(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943699
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】光学式タッチパネル
(51)【国際特許分類】
G06F 3/042 20060101AFI20160621BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
G06F3/042 484
G06F3/041 400
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-109349(P2012-109349)
(22)【出願日】2012年5月11日
(65)【公開番号】特開2013-235545(P2013-235545A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100011
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 省三
(72)【発明者】
【氏名】ゴー リングウェイ
(72)【発明者】
【氏名】澤田 正綱
【審査官】
松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0242056(US,A1)
【文献】
特開2009−252012(JP,A)
【文献】
実開昭61−138040(JP,U)
【文献】
特開2009−199259(JP,A)
【文献】
特開平02−081118(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0056853(US,A1)
【文献】
実開平01−064738(JP,U)
【文献】
特開2000−172444(JP,A)
【文献】
特開2006−038572(JP,A)
【文献】
特開2010−055508(JP,A)
【文献】
実開昭63−016329(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03−3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示面上に対向配列された複数の発光受光パッケージと、
前記発光受光パッケージの光出射/光入射方向に対向したライトガイドレンズと
を具備し、
前記各発光受光パッケージは前記表示面に対して縦置された一対の発光素子及び受光素子を有し、
前記各発光受光パッケージの発光素子は前記表示面上に対向配列された前記発光受光パッケージの受光素子と対向し、
前記ライトガイドレンズの2つの入出射面の少なくとも1つは、横から見て1つの凸状となり、他の1つは、横から見て、V字状になっている光学式タッチパネル。
【請求項2】
表示装置の表示面上に対向配列された複数の発光受光パッケージを具備し、
前記各発光受光パッケージは前記表示面に対して縦置された一対の発光素子及び受光素子を有し、
前記各発光受光パッケージの発光素子は前記表示面上に対向配列された前記発光受光パッケージの受光素子と対向し、
前記各発光受光パッケージは、
前記発光素子及び前記受光素子が搭載された基板と、
前記発光素子及び前記受光素子を樹脂封止する樹脂層と
を具備し、
前記発光素子に対向する前記樹脂層の表面は該発光素子の面に対して傾斜させて前記発光素子の光の前記受光素子への戻りを抑制した光学式タッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学式タッチパネルに関する。
【0002】
図8は第1の従来の光学式タッチパネルを示す上面図である。
【0003】
図8において、1は表示面を規定するガラス基板、たとえば液晶表示装置の上側ガラス基板であって、その上には2つの基板2X−a、2X−bが
Y方向で対向配列され、他方、2つの基板2Y−a、2Y−bが
X方向で対向配列されている。
【0004】
基板2X−a上には、X方向発光素子たとえば発光ダイオード(LED)素子3X−aが等間隔で配列されている。また、基板2X−b上には、X方向受光素子たとえばフォトトランジスタ素子3X−bが各LED素子3X−aに対向して等間隔で配列されている。
【0005】
他方、基板2Y−a上には、Y方向発光素子たとえばLED素子3Y−aが等間隔で配列されている。また、基板2Y−b上には、Y方向受光素子たとえばフォトトランジスタ素子3Y−bが各LED素子3Y−aに対向して等間隔で配列されている。
【0006】
LED素子3X−aから発射した光L
X1は、表示面上を通過し、フォトトランジスタ素子3X−bに到達する。この場合、表示面上に物体たとえば指が存在すると、光L
X1は遮断されてフォトトランジスタ素子3X−bに到達しない。従って、フォトトランジスタ素子3X−bが光L
X1を検出するか否かによって物体Aが光L
X1の座標X1上に存在するか否かを判別できる。他方、LED素子3Y−aから発射した光L
Y1は、表示面上を通過してフォトトランジスタ素子3Y−bに到達する。この場合、表示面上に物体Aたとえば指が存在すると、光L
Y1は遮断されてフォトトランジスタ素子3Y−bに到達しない。従って、フォトトランジスタ素子3Y−bが光L
Y1を検出するか否かによって物体Aが光L
Y1の座標Y1上に存在するか否かを判別できる。
【0007】
このように、光L
X1、光L
Y1の有無によって物体Aが座標(X1,Y1)上に存在するか否かを判別できる。
【0008】
しかしながら、
図8の光学式タッチパネルにおいて、物体A以外に物体B、C、Dが同時存在した場合、光L
X1、
LX2の検出光と光L
Y1、光L
Y2の検出光とは直交しているので、物体B、Cは物体Aの影となって検出できず、また、物体Dは物体B、Cの影となって検出できない。つまり、2本以上の指のマルチタッチが不可能であった。
【0009】
図9は第2の従来の光学式タッチパネルを示す上面図である。
【0010】
図9においては、
図8のLED素子3X−a、フォトトランジスタ素子3X−b、LED素子3Y−a及びフォトトランジスタ素子3Y−bを発光受光パッケージ3X’−a、3X’−b、3Y’−a、3Y’−bに置換したものである。各発光受光パッケージ3X’−a、3X’−b、3Y’−a、3Y’−bは同一構成をなしており、横置きした発光素子たとえばLED素子31及び受光素子たとえばフォトトランジスタ32によって構成されている。従って、反射型フォトインタラプタ技術を利用して物体A、B、C、Dを検出できる。
【0011】
たとえば、発光受光パッケージ3X’−aのLED素子31から発射した光L
X1は表示面上の物体Aによって反射されてそのフォトトランジスタ32に到達し、また、発光受光パッケージ3Y’−aのLED素子31から発射した光L
Y1は表示面上の物体Aによって反射されてそのフォトトランジスタ32に到達し、これにより、反射光L
X1、L
Y1の有無によって物体Aが座標(X1,Y1)上に存在するか否かを判別できる。
【0012】
また、発光受光パッケージ3X’−aのLED素子31から発射した光L
X2は表示面上の物体Bによって反射されてそのフォトトランジスタ32に到達し、また、発光受光パッケージ3Y’−bのLED素子31から発射した光L
Y2は表示面上の物体Bによって反射されてそのフォトトランジスタ32に到達し、これにより、反射光L
X2、L
Y2の有無によって物体Bが座標(X2,Y2)上に存在するか否かを判別できる。
【0013】
さらに、発光受光パッケージ3X’−bのLED素子31から発射した光L
X3は表示面上の物体Cによって反射されてそのフォトトランジスタ32に到達し、また、発光受光パッケージ3Y’−bのLED素子31から発射した光L
Y3は表示面上の物体Cによって反射されてそのフォトトランジスタ32に到達し、これにより反射光L
X3、L
Y3の有無によって物体Cが座標(X3,Y3)上に存在するか否かを判別できる。
【0014】
さらにまた、発光受光パッケージ3X’−bのLED素子31から発射した光L
X4は表示面上の物体Dによって反射されてそのフォトトランジスタ32に到達し、また、発光受光パッケージ3Y’−bのLED素子31から発射した光L
Y4は表示面上の物体Dによって反射されてそのフォトトランジスタ32に到達し、これにより、反射光L
X4、L
Y4の有無によって物体Dが座標(X4,Y4)上に存在するか否かを判別できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上述の
図9に示す第2の従来の光学式タッチパネルにおいては、発光受光パッケージ3X’−a、3X’−b、3Y’−a、3Y’−bのLED素子31の配光特性及びフォトトランジスタ32の配光特性が左右にずれてフォトトランジスタ32のノイズが大きくなるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の課題を解決するために、本発明に係る光学式タッチパネルは、表示装置の表示面上に対向配列された複数の発光受光パッケージ
と発光受光パッケージの光出射/光入射方向に対向したライトガイドレンズとを具備し、各発光受光パッケージは表示面に対して縦置された一対の発光素子及び受光素子を有し、各発光受光パッケージの発光素子は表示面上に対向配列された発光受光パッケージの受光素子と対向
、ライトガイドレンズの2つの入出射面の少なくとも1つは、横から見て1つの凸状となり、他の1つは、横から見て、V字状となっている。これにより、発光受光パッケージの発光素子の配光特性及び受光素子の配光特性が左右にずれても受光素子のノイズは大きくならない。また、
発光受光パッケージの光の導光作用及び集光作用を果たす。
【0018】
また、本発明に係る光学式タッチパネルは、表示装置の表示面上に対向配列された複数の発光受光パッケージを具備し、各発光受光パッケージは表示面に対して縦置された一対の発光素子及び受光素子を有し、各発光受光パッケージの発光素子は表示面上に対向配列された発光受光パッケージの受光素子と対向し、各発光受光パッケージは、発光素子及び受光素子が搭載された基板と、発光素子及び受光素子を樹脂封止する樹脂層とを具備し、発光素子に対向する樹脂層の表面は発光素子の面に対して傾斜させて発光素子の光の受光素子への戻りを抑制するものである。これにより、発光受光パッケージ内の内部ノイズが低減する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、発光受光パッケージの発光素子の配光特性及び受光素子の配光特性が左右にずれても受光素子のノイズを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る第1の光学式タッチパネルの実施の形態を示す上面図である。
【
図4】本発明に係る光学式タッチパネルの第2の実施の形態を示す上面図である。
【
図6】
図5の発光受光パッケージの変更例を示す図である。
【
図7】
図1、
図4の光学式タッチパネルの動作を説明するためのタイミング図である。
【
図8】第1の従来のタッチパネルを示す上面図である。
【
図9】第2の従来のタッチパネルを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明に係る光学式タッチパネルの第1の実施の形態を示す上面図である。
【0022】
図1において、
図9の各発光受光パッケージ3X’−a、3X’−b、3Y’−a、3Y’−bを発光受光パッケージ3X”−a、3X”−b、3Y”−a、3Y”−bに置換したものである。各発光受光パッケージ3X”−a、3X”−b、3Y”−a、3Y”−bにおいては、LED素子31及びフォト
トランジスタ素子32が縦置きされており、従って、LED素子31の配光特性及びフォト
トランジスタ素子32の配光特性が左右にずれても、フォトトランジスタ
素子32のノイズは大きくならない。
【0023】
図2は
図1の発光受光パッケージを示し、(A)は発光受光パッケージ3X”−a(3Y”−a)の斜視図、(B)発光受光パッケージ3X”−b(3Y”−b)の斜視図である。
【0024】
図2の(A)に示すように、発光受光パッケージ3X”−a(3Y”−a)においては、基板30上にLED素子31及びフォトトランジスタ
素子32が実装され、LED素子31及びフォトトランジスタ
素子32が樹脂層33によって樹脂封止されている。この場合、LED素子31が上側でフォトトランジスタ
素子32が下側に縦置にされている。
【0025】
他方、
図2の(B)に示すように、発光受光パッケージ3X”−b(3Y”−b)においても、基板30上にLED素子31及びフォトトランジスタ
素子32が実装され、LED素子31及びフォトトランジスタ
素子32が樹脂層33によって樹脂封止されているが、この場合、LED素子31が下側でフォトトランジスタ
素子32が上側に縦置にされている。
【0026】
図3は
図1のIII-III線断面図である。
【0027】
図3に示すように、発光受光パッケージ3X”−aのLED素子31と発光受光パッケージ3X”−bのフォトトランジスタ素子32とが対向配列され、また、発光受光パッケージ3X”−bのLED素子31と発光受光パッケージ3X”−aのフォトトランジスタ素子32とが対向配列されている。
【0028】
従って、
図1の光学式タッチパネルは
図9の光学式タッチパネルと同様の動作を行う。しかし、
図1の光学式タッチパネルにおいては、LED素子31の配光特性及びフォトトランジスタ
素子32の配光特性が縦方向にずれると、フォトトランジスタ素子32のノイズが大きくなることがある。
【0029】
図4は本発明に係る光学式タッチパネルの第2の実施の形態を示す上面図である。
図4においては、
図1の発光受光パッケージ3X”−aに対して1つのライトガイドレンズ4X−aを設け、発光受光パッケージ3X’−bに対して1つのライトガイドレンズ4X−bを設け、発光受光パッケージ3Y”−aに対して1つのライトガイドレンズ4Y−aを設け、発光受光パッケージ3Y’−bに対して1つのライトガイドレンズ4Y−bを設けている。
【0031】
図5の(A)に示すように、ライトガイドレンズ4X−a、4X−bの入出射面の少なくとも1つは横から見て2つの凸状あるいはR状となっている。これにより、ライトガイドレンズ4X−a、4X−bの中央部分は導光作用をなし、ライトガイドレンズ4X−a、4X−bの凸状部分は集光作用をなす。
【0032】
また、
図5の(A)においては、発光受光パッケージ3X”−a、3X”−bのLED素子31に対向する樹脂層33の表面を傾斜させている。これにより、LED素子31から発射された光が樹脂層33の表面を反射して自分のフォトトランジスタ素子32へのノイズとして戻り入射を抑制する。
【0033】
また、
図5の(B)に示すように、ライトガイドレンズ4X’−a、4X’−bの入出射面の1つは横から見て1つの凸状あるいはR状となっており、他の1つはV字状をなしている。これにより、ライトガイドレンズ4X’−a、4X’−bの中央部分は導光作用をなし、ライトガイドレンズ4X’−a、4X’−bの凸状部分及びV字状部分は集光作用をなす。
【0034】
また、
図5の(B)においても、発光受光パッケージ3X”−a、3X”−bのLED素子31に対向する樹脂層33の表面を傾斜させている。これにより、LED素子31から発射された光が樹脂層33の表面を反射して自分のフォトトランジスタ素子32へのノイズとして戻りを抑制する。
【0035】
図6は
図5の発光受光パッケージ3X”−aの変更例を示す図である。
図6に示すように、樹脂層33の表面を傾斜させる代りに、樹脂層33をLED素子31、フォトトランジスタ素子32に対して区分するように反射層61を設けたものである。
【0036】
図7は
図1、
図4の光学式タッチパネルの動作を説明するためのタイミング図である。すなわち、発光受光パッケージ3X”−a(3Y”−a)のLED素子31と発光受光パッケージ3X”−b(3Y”−b)のLED素子31とを同時に動作させないように、時分割動作させると共に、フォトトランジスタ素子32はLED素子31からの透過光及び物体からの反射光を検出するために常に同期動作させる。
【符号の説明】
【0037】
1:ガラス基板
2X−a、2X−b,2Y−a、2Y−b:基板
3X−a、3Y−a:LED素子
3X−b、3Y−b:フォトトランジスタ素子
3X’−a、3X’−b、3Y’−a、3Y’−b、3X”−a、3X”−b、3Y”−a、3Y”−b:発光受光パッケージ
4X−a、4X−b,4Y−a、4Y−b:ライトガイドレンズ
30:基板
31:LED素子
32:フォトトランジスタ素子
33:樹脂層
61:反射層