器71を温度調節するために消費される消費電力をより低減することができる。
【0035】
本発明による宇宙機の実施の他の形態は、既述の実施の形態におけるコンポーネント3が他のコンポーネントに置換されている。
【0036】
図4は、その置換されたコンポーネントを示している。そのコンポーネント21は、既述の実施の形態における接触面積変更機構7が他の接触面積変更機構22に置換されている。接触面積変更機構22は、クランクシャフト23とモータ24とコネクティングロッド25とを備えている。クランクシャフト23は、宇宙機本体2に固定されている回転軸26を中心に回転することができるように、宇宙機本体2に支持されている。モータ24は、制御装置75に制御されることにより、回転軸26を中心にクランクシャフト23を回転させる。コネクティングロッド25は、クランクシャフト23に固定されている回転軸27を中心に回転することができるように、クランクシャフト23に支持されている。回転軸27は、回転軸26と平行である。コネクティングロッド25は、さらに、コンポーネント外殻6に固定されている回転軸28を中心に回転することができるように、コンポーネント外殻6に支持されている。回転軸28は、回転軸26と平行である。
【0037】
コンポーネント外殻6は、取り付け面5の法線方向に平行に移動することができるように、宇宙機本体2に支持されている。接触面積変更機構22は、クランクシャフト23が回転することにより、接触面8から取り付け面5までの距離が変化するように、すなわち、接触面8が取り付け面5に接触したり、接触面8が取り付け面5から離れたりするように、形成されている。
【0038】
このとき、制御装置75は、電子機器71から収集された稼働状況が稼働中を示しているときに、まず、ヒーター74を制御することにより、電子機器71を加熱することを停止する。制御装置75は、さらに、接触面積変更機構22を制御することにより、図4に示されているように、接触面8を取り付け面5に接触させる。すなわち、制御装置75は、モータ24を制御することにより、接触面8が取り付け面5に接触するように、クランクシャフト23を回転させる。
【0039】
制御装置75は、電子機器71から収集された稼働状況が休止中を示しているときに、まず、接触面積変更機構22を制御することにより、図5に示されているように、接触面8を取り付け面5から離す。すなわち、制御装置75は、モータ24を制御することにより、接触面8が取り付け面5から離れるように、クランクシャフト23を回転させる。制御装置75は、さらに、ヒーター74を制御することにより、電子機器71を加熱する。
【0040】
接触面積変更機構22が適用された宇宙機は、既述の実施の形態における宇宙機1と同様にして、単位時間当たりにコンポーネント3から宇宙機本体2に伝達される熱量を変化させることにより、電子機器71をより効果的に温度調節することができ、電子機器71を温度調節するために消費される消費電力をより低減することができる。すなわち、本発明による宇宙機は、その接触面積を変化させる接触面積変更機構をコンポーネント外殻6の内部に配置させる必要がなく、接触面積変更機構22をコンポーネント外殻6の外側に配置しても、電子機器71を温度調節するために消費される消費電力をより低減することができる。
【0041】
図6は、さらに他のコンポーネントを示している。そのコンポーネント31は、コンポーネント外殻32と接触面積変更機構33とを備え、既述の実施の形態におけるコンポーネント3と同様にして、電子機器71と温度計72と宇宙機本体状況センサー73とヒーター74と制御装置75とを備えている。コンポーネント外殻32は、容器に形成されている。コンポーネント外殻32は、支持部材34と可動壁35とを備えている。支持部材34は、断熱材から形成されている。支持部材34は、コンポーネント外殻32に接合され、宇宙機本体2に接合されている。すなわち、コンポーネント外殻32は、支持部材34を介して宇宙機本体2に固定されている。可動壁35は、コンポーネント外殻32が形成される材料と同じ材料から形成されている。その材料の熱伝導率は、支持部材34が形成される断熱材の熱伝導率より大きい。可動壁35は、平坦である接触面36が形成されている。可動壁35は、接触面36が取り付け面5に平行になるように、かつ、接触面36が取り付け面5に対向するように、配置されている。可動壁35は、さらに、取り付け面5の法線方向に平行に移動することができるように、コンポーネント外殻32に支持されている。
【0042】
接触面積変更機構33は、クランクシャフト37とモータ38とコネクティングロッド39とを備えている。クランクシャフト37は、宇宙機本体2に固定されている回転軸41を中心に回転することができるように、宇宙機本体2に支持されている。モータ38は、制御装置75に制御されることにより、回転軸41を中心にクランクシャフト37を回転させる。コネクティングロッド39は、クランクシャフト37に固定されている回転軸42を中心に回転することができるように、クランクシャフト37に支持されている。回転軸42は、回転軸41と平行である。コネクティングロッド39は、さらに、コンポーネント外殻6に固定されている回転軸43を中心に回転することができるように、可動壁35に支持されている。回転軸43は、回転軸41と平行である。
【0043】
接触面積変更機構33は、クランクシャフト37が回転することにより、接触面36から取り付け面5までの距離が変化するように、すなわち、接触面36が取り付け面5に接触したり、接触面36が取り付け面5から離れたりするように、形成されている。
【0044】
このとき、制御装置75は、電子機器71から収集された稼働状況が稼働中を示しているときに、まず、ヒーター74を制御することにより、電子機器71を加熱することを停止する。制御装置75は、さらに、接触面積変更機構33を制御することにより、図6に示されているように、接触面36を取り付け面5に接触させる。すなわち、制御装置75は、モータ38を制御することにより、接触面36が取り付け面5に接触するように、クランクシャフト37を回転させる。
【0045】
制御装置75は、電子機器71から収集された稼働状況が休止中を示しているときに、まず、接触面積変更機構33を制御することにより、図7に示されているように、接触面36を取り付け面5から離す。すなわち、制御装置75は、モータ38を制御することにより、接触面36が取り付け面5から離れるように、クランクシャフト37を回転させる。制御装置75は、さらに、ヒーター74を制御することにより、電子機器71を加熱する。
【0046】
接触面積変更機構33が適用された宇宙機は、既述の実施の形態における宇宙機1と同様にして、単位時間当たりにコンポーネント3から宇宙機本体2に伝達される熱量を変化させることにより、電子機器71をより効果的に温度調節することができ、電子機器71を温度調節するために消費される消費電力をより低減することができる。すなわち、本発明による宇宙機は、その接触面積を変化させるためにコンポーネント外殻6の全体を移動させる必要がなく、接触面36が形成される可動壁35のみを移動させても、電子機器71を温度調節するために消費される消費電力をより低減することができる。
【0047】
図8は、さらに他のコンポーネントを示している。そのコンポーネント51は、コンポーネント外殻52を備え、既述の実施の形態におけるコンポーネント3と同様にして、電子機器71と温度計72と宇宙機本体状況センサー73とヒーター74と制御装置75とを備えている。コンポーネント外殻52は、容器に形成されている。コンポーネント外殻52は、支持部材54と複数の可動壁55−1〜55−n(n=2,3,4,…)とを備えている。支持部材54は、断熱材から形成されている。支持部材54は、コンポーネント外殻52に接合され、宇宙機本体2に接合されている。すなわち、コンポーネント外殻52は、支持部材54を介して宇宙機本体2に固定されている。複数の可動壁55−1〜55−nのうちの任意の可動壁55−i(i=1,2,3,…,n)は、コンポーネント外殻52が形成される材料と同じ材料から形成されている。可動壁55−iは、平坦である接触面56−iが形成されている。可動壁55−iは、接触面56−iが取り付け面5に対向するように、配置されている。
【0048】
可動壁55−iは、図9に示されているように、回転軸57−iを中心に回転することができるように、コンポーネント外殻52に支持されている。回転軸57−iは、取り付け面5の表面上に配置されている。このため、可動壁55−iは、回転軸57−iを中心に回転することにより、接触面56−iが取り付け面5に接触したり、接触面56−iが取り付け面5から離れたりすることができる。
【0049】
コンポーネント51は、図示されていない接触面積変更機構を備えている。その接触面積変更機構は、複数の可動壁55−1〜55−nに対応する複数のモータから形成されている。その複数のモータのうちの任意の可動壁55−iに対応するモータは、制御装置75に制御されることにより、接触面56−iが取り付け面5に接触したり、接触面56−iが取り付け面5から離れたりするように、可動壁55−iを回転させる。
【0050】
このとき、制御装置75は、電子機器71から収集された稼働状況が稼働中を示しているときに、まず、ヒーター74を制御することにより、電子機器71を加熱することを停止する。制御装置75は、さらに、その接触面積変更機構を制御することにより、複数の可動壁55−1〜55−nのうちの所定の個数の可動壁に形成される接触面を取り付け面5に接触させ、複数の可動壁55−1〜55−nのうちの残りの可動壁に形成される接触面を取り付け面5から離す。
【0051】
制御装置75は、電子機器71から収集された稼働状況が休止中を示しているときに、まず、その接触面積変更機構を制御することにより、接触面56−iを取り付け面5から離す。その接触面積変更機構を制御することにより、複数の可動壁55−1〜55−nのうちの所定の個数の可動壁に形成される接触面を取り付け面5に接触させ、複数の可動壁55−1〜55−nのうちの残りの可動壁に形成される接触面を取り付け面5から離す。その個数は、電子機器71が稼働中であるときに複数の可動壁55−1〜55−nのうちの接触面が取り付け面5に接触している可動壁の個数より少ない。制御装置75は、さらに、ヒーター74を制御することにより、電子機器71を加熱する。
【0052】
複数の可動壁55−1〜55−nが適用された宇宙機は、既述の実施の形態における宇宙機1と同様にして、単位時間当たりにコンポーネント3から宇宙機本体2に伝達される熱量を変化させることにより、電子機器71をより効果的に温度調節することができ、電子機器71を温度調節するために消費される消費電力をより低減することができる。
【0053】
さらに、制御装置75は、電子機器71の稼働状況または温度計72により測定された温度または宇宙機本体状況センサー73により測定された状況に基づいて、複数の可動壁55−1〜55−nのうちの接触面を取り付け面5に接触させる可動壁の個数を算出することもできる。このとき、制御装置75は、複数の可動壁55−1〜55−nのうちのその算出された個数の可動壁に形成される接触面を取り付け面5に接触させ、複数の可動壁55−1〜55−nのうちの残りの可動壁に形成される接触面を取り付け面5から離すように、その接触面積変更機構を制御する。このような制御が適用された宇宙機は、既述の実施の形態における宇宙機1と同様にして、単位時間当たりにコンポーネント3から宇宙機本体2に伝達される熱量を変化させることにより、電子機器71をより効果的に温度調節することができ、電子機器71を温度調節するために消費される消費電力をより低減することができる。すなわち、制御装置75は、複数の可動壁55−1〜55−nにそれぞれ形成される複数の接触面56−1〜56−nのうちの取り付け面5に接触する領域の面積を2値的に変化させる必要がなく、その領域の面積を3段階以上の段階的に変化させても、電子機器71を温度調節するために消費される消費電力をより低減することができる。
【0054】
なお、制御装置75は、電子機器71が稼働中であるときにその接触面が取り付け面5から離れるように、かつ、電子機器71が休止中であるときにその接触面が取り付け面5に接触するように、その接触面積変更機構を制御することもできる。宇宙機本体2の取り付け面5は、宇宙機本体2が常時に太陽光に曝されているときに、たとえば、惑星から十分に離れた軌道を宇宙機本体2が飛行しているときに、惑星の陰を飛行する宇宙機本体2の取り付け面5の温度より高い温度となる。このとき、制御装置75は、電子機器71が休止中であるときに、取り付け面5の熱を電子機器71に伝熱させることができ、電子機器71を加熱するヒーター74の消費電力を低減することができる。制御装置75は、さらに、電子機器71が稼働中であるときに、取り付け面5から伝熱される熱により電子機器71が過熱されることを防止することができる。その結果、このような制御でも、電子機器71を温度調節するために消費される消費電力をより低減することができる。
【0055】
なお、制御装置75は、電子機器71から収集される稼働状況と異なる他の情報に基づいて、接触面積変更機構とヒーター74とを制御することもできる。
【0056】
たとえば、宇宙機本体2が備える太陽電池が発電していないときに電子機器71がそのミッションを実行しないで、その太陽電池が発電しているときに電子機器71がそのミッションを実行するときに、制御装置75は、宇宙機本体状況センサー73により測定された状況に基づいて接触面積変更機構とヒーター74とを制御することもできる。このとき、制御装置75は、その太陽電池が発電していることをその状況が示しているときに、既述の実施の形態における電子機器71を放冷する動作が実行されるように、その太陽電池が発電していないことをその状況が示しているときに、既述の実施の形態における電子機器71を保温する動作が実行されるように、接触面積変更機構とヒーター74とを制御する。
【0057】
たとえば、制御装置75は、温度計72から電子機器温度を収集し、宇宙機本体状況センサー73から取り付け面温度を収集する。その電子機器温度は、電子機器71の温度を示している。その取り付け面温度は、取り付け面5の温度を示している。制御装置75は、その取り付け面温度と目標温度との間にその電子機器温度があるときに、その接触面と取り付け面5とが接触するように、その接触面積変更機構を制御する。その目標温度は、その許容温度範囲に含まれる温度を示している。制御装置75は、その取り付け面温度とその目標温度との間にその電子機器温度がないときに、その接触面が取り付け面5から離れるように、その接触面積変更機構を制御する。制御装置75は、さらに、その電子機器温度がその目標温度より小さいときに、電子機器71が加熱されるようにヒーター74を制御する。このような制御によれば、電子機器71がそのミッションを実行しているかどうかにかかわらず、電子機器71の温度が電子機器71の許容温度範囲に含まれるように、その接触面積変更機構とヒーター74とを制御することができる。
【0058】
このような制御によれば、制御装置75は、既述の実施の形態における電子機器71を放冷する動作と電子機器71を保温する動作と異なる他の動作を実行することもできる。たとえば、宇宙機本体2は、太陽の近傍の軌道を飛行しているときに、取り付け面5が高温となる。制御装置75は、取り付け面5が高温である場合で、電子機器71が稼働中であるときに、その接触面が取り付け面5から離れるように、その接触面積変更機構を制御することがある。太陽から遠い軌道を飛行し、常時に太陽光に曝されている宇宙機本体2の取り付け面5は、惑星の陰を飛行する宇宙機本体2の取り付け面5の温度より高い低温となる。制御装置75は、取り付け面5がその低温である場合で、電子機器71が休止中であるときに、取り付け面5の温度で電子機器71が保温されるように、その接触面が取り付け面5に接触させることがある。
【0059】
このような制御が適用された宇宙機も、既述の実施の形態における宇宙機1と同様にして、単位時間当たりにコンポーネント3から宇宙機本体2に伝達される熱量を変化させることにより、電子機器71をより効果的に温度調節することができ、電子機器71を温度調節するために消費される消費電力をより低減することができる。
【0060】
なお、制御装置75は、ヒーター74を用いて電子機器71を加熱するときに、電子機器71の温度がその許容温度範囲に含まれるように、温度計72により測定された温度に基づいてヒーター74をフィードバック制御することもできる。このような制御が適用された宇宙機も、電子機器71を温度調節するために消費される消費電力をより低減することができる。
【0061】
図10は、さらに他のコンポーネントを示している。そのコンポーネント61は、コンポーネント61は、コンポーネント外殻62と接触面積変更機構63とを備え、既述の実施の形態におけるコンポーネント3と同様にして、電子機器71と温度計72と宇宙機本体状況センサー73とヒーター74と制御装置75とを備えている。コンポーネント外殻62は、容器に形成されている。コンポーネント外殻62は、支持部材64と可動壁65とを備えている。支持部材64は、断熱材から形成されている。支持部材64は、コンポーネント外殻62に接合され、宇宙機本体2に接合されている。すなわち、コンポーネント外殻62は、支持部材64を介して宇宙機本体2に固定されている。可動壁65は、コンポーネント外殻62が形成される材料と同じ材料から形成され、平坦である接触面66が形成されている。可動壁65は、接触面66が取り付け面5に平行になるように、かつ、接触面66が取り付け面5に対向するように、配置されている。可動壁65は、さらに、取り付け面5の法線方向に平行に移動することができるように、コンポーネント外殻62に支持されている。
【0062】
接触面積変更機構63は、コンポーネント外殻62が形成される材料に比較して、熱膨張率が大きい材料から形成されている。接触面積変更機構63は、一端がコンポーネント外殻62に接合され、他端が可動壁65に接合されている。接触面積変更機構63は、さらに、接触面積変更機構63が膨張することにより接触面66が取り付け面5に接触するように、かつ、接触面積変更機構63が収縮することにより接触面66が取り付け面5から離れるように、形成されている。接触面積変更機構63は、さらに、電子機器71の許容温度範囲に含まれる閾値温度より接触面積変更機構63の温度が大きいときに、接触面66が取り付け面5に接触するように、かつ、接触面積変更機構63の温度がその閾値温度より小さいときに、接触面66が取り付け面5から離れるように、形成されている。
【0063】
接触面積変更機構63は、電子機器71がそのミッションを実行しているときに、電子機器71により生成された熱により加熱される。接触面積変更機構63は、加熱されることにより、可動壁65の接触面66が取り付け面5に接触するように、膨張する。このため、電子機器71は、接触面66が取り付け面5に接触していることにより、効率的に放冷される。
【0064】
接触面積変更機構63は、電子機器71がそのミッションを実行していないときに、放冷される。接触面積変更機構63は、放冷されることにより、可動壁65の接触面66が取り付け面5から離れるように、収縮する。このため、電子機器71は、接触面66が取り付け面5から離れていることにより、ヒーター74により効率的に保温される。
【0065】
その結果、接触面積変更機構63が適用された宇宙機も、既述の実施の形態における宇宙機1と同様にして、単位時間当たりにコンポーネント3から宇宙機本体2に伝達される熱量を変化させることにより、電子機器71をより効果的に温度調節することができ、電子機器71を温度調節するために消費される消費電力をより低減することができる。
【0066】
接触面積変更機構63が適用された宇宙機は、さらに、制御装置75が接触面積変更機構63を制御する必要がなく、単位時間当たりにコンポーネント3から宇宙機本体2に伝達される熱量をより容易に変化させることができる。
【0067】
なお、接触面積変更機構63は、温度により変化する他の材料から形成されることもできる。その材料としては、形状記憶合金、バイメタルが例示される。その接触面積変更機構は、既述の実施の形態における接触面積変更機構63と同様にして、単位時間当たりに接触面66から取り付け面5に伝達される熱の熱量が変化するように、形成されている。このような接触面積変更機構が適用された宇宙機も、単位時間当たりにコンポーネント3から宇宙機本体2に伝達される熱量を変化させることにより、電子機器71をより効果的に温度調節することができ、電子機器71を温度調節するために消費される消費電力をより低減することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 :宇宙機
2 :宇宙機本体
3 :コンポーネント
5 :取り付け面
6 :コンポーネント外殻
7 :接触面積変更機構
8 :接触面
10:レール
11:バネ
12:カム
14:モータ
15:ラッチ
16:回転軸
17:外周
71:電子機器
72:温度計
73:宇宙機本体状況センサー
74:ヒーター
75:制御装置
21:コンポーネント
22:接触面積変更機構
23:クランクシャフト
24:モータ
25:コネクティングロッド
26:回転軸
27:回転軸
28:回転軸
31:コンポーネント
32:コンポーネント外殻
33:接触面積変更機構
34:支持部材
35:可動壁
36:接触面
37:クランクシャフト
38:モータ
39:コネクティングロッド
41:回転軸
42:回転軸
43:回転軸
51:コンポーネント
52:コンポーネント外殻
54:支持部材
55−1〜55−n:複数の可動壁
56−i:接触面
57−i:回転軸
61:コンポーネント
62:コンポーネント外殻
63:接触面積変更機構
64:支持部材
65:可動壁
66:接触面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11